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特開2023-110418テストチャートおよびカメラ製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110418
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】テストチャートおよびカメラ製造装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20230802BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20230802BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230802BHJP
【FI】
H04N5/232
G02B7/28 Z
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011850
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】520386671
【氏名又は名称】CCTECH JAPAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】根岸 真人
【テーマコード(参考)】
2H100
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB01
2H151CA15
5C122EA55
5C122FD01
5C122FH09
5C122FH11
5C122GE11
5C122GE24
5C122GE26
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB06
5C122HB07
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】焦点位置の検出精度の低下を抑制する。
【解決手段】テストチャートは、カメラを調整するテストチャートであって、光が放射されるパターンを有する第1斜面と、光が放射されるパターンを有し、第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、第1斜面および第2斜面の間に設けられ、少なくとも第1斜面のパターンから第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを調整するテストチャートであって、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備える
テストチャート。
【請求項2】
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面のそれぞれの前記パターンから前記カメラに向かう光を遮らないように配置されている
請求項1に記載のテストチャート。
【請求項3】
前記遮光部は、板状に構成され、前記カメラで撮像したときに線状に撮像されるように配置されている
請求項1又は請求項2に記載のテストチャート。
【請求項4】
前記第1斜面および前記第2斜面のそれぞれの前記パターンは、各斜面の傾斜方向に沿って直線状に延在する少なくとも1つの境界線を有し、
前記斜面が前記カメラの光軸に対して傾斜し、且つ、前記カメラが撮像したときに前記境界線と前記カメラの画素配列方向とが非平行となるように配置され、
前記遮光部は、前記第1斜面の前記パターンからの光が前記第2斜面の前記境界線に重なることを抑制するよう配置されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテストチャート。
【請求項5】
所定の高さに設けられ、前記カメラの光軸を中心として放射状に配置された複数の稜線を備え、
前記第1斜面は、前記複数の稜線のうちの第1稜線から傾斜し、
前記第2斜面は、前記第1稜線に隣り合う第2稜線から傾斜し、前記第1斜面に接している
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のテストチャート。
【請求項6】
前記第1斜面および前記第2斜面のいずれか一方を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックに向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテストチャート。
【請求項7】
カメラを調整するテストチャートであって、
斜面を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックの前記斜面に向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
テストチャート。
【請求項8】
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜する少なくとも前記第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、少なくとも前記第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテストチャート。
【請求項9】
カメラを調整するテストチャートであって、
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
前記外側ブロックと前記近隣ブロックとの間で光を遮断する遮光部と、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜し、光が放射されるパターンを有する少なくとも第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、光が放射されるパターンを有し前記第1斜面に隣り合って配置された少なくとも第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
テストチャート。
【請求項10】
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備える
カメラ製造装置。
【請求項11】
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
斜面を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックの前記斜面に向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
カメラ製造装置。
【請求項12】
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
前記外側ブロックと前記近隣ブロックとの間で光を遮断する遮光部と、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜し、光が放射されるパターンを有する少なくとも第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、光が放射されるパターンを有し前記第1斜面に隣り合って配置された少なくとも第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
カメラ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストチャートおよびカメラ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のパターンを有するチャートを用い、光学系と撮像素子との位置を調整することで、カメラを製造する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-165623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、焦点位置の検出精度の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
カメラを調整するテストチャートであって、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備える
テストチャートが提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
カメラを調整するテストチャートであって、
