(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110411
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230802BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 322
G06F3/12 336
G06F3/12 385
G06F3/12 367
B41J29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011832
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】鴻田 峻
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061CL10
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】印刷のセキュリティを向上する。
【解決手段】情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置とを有する印刷システムであり、前記情報処理装置と前記印刷装置との間の通信経路を示す通信経路情報を取得する通信経路情報取得部と、前記通信経路情報に基づいて前記印刷装置による印刷を制限する印刷制限部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置とを有する印刷システムであり、
前記情報処理装置と前記印刷装置との間の通信経路を示す通信経路情報を取得する通信経路情報取得部と、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報に基づいて前記印刷装置による印刷を制限する印刷制限部と
を備える
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路を示す場合、前記印刷装置による印刷を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記通信経路情報取得部は、
前記通信経路情報として、前記情報処理装置と前記印刷装置との間の通信経路上に存在するネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得し、
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報に、予め登録されたネットワーク機器のIPアドレスが含まれている場合、前記印刷装置による印刷を制限する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報に、予め登録されたVPNサーバのIPアドレスが含まれている場合、前記印刷装置による印刷を制限する
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記通信経路情報取得部と前記印刷制限部とを有し、
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路を示す場合、印刷制限情報を前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置は、
制御部を有し、
前記制御部は、前記情報処理装置から前記印刷制限情報を受信した場合、前記情報処理装置から受信した前記印刷データの印刷を実行しない
ことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置の前記制御部は、
前記情報処理装置から前記印刷制限情報を受信した場合、前記情報処理装置から受信した前記印刷データを印刷せずに前記印刷装置の記憶部に記憶しておき、その後、前記印刷装置の操作部を介して前記記憶部に記憶してある前記印刷データを印刷するよう指示されると、当該印刷データの印刷を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記印刷装置の前記制御部は、
前記情報処理装置から前記印刷制限情報を受信した場合、前記情報処理装置から受信した前記印刷データを印刷せずに前記印刷装置の前記記憶部に記憶しておき、その後、所定時間内に前記印刷装置の前記操作部を介して前記記憶部に記憶してある前記印刷データを印刷するよう指示されると、当該印刷データの印刷を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷制限情報は、前記印刷装置が前記印刷データを認証印刷する為の認証情報であり、
前記情報処理装置の前記印刷制限部は、
前記認証情報を前記印刷データとともに前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置の前記制御部は、
前記情報処理装置から前記認証情報を前記印刷データとともに受信した場合、当該印刷データを印刷せずに前記認証情報とともに前記印刷装置の記憶部に記憶しておき、その後、前記印刷装置の操作部を介して前記記憶部に記憶してある前記印刷データを印刷するよう指示されると、当該操作部を介して認証情報を入力させ、入力された認証情報が、前記印刷データとともに前記記憶部に記憶してある前記認証情報と一致する場合に、当該印刷データの印刷を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、
前記通信経路情報取得部と前記印刷制限部とを有し、
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路を示す場合、前記印刷データを前記印刷装置には送信しない
ことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷装置は、
前記通信経路情報取得部と前記印刷制限部とを有し、
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路を示す場合、前記情報処理装置から受信した前記印刷データの印刷を実行しない
ことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項11】
前記印刷制限部は、
