(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110467
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】物流シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
G21F 9/28 20060101AFI20230802BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20230802BHJP
G06Q 10/30 20230101ALI20230802BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230802BHJP
B65G 1/137 20060101ALN20230802BHJP
【FI】
G21F9/28 A
G21F9/00 Z
G06Q10/00 400
G06Q50/08
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011941
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】502040041
【氏名又は名称】日揮株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391042782
【氏名又は名称】日本エヌ・ユー・エス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】吉田 望
(72)【発明者】
【氏名】小林 航
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 健
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠介
【テーマコード(参考)】
3F522
5L049
【Fターム(参考)】
3F522CC09
3F522GG09
3F522HH02
3F522HH24
3F522JJ01
3F522LL31
5L049CC07
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】原子力施設の解体に伴って発生する廃棄物を保管して搬出するまでの将来的な物流をシミュレーション可能とする物流シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、解体対象となる構造物の解体工程において経時的に発生する廃棄物に関する所定の情報を入力する入力部と、前記所定の情報に基づいて前記廃棄物の発生から前記廃棄物を構内または構外に搬出するまでの所定期間において前記廃棄物の保管状態を示す保管工程を算出する演算部と、前記所定期間における前記保管工程の経時的な変化を示す情報を可視化した表示画像を表示する表示部と、を備える物流シミュレーションシステムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体対象となる構造物の解体工程において経時的に発生する廃棄物に関する所定の情報を入力する入力部と、
前記所定の情報に基づいて前記廃棄物の発生から前記廃棄物を構内または構外に搬出するまでの所定期間において前記廃棄物の保管状態を示す保管工程を算出する演算部と、
前記所定期間における前記保管工程の経時的な変化を示す情報を可視化した表示画像を表示する表示部と、を備え、
前記入力部は、
経時的に発生する前記廃棄物の廃棄物量と、
前記構造物が設置された構内において空いているスペースであり、前記廃棄物を保管するための保管エリアにおいて経時的に変化する保管容量と、
前記解体工程において発生した前記廃棄物を処理するための処理工程に必要な処理時間に関する情報と、
前記保管エリアに保管された前記廃棄物を搬出するまでに必要な搬出時間に関する情報と、
前記廃棄物量を所定の容量を有する容器の容器数に換算するための換算係数と、
前記容器を搬出する頻度を示す搬出条件と、
前記解体工程から前記保管工程の間において、撤去される前記廃棄物量、移動する前記廃棄物量、保管形態に応じた前記廃棄物量と、
を入力可能とし、
前記演算部は、
前記廃棄物量と前記換算係数とを用いて、前記容器の個数を算出し、
前記処理時間に関する情報および前記搬出時間に関する情報に基づいて、前記廃棄物の発生から前記処理工程および前記保管工程を経て前記容器が搬出されるまでの時間を前記容器ごとに算出し、
前記保管エリアにおいて発生、または前記保管エリアに搬入される前記容器の個数と前記保管エリアから運び出される前記容器の個数とに基づいて前記保管エリアに保管されている前記容器の経時的な保管量を算出し、
前記解体工程から前記保管工程の間に前記廃棄物の撤去、前記廃棄物の移動、前記廃棄物の前記保管形態により増減する経時的な前記保管容量を算出し、
前記保管容量と前記保管量とに基づいて前記保管エリアにおいて前記容器を保管可能な空き容量を示す保管空き容量を算出し、
前記表示部は、
前記容器の発生から搬出までの前記容器の物流プロセスを視認可能とする第1表示画像と、
