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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110428
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】アイスディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/147 20180101AFI20230802BHJP
   F25C 5/20 20180101ALI20230802BHJP
【FI】
F25C1/147 N
F25C1/147 J
F25C5/20 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011867
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】花井 崇
(57)【要約】
【課題】モータの回転数が変化した場合に、定量放出動作において放出される氷の量の変化を抑制することが可能なアイスディスペンサを提供する。
【解決手段】アイスディスペンサ10は、氷を放出する氷流出口15aを有するストッカ15と、ストッカ15の氷流出口15aを開閉するシャッタ装置17と、ストッカ15の氷を撹拌するアジテータ15cと、アジテータ15cを駆動するモータ13cと、シャッタ装置17及びモータ13cの駆動を制御する制御装置35とを備える。制御装置35は、予め設定された氷流出口15aから放出される氷の放出量と、モータ13cに電力を供給する電源の電源周波数とに基づいて、氷流出口15aを開放するシャッタ装置17の開放時間を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷を放出する氷流出口を有する氷貯蔵タンクと、
前記氷貯蔵タンクの前記氷流出口を開閉するシャッタ装置と、
前記氷貯蔵タンク内の前記氷を撹拌する撹拌装置と、
前記撹拌装置を駆動するモータと、
前記シャッタ装置及び前記モータの駆動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、予め設定された前記氷流出口から放出される前記氷の放出量と、前記モータに電力を供給する電源の電源周波数とに基づいて、前記氷流出口を開放する前記シャッタ装置の開放時間を制御するアイスディスペンサ。
【請求項2】
前記制御装置に前記電源周波数を入力する設定部をさらに備える請求項1に記載のアイスディスペンサ。
【請求項3】
前記電源の電圧周波数を検知する周波数検知部をさらに備え、
前記制御装置は、前記周波数検知部が検知した前記電源の電圧周波数に基づいて前記電源周波数を検知する請求項1又は2に記載のアイスディスペンサ。
【請求項4】
前記モータの回転数を検知する回転数検知部をさらに備え、
前記制御装置は、前記回転数検知部が検知した前記モータの回転数に基づいて前記電源周波数を検知する請求項1~3のいずれか一項に記載のアイスディスペンサ。
【請求項5】
氷を放出する氷流出口を有する氷貯蔵タンクと、
前記氷貯蔵タンクの前記氷流出口を開閉するシャッタ装置と、
前記氷貯蔵タンク内の前記氷を撹拌する撹拌装置と、
前記撹拌装置を駆動するモータと、
前記モータの回転数を検知する回転数検知部と、
前記シャッタ装置及び前記モータの駆動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、予め設定された前記氷流出口から放出される前記氷の放出量と、前記モータが所定の閾値以上の回転数で運転したときのうち最近の運転における該回転数とに基づいて、前記氷流出口を開放する前記シャッタ装置の開放時間を制御するアイスディスペンサ。
【請求項6】
前記氷流出口が前記氷の放出を開始するときに、前記モータが停止状態である場合には、前記シャッタ装置の開放時間に所定の延長時間を追加する請求項1~5のいずれか一項に記載のアイスディスペンサ。
【請求項7】
氷を放出する氷流出口を有する氷貯蔵タンクと、
前記氷貯蔵タンクの前記氷流出口を開閉するシャッタ装置と、
前記氷貯蔵タンク内の前記氷を撹拌する撹拌装置と、
前記撹拌装置を駆動するモータと、
前記モータの回転数を検知する回転数検知部と、
