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特開2023-110451セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110451
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20230802BHJP
   H04M 1/72415 20210101ALI20230802BHJP
【FI】
E05B41/00 F
H04M1/72415
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011916
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】新倉 謙治
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA06
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB33
5K127DA15
5K127GA14
5K127GD16
5K127GD18
(57)【要約】
【課題】複数種類の施解錠装置に対応可能なセキュリティセンサを提供するとともにセキュリティセンサを備えた施解錠装置を提供する。
【解決手段】施解錠装置の回動角を検出し、回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、施解錠装置の施錠位置をキャリブレーション処理によって更新し、キャリブレーション処理によって得られた施錠位置と前記検出信号から得られる回動角とに基づいて施解錠装置の施解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、報知信号に基づいて施解錠装置の解錠を外部に報知する報知部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施解錠装置の回動角を検出し、当該回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、
前記施解錠装置の施錠位置をキャリブレーション処理によって更新し、前記キャリブレーション処理によって得られた前記施錠位置と前記検出信号から得られる前記回動角とに基づいて前記施解錠装置の施解錠を判定し、当該判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、
前記報知信号に基づいて前記施解錠装置の解錠を外部に報知する報知部と
を備えるセキュリティセンサ。
【請求項2】
通信端末と通信する通信部をさらに備え、
前記解錠判定部は、前記通信部が前記通信端末からキャリブレーション開始指示を受信すると、前記キャリブレーション処理を開始する請求項1に記載のセキュリティセンサ。
【請求項3】
前記解錠判定部は、前記通信部が前記通信端末から前記施錠位置の更新指示を受信すると、前記施錠位置を更新する請求項2に記載のセキュリティセンサ。
【請求項4】
前記解錠判定部は、前記キャリブレーション処理の実行中であることを示すキャリブレーション報知信号を生成し、
前記報知部は、前記キャリブレーション報知信号に基づいて前記キャリブレーション処理の実行中であることを報知する請求項1~3のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ。
【請求項5】
前記回動センサは、重力加速度を直交3軸で検出する加速度センサである請求項1~4のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のセキュリティセンサが組み込まれた施解錠装置。
【請求項7】
通信機能を備える請求項6に記載の施解錠装置と、
前記施解錠装置を通信を行う通信端末とを備える施解錠セキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレセント錠やカムラッチ等、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う各種の施解錠装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。施解錠装置にはセキュリティセンサが組み込まれたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-152297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セキュリティセンサには、重力加速度を検出する加速度センサを用いることによって施解錠を検出するものがある。セキュリティセンサでは、家の建付け等によって施解錠装置の姿勢が本来の姿勢でない場合に、施解錠装置の施解錠を正しく検出することができないという問題がある。
【0005】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、施解錠を従来よりも正しく検出することが可能なセキュリティセンサの提供、セキュリティセンサを備えた施解錠装置及び施解錠セキュリティシステムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、施解錠装置の回動角を検出し、回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、施解錠装置の施錠位置をキャリブレーション処理によって更新し、キャリブレーション処理によって得られた施錠位置と前記検出信号から得られる回動角とに基づいて施解錠装置の施解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、報知信号に基づいて施解錠装置の解錠を外部に報知する報知部とを備えるセキュリティセンサである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】施解錠セキュリティシステムA、セキュリティセンサB及び施解錠装置Dの機能構成を示すブロック図である。