前記所定期間において前記保管エリアに存在する前記保管空き容量と前記保管量との経時的な変化を表示する第2表示画像とを表示する、
物流シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記廃棄物は、前記構造物が設置された第一建屋で発生し、前記第一建屋における第1処理工程を経て前記保管エリアが確保された第二建屋に移送され、前記第二建屋における第2処理工程を経て前記第二建屋から搬出されるものであり、
前記入力部は、
前記第二建屋において経時的に変化する前記保管容量と、
前記第一建屋において実施される前記第1処理工程および前記第二建屋において実施される前記第2処理工程に必要な前記処理時間に関する情報と、
前記第一建屋から前記第二建屋に前記容器を輸送する輸送工程に必要な輸送時間に関する情報と、を入力可能とする、
請求項1に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記入力部は、前記処理工程に含まれる複数の工程のそれぞれの処理能力に関する情報と、前記複数の工程の順番とにより構成される受入ロジックを入力可能とし、
前記演算部は、前記受入ロジックに基づいて、前記複数の工程のそれぞれに受け入れ可能な前記容器の個数およびタイミングを算出する、
請求項1または2に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記入力部は、前記処理工程に含まれる前記複数の工程の種類を入力可能とする、
請求項3に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記入力部は、前記処理工程に必要なコストを入力可能とし、
前記演算部は、入力された前記コストに基づいて、前記処理工程にかかる全体的コストを算出し、
前記表示部は、算出された前記全体的コストの変化を経時的に表示する第3表示画像を表示する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記第1表示画像は、
前記容器の物流プロセスとして、前記処理工程が行われる処理区画と、前記容器が保管される保管区画とを表示し、
前記物流プロセスは、前記容器が前記処理区画に入り、前記処理工程が行われて経過する前記処理時間の間に滞留し、前記処理区画から出て前記保管区画に入り、前記保管工程における保管時間の間に滞留し、前記保管区画から出ていく経時的なプロセスを表示する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記廃棄物は、放射能レベルの極めて低い放射性廃棄物であるL3廃棄物と、放射性廃棄物として扱う必要のないCL廃棄物と、放射性廃棄物でないNR廃棄物とから構成され、
前記処理工程は、前記L3廃棄物を処理するためのL3処理工程と、
前記CL廃棄物を処理するためのCL処理工程と、
前記NR廃棄物を処理するためのNR処理工程と、を備え、
前記入力部は、前記L3廃棄物、前記CL廃棄物、及び前記NR廃棄物の発生量に関する情報を個別に入力可能とし、
前記演算部は、前記L3廃棄物、前記CL廃棄物、及び前記NR廃棄物が発生してから前記L3処理工程と、前記CL処理工程と、前記NR処理工程とを経て搬出されるまでの時間を個別に算出する、
請求項1から6のうちいずれか1項に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記廃棄物は、コンクリートから構成されるコンクリート廃棄物と、金属から構成される金属廃棄物とから構成され、
前記処理工程は、前記コンクリート廃棄物を処理するためのコンクリート処理工程と、
前記金属廃棄物を処理するための金属処理工程と、を備え、
前記入力部は、前記コンクリート廃棄物と前記金属廃棄物との種類に応じた発生量に関する情報を入力可能とし、
前記演算部は、前記コンクリート廃棄物と前記金属廃棄物とが発生してから前記コンクリート処理工程と、前記金属処理工程とを経て搬出されるまでの時間を個別に算出する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の物流シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記コンクリート廃棄物と前記金属廃棄物とが同一の前記保管エリアに保管される場合に、
前記演算部は、
前記コンクリート廃棄物と前記金属廃棄物とを合算した前記容器の経時的な前記保管量を算出し、
前記保管量に対する前記保管空き容量を算出し、
前記表示部は、前記保管エリアに存在する前記保管空き容量と、前記コンクリート廃棄物と前記金属廃棄物とを含む前記保管量との経時的な変化を前記第2表示画像に表示する、