斜面を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックの前記斜面に向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
テストチャートが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
カメラを調整するテストチャートであって、
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
前記外側ブロックと前記近隣ブロックとの間で光を遮断する遮光部と、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜し、光が放射されるパターンを有する少なくとも第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、光が放射されるパターンを有し前記第1斜面に隣り合って配置された少なくとも第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
テストチャートが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備える
カメラ製造装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
斜面を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックの前記斜面に向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
カメラ製造装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
前記外側ブロックと前記近隣ブロックとの間で光を遮断する遮光部と、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜し、光が放射されるパターンを有する少なくとも第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、光が放射されるパターンを有し前記第1斜面に隣り合って配置された少なくとも第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
カメラ製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、焦点位置の検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るテストチャートを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るテストチャートを示す平面図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係るテストチャートの1つの3Dブロックを示す平面図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係るテストチャートをカメラで撮像した画像の拡大図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るカメラ製造装置を示す概略構成図である。
図5】カメラ製造装置に配置されるカメラを示す概略構成図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る制御部を示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るカメラの製造方法を示すフローチャートである。
図8A】テストチャートにおける1つのパターンを拡大した図である。
図8B】評価領域を示す画像である。
図9】第1実施形態における補正画素数に対する明るさの対応関係を示す図である。
図10】各評価領域における補間曲線を周波数解析した図である。
図11】境界線の位置に対するピーク空間周波数の対応関係を示す図である。
図12】本発明の第2実施形態に係るテストチャートを示す斜視図である。
図13】本発明の第3実施形態に係るテストチャートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
<発明者の得た知見>
まず、発明者の得た知見について説明する。
【0014】
本発明者は、カメラを精度よく調整するため、テストチャートとして3次元構造を有するチャートを検討した。
【0015】
検討したテストチャートは、例えば、3次元構造として、光が放射されるパターンをそれぞれ有する複数の斜面を備えるものである。各斜面に設けられたパターンをカメラによって撮像することで、カメラの焦点位置を精度よく検出することができる。
【0016】
しかしながら、複数の斜面のうち、第1斜面におけるパターンから放射された光が、隣り合う第2斜面におけるパターンに重なることがあった。この場合、当該第1斜面からの光は、第2斜面のパターンの検出において、不要なノイズとなっていた。例えば、当該第1斜面からの光が第2斜面のパターンに重なった画像領域では、最適な焦点位置の検出が困難となっていた。或いは、例えば、第1斜面からの光が第2斜面に照射された部分において、焦点位置を誤検出するおそれがあった。これらの結果、カメラの焦点位置の検出精度が低下するおそれがあった。
【0017】
このような焦点位置の検出精度の低下は、例えば、テストチャートが小さいほど、生じやすくなる。
【0018】
以下の本発明は、発明者等が見出した上記新規課題に基づくものである。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<本発明の第1実施形態>
(1)テストチャート
本実施形態に係るテストチャート10について、図1図2を用いて説明する。なお、図2において支持板190は省略している。
【0021】
なお、以下において、テストチャート10がカメラ製造装置1内に配置されたときのカメラ20を基準として、光学系220の光軸方向を「Z方向」といい(テストチャート10からカメラ20に向けて+とする)、光学系220の光軸に直交する撮像素子240の画素配列方向のうちの1方向を「X方向」といい、光学系220の光軸に直交する撮像素子240の画素配列方向のうちのX方向に直交する他方向を「Y方向」ということがある。また、Z方向を軸とした回転方向を「θ方向」といい、X方向を軸とした回転方向を「θ方向」といい、Y方向を軸とした回転方向を「θ方向」ということがある。
【0022】
図1および図2に示すように、本実施形態のテストチャート10は、例えば、3次元構造(立体構造)を備えている。テストチャート10は、例えば、カメラ20における光学系220と撮像素子240との位置を調整するために用いられるパターン160を斜面140に有している。
【0023】
具体的には、本実施形態のテストチャート10は、例えば、支持板190と、3次元ブロック(3Dブロック)110と、遮光部150と、を有している。
【0024】
[支持板]
支持板190は、例えば、板状部材として構成され、3Dブロック110を支持するよう構成されている。支持板190は、例えば、外からの光、例えば部屋の照明光が入らないようにするため、黒く塗装したアルミ合金からなっている。平面視での支持板190の形状は、例えば、四角形(長方形)である。
【0025】
支持板190は、後述のカメラ製造装置1においてチャート支持部310に支持(固定)されるよう構成されている。支持板190は、例えば、チャート支持部310の所定位置に固定される被固定部(不図示)を有していてもよい。被固定部としては、例えば、ボルトが挿通される貫通孔などが挙げられる。
【0026】
[各3Dブロックの構成]
3Dブロック110は、例えば、支持板190上に設けられ、3次元構造を有している。本実施形態の3Dブロック110は、例えば、錐体として構成されている。3Dブロック110が構成する錐体としては、例えば、多角錐(三角錐、四角錐など)、または円錐などが挙げられる。本実施形態では、3Dブロック110は、例えば、四角錐(正四角錐)として構成されている。
【0027】
本実施形態の3Dブロック110は、例えば、底面(不図示)と、頂点120と、斜面140と、を有している。
【0028】
3Dブロック110の底面は、例えば、支持板190の上面に接し、支持板190に対して固定されている。本実施形態では、底面の形状は、例えば、4つの直交する底辺を有する正方形である。
【0029】
頂点120は、例えば、支持板190から所定の高さに設けられている。
【0030】