前記シャッタ装置及び前記モータの駆動を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、予め設定された前記氷流出口から放出される前記氷の放出量と、前記氷流出口の前記氷の放出開始時からの前記モータの合計回転数とに基づいて、前記氷流出口を開放する前記シャッタ装置の開放時間を制御するアイスディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はアイスディスペンサに関し、特に所定の操作に応じて氷を放出するアイスディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアイスディスペンサとして、例えば特許文献1に記載されているようなアイスディスペンサが知られている。このアイスディスペンサは、製氷部で生成した氷を貯氷空間に貯氷し、貯氷空間内の氷をモータにより駆動するアジテータによって押し出している。そして、所定の時間シャッタ装置を開放することで、押し出された氷が氷放出口から放出される定量放出動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-25743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の発明では、モータとして一般に誘導モータが用いられており、この誘導モータの回転数は誘導モータに供給される商用電源周波数が異なる場合等の、様々な理由により変化する。そして、アジテータの回転数はモータの回転数に依存するため、モータの回転数が変化した場合に定量放出動作において放出される氷の量が変化するという問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、モータの回転数が変化した場合に、定量放出動作において放出される氷の量の変化を抑制するアイスディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアイスディスペンサは、氷を放出する氷流出口を有する氷貯蔵タンクと、氷貯蔵タンクの氷流出口を開閉するシャッタ装置と、氷貯蔵タンク内の氷を撹拌する撹拌装置と、撹拌装置を駆動するモータと、シャッタ装置及びモータの駆動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、予め設定された氷流出口から放出される氷の放出量と、モータに電力を供給する電源の電源周波数とに基づいて、氷流出口を開放するシャッタ装置の開放時間を制御する。
【0007】
また、制御装置に電源周波数を入力する設定部をさらに備えてもよい。
また、電源の電圧周波数を検知する周波数検知部をさらに備え、制御装置は、周波数検知部が検知した電源の電圧周波数に基づいて電源周波数を検知してもよい。
また、モータの回転数を検知する回転数検知部をさらに備え、制御装置は、回転数検知部が検知したモータの回転数に基づいて電源周波数を検知する。
【0008】
また、本発明に係るアイスディスペンサは、氷を放出する氷流出口を有する氷貯蔵タンクと、氷貯蔵タンクの氷流出口を開閉するシャッタ装置と、氷貯蔵タンク内の氷を撹拌する撹拌装置と、撹拌装置を駆動するモータと、モータの回転数を検知する回転数検知部と、シャッタ装置及びモータの駆動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、予め設定された氷流出口から放出される氷の放出量と、モータが所定の閾値以上の回転数で運転したときのうち最近の運転における該回転数とに基づいて、氷流出口を開放するシャッタ装置の開放時間を制御する。
【0009】
また、氷流出口が氷の放出を開始するときに、モータが停止状態である場合には、シャッタ装置の開放時間に所定の延長時間を追加してもよい。
【0010】
また、本発明に係るアイスディスペンサは、氷を放出する氷流出口を有する氷貯蔵タンクと、氷貯蔵タンクの氷流出口を開閉するシャッタ装置と、氷貯蔵タンク内の氷を撹拌する撹拌装置と、撹拌装置を駆動するモータと、モータの回転数を検知する回転数検知部と、シャッタ装置及びモータの駆動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、予め設定された氷流出口から放出される氷の放出量と、氷流出口の氷の放出開始時からのモータの合計回転数とに基づいて、氷流出口を開放するシャッタ装置の開放時間を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アイスディスペンサは、氷の放出を制御する制御装置を備え、制御装置は、予め設定された氷放出部から放出される氷の放出量と、モータに電力を供給する電源の電源周波数とに基づいて、シャッタ装置の開放時間を制御することで、モータの回転数が変化した場合に、定量放出動作において放出される氷の量の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係るアイスディスペンサの概略図である。
図2図1に示すアイスディスペンサの内部を示す拡大側面断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るアイスディスペンサの制御装置の概略図である。
図4】実施の形態2に係るアイスディスペンサの電源周波数を検知するための構成の概略図である。
図5図4に示すコンパレータから出力される矩形波電圧波形図である。