請求項8に記載の物流シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の発生から搬出までの物流プロセスを予測する物流シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設を廃止する場合、放射性廃棄物及び非放射性廃棄物を含む廃棄物が発生する。廃棄物のうち、低レベル放射性廃棄物や、放射性廃棄物でない非放射性廃棄物は、発生後に原子力施設内にて所定の期間保管される。保管後の廃棄物は、構内の埋設処分場、構外の埋設処分場、または構外での再利用のために搬出される。保管対象となる廃棄物は、設備の解体工程、除染等の処理工程、保管工程等を経て、構内または構外に搬出されるまでの長期間において、全ての工程が物流として管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃棄物は、構内の空きスペースを利用して保管される。空きスペースにおける廃棄物の保管容量は限られており、廃棄物の発生から搬出までの一連の物流が滞りなく行われることが望ましい。廃棄物の保管容量が確保されず廃棄物の物流の途中に滞りが生じると、廃棄物が滞留し、解体工事が中断し廃止措置が滞る虞がある。従って、原子力施設の解体開始から廃棄物の保管を経て搬出されるまでの将来的な期間内において、廃棄物の発生量と保管量とを経時的に把握し、ある時期にどのような対策が必要となるのか把握可能であれば事前に対策を講じることが可能である。特許文献1に記載された管理システムでは、現状の廃棄物の状態に基づいて廃棄物の保管量を管理するものであり、将来的な廃棄物の物流を算出するものではなかった。
【0005】
本発明は、原子力施設の解体に伴って発生する廃棄物を保管して搬出するまでの将来的な物流をシミュレーション可能とする物流シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、解体対象となる構造物の解体工程において経時的に発生する廃棄物に関する所定の情報を入力する入力部と、前記所定の情報に基づいて前記廃棄物の発生から前記廃棄物を構内または構外に搬出するまでの所定期間において前記廃棄物の保管状態を示す保管工程を算出する演算部と、前記所定期間における前記保管工程の経時的な変化を示す情報を可視化した表示画像を表示する表示部と、を備え、前記入力部は、経時的に発生する前記廃棄物の廃棄物量と、前記構造物が設置された構内において空いているスペースであり、前記廃棄物を保管するための保管エリアにおいて経時的に変化する保管容量と、前記解体工程において発生した前記廃棄物を処理するための処理工程に必要な処理時間に関する情報と、前記保管エリアに保管された前記廃棄物を搬出するまでに必要な搬出時間に関する情報と、前記廃棄物量を所定の容量を有する容器の容器数に換算するための換算係数と、前記容器を搬出する頻度を示す搬出条件と、前記解体工程から前記保管工程の間において、撤去される前記廃棄物量、移動する前記廃棄物量、保管形態に応じた前記廃棄物量と、を入力可能とし、前記演算部は、前記廃棄物量と前記換算係数とを用いて、前記容器の個数を算出し、前記処理時間に関する情報および前記搬出時間に関する情報に基づいて、前記廃棄物の発生から前記処理工程および前記保管工程を経て前記容器が搬出されるまでの時間を前記容器ごとに算出し、前記保管エリアにおいて発生、または前記保管エリアに搬入される前記容器の個数と前記保管エリアから運び出される前記容器の個数とに基づいて前記保管エリアに保管されている前記容器の経時的な保管量を算出し、前記解体工程から前記保管工程の間に前記廃棄物の撤去、前記廃棄物の移動、前記廃棄物の前記保管形態により増減する経時的な前記保管容量を算出し、前記保管容量と前記保管量とに基づいて前記保管エリアにおいて前記容器を保管可能な空き容量を示す保管空き容量を算出し、前記表示部は、前記容器の発生から搬出までの前記容器の物流プロセスを視認可能とする第1表示画像と、前記所定期間において前記保管エリアに存在する前記保管空き容量と前記保管量との経時的な変化を表示する第2表示画像とを表示する、物流シミュレーションシステム。物流シミュレーションシステムである。
【発明の効果】
【0007】
原子力施設の解体に伴って発生する廃棄物を保管して搬出するまでの将来的な物流をシミュレーション可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る原子力施設の一例を示す図である。
【
図2】廃棄物の処理フローを示すブロック図である。
【
図3】物流シミュレーションシステムの構成を示すブロック図である。
【
図4】廃棄物に関する所定の情報を入力するための入力画像の一例を示す図である。
【
図5】(a)表示部5に表示される第2表示画像の一例を示す図であり、(b)第3表示画像の一例を示す図である。
【
図6】他の実施形態に係る廃棄物の処理フローを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
建屋内に原子炉を有する原子力施設の廃止措置に伴う解体の過程において、原子炉本体、原子炉周辺機器、建屋等の構造物を解体した際に廃棄物が発生する。以下、廃止措置に伴って発生する廃棄物のうち、処理対象となる低レベル放射性廃棄物と非放射性廃棄物との処分計画について説明する。廃止措置に伴って発生する廃棄物には、放射性物質により汚染された放射性廃棄物と、放射性物質に汚染されていない非放射性廃棄物が含まれている。低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルの高い順に、放射能レベルの比較的高いものL1、放射能レベルの比較的低いものL2、放射能レベルの極めて低いものL3に分類される。L1,L2は、構外の埋設処分場に搬出される。