前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路を示す場合、前記情報処理装置から受信した前記印刷データを印刷せずに前記印刷装置の記憶部に記憶しておき、その後、前記印刷装置の操作部を介して前記記憶部に記憶した前記印刷データを印刷するよう指示されると、当該印刷データの印刷を実行する
ことを特徴とする請求項10に記載の印刷システム。
【請求項12】
情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置との間の通信経路を示す通信経路情報を取得し、前記通信経路情報に基づいて前記印刷装置による印刷を制限する
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置としてのPC(パーソナルコンピュータ)のIPアドレスと印刷装置としてのプリンタのIPアドレスとを比較して、PCとプリンタとが同一ネットワーク内に存在するか否かを判断し、存在しないと判断した場合に警告を表示する印刷システムがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方で、近年、テレワークなどの普及にともない、自宅のPCからVPN(Virtual Private Network)サーバを介して会社のネットワークにVPN接続するような状況が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の印刷システムでは、PCとプリンタとがVPNサーバを経由して接続されているか否かに応じて警告を表示するようなことはできない。この為、例えば自宅のPCから会社のネットワークにVPN接続している状況で、自宅のPCから会社のネットワークに接続されたプリンタに誤って印刷要求を出してしまう場合があり、プリンタから出力された印刷物が放置されてしまう可能性があった。
【0006】
換言すると、PCとプリンタとがVPNサーバを経由して接続されている場合(つまり特定の通信経路で接続されている場合)に、プリンタによる印刷を制限することができれば、印刷のセキュリティを向上することができると考えられる。
【0007】
本発明は以上の点を考慮したものであり、印刷のセキュリティを向上し得る印刷システム及び印刷方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷システムは、情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置とを有する印刷システムであり、前記情報処理装置と前記印刷装置との間の通信経路を示す通信経路情報を取得する通信経路情報取得部と、前記通信経路情報取得部が取得した前記通信経路情報に基づいて前記印刷装置による印刷を制限する印刷制限部とを備える。
【0009】
また本発明の印刷方法は、情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置との間の通信経路を示す通信経路情報を取得し、前記通信経路情報に基づいて前記印刷装置による印刷を制限する。
【0010】
本発明によれば、情報処理装置と印刷装置が例えばVPNサーバを経由して接続されている場合のように特定の通信経路で接続されている場合に、印刷装置による印刷を制限することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、印刷のセキュリティを向上し得る印刷システム及び印刷方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態による印刷システムの構成を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態による印刷制限経路情報の構成を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態による印刷ジョブ及び印刷拒否フラグが追加された印刷ジョブを示す図である。
【
図4】第1の実施の形態による印刷システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図5】第2の実施の形態による印刷システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図6】第3の実施の形態による印刷システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.印刷システムの構成]
図1に、第1の実施の形態による印刷システム1の構成を示す。この印刷システム1には、利用者環境100と外部環境200の2つの環境が含まれている。利用者環境100は、印刷システム1を利用する利用者(ユーザ)のネットワーク環境であり、例えば利用者の端末120が接続された利用者宅のネットワーク環境である。一方、外部環境200は、例えば印刷装置220が接続された会社のネットワーク環境である。利用者環境100と外部環境200は、例えばインターネットなどの外部ネットワークNtを介してVPN接続できるようになっている。
【0015】
利用者環境100には、ルーター110と端末120が含まれている。ルーター110と端末120は、例えば利用者の自宅内のLAN(Local Area Network)130に接続されている。さらにルーター110は、外部ネットワークNtとも接続されている。
【0016】
具体的には、ルーター110は、制御部111と通信部112とを有している。制御部111は、ルーター110の各部を制御する。通信部112は、LAN130及び外部ネットワークNtと接続し、これらLAN130及び外部ネットワークNt間を中継する。
【0017】
端末120は、例えばPCなどの情報処理装置であり、制御部121と通信部122と記憶部123とを有している。制御部121は、例えばCPUとメモリで構成され、端末120の各部を制御する。通信部122は、LAN130と接続する。つまり端末120は、通信部122により、LAN130を介してルーター110と接続し、さらにルーター110を介して外部環境200に接続できるようになっている。記憶部123は、各種プログラム及び各種データを記憶する。この記憶部123には、例えばOS(Operating System)とアプリケーションと印刷装置220で印刷を行う為のプリンタドライバとVPNクライアントソフトウェアがインストールされている。端末120の制御部121は、アプリケーションとプリンタドライバを用いて印刷ジョブを生成する。
【0018】