図6】本発明の実施の形態3に係る回転数検知部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態1を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るアイスディスペンサの概略図である。実施の形態1のアイスディスペンサ10は、直方体状の筐体11の前面上部に形成されたフロントパネル27と、筐体11の下部から前方に突出するように形成されたドレンパン25とを有する。ドレンパン25は、上部に容器を載置することが可能であるように、フロントパネル27の下部から離隔して配置されている。フロントパネル27の下部とドレンパン25の上部との間には、アイスディスペンサから放出される氷を容器が受けるときの容器の配置位置である対象位置29が構成されている。
【0014】
フロントパネル27には、アイスディスペンサ10から放出される氷の量等の供給に関する各種設定を行うための設定部31と、アイスディスペンサ10から氷を放出するときに操作される操作ボタン33が設けられている。設定部31は、設定ボタン31a,31bを有している。
【0015】
図2は、図1に示すアイスディスペンサ10の内部を示す拡大側面断面図である。アイスディスペンサ10の筐体11(図1参照)の内側下部には、製氷部13が設けられている。製氷部13は、上下方向に延在する円筒状の冷凍ケーシング13aと、冷凍ケーシング13aの内側に回転可能に配置されたオーガ13bと、冷凍ケーシング13aの下部に配置されているオーガ13bの駆動源であるモータ13cとを有している。この製氷部13は、冷凍ケーシング13aの内側面に形成された氷を、モータ13cにより回転するオーガ13bにより圧縮し、上方に移送する。また、本実施の形態1においてはモータ13cとして既知の誘導モータが用いられている。
【0016】
筐体11の内側において製氷部13の上側には、オーガ13bにより移送された氷を貯留する貯氷空間Sを内部に有する氷貯蔵タンクとしてのストッカ15が設けられている。このストッカ15は、内底面がその中央側から外縁側に向かって下方傾斜しており、製氷部13からオーガ13bにより移送されてくる氷を受け入れる導入口15bが該内底面の略中央に形成されている。また、ストッカ15の内底面の上方には、オーガ13bに接続され、モータ13cの駆動力により回転し貯氷空間Sに貯留された氷を撹拌して氷流出口15aに送出するためのアジテータ15cが配置されている。なお、アジテータ15cは撹拌装置を構成している。
【0017】
ストッカ15の外側には、氷流出口15aを開放又は閉鎖するシャッタ装置17が配置されている。このシャッタ装置17は、ストッカ15の前面側であって氷流出口15aの近傍に設けられている。また、シャッタ装置17は、氷流出口15aの上側に配置されたソレノイド17aと、氷流出口15aの上方を中心に支持されており、回動することにより氷流出口を開放又は閉鎖可能に配置された蓋体17bと、ソレノイド17aと蓋体17bとを連結するリンク機構17cとを有している。このソレノイド17aの図示しない作動体が収縮することで蓋体17bが氷流出口15aを開放し、作動体が伸長することで蓋体17bが氷流出口15aを閉鎖する。
【0018】
ストッカ15の前面側には、シャッタ装置17のリンク機構17cの下側に氷誘導部19が配置されている。氷誘導部19は氷流出口15aに接続されており、氷流出口15aから排出された氷を斜め下方向に誘導する誘導面19aと、鉛直方向下側に開口する氷放出口19bとを有している。
【0019】
氷誘導部19の近傍には、下方に向けて延びる飲料管21が配置されている。飲料管21の先端部には、飲料放出口21aが形成されている。また、飲料放出口21a及び氷放出口19bの下側には、図1に示すように対象位置29が構成されている。
【0020】
図3は、本実施の形態1に係るアイスディスペンサの制御装置の概略図である。
アイスディスペンサ10(図1参照)の筐体11の内部には、アイスディスペンサ10の全体動作を制御する制御装置35が設けられている。また、制御装置35には設定部31、操作ボタン33及びシャッタ装置17が電気的に接続されている。
【0021】
次に、本実施の形態1に係るアイスディスペンサ10の動作を説明する。
(製氷及び氷放出動作)
まず、アイスディスペンサにおける製氷動作及び製氷した氷を放出する動作について説明する。図1に示すアイスディスペンサ10は、図2に示す製氷部13において連続的に製氷を行う。このとき、モータ13cによりオーガ13bが駆動して、ストッカ15の貯氷空間S内に氷が送出される。また、シャッタ装置17の蓋体17bにより氷流出口15aが閉鎖されている。次に、モータ13cの駆動力で回転駆動しているアジテータ15cにより貯氷空間S内の氷が撹拌される。また、ストッカ15の内底面がその中央側から外縁側に向かって下方傾斜しているため、撹拌された氷がストッカ15の中央部から外側に送出される。
【0022】