【0010】
本実施形態では、低レベル放射性廃棄物(L3)と、放射性廃棄物として扱う必要のない廃棄物(CL)と、非放射性廃棄物(NR)の廃止措置について説明する。L3廃棄物と、CL廃棄物と、NR廃棄物は、例えば、建屋内において除染処理が行われた後、所定の形状、所定の容量を有する容器(
図2参照)内に収納可能な大きさまで分割され、容器内に収納された状態で保管される。容器には、個別に識別可能とするIDが与えられる。IDと内部の廃棄物の種類、放射能レベル等の情報が対応付けられて記録され、容器に対して内容物と放射能レベルに応じた保管期間が設定される。保管期間は、廃棄物の放射能レベルが基準以下となる期間に設定される。廃止措置計画は、後述する保管エリアにおける容器の保管量が保管容量を超えないように策定される必要がある。
【0011】
以下、本実施形態でシミュレーションの対象とする原子力施設の構成について、
図1および
図2を参照しつつ説明する。本実施形態では、原子力施設NP内のエリアを構内と称し、原子力施設NPの外のエリアを構外と称する。
図1に示すように、原子力施設NPは、建屋Tを備える。本実施形態では、第一建屋T1と、第二建屋T2とを備える。第一建屋T1と第二建屋T2との間には、容器を積載した車両Vが移動する移動経路が区画されている。建屋の個数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。建屋の個数は、廃止措置の過程で増減してもよい。
【0012】
図2は、原子力施設NP内における物流プロセスを模式的に表した図である。第一建屋T1は、構造物Uとして原子炉またはタービン等、発電に必要な設備が設置されている建屋である。第一建屋T1では、構造物Uを解体する解体工程と、解体工程において発生した廃棄物を処理するための処理工程とが実施される。以下、第一建屋T1で実施される処理工程を第1処理工程と称する。本実施形態では、第1処理工程として、除染と、容器詰替と、一次保管に係る工程が例示されている。
【0013】
第二建屋T2は、解体対象は設置されていないが、搬入された容器に対して各種の処理および保管を行う建屋である。第二建屋T2では、第一建屋T1から搬入された容器をさらに処理するための処理工程と、当該処理工程により保管可能となった容器を保管する保管工程とが実施される。以下、第二建屋T2で実施される処理工程を第2処理工程と称する。本実施形態では、第2処理工程として、測定と、廃棄体化に係る工程が例示されている。
【0014】
本実施形態では、廃棄物は、構造物Uが設置された第一建屋T1で発生し、容器に収納される。廃棄物が収納された容器は、第1処理工程を経て保管エリアが確保された第二建屋T2に移送される。その後、容器は、第二建屋T2における第2処理工程を経て構内または構外に搬出される。
図2に示すように、容器は、構内の埋設処分場に向けて構内搬出されるか、または構外の埋設処分場若しくは再利用のために構外搬出される。以下、容器の構内または構外への搬出を単に搬出と称する場合がある。容器は、第一建屋T1から運び出され、構内で輸送(輸送工程)されて第二建屋T2に搬入される。第一建屋T1から運び出された容器は、例えば、
図1に示す車両Vに積載され、構内輸送される。
【0015】
保管エリアとは、構造物Uが設置された構内において、廃棄物を保管するためのエリアである。本実施形態では、保管エリアは、建屋内において空いているスペースである。廃棄物が収納された容器は、建屋内の保管エリアに保管される。保管エリアには、解体作業前において既に容器の保管場所として使用可能な既存スペースと、構造物Uを解体することによって容器の保管場所として使用可能となる追加スペースとが存在する。追加スペースは、解体作業に伴って経時的に変化する。本実施形態において、保管容量とは、保管エリアの床面積に応じて計算される、保管できる容器の個数である。具体的には、保管容量は、保管エリアの床面積に加え、建屋内における床面から天井までの間において構造物Uが設置されていない空間の容積(例えば、高さ)、および床耐荷重の制限を考慮して設定される。保管容量は、既存スペースと追加スペースの合計に基づいて、経時的に変化する。保管期間を経過した容器は、構内の埋設処分場、または構外に搬出される。
【0016】
保管量とは、建屋内に実際に保管されている容器の個数である。また、保管空き容量とは、保管容量から所定の時点における保管量を差し引いた容量である。
【0017】
容器の搬出先は、放射性廃棄物の処理施設、保管施設、埋設処分場等である。上述したように、原子力施設NPの解体において、解体開始から廃棄物の搬出までの管理期間は長期間となり、管理期間中に廃棄物に対して行われる各処理工程は一連のものであるから、各処理のいずれか一つに滞りが生じても全体的な処理に滞りが生じる可能性がある。従って、廃棄物の発生から搬出までの廃棄物の物流が将来的にどのような状態となるのか予め把握しておく必要がある。
【0018】
