(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110450
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】セキュリティセンサ及び施解錠装置
(51)【国際特許分類】
E05B 41/00 20060101AFI20230802BHJP
G08B 5/36 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
E05B41/00 F
E05B41/00 E
G08B5/36 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011915
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】新倉 謙治
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
【テーマコード(参考)】
5C083
【Fターム(参考)】
5C083AA02
5C083CC11
5C083DD12
5C083FF03
5C083JJ30
(57)【要約】
【課題】複数種類の施解錠装置に対応可能なセキュリティセンサを提供するとともにセキュリティセンサを備えた施解錠装置を提供する。
【解決手段】複数種類の施解錠装置に関する解錠方向及び解錠角のうち、特定の施解錠装置に関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定する錠指定部と、施解錠装置の回動角を検出し、回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、錠指定部で指定された解錠方向及び解錠角を回動センサから入力される回動角とを比較することにより施解錠装置の解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、報知信号に基づいて施解錠装置の解錠を外部に報知する報知部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の施解錠装置に関する解錠方向及び解錠角のうち、特定の前記施解錠装置に関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定する錠指定部と、
前記施解錠装置の回動角を検出し、当該回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、
前記錠指定部で指定された前記解錠方向及び前記解錠角を前記回動センサから入力される前記回動角とを比較することにより前記施解錠装置の解錠を判定し、当該判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、
前記報知信号に基づいて前記施解錠装置の解錠を外部に報知する報知部と、
を備えるセキュリティセンサ。
【請求項2】
前記錠指定部は、ディップスイッチである請求項1に記載のセキュリティセンサ。
【請求項3】
前記解錠判定部は、マイコンである請求項1または2に記載のセキュリティセンサ。
【請求項4】
前記解錠判定部は、第1の報知信号を生成し、
前記報知部は、前記第1の報知信号を変調して送信信号を生成するRF回路と、前記送信信号を電波として空中に放射するアンテナとを備える請求項1~3のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ。
【請求項5】
前記解錠判定部は、第2の報知信号を生成し、
前記報知部は、前記第2の報知信号に基づいて発光するLED(Light Emitting Diode)である請求項1~4のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のセキュリティセンサが組み込まれた施解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティセンサ及び施解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレセント錠やカムラッチ等、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う各種の施解錠装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施解錠装置は、種類に応じて回動方向や回動角が異なっている。施解錠装置にセキュリティセンサを組み込む場合、種類毎に異なる仕様のセキュリティセンサを用意する必要がある。
【0005】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数種類の施解錠装置に対応可能なセキュリティセンサの提供及びセキュリティセンサを備えた施解錠装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、複数種類の施解錠装置に関する解錠方向及び解錠角のうち、特定の施解錠装置に関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定する錠指定部と、施解錠装置の回動角を検出し、回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、錠指定部で指定された解錠方向及び解錠角を回動センサから入力される回動角とを比較することにより施解錠装置の解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、報知信号に基づいて施解錠装置の解錠を外部に報知する報知部とを備えるセキュリティセンサである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】施解錠装置A及びセキュリティセンサBの機能構成を示すブロック図である。