次に、図1に示すようにユーザが操作ボタン33を操作すると、図3に示すように制御装置35が操作ボタン33の操作を検出し、所定の開放時間の間シャッタ装置17を駆動する。これにより、ソレノイド17aの図示しない作動体が収縮して、蓋体17bが氷流出口15aを開放し、貯氷空間S内の氷が氷誘導部19の氷放出口19bから放出される。また、所定の開放時間の経過後、制御装置35がシャッタ装置17の駆動を停止すると、ソレノイド17a内の作動体が伸長し、蓋体17bが氷流出口15aを閉鎖して氷の放出が停止する。
【0023】
(従来の定量放出動作)
次に、アイスディスペンサ10から所定の量の氷が放出される従来の定量放出動作について説明する。アイスディスペンサ10が定量放出動作を実施する場合には、最初にユーザは図1に示す設定ボタン31a,31bを操作し、定量放出動作において放出する目標氷放出量を設定する。設定された目標氷放出量は、図3に示す制御装置35に記憶される。
【0024】
アイスディスペンサ10の氷放出動作においては、図2に示すアジテータ15cの回転数(回転速度)が高いほど、貯氷空間S内の氷が外側に送出されやすくなる。そのため、シャッタ装置17が一定の開放時間だけ氷流出口15aを開放した場合には、アジテータ15cの回転数が高いほど氷放出口19bから放出される氷の量が多くなる。
【0025】
そのため、制御装置35は、アジテータ15cの予め設定された回転数と、設定された目標氷放出量とに基づいて、シャッタ装置17が氷流出口15aを開放する開放時間を決定する。すなわち、目標氷放出量が同じ場合には、アジテータの回転数が高いほどシャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間を短縮し、またアジテータの回転数が低いほどシャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間を延長する。これにより、ユーザが操作ボタン33を操作したときに、所定の目標氷放出量の氷が氷放出口19bから放出される定量放出動作が行われる。
【0026】
ところで、本実施の形態1において、モータ13cは誘導モータであり、その回転数は商用電源周波数に略比例する。よって、モータ13cにより駆動するアジテータ15cの回転数も商用電源周波数が高いほど高く、商用電源周波数が低いほど低くなる。そのため、定量放出動作における放出氷量は、例えば商用電源周波数が50Hzのときのアジテータ回転数を予め設定すると、商用電源周波数が60Hzのときに定量放出動作において放出される氷量が多くなり、逆に例えば商用電源周波数が60Hzのときのアジテータ回転数を予め設定すると、商用電源周波数が50Hzのときに定量放出動作において放出される氷量が少なくなる。
【0027】
(商用電源周波数に対応した定量放出動作)
そのため、本実施の形態1では次に示す定量放出動作を行う。定量放出動作を実施する場合には、最初にユーザは図1に示す設定ボタン31a,31bを操作し、定量放出動作において放出する目標氷放出量と、アイスディスペンサ10に供給される商用電源の商用電源周波数を設定する。設定された目標氷放出量と商用電源周波数とは、図3に示す制御装置35に記憶される。
【0028】
次に、制御装置35は、目標氷放出量と、電源周波数とに基づいてシャッタ装置17が氷流出口15aを開放する開放時間を決定する。この決定は、以下の式(1)に基づいてなされる。
[シャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間(s)]=[比例定数A]×[目標氷放出量(g)] … (1)
また、このときの比例定数Aは、商用電源周波数に対して、目標氷放出量を放出するために必要な氷流出口15aの開放時間を予め実験することで得ることができる。
【0029】
次に、ユーザが操作ボタン33を操作したときに、制御装置35は式(1)に基づいて算出した開放時間だけシャッタ装置17により氷流出口15aを開放して、貯氷空間S内の氷を氷放出口19bから放出する。開放時間の経過後、制御装置35はシャッタ装置17により氷流出口15aを閉鎖して氷の放出を停止する。これにより、商用電源周波数が60Hzの場合及び50Hzの場合のいずれであっても、定量放出動作において一定氷量を放出することができる。
【0030】
このように、本実施の形態1のアイスディスペンサ10は、氷を放出する氷流出口15aを有するストッカ15と、ストッカ15の氷流出口15aを開閉するシャッタ装置17と、ストッカ15の氷を撹拌するアジテータ15cと、アジテータ15cを駆動するモータ13cと、シャッタ装置17及びモータ13cの駆動を制御する制御装置35とを備える。そして制御装置35は、予め設定された氷流出口15aから放出される氷の放出量と、モータ13cに電力を供給する電源の電源周波数とに基づいて、氷流出口15aを開放するシャッタ装置17の開放時間を制御するため、商用電源周波数が異なりモータ13cの回転数が変化した場合に、アイスディスペンサ10の定量放出動作において放出される氷の量の変化を抑制することができる。
