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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110438
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ポリチタノキサン
(51)【国際特許分類】
   C08G 79/00 20060101AFI20230802BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230802BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20230802BHJP
   C08L 85/00 20060101ALI20230802BHJP
   C08F 283/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
C08G79/00
C08K3/013
C08K5/103
C08L85/00
C08F283/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011887
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000214250
【氏名又は名称】ナガセケムテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】中小路 大起
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
4J030
【Fターム(参考)】
4J002CQ031
4J002DE136
4J002EH077
4J002FD016
4J002FD158
4J002GP00
4J002HA01
4J026AB46
4J026AC27
4J026BA28
4J026DB36
4J026FA09
4J026GA07
4J030CA02
4J030CB02
4J030CB03
4J030CB04
4J030CB13
4J030CB14
4J030CC21
4J030CE02
4J030CG04
4J030CG06
(57)【要約】
【課題】柔軟性、貯蔵安定性、屈折率などの光学特性に優れ、柔軟な構造を有し、貯蔵安定性に優れたポリチタノキサン、および、該ポリチタノキサンを含み、厚膜化が容易で膜収縮が少なく、インプリント性にも優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサンに関する。また、(A)水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサンに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサン。
【請求項2】
(A)水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサン。
【請求項3】
重縮合反応が実質的に水の非存在下で行われる請求項1または2に記載のポリチタノキサン。
【請求項4】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、Xは-O-、-S-、-COO-、または、-OCO-であり、Zは水酸基、チオール基、および、カルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物から前記2個以上の官能基のうちの2個を除いた残基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~12のアルキル基、または、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーから水酸基を除いた残基であり、tは0~100の整数、sは1、xは1~1000の整数である。)
で表される構造単位を含む請求項2または3に記載のポリチタノキサン。
【請求項5】
上記一般式(1)のZが、一般式(2)
【化2】
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、脂環式炭化水素基であり、mは0~100の整数、yは1~1000の整数で表される構造単位を含む)
で表される構造単位を含む請求項4に記載のポリチタノキサン。
【請求項6】
上記一般式(1)のZが、一般式(3)
【化3】
(式中、Rは、主鎖にヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基またはアリレン基であり、zは1~1000の整数である)
で表される構造単位を含む請求項4または5に記載のポリチタノキサン。
【請求項7】
ケイ素原子数に対するチタン原子数の比率が0.6以上である請求項5に記載のポリチタノキサン。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリチタノキサン、硬化性樹脂、及び、溶剤を含む樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリチタノキサン、無機酸化物微粒子、及び溶剤を含む樹脂組成物。
【請求項10】
インプリント用途に使用する請求項8または9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
(A)水酸基、チオール基又はカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドとを重縮合反応させる工程(1)、および、
前記工程で得られた重縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを反応させる工程(2)
とを含む請求項1~6のいずれか1項に記載のポリチタノキサンの製造方法。
【請求項12】