【
図2A】施解錠装置Aの種類を示す第1の模式図である。
【
図2B】施解錠装置Aの種類を示す第2の模式図である。
【
図2C】施解錠装置Aの種類を示す第3の模式図である。
【
図4】セキュリティセンサBの動作を示すフローチャートである。
【
図5A】施解錠装置Aの動作を示す第1の模式図である。
【
図5B】施解錠装置Aの動作を示す第2の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る施解錠装置Aは、建屋の出入口や窓等に装着され、不審者の建屋への侵入を防止する機械的な防犯装置であり、
図1に示すようにセキュリティセンサBが内蔵されている。施解錠装置Aの種類には、
図2A~
図2Cに示すようにスマートクレセントX、スマートサムターンY及びスマートグレモンZ等がある。なお、施解錠装置Aの種類は、これらに限定されず、スマートカムラッチや様々なものが含まれる。
【0009】
スマートクレセントXは、
図2Aに示すように、基部x1と、内部にセキュリティセンサBが収容された操作レバーx2とを備える。スマートクレセントXは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーx2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0010】
スマートサムターンYは、
図2Bに示すように、基部y1と、内部にセキュリティセンサBが収容された操作レバーy2とを備える。スマートサムターンYは、主に開閉ドアの施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーy2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0011】
スマートグレモンZは、
図2Cに示すように、基部z1と、内部にセキュリティセンサBが収容されるとともにロック機能を備えた操作レバーz2とを備える。スマートグレモンZは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーz2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0012】
図示しないが、スマートカムラッチは、基部と、内部にセキュリティセンサBが収容されたロック機能を備えない操作レバーとを備える。スマートカムラッチは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーを操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0013】
セキュリティセンサBは、
図1に示すようにアルカリ乾電池B1及びセンサ基板B2を備えている。センサ基板B2は、図示するようにコネクタ1、DC/DCコンバータ2、3軸加速度センサ3、DIP_SW4、マイコン5、RF回路6、アンテナ7及びLED8を備えている。
【0014】
セキュリティセンサBは、防犯センサーとも呼ばれるものであり、建屋への侵入行為を発見するために建屋の出入口や窓等に装着される。セキュリティセンサBは、建屋の出入口や窓等に備えられる施解錠装置Aに内蔵されており、建屋への侵入行為を検出すると、侵入行為の検出を外部に通報する。
【0015】
アルカリ乾電池B1は、セキュリティセンサBの電源である。アルカリ乾電池B1は、例えば比較的小型な単4形あるいは単3形の乾電池であり、2本が直列接続されることによって3.0V(ボルト)の直流電力をセンサ基板B2に供給する。アルカリ乾電池B1をセキュリティセンサBの電源として採用するが、セキュリティセンサBの電源は、アルカリ乾電池B1に限定されない。
【0016】
セキュリティセンサBの電源は、トレードオフの関係にある外形の大きさ、電池容量及びセンサ基板B2の消費電力等を勘案して適宜選定されるものである。例えば、セキュリティセンサBの電源として、ボタン型電池や単4形あるいは単3形の二次電池を採用してもよい。
【0017】
センサ基板B2は、セキュリティセンサBの本体(センサ本体)である。センサ基板B2は、単層あるいは多層のプリント回路基板(電子回路基板)であり、アルカリ乾電池B1から給電される直流電力に基づいて所望の電気的性能(センサ機能)を発揮する。センサ基板B2は、直流電力に基づいて建屋への侵入行為を検出し、検出の結果を電波を用いて外部に通報する。
【0018】
コネクタ1は、アルカリ乾電池B1を機械的に収容・保持するとともに、アルカリ乾電池B1の正極及び負極に各々接触する一対の電源端子を備える。コネクタ1は、アルカリ乾電池B1の直流電力を一対の電源端子を介して受電し、DC/DCコンバータ2に出力する。
【0019】
DC/DCコンバータ2は、所定の電源線を介してコネクタ1と接続されており、コネクタ1及び電源線を介してアルカリ乾電池B1から給電される直流電力を昇圧する。DC/DCコンバータ2は、アルカリ乾電池B1から給電される3.0Vの直流電力(1次電力)を出力先であるマイコン5等の動作電源電圧(2次電圧)に電圧変換する電力変換器である。動作電源電圧(2次電圧)は例えば5Vである。
【0020】
3軸加速度センサ3は、施解錠装置Aの操作部に作用する重力加速度を検出する。3軸加速度センサ3は、直交する3軸つまりX軸とY軸とZ軸を感応方向とする加速度センサであり、X軸方向に作用する重力加速度、Y軸向に作用する重力加速度及びZ軸向に作用する重力加速度を各々検出する。3軸加速度センサ3は、検出結果であるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値をマイコン5に出力する。
【0021】
