IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

特開2023-110452セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム
<>
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図1
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図2A
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図2B
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図2C
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図3
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図4
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図5
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図6
  • 特開-セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110452
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20230802BHJP
   G08B 13/06 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
E05B41/00 F
G08B13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011917
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】新倉 謙治
【テーマコード(参考)】
5C084
【Fターム(参考)】
5C084AA10
5C084BB31
5C084CC02
5C084CC03
5C084DD80
5C084FF02
5C084GG03
5C084HH12
5C084HH13
(57)【要約】
【課題】複数種類の施解錠装置に対応可能なセキュリティセンサを提供するとともにセキュリティセンサを備えた施解錠装置を提供する。
【解決手段】施解錠装置の回動角を検出し、回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、回動センサから入力される回動角に基づいて施解錠装置の解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、電源の給電パタ-ンあるいは回動角の特異な変動パターンに基づいて外部の通信端末とのペアリングを設定するペアリング設定部と、報知信号に基づいて施解錠装置の解錠をペアリング設定部が設定した通信端末に報知する報知部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施解錠装置の回動角を検出し、当該回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、
前記回動センサから入力される前記回動角に基づいて前記施解錠装置の解錠を判定し、当該判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、
電源の給電あるいは前記回動角の特異な変動パターンに基づいて外部の通信端末とのペアリングを設定するペアリング設定部と、
前記報知信号に基づいて前記施解錠装置の解錠を前記ペアリング設定部が設定した前記通信端末に報知する報知部と
を備えるセキュリティセンサ。
【請求項2】
前記変動パターンは、所定期間において施錠と解錠とが所定セット行われるパターンである請求項1に記載のセキュリティセンサ。
【請求項3】
前記ペアリング設定部は、電源について所定期間における所定回数の間欠給電を検知した場合に前記通信端末とのペアリングを解消する請求項1または2に記載のセキュリティセンサ。
【請求項4】
前記回動センサは、重力加速度を直交3軸で検出する加速度センサである請求項1~3のいずれか一項に記載のセキュリティセンサ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のセキュリティセンサが組み込まれた施解錠装置。
【請求項6】
通信機能を備える請求項5に記載の施解錠装置と、