図2A】施解錠装置Aの種類を示す第1の模式図である。
図2B】施解錠装置Aの種類を示す第2の模式図である。
図2C】施解錠装置Aの種類を示す第3の模式図である。
図3】DIP_SW4の設定状態を示す表である。
図4】セキュリティセンサBのキャリブレーション処理を示すフローチャートである。
図5】セキュリティセンサBの通常処理を示すフローチャートである。
図6】施解錠装置Dの動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る施解錠セキュリティシステムAは、図1に示すようにセキュリティセンサBと通信端末Cとを備える。セキュリティセンサBは、施解錠装置Dに装着され、施解錠装置Dの施解錠を検知して通信端末Cに無線送信する。通信端末Cは、セキュリティセンサBから受信した通知を画面あるいは音声として利用者に通知する。
【0009】
施解錠セキュリティシステムAは、セキュリティセンサBと通信端末Cとを用いて施解錠装置Dの施解錠を監視するシステムである。施解錠セキュリティシステムAは、セキュリティセンサBで検知した施解錠装置Dの施解錠状態を通信端末Cに通知することによりホームセキュリティを実現する。
【0010】
先に、本実施形態に係る施解錠装置Dの詳細について説明する。施解錠装置Dは、建屋の出入口や窓等に装着され、不審者の建屋への侵入を防止する機械的な防犯装置であり、セキュリティセンサBが内蔵されている。施解錠装置Dには、図2A図2Cに示すようにスマートクレセントX、スマートサムターンY及びスマートグレモンZ等の種類がある。施解錠装置Dの種類は、これらに限定されず、スマートカムラッチや様々な形態のものがある。
【0011】
スマートクレセントXは、図2Aに示すように、基部x1と、内部にセキュリティセンサBが収容された操作レバーx2とを備える。スマートクレセントXは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーx2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0012】
スマートサムターンYは、図2Bに示すように、基部y1と、内部にセキュリティセンサBが収容された操作レバーy2とを備える。スマートサムターンYは、主に開閉ドアの施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーy2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0013】
スマートグレモンZは、図2Cに示すように、基部z1と、内部にセキュリティセンサBが収容されるとともにロック機能を備えた操作レバーz2とを備える。スマートグレモンZは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーz2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0014】
図示しないが、スマートカムラッチは、基部と、内部にセキュリティセンサBが収容されたロック機能を備えない操作レバーとを備える。スマートカムラッチは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーを操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0015】
セキュリティセンサBは、施解錠装置Dに組み込まれて施解錠装置Dの施解錠を検知する検知装置であり、通信端末Cと無線通信を行う機能を備えている。セキュリティセンサBは、図1に示すようにアルカリ乾電池B1及びセンサ基板B2を備えている。センサ基板B2は、図示するようにコネクタ1、DC/DCコンバータ2、3軸加速度センサ3、DIP_SW4、マイコン5、RF回路6、アンテナ7及びLED8を備えている。
【0016】
セキュリティセンサBは、防犯センサーとも呼ばれるものであり、建屋への侵入行為を発見するために建屋の出入口や窓等に装着される。セキュリティセンサBは、建屋の出入口や窓等に備えられる施解錠装置Dに内蔵されており、建屋への侵入行為を検出すると、侵入行為の検出を外部に通報する。
【0017】
アルカリ乾電池B1は、セキュリティセンサBの電源である。アルカリ乾電池B1は、例えば比較的小型な単4形あるいは単3形の乾電池であり、2本が直列接続されることによって3.0V(ボルト)の直流電力をセンサ基板B2に供給する。本実施形態では、アルカリ乾電池B1をセキュリティセンサBの電源として採用するが、セキュリティセンサBの電源は、アルカリ乾電池B1に限定されない。
【0018】
セキュリティセンサBの電源は、トレードオフの関係にある外形の大きさ、電池容量及びセンサ基板B2の消費電力等を勘案して適宜選定されるものである。例えば、セキュリティセンサBの電源として、ボタン型電池や単4形あるいは単3形の二次電池を採用してもよい。
【0019】
センサ基板B2は、セキュリティセンサBの本体(センサ本体)である。センサ基板B2は、単層あるいは多層のプリント回路基板(電子回路基板)であり、アルカリ乾電池B1から給電される直流電力に基づいて所望の電気的性能(センサ機能)を発揮する。センサ基板B2は、直流電力に基づいて建屋への侵入行為を検出し、検出の結果を電波を用いて通信端末Cに通報する。
【0020】
コネクタ1は、アルカリ乾電池B1を機械的に収容・保持するとともに、アルカリ乾電池B1の正極及び負極に各々接触する一対の電源端子を備える。コネクタ1は、アルカリ乾電池B1の直流電力を一対の電源端子を介して受電し、DC/DCコンバータ2に出力する。