斜面140は、例えば、底辺と頂点120とを繋ぎ、底面の法線方向に対して傾斜して設けられている。例えば、当該斜面140が、調整対象のカメラ20の光学系220の光軸に対して傾斜するように、テストチャート10が後述のチャート支持部310に支持される。
【0031】
本実施形態では、斜面140は、例えば、4つ設けられている。4つの斜面140は、例えば、頂点120を挟んで相反する傾斜方向に向けて傾斜している。本実施形態では、4つの斜面140のそれぞれの形状は、例えば、二等辺三角形となっている。
【0032】
斜面140は、例えば、光が放射されるパターン160を有している。ここでいう「パターン160」とは、カメラ20が撮像可能な図柄または模様などのことを意味する。また、ここでいう「光が放射されるパターン160」とは、3Dブロック110の底面側からの光がパターン160を透過して放射される場合と、カメラ20側から3Dブロック110に照射された光がパターン160によって反射して放射される場合と、を含んでいる。なお、本実施形態でのパターン160は、例えば、前者とする。また、「光が放射される」とは、例えば、3Dブロック110を除く全方位に光が放射されることを意味する。
【0033】
本実施形態では、例えば、複数の斜面140のそれぞれが、パターン160を有している。複数のパターン160は、例えば、頂点120側からそれぞれ異なる傾斜方向に沿って連続的に延在している。パターン160が斜面140に沿って連続していることで、連続したパターン160上でカメラ20の焦点位置(後述の暫定焦点位置)を精度よく検出することができる。また、複数のパターン160が異なる傾斜方向に沿って延在していることで、複数のパターン160の検出結果の相関に基づいて、カメラ20の最適焦点位置を検出することができる。
【0034】
本実施形態の各3Dブロック110では、複数のパターン160は、例えば、カメラ20の光学系220の光軸方向に頂点120の上方(直上)から見たときに(実空間で目視したときに、すなわち設計上では)頂点120を中心として点対称となるように設けられている。これにより、頂点120に対して点対称な各パターン160の検出結果に基づいて、カメラ20の焦点位置をバランスよく検出することができる。
【0035】
なお、カメラ20によって撮像した画像内では、複数のパターン160は、必ずしも点対称とならないことがある。例えば、調整前のカメラ20の光学系220の向きが正面に向いていない影響、または光学系220の歪曲収差の影響などが考えられる。
【0036】
本実施形態では、斜面140は、パターン160として、例えば、少なくとも1つの境界線162を有している。境界線162は、例えば、色、濃淡および明るさのうち少なくともいずれかの境界を形成している。また、境界線162は、例えば、該斜面140の傾斜方向に沿って直線状に延在している。
【0037】
本実施形態では、斜面140のそれぞれは、例えば、複数の境界線162を有している。具体的には、斜面140は、例えば、黒色の素地面に対して開設されたスリット(線状開口)を有している。すなわち、スリットを介して光が放射される。また、スリットの両辺が、境界線162a,162bを構成している。
【0038】
[3Dブロックの種類]
本実施形態では、3Dブロック110は、例えば、複数設けられている。複数の3Dブロック110は、例えば、中央ブロック110aと、4つの外側ブロック110bと、を有している。なお、以下において、隣り合う3Dブロック110を「近隣ブロック」ということがある。
【0039】
中央ブロック110aは、例えば、正四角錐として構成されている。中央ブロック110aは、例えば、カメラ20の視野の中央、すなわち、支持板190の中央に配置されている。
【0040】
外側ブロック110bは、例えば、カメラ20の視野の中央から離れた位置、すなわち、支持板190の中央から離れた位置に配置されている。本実施形態では、4つの外側ブロック110bが、それぞれ、支持板190の4つの角部付近に配置されている。
【0041】
本実施形態では、外側ブロック110bは、例えば、四角錐として構成されているが、正四角錐から変形した形状を有している。
【0042】
具体的には、図1に示すように、外側ブロック110bの頂点120は、支持板190の中央側に偏った位置に設けられている。
【0043】
一方で、図2に示すように、カメラ20が撮像したときに頂点120が該外側ブロック110bの中心に位置するように、テストチャート10が配置される。つまり、カメラ20の光学系220に歪曲収差が生じていても、実空間で外側ブロック110bの頂点120が支持板190の中央側に偏った位置に設けられていることで、頂点120が該外側ブロック110bの中心に位置するように、テストチャート10が配置される。
【0044】
[遮光部]
図1および図2に示すように、本実施形態では、第1斜面140と、第1斜面140に隣り合う第2斜面140との間に、遮光部150が設けられている。遮光部150は、例えば、少なくとも第1斜面140のパターン160から第2斜面140に向かう光を遮断するよう構成されている。
【0045】
ここでいう「隣り合う第1斜面140および第2斜面140」とは、互いに非平行で、且つ、遮光部150以外の部材を介さずに近い距離で配置されていることを意味する。言い換えれば、第1斜面140および第2斜面140は、遮光部150が無い状態であれば、各パターン160からの光が他方の斜面140に入射しうるよう配置されていることを意味する。
【0046】
このように、遮光部150が設けられていることで、第1斜面140のパターン160から放射される光が、第2斜面140のパターン160に重なる(混同する)ことを抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、遮光部150は、例えば、外側ブロック110bと、外側ブロック110bに隣り合う近隣ブロックとしての3Dブロック110との間で光を遮断するよう、設けられている。具体的には、中央ブロックB1と外側ブロックB2~B5のそれぞれとの間、外側ブロックB2と外側ブロックB5との間、外側ブロックB3と外側ブロックB4との間に、遮光部150(それぞれS2、S3、S5、S6、S1およびS4)が設けられている。このような構成により、各外側ブロック110bの斜面140から近隣ブロックの斜面140に向かう光と、中央ブロック110aの斜面140から近隣ブロックとしての外側ブロック110bの斜面140に向かう光と、を各遮光部150により遮断することができる。
【0048】
また、本実施形態では、遮光部150は、例えば、第1斜面140および第2斜面140のそれぞれのパターン160からカメラ20に向かう光を遮らないように配置されている。具体的には、遮光部150は、例えば、板状に構成され、カメラ20で撮像したときに線状に撮像されるように配置されている。つまり、遮光部150は、実空間で支持板190の法線に対して斜めに配置されることがある。このような構成により、遮光部150を配置しつつ、各パターン160における焦点位置の検出を安定的に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、遮光部150は、例えば、反射を抑制する表面を有している。具体的には、遮光部150は、反射防止膜を表面に有している。これにより、遮光部150に起因した光の乱反射を抑制することができる。
【0050】
[画像内での境界線の配置]
ここで、図3Aおよび図3Bを参照し、調整対象のカメラ20が撮像した画像における境界線162の配置について説明する。
【0051】
図3Bに示すように、本実施形態では、カメラ20が撮像したときに境界線162と撮像素子240の画素配列方向とが非平行となるように、テストチャート10が配置される。言い換えれば、カメラ20が撮像したときに境界線162と撮像素子240の画素配列方向とが交差するように、テストチャート10が配置される。これにより、画素ピッチよりも細かいピッチで、画素の指標値の変化を検出することができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、カメラ20が撮像したときに境界線162が撮像素子240の画素配列方向に対して直線状に傾くように、テストチャート10が配置される。
【0053】
画素配列方向に対する境界線162の傾斜角度αは、例えば、0.02rad超である。これにより、50列の画素のデータを補間して、1ピクセル相当の指標値を評価することができる。ただし、実際には、後述の評価領域ERの列数を増やすと、画像横方向の分解能、すなわち焦点位置のZ方向の分解能が悪くなる傾向がある。すなわち、補間精度が向上するほど、画像横方向の分解能が悪化する傾向がある。そのため、実際には、評価領域ERの列数を、10列以上30列以下としている。