前記施解錠装置を通信を行う通信端末とを備える施解錠セキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティセンサ、施解錠装置及び施解錠セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレセント錠やカムラッチ等、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う各種の施解錠装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。施解錠装置には、セキュリティセンサを組み込んだものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-152297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セキュリティセンサは、外部の通信端末とペアリングすることによって施解錠セキュリティシステムを構成する。ペアリングは、一般的に施解錠装置に設けられた専用スイッチを押下することによって開始されるが、施解錠装置の意匠上の理由等から施解錠装置に専用スイッチを設けられない場合がある。
【0005】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、専用スイッチに依らずペアリングが可能なセキュリティセンサ、セキュリティセンサを備えた施解錠装置及び施解錠セキュリティシステムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、施解錠装置の回動角を検出し、回動角を示す検出信号を出力する回動センサと、回動センサから入力される回動角に基づいて施解錠装置の解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する解錠判定部と、電源の特異な給電パタ-ンあるいは回動角の特異な変動パターンに基づいて外部の通信端末とのペアリングを設定するペアリング設定部と、報知信号に基づいて施解錠装置の解錠をペアリング設定部が設定した通信端末に報知する報知部とを備えるを備えるセキュリティセンサである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】施解錠セキュリティシステムA、セキュリティセンサB及び施解錠装置Dの機能構成を示すブロック図である。
図2A】施解錠装置Dの種類を示す第1の模式図である。
図2B】施解錠装置Dの種類を示す第2の模式図である。
図2C】施解錠装置Dの種類を示す第3の模式図である。
図3】DIP_SW4の設定状態を示す表である。
図4】セキュリティセンサBの第1のペアリング処理を示すフローチャートである。
図5】セキュリティセンサBの第2のペアリング処理を示すフローチャートである。
図6】セキュリティセンサBの第3のペアリング処理(再ペアリング処理)を示すフローチャートである。
図7】セキュリティセンサBの通常動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る施解錠セキュリティシステムAは、図1に示すようにセキュリティセンサBと通信端末Cとを備える。セキュリティセンサBは、施解錠装置Dに装着され、施解錠装置Dの施解錠を検知して通信端末Cに無線送信する。通信端末Cは、セキュリティセンサBから受信した通知を画面あるいは音声として利用者に通知する。
【0009】
施解錠セキュリティシステムAは、セキュリティセンサBと通信端末Cとを用いて施解錠装置Dの施解錠を監視するシステムである。施解錠セキュリティシステムAは、セキュリティセンサBで検知した施解錠装置Dの施解錠状態を通信端末Cに通知することによりホームセキュリティを実現する。
【0010】
先に、本実施形態に係る施解錠装置Dの詳細について説明すると、施解錠装置Dは、建屋の出入口や窓等に装着され、不審者の建屋への侵入を防止する機械的な防犯装置であり、セキュリティセンサBが内蔵されている。施解錠装置Dには、図2A図2Cに示すようにスマートクレセントX、スマートサムターンY及びスマートグレモンZ等の種類がある。施解錠装置Dの種類は、これらに限定されず、スマートカムラッチや様々な形態のものがある。
【0011】
スマートクレセントXは、図2Aに示すように、基部x1と、内部にセキュリティセンサBが収容された操作レバーx2とを備える。スマートクレセントXは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーx2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0012】
スマートサムターンYは、図2Bに示すように、基部y1と、内部にセキュリティセンサBが収容された操作レバーy2とを備える。スマートサムターンYは、主に開閉ドアの施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーy2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0013】