【0021】
DC/DCコンバータ2は、所定の電源線を介してコネクタ1と接続されており、コネクタ1及び電源線を介してアルカリ乾電池B1から給電される直流電力を昇圧する。DC/DCコンバータ2は、アルカリ乾電池B1から給電される3.0Vの直流電力(1次電力)を出力先であるマイコン5等の動作電源電圧(2次電圧)に電圧変換する電力変換器である。動作電源電圧(2次電圧)は例えば5Vである。
【0022】
3軸加速度センサ3は、施解錠装置Dの操作部に作用する重力加速度を検出する。3軸加速度センサ3は、直交する3軸つまりX軸とY軸とZ軸を感応方向とする加速度センサであり、X軸方向に作用する重力加速度、Y軸向に作用する重力加速度及びZ軸向に作用する重力加速度を各々検出する。3軸加速度センサ3は、検出結果であるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値をマイコン5に出力する。
【0023】
X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値は、施解錠装置Dにおける操作部の回動角θを示す物理量である。解錠するために施解錠装置Dを回動操作した場合、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値は、回動方向(左あるいは右)及び回動角θに応じて特異に変化する。
【0024】
X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値の変化における符号(正あるいは負)は、操作部の回動方向を示すものであり、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値の変化における値(変化量)は、操作部の回動角θを示すものである。3軸加速度センサ3は、施解錠装置Dの回動角θを検出し、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を回動角θを示す検出信号として出力する回動センサである。
【0025】
DIP_SW4は、一対の外部接続端子を備えた複数のスライドスイッチが一体に収容された電子部品であり、ディップスイッチと呼称される。DIP_SW4は、スライドスイッチの個数が「3」であり、2進数の3ビットに対応している。DIP_SW4は、2進数の第1ビットに対応する第1のスライドスイッチ、2進数の第2ビットに対応する第2のスライドスイッチ、また2進数の第3ビットに対応する第3のスライドスイッチを備えている。
【0026】
第1~第3のスライドスイッチにおいて、開状態は例えば2進数の「1」に相当し、閉状態は2進数の「0」に相当する。第1~第3のスライドスイッチにおいて、一対の外部接続端子の非導通状態は2進数の「1」に相当し、一対の外部接続端子の導通状態は2進数の「0」に相当する。
【0027】
DIP_SW4の設定状態つまり第1~第3のスライドスイッチの設定状態(開閉状態)は、図3に示すように施解錠装置Dの種類に対応している。第1~第3ビットがいずれも「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が8°のスマートクレセント(Left)に対応する。第1ビットが「1」かつ第2、第3ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が15°のスマートカムラッチ(Left)に対応する。
【0028】
第1、第3ビットが「0」かつ第2ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が10°のスマートグレモン(Left)に対応する。第1、第2ビットが「1」かつ第3ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が15°のスマートセキュリティーサムターン(Left)に対応する。第1、第2ビットが「0」かつ第3ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が右(Right)かつ解錠角が8°のスマートクレセント(Right)に対応する。
【0029】
第1、第3ビットが「1」かつ第2ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が右(Right)かつ解錠角が15°のスマートカムラッチ(Right)に対応する。第1ビットが「0」かつ第2、第3ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が右(Right )かつ解錠角が10°のスマートグレモン(Right)に対応する。第1~第3ビットがいずれも「1」に設定された状態については未設定であり、対応する施解錠装置Dの種類が設定されていない。
【0030】
スマートクレセント(Left)は、操作部を左(Left)側に回動させることによって施錠するクレセント錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートカムラッチ(Left)は、操作部を15°左(Left)側に回動させることによって解錠するカムラッチ錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。
【0031】
スマートグレモン(Left)は、操作部を左(Left)側に10°回動させることによって施錠するグレモン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートセキュリティーサムターン(Left)は、操作部を左(Left)側に12°回動させることによって施錠するサムターン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。