工程(1)を、水の非存在下で行う請求項11に記載のポリチタノキサンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリチタノキサン、及び、該ポリチタノキサンを含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズ、回折光学素子等の光学素子の小型化や製造プロセスの簡略化から、露光や現像といった複数の工程を必要とする電子線リソグラフィーの代わりに、鋳型を基板に押し付け、鋳型の形状を転写することでサブミクロン以下の微細加工を行うインプリント法が用いられてきている(特許文献1~3)。このようなインプリント法には、インプリントプロセスで加工可能で、高透明・高屈折率を示す樹脂材料が求められている。屈折率を上げるためには芳香環を有する化合物や高屈折無機材料の含有量を増やす必要があるが、UVインプリントプロセスに適用可能な粘度を有し、良好な光学特性を有する硬化物を提供する組成物の開発には至っていなかった。
【0003】
ところで、ポリチタノキサンは屈折率が高く、光学デバイスの反射防止膜などの光学膜として使用されている。たとえば、特許文献4には、ポリチタノキサンとしてアルコキシチタンの縮合物が開示され、マイクロレンズ、光導波路、反射防止膜、太陽電池や有機EL発光素子の光取り込み/取り出し効率改善層、LED用封止材及びLED用チップコート材等の光学部材、表示装置に使用される保護膜や絶縁膜、タッチパネル配線保護膜として有用であることが記載されている。しかしながら、チタノキサンは柔軟性に乏しく、貯蔵安定性が低く、該ポリチタノキサンを前述したインプリント法に適用しても、インプリント性にも劣るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005-527110号公報
【特許文献2】特開2016-160285号公報
【特許文献3】国際公開第2008/105309号明細書
【特許文献4】特開2016-153451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、柔軟性、貯蔵安定性、屈折率などの光学特性に優れ、柔軟な構造を有し、貯蔵安定性に優れたポリチタノキサン、および、該ポリチタノキサンを含み、厚膜化が容易で膜収縮が少なく、インプリント性にも優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、モノマー成分に着目して種々検討したところ、チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサンを重縮合すると、柔軟性、貯蔵安定性、屈折率などの光学特性に優れ、膜収縮率の低い膜が得られ、インプリント性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサンに関する。
【0008】
また、本発明は、(A)水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるポリチタノキサンに関する。
【0009】
重縮合反応が実質的に水の非存在下で行われることが好ましい。
【0010】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、Xは-O-、-S-、-COO-、または-OCO-であり、Zは水酸基、チオール基、および、カルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物から前記2個以上の官能基のうちの2個を除いた残基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~12のアルキル基、または、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーから水酸基を除いた残基であり、tは0~100の整数、sは1、xは1~1000の整数である。)
で表される構造単位を含むことが好ましい。
【0011】
上記一般式(1)のZが、一般式(2)
【化2】
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、脂環式炭化水素基であり、mは0~100の整数、yは1~1000の整数で表される構造単位を含む)
で表される構造単位であることが好ましい。
【0012】
上記一般式(1)のZが、一般式(3)
【化3】
(式中、Rは、主鎖にヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、または、アリレン基であり、zは1~1000の整数である)
で表される置換基であることが好ましい。
【0013】
ケイ素原子数に対するチタン原子数の比率が0.6以上であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記ポリチタノキサン、硬化性樹脂、及び、溶剤を含む樹脂組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、前記ポリチタノキサン、無機酸化物微粒子、及び溶剤を含む樹脂組成物に関する。
【0016】
インプリント用途に使用することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、(A)水酸基、チオール基、およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドとを重縮合反応させる工程(1)、および、
前記工程で得られた重縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを反応させる工程(2)
とを含む前記ポリチタノキサンの製造方法に関する。
【0018】
工程(1)を、水の非存在下で行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリチタノキサンは、高屈折率、高透過性等の光学特性に優れており、さらに柔軟な構造を有し、貯蔵安定性に優れ、インプリント性にも優れているのでインプリント用途に好適に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<ポリチタノキサン1>
本発明のポリチタノキサンは、(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるものであることを特徴とする。
【0021】
チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)において、チタンアルコキシドとしては、下記一般式で表されるものを使用することができる。
Ti(OR
(式中、Rは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