スマートグレモンZは、図2Cに示すように、基部z1と、内部にセキュリティセンサBが収容されるとともにロック機能を備えた操作レバーz2とを備える。スマートグレモンZは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーz2を操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0014】
図示しないが、スマートカムラッチは、基部と、内部にセキュリティセンサBが収容されたロック機能を備えない操作レバーとを備える。スマートカムラッチは、主に窓の施錠に利用される施解錠装置Aであり、操作レバーを操作することによって施錠状態と解錠状態とが切替えられる。
【0015】
セキュリティセンサBは、施解錠装置Dに組み込まれて施解錠装置Dの施解錠を検知する検知装置であり、通信端末Cと無線通信を行う機能を備えている。セキュリティセンサBは、図1に示すようにアルカリ乾電池B1及びセンサ基板B2を備えている。センサ基板B2は、図示するようにコネクタ1、DC/DCコンバータ2、3軸加速度センサ3、DIP_SW4、マイコン5、RF回路6、アンテナ7及びLED8を備えている。
【0016】
セキュリティセンサBは、防犯センサーとも呼ばれるものであり、建屋への侵入行為を発見するために建屋の出入口や窓等に装着される。セキュリティセンサBは、建屋の出入口や窓等に備えられる施解錠装置Dに内蔵されており、建屋への侵入行為を検出すると、侵入行為の検出を外部に通報する。
【0017】
アルカリ乾電池B1は、セキュリティセンサBの電源である。アルカリ乾電池B1は、例えば単4形あるいは単3形の乾電池であり、2本が直列接続されることによって3.0V(ボルト)の直流電力をセンサ基板B2に供給する。本実施形態では、2本のアルカリ乾電池B1をセキュリティセンサBの電源として採用するが、セキュリティセンサBの電源は、アルカリ乾電池B1に限定されない。
【0018】
セキュリティセンサBの電源は、トレードオフの関係にある外形の大きさ、電池容量及びセンサ基板B2の消費電力等を勘案して適宜選定されるものである。例えば、セキュリティセンサBの電源として、ボタン型電池や単4形あるいは単3形の二次電池を採用してもよい。
【0019】
センサ基板B2は、セキュリティセンサBの本体(センサ本体)である。センサ基板B2は、単層あるいは多層のプリント回路基板(電子回路基板)であり、アルカリ乾電池B1から給電される直流電力に基づいて所望の電気的性能(センサ機能)を発揮する。センサ基板B2は、直流電力に基づいて建屋への侵入行為を検出し、検出の結果を電波を用いて通信端末Cに通報する。
【0020】
コネクタ1は、アルカリ乾電池B1を機械的に収容・保持するとともに、アルカリ乾電池B1の正極及び負極に各々接触する一対の電源端子を備える。コネクタ1は、アルカリ乾電池B1の直流電力を一対の電源端子を介して受電し、DC/DCコンバータ2に出力する。
【0021】
DC/DCコンバータ2は、所定の電源線を介してコネクタ1と接続されており、コネクタ1及び電源線を介してアルカリ乾電池B1から給電される直流電力を昇圧する。DC/DCコンバータ2は、アルカリ乾電池B1から給電される3.0Vの直流電力(1次電力)をマイコン5等の受電部の動作電圧(回路電源電圧)に電圧変換し、回路電源として受電部に給電する。動作電圧(回路電源電圧)は、アルカリ乾電池B1の出力電圧よりも高い例えば5Vである。
【0022】
3軸加速度センサ3は、施解錠装置Dの操作部に作用する重力加速度を検出する。3軸加速度センサ3は、直交する3軸つまりX軸とY軸とZ軸を感応方向とする加速度センサであり、X軸方向に作用する重力加速度、Y軸向に作用する重力加速度及びZ軸向に作用する重力加速度を各々検出する。3軸加速度センサ3は、検出結果であるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値をマイコン5に出力する。
【0023】
X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値は、施解錠装置Dにおける操作部の回動角θを示す物理量である。解錠するために施解錠装置Dを回動操作した場合、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値は、回動方向(左あるいは右)及び回動角θに応じて特異に変化する。
【0024】
X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値の変化における符号(正あるいは負)は、操作部の回動方向を示すものであり、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値の変化における値(変化量)は、操作部の回動角θを示すものである。3軸加速度センサ3は、施解錠装置Dの回動角θを検出し、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を回動角θを示す検出信号として出力する回動センサである。