X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値は、施解錠装置Aにおける操作部の回動角θを示す物理量である。解錠するために施解錠装置Aを回動操作した場合、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値は、回動方向(左あるいは右)及び回動角θに応じて特異に変化する。
【0022】
X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値の変化における符号(正あるいは負)は、操作部の回動方向を示すものであり、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値の変化における値(変化量)は、操作部の回動角θを示すものである。3軸加速度センサ3は、施解錠装置Aの回動角θを検出し、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を回動角θを示す検出信号として出力する回動センサである。
【0023】
DIP_SW4は、一対の外部接続端子を備えた複数のスライドスイッチが一体に収容された電子部品であり、ディップスイッチと呼称される。DIP_SW4は、スライドスイッチの個数が「3」であり、2進数の3ビットに対応している。DIP_SW4は、2進数の第1ビットに対応する第1のスライドスイッチ、2進数の第2ビットに対応する第2のスライドスイッチ、また2進数の第3ビットに対応する第3のスライドスイッチを備えている。
【0024】
第1~第3のスライドスイッチにおいて、開状態は例えば2進数の「1」に相当し、閉状態は2進数の「0」に相当する。第1~第3のスライドスイッチにおいて、一対の外部接続端子の非導通状態は2進数の「1」に相当し、一対の外部接続端子の導通状態は2進数の「0」に相当する。
【0025】
DIP_SW4の設定状態つまり第1~第3のスライドスイッチの設定状態(開閉状態)は、
図3に示すように施解錠装置Aの種類に対応している。第1~第3ビットがいずれも「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が8°のスマートクレセント(Left)に対応する。第1ビットが「1」かつ第2、第3ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が15°のスマートカムラッチ(Left)に対応する。
【0026】
第1、第3ビットが「0」かつ第2ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が10°のスマートグレモン(Left)に対応する。第1、第2ビットが「1」かつ第3ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が15°のスマートセキュリティーサムターン(Left)に対応する。第1、第2ビットが「0」かつ第3ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が右(Right)かつ解錠角が8°のスマートクレセント(Right)に対応する。
【0027】
第1、第3ビットが「1」かつ第2ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が右(Right)かつ解錠角が15°のスマートカムラッチ(Right)に対応する。第1ビットが「0」かつ第2、第3ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が右(Right )かつ解錠角が10°のスマートグレモン(Right)に対応する。第1~第3ビットがいずれも「1」に設定された状態については未設定であり、対応する施解錠装置Aの種類が設定されていない。
【0028】
スマートクレセント(Left)は、操作部を左(Left)側に回動させることによって施錠するクレセント錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。スマートカムラッチ(Left)は、操作部を15°左(Left)側に回動させることによって解錠するカムラッチ錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。
【0029】
スマートグレモン(Left)は、操作部を左(Left)側に10°回動させることによって施錠するグレモン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。スマートセキュリティーサムターン(Left)は、操作部を左(Left)側に12°回動させることによって施錠するサムターン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。
【0030】
スマートクレセント(Right)は、操作部を右(Right)側に8°回動させることによって施錠するクレセント錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。スマートカムラッチ(Right)は、操作部を右(Right)側に15°回動させることによって施錠するカムラッチ錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。スマートグレモン(Right)は、操作部を右(Right)側に10°回動させることによって施錠するグレモン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Aである。
【0031】
DIP_SW4は、複数種類の施解錠装置Aに関する解錠方向及び解錠角のうち、セキュリティセンサBが組み込まれる特定の施解錠装置Aに関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定する錠指定部であり、セキュリティセンサBを施解錠装置Aの内部に組付ける際に作業者によって適宜設定される。作業者は、スマートクレセント(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「000」に設定する。