のアルキル基の炭素数は1~12であるが、1~6が好ましく、1~4がさらに好ましい。アルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。一般式(1)においてORで示される4つの基は互いに異なっていても、同じでもよい。
【0022】
具体的なチタンアルコキシドとしては、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソシド、テトラターシャリーブチルチタネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物は、一般式(1)で表されるチタンアルコキシド同士の縮合物であれば特に限定されず、例えば、テトラノルマルブトキシチタンテトラマー(4量体)、テトラノルマルブトキシチタンヘプタマー(7量体)、テトラノルマルブトキシチタンデカマー(10量体)等が挙げられる。チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物の重合度は2~12が好ましい。
【0024】
チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物は、例えば、チタンアルコキシドを、特開2008-156280号公報等、既存の手法で加水分解縮合させることにより得られたものが挙げられる。チタンアルコキシドとしては、前述した化合物を使用することができる。これらのチタンアルコキシドは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して加水分解部分縮合してもよい。また、チタンアルコキシドを少なくとも1種含んでいれば、チタンアルコキシドではないアルコキシシランを併用して加水分解部分縮合してもよい。
【0025】
水酸基を有する重合性官能基含有モノマー(C)としては、たとえば、水酸基を有するエチレン性不飽和基含有モノマーが挙げられる。エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが挙げられる。また、重合性官能基を二個以上有していてもよく、たとえば、多官能(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物、多官能(メタ)アクリルアミド系化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル系化合物、多官能芳香族ビニル系化合物等の化合物に水酸基が含むものが挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性-グリシジル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイル-オキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。なかでも、塗布後の流動性が良く、硬化後の未反応モノマーが少ないという点で、重合性官能基が一個である水酸基を有する重合性官能基含有モノマーが好ましく、特に、ペンタエリスリトールアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)などが好ましい。
【0026】
水酸基を有する重合性官能基含有モノマー(C)に対するチタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)との反応割合は、質量比で、0.1~100が好ましく、0.5~10がより好ましい。100を超えると、チタンアルコキシド由来のアルコキシドが残存し膜収縮しやすくなり0.1未満では、ポリチタノキサン中のチタンアルコキシド由来の構造の割合が減少し、屈折率が著しく低下する傾向がある。
【0027】
<ポリチタノキサン2>
本発明のポリチタノキサンは、(A)水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを重縮合反応して得られるものであることを特徴とする。
【0028】
水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物(A)としては、ジフェニルシランジオール、ジメチルシランジオール、ジ-イソプロピルシランジオール、ジ-n-プロピルシランジオール、ジ-n-ブチルシランジオール、ジ-t-ブチルシランジオール、ジ-イソブチルシランジオール、フェニルメチルシランジオールおよびジシクロヘキシルシランジオールなどの水酸基を2個以上有するシラノール、ビス(2-メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2-メルカプトプロピル)スルフィドなどのチオール基を2以上有するチオール化合物、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジチオジエタノール、1,2-ビス(2-ヒドロキシエチルチオ)エタン等の脂肪族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分岐状の脂肪族アルコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスシクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ジヒドロシクロペンタン、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジメタノール、アダマンタンエタンジオール等の環状の脂肪族アルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール、1-メチルアミノ-2,3-プロパンジオール等のアミノ基を有する脂肪族アルコール、ビスフェノールA、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンやその誘導体、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等の芳香族アルコール、ブタンジオールエポキシアクリレート、ヘキサンジオールエポキシアクリレート、トリメチロールプロパンエポキシアクリレート等のエポキシアクリレート、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオール、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)等のイソシアヌル酸誘導体、イソソルビド等の水酸基を2以上有するアルコール、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルタミン酸、テレフタル酸、マレイン酸、ジグリコール酸、3,3‘-ジチオジプロピオン酸、2,2’-チオジグリコール酸等のカルボキシル基を2個以上有する化合物、メルカプト酢酸等のカルボキシル基とチオール基をともに有する化合物、チオ2,5-ジヒドロキシ-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、4,4‘-ジチオジフェノール等の、スルフィド基を有しつつ分子内に水酸基を2以上有する化合物、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールなどの水酸基とチオール基をともに有する化合物などが挙げられる。なかでも、光学特性に優れる点でシラノール、チオール化合物、スルフィド基を有しつつ水酸基を2以上有するアルコール、水酸基とチオール基をともに有する化合物が好ましく、ジフェニルシランジオール、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、2,2’-チオジグリコール酸などが特に好ましい。
【0029】
チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)、水酸基を有する重合性官能基含有モノマー(C)は、前述した通りである。
【0030】
有機化合物(A)とチタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)の反応割合は、チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)1当量に対して、有機化合物(A)は0.01~10当量が好ましく、0.1~5当量がより好ましい。10当量を超えると、反応溶液のゲル化や白化による透明性の低下が発生しやすくなり、0.01当量未満では、塗膜の透明性の低下する傾向がある。
【0031】
水酸基を有する重合性官能基含有モノマー(C)に対するチタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)との反応割合は、質量比で、0.1~100が好ましく、0.5~10がより好ましい。100を超えると、チタンアルコキシド由来のアルコキシドが残存し膜収縮しやすくなり0.1未満では、ポリチタノキサン中のチタンアルコキシド由来の構造の割合が減少し、屈折率が著しく低下する傾向がある。
【0032】
ポリチタノキサンが有機化合物(A)としてシラノール等のケイ素原子を含む化合物を使用する場合、ポリチタノキサンのケイ素原子数に対するチタン原子数の比率は特に限定されないが、下限は0.6以上が好ましく、1以上がより好ましい。0.6未満では、架橋密度が高くなり反応溶液のゲル化や白化による透明性の低下が発生しやすくなる傾向がある。上限は、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。20を超えると、低分子量体の増加により塗膜の透明性が下がる傾向がある。
【0033】
前記ポリチタノキサンは、
下記一般式(1)
【化4】
【0034】
(式中、Xは-O-、-S-、-COO-、または、-OCO-であり、Zは水酸基、チオール基、および、カルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物から前記2個以上の官能基のうちの2個を除いた残基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~12のアルキル基、または、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーから水酸基を除いた残基であり。tは0~100の整数、sは1であり、xは1~1000の整数である。)
で表される構造単位を含むことが好ましい。ここで、ポリチタノキサンは、一般式(1)の構造以外に、他の構造を有していても良い。
【0035】
は、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル基であるが、反応性と貯蔵安定性の点で、メチル基、エチル基、プロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基が好ましい。
【0036】
tは0~100の整数であるが、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。100を超えると、塗膜作製時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。xは1~1000の整数である。3~100が好ましく、5~50がより好ましい。1000を超えると、反応溶液のゲル化や白化により透明性が低下しやすくなる傾向がある。
【0037】
残基Zとなる水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物としては、前述した化合物が挙げられる。残基Zが、下記一般式(2)
【化5】
【0038】
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、脂環式炭化水素基であり、mは0~100の整数、yは1~1000の整数で表される構造単位を含む)で表される構造単位を含むことが好ましい。ここで、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましい。mは、1~100が好ましく、yは、1~1000が好ましく、1~10がより好ましい。
【0039】
また、残基Zが、下記一般式(3)
【化6】
【0040】
(式中、Rは、主鎖にヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、または、アリレン基であり、zは1~1000の整数である)
で表される構造単位を含むことが好ましい。ここで、ヘテロ原子としては、酸素、硫黄、窒素などが挙げられる。アルキレン基、シクロアルキレン基またはアリレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。zは、1~50が好ましく、1~10がより好ましい。