【0025】
DIP_SW4は、一対の外部接続端子を備えた複数のスライドスイッチが一体に収容された電子部品であり、ディップスイッチと呼称される。DIP_SW4は、スライドスイッチの個数が「3」であり、2進数の3ビットに対応している。DIP_SW4は、2進数の第1ビットに対応する第1のスライドスイッチ、2進数の第2ビットに対応する第2のスライドスイッチ、また2進数の第3ビットに対応する第3のスライドスイッチを備えている。
【0026】
第1~第3のスライドスイッチにおいて、開状態は例えば2進数の「1」に相当し、閉状態は2進数の「0」に相当する。第1~第3のスライドスイッチにおいて、一対の外部接続端子の非導通状態は2進数の「1」に相当し、一対の外部接続端子の導通状態は2進数の「0」に相当する。
【0027】
DIP_SW4の設定状態つまり第1~第3のスライドスイッチの設定状態(開閉状態)は、図3に示すように施解錠装置Dの種類に対応している。第1~第3ビットがいずれも「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が8°のスマートクレセント(Left)に対応する。第1ビットが「1」かつ第2、第3ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が15°のスマートカムラッチ(Left)に対応する。
【0028】
第1、第3ビットが「0」かつ第2ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が10°のスマートグレモン(Left)に対応する。第1、第2ビットが「1」かつ第3ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が左(Left)かつ解錠角が15°のスマートセキュリティーサムターン(Left)に対応する。第1、第2ビットが「0」かつ第3ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が右(Right)かつ解錠角が8°のスマートクレセント(Right)に対応する。
【0029】
第1、第3ビットが「1」かつ第2ビットが「0」に設定された状態は、解錠方向が右(Right)かつ解錠角が15°のスマートカムラッチ(Right)に対応する。第1ビットが「0」かつ第2、第3ビットが「1」に設定された状態は、解錠方向が右(Right )かつ解錠角が10°のスマートグレモン(Right)に対応する。第1~第3ビットがいずれも「1」に設定された状態については未設定であり、対応する施解錠装置Dの種類が設定されていない。
【0030】
スマートクレセント(Left)は、操作部を左(Left)側に回動させることによって施錠するクレセント錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートカムラッチ(Left)は、操作部を15°左(Left)側に回動させることによって解錠するカムラッチ錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。
【0031】
スマートグレモン(Left)は、操作部を左(Left)側に10°回動させることによって施錠するグレモン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートセキュリティーサムターン(Left)は、操作部を左(Left)側に12°回動させることによって施錠するサムターン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。
【0032】
スマートクレセント(Right)は、操作部を右(Right)側に8°回動させることによって施錠するクレセント錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートカムラッチ(Right)は、操作部を右(Right)側に15°回動させることによって施錠するカムラッチ錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。スマートグレモン(Right)は、操作部を右(Right)側に10°回動させることによって施錠するグレモン錠であって、セキュリティセンサBが組み込まれたタイプの施解錠装置Dである。
【0033】
DIP_SW4は、複数種類の施解錠装置Dに関する解錠方向及び解錠角のうち、セキュリティセンサBが組み込まれる特定の施解錠装置Dに関する解錠方向及び解錠角を択一的に指定する錠指定部である。DIP_SW4は、セキュリティセンサBを施解錠装置Dの内部に組付ける際に作業者によって適宜設定される。作業者は、スマートクレセント(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「000」に設定する。
【0034】