また端末120の制御部121は、VPNクライアントソフトウェアを用いて通信部122を制御することにより、外部環境200のVPNサーバ210とVPN接続し、VPN接続したVPNサーバ210を介して、印刷装置220へ印刷ジョブを送信する(つまり印刷装置220へ印刷指示を出す)ことができるようになっている。尚、VPNクライアントソフトウェアについては、OSに組み込まれていてもよい。
【0019】
このように、端末120は、VPNを利用して外部環境200にリモートアクセスでき、外部環境200に含まれる印刷装置220へ印刷指示を出すことができるようになっている。尚、例えば利用者環境100のLAN130に図示しない印刷装置が接続されている場合、端末120は、この印刷装置に印刷指示を出すこともできる。また端末120は、外部環境200とは別の図示しない外部環境にリモートアクセスし、当該外部環境に含まれる印刷装置へ印刷指示を出すこともできる。
【0020】
さらに端末120の記憶部123は、
図2に示す印刷制限経路情報D1を記憶する。この印刷制限経路情報D1は、端末120と印刷先となる印刷装置(印刷装置220など)との間の通信経路に基づいて印刷装置による印刷を制限する為の情報である。具体的には、印刷制限経路情報D1は、ネットワーク機器(具体的にはルーターなどのネットワーク中継機器)の名前と当該ネットワーク機器のIPアドレスとを関連付けたものである。
図2では、一例として、ネットワーク機器名「VPNサーバ1」及びIPアドレス「aa.bb.cc.dd」と、ネットワーク機器名「VPNサーバ2」及びIPアドレス「aa.bb.cc.ee」との2つの情報が印刷制限経路情報D1として登録されている。
【0021】
ここで、ネットワーク機器名「VPNサーバ1」及びIPアドレス「aa.bb.cc.dd」が、例えば外部環境200に含まれるVPNサーバ210の名前とIPアドレスであるとすると、端末120は、通信経路にVPNサーバ210が含まれる印刷装置220への印刷を制限することになる。尚、この印刷制限経路情報D1は、例えば、プリンタドライバの設定画面上で登録できるようになっている。
【0022】
端末120の制御部121は、端末120と印刷装置との間の通信経路を示す通信経路情報を取得する。つまり制御部121は通信経路情報取得部としても機能する。通信経路情報の取得には、例えばpingコマンドを用いる。具体的には、制御部121は、pingコマンドを、宛先を印刷装置として「-R」オプションで実行する。これにより、制御部121は、通信経路情報として、端末120と印刷装置との間の通信経路に含まれる(つまり通信経路上に存在する)ネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得することができる。尚、pingコマンドの代わりに、tracertコマンドなどを実行してもよく、これらpingコマンドやtracertコマンドのことを、ここでは通信経路確認コマンドと呼ぶ。
【0023】
端末120の制御部121は、通信経路確認コマンドを実行することで取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器(例えばVPNサーバ210)のIPアドレスが含まれているか否かを判定し、含まれている場合に、印刷先となる印刷装置による印刷を制限する。つまり制御部121は印刷制限部としても機能する。具体的には、制御部121は、印刷装置への印刷を制限しない場合には、
図3(A)に示すように、生成した印刷ジョブPjを印刷装置へと送信する一方で、印刷装置への印刷を制限する場合には、
図3(B)に示すように、生成した印刷ジョブPjに印刷拒否フラグRfを付加情報として付加し、当該印刷拒否フラグRfを含んだ印刷ジョブPjを印刷装置へと送信するようになっている。
【0024】
図1に戻り、外部環境200には、VPNサーバ210と印刷装置220が含まれている。VPNサーバ210と印刷装置220は、例えば会社内のLAN230に接続されている。さらにVPNサーバ210は、外部ネットワークNtとも接続されていて、外部ネットワークNtを介して利用者環境100に含まれる端末120とVPN接続できるようになっている。
【0025】
具体的には、VPNサーバ210は、制御部211と通信部212と記憶部213を有している。制御部211は、例えばCPUとメモリで構成され、VPNサーバ210の各部を制御する。通信部212は、LAN230及び外部ネットワークNtと接続し、これらLAN230及び外部ネットワークNt間を中継する。つまりVPNサーバ210は、通信部212によりルーターとして機能するようになっている。記憶部213には、例えばVPNサーバソフトウェアがインストールされている。VPNサーバ210の制御部211は、VPNサーバソフトウェアを用いて通信部212を制御することにより、端末120などのVPNクライアントとVPN接続する。
【0026】
印刷装置220は、例えばプリンタであり、制御部221と通信部222と記憶部223と印刷部224と操作部225と表示部226を有している。制御部221は、例えばCPUとメモリで構成され、印刷装置220の各部を制御する。通信部222は、LAN230と接続する。つまり印刷装置220は、通信部222により、LAN230を介してVPNサーバ210と接続し、さらにVPNサーバ210を介して利用者環境100に接続できるようになっていて、例えば利用者環境100の端末120から送信されてくる印刷ジョブを受信する。記憶部223は、例えば受信した印刷ジョブを記憶する。
【0027】
制御部221は、記憶部223に記憶した印刷ジョブ(つまり受信した印刷ジョブ)に印刷拒否フラグが含まれていない場合、当該印刷ジョブに基づいて印刷を実行するよう印刷部224に指示を出す。印刷部224は、当該指示に従って、記憶部223に記憶されている印刷ジョブに基づいて印刷媒体に画像を印刷し、当該媒体を出力(排出)する。
【0028】
一方で、記憶部223に記憶した印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれている場合、制御部221は、当該印刷ジョブに基づく印刷を印刷部224に実行させることなく、当該印刷ジョブを記憶部223から削除する。このように、印刷装置220は、端末120から印刷拒否フラグ付きの印刷ジョブを受信した場合には、印刷を実行することなく(つまり印刷を拒否し)、当該印刷ジョブを削除することで、印刷を制限するようになっている。
【0029】