【0041】
本発明のポリチタノキサンは、下記一般式(4)
【化7】
【0042】
(式中、Xは-O-、-S-、-COO-、または、-OCO-であり、Rは、それぞれ独立して炭素数1~12のアルキル基、または、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーから水酸基を除いた残基であり、tは0~100の整数である。)
で表される構造単位を含むことが好ましい。
【0043】
はそれぞれ独立して炭素数1~12のアルキル基、または、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーから水酸基を除いた残基である。Rが、アルキル基の場合、炭素数は1~6が好ましく、1~4がさらに好ましい。アルキル基の具体例としては前述したものが挙げられる。一般式(4)においてORで示される4つの基は互いに異なっていても、同じでもよく、反応性やゲル化防止の点で、メチル基、エチル基、プロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基が好ましい。Rが、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーから水酸基を除いた残基の場合、具体例としては前述したものが挙げられるが、塗布後の流動性が良く、硬化後の未反応モノマーが少ないという点で、重合性官能基が一個である水酸基を有する重合性官能基含有モノマーが好ましく、特に、ペンタエリスリトールアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)などが好ましい。tは0~100の整数であるが、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。100を超えると塗膜作製時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0044】
本発明のポリチタノキサンは、下記一般式(5)
【化8】
【0045】
(式中、Xは-O-、-S-、-COO-、または、-OCO-であり、Zは水酸基、チオール基、および、カルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物から前記2個以上の官能基のうちの2個を除いた残基である。sは1~100の整数である。)
で表される構造単位を含むことが好ましい。残基Zとなる水酸基、チオール基、および、カルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物としては、前述した化合物が挙げられるが、光学特性に優れる点でシラノール、チオール化合物、スルフィド基を有しつつ水酸基を2以上有するアルコール、水酸基とチオール基をともに有する化合物が好ましく、ジフェニルシランジオール、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、2,2’-チオジグリコール酸などが特に好ましい。sは1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
【0046】
ポリチタノキサンが一般式(5)で表される構造体単位を含む場合、ポリチタノキサン中のケイ素原子数に対するチタン原子数の比率は特に限定されないが、下限は0.6以上が好ましく、1以上がより好ましい。0.6未満では、架橋密度が高くなり反応溶液のゲル化や白化による透明性の低下が発生しやすくなる傾向がある。上限は、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。20を超えると、低分子量体の増加により塗膜の透明性が下がる傾向がある。
【0047】
本発明の前記ポリチタノキサンの製造方法は、
(A)水酸基、チオール基およびカルボキシル基から選択される1種以上の官能基を2個以上有する有機化合物と、(B)チタンアルコキシドとを重縮合反応させる工程(1)、および、
前記工程で得られた重縮合物と、(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとを反応させる工程(2)
とを含むことを特徴とする。
【0048】
工程(1)における重縮合反応は、以下の反応式で表される。有機化合物(A)とチタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)を交互共重合する点が大きな特徴となる。その結果、貯蔵安定性、厚膜化、流動性に優れている。
【化9】
【0049】
ポリチタノキサンの重縮合反応は、水の存在下で行っても良いが、実質的に水の非存在下で行うことが好ましい。実質的に水の非存在下で行うことによって、有機化合物(A)とチタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物(B)とが交互に反応し、本発明のポリチタノキサンが製造できるという効果を奏する。ここで、実質的に非存在下とは、系中に存在する水の量が反応溶液全体に対して1質量%以下であることを意味し、0.01質量%以下が好ましい。
【0050】
ポリチタノキサンの重縮合反応は、アルカリ性条件下でも酸性条件下でも行うことができるが、反応速度の制御の点で、中性で行うことが好ましい。ここで、反応系中のpHは、4~10が好ましく、6~8がより好ましい。pHが4未満では反応溶液のゲル化や白化による透明性の低下が発生しやすくなり、10を超えると反応溶液のゲル化や白化による透明性の低下が発生しやすくなる傾向がある。酸性にするための試薬としては、特に限定されないが、原料由来の酸以外に酢酸、シュウ酸、乳酸、ギ酸、クエン酸などが挙げられる。アルカリ性にするための試薬としては、特に限定されないが、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、モノメエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0051】
反応温度は特に限定されないが、好ましくは25~200℃、より好ましくは30~150℃、さらに好ましくは40~120℃である。反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.1~72時間、より好ましくは0.1~48時間、さらに好ましくは0.1~36時間である。