作業者は、スマートカムラッチ(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「001」に設定する。作業者は、スマートグレモン(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「010」に設定する。
【0035】
作業者は、スマートセキュリティーサムターン(Left)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「011」に設定する。作業者は、スマートクレセント(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「100」に設定する。
【0036】
作業者は、スマートカムラッチ(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「101」に設定する。作業者は、スマートグレモン(Right)にセキュリティセンサBを組付ける場合、DIP_SW4を2進数の「110」に設定する。
【0037】
マイコン5は、施解錠装置Dの回動角θに基づいて施解錠装置Dの解錠を判定する解錠判定部である。マイコン5は、3軸加速度センサ3(回動センサ)から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて施解錠装置Dの回動角θを取得し、回動角θに基づいて施解錠装置Dの解錠を判定し、判定の結果を示す報知信号を生成する。
【0038】
施解錠装置Dは、上述したように解錠するための操作部の回動方向つまり解錠方向が種類によって左(Left)と右(Right)とに異なる。施解錠装置Dは、解錠するための操作部の回動角θつまり解錠角についても種類によって異なる。
【0039】
マイコン5には、図3で示したDIP_SW4の設定値と施解錠装置Dの種類(つまり解錠方向及び解錠角)との対応関係を、解錠装置Bの解錠を判定するための情報(解錠判定情報)として内部メモリに予め記憶している。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて設定値に対応する解錠方向及び解錠角を内部メモリから読出し、解錠方向及び解錠角を解錠判定しきい値に設定する。
【0040】
マイコン5は、3軸加速度センサ3のX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値から得られる施解錠装置Dの回動角θ及び解錠判定しきい値に基づいて施解錠装置Dの施解錠を判定し、判定結果を示す第1、第2の報知信号を生成する。マイコンは、第1の報知信号をRF回路6に出力し、第2の報知信号をLED8に出力する。
【0041】
マイコン5は、外部の通信端末Cとのペアリングを設定するペアリング設定部でもある。マイコン5は、アルカリ乾電池B1から給電される電源の特異な給電パタ-ンあるいは施解錠装置Dの回動角θの特異な変動パターンに基づいてペアリング処理を実行し、通信端末Cとのペアリングを確立させる。
【0042】
マイコン5は、一旦ペアリングが設定されると、設定された通信端末Cの識別情報及びペアリング済であることを示すペアリング完了情報を内部メモリに記憶する。マイコン5は、ペアリング設定が完了すると、通信端末Cを通信先とし、RF回路6及びアンテナ7を介して無線通信を行う。
【0043】
RF回路6は、マイコン5から入力される第1の報知信号に所定の変調処理を施してRF(高周波)信号である送信信号を生成し、送信信号をアンテナ7に出力する。送信信号は、例えば近距離無線通信規格の一つとして周知のZigBee(登録商標)に準拠した高周波信号である。RF回路6とアンテナ7とは、ペアリング処理によってペアリングが設定された通信端末Cと通信する通信部を構成している。
【0044】
RF回路6は、マイコン5から入力される第1の報知信号をZigBee(登録商標)に準拠して信号処理することにより送信信号を生成する。送信信号は、ZigBee(登録商標)に準拠した高周波信号である必要はなく、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等、他の無線通信規格に準拠したものであってもよい。
【0045】
アンテナ7は、RF回路6から給電される送信信号を電波(送信波)として空中に放射する。アンテナ7は、例えば比較的小型な誘電体アンテナであり、送信信号を高効率(高出力)で電波(送信波)に変換する。RF回路6及びアンテナ7は、第1の報知信号に基づいて施解錠装置Dの解錠を電波(送信波)を用いて通信端末Cに報知する第1の報知部を構成している。
【0046】
LED8は、マイコン5から入力される第2の報知信号に基づいて施解錠装置Dの施解錠を通信端末Cに報知する発光ダイオード(Light Emitting Diode)である。LED8は、施解錠装置Dの施解錠を視覚的に外部に報知するものであり、例えば施解錠装置Dが解錠された場合には点滅する。LED8は、第2の報知信号に基づいて発光することにより施解錠装置Dの解錠を視覚的に報知する第2の報知部である。