【0031】
また、本実施の形態1のアイスディスペンサ10は、制御装置35に電源周波数を入力する設定部31を有するため、アイスディスペンサ10のユーザが簡単に商用電源周波数を設定することができる。
【0032】
なお、本実施の形態1のアイスディスペンサ10の設定部31は、設定ボタン31a,31bから構成されていたが、設定部31の構成はこれに限定されるものではない。例えば、設定部31は、商用電源周波数を設定するスイッチを設定ボタン31a,31bとは別に有していてもよい。
【0033】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係るアイスディスペンサを説明する。尚、以下の実施の形態において、図1図3の参照符号と同一の符号は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。実施の形態2に係るアイスディスペンサでは、実施の形態1に対して、商用電源周波数を検知するための構成を設けたものである。
図4は、実施の形態2に係る電源周波数を検知するための構成の概略図である。アイスディスペンサ10(図1参照)の外部から電力を供給する商用電源41には、アイスディスペンサ10の降圧トランス43の1次側コイルが接続されている。降圧トランス43の2次側コイルには、コンパレータの45+端子が接続されている。コンパレータ45の-端子の電圧は0Vに設定され、コンパレータ45の出力は制御装置35に接続されている。なお、降圧トランス43は周波数検知部を構成している。その他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0034】
次に、本実施の形態2に係るアイスディスペンサ10の動作を説明する。図1に示すアイスディスペンサ10の電源を投入すると、アイスディスペンサ10のモータ13c(図2参照)や制御装置35等に電力を供給する図示しない主回路が図4に示す商用電源41に接続される他に、降圧トランス43の1次側コイルが商用電源41に接続される。これにより、商用電源41の電圧に対して降圧された、商用電源41の電圧周波数と同じ周波数の正弦波の交流電圧が降圧トランス43の2次側コイルに発生し、コンパレータ45の+端子に入力される。すなわち、降圧トランス43により商用電源41の電圧周波数が検知される。なお、この降圧トランス43は、例えば、商用電源41の電圧が100V又は200Vである場合には、2次側コイルから出力される電圧が5V~20Vに降圧されるように構成されている。
【0035】
図5は、コンパレータ45(図4参照)から出力される矩形波電圧波形図である。コンパレータ45の+端子に正弦波の交流電圧が入力され、コンパレータ45の-端子が0Vであることで、図5に示す矩形波電圧波形Vcがコンパレータ45から制御装置35に入力される。次に、制御装置35は、入力された矩形波電圧波形Vcの、電源投入後一定時間(例えば1秒間)当たりのゼロクロス立ち上がりZの回数を計測する。そして、制御装置35は1秒間当たりのゼロクロス立ち上がりZの回数が45~55回であれば商用電源41の周波数は50Hzと検知し、1秒間当たりのゼロクロス立ち上がりZの回数が56~65回であれば商用電源41の周波数は60Hzと検知する。検知された商用電源周波数は、制御装置35に記憶される。
【0036】
次にユーザは図1に示す設定ボタン31a,31bを操作し、定量放出動作において放出する目標氷放出量を設定する。設定された目標氷放出量は、図4に示す制御装置35に記憶される。これ以降は、ユーザが操作ボタン33を操作したときに実施の形態1と同じように定量放出動作の動作が実行される。
【0037】
このように、本実施の形態2のアイスディスペンサ10は、商用電源41の電圧周波数を検知する降圧トランス43をさらに備え、制御装置35は、降圧トランス43の検知した電源の電圧周波数に基づいて電源周波数を検知するため、自動的に、商用電源41の電源周波数を検知することができる。
【0038】
なお、本実施の形態2では、制御装置35は入力された矩形波電圧波形Vcの、電源投入後一定時間(例えば1秒間)当たりのゼロクロス立ち上がりZの回数を計測して商用電源周波数を判定していたが、これに限定されるものではない。例えば、ゼロクロス立ち上がりZの回数の測定時間は任意の時間であってもよいし、矩形波電圧波形Vcの一定時間当たりのゼロクロス立ち下がりの回数を計測して商用電源周波数を判定してもよい。
【0039】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係るアイスディスペンサを説明する。実施の形態3に係るアイスディスペンサでは、実施の形態1に対して、モータの回転数に基づいて商用電源の周波数を検知するものである。