【0052】
縮合反応は、溶剤を使用せずに行ってもよいが、必要に応じて水以外の溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール等のトリオール類;テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。これらの中では、加水分解部分縮合物を効率的に形成できることから、アルコール類、グリコール類、トリオール類等の水溶性有機溶剤が好ましく、アルコール類、グリコール類が特に好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
溶剤の配合量としては、チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物100重量部に対し、1~50000重量部が好ましく、10~5000重量部がより好ましく、20~1000重量部がさらに好ましい。
【0054】
工程(2)における水酸基を有する重合性官能基含有モノマーとの反応は、溶剤を使用せずに行ってもよいが、必要に応じて水以外の溶剤を使用してもよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール等のトリオール類;テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。これらの中では、加水分解部分縮合物を効率的に形成できることから、エーテル類、芳香族炭化類、ケトン類等のチタノキサンと反応性が低い非プロトン性有機溶剤が好ましく、エーテル類が特に好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前記ポリチタノキサン、硬化性樹脂、及び、溶剤を含むことを特徴とする。
【0056】
硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、ベンゼン環を多数有した多官能型であるテトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型又はトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、ビフェニル型、トリフェノールメタン型、ナフタレン型、オルソノボラック型、ジシクロペンタジエン型、アミノフェノール型、フルオレン型、脂環式等のエポキシ樹脂、シリコーンエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン等のアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルまたは1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物や、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン等のフルオレンを有するエポキシ化合物、メラミン等が挙げられる。
【0057】
重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤等を使用できる。これらの重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上の重合開始剤、例えば、2種以上の光ラジカル重合開始剤又は2種以上の熱ラジカル重合開始剤を併用してもよく、あるいは、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤を併用してもよい。
【0058】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0059】
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)バラレート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トルイルパーオキサイド等を挙げることが出来る。
【0060】
硬化性樹脂の配合量は、ポリチタノキサン100質量部に対して、1~1000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。1000質量部を超えると、屈折率が著しく低下する傾向があり、1質量部未満では、インプリント性が低下する傾向がある。
【0061】
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)等のエチレングリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、エチレングリコールエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ケトン類及びエステル類が好ましく、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びメチルアミルケトンがより好ましい。これらの溶剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0062】
組成物の固形分率は、特に限定されないが、2~85重量%が好ましく、5~70重量%がより好ましく、10~50重量%がさらに好ましく、13~30重量%が特に好ましい。上記範囲内であると、分散安定性、インプリント性に優れ、十分な膜厚が得られる。
【0063】
また、本発明の樹脂組成物は、前記ポリチタノキサン、無機酸化物微粒子、及び溶剤を含むことを特徴とする。
【0064】
無機酸化物微粒子は特に限定されないが、例えば、1種の金属元素から構成される金属酸化物や、2種以上の金属元素から構成される複合金属酸化物が挙げられる。1種の金属元素から構成される金属酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe、FeO、Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In、InO)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO、W)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO、Ce)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ゲルマニウム(GeO、GeO)等が挙げられる。これらの無機酸化物微粒子は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。無機微粒子は、入手の容易さ、屈折率等の光学特性の調整が容易であることから、酸化ジルコニウム、酸化チタンが好ましい。