【0047】
通信端末Cは、スマートフォン、タブレット端末あるいデスクトップパソコン等、施解錠セキュリティシステムAの利用者によって所持される通信機能付きの電子装置である。通信端末Cは、セキュリティセンサBとの通信機能の他に、セキュリティセンサBに送信する各種指示信号の生成機能、セキュリティセンサBから受信した信号を表示あるいは発音する出力機能等を備えている。
【0048】
通信端末Cは、セキュリティセンサBとの無線通信によってセキュリティセンサBとのペアリングを設定する。一旦ペアリングが設定されると、通信端末Cは、ペアリングが設定されたセキュリティセンサBを通信先として無線通信を行う。
【0049】
本実施形態に係るセキュリティセンサB及び施解錠装置Dの動作について、図4図7を参照して説明する。
【0050】
最初に、図4を参照してセキュリティセンサBが初期的に行う第1のペアリング処理について説明する。セキュリティセンサBは、電源の給電に基づいて通信端末Cとのペアリングを設定する。セキュリティセンサBのマイコン5は、DC/DCコンバータ2から回路電源が給電されたか否かを判断し(ステップS1)、判断が「Yes」の場合は通信端末Cとのペアリングが既に完了しているか否かを判断する(ステップS2)。
【0051】
DC/DCコンバータ2からマイコン5への回路電源の給電は、アルカリ乾電池B1がセキュリティセンサBに装着されたか否かによって支配される。アルカリ乾電池B1がセキュリティセンサBに装着されてアルカリ乾電池B1がセキュリティセンサBのコネクタ1に接続されると、アルカリ乾電池B1の出力電力(電池電力)がDC/DCコンバータ2に供給される。
【0052】
DC/DCコンバータ2は、回路電源をマイコン5に出力する。アルカリ乾電池B1がセキュリティセンサBに装着されない状態では、電池電力がDC/DCコンバータ2に供給されないので、回路電源は、DC/DCコンバータ2からマイコン5に給電されない。ステップS1の判断は、アルカリ乾電池B1がセキュリティセンサBに装着されることによって「Yes」となる。
【0053】
ステップS1の判断が「Yes」となると、マイコン5は、内部メモリのペアリング完了情報を検索することによってペアリングしていない状態か否かを判断する(ステップS2)。マイコン5は、ペアリングが完了している場合つまりステップS2の判断が「No」の場合は、ペアリング開始指示が入力されるまで待機する(ステップS3)。
【0054】
施解錠セキュリティシステムAの利用者は、通信端末CをセキュリティセンサBとペアリングさせようとする場合、通信端末Cを操作することによってペアリング開始指示をセキュリティセンサBに向けて送信させる。ペアリング開始指示は、セキュリティセンサBのアンテナ7で受信され、RF回路6を介してマイコン5に入力される。
【0055】
マイコン5は、ペアリングが完了していない場合つまりステップS2の判断が「Yes」の場合には、ペアリング開始指示が入力されたか否かを判断する(ステップS3)。マイコン5は、ペアリング開始指示が入力されると、ステップS3の判断が「Yes」となるので、自身の動作モードをペアリングモードに設定することにより通信端末Cとのペアリングを実行し(ステップS4)、さらにLED8を点滅させる(ステップS5)。
【0056】
マイコン5は、通信端末Cとのペアリングが完了すると(ステップS6)、LED8の点滅速度を早くし、さらに所定時間経過後にLED8を消灯させる(ステップS7)。LED8の早い点滅後の消灯は、第1のペアリング処理の完了を利用者に報知するものである。
【0057】
以上がアルカリ乾電池B1のセキュリティセンサBへの装着つまりセキュリティセンサBへの電源の給電に基づくペアリング処理(第1のペアリング処理)の詳細である。第1のペアリング処理は、セキュリティセンサBを施解錠装置Dに取り付ける前に行うことができる。
【0058】
セキュリティセンサBは、アルカリ乾電池B1が装着された状態で施解錠装置Dに取り付けられるので、セキュリティセンサBを施解錠装置Dに取り付けた後では第1のペアリング処理を行うことが困難である。以下に説明する第2のペアリング処理は、アルカリ乾電池B1の装着に依らず、回動角θの特異な変動パターンに基づいて通信端末Cとのペアリングを設定するものである。
【0059】
続いて、図5を参照して第2のペアリング処理について説明する。第2のペアリング処理において、マイコン5は、最初にペアリング開始指示が入力されたか否かを判断する(ステップS1a)。上述したように、施解錠セキュリティシステムAの利用者は、通信端末CをセキュリティセンサBとペアリングさせようとする場合、通信端末Cを操作することによってペアリング開始指示をセキュリティセンサBに向けて送信させる。
【0060】