図6は、実施の形態3に係る回転数検知部の概略図である。モータ13cの回転軸13dには、モータ13cの回転数及び回転の向きを検知するロータリーエンコーダ13eが設けられている。ロータリーエンコーダ13eの出力は、制御装置35に接続されている。なお、ロータリーエンコーダ13eは回転数検知部を構成している。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0040】
次に、本実施の形態3に係るアイスディスペンサ10の動作を説明する。図1に示すアイスディスペンサ10の電源を投入すると、アイスディスペンサ10の図2に示すモータ13cや制御装置35等に電力を供給する図示しない主回路が商用電源41に接続され、製氷部13において製氷が開始されるとともに、モータ13cによりオーガ13bが駆動して、ストッカ15の貯氷空間S内に氷が送出される。
【0041】
このとき、モータ13cは誘導モータであるため、モータ13cの回転数は商用電源41の周波数に略比例する。図6に示すロータリーエンコーダ13eは、モータ13cの回転数を検知し、この回転数に基づくパルス信号を制御装置35に出力する。次に、制御装置35は電源投入後一定時間(例えば1秒間)当たりのパルス信号を計測し、計測したパルス信号の数に基づいて商用電源41の周波数を判定する。例えば、モータ13cが4極モータであり、ロータリーエンコーダ13eが回転軸13dの1回転当たり2パルスを発信するロータリーエンコーダである場合には、1秒間当たりのパルス信号の数が45~55回であれば商用電源41の周波数は50Hzと判定し、1秒間当たりのパルス信号の数が56回~65回であれば商用電源41の周波数は60Hzと判定する。判定された商用電源周波数は、制御装置35に記憶される。
【0042】
次にユーザは図1に示す設定ボタン31a,31bを操作し、定量放出動作において放出する目標氷放出量を設定する。設定された目標氷放出量は、図6に示す制御装置35に記憶される。これ以降は、ユーザが操作ボタン33を操作したときに実施の形態1と同じように定量放出動作の動作が実行される。
【0043】
このように、本実施の形態3のアイスディスペンサ10は、モータ13cの回転数を検知するロータリーエンコーダ13eをさらに備え、制御装置35は、ロータリーエンコーダ13eの検知したモータ13cの回転数に基づいて商用電源周波数を検知するため、自動的に、商用電源41の商用電源周波数を検知することができる。
【0044】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4に係るアイスディスペンサを説明する。実施の形態4に係るアイスディスペンサでは、実施の形態3に対して、モータの回転数に基づいて氷流出口15aの開放時間を設定するものである。なお、以下の実施の形態では、実施の形態3の図6の参照符号と同一の符号は同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
【0045】
次に、実施の形態4に係るアイスディスペンサ10の動作を説明する。図1に記載のアイスディスペンサ10の運転中に、図6に示す制御装置35は常時モータ13cに接続されたロータリーエンコーダ13eのパルス信号を計測している。次にユーザは図1に示す設定ボタン31a,31bを操作し、定量放出動作において放出する目標氷放出量を設定する。設定された目標氷放出量は、図6に示す制御装置35に記憶される。
【0046】
次に、ユーザが操作ボタン33を操作したときに、制御装置35はロータリーエンコーダ13eのパルス信号に基づいて直前のモータ13cの回転数を計算する。次に、直前のモータ13cの回転数が所定の閾値以上である場合には、制御装置35は目標氷放出量と、直前のモータ13cの回転数(すなわち、最近の運転におけるモータ13cの回転数)とに基づいて、シャッタ装置17が氷流出口15a(図2参照)を開放する開放時間を決定する。この決定は、以下の式(2)に基づいてされる。
[シャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間(s)]=[比例定数B]/[モータ13cの回転数(rps)]×[目標氷放出量(g)] … (2)
また、このときの比例定数Bは、モータ13cの回転数に対して、目標氷放出量を放出するために必要な氷流出口15aの開放時間を予め実験することで得ることができる。
【0047】
図2に示すアジテータ15cの回転数は直前のモータ13cの回転数に対応している。すなわち、アイスディスペンサ10の定量放出動作において、直前のモータ13cの回転数が高ければ、式(2)に示すように目標氷放出量の氷を放出するためにシャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間が短縮され、直前のモータ13cの回転数が低ければ、式(2)に示すように目標氷放出量の氷を放出するためにシャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間が延長される。次に、ユーザが操作ボタン33を操作したときに、この氷流出口15aの開放時間だけ、シャッタ装置17が氷流出口15aを開放し、目標氷放出量の氷が放出される定量放出動作が実行される。