【0065】
2種以上の金属元素から構成される複合酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、チタン/ケイ素複合酸化物、イットリウム安定化ジルコニア等が挙げられる。このような複合酸化物は、多成分の元素からなる化合物や固溶体だけではなく、核となる金属酸化物微粒子の周囲を他の金属元素で構成される金属酸化物で被覆したコアシェル構造を有するもの、1個の金属酸化物微粒子の中に他の複数の金属酸化物微粒子が分散しているような多成分分散型の構造を有するものを包含する。
【0066】
無機酸化物微粒子の一次粒子径は特に限定されないが、1~50nmが好ましく、5~30nmがより好ましい。1nm未満であると、無機酸化物微粒子の比表面積が大きく、凝集エネルギーが高いため、分散安定性を保つことが困難となることがある。一方、50nmを超えると、薄膜や成形体中の無機酸化物微粒子による光の散乱が激しくなり、透明性を高く維持できないことがある。なお、一次粒子径は、SEM、TEM等の電子顕微鏡や、比表面積からの換算で測定することができる。
【0067】
また、無機酸化物微粒子は、樹脂組成物の固形分中、25~80重量%が好ましく、30~80重量%がより好ましく、35~75重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、インプリント性に優れ、光学特性に求められる光学特性を十分に満足する。
【0068】
溶剤としては、前述したものを使用することができる。組成物の固形分率は、特に限定されないが、2~85重量%が好ましく、5~70重量%がより好ましく、10~50重量%がさらに好ましく、13~30重量%が特に好ましい。上記範囲内であると、分散安定性、インプリント性に優れ、十分な膜厚が得られる。
【0069】
本発明の樹脂組成物には、前述した成分に加えて、任意に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、レベリング剤、界面活性剤、光増感剤、消泡剤、中和剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0070】
レベリング剤としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。
【0071】
本発明の樹脂組成物は、前述のポリチタノキサンを含むことにより、インプリント性に優れているため、インプリント用途に好適に使用することができる。該樹脂組成物から作製したインプリント基板は、光学コーティング塗膜、光学部材や成形体の形で、光学デバイス、半導体デバイス、表示デバイス等に好適に用いることができる。具体例としては、例えば、有機EL、タッチパネル、タッチセンサ、液晶ディスプレイ、CMOS、太陽電池、トランジスタ、発光ダイオード、メモリ、IC、LSI、CPU、RFID 、CCD、プリント配線板、半導体用実装基板、光導波路、光学フィルター、反射防止膜、レンズ、プリズム、ミラー、レーザー、共振器、PDP、電子ペーパー、MEMS等が挙げられる。
【実施例0072】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。以下に、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
【0073】
(A)水酸基またはチオール基を2以上有する有機化合物
ジフェニルシランジオール (DPSD)
ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド(BMES)
【0074】
(B)チタンアルコキシドまたはその加水分解部分縮合物
テトラ(tert-ブトキシ)チタン(単量体)
チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物4量体(合成例1で製造)
チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物10量体(合成例2で製造)
【0075】
(C)水酸基を有する重合性官能基含有モノマー
ペンタエリスリトールアクリレート(M933、東亞合成株式会社製)
フェノール系エポキシアクリレート(DA-141、ナガセケムテックス株式会社製)
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、昭和電工株式会社製)
【0076】
(無機微粒子)
・酸化チタン分散体(チタンA):ELCOM TAS-25CL、日揮触媒化成株式会社製
・酸化チタン分散体(チタンB):SRD-K、堺化学工業株式会社製
【0077】
(バインダ)
・フルオレン骨格エポキシ樹脂(オグソールEA-0200)(大阪ガスケミカル株式会社製)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(新中村化学工業株式会社製)
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)(ダイセル・オルネクス株式会社製)
【0078】
(開始剤)
・Irgacure184
(溶剤)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(昭和電工株式会社製、PGME)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(株式会社ダイセル製、PGMEA)
【0079】
合成例1(4量体)
1Lのセパラブルフラスコに、テトライソプロポキシチタンを284g(1モル)仕込んだ。攪拌しながら、264.3g(3モル)のtert-ペンチルアルコールに水を9g(0.9モル)溶解させた溶液を滴下して、30分間還流した。その後、常圧及び減圧(40mmHg)により、イソプロピルアルコールを系外に留去して、チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物を288g得た(収率91%)。