【0054】
一方で、画素配列方向に対する境界線162の傾斜角度αは、例えば、約0.79rad(45°)以下である。これにより、1画素より細かい指標値の変化を精度良く把握することができる。
【0055】
ここで、カメラ20が撮像したときには、光学系220の歪曲収差の影響を受けることが考えられる。
【0056】
しかしながら、本実施形態では、カメラ20が撮像したときに、光学系220の歪曲収差のみに起因したずれよりも大きく、境界線162が撮像素子240の画素配列方向に対してずれるように、テストチャート10が配置される。つまり、カメラ20が撮像したときの画素配列方向に対する境界線162のずれは、例えば、光学系220の歪曲収差起因成分と、撮像素子240の画素配列方向に対して直線状に傾く成分(直線傾斜成分ともいう)と、を有することとなる。
【0057】
また、カメラ20が撮像したときには、結像倍率の違いに起因して、カメラ20に近い側のスリットの幅が、底辺側のスリットの幅よりも広くなる。このため、1つのスリットにおいて、一方の境界線162aと他方の境界線162bとが互いに非平行となる。しかしながら、上述の結像倍率の違いに起因した影響を考慮したうえでも、画像内で、境界線162a,162bのそれぞれと画素配列方向とが交差していることが好ましい。
【0058】
このような画像内での配置が得られる実空間でのテストチャート10の配置としては、例えば、3Dブロック110の4つの底辺のそれぞれが支持板190の4辺(撮像素子240の直交する画素配列方向に相当)のいずれかに平行になっている。これに対して、斜面140のそれぞれにおける境界線162は、平面視で4つの底辺のいずれかの延在方向に対して所定の角度αで傾いている。
【0059】
本実施形態では、上述の境界線162が底辺に対して傾いた構成に起因して、各3Dブロック110の斜面140におけるパターン160が、近隣ブロックに近づくように配置されている。このような構成であっても、遮光部150が設けられていることで、所定の斜面140の傾いたパターン160から放射される光が、近隣ブロックのパターン160に重なる(混同する)ことを抑制することができる。
【0060】
(2)カメラ製造装置
次に、本実施形態に係るカメラ製造装置1について、図1図6を用いて説明する。
【0061】
図4に示すように、本実施形態のカメラ製造装置1は、例えば、テストチャート10の検出結果に基づいて、カメラ20における光学系220と撮像素子240との相対的な位置を調整するよう構成されている。具体的には、カメラ製造装置1は、例えば、チャート支持部310と、リレーレンズ320と、カメラ支持部340と、カメラ調整機構360と、カメラ固定部380と、制御部400と、を有している。
【0062】
(カメラ)
ここで、図5を用い、カメラ製造装置1で調整されるカメラ20について説明する。図5に示すように、カメラ20は、例えば、光学系220と、オートフォーカス機構(不図示)と、撮像素子240と、回路基板260と、コネクタ280と、を有している。
【0063】
光学系220は、例えば、少なくとも1つのレンズを含むレンズ群(不図示)と、レンズバレル(不図示)と、を有している。レンズバレルは、レンズ群を一体として支持している。
【0064】
オートフォーカス機構は、例えば、レンズ群を支持するレンズバレルを光軸に沿って移動可能に構成されている。オートフォーカス機構としては、例えば、ボイスコイルモータなどのアクチュエータなどが挙げられる。
【0065】
撮像素子240は、例えば、固体イメージセンサとして構成されている。撮像素子240としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などが挙げられる。
【0066】
撮像素子240は、例えば、光学系220の光軸に対して直交し、且つ、光学系220を介して結像される位置に配置される。当該撮像素子240と光学系220との相対的な位置が、カメラ製造装置1により調整される。
【0067】
回路基板260は、例えば、撮像素子240を搭載し、撮像素子240およびオートフォーカス機構を駆動するよう構成されている。回路基板260上の撮像素子240の周辺には、光学系220を固定するための接着剤262が塗布される。
【0068】
コネクタ280は、カメラ20が搭載される携帯電話などに接続可能に構成されている。なお、カメラ製造装置1においても、コネクタ280を介してカメラ20が接続されることとなる。
【0069】
(チャート支持部)
チャート支持部310は、例えば、テストチャート10を支持するよう構成されている。
【0070】
本実施形態のチャート支持部310は、例えば、斜面140が光学系220の光軸に対して傾斜し、且つ、カメラ20が撮像したときに境界線162と撮像素子240の画素配列方向とが非平行となるように、テストチャート10を支持するよう構成されている。チャート支持部310は、例えば、上述の配置でテストチャート10をネジ締結するよう構成されている。
【0071】
なお、チャート支持部310は、例えば、テストチャート10を光軸方向に位置調節可能に構成されていてもよい。具体的には、例えば、送りねじにより、テストチャート10を光軸方向に±50mm程度、移動可能になっていてもよい。
【0072】
チャート支持部310は、例えば、チャート光源312を有している。チャート光源312は、例えば、テストチャート10の裏面側に配置され、各3Dブロック110の内側から光を照射し、それぞれの斜面140のパターン160から光を透過させるように構成されている。本実施形態では、チャート光源312は、全ての3Dブロック110に同時に光を照射し、全てのパターン160から光を透過させるように構成されている。
【0073】
なお、カメラ製造装置1の側面は、不透明なアクリル板または暗幕で覆われ、遮光されていることが好ましい。
【0074】
(リレーレンズ)
リレーレンズ320は、例えば、テストチャート10の像を撮像素子240の位置に結像するよう構成されている。リレーレンズ320は、例えば、凸レンズとして構成されている。このような構成により、カメラ製造装置1内の物像間距離を短くすることができる。
【0075】
(カメラ支持部)
カメラ支持部340は、例えば、テストチャート10を撮像可能な位置に、光学系220および撮像素子240を有するカメラ20の少なくとも一部を支持するよう構成されている。本実施形態では、カメラ支持部340は、例えば、撮像素子240、回路基板260およびコネクタ280を支持するよう構成されている。
【0076】
カメラ支持部340には、カメラ20のコネクタ280が接続される。これにより、カメラ製造装置1において撮像素子240によりテストチャート10を撮像することができる。
【0077】
(カメラ調整機構)
カメラ調整機構360は、例えば、カメラ20の焦点位置に基づいて、光学系220および撮像素子240の相対的な位置を調整するよう構成されている。
【0078】
具体的には、カメラ調整機構360は、例えば、Z方向、X方向、Y方向、θ方向、θ方向およびθ方向に光学系220を調整可能に構成されている。さらに、カメラ調整機構360は、例えば、撮像素子240を支持するカメラ支持部340をX方向およびY方向に調整可能に構成されていてもよい。
【0079】
(カメラ固定部)
カメラ固定部380は、例えば、光学系220と撮像素子240とを固定するよう構成されている。具体的には、カメラ固定部380は、例えば、紫外線を出射する光源として構成されている。例えば、カメラ固定部380からの紫外線を回路基板260上の接着剤262に向けて照射し、接着剤262を硬化させることで、光学系220と撮像素子240とを固定することができる。
【0080】
(制御部)
制御部400は、例えば、カメラ製造装置1の各部を制御し、カメラ20が撮像したテストチャート10の画像に基づいて、カメラ20を調整するよう構成されている。
【0081】
具体的には、図5に示すように、制御部400は、コンピュータとして構成され、例えば、CPU(Central Processing Unit)410と、RAM(Random Access Memory)420と、記憶装置430と、I/Oポート440と、入力部450と、表示部460と、を有している。RAM420、記憶装置430、およびI/Oポート440は、CPU410とデータ交換可能に構成されている。
【0082】
I/Oポート440は、例えば、チャート光源312、カメラ支持部340、カメラ調整機構360、およびカメラ固定部380に接続されている。なお、I/Oポート440は、カメラ支持部340を介してカメラ20の撮像素子240に接続されている。