操作部225は、例えば操作ボタンやタッチパネルなどであり、ユーザ操作を受け付ける。表示部226は、例えば液晶ディスプレイやタッチパネルであり、各種情報を表示する。印刷システム1の構成は、以上のようになっている。
【0030】
上述の構成により、印刷システム1では、端末120と印刷装置(例えば印刷装置220)とが特定の通信経路(印刷制限経路情報D1にIPアドレスが登録されているネットワーク機器を経由する通信経路)で接続されている場合に、端末120が、印刷拒否フラグを付加した印刷ジョブを印刷装置へ送信することで、印刷装置への印刷を制限できるようになっている。
【0031】
[1-2.印刷システムの動作]
つぎに印刷システム1の動作について説明する。ここでは、一例として、端末120上で生成した印刷ジョブを印刷装置220に送信する際の動作について
図4に示すシーケンスチャートを用いて説明する。尚、端末120は、VPNサーバ210にVPN接続されていて、VPNサーバ210を介して印刷装置220と通信可能な状態であるとする。また端末120の記憶部123には、
図2に示す印刷制限経路情報D1が記憶されているとする。
【0032】
そのうえで、最初のステップSP1において、端末120の制御部121は、アプリケーション上で印刷装置220への印刷を開始する操作が行われたことに応じて、印刷処理を開始する。ここで端末120の制御部121は、アプリケーションにより生成したデータに基づいて、プリンタドライバにより印刷ジョブを生成する。
【0033】
つづくステップSP2において、端末120の制御部121は、印刷装置220を宛先とする通信経路確認コマンドを実行する。つづくステップSP3において、端末120の制御部121は、通信経路確認コマンドの実行結果として、端末120から印刷装置220までの通信経路を示す通信経路情報を取得する。
【0034】
つづくステップSP4において、端末120の制御部121は、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれているか否かを判定する。ここで、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれている場合、このことは、端末120と印刷装置220とが当該印刷装置220への印刷を制限すべき通信経路(すなわちVPNサーバ210を経由する通信経路)で接続されていることを意味する。この場合、端末120の制御部121は、ステップSP4で肯定結果を得て、ステップSP5に移り、先に生成した印刷ジョブに印刷拒否フラグを付加してステップSP6に移る。
【0035】
一方で、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれていない場合、端末120の制御部121は、上述のステップSP4で否定結果を得て(つまりステップSP5をスキップして)ステップSP6に移る。尚、ここではステップSP1で印刷ジョブを生成するようにしたが、ステップSP4の実行後に印刷ジョブを生成し、ステップSP4で肯定結果を得た場合に、ステップSP5で、生成した印刷ジョブに印刷拒否フラグを付加するようにしてもよい。
【0036】
ステップSP6において、端末120の制御部121は、印刷ジョブを印刷装置220へ送信する。このとき、制御部121は、上述のステップSP4で肯定結果を得ている場合には印刷拒否フラグを含んだ印刷ジョブを印刷装置220へ送信し、否定結果を得ている場合には、印刷拒否フラグを含んでいない印刷ジョブを印刷装置220へ送信する。
【0037】
印刷装置220の制御部221は、端末120から印刷ジョブを受信すると、この印刷ジョブを記憶部223に記憶し、ステップSP7において、この印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれているか否かを判定する。ここで、受信した印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれている場合、このことは、当該印刷ジョブが印刷を制限すべき印刷ジョブであることを意味する。この場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP7で肯定結果を得てステップSP8に移る。
【0038】
ステップSP8において、印刷装置220の制御部221は、受信した印刷ジョブの印刷を拒否し(つまり実行せず)、つづくステップSP9において、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。
【0039】
一方で、受信した印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれていない場合、このことは、当該印刷ジョブが印刷を拒否すべき印刷ジョブではないことを意味する。この場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP7で否定結果を得てステップSP10に移る。
【0040】
ステップSP10において、印刷装置220の制御部221は、受信した印刷ジョブの印刷を実行する。この場合、印刷装置220の制御部221は、例えば印刷ジョブの印刷終了後に、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。印刷システム1の動作は、以上のようになっている。
【0041】
[1-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態では、情報処理装置としての端末120と、端末120から受信した印刷データとしての印刷ジョブに基づいて印刷を実行する印刷装置220を有する印刷システム1に、端末120と印刷装置220との間の通信経路を示す通信経路情報(IPアドレスのリスト)を取得する通信経路情報取得部、及び通信経路情報に基づいて印刷装置220による印刷を制限する印刷制限部として、端末120の制御部121を設けた。
【0042】
つまり端末120の制御部121は、端末120と印刷装置220との間の通信経路を示す通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路(例えばVPNサーバ210を経由する通信経路)を示す場合に、印刷装置220による印刷を制限するようにした。具体的には、端末120の制御部121は、通信経路確認コマンドを実行することにより、端末120と印刷装置220との間の通信経路情報を取得する。そして端末120の制御部121は、取得した通信経路情報に、予め印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレス(例えばVPNサーバ210のIPアドレス)が含まれている場合に、印刷制限情報としての印刷拒否フラグを付加した印刷ジョブを印刷装置220に送信する。そして印刷装置220の制御部221は、印刷拒否フラグ付きの印刷ジョブを受信した場合、当該印刷ジョブの印刷を実行しないようにした。