以下、解体対象となる原子力施設NP等に設けられた構造物Uの解体工程において、廃棄物の発生から、搬出されるまでの物流を可視化する物流シミュレーションシステムについて説明する。物流シミュレーションシステムは、発生する廃棄物の将来的な状態をシミュレーションするものである。
【0019】
図3に示されるように、物流シミュレーションシステム1は、例えば、シミュレーションに必要な情報を入力する入力部2と、入力されたデータに基づいて廃棄物の状態を算出する演算部3と、演算に必要なデータを記憶する記憶部4と、算出結果に基づく表示画像を表示する表示部5とを備える。物流シミュレーションシステム1は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報の入出力が可能な情報処理端末装置により構成されている。
【0020】
入力部2は、例えば、表示部5に表示される表示画像に基づいて情報を入力するインタフェースである。入力部2は、タッチパネル、キーボード、音声入力等の入力デバイスを有している。入力部2は、タッチパネルである場合、表示部5により構成されていてもよい。入力部2は、解体対象となる原子力施設NPの構造物Uの解体工程において、経時的に発生する廃棄物に関する所定の情報を入力するように構成されている。
【0021】
演算部3は、所定の情報に基づいて廃棄物の発生から搬出までの所定期間において廃棄物の保管状態を示す保管工程を算出する。演算部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはGPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部4に設けられたHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0022】
表示部5は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネル等のディスプレイ装置である。表示部5は、所定期間における保管工程の経時的な変化を示す情報を可視化した表示画像を表示する。
【0023】
図4には、廃棄物に関する所定の情報を入力するための入力画像Pの一例が示されている。入力画像Pは、表示部5に表示されるものであり入力部2を構成するものである。入力画像Pは、任意に設定可能であり、所定の情報も適宜追加、修正が可能である。所定の情報は、初期条件としてデータ整備された最もらしい値が入力される。所定の情報は、適宜変更し、追加してもよい。
【0024】
所定の情報とは、例えば、経時的に発生する廃棄物量と、経時的に変化する保管容量と、処理工程に必要な処理時間に関する情報と、を含んでいる。入力画像Pは、保管エリアに保管された廃棄物(容器)を構内または構外に搬出するまでに必要な搬出時間に関する情報と、搬出を実行する頻度を示す搬出条件と、廃棄物量を所定の容量を有する容器の容器数に換算するための換算係数と、を入力可能である。容器は、単数により定義されていてもよいし、複数個単位で定義されていてもよい。
【0025】
所定の情報のうち廃棄物量は、例えば、廃棄物の種類毎に設定されている。所定の情報には、保管対象となる放射能レベルの極めて低いL3廃棄物と、放射性廃棄物として扱う必要のないCL廃棄物と、非放射性廃棄物であるNR廃棄物とが設定されている。各廃棄物は、更に、コンクリートから構成されるコンクリート廃棄物と、金属から構成される金属廃棄物とに分類されている。
【0026】
入力画像Pは、第一建屋T1において実施される第1処理工程および第二建屋T2において実施される第2処理工程に必要な処理時間に関する情報と、第一建屋T1から第二建屋T2に容器を輸送する輸送工程に必要な輸送時間に関する情報と、を入力可能とする。
【0027】
所定の情報のうち処理時間は、構造物Uの解体工程において発生した廃棄物を処理するための処理工程に必要な時間である。処理工程は、例えば、分別、除染、容器詰替え、検査、測定、容器の一次保管等の複数の工程を含む。複数の工程の間には、それぞれ処理工程の途中で一時的に保管する仮置保管や運搬の工程を含んでいてもよい。処理工程は、L3廃棄物を処理するためのL3処理工程と、CL廃棄物を処理するためのCL処理工程と、NR廃棄物を処理するためのNR処理工程と、を備える。
【0028】
入力画像Pは、L3廃棄物、CL廃棄物、及びNR廃棄物の発生量に関する情報を入力可能とする。例えば、入力画像Pは、L3廃棄物、CL廃棄物、及びNR廃棄物の割合を個別に入力可能としてもよい。また、処理工程は、コンクリート廃棄物を処理するためのコンクリート処理工程と、金属廃棄物を処理するための金属処理工程と、を備える。入力画像Pは、コンクリート廃棄物と金属廃棄物との種類に応じた発生量に関する情報を入力可能としてもよい。例えば、入力画像Pは、実際の発生量を個別に入力可能としてもよいし、割合を入力可能としてもよい。
【0029】
所定の情報のうち搬出時間は、保管エリアに保管された廃棄物(容器)が構内の埋設処分場、または構外に搬出されるまでに要する時間である。搬出時間は、直接的な時間が入力されてもよいし、時間換算するための計算式が入力されてもよい。また、入力画像Pは、処理工程に必要なコストを入力可能としてもよい。入力画像Pは、解体工程から保管工程の間において、撤去される廃棄物量、移動する廃棄物量、仮置保管や一次保管などの保管形態に応じた廃棄物量を入力可能としてもよい。