【0083】
記憶装置430は、例えば、カメラ20の焦点検出に係るプログラム、カメラ調整機構360を制御するプログラム、テストチャート10の画像などを記憶するよう構成されている。記憶装置430は、例えば、HDD(Hard disk drive)またはSSD(Solid State Drive)などである。
【0084】
RAM420は、CPU410によって記憶装置430から読み出されるプログラムや情報等が一時的に保持されるよう構成されている。
【0085】
CPU410は、記憶装置430に格納された所定のプログラムを実行することで、画像解析部、カメラ調整制御部として機能するように構成されている。
【0086】
画像解析部は、例えば、テストチャート10を撮像した画像を解析し、カメラ20の焦点位置を検出するよう構成されている。
カメラ調整制御部は、例えば、カメラ20の焦点位置に基づいて、光学系220および撮像素子240の相対的な位置を調整するよう、カメラ調整機構360を制御するよう構成されている。
上述の各部によるカメラ製造方法については、詳細を後述する。
【0087】
上述の各部を実現するための所定プログラムは、例えば、制御部400が構成するコンピュータにインストールして用いられる。プログラムは、例えば、そのインストールに先立ち、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。或いは、プログラムは、例えば、制御部400と接続する通信回線(光ファイバ等)を通じて当該コンピュータへ提供されるものであってもよい。
【0088】
表示部460は、例えば、テストチャート10の画像や解析結果などを表示するよう構成されている。表示部460は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(OLED)ディスプレイなどである。
【0089】
入力部450は、例えば、ユーザが所定の操作を行う情報を制御部400に入力可能に構成されている。入力部450は、例えば、マウス、キーボードなどである。
【0090】
なお、表示部460および入力部450は、タッチパネル等により両者を兼ねて構成されていてもよい。
【0091】
(3)カメラの製造方法
次に、図1図11を参照し、本実施形態のカメラの製造方法について説明する。
【0092】
図7に示すように、本実施形態のカメラの製造方法は、例えば、準備工程S100と、撮像工程S200と、画像解析工程S300と、焦点誤差算出工程S400と、焦点位置判定工程S520と、カメラ位置調整工程S540と、カメラ固定工程S600と、を有している。準備工程S100よりも後の各工程は、制御部400により処理または制御される。
【0093】
(S100:準備工程)
まず、本実施形態のテストチャート10を準備する。
【0094】
このとき、チャート支持部310によりテストチャート10を支持する。テストチャート10を配置したら、チャート光源312を起動し、テストチャート10に光を照射する。また、チャート光源312から全ての3Dブロック110に同時に光を照射し、全てのパターン160から光を透過させる。
【0095】
また、調整対象のカメラ20をカメラ製造装置1に配置する。
【0096】
このとき、例えば、テストチャート10を撮像可能な位置に、カメラ20の少なくとも一部をカメラ支持部340により支持し、光学系220および撮像素子240の少なくとも一部をカメラ調整機構360に配置する。
【0097】
(S200:撮像工程)
次に、上述のカメラ20を用い、テストチャート10を撮像することで、テストチャート10の画像を取得する。
【0098】
このとき、一度に、全ての3Dブロック110のパターン160を撮像する。また、このとき、例えば、上述のテストチャート10の配置により、画像内では、テストチャート10の境界線162と画素配列方向とが非平行となっている。
【0099】
(S300:画像解析工程)
次に、テストチャート10を撮像した画像を解析し、カメラ20の焦点位置を検出する。
【0100】
本実施形態では、例えば、テストチャート10を撮像した画像において、境界線162の検出結果に基づいて、カメラ20の焦点位置を検出する。
【0101】
図8Aに示すように、テストチャート10の画像内で、境界線162と交差した複数の画素を含む評価領域ERを選択する。このとき、例えば、境界線162の延在方向に沿って位置が異なる複数の評価領域ERを選択する。また、このとき、図8Bに示すように、評価領域ERとして、例えば、境界線162と交差する複数の画素列を選択する。
【0102】
次に、評価領域ER内の各画素において、画素の色、濃淡および明るさのうち少なくともいずれかの指標値(画素値)を取得する。
【0103】
また、図8Bの評価領域ER内の各画素において、評価領域ERの角部を通り境界線162に平行な基準線から起算した補正画素数d’を求める。境界線162は画素配列方向に対して角度αで傾斜していることから、補正画素数d’は、以下の式(1)により求められる。
d’=d+ntanα ・・・(1)
ただし、dは、評価領域ERの一端から評価領域ER内で境界線162と交差する画素配列方向(評価領域ERの長手方向、図縦方向)への画素数(画素行数)(単位pixel)である。nは、評価領域ERの画素列数である。
【0104】
これらの結果に基づき、図9に示すように、評価領域ER内の各画素において、補正画素数d’に対する画素の指標値の対応関係を取得する。なお、図9の縦軸は、例えば、指標値としての明るさ(輝度)である。
【0105】
このとき、本実施形態では、横軸を、評価領域ERの角部を通り境界線162に平行な基準線から起算した補正画素数d’とすることで、評価領域ERの列1本ごとに、補正画素数d’がtanαだけずれた指標値を得ることができる。tanα≦1、すなわち、α≦0.79rad(45°)とすることで、各画素の指標値を画素ピッチよりも短いピッチでプロットすることができる。つまり、サンプリングピッチを仮想的に短くすることが可能となる。その結果、境界線162と交差する方向において、1画素より細かい指標値の変化を精度よく把握することが可能となる。
【0106】
次に、図9に示すように、評価領域ER内の補正画素数d’と画素の指標値との対応関係としての離散的データを補間することで、補間曲線(補間関数)ICを取得する。
【0107】
次に、補間曲線ICを周波数解析(フーリエ変換)することで、図10の1つの曲線として示すように、空間周波数に対する周波数応答(SFR:Spatial Frequency Response)の曲線を取得する。
【0108】
以上のようにして、境界線162の延在方向に沿って位置が異なる複数の評価領域ERにおいて、一連の工程を行う。
【0109】
これにより、図10に示すように、全ての評価領域ERのそれぞれにおいて周波数応答曲線が得られる。
【0110】
このとき、本実施形態では、例えば、複数の評価領域ERのなかで、補正画素数d’に対する指標値の変化が最も急である評価領域ER内の位置を暫定焦点位置として検出する。
【0111】
具体的には、図10に示すように、各評価領域ERにおいて、所定の基準(Criteria)以上の周波数応答を有する空間周波数の最大値を、「最適空間周波数(Best
Frequency)」として求める。
【0112】
次に、図11に示すように、境界線162に沿った方向の各評価領域ERの中心位置(L)に対する、最適空間周波数の対応関係を取得し、最も高い空間周波数をピーク空間周波数として求める。当該ピーク空間周波数が得られた位置を、境界線162における暫定焦点位置として特定する。
【0113】
暫定焦点位置を特定したら、画像において、境界線162の下端から境界線162に沿った方向に暫定焦点位置までの距離Lに基づいて、実空間での暫定焦点位置の座標(3次元座標)Bmn1(X,Y,Z)を求める。
【0114】
次に、所定の境界線162において暫定焦点位置を求めたら、テストチャート10が有する全ての境界線162について同様の工程を行う。
【0115】
(S400:焦点誤差算出工程)
全ての境界線162について画像解析工程S300が終了したら、図3Aに示すように、全ての境界線162のそれぞれにおいて暫定焦点位置(座標B111~B142)が得られる。
【0116】
このとき、本実施形態では、例えば、複数の境界線162の検出結果の相関に基づいて、カメラ20の最適焦点位置Bを検出する。
【0117】
以上のようにして、カメラ20の最適焦点位置の座標Bを求めたら、最適焦点位置の座標Bに基づいて、カメラ20の焦点面の傾斜角度θ、θと、焦点面の中心位置の座標(C,C,C)を求める。
【0118】