【0048】
制御装置35が直前のモータ13cの回転数に基づいて氷流出口15aの開放時間を決定することにより、例えば商用電源周波数によりモータ13cの回転数が異なる場合であっても、アイスディスペンサ10は定量放出動作において自動的に目標氷放出量の氷を放出することができる。
【0049】
また、モータ13cはアジテータ15cとオーガ13bとの両方を駆動するため、製氷部13においてオーガ13bが冷凍ケーシング13aの氷を圧縮するときの負荷が増大し、モータ13cの負荷トルクが増大した場合には、商用電源周波数が変化しなくてもモータ13cの速度が低下し、同時にアジテータ15cの回転数が通常時と比較して低下する。この場合であっても、制御装置35によりモータ13cの回転数低下に合わせてシャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間が延長されるため、アイスディスペンサ10は定量放出動作において自動的に目標氷放出量の氷を放出することができる。
【0050】
なお、アイスディスペンサ10に電源を投入した直後等の、直前のモータ13cの回転数がゼロ又は所定の閾値より低い場合に定量放出動作を実行する場合には、制御装置35は以前の運転時にモータ13cが所定の閾値以上の回転数で運転したときのうち、最近の運転におけるモータ13cの回転数を、モータ13cの回転数として式(2)に適用して氷流出口15aの開放時間を得ることができる。
【0051】
このように、本実施の形態4のアイスディスペンサ10は、氷を放出する氷流出口15aを有するストッカ15と、ストッカ15の氷流出口15aを開閉するシャッタ装置17と、ストッカ15内の氷を撹拌するアジテータ15cと、アジテータ15cを駆動するモータ13cと、モータ13cの回転数を検知するロータリーエンコーダ13eと、シャッタ装置17及びモータ13cの駆動を制御する制御装置35とを備える。そして、制御装置35は、予め設定された氷流出口15aから放出される氷の放出量と、モータ13cが所定の閾値以上の回転数で運転したときのうち最近の運転における該回転数とに基づいて、氷流出口15aを開放するシャッタ装置17の開放時間を制御するため、モータ13cの負荷トルクの増大等によりモータ13cの速度が低下し、同時にアジテータ15cの回転数が通常時と比較して低下した場合であっても、モータ13cの回転数低下に合わせてシャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間を延長し、アイスディスペンサ10の定量放出動作において自動的に目標氷放出量の氷を放出することができる。
【0052】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5に係るアイスディスペンサを説明する。実施の形態5に係るアイスディスペンサでは、実施の形態1~4に対して、シャッタ装置17の開放時間に延長時間を追加するものである。
実施の形態1~4において、アイスディスペンサ10のモータ13cが停止している状態の直後に定量放出動作を実行するときには、アジテータ15cが通常の回転速度に到達するまでに時間を要するため、上述した実施の形態1の式(1)及び実施の形態4の式(2)の氷流出口15aの開放時間では、目標氷放出量よりも氷放出量が低下する場合がある。その場合には、式(1)、式(2)に対して例えば以下に示す式(1a)、式(2a)のように開放時間に延長時間Cをそれぞれ追加することで、アイスディスペンサ10が目標氷放出量の氷を放出することができる。
【0053】
[シャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間(s)]=[比例定数A]×[目標氷放出量(g)]+[延長時間C(s)] … (1a)
[シャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間(s)]=[比例定数B]/[モータ13cの回転数(rps)]×[目標氷放出量(g)]+[延長時間C(s)] … (2a)
なお、この延長時間Cは、モータ13cが停止している状態の直後に定量放出動作を実行するときに、目標氷放出量の氷を放出するために必要な開放時間を予め実験することで得ることができる。
【0054】
このように、本発明の実施の形態5のアイスディスペンサ10は、氷流出口15aが氷の放出を開始するときに、モータ13cが停止状態である場合には、シャッタ装置17の開放時間に所定の延長時間を追加するため、モータ13cが停止している状態の直後であっても、アイスディスペンサ10が目標氷放出量の氷を放出することができる。