【0080】
合成例2(10量体)
1Lのセパラブルフラスコに、テトラ(tert-ブトキシ)チタンを340g(1モル)仕込んだ。攪拌しながら、370g(5モル)のtert-ブタノールに水を16.2g(0.9モル)溶解させた溶液を滴下して、30分間還流した。その後、常圧及び減圧(40mmHg)により、tert-ブタノールを系外に留去して、チタンアルコキシドの加水分解部分縮合物を220g得た(収率99%)。
【0081】
実施例1~8
工程(1)
(A)有機化合物と(B)チタンアルコキシドを表1に記載の等量となるように混合し、60℃で150分間反応させてポリチタノキサンを作製した。
【0082】
工程(2)
表1に記載の(C)重合性官能基含有モノマーを、表1に記載の量を用い、60℃で80hPaの減圧下で120分反応させて、本発明のポリチタノキサンを作製した。
【0083】
実施例9
工程(1)
室温条件下、100mLナスフラスコに、テトラブトキシチタンテトラマー(合成例1)を10.0g(10.0ミリモル)とIPAを20g加え、80℃まで昇温し、60分攪拌し、水を0.37g(20.6ミリモル)とIPAを20gで混合させた水溶液を30分間ゆっくり滴下した。その後、80℃のまま120分攪拌し、室温に冷却した後にPEGMEA溶液を100g加え、IPA、水、チタンオリゴマー由来のアルコールを減圧留去することでポリチタノキサンを作製した。
【0084】
工程(2)
表1に記載の(C)重合性官能基含有モノマーを、表1に記載の量を用い、60℃で80hPaの減圧下で120分反応させて、本発明のポリチタノキサンを作製した。
【0085】
比較例1
室温条件下、100mLナスフラスコに、テトラブトキシチタンテトラマー(合成例1)を10.0g(10.0ミリモル)とIPAを20g加え、80℃まで昇温し、60分攪拌し、水を0.37g(20.6ミリモル)とIPAを20gで混合させた水溶液を30分間ゆっくり滴下した。その後、80℃のまま120分攪拌し、室温に冷却した後にPEGMEA溶液を100g加え、IPA、水、チタンオリゴマー由来のアルコールを減圧留去することでポリチタノキサンを作製した。
【0086】
実施例および比較例で作製したポリチタノキサンは、以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
【0087】
<柔軟性>
得られたポリチタノキサン、及び樹脂組成物を、スピンコート法を用いて、0.7mmの白板ガラス基板上に塗布し、80℃2分で溶剤を乾燥させ、3μmの塗膜を得た。次に、幅500nm、深さ500nmのL/Sパターンが形成されたポリジメチルシロキサン製の原版を、室温下、圧力10barで押圧し、Obducat社製 Eitre3を用いて1000mJ/cm2で硬化した後、パターンを取り除いて硬化物を得た。転写されたパターンをSEMにて観察し、下記の基準により3段階でインプリント性を評価した。
○:パターンがきれいに転写されており、インプリント性良好である。
△:パターンが転写されているが、欠け、及び/又は、変形が認められる。
×:深さ方向にモールドが入らずパターンが転写されなかった。
【0088】
<貯蔵安定性>
ポリチタノキサン、及び樹脂組成物を入れ密封保管した容器を室温に静置し、目視観察を行い、以下の基準で評価した。
〇:3か月後外観変化なし
△:3か月後外観変化あり
×:1週間後外観変化あり
【0089】
<厚膜性>
ポリチタノキサン、及び樹脂組成物をPGMEで任意の割合で希釈し、白板ガラス基板にスピンコートにて塗布し、150℃30分間加熱乾燥することにより成膜した。ポリチタノキサンの希釈濃度とスピンコート法の回転数を調節することで1μmと2μmの膜を成膜し、目視観察を行い、以下の基準で評価した。
〇:2μmでクラックなし
△:2μmでクラック発生
×:1μmでクラック発生
【0090】
<粘度>
ポリチタノキサンを溶剤で希釈せずE型粘度計を用いて、以下の基準で評価した。
〇:50000mPaS未満
△:50000mPaS以上
×:測定不可
【0091】
<屈折率>
ポリチタノキサン、及び樹脂組成物をPGMEで任意の割合で希釈し、スピンコート法を用いてシリコン基板に塗布した後100℃2分間乾燥させることで、200nmの膜厚の薄膜を形成し、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製、M-2000C)により589nmでの屈折率を測定した。
【0092】
<ヘイズ>
ポリチタノキサン、及び樹脂組成物をスピンコート法を用いて白板ガラス基板に塗布した後、100℃2分間乾燥し、150℃で30分間、熱風乾燥器に保管させることで2000nmの膜厚の薄膜を形成した。この塗膜基板をJIS K7150に従い、ヘイズコンピュータ(スガ試験機社製、HGM-2B)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
○ 0.00以上~0.03未満
△ 0.03以上~0.10未満
× 0.10以上
【0093】
<膜収縮率>
ポリチタノキサン、及び樹脂組成物をスピンコート法を用いてシリコン基板に塗布した後、100℃で2分間乾燥させることで200nmの膜厚の薄膜を形成した。分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン株式会社製、M-2000C)を用い初期膜厚を測定した。その後、150℃で30分間、熱風乾燥器に保管し、エリプソメーターを用い残膜厚を測定した。前後の膜厚から、以下の式により膜収縮率を計算した。
(膜収縮率)=100-(残膜厚)/(初期膜厚)×100
【0094】
【表1】
【0095】
表1の結果から、比較例と比較して、実施例のポリチタノキサンでは、柔軟性、貯蔵安定性が優れており、成膜後の膜収縮率が低いため耐クラック性に優れ厚膜化が可能になっている。
【0096】
実施例10~22および比較例2
表2に示す配合量の各成分を混合し、樹脂組成物を作製した。前述した方法で各物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2の結果から、比較例と比較して、実施例の樹脂組成物では、柔軟性、貯蔵安定性が優れており、成膜後の膜収縮率が低いため耐クラック性に優れ厚膜化が可能になっている。