このようにしてカメラ20の焦点面の傾斜角度θ、θと、焦点面の中心位置の座標(C,C,C)を求めたら、それぞれの値と目標値との誤差を計算する。なお、このようにして求められる誤差を以下では「焦点誤差」ともいう。
【0119】
(S520:焦点位置判定工程)
焦点誤差を求めたら、カメラ20の焦点位置が良好か否かを判定する。具体的には、例えば、上述の焦点誤差が予め設定した許容値以下であるか否かを判定する。
【0120】
(S540:カメラ位置調整工程)
カメラ20の焦点位置が良好でない場合には(すなわち、焦点誤差が許容値よりも大きい場合、S520でNo)、当該カメラ20の焦点位置に基づいて、光学系220および撮像素子240の相対的な位置をカメラ調整機構360により調整する。
【0121】
具体的には、例えば、上述の焦点誤差が0(ゼロ)になるように、Z方向、X方向、Y方向、θ方向、θ方向およびθ方向に光学系220を調整する。
【0122】
カメラ20の調整後は、撮像工程S200以降の工程を再度行う。
【0123】
(S600:カメラ固定工程)
一方で、カメラ20の焦点位置が良好である場合には(すなわち、焦点誤差が予め設定した許容値以下である場合、S520でYes)、カメラ固定部380により、光学系220と撮像素子240とを固定する。
【0124】
以上により、本実施形態のカメラ製造工程を終了する。
【0125】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0126】
(a)本実施形態では、第1斜面140と、第1斜面140に隣り合う第2斜面140との間に、遮光部150が設けられている。遮光部150は、例えば、少なくとも第1斜面140のパターン160から第2斜面140に向かう光を遮断するよう構成されている。これにより、第1斜面140のパターン160から放射された光が、第2斜面140のパターン160に重なることを抑制することができる。
【0127】
これにより、第2斜面140のパターン160において、第1斜面140のパターン160から放射された光の重なりを受けずに、最適な焦点位置の検出を安定的に行うことができる。また、第1斜面140からの光が第2斜面140に照射された部分における焦点位置の誤検出を抑制することができる。
【0128】
これらの結果、本実施形態では、カメラ20の焦点位置の検出精度の低下を抑制することが可能となる。
【0129】
(b)本実施形態では、複数の3Dブロック110における全てのパターン160を撮像した画像に基づいて、カメラ20の焦点位置を早期に検出することができる。
【0130】
ここで、上述したような斜面140同士のパターン160の光が重なる課題は、3Dブロック110毎に光を照射し、斜面140ごとにパターン160の画像を取得すれば解消される可能性がある。しかしながら、3Dブロック110毎の光照射による画像取得および解析を行うと、当該3Dブロック110の個数などに比例して、測定および解析に係る時間が長くなってしまう。
【0131】
これに対し、本実施形態では、複数の3Dブロック110における全てのパターン160を一度撮像した画像において、斜面140同士のパターン160の光の重なりを抑制することができる。これにより、パターン160の光の重なりが抑制された1つの画像のみに基づいて、検出精度の低下を抑制しつつ、カメラ20の焦点位置を早期に検出することができる。つまり、焦点位置の検出精度の低下抑制と、焦点位置の検出時間の短縮とを両立させることが可能となる。
【0132】
(c)本実施形態では、遮光部150は、例えば、第1斜面140および第2斜面140のそれぞれのパターン160からカメラ20に向かう光を遮らないように配置されている。これにより、カメラ20が当該パターン160を撮像したときに、遮光部150に起因したパターン160の欠損を抑制することができる。その結果、遮光部150を配置しつつ、パターン160の全体を用いて最適な焦点位置の検出を安定的に行うことができる。
【0133】
さらに、本実施形態では、遮光部150は、板状に構成され、カメラ20で撮像したときに線状に撮像されるように配置されている。これにより、遮光部150に起因したパターン160の欠損をより安定的に抑制することができる。
【0134】
(d)本実施形態では、外側ブロック110bは、カメラ20が撮像したときに頂点120が該外側ブロック110bの中心に位置するように配置されている。遮光部150は、外側ブロック110bの斜面140から近隣ブロックの斜面140に向かう光を遮断するよう設けられている。
【0135】
ここで、外側ブロック110bが上述のように配置されていると、実空間で外側ブロック110bの頂点120が支持板190の中央側に偏った位置に設けられる。当該外側ブロック110bの形状に起因して、外側ブロック110bの少なくとも1つの斜面140が、支持板190に対して垂直に近く配置されることとなる。このため、外側ブロック110bの垂直に近い斜面140からの光が、近隣ブロックの斜面140に向かい易くなり、近隣ブロックのパターン160に重なり易くなる。
【0136】
また、外側ブロック110bの形状に起因して、外側ブロック110bの少なくとも1つの斜面140の面積が広くなり、当該斜面140におけるパターン160が大きくなる。このため、外側ブロック110bの広い斜面140からの光が、近隣ブロックの斜面140に向けて照射され易くなり、近隣ブロックのパターン160に重なり易くなる。
【0137】
これに対し、本実施形態では、外側ブロック110bと近隣ブロックとの間に遮光部150が設けられていることで、外側ブロック110bの垂直に近い斜面140から、近隣ブロックの斜面140に向かう光を遮断することができる。また、外側ブロック110bの広い斜面140からの光が、近隣ブロックの斜面140に照射されることを抑制することができる。
【0138】
これらの結果、外側ブロック110bの形状に起因してパターン160の光の重なりが生じやすい状況下であったとしても、カメラ20の焦点位置の検出精度の低下を安定的に抑制することが可能となる。
【0139】
(e)本実施形態では、斜面140が光学系220の光軸に対して傾斜し、且つ、カメラ20が撮像したときに境界線162と撮像素子240の画素配列方向とが非平行となるように、テストチャート10が配置される。これにより、評価領域ERの列1本ごとに、補正画素数d’がtanαだけずれた指標値を得ることができる。tanα≦1、すなわち、α≦0.79rad(45°)とすることで、各画素の指標値を画素ピッチよりも短いピッチでプロットすることができる。つまり、サンプリングピッチを仮想的に短くすることが可能となる。その結果、境界線162と交差する方向において、1画素より細かい指標値の変化を精度よく把握することが可能となる。
【0140】
このように、境界線162と交差する方向の指標値の変化を精度よく把握することで、境界線162における焦点位置(上述の暫定焦点位置)を精度よく検出することができる。その結果、カメラ20における光学系220と撮像素子240との相対的な位置を精度よく調整することが可能となる。
【0141】
(f)本実施形態では、境界線162が画素配列方向に非平行となったテストチャート10において、遮光部150は、第1斜面140のパターン160からの光が、隣り合う第2斜面140の境界線162に重なることを抑制するよう配置されている。
【0142】
ここで、境界線162が画素配列方向に非平行となっていると、上述のように、当該境界線162が3Dブロック110の底辺に対して傾いて配置されることとなる。このため、各3Dブロック110の斜面140におけるパターン160が、近隣ブロックに近づくように配置されている。その結果、近隣ブロックに近づいたパターン160からの光が、近隣ブロックの斜面140に照射され易くなり、近隣ブロックのパターン160に重なり易くなる。
【0143】
これに対し、本実施形態では、境界線162が画素配列方向に非平行となった斜面140間に、遮光部150が設けられていることで、近隣ブロックに近づいたパターン160からの光が、近隣ブロックの斜面140に照射されることを抑制することができる。これにより、境界線162が画素配列方向に非平行となった形状に起因してパターン160の光の重なりが生じやすい状況下であったとしても、当該境界線162において1画素より細かい指標値の変化を精度よく把握することができる。その結果、カメラ20の焦点位置の検出精度の低下を安定的に抑制することが可能となる。
【0144】
<本発明の第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0145】