【0030】
入力部2は、処理工程に含まれる複数の工程のそれぞれの処理能力に関する情報と、複数の工程の順番とを示す受入ロジックを入力可能とする。入力画像は、例えば、
図2または
図4に示す各処理を原子力施設に応じて取捨選択し、入力するための画像である。表示部5は、受入ロジックの入力画像(図示せず)を表示する。入力画像には、例えば、建屋におけるL3廃棄物の解体工程から各処理工程、保管工程を経て構内または構外に搬出されるまでの各工程が、
図2の処理フローを細分化したフローロジック(図示しない)により可視化されて示される。
【0031】
この入力画像には、各工程において実行される複数の処理のフローロジックを入力可能である。各処理は、任意に設定、追加および削除可能である。廃棄物の種類や量、顧客の要望等によってフローを自由に変更することができる。フローロジックには、処理を示すアイコンと、アイコンとアイコンとの間に入力される処理の流れを示す矢印とが示されている。フローロジックにより、処理の分岐、統合、並行処理など各工程において実行される処理の流れが可視化される。
【0032】
演算部3は、入力画像Pにより入力された所定の情報に関するデータに基づいて廃棄物の発生から搬出までの所定期間において廃棄物の保管状態を示す保管工程を算出する。演算部3は、例えば、入力された廃棄物量と換算係数とを用いて、容器の個数を算出する。換算係数は、例えば、廃棄物の発生量から容器数への換算比(個数/収納量ton)である。容器の1体当たりの収納量は、廃棄物の収納率×廃棄物の比重×容器内容積により算出される。容器の個数は単数でもよいし、複数個を単位としてもよい。これにより、容器の個数に基づいて、廃棄物の発生量や保管量が算出される。
【0033】
容器には、仮置容器C1と保管容器C2とが存在する。仮置容器C1は、解体工事において発生した廃棄物を収容する容器である。また、仮置容器C1は、処理工程の過程で一時的に容器を保管する際に使用される。保管容器C2は、仮置容器C1内の廃棄物を、搬出に必要な検査、及び搬出に適した容器に詰め替えたものである。演算部3は、算出結果に基づいて廃棄物の発生量を任意の時間単位毎の発生量に換算する。演算部3は、例えば、廃棄物の発生量を1時間当たり、1日当たり、週当たり等任意の単位にて換算する。演算部3は、廃棄物の発生量を示す表示画面(図示せず)を生成し、表示部5に表示させる。本実施形態では、保管容量は、仮置保管された仮置容器C1の保管容量と保管容器C2の保管容量とを合算した量である。また、保管量は、実際に保管されている仮置容器C1と保管容器C2との合算である。
【0034】
表示部5は、廃棄物の発生量を示す表示画面(図示せず)を表示してもよい。表示画面には、1時間当たりの廃棄物の発生量が廃棄物の種類ごとに示される。演算部3は、入力画像Pにより入力された処理時間に関する情報および搬出時間に関する情報と、入力された受入ロジックに基づいて、廃棄物の発生から処理工程および保管工程を経て容器が構内または構外に搬出されるまでの全体的な工程のフローを算出する。演算部3は、入力画像Pにより入力された所定の情報に関するデータに基づいて、複数の工程のそれぞれに受け入れ可能な容器の個数およびタイミングを算出する。
【0035】
演算部3は、廃棄物の発生から搬出されるまでの時間を、容器に付されたIDと付加された情報に基づいて容器ごとに算出する。これにより、1つの容器が発生してから搬出されるまでに要する時間が算出される。演算部3は、L3廃棄物、CL廃棄物、及びNR廃棄物が発生してからL3処理工程と、CL処理工程と、NR処理工程とを経て構内または構外に搬出されるまでの時間を個別に算出する。
【0036】
本実施形態の演算部3は、処理工程で一度に処理可能な容器数を受け入れるように、移動時間やタイミングを調整し、各処理工程で容器が滞留するのを防止している。例えば、
図2に記載の測定は、一度に一つの容器を測定する処理である。2つの測定対象がある場合、演算部3は、先の容器の測定完了後、次の容器を測定の区画に移動させる。演算部3は、予め入力画像Pに入力された処理可能な容器数や時間等の情報に基づいて、容器の移動のタイミングを算出し、後述の様に物流プロセスとして表示する。
【0037】
演算部3は、コンクリート廃棄物と金属廃棄物とが発生してからコンクリート処理工程と、金属処理工程とを経て構内または構外に搬出されるまでの時間を個別に算出する。演算部3は、コンクリート廃棄物と金属廃棄物とが同一の保管エリアに保管される場合に、コンクリート廃棄物と金属廃棄物とを合算した容器の経時的な保管量を算出する。演算部3は、容器の発生から搬出までの容器の物流プロセスを視認可能とする第1表示画像M1を生成し、表示部5に表示させる。
【0038】
第1表示画像M1は、
図2の処理フローを、受入ロジックに基づいて詳細に表示する画像である。ここでは、第1表示画像M1について、