ペアリング開始指示は、セキュリティセンサBのアンテナ7で受信され、RF回路6を介してマイコン5に入力される。マイコン5は、ペアリング開始指示がRF回路6から入力され、ステップS1aの判断が「Yes」となると、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて回動角θを施解錠装置Dの回動角θを検出し、回動角θつまり施解錠装置Dの施解錠動作が特異な変動パターンであるか否かを判断する(ステップS2a)。
【0061】
変動パターンは、所定期間において施錠と解錠とが所定セット行われるパターンである。所定期間は、例えば5秒であり、所定セットは例えば10セット(10回)である。マイコン5は、ステップS2aにおいて、施解錠装置Dが5秒間に10回だけ施錠及び解錠が繰り返されたか否かを回動角θに基づいて判断する。
【0062】
マイコン5は、ステップS2aの判断が「Yes」となると、自身の動作モードをペアリングモードに設定することにより通信端末Cとのペアリングを実行し(ステップS3a)、さらにLED8を点滅させる(ステップS4a)。マイコン5は、通信端末Cとのペアリングが完了すると(ステップS5a)、LED8の点滅速度を早くし、さらに所定時間経過後にLED8を消灯させる(ステップS6a)。LED8の早い点滅後の消灯は、第2のペアリング処理の完了を利用者に報知するものである。
【0063】
以上が回動角θの特異な変動パターンに基づペアリング処理(第2のペアリング処理)の詳細である。引き続き、図6を参照して通信端末C再ペアリングの処理(第3のペアリング処理)について説明する。第3のペアリング処理は、電源について所定期間における所定回数の間欠給電を検知した場合に通信端末Cとのペアリングを解消するとともに通信端末Cとの再ペアリングを行うものである。
【0064】
マイコン5は、最初に、アルカリ乾電池B1のセキュリティセンサBへの抜き差しがあったか否を判断する(ステップS1b)。マイコン5は、DC/DCコンバータ2から給電される回路電源について30秒間に3回の間欠給電が発生したか否かを検出することによって、アルカリ乾電池B1のセキュリティセンサBへの抜き差しがあったか否を判断する。
【0065】
施解錠セキュリティシステムAの利用者は、既に設定された通信端末Cとのペアリングを解除し、通信端末Cとの再ペアリングを設定しようとする場合、アルカリ乾電池B1のセキュリティセンサBへの抜き差しを30秒間に3回行う。第3のペアリング処理における所定期間は30秒であり、所定回数は3回である。
【0066】
マイコン5は、ステップS1bの判断が「Yes」になると、通信端末Cとのペアリングを解消し(ステップS2b)、この後に通信端末Cとの再ペアリングを実行する(ステップS3b)。マイコン5は、さらにLED8を点滅させ(ステップS4b)、施解錠セキュリティシステムAの利用者に対して再ペアリングの実行中であることを報知する。
【0067】
マイコン5は、通信端末Cとの再ペアリングが完了すると(ステップS5b)、LED8の点滅速度を早くし、さらに所定時間経過後にLED8を消灯させる(ステップS6b)。LED8の早い点滅後の消灯は、第3のペアリング処理の完了を利用者に報知するものである。
【0068】
セキュリティセンサBと通信端末Cとのペアリングあるいは再ペアリングが完了すると、マイコン5は、通常処理を実行する。以下では、図7を参照してセキュリティセンサBの通常処理について説明する。
【0069】
マイコン5は、通常処理において、最初にDIP_SW4から設定値を読み込む(ステップS1c)。設定値は、施解錠セキュリティシステムAの利用者等によって予め設定されたものである。例えば、セキュリティセンサBをスマートクレセントXに組み込む場合、作業者はDIP_SW4を「000」に設定する。
【0070】
マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて施解錠装置Dの施解錠を判定し、判定結果を通信端末Cに報知する。アルカリ乾電池B1からセンサ基板B2に電源が供給されたセキュリティセンサBの通常動作状態において、マイコン5は、DIP_SW4の設定値を読み込む。
【0071】
マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいて、設定値に対応する解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定する(ステップS2c)。ステップS1c及びステップS2cの処理は、通常処理における初期設定である。
【0072】
マイコン5は、初期設定が完了すると、所定のタイムインターバルで回動角θを取得する(ステップS3c)。マイコン5は、3軸加速度センサ3から入力されるX軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値に基づいて操作部の回動角θを取得する。
【0073】