以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。なお、第3実施形態などについても、第2実施形態と同様に説明を省略する。
【0146】
(1)テストチャート
本実施形態に係るテストチャート10について、図12を用いて説明する。
【0147】
図12に示すように、本実施形態のテストチャート10は、例えば、支持板190と、3Dブロック110と、遮光部150と、を有している。
【0148】
本実施形態では、3Dブロック110は、例えば、複数の稜線130と、複数の斜面140と、を有している。
【0149】
複数の稜線130は、例えば、支持板190から所定の高さに設けられている。なお、稜線130は、上述の実施形態の頂点120の集合により形成されていると考えてもよい。支持板190からの複数の稜線130のそれぞれの高さは、互いに等しいことが好ましい。
【0150】
また、本実施形態では、複数の稜線130は、例えば、カメラ20の光学系220の光軸(すなわち支持板190の中央)を中心として放射状に配置される。つまり、本実施形態では、3Dブロック110は、例えば、複数の三角柱が支持板190の中央で結合した形状を有している。
【0151】
なお、本実施形態では、複数の稜線130は、例えば、カメラ20の光学系220の光軸に対して軸対称であることが好ましい。
【0152】
斜面140は、例えば、複数の稜線130のそれぞれを挟んで相反する傾斜方向に向けて傾斜するように、複数設けられている。
【0153】
本実施形態では、それぞれの斜面140は、例えば、パターン160として、複数のスリットを有している。複数のスリットのそれぞれは、一対の境界線162(162a、162b)を有している。
【0154】
ここで、図12に示すように、本実施形態では、一対の稜線130からそれぞれ傾斜する一対の斜面140が互いに接している。すなわち、一対の斜面140のうち、第1斜面140は、複数の稜線130のうちの第1稜線130から傾斜し、第2斜面140は、第1稜線130に隣り合う第2稜線130から傾斜し、第1斜面140に接している。遮光部150は、第1斜面140と第2斜面140との間で、カメラ20の光軸を中心として放射状に延在している。遮光部150は、例えば、一方の斜面140のパターン160から他方の斜面140に向かう光を遮断するよう構成されている。
【0155】
なお、本実施形態においても、遮光部150は、例えば、第1斜面140および第2斜面140のそれぞれのパターン160からカメラ20に向かう光を遮らないように配置されている。
【0156】
(2)効果
本実施形態では、テストチャート10が、放射状に配置された複数の稜線130を有し、稜線130以外で互いに接する一対の斜面140の間に遮光部150が設けられている。
【0157】
ここで、一対の斜面140が互いに接しているテストチャート10では、互いに接する一対の斜面140のそれぞれのパターン160間の間隔が狭くなる。そのため、一対の斜面140のうちの一方の斜面140のパターン160からの光が、他方の斜面140に照射され易くなり、他方の斜面140のパターン160に重なり易くなる。
【0158】
これに対し、本実施形態では、上述のように接した一対の斜面140の間に遮光部150が設けられていることで、一対の斜面140のうちの一方の斜面140のパターン160からの光が、他方の斜面140に照射されることを抑制することができる。その結果、接近した斜面140の配置に起因してパターン160の光の重なりが生じやすい状況下であったとしても、カメラ20の焦点位置の検出精度の低下を安定的に抑制することが可能となる。
【0159】
<本発明の第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0160】
(1)テストチャート
本実施形態に係るテストチャート10について、図13を用いて説明する。
【0161】
図13に示すように、本実施形態のテストチャート10は、例えば、支持板190と、3Dブロック110と、2次元ブロック(2Dブロック)170と、遮光部150と、を有している。
【0162】
本実施形態の3Dブロック110は、例えば、第2実施形態の3Dブロック110と同様である。
【0163】
2Dブロック170は、例えば、支持板190上の3Dブロック110と異なる位置に設けられ、上面に2次元パターン(2Dパターン)180を有している。2Dパターン180は、例えば、カメラ20の光軸に対して直交するように設けられている。これにより、2Dブロック170の2Dパターン180の検出結果に基づいて、カメラ20の光学調整機構により光学系220の位置を原点位置に調整することができる。
【0164】
2Dパターン180は、例えば、2Dブロック170が有する平坦な上面に設けられている。支持板190からの2Dパターン180の高さは、例えば、3Dブロック110の頂点120の高さよりも低い。
【0165】
また、2Dブロック170は、2Dパターン180として、例えば、少なくとも1つの境界線182を有している。境界線182は、例えば、色、濃淡および明るさのうち少なくともいずれかの境界を形成している。
【0166】
本実施形態では、2Dブロック170は、例えば、4つ設けられている。4つの2Dブロック170は、例えば、3Dブロック110の複数の稜線130の間にそれぞれ配置されている。また、2Dブロック170は、例えば、一対の稜線130の間の中央に設けられている。このような配置により、2Dブロック170の検出結果(の相関)に基づいて、X方向およびY方向の中心を容易に検出することができる。
【0167】
ここで、図13に示すように、本実施形態では、遮光部150は、3Dブロック110の複数の斜面140の間で、カメラ20の光軸を中心として放射状に延在している。
【0168】
さらに、本実施形態では、遮光部150は、3Dブロック110と2Dブロック170との間に設けられ、少なくとも2Dパターン180から3Dブロック110に向かう光を遮断する補助遮光部としても構成されている。
【0169】
(2)効果
本実施形態では、テストチャート10が3Dブロック110と2Dブロック170とを有しており、遮光部150は、3Dブロック110と2Dブロック170との間に設けられている。
【0170】
ここで、3Dブロック110と2Dブロック170とを有するテストチャート10では、2Dブロック170が3Dブロック110の頂点120よりも低いことがある。この場合、2Dブロック170の2Dパターン180からの光が、3Dブロック110の斜面140に照射され易くなり、3Dブロック110の斜面140のパターン160に重なり易くなる。
【0171】
これに対し、本実施形態では、上述のように3Dブロック110と2Dブロック170との間に補助遮光部としての遮光部150が設けられていることで、2Dブロック170の2Dパターン180からの光が、3Dブロック110の斜面140に照射されることを抑制することができる。その結果、2Dブロック170の配置に起因してパターン160の光の重なりが生じやすい状況下であったとしても、カメラ20の焦点位置の検出精度の低下を安定的に抑制することが可能となる。
【0172】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下において、「上述の実施形態」とは、第1実施形態、第2実施形態並びに第3実施形態のことをいう。
【0173】
上述の実施形態では、3Dブロック110の斜面140がパターン160としてスリットを有する場合について説明したが、3Dブロック110の斜面140は、パターン160として、斜面140の傾斜方向に延在する中心線を挟んで分離された光非透過性領域と光透過性領域とを有していてもよい。
【0174】
上述の実施形態では、遮光部150が板状に構成されている場合について説明したが、遮光部150が各パターン160からカメラ20に向かう光を遮らなければ、遮光部150の形状は限定されない。
【0175】
上述の実施形態では、遮光部150がカメラで撮像したときに直線状に撮像されるように図示したが、遮光部150が線状に撮像されれば、線の形状は限定されない。遮光部150は、例えば、湾曲または屈曲した線状に撮像されてもよい。
【0176】
上述の実施形態では、それぞれの3Dブロック110が複数の斜面140を有する場合について説明したが、本開示は、この場合に限られない。それぞれの3Dブロック110は1つの斜面140のみを有していてもよい。このような構成でも、複数の3Dブロック110間に遮光部150を設けることで、パターン160の光の重なりを抑制することができる。
【0177】