【0032】
作業者は、スマートカムラッチ(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「001」に設定する。作業者は、スマートグレモン(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「010」に設定する。
【0033】
作業者は、スマートセキュリティーサムターン(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「011」に設定する。作業者は、スマートクレセント(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「100」に設定する。
【0034】
作業者は、スマートカムラッチ(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「101」に設定する。作業者は、スマートグレモン(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「110」に設定する。
【0035】
マイコン5は、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値並びにDIP_SW4の設定値に基づいて施解錠装置Aの施解錠つまり施錠あるいは解錠を判定する解錠判定部である。
【0036】
施解錠装置Aは、上述したように解錠するための操作部の回動方向つまり解錠方向が種類によって左(Left)と右(Right)とに異なる。施解錠装置Aは、解錠するための操作部の回動角θつまり解錠角についても種類によって異なる。
【0037】
マイコン5には、
図3で示したDIP_SW4の設定値と施解錠装置Aの種類つまり解錠方向及び解錠角との対応関係を解錠装置Bの解錠を判定するための情報(解錠判定情報)として内部メモリに予め記憶している。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて設定値に対応する解錠方向及び解錠角を内部メモリから読出し、解錠方向及び解錠角を解錠判定しきい値に設定する。
【0038】
マイコン5は、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて操作部の回動角θを取得する。マイコン5は、解錠判定しきい値と操作部の回動角θとに基づいて施解錠装置Aの施解錠を判定し、その判定結果を示す第1、第2の報知信号を生成する。マイコンは、第1の報知信号をRF回路6に出力し、第2の報知信号をLED8に出力する。
【0039】
RF回路6は、マイコン5から入力される第1の報知信号に所定の変調処理を施してRF(高周波)信号である送信信号を生成し、送信信号をアンテナ7に出力する。送信信号は、例えば近距離無線通信規格の一つとして周知のZigBee(登録商標)に準拠した高周波信号である。
【0040】
RF回路6は、マイコン5から入力される第1の報知信号をZigBee(登録商標)に準拠して信号処理することにより送信信号を生成する。送信信号は、ZigBee(登録商標)に準拠した高周波信号である必要はなく、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等、他の無線通信規格に準拠したものであってもよい。
【0041】
アンテナ7は、RF回路6から給電される送信信号を電波(送信波)として空中に放射する。アンテナ7は、例えば比較的小型な誘電体アンテナであり、送信信号を高効率(高出力)で電波(送信波)に変換する。RF回路6及びアンテナ7は、第1の報知信号に基づいて施解錠装置Aの解錠を電波(送信波)を用いて外部に報知する第1の報知部を構成している。
【0042】
LED8は、マイコン5から入力される第2の報知信号に基づいて施解錠装置Aの施解錠を外部に報知する発光ダイオード(Light Emitting Diode)である。LED8は、施解錠装置Aの施解錠を視覚的に外部に報知するものであり、例えば施解錠装置Aが解錠された場合には点滅する。LED8は、第2の報知信号に基づいて発光することにより施解錠装置Aの解錠を外部に報知する第2の報知部である。
【0043】
本実施形態に係るセキュリティセンサB及び施解錠装置Aの動作について、
図4、
図5A及び
図5Bを参照して説明する。
【0044】
最初に、セキュリティセンサBのDIP_SW4は、実際に組み込まれる施解錠装置Aの種類に応じて設定値が予め設定されている。例えば、セキュリティセンサBをスマートクレセントXに組み込む場合、作業者は、DIP_SW4を「000」に設定する。
【0045】
マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて施解錠装置Aの施解錠を判定し、判定結果を外部に報知する。アルカリ乾電池B1からセンサ基板B2に電源が供給されたセキュリティセンサBの通常動作状態において、マイコン5は、最初にDIP_SW4の設定値を読み込む(ステップS1)。
【0046】
マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて、設定値に対応する解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定する(ステップS2)。ステップS1及びステップS2の処理は、マイコン5における初期設定である。
【0047】
マイコン5は、初期設定が完了すると、所定のタイムインターバルで回動角θを取得する(ステップS3)。マイコン5は、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて操作部の回動角θを取得する。
【0048】