マイコン5は、取得した回動角θをステップS2cで設定した解錠判定しきい値つまり解錠方向及び解錠角と比較することにより解錠判定を行う(ステップS4c)。マイコン5は、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致しており、回動角θの値が解錠角を越えた場合に施解錠装置Dが解錠されたと判定する。
【0074】
例えば、スマートクレセント(Left)の場合、施錠方向が左(Left)方向であり、操作部を右(Right)側に8°回動させることにより、施錠状態が解除されて解錠状態になる。マイコン5は、DIP_SW4の設定値に基づいてスマートクレセント(Left)の解錠方向及び解錠角を内部メモリから読み出して解錠判定しきい値に設定することにより、スマートクレセント(Left)の解錠を判定する。
【0075】
一方、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致していない場合あるいは合致しているものの回動角θの値が解錠角を越えていない場合、マイコン5は、施解錠装置Dが解錠されていないと判定する。
【0076】
回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致し、回動角θの値が解錠角を越えた場合、ステップS4cにおける解錠判定の結果は「Yes」となり、回動角θの符号(正あるいは負)が解錠方向に合致していない場合あるいは合致しているものの回動角θの値が解錠角を越えていない場合、ステップS4cにおける解錠判定の結果は「No」となる。
【0077】
マイコン5は、ステップS4cにおける解錠判定の結果は「Yes」となると、第1の報知信号を生成してRF回路6に出力する(ステップS5c)。RF回路6は、第1の報知信号に基づく送信信号を生成してアンテナ7に給電する(ステップS6c)。アンテナ7は、送信信号に基づく送信波(電波)を外部端末に向けて発信する(ステップS7c)。
【0078】
図7には示していないが、マイコン5は、解錠判定の結果が「Yes」となると、第1の報知信号に加えて第2の報知信号を生成してLED8に出力する。LED8は、第2の報知信号がマイコン5から入力されると、施解錠装置Dの解錠を示すように点灯を開始する。
【0079】
施解錠装置Dの解錠を通信端末Cに報知すると、マイコン5は、引き続いてステップS3cの処理を繰り返す。ステップS4cの解錠判定が「No」の場合においてもステップS3cの処理を繰り返す。ステップS3c~S7cの一連処理は、マイコン5の定常処理であり、所定のタイムインターバル毎に繰り返し行われる。
【0080】
本実施形態によれば、ペアリング専用スイッチに依らずペアリングが可能なセキュリティセンサB、セキュリティセンサBを備えた施解錠装置D及び施解錠セキュリティシステムAを提供することが可能である。
【0081】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が考えられる。
【0082】
(1)本実施形態に係るセキュリティセンサBについて、第2のペアリング処理における所定期間は5秒に限定されず、所定セットは10セット(10回)に限定されない。所定期間及び所定セットは、誤ってペアリングを開始しないように施解錠装置Dの通常操作では起こり得ない内容であれば良い。
【0083】
(2)本実施形態に係るセキュリティセンサBについて、第3のペアリング処理における所定期間は30秒に限定されず、所定回数は3回に限定されない。所定期間及び所定回数は、再ペアリングを誤って開始しないようなアルカリ乾電池B1の抜き差しであれば良い。
【0084】
(3)本開示の回動センサは、X軸加速度検出値、Y軸加速度検出値及びZ軸加速度検出値を検出信号として出力する3軸加速度センサ3に限定されない。例えば、施解錠装置Dの回動角θを3軸加速度以外の物理量として検出するセンサを回動センサとして採用してもよい。
【0085】
(4)本開示の報知部は、RF回路6及びアンテナ7によって構成され、電波(送信波)を用いて施解錠装置Dの解錠を通信端末Cに報知する第1の報知部に限定されない。電波以外の通信媒体、例えば光や音波を用いて施解錠装置Dの解錠を通信端末Cに報知するものを報知部として採用してもよい。
【0086】
(5)本開示の報知部は、発光によって施解錠装置Dの解錠を外部に報知するLED8に限定されない。例えば、LED8に代えてブザー等の発音装置を報知部として採用してもよい。
【符号の説明】
【0087】
A…施解錠セキュリティシステム、B…セキュリティセンサ、C…通信端末、B1…アルカリ乾電池、B2…センサ基板、D…施解錠装置、X…スマートクレセント、Y…スマートサムターン、Z…スマートグレモン、1…コネクタ、2…DC/DCコンバータ、3…3軸加速度センサ(回動センサ)、4…DIP_SW、5…マイコン(解錠判定部)、6…RF回路(通信部、報知部)、7…アンテナ(通信部、報知部)、8…LED(報知部)
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7