【0055】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6に係るアイスディスペンサを説明する。実施の形態6に係るアイスディスペンサでは、実施の形態4に対して、モータの合計回転数に基づいてシャッタ装置による氷流出口の開閉タイミングを決定するものである。
【0056】
実施の形態6に係るアイスディスペンサ10の動作を説明する。図1に記載のアイスディスペンサ10の運転中に、図6に示す制御装置35は常時モータ13cに接続されたロータリーエンコーダ13eのパルス信号を計測している。次にユーザは図1に示す設定ボタン31a,31bを操作し、定量放出動作において放出する目標氷放出量を設定する。設定された目標氷放出量は、図6に示す制御装置35に記憶される。次に、ユーザが図1に示す操作ボタン33を操作したときに、図6に示す制御装置35はシャッタ装置17を駆動して図2に示す氷流出口15aを開放する。
【0057】
ここで、アイスディスペンサ10の氷流出口15aが開放されているときの氷の放出量は、アジテータ15cの合計回転数に略比例する。すなわち、アジテータ15cが回転しないときには氷の放出量は略ゼロである。したがって、アイスディスペンサ10の定量放出動作において、シャッタ装置17を駆動して氷流出口15aを開放してから、氷流出口15aを閉鎖するまでのタイミングは、アジテータ15cの合計回転数、すなわちモータ13cの合計回転数から得ることができる。そして、モータ13cの合計回転数はロータリーエンコーダ13eの合計パルス信号数から得られる。この合計パルス信号数は、以下の式(3)によって決定される。
[シャッタ装置17により氷流出口15aを開放した後、氷流出口15aを閉鎖するまでの合計パルス信号数]=[比例定数D]×[目標氷放出量(g)] … (3)
なお、このときの比例定数Dは、目標氷放出量を放出するために必要な合計パルス信号数を予め実験することで得ることができる。
【0058】
次に、制御装置35は氷流出口15aを開放したときからのロータリーエンコーダ13eのパルス信号数を合計し、合計パルス信号数が上記の式(3)の合計パルス信号数となったときにシャッタ装置17の駆動を解除して氷流出口15aを閉鎖する。これにより、アイスディスペンサ10の定量放出動作が実行される。
【0059】
この実施の形態6では、商用電源41の周波数が50Hzの場合、アイスディスペンサ10のモータ13cが停止しているときに定量放出動作を開始した場合、又はモータ13cの負荷トルクが増大して回転数が低下した場合等により、モータ13cの回転数が低下したときであっても、モータ13cの合計回転数に略比例するロータリーエンコーダ13eの合計パルス信号数に基づいてシャッタ装置17による氷流出口15aの開閉タイミングを決定している。そのため、モータ13cの回転数が低下した原因に関わらずモータ13cの回転数が低下したことを検知することができ、モータ13cの回転数が低下した場合には氷の放出時間が自動的に延長され、安定してアイスディスペンサ10の定量放出動作を実行することができる。
【0060】
このように、本実施の形態6のアイスディスペンサ10は、氷を放出する氷流出口15aを有するストッカ15と、ストッカ15の氷流出口15aを開閉するシャッタ装置17と、ストッカ15の氷を撹拌するアジテータ15cと、アジテータ15cを駆動するモータ13cと、モータ13cの回転数を検知するロータリーエンコーダ13eと、シャッタ装置17及びモータ13cの駆動を制御する制御装置35とを備える。そして、制御装置35は、予め設定された氷流出口15aから放出される氷の放出量と、氷流出口15aの氷の放出開始時からのモータ13cの合計回転数とに基づいて、氷流出口15aを開放するシャッタ装置17の開放時間を制御するため、シャッタ装置17の開放中に実際にモータ13cが回転した合計回転数に基づいて氷の放出量が決定され、アイスディスペンサ10の定量放出動作における氷の放出量を安定的且つ正確な放出量にすることができる。
【0061】
なお、本発明の実施の形態1~6では、製氷部13は冷凍ケーシング13aの内側に設けられたオーガ13bを有していたが、これに限定されるものではなく、セル方式など他の方式の製氷部を用いてもよい。
【0062】
また、本発明の実施の形態1~6で用いられる、シャッタ装置17による氷流出口15aの開放時間の制御及びその制御のための構成は、実施の形態1~6を適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 アイスディスペンサ、13c モータ、13e ロータリーエンコーダ(回転数検知部)、15 ストッカ(氷貯蔵タンク)、15a 氷流出口、15c アジテータ(撹拌部材)、17 シャッタ装置、31 設定部、35 制御装置、43 降圧トランス(周波数検知部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6