【0032】
スマートクレセント(Right)は、操作部を右(Right)側に8°回動させることによって施錠するクレセント錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートカムラッチ(Right)は、操作部を右(Right)側に15°回動させることによって施錠するカムラッチ錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートグレモン(Right)は、操作部を右(Right)側に10°回動させることによって施錠するグレモン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。
【0033】
DIP_SW4は、複数種類の施解錠装置Dに関する解錠方向及び解錠角のうち、セキュリティセンサBが組み込まれる特定の施解錠装置Dに関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定する錠指定部であり、セキュリティセンサBを施解錠装置Dの内部に組付ける際に作業者によって適宜設定される。作業者は、スマートクレセント(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「000」に設定する。
【0034】
作業者は、スマートカムラッチ(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「001」に設定する。作業者は、スマートグレモン(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「010」に設定する。
【0035】
作業者は、スマートセキュリティーサムターン(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「011」に設定する。作業者は、スマートクレセント(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「100」に設定する。
【0036】
作業者は、スマートカムラッチ(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「101」に設定する。作業者は、スマートグレモン(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「110」に設定する。
【0037】
マイコン5は、施解錠装置Dの施錠状態における回動角θ(施錠位置θ)、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値、並びにDIP_SW4の設定値に基づいて施解錠装置Dの施解錠を判定する解錠判定部である。
【0038】
施解錠装置Dは、上述したように解錠するための操作部の回動方向つまり解錠方向が種類によって左(Left)と右(Right)とに異なる。施解錠装置Dは、解錠するための操作部の回動角θつまり解錠角についても種類によって異なる。
【0039】
マイコン5には、図3で示したDIP_SW4の設定値と施解錠装置Dの種類つまり解錠方向及び解錠角との対応関係を解錠装置Bの解錠を判定するための情報(解錠判定情報)として内部メモリに予め記憶している。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて設定値に対応する解錠方向及び解錠角を内部メモリから読出し、解錠方向及び解錠角を解錠判定しきい値に設定する。
【0040】
マイコン5は、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて操作部の回動角θを取得する。マイコン5は、後述するキャリブレーション処理に基づいて施錠位置θを取得し、施錠位置θを解錠判定情報の一つとして内部メモリに記憶する。
【0041】
マイコン5は、解錠判定しきい値、施錠位置θ及び解錠装置Bの回動角θに基づいて施解錠装置Dの施解錠を判定し、その判定結果を示す第1、第2の報知信号を生成する。マイコン5は、第1の報知信号をRF回路6に出力し、第2の報知信号をLED8に出力する。
【0042】
RF回路6は、マイコン5から入力される第1の報知信号に所定の変調処理を施してRF(高周波)信号である送信信号を生成し、送信信号をアンテナ7に出力する。送信信号は、例えば近距離無線通信規格の一つとして周知のZigBee(登録商標)に準拠した高周波信号である。RF回路6とアンテナ7とは、通信端末Cと通信する通信部を構成している。
【0043】
RF回路6は、マイコン5から入力される第1の報知信号をZigBee(登録商標)に準拠して信号処理することにより送信信号を生成する。送信信号は、ZigBee(登録商標)に準拠した高周波信号である必要はなく、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等、他の無線通信規格に準拠したものであってもよい。
【0044】
アンテナ7は、RF回路6から給電される送信信号を電波(送信波)として空中に放射する。アンテナ7は、例えば比較的小型な誘電体アンテナであり、送信信号を高効率(高出力)で電波(送信波)に変換する。RF回路6及びアンテナ7は、第1の報知信号に基づいて施解錠装置Dの解錠を電波(送信波)を用いて通信端末Cに報知する第1の報知部を構成している。
【0045】
LED8は、マイコン5から入力される第2の報知信号に基づいて施解錠装置Dの施解錠を通信端末Cに報知する発光ダイオード(Light Emitting Diode)である。LED8は、施解錠装置Dの施解錠を視覚的に外部に報知するものであり、例えば施解錠装置Dが解錠された場合には点滅する。LED8は、第2の報知信号に基づいて発光することにより施解錠装置Dの解錠を視覚的に報知する第2の報知部である。
