(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110510
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】シート制御装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230802BHJP
B60N 2/04 20060101ALI20230802BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20230802BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20230802BHJP
A47C 7/14 20060101ALI20230802BHJP
B60R 25/24 20130101ALN20230802BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/04
B60N2/06
B60N2/22
A47C7/14
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012004
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々 浩貴
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087AA05
3B087BA02
3B087BD03
3B087DE08
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】シート調整の利便性を向上できるシート制御装置を提供する。
【解決手段】生体認証システム16は、操作部15に設けられたセンサ部18で生体情報Daを取得して生体認証を実行する。このとき、確認部33は、取得された生体情報Daと第1メモリ26に登録されたシート位置情報Dkとの関係を確認する。制御部27は、確認部33の確認結果Soutから、操作部15を操作したユーザに対応するシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出す。制御部27は、読み出したシート位置情報Dkに基づいてシート駆動部28を制御することにより、シート位置を自動調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ固有のシート位置情報をメモリに事前登録させ、ユーザの乗車過程でシート位置調整のトリガを受け付けた場合に、前記トリガに基づく前記シート位置情報を前記メモリから読み出してシート駆動部を制御することにより、シート位置をユーザに応じた位置に自動調整するシート制御装置であって、
車両の操作部に設けられたセンサ部で取得したユーザの生体情報の認証によって車載機器の作動可否が判断されるときに、認証された前記生体情報と前記メモリに登録された前記シート位置情報との関係を確認する確認部と、
前記確認部の確認結果から、前記操作部を操作したユーザに対応する前記シート位置情報を前記メモリから読み出し、読み出した前記シート位置情報に基づいて前記シート駆動部を制御することにより、シート位置を自動調整する制御部と
を備えているシート制御装置。
【請求項2】
前記操作部は、車両電源を遷移させるために操作される部材であり、
前記車載機器は、前記車両を走行させるための駆動力を生成する駆動力生成装置である
請求項1に記載のシート制御装置。
【請求項3】
ユーザの前記生体情報と前記メモリに登録された前記シート位置情報との紐付けを、ユーザに登録させる登録部を備えている
請求項1又は請求項2に記載のシート制御装置。
【請求項4】
前記車両は、シート位置の自動調整を開始するために操作されるシートスイッチを備え、
前記トリガは、前記シートスイッチから出力されるスイッチ信号である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシート制御装置。
【請求項5】
前記シート位置情報を記憶した第1メモリと、
前記生体情報及び前記シート位置情報の紐付けを表す結び付け情報を記憶した第2メモリとを備え、
前記確認部は、認証された前記生体情報に前記シート位置情報の紐付けがあるか否かを、前記結び付け情報に基づき確認し、前記生体情報に前記シート位置情報の紐付けがある場合、その旨を通知する前記確認結果を前記制御部に出力し、
前記制御部は、取得した前記確認結果に基づき、前記第1メモリにおいて前記生体情報に紐付く前記シート位置情報を特定し、特定した前記シート位置情報に基づきシート位置の自動調整を実行する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシート制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、運転者が着座するシートの位置や角度等をメモリに記憶しておくとともに、記憶された位置や角度等へシートの状態を自動的に設定するドライビングポジション自動設定装置が開示されている。特許文献1は、例えば、運転席に設けられたテンキーごとにシートの位置や角度等の情報が登録されている。そして、テンキーが操作されると、そのテンキーに対応するシートの位置や角度等の情報が読み出されるとともに、その情報に基づきシートの状態が自動調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状態を自動調整する場合、テンキーの操作が必要となる。