図2を参照しながら説明する。第1表示画像M1には、廃棄物の放射能レベルに応じた複数種類の容器がアイコンなどの識別される態様で示され、各廃棄物の処理フローが表示される。また、第1表示画像M1には、建屋内にて発生し、または搬入された容器の種類毎に行われる処理が、フロー図により表示される。本実施形態の第1表示画像M1は、便宜的に一種の廃棄物について代表的な処理フローを表示している。第1表示画像M1において、容器のアイコンは、第一建屋T1での発生から各処理工程を経て第二建屋T2に向けて構内輸送されるフロー、第二建屋T2に搬入されるフロー、および第二建屋T2から構内または構外に搬出されるまでフロー図に示された各処理に沿って順次移動する。
【0039】
第1表示画像M1には、各工程において処理されている容器の個数が表示される。管理者は、第1表示画像M1に基づいて容器の種類毎に容器にいずれの処理工程が行われているのか、各処理工程に継続中の容器の個数を視認可能である。管理者は、第1表示画像M1に基づいて建屋内における容器の物流プロセスを視覚的にシミュレーションすることができる。
【0040】
本実施形態の第1表示画像M1では、処理工程が行われるエリアを処理区画とし、容器が保管されるエリアを保管区画として表示している。処理区画と保管区画は、物流プロセスを説明するための概念的な区画であって、実際の建屋内において物理的に設定されたエリアとは異なる。そのため、実際の建屋内において、処理と保管が同じエリア(部屋)で行われてもよいし、異なるエリア(部屋)で行われてもよい。
図2では、保管容器C2の一次保管を第1処理工程として処理区画内に表示しているが、実際の保管容器C2は保管エリアに載置される。一次保管を保管工程として保管区画内に表示してもよい。保管区画と保管エリアは必ずしも同義ではない。
【0041】
第1表示画像M1には、容器が処理区画に入り、処理工程が行われて経過する処理時間の間に滞留し、前記処理区画から出て保管区画に入り、保管工程における保管時間の間に滞留し、保管区画から出ていく経時的なプロセスが表示される。
【0042】
本実施形態の第1表示画像M1には、入力情報に従って演算部3で演算された物流プロセスが動画として表示される。本実施形態では、第一建屋T1で解体された構造物U(廃棄物)は、仮置容器C1に収納され、処理区画に入る。仮置容器C1は、除染工程に入り、除染処理に必要な時間、除染工程の区画に滞留する。続いて、仮置容器C1は、容器詰替工程で保管容器C2に変換され、詰替えに必要な時間、容器詰替区画に滞留する。続いて、保管容器C2は、一次保管として入力された時間、一次保管の区画に滞留する。一次保管後の保管容器C2は、構内輸送され、第二建屋T2に搬入される。このとき、保管容器C2は、構内輸送時間として入力された時間をかけて第二建屋T2に移動する。保管容器C2は、第一建屋T1内と同様に、第2処理工程に必要な時間、処理区画に滞留し、二次保管される。入力された二次保管時間を経過した容器は、構内または構外に搬出される。このとき、保管容器C2は、搬出時間として入力された時間をかけて構内または構外に搬出される。このように、第1表示画像M1は、廃棄物の実際の物流プロセスについて、時間を加味した容器の物流プロセスを視覚化したシミュレーションをすることができる。
【0043】
演算部3は、保管エリアに保管される容器の個数と保管エリアから運び出される容器の個数とに基づいて、保管エリアに保管されている容器の経時的な保管量を算出する。演算部3は、入力された解体工程から保管工程の間において、撤去される廃棄物量、移動する廃棄物量、廃棄物の保管形態に応じた廃棄物量に基づいて、解体工程から保管工程の間に廃棄物の撤去、廃棄物の移動、廃棄物の保管形態により増減する経時的な保管容量を算出する。
【0044】
演算部3は、算出した保管量と保管容量とに基づいて保管量に対する保管空き容量を算出する。これにより、演算部3は、容器の発生から搬出までの容器の保管状況を示す保管工程を算出することができる。
【0045】
演算部3は、構造物Uの解体開始から全ての廃棄物の搬出終了までの管理期間において、日ごとに保管エリアに保管されている容器の経時的な保管量を積算して日ごとに保管量の総量を算出する。演算部3は、管理期間内におけるすべての日に対して廃棄物の保管量を種類毎に算出する。演算部3は、日次、週次、月次単位の経時的な保管量の変化を算出する。演算部3は、日次、週次、月次単位の保管量を例えば、1年間、5年間、20年間の単位で算出する。
【0046】
演算部3は、保管容量と算出した保管量とに基づいて保管エリアにおいて容器を保管可能な空き容量を示す保管空き容量を算出する。演算部3は、算出結果に基づいて、管理期間において保管エリアに存在する空き容量と保管量との経時的な変化を表示する第2表示画像を生成し、表示部5に表示させる。演算部3は、第2表示画像において保管エリアに存在する空き容量と、コンクリート廃棄物と金属廃棄物とを含む保管量との経時的な変化を表示するグラフを生成する。
【0047】