【0046】
通信端末Cは、スマートフォン、タブレット端末あるいデスクトップパソコン等、施解錠セキュリティシステムAの利用者によって所持される通信機能付きの電子装置である。通信端末Cは、セキュリティセンサBとの通信機能の他に、セキュリティセンサBに送信する各種指示信号の生成機能、セキュリティセンサBから受信した信号を表示あるいは発音する出力機能等を備えている。
【0047】
本実施形態に係るセキュリティセンサB及び施解錠装置Dの動作について、図4図6を参照して説明する。
【0048】
最初に、図4を参照してセキュリティセンサBが初期的に行うキャリブレーション処理について説明する。セキュリティセンサBは、通信端末Cからキャリブレーション開始指示を受信すると(ステップS1)、動作モードをキャリブレーションモードに移行させる。セキュリティセンサBは、キャリブレーション開始指示に引き続いて更新指示を受信すると(ステップS3)、施解錠装置Dの回動角θを取得し(ステップS4)、回動角θを施錠位置θに更新する(ステップS5)。
【0049】
より詳細には、施解錠セキュリティシステムAの利用者は、通信端末Cの監視アプリアプリケーションの操作画面において、キャリブレーション開始指示ボタンを操作する。この結果、通信端末CからセキュリティセンサBに向けてキャリブレーション開始指示信号を示す電波が発信される。
【0050】
セキュリティセンサBのアンテナ7は、キャリブレーション開始指示を示す電波を受信し、受信信号としてRF回路6に出力する。RF回路6は、受信信号を復調することによりキャリブレーション開始指示信号を再生し、キャリブレーション開始指示信号をマイコン5に出力する。
【0051】
マイコン5は、キャリブレーション開始指示信号がRF回路6から入力されると、自身の動作モードをキャリブレーションモードに移行させる。マイコン5は、その後一定時間が経過すると、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を取り込んで回動角θを取得する。
【0052】
通信端末Cは、キャリブレーション開始指示ボタンが利用者によって操作されると、施解錠装置Dを施錠状態とするように促す施錠指示を表示あるいは音声として出力する。利用者は、施錠指示に従って施解錠装置Dを操作することによって、施解錠装置Dを施錠状態とする。マイコン5は、利用者によって施錠状態とされた時点のX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を3軸加速度センサ3から取り込んで回動角θを取得する。
【0053】
マイコン5は、回動角θを評価しきい値と比較することにより施解錠装置Dの施錠位置θと認定してよいか否かを評価し、施解錠装置Dの施錠位置θ0と認定してよい場合に回動角θを新たな施錠位置θとして内部メモリに更新記憶させる。マイコン5は、更新記憶が完了すると、更新完了信号を生成してRF回路6に出力し、アンテナ7から更新完了信号を示す電波を放射させる。
【0054】
通信端末Cは、更新完了信号を示す電波を受信すると、セキュリティセンサBをキャリブレーションモードから通常モードに復帰させることを促す復帰指示を表示あるいは音声として出力する。利用者は、復帰指示に従って復帰操作を行うことにより通常モードへの復帰指示信号を示す電波を放射する。
【0055】
セキュリティセンサBのアンテナ7は、通常モードへの復帰指示信号を示す電波を受信してRF回路6に出力する。RF回路6は、通常モードへの復帰指示信号を再生してマイコン5に出力する。マイコン5は、通常モードへの復帰指示信号がRF回路6から入力されると(ステップS6)、自身の動作モードをキャリブレーションモードから通常モードに移行させる(ステップS7)。通常モードへの移行をもってキャリブレーション処理が終了する。
【0056】
マイコン5は、キャリブレーション処理の間、キャリブレーション処理の実行中であることを示す報知信号(キャリブレーション報知信号)を生成してRF回路6及びLED8に出力する。RF回路6は、キャリブレーション報知信号を示す電波をアンテナ7から放射させる。
【0057】
通信端末Cは、電波の受信に基づいてキャリブレーション報知信号を取得することにより、セキュリティセンサBがキャリブレーション処理の実行中であることを利用者に報知する。LED8は、キャリブレーション報知信号に基づいてセキュリティセンサBがキャリブレーション処理の実行中であることを視覚的に報知する。
【0058】
続いて、図5を参照して通常モードにおける通常処理について説明する。最初に、セキュリティセンサBにおいて、DIP_SW4は、実際に組み込まれる施解錠装置Aの種類に応じて設定値が予め設定されている。例えば、セキュリティセンサBをスマートクレセントXに組み込む場合、DIP_SW4の設定値は、作業者によって「000」に設定される。
【0059】
マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて施解錠装置Dの施解錠を判定し、判定結果を通信端末Cに報知する。アルカリ乾電池B1からセンサ基板B2に電源が供給されたセキュリティセンサBの通常動作状態において、マイコン5は、最初にDIP_SW4の設定値を読み込む(ステップS1a)。
【0060】
マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて、設定値に対応する解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定する(ステップS2a)。ステップS1a及びステップS2aの処理は、マイコン5における初期設定である。
【0061】