上述の実施形態では、隣り合う一対の斜面140の間に遮光部150が設けられ、遮光部150が一対の斜面140の両方のパターン160からの光を遮断する場合について説明したが、本開示は、この場合に限られない。例えば、遮光部150は、一方の斜面140のパターン160からの光のみを遮断するよう構成されていてもよい。
【0178】
上述の第3実施形態では、遮光部150が3Dブロック110間での光を遮断するよう構成されるだけでなく、2Dブロック170から3Dブロック110に向かう光を遮断する補助遮光部としても構成される場合について説明したが、本開示は、この場合に限られない。3Dブロック110間での光を遮断する遮光部150と、2Dブロック170から3Dブロック110に向かう光を遮断する補助遮光部と、が別々に設けられていてもよい。
【0179】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
【0180】
(付記1)
カメラを調整するテストチャートであって、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備える
テストチャート。
【0181】
(付記2)
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面のそれぞれの前記パターンから前記カメラに向かう光を遮らないように配置されている
付記1に記載のテストチャート。
【0182】
(付記3)
前記遮光部は、板状に構成され、前記カメラで撮像したときに線状に撮像されるように配置されている
付記1又は付記2に記載のテストチャート。
【0183】
(付記4)
前記第1斜面および前記第2斜面のそれぞれの前記パターンは、各斜面の傾斜方向に沿って直線状に延在する少なくとも1つの境界線を有し、
前記斜面が前記カメラの光軸に対して傾斜し、且つ、前記カメラが撮像したときに前記境界線と前記カメラの画素配列方向とが非平行となるように配置され、
前記遮光部は、前記第1斜面の前記パターンからの光が前記第2斜面の前記境界線に重なることを抑制するよう配置されている
付記1から付記3のいずれか1つに記載のテストチャート。
【0184】
(付記5)
所定の高さに設けられ、前記カメラの光軸を中心として放射状に配置された複数の稜線を備え、
前記第1斜面は、前記複数の稜線のうちの第1稜線から傾斜し、
前記第2斜面は、前記第1稜線に隣り合う第2稜線から傾斜し、前記第1斜面に接している
付記1から付記4のいずれか1つに記載のテストチャート。
【0185】
(付記6)
前記遮光部は、前記第1斜面と前記第2斜面との間で、前記カメラの前記光軸を中心として放射状に延在している
付記1から付記5のいずれか1つに記載のテストチャート。
【0186】
(付記7)
前記第1斜面および前記第2斜面のいずれか一方を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックに向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
付記1から付記6のいずれか1つに記載のテストチャート。
【0187】
(付記8)
カメラを調整するテストチャートであって、
斜面を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックの前記斜面に向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
テストチャート。
【0188】
(付記9)
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜する少なくとも前記第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、少なくとも前記第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
付記1から付記8のいずれか1つに記載のテストチャート。
【0189】
(付記10)
カメラを調整するテストチャートであって、
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
前記外側ブロックと前記近隣ブロックとの間で光を遮断する遮光部と、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜し、光が放射されるパターンを有する少なくとも第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、光が放射されるパターンを有し前記第1斜面に隣り合って配置された少なくとも第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
テストチャート。
【0190】
(付記11)
前記遮光部は、反射を抑制する表面を有する
付記1から付記10のいずれか1つに記載のテストチャート。
【0191】
(付記12)
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備える
カメラ製造装置。
【0192】
(付記13)
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
斜面を有する3次元ブロックと、
前記カメラの光軸に対して直交するように配置され、光が放射される2次元パターンを有する2次元ブロックと、
前記3次元ブロックと前記2次元ブロックとの間に設けられ、少なくとも前記2次元パターンから前記3次元ブロックの前記斜面に向かう光を遮断する補助遮光部と、
を備える
カメラ製造装置。
【0193】
(付記14)
所定のテストチャートを支持するチャート支持部と、
前記テストチャートを撮像可能な位置に、光学系および撮像素子を有するカメラの少なくとも一部を支持するカメラ支持部と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する画像解析部と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整するカメラ調整機構と、
を有し、
前記テストチャートは、
前記カメラの視野の中央から離れた位置に配置された外側ブロックと、
前記外側ブロックに隣り合う近隣ブロックと、
前記外側ブロックと前記近隣ブロックとの間で光を遮断する遮光部と、
を備え、
前記外側ブロックは、
前記中央側に偏った位置で所定の高さに設けられた頂点と、
前記頂点から傾斜し、光が放射されるパターンを有する少なくとも第1斜面と、
を有し、
前記外側ブロックは、前記カメラが撮像したときに前記頂点が前記外側ブロックの中心に位置するように配置され、
前記近隣ブロックは、光が放射されるパターンを有し前記第1斜面に隣り合って配置された少なくとも第2斜面を有し、
前記遮光部は、前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記外側ブロックの前記第1斜面から、前記近隣ブロックの前記第2斜面に向かう光を遮断するよう設けられている
カメラ製造装置。
【0194】
(付記15)
所定のテストチャートを準備する工程と、
光学系および撮像素子を有するカメラを用い、前記テストチャートを撮像する工程と、
前記テストチャートを撮像した画像を解析し、前記カメラの焦点位置を検出する工程と、
前記カメラの前記焦点位置に基づいて、前記光学系および前記撮像素子の相対的な位置を調整する工程と、
を有し、
前記テストチャートを準備する工程では、
前記テストチャートとして、
光が放射されるパターンを有する第1斜面と、
光が放射されるパターンを有し、前記第1斜面に隣り合って配置された第2斜面と、
前記第1斜面および前記第2斜面の間に設けられ、少なくとも前記第1斜面の前記パターンから前記第2斜面に向かう光を遮断する遮光部と、
を備えるチャートを準備する
カメラの製造方法。
【符号の説明】
【0195】
1 カメラ製造装置
10 テストチャート
20 カメラ
110 3Dブロック
110a 中央ブロック
110b 外側ブロック
120 頂点
130 稜線
140 斜面
150 遮光部
160 パターン
162,162a,162b 境界線
170 2Dブロック
180 2Dパターン
182 境界線
190 支持板
220 光学系
240 撮像素子
260 回路基板
262 接着剤
280 コネクタ
310 チャート支持部
312 チャート光源
320 リレーレンズ
340 カメラ支持部
360 カメラ調整機構
380 カメラ固定部
400 制御部
410 CPU
420 RAM
430 記憶装置
440 I/Oポート
450 入力部
460 表示部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13