マイコン5は、取得した回動角θをステップS2で設定した解錠判定しきい値つまり解錠方向及び解錠角と比較することにより解錠判定を行う(ステップS4)。マイコン5は、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致しており、回動角θの値が解錠角を越えた場合に施解錠装置Aが解錠されたと判定する。
【0049】
例えば、スマートクレセント(Left)の場合、施錠方向が左(Left)方向であり、
図5Aに示すように操作部を右(Right)側に8°回動させることにより、施錠状態が解除されて解錠状態になる。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいてスマートクレセント(Left)の解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定することにより、スマートクレセント(Left)の解錠を判定する。
【0050】
スマートサムターン(Left)の場合、同じく施錠方向が左(Left)方向であり、
図5Bに示すように、操作部を右(Right)側に15°回動させることにより、施錠状態が解除されて解錠状態になる。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいてスマートサムターン(Left)の解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定することにより、スマートサムターン(Left)の解錠を判定する。
【0051】
一方、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致していない場合あるいは合致しているものの回動角θの値が解錠角を越えていない場合、マイコン5は、施解錠装置Aが解錠されていないと判定する。
【0052】
回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致し、回動角θの値が解錠角を越えた場合、ステップS4における解錠判定の結果は「Yes」とる。回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致していない場合あるいは合致しているものの回動角θの値が解錠角を越えていない場合、ステップS4における解錠判定の結果は「No」となる。
【0053】
マイコン5は、ステップS4における解錠判定の結果は「Yes」となると、第1の報知信号を生成してRF回路6に出力する(ステップS5)。RF回路6は、第1の報知信号に基づく送信信号を生成してアンテナ7に給電する(ステップS6)。アンテナ7は、送信信号に基づく送信波(電波)を外部端末に向けて発信する(ステップS7)。
【0054】
図4には示していないが、マイコン5は、解錠判定の結果が「Yes」となると、第1の報知信号に加えて第2の報知信号を生成してLED8に出力する。LED8は、第2の報知信号がマイコン5から入力されると、施解錠装置Aの解錠を示すように点灯を開始する。
【0055】
施解錠装置Aの解錠を外部に報知すると、マイコン5は、引き続いてステップS3の処理を繰り返す。ステップS4の解錠判定が「No」の場合においてもステップS3の処理を繰り返す。ステップS3~S7の一連処理は、マイコン5の定常処理であり、所定のタイムインターバル毎に繰り返し行われる。
【0056】
本実施形態によれば、複数種類の施解錠装置Aに対応可能なセキュリティセンサBを提供することが可能である。本実施形態によれば、複数種類の施解錠装置Aに対応可能なセキュリティセンサ1を備えた施解錠装置Aを提供することが可能である。
【0057】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が考えられる。
【0058】
(1)本開示の錠指定部は、複数のスライドスイッチを備えるDIP_SW4に限定されない。例えば、ロータリースイッチや他の多連スイッチを錠指定部に採用してもよい。複数種類の施解錠装置Aに関する解錠方向及び解錠角のうち、特定の施解錠装置Aに関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定するための回路手法として、種々の回路部品が採用可能である。
【0059】
(2)本開示の回動センサは、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を検出信号として出力する3軸加速度センサ3に限定されない。例えば、施解錠装置Aの回動角θを3軸加速度以外の物理量として検出するセンサを回動センサとして採用してもよい。
【0060】
(3)本開示の解錠判定部は、ソフトウエアによって施解錠装置Aの解錠を判定するマイコン5に限定されない。例えばハードウエア資源のみによって施解錠装置Aの解錠を判定する電子回路を解錠判定部として採用してもよい。
【0061】
(4)本開示の報知部は、RF回路6及びアンテナ7によって構成され、電波(送信波)を用いて施解錠装置Aの解錠を外部に報知する第1の報知部に限定されない。電波以外の通信媒体、例えば光や音波を用いて施解錠装置Aの解錠を外部に報知するものを報知部として採用してもよい。
【0062】
(5)本開示の報知部は、発光によって施解錠装置Aの解錠を外部に報知するLED8に限定されない。例えば、LED8に代えてブザー等の発音装置を報知部として採用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
A…施解錠装置、B…セキュリティセンサ、B1…アルカリ乾電池、B2…センサ基板、X…スマートクレセント、Y…スマートサムターン、Z…スマートグレモン、1…コネクタ、2…DC/DCコンバータ、3…3軸加速度センサ(回動センサ)、4…DIP_SW(錠指定部)、5…マイコン(解錠判定部)、6…RF回路(報知部)、7…アンテナ(報知部)、8…LED(報知部)