【0043】
こうすることで、第1の実施の形態の印刷システム1では、端末120と印刷装置220がVPNサーバ210を経由してVPN接続されている場合のように特定の通信経路で接続されている場合に、印刷装置220による印刷を制限することができる。これにより、第1の実施の形態の印刷システム1では、例えば自宅の端末120からVPNサーバ210を介して会社のネットワークにVPN接続した状態で、誤って自宅の端末120から会社のネットワークにある印刷装置220に印刷指示を出してしまった場合でも、当該印刷装置220から印刷物が出力されて放置されてしまう状況を防止することができ、印刷のセキュリティを向上することができる。
【0044】
また第1の実施の形態の印刷システム1では、印刷制限経路情報D1に登録するIPアドレスを変更することにより印刷制限を行う印刷経路を変更することができるので、VPN接続に限らず、端末120と印刷装置220とがリモート接続されるような多様な環境に容易に対応することができる。また一方で、印刷制限経路情報D1にはVPNサーバのIPアドレスを登録するよう画面表示するなどして利用者に促すことで、端末120と印刷装置220とがVPN接続されている場合にのみ、印刷装置220による印刷を制限するようにしてもよい。
【0045】
また第1の実施の形態の印刷システム1では、既存のpingコマンドやtracertコマンドなどを用いて、端末120の制御部121が通信経路情報を取得するようにした。こうすることで、第1の実施の形態の印刷システム1では、通信経路情報を取得する為のハードウェアやソフトウェアを別途用意する必要がなく、システム構築に要するコストを抑えることができる。
【0046】
[2.第2の実施の形態]
つぎに第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、端末120ではなく印刷装置220が、端末120と印刷装置220との間の通信経路情報を取得し、当該通信経路情報に基づいて印刷を制限する実施の形態である。ここでは、この第2の実施の形態について、主に第1の実施の形態と異なる部分(具体的には動作)のみを説明することとし、第1の実施の形態と同一部分(具体的にはシステム構成)についての説明は適宜省略する。
【0047】
つまり、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成を有する印刷システム1(
図1参照)となっている。一方で、この第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、印刷装置220の記憶部223に印刷制限経路情報D1を記憶し、印刷装置220の制御部221が、端末120と印刷装置220との間の通信経路情報を取得し、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているIPアドレスが含まれている場合に印刷を制限する点である。
【0048】
つまり第1の実施の形態では端末120の制御部121が、通信経路情報取得部及び印刷制限部として機能するようになっていたのに対し、第2の実施の形態では印刷装置220の制御部221が、通信経路情報取得部及び印刷制限部として機能するようになっている。
【0049】
[2-1.印刷システムの動作]
ここで、第2の実施の形態による印刷システム1の動作について
図5に示すシーケンスチャートを用いて説明する。
図5に示す動作は、端末120上で生成した印刷ジョブを印刷装置220に送信する際の動作である。また端末120は、VPNサーバ210にVPN接続されていて、VPNサーバ210を介して印刷装置220と通信可能な状態であるとする。さらに印刷装置220の記憶部223には、
図2に示す印刷制限経路情報D1が記憶されているとする。尚、この印刷制限経路情報D1は、例えば、印刷装置220の表示部226に表示される設定画面上で登録できるようになっている。
【0050】
そのうえで、最初のステップSP21において、端末120の制御部121は、アプリケーション上で印刷装置220への印刷を開始する操作が行われたことに応じて、印刷処理を開始する。ここで端末120の制御部121は、アプリケーションにより生成したデータに基づいて、プリンタドライバにより印刷ジョブを生成する。つづくステップSP22において、端末120の制御部121は、印刷ジョブを印刷装置220へ送信する。
【0051】
印刷装置220の制御部221は、端末120から印刷ジョブを受信すると、この印刷ジョブを記憶部223に記憶し、ステップSP23において、端末120を宛先とする通信経路確認コマンドを実行する。つづくステップSP24において、印刷装置220の制御部221は、通信経路確認コマンドの実行結果として、端末120から印刷装置220までの通信経路を示す通信経路情報を取得する。
【0052】
つづくステップSP25において、印刷装置220の制御部221は、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれているか否かを判定する。ここで、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれている場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP25で肯定結果を得て、ステップSP26に移り、受信した印刷ジョブの印刷を拒否し(つまり実行せず)、つづくステップSP27において、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。
【0053】
一方で、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれていない場合、印刷装置220の制御部221は、上述のステップSP25で否定結果を得てステップSP28に移る。
【0054】