マイコン5は、初期設定が完了すると、所定のタイムインターバルで回動角θを取得する(ステップS3a)。マイコン5は、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて操作部の回動角θを取得する。
【0062】
マイコン5は、取得した回動角θをステップS2で設定した解錠判定しきい値つまり解錠方向及び解錠角と比較することにより解錠判定を行う(ステップS4a)。マイコン5は、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致しており、回動角θの値が解錠角を越えた場合に施解錠装置Dが解錠されたと判定する。
【0063】
例えば、スマートクレセント(Left)の場合、施錠方向が左(Left)方向であり、図6に示すように操作部を右(Right)側に8°回動させることにより、施錠状態が解除されて解錠状態になる。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいてスマートクレセント(Left)の解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定することにより、スマートクレセント(Left)の解錠を判定する。
【0064】
一方、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致していない場合あるいは合致しているものの回動角θの値が解錠角を越えていない場合、マイコン5は、施解錠装置Dが解錠されていないと判定する。
【0065】
回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致し、回動角θの値が解錠角を越えた場合、ステップS4aにおける解錠判定の結果は「Yes」となる。回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致していない場合あるいは合致しているものの回動角θの値が解錠角を越えていない場合、ステップS4aにおける解錠判定の結果は「No」となる。
【0066】
マイコン5は、ステップS4aにおける解錠判定の結果は「Yes」となると、第1の報知信号を生成してRF回路6に出力する(ステップS5a)。RF回路6は、第1の報知信号に基づく送信信号を生成してアンテナ7に給電する(ステップS6a)。アンテナ7は、送信信号に基づく送信波(電波)を外部端末に向けて発信する(ステップS7a)。
【0067】
図5には示していないが、マイコン5は、解錠判定の結果が「Yes」となると、第1の報知信号に加えて第2の報知信号を生成してLED8に出力する。LED8は、第2の報知信号がマイコン5から入力されると、施解錠装置Dの解錠を示すように点灯を開始する。
【0068】
施解錠装置Dの解錠を通信端末Cに報知すると、マイコン5は、引き続いてステップS3aの処理を繰り返す。ステップS4aの解錠判定が「No」の場合においてもステップS3aの処理を繰り返す。ステップS3a~S7aの一連処理は、マイコン5の定常処理であり、所定のタイムインターバル毎に繰り返し行われる。
【0069】
本実施形態によれば、施解錠を従来よりも正しく検出することが可能なセキュリティセンサB、セキュリティセンサBを備えた施解錠装置D、セキュリティセンサBと通信端末Cとを備えた施解錠セキュリティシステムを提供することができる。
【0070】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が考えられる。
【0071】
(1)本開示のセキュリティセンサBは、通信端末Cとの連携によってキャリブレーション処理を実行するが、本開示はこれに限定されない。例えば、セキュリティセンサBに利用者とのコミュニケーション機能を付加することにより、通信端末Cを介することなくキャリブレーション処理を実行してもよい。
【0072】
(2)本開示のセキュリティセンサBは、通信端末Cから受信するキャリブレーション開始指示信号に基づいてキャリブレーション処理つまり施錠位置θの更新を行うが、本開示はこれに限定されない。例えば、セキュリティセンサBから自発的に通信端末Cにキャリブレーション処理の必要を通知し、通知に基づいて通信端末CがセキュリティセンサBにキャリブレーション開始指示信号を送信することによってキャリブレーション処理を行ってもよい。
【0073】
(3)本開示の回動センサは、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を検出信号として出力する3軸加速度センサ3に限定されない。例えば、施解錠装置Dの回動角θを3軸加速度以外の物理量として検出するセンサを回動センサとして採用してもよい。
【0074】
(4)本開示の報知部は、RF回路6及びアンテナ7によって構成され、電波(送信波)を用いて施解錠装置Dの解錠を通信端末Cに報知する第1の報知部に限定されない。電波以外の通信媒体、例えば光や音波を用いて施解錠装置Dの解錠を通信端末Cに報知するものを報知部として採用してもよい。
【0075】
(5)本開示の報知部は、発光によって施解錠装置Dの解錠を外部に報知するLED8に限定されない。例えば、LED8に代えてブザー等の発音装置を報知部として採用してもよい。
【符号の説明】
【0076】
A…施解錠セキュリティシステム、B…セキュリティセンサ、C…通信端末、B1…アルカリ乾電池、B2…センサ基板、D…施解錠装置、X…スマートクレセント、Y…スマートサムターン、Z…スマートグレモン、1…コネクタ、2…DC/DCコンバータ、3…3軸加速度センサ(回動センサ)、4…DIP_SW、5…マイコン(解錠判定部)、6…RF回路(通信部、報知部)、7…アンテナ(通信部、報知部)、8…LED(報知部)
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6