図5(a)には、表示部5に表示される第2表示画像M2の一例が示されている。第2表示画像M2には、例えば、容器の種類毎に保管量が表示される。保管量は、例えば、日次1年間、週次5年間、月次20年間等の短期から長期的な期間におけるグラフにより表示される。グラフには、保管エリアに存在する空き容量と、コンクリート廃棄物と金属廃棄物とを含む保管量との経時的な変化が表示される。グラフには、保管量と共に空き容量も表示される。管理者は、短期から長期的な期間において保管エリアに存在する空き容量と保管量との経時的な変化を確認することができる。図示された第2表示画像M2は、一例であり、管理期間において保管エリアに存在する空き容量と保管量との経時的な変化を表示できれば他の表示態様に生成されてもよい。
【0048】
図5(b)には、全体的コストの変化を経時的に示す第3表示画像M3が示されている。演算部3は、入力画像Pにおいて入力されたコストのデータに基づいて、処理工程にかかる全体的コストを算出し、算出された全体的コストの変化を経時的に示す第3表示画像M3を生成し、表示部5に表示させる。全体的コストは、廃棄物の処理の終了時の入力データや、各処理に必要なコストの入力データの条件を変更することができる。これにより、管理期間における様々なコストの変化のパターンをシミュレーションすることができる。
【0049】
図1には、容器が移動する経路を示す移動経路Rと、第一建屋T1と、第二建屋T2とが表示された第4表示画像M4が示されている。第一建屋T1と第二建屋T2との間には移動経路Rが示されている。移動経路Rには、容器を運搬する車両Vが示されている。第4表示画像M4には、容器が車両Vに積載された後、移動経路Rを移動する状態が経時的に表示される。第4表示画像M4には、車両Vが第二建屋T2に到着し、容器を荷下ろしする間に停車する状態が経時的に示される。演算部3は、容器が移動経路Rを移動し、第一建屋T1に入り、第一建屋T1から第二建屋T2に移動し、第二建屋T2から搬出される容器の経時的な動きを動画として第4表示画像M4に表示する。
【0050】
上述したように、物流シミュレーションシステム1によれば、原子力施設NPの解体に伴って発生する廃棄物を保管して搬出するまでの将来的な物流をシミュレーションすることができる。物流シミュレーションシステム1によれば、表示部5に表示される表示画像に基づいて廃棄物の発生から保管工程を経て搬出されるまでの廃棄物の物流を視覚化することができる。物流シミュレーションシステム1によれば、表示部5に表示される表示画像に基づいて廃棄物の保管期間において、ある時期での保管区画内に保管された廃棄物の保管状態をグラフにより把握することができる。
【0051】
物流シミュレーションシステム1によれば、表示部5に表示される表示画像に基づいてCL廃棄物、NR廃棄物を管理対象とし、物流に係る一連のコストを算出することができる。物流シミュレーションシステム1によれば、表示部5に表示される表示画像に基づいて、管理期間において廃棄物の処理がいつ終了し、どの程度のコストが必要となるのかを入力条件を変更することで、将来的に変更される様々な条件に対応したコストを算出することができる。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、物流シミュレーションシステム1は、L3廃棄物、CL廃棄物、NR廃棄物だけでなく、L1廃棄物、L2廃棄物の物流シミュレーションに適用してもよい。
【0053】
上記実施形態では、原子力施設NPが、第一建屋T1と第二建屋T2を備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。
図6に示すように、原子力施設NPは、一つの建屋Tを備え、一つの建屋T内で解体工程、処理工程および保管工程が実施されてもよい。すなわち、物流シミュレーションシステム1は、一つの建屋Tに基づいたシミュレーションも可能である。また、シミュレーションの結果、廃止措置の過程で第二建屋T2を建造する必要性が出てきた場合、第二建屋T2を追加して、シミュレーションすることも可能である。
【0054】
上記実施形態では、保管エリアが建屋内の空いているスペースである場合について説明したが、これに限定されるものではない。解体対象としての構造物Uが建屋自身である場合には、保管エリアは、屋外における空いているスペースであってもよい。すなわち、構内において空いているスペースであり、廃棄物を保管する広さがあれば保管エリアとして入力することができる。
【0055】
上記実施形態では、処理工程(第1処理工程および第2処理工程)として
図2に記載の工程を例示したが、処理工程の種類はこれらに限定されない。廃棄物の種類によって異なる処理が実施されてもよく、工程数は限定されない。処理工程は、物流シミュレーションシステム1を構築する過程で、廃棄物の種類に応じて自由に設定可能である。
【0056】
上記実施形態では、保管容量は、仮置容器C1の保管容量と保管容器C2の保管容量とを合算した量であり、保管量は、実際に保管されている仮置容器C1と保管容器C2との合算である場合について説明した。しかしながら、保管容量および保管量は、仮置容器C1単体で演算してもよいし、保管容器C2単体で演算してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 物流シミュレーションシステム
2 入力部
3 演算部
5 表示部
CL 廃棄物
M1 第1表示画像
M2 第2表示画像
M3 第3表示画像
T 建屋
T1 第一建屋
T2 第二建屋