ステップSP28において、印刷装置220の制御部221は、受信した印刷ジョブの印刷を実行する。この場合、印刷装置220の制御部221は、例えば印刷ジョブの印刷終了後に、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。第2の実施の形態による印刷システム1の動作は、以上のようになっている。
【0055】
[2-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、情報処理装置としての端末120と、端末120から受信した印刷データとしての印刷ジョブに基づいて印刷を実行する印刷装置220を有する印刷システム1に、端末120と印刷装置220との間の通信経路を示す通信経路情報(IPアドレスのリスト)を取得する通信経路情報取得部、及び通信経路情報に基づいて印刷装置220による印刷を制限する印刷制限部として、印刷装置220の制御部221を設けた。
【0056】
つまり印刷装置220の制御部221は、端末120と印刷装置220との間の通信経路を示す通信経路情報が、予め登録されたネットワーク機器を経由する通信経路(例えばVPNサーバ210を経由する通信経路)を示す場合に、端末120から受信した印刷ジョブの印刷を実行しないようにした。具体的には、印刷装置220の制御部221は、通信経路確認コマンドを実行することにより、端末120と印刷装置220との間の通信経路情報を取得する。そして印刷装置220の制御部221は、取得した通信経路情報に、予め印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレス(例えばVPNサーバ210のIPアドレス)が含まれている場合に、端末120から受信した印刷ジョブの印刷を実行しないようにした。
【0057】
こうすることで、第2の実施の形態の印刷システム1では、端末120と印刷装置220がVPNサーバ210を経由してVPN接続されている場合のように特定の通信経路で接続されている場合に、印刷装置220による印刷を制限することができる。これにより、第2の実施の形態の印刷システム1では、第1の実施の形態と同様、例えば自宅の端末120からVPNサーバ210を介して会社のネットワークにVPN接続した状態で、誤って自宅の端末120から会社のネットワークにある印刷装置220に印刷指示を出してしまった場合でも、当該印刷装置220から印刷物が出力されて放置されてしまう状況を防止することができ、印刷のセキュリティを向上することができる。
【0058】
また第2の実施の形態の印刷システム1では、印刷装置220側で通信経路情報の取得から印刷制限までを行う為、端末120については既存の端末(つまり印刷ジョブを印刷装置220に送信できる端末)をそのまま使用することができ、システム構築に要するコストを抑えることができるようにもなっている。
【0059】
[3.第3の実施の形態]
つぎに第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、端末120と印刷装置220との間の通信経路情報に基づいて印刷を制限する際に、印刷装置220側で印刷を完全に拒否する(つまり印刷を実行しない)のではなく、印刷装置220を操作して印刷指示された場合には印刷を許可する実施の形態である。ここでは、この第3の実施の形態について、主に第1の実施の形態と異なる部分(具体的には動作)のみを説明することとし、第1の実施の形態と同一部分(具体的にはシステム構成)についての説明は適宜省略する。
【0060】
[3-1.印刷システムの動作]
ここで、第3の実施の形態による印刷システム1の動作について
図6に示すシーケンスチャートを用いて説明する。尚、
図6に示す動作は、端末120上で生成した印刷ジョブを印刷装置220に送信する際の動作である。また端末120は、VPNサーバ210にVPN接続されていて、VPNサーバ210を介して印刷装置220と通信可能な状態であるとする。さらに端末120の記憶部123には、
図2に示す印刷制限経路情報D1が記憶されているとする。
【0061】
また
図6に示すシーケンスチャートのステップSP1~ステップSP6までの動作(つまり端末120側の動作)については、第1の実施の形態と同様の為、説明を省略する。よって、ここでは、印刷装置220側の動作について説明する。
【0062】
印刷装置220の制御部221は、端末120から印刷ジョブを受信すると、この印刷ジョブを記憶部223に記憶し、ステップSP7において、この印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれているか否かを判定する。ここで、受信した印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれている場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP7で肯定結果を得てステップSP31に移る。
【0063】
ステップSP31において、印刷装置220の制御部221は、受信した印刷ジョブを自動的に印刷することは拒否し(つまり実行せず)、つづくステップSP32において、印刷ジョブを受信してから所定時間内(例えば10分以内)に、操作部225を介して、当該印刷ジョブの印刷が指示された否かを判定する。つまり、印刷装置220の制御部221は、印刷ジョブを受信してから所定時間内に印刷装置220に対してユーザが当該印刷ジョブの印刷を指示したか否かを判定する。
【0064】
尚、印刷装置220では、例えば、受信して記憶部223に記憶してあるまだ印刷していない印刷ジョブのリストを表示部226に表示させ、操作部225を介して当該リストから印刷したい印刷ジョブを選択することで、受信した印刷ジョブの印刷を指示できるようになっている。
【0065】
ここで、印刷装置220側で印刷ジョブを受信してから所定時間内に当該印刷ジョブの印刷が指示された場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP32で肯定結果を得てステップSP33に移る。尚、印刷装置220側で印刷ジョブを受信してから所定時間内に当該印刷ジョブの印刷が指示される場合として想定されるのは、例えば、自宅にいる利用者が端末120から会社のネットワークにある印刷装置220に印刷指示を出し、会社にいる代理の人が印刷装置220から出力される印刷物を受け取ってくれるような場合である。
【0066】