よって、テンキーの操作が面倒に感じることがあるので、利便性の面で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するシート制御装置は、ユーザ固有のシート位置情報をメモリに事前登録させ、ユーザの乗車過程でシート位置調整のトリガを受け付けた場合に、前記トリガに基づく前記シート位置情報を前記メモリから読み出してシート駆動部を制御することにより、シート位置をユーザに応じた位置に自動調整する構成であって、車両の操作部に設けられたセンサ部で取得したユーザの生体情報の認証によって車載機器の作動可否が判断されるときに、認証された前記生体情報と前記メモリに登録された前記シート位置情報との関係を確認する確認部と、前記確認部の確認結果から、前記操作部を操作したユーザに対応する前記シート位置情報を前記メモリから読み出し、読み出した前記シート位置情報に基づいて前記シート駆動部を制御することにより、シート位置を自動調整する制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、シート調整の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態のシート制御装置の構成図である。
【
図2】生体情報及びシート位置情報の紐付け登録の登録画面図である。
【
図4】生体情報及びシート位置情報の紐付け確認の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
[キーシステム1の構成]
図1に示すように、ユーザの利用対象物である車両2は、無線通信によってキー3を認証するキーシステム1を備えている。キーシステム1は、車両2からの通信を契機に狭域無線によってID照合(スマート照合)を実行することにより、車両2に搭載された車載機器4の作動を許可又は実行するスマートシステムを含む。スマートシステムの場合、キー3は、主にキー機能を有する電子キーである。スマートシステムは、車両2からキー3への通信にLF(Low Frequency)帯の電波を用いるとともに、キー3から車両2への通信にUHF(Ultra High Frequency)帯の電波を用いる。
【0009】
車両2は、ユーザが個人で所有する個人車両、或いは、1台を複数人で共用するシェアリングカーのいずれでもよい。また、車両2は、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、ガソリン車、燃料電池車、水素自動車のいずれでもよい。
【0010】
キーシステム1は、キーシステム1の作動を制御する照合装置8を備えている。照合装置8は、キー3を認証するキー認証部9を有する。キー認証部9は、車両2に設けられた通信部10を介してキー3と無線通信を実行する。スマートシステムの場合、通信部10は、車両2からの電波送信を実行する送信部、及び、車両2においての電波受信を実行する受信部を含む。送信部は、LF電波を送信する。受信部は、UHF電波を受信する。また、スマートシステムの場合、送信部は、車両2の室外に電波送信を実行する室外用と、車両2の室内に電波送信を実行する室内用とを含む。キー認証部9は、通信部10を介してキー3と無線通信を実行することにより、キー3を認証する。
【0011】
照合装置8は、車両2に設けられた通信線11を介して、複数の車載機器4に接続されている。車載機器4は、例えば、車両2を走行させるための駆動力を生成する駆動力生成装置12、ドア13の開閉を制御するドアロック制御装置14、ステアリングロックの施解錠を制御するステアリングロック制御装置(図示略)などがある。駆動力生成装置12は、例えば、車輪を回転させるモータを制御するモータ制御装置、エンジンの駆動を制御するエンジン制御装置などである。通信線11は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)などである。
【0012】
キー認証部9は、車両2の周囲にキー3が存在するか否かを確認するための送信電波を、通信部10から定期又は不定期に送信する。この送信電波は、スマートシステムの場合、LF帯のウェイク信号である。キー3は、この送信電波を受信すると、その応答をキー認証部9に返信する。キー3は、スマート通信の場合、応答をUHF帯の電波で送信する。キー認証部9は、キー3から応答を受信すると、キー3との間の通信が確立した状態になり、そして、キー3の認証を実行する。
【0013】
キー認証部9は、室外の送信部から送信された電波でキー3から応答を受信した場合、キー3が室外に位置すると判定する。キー認証部9は、室外に位置すると判定されたキー3と認証が成立した場合、ドア13の施解錠を許可又は実行する。また、キー認証部9は、室内の送信部から送信された電波でキー3から応答を受信した場合、キー3が室内に位置すると判定する。室内に位置するキー3と認証が成立することは、車両電源の遷移操作、すなわち、駆動力生成装置12の作動を許可する1条件となっている。
【0014】
車両2は、車両電源の遷移操作のために設けられた操作部15を備えている。操作部15は、例えば、プッシュスイッチである。操作部15は、例えば、エンジン車の場合、エンジンスイッチである。照合装置8は、操作部15から入力する操作信号Msに基づき、車両2電源状態を切り替える。電源状態は、例えば、IGオフ状態、ACCオン状態、IGオン状態、エンジンスタート状態などがある。
【0015】
[生体認証システム16の構成]
図1に示す通り、車両2は、ユーザから生体情報Daを読み取って生体認証を実行する生体認証システム16を備えている。本例の場合、生体認証は、ユーザの指紋を読み取って認証する指紋認証である。なお、生体認証は、指紋認証に限らず、例えば、掌紋認証、虹彩認証、眼球血管認証、静脈認証、顔認証、耳音響認証、又はこれらの組み合わせでもよい。
【0016】
生体認証システム16は、生体情報Daの認証を実行する生体認証部17を備えている。生体認証部17は、照合装置8に設けられている。生体認証システム16は、生体情報Daを取得するセンサ部18を備えている。センサ部18は、指紋認証の場合、指紋センサである。センサ部18は、例えば、操作部15に設けられている。具体的には、センサ部18は、操作部15がスイッチ部の場合、スイッチノブに設けられる。
【0017】
生体認証システム16は、事前にユーザの生体情報Daが車両2に登録される。具体例としては、例えば、車両2のマルチインフォメーションディスプレイの案内に沿って生体情報Daの事前登録を実行する。生体情報Daを登録する場合、まず、操作部15を操作して車両電源をオンし、マルチインフォメーションディスプレイの案内に従って、車両2を生体情報Daの登録モードに移行する。
【0018】
登録モードに移行後、例えば、ユーザ番号(例えば、指紋登録番号)を指定しつつ、そのユーザ番号に対する生体情報Daを登録する。例えば、指紋認証の場合、ユーザ番号を指定してからセンサ部18に指で数回触れるなどすることにより、生体情報Daを車両2に登録する。生体情報Daは、例えば、ユーザ番号を複数設けることにより、複数登録可能としてもよい。また、登録した生体情報Daは、消去可能としてもよい。
【0019】
センサ部18は、ユーザによって操作部15が操作されるときに、ユーザの生体情報Daを取得するとともに、照合装置8に出力する。操作部15がエンジンスイッチの場合、車両電源を切り替えるためにユーザが操作部15を操作したとき、この操作と同時にユーザの生体情報Da(例えば、指の指紋情報)を読み取るとともに、照合装置8に出力する。生体認証部17は、センサ部18から入力した生体情報Daと、事前登録された生体情報Daとを比較することにより、生体認証を実行する。生体認証部17は、これら生体情報Daが一致すれば、生体認証を成立とする。
【0020】
照合装置8は、室内に位置すると判定されたキー3と認証が成立しつつ、ユーザの生体認証が成立した場合、車両電源の遷移操作を許可する。このため、ブレーキペダル(図示略)を踏み込んだ状態で操作部15が操作されれば、駆動力生成装置12を始動させることが可能となる。
【0021】
[シートポジションメモリシステム20の構成]
図1に示す通り、車両2は、事前登録しておいたシート位置にシート21を自動調整するシートポジションメモリシステム20を備えている。シートポジションメモリシステム20は、ユーザ好みのシート位置(シート位置情報Dk)を予め登録し、そして、そのシート位置をユーザ操作に基づいて呼び出して設定する機能である。シート位置は、複数位置を登録可能としてもよい。登録したシート位置を呼び出すユーザ操作は、シートスイッチ22の操作、或いは、ドア13の解錠操作のいずれでもよい。ドア13の解錠操作は、キー3に設けられた解錠ボタンの操作、ドア13の車外ドアハンドルへのアンロック操作を含む。
【0022】
シートポジションメモリシステム20は、シート位置の制御を実行するシート制御装置24を備えている。また、シートポジションメモリシステム20は、前述のシートスイッチ22と、シート位置のメモリ登録を実行するためのセットボタン25とを有する。本例のシートスイッチ22は、3つ設けられている。この場合、シートスイッチ22は、第1シートスイッチ22a、第2シートスイッチ22b、及び第3シートスイッチ22cを含む。
【0023】
シートポジションメモリシステム20は、シート位置情報Dkを書き込むためのメモリ(以降、第1メモリ26と記す)を備えている。第1メモリ26には、ユーザ固有のシート位置情報Dkが事前登録される。第1メモリ26には、例えば、シート位置情報Dkとして、第1シートスイッチ22aと紐付いた第1シート位置情報Dk1、第2シートスイッチ22bと紐付いた第2シート位置情報Dk2、及び、第3シートスイッチ22cと紐付いた第3シート位置情報Dk3の3つが登録されている。
【0024】
シート位置の登録を行う場合、まずは、車両2のシフトレバーをパーキング位置とするとともに、操作部15をIGオンの状態にする。続いて、シート位置をユーザ好みの位置に調整する。調整するシート位置は、例えば、シート21の前後位置及び上下高さである。そして、セットボタン25を押し、シート位置を登録したい番号のシートスイッチ22を押す。以上により、ユーザが設定した現在のシート位置がシート位置情報Dkとして第1メモリ26に登録される。
【0025】
また、ドア13の解錠操作でシート位置の自動調整を実行する場合は、キー3ごとに好みのシート位置が自動で読み出される登録を実行する。具体的には、手元にキー3を用意してから、登録したいシートスイッチ22を押しながら運転席のドアロックスイッチを押すなどすると、操作したシートスイッチ22にキー3が紐付けされる。これにより、キー3を所持したユーザがドア13を解錠操作するとき、キー3に準ずるシート位置情報Dkが呼び出されることにより、シート位置の自動調整が実行される。
【0026】
シート制御装置24は、シート位置の自動調整を実行する制御部27を備えている。制御部27は、ユーザの乗車過程でシート位置調整のトリガTrを受け付けた場合に、そのトリガTrに基づくシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出す。トリガTrは、例えば、シートスイッチ22から入力するスイッチ信号S1や、ドア解錠に連携したシート位置調整開始指示などである。そして、制御部27は、読み出したシート位置情報Dkに基づきシート駆動部28を制御することにより、シート位置をユーザに応じた位置に自動調整する。
【0027】
[生体認証によるシート位置の呼び出し]
図1に示す通り、シートポジションメモリシステム20は、生体認証の認証結果に基づきシート位置を第1メモリ26から呼び出して設定する機能(生体認証を用いたメモリ呼び出し機能)を備えている。生体認証は、例えば、操作部15に設けられたセンサ部18で読み取った生体情報Daの認証結果を利用する。すなわち、生体認証を用いたメモリ呼び出し機能は、生体認証機能を有した操作部15の操作に連動してシート位置の自動調整を実行する機能である。
【0028】
シート制御装置24は、ユーザの生体情報Daと第1メモリ26に登録されたシート位置情報Dkとの紐付けをユーザに登録させる登録部31を備えている。登録部31は、例えば、生体情報Da及びシート位置情報Dkの紐付けを表す結び付け情報Dsを、シート制御装置24に設けられた第2メモリ32に登録する。結び付け情報Dsは、例えば、生体情報Daのユーザ番号(例えば、指紋登録番号)が、いずれのシート位置情報Dkと紐付いているのかを表す情報である。
【0029】
シート制御装置24は、生体認証が実行されるときに生体情報Daとシート位置情報Dkとの関係を確認する確認部33を備えている。確認部33は、例えば、車両2の操作部15に設けられたセンサ部18で取得したユーザの生体情報Daの認証によって車載機器4の作動可否が判断されるときに、生体情報Daとシート位置情報Dkとの関係を確認する。具体的には、確認部33は、第2メモリ32の結び付け情報Dsを参照することにより、認証された生体情報Daのユーザ番号に紐付くシート位置情報Dkが存在するか否かを確認する。確認部33は、生体情報Daに紐付くシート位置情報Dkが存在する場合、その旨を通知する確認結果Soutを制御部27に出力する。
【0030】
制御部27は、確認部33の確認結果Soutから、操作部15を操作したユーザに対応するシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出す。制御部27は、読み出したシート位置情報Dkに基づいてシート駆動部28を制御することにより、シート位置を自動調整する。具体的には、制御部27は、取得した確認結果Soutに基づき、第1メモリ26において生体情報Daに紐付くシート位置情報Dkを特定するとともに、特定したシート位置情報Dkに基づきシート位置の自動調整を実行する。
【0031】
次に、本実施形態のシート制御装置24の作用について説明する。
[生体情報Daとシート位置情報Dkとの紐付け登録]
図2に示すように、車両2において「生体情報Da-シート位置情報Dk」の紐付け登録操作が実行されると、登録部31は、例えば、車両2の室内のマルチインフォメーションディスプレイに登録画面35を表示する。登録画面35は、例えば、いま登録作業を行うユーザの生体情報Daである第1生体情報Da1をどのシート位置情報Dkに紐付けるのかを登録するための画面である。
【0032】
ユーザは、登録画面35に表示される複数のシート位置情報Dkのうち、第1生体情報Da1に紐付けたいシート位置情報Dkにチェックを入れるなどすることにより、第1生体情報Da1とシート位置情報Dkとの紐付け登録を実行する。登録画面35には、シート位置情報Dkを表示することに限らず、例えば、シートスイッチ22の番号を表示してもよい。この場合、第1生体情報Da1に紐付けたいシートスイッチ22の番号を選択する。
【0033】
なお、登録対象とする生体情報Daは、生体認証で使用するために予め車両2に登録済みの生体情報Daでもよいし、或いは、「生体情報Da-シート位置情報Dk」の紐付け登録のときに新たにユーザから取り込む生体情報Daでもよい。生体情報Daを新たに取り込む場合、「生体情報Da-シート位置情報Dk」の紐付け登録操作時に、ユーザに生体情報Daの登録も実行させる。この登録操作は、例えば、生体認証で使用する生体情報Daの登録操作と同様である。
【0034】
登録部31は、「生体情報Da-シート位置情報Dk」の登録操作が完了すると、この操作で入力された情報を、結び付け情報Dsとして第2メモリ32に記憶する。例えば、第1生体情報Da1と第1シート位置情報Dk1とを紐付けた場合、これが第1結び付け情報Ds1として第2メモリ32に登録される。なお、第2生体情報Da2などの他の生体情報Daをシート位置情報Dkと紐付けする場合も、第1生体情報Da1のときと同様の手順で紐付けが実行される。
【0035】
図3に示すように、「生体情報Da-シート位置情報Dk」の登録完了後、ユーザが車両2の駆動力生成装置12を作動させようとして操作部15を操作したとする。このとき、ユーザが自身の身体(