ステップSP33において、印刷装置220の制御部221は、受信した印刷ジョブの印刷を実行する。この場合、印刷装置220の制御部221は、例えば印刷ジョブの印刷終了後に、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。
【0067】
一方で、印刷装置220側で印刷ジョブを受信してから所定時間内に当該印刷ジョブの印刷が指示されなかった場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP32で否定結果を得てステップSP34に移る。ステップSP34において、印刷装置220の制御部221は、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。
【0068】
また一方で、受信した印刷ジョブに印刷拒否フラグが含まれていない場合、印刷装置220の制御部221は、ステップSP7で否定結果を得てステップSP10に移り、ステップSP10において、受信した印刷ジョブの印刷を実行する。この場合、印刷装置220の制御部221は、例えば印刷ジョブの印刷終了後に、記憶部223から当該印刷ジョブを削除する。この時点で一連の動作が終了する。第3の実施の形態による印刷システム1の動作は、以上のようになっている。
【0069】
[3-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第3の実施の形態の印刷システム1では、印刷装置220の制御部221が、印刷拒否フラグを付加した印刷ジョブを受信した際、当該印刷ジョブを自動的に印刷することは拒否して記憶部223に記憶し、その後、所定時間内に印刷装置220の操作部225を介して当該印刷ジョブの印刷が指示された場合に、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにした。
【0070】
つまり、第3の実施の形態の印刷システム1では、端末120と印刷装置220とが特定の通信経路で接続されている場合に、印刷装置220が端末120から印刷ジョブを受信した後、所定時間内であれば手動で印刷実行できるようにした。こうすることで、第3の実施の形態の印刷システム1では、第1の実施の形態と同様、誤って自宅の端末120から会社のネットワークにある印刷装置220に印刷指示を出してしまった場合でも、当該印刷装置220から印刷物が出力されて放置されてしまう状況を防止することができ、一方で、自宅の端末120から会社のネットワークにある印刷装置220に印刷指示を出し、会社にいる代理の人が印刷装置220から出力される印刷物を受け取るようなことも可能となる。
【0071】
かくして、第3の実施の形態の印刷システム1では、端末120と印刷装置220とが特定の通信経路で接続されている場合に、印刷のセキュリティを確保しつつ、必要な場合に印刷を実行することができる。
【0072】
尚、この第3の実施の形態では、上述したように、印刷装置220が印刷ジョブを受信した後、所定時間内に印刷装置220の操作部225を介して当該印刷ジョブの印刷が指示された場合に、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにした。ここで、この所定時間については、固定であってもよいし、端末120側又は印刷装置220側で設定できるようになっていてもよい。端末120側でこの所定時間を設定する場合、例えばプリンタドライバの設定画面上で設定し、時間情報として印刷拒否フラグとともに印刷ジョブに付加されて、印刷装置220に送信されればよい。
【0073】
[4.他の実施の形態1]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第3の実施の形態の印刷システム1では、印刷装置220が印刷拒否フラグ付きの印刷ジョブを受信した後、所定時間内に印刷装置220の操作部225を介して当該印刷ジョブの印刷が指示された場合には、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにした。第2の実施の形態の印刷システム1でも同様に、印刷装置220が印刷ジョブを受信し、取得した通信経路情報に印刷制限経路情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれていると判定した後、所定時間内に印刷装置220の操作部225を介して当該印刷ジョブの印刷が指示された場合には、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにしてもよい。
【0074】
[4-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態の印刷システム1では、端末120の制御部121が、端末120と印刷装置220との間の通信経路情報を取得し、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレス(例えばVPNサーバ210のIPアドレス)が含まれている場合に、印刷拒否フラグを付加した印刷ジョブを印刷装置220に送信することで、印刷装置220に当該印刷ジョブの印刷を実行させないようにした。
【0075】
これに限らず、端末120の制御部121が、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレスが含まれている場合に、印刷ジョブを印刷装置220に送信しないことで、印刷装置220に当該印刷ジョブの印刷を実行させないようにしてもよい。
【0076】
またこれに限らず、端末120の制御部121が、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレスが含まれている場合に、当該IPアドレスを持つネットワーク機器を経由して印刷を実行しようとしていることを警告する警告画面を、端末120の図示しない表示部に表示させるようにしてもよい。この場合、警告画面を見た利用者が印刷を実行するかしないか選択するようにすればよい。
【0077】
またこれに限らず、端末120の制御部121が、例えばアプリケーションを起動した際(もしくはアプリケーション上で印刷画面を表示した際)に、印刷先として設定されている印刷装置220までの通信経路情報を取得し、取得した通信経路情報に印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレスが含まれている場合には、例えばアプリケーションの印刷画面上に表示される印刷開始ボタンをグレーアウトするなどして操作できないように(つまり印刷開始できないように)してもよい。
【0078】
[4-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第1の実施の形態では、端末120の制御部121が、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレスが含まれている場合に、印刷制限情報としての印刷拒否フラグを付加した印刷ジョブを印刷装置220に送信するようにした。
【0079】
これに限らず、端末120の制御部121が、印刷ジョブとは別に印刷拒否フラグを印刷装置220に送信するようにしてもよい。この場合、端末120の制御部121は、例えば、アプリケーションを起動して最初の印刷ジョブを印刷装置220へ送信する前に印刷拒否フラグを印刷装置220へ送信する。印刷装置220の制御部121は、端末120から印刷拒否フラグを受信すると、これを端末120の識別情報(例えばIPアドレス)に関連付けて記憶部223に記憶し、以降、当該端末120から受信した印刷ジョブについては印刷を拒否する。このようにすれば、毎回、印刷ジョブに印刷拒否フラグを付加する必要がなくなり、端末120から印刷装置220へ送信するデータ量を削減することができる。
【0080】
またこの場合、端末120の制御部121が、例えば、印刷ジョブを所定数(例えば10個)印刷装置220へ送信するごとに印刷拒否フラグを印刷装置220へ送信したり、アプリケーションの起動中に所定時間(例えば30分)経過するごとに印刷拒否フラグを印刷装置220へ送信したりしてもよい。この場合、印刷装置220の制御部221は、例えば、端末120から印刷ジョブを所定数受信するごとに記憶部223に記憶してある印刷拒否フラグを削除したり、所定時間経過するごとに記憶部223に記憶してある印刷拒否フラグを削除したりすればよい。
【0081】
[4-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第3の実施の形態の印刷システム1では、印刷装置220の制御部221が、印刷拒否フラグを付加した印刷ジョブを受信した際、当該印刷ジョブを自動的に印刷することは拒否して記憶部223に記憶し、その後、所定時間内に印刷装置220の操作部225を介して当該印刷ジョブの印刷が指示された場合に、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにした。
【0082】
これに限らず、例えば端末120側で、印刷拒否フラグとともにパスワードを印刷ジョブに付加して印刷装置220に送信し、印刷装置220側で、当該印刷ジョブを受信した後、所定時間内(例えば10分以内)に当該印刷ジョブの印刷が指示された場合に、印刷装置220の操作部225を介してユーザにパスワードを入力させ、入力されたパスワードが当該印刷ジョブに付加されているパスワードと一致する場合に、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにしてもよい。この場合、端末120側では、例えばプリンタドライバの設定画面上でこのパスワードを設定すればよい。またこのように印刷ジョブの印刷にパスワード入力を必要とした場合、印刷を指示するまでの制限時間となる所定時間を撤廃したり第3の実施の形態よりも長く(例えば1日以内)したりしてもよい。またパスワード入力も制限時間も省略して、単純に、印刷装置220側で、受信して記憶部223に記憶してある印刷ジョブの印刷が指示された場合に、当該印刷ジョブの印刷を実行するようにしてもよい。
【0083】
またこれに限らず、例えば端末120の制御部121が、取得した通信経路情報に、印刷制限経路情報D1として登録されたIPアドレスが含まれている場合に、印刷ジョブに印刷制限情報として印刷拒否フラグの代わりに認証情報を付加して印刷装置220に送信するようにしてもよい。認証情報は、例えばユーザIDとパスワードで構成され、印刷装置220側で印刷ジョブの印刷(認証印刷)を実行する際に必要となる情報である。
【0084】
印刷装置220の制御部221は、認証情報が含まれた印刷ジョブを受信した場合、これを記憶部223に記憶する。その後、制御部221は、操作部225を介して当該印刷ジョブの印刷が指示された場合に、操作部225を介して認証情報を入力させ、入力された認証情報が当該印刷ジョブに付加されている認証情報と一致する場合に、当該印刷ジョブの印刷を実行する。尚、この場合、端末120側では、例えばプリンタドライバの設定画面上で認証情報を設定すればよい。このように、端末120と印刷装置220が特定の通信経路で接続されている場合には、自動的に認証印刷とすることで、印刷装置220による印刷を制限するようにしてもよい。
【0085】
[4-5.他の実施の形態5]
さらに上述した各実施の形態では、利用者環境100に含まれる端末120が、外部環境200に含まれるVPNサーバ210とVPN接続される印刷システム1に本発明を適用したが、これに限らず、端末(情報処理装置)が外部のネットワークに接続された印刷装置とリモート接続するような様々な印刷システムに適用することができる。例えば、利用者環境に含まれるVPN対応ルーターと、外部環境に含まれるVPN対応ルーターとの間でVPN接続するような印刷システムにも適用できる。この場合、利用者環境に含まれる端末ではVPNクライアントソフトウェアを必要としない。
【0086】
さらに上述した各実施の形態では、端末120がPCであるとしたが、これに限らず、スマートフォンやタブレットなどであってもよい。さらに上述した各実施の形態では、印刷装置220がプリンタであるとしたが、これに限らず、複合機などであってもよい。
【0087】
[4-6.他の実施の形態6]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、例えば端末が印刷装置にリモート接続する印刷システムなどで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1……印刷システム、100……利用者環境、110……ルーター、120……端末、121、221……制御部、122、222……通信部、123、223……記憶部、130、230……LAN、200……外部環境、210……VPNサーバ、220……印刷装置、224……印刷部、225……操作部、226……表示部、D1……印刷制限経路情報、Pj……印刷ジョブ、Rf……印刷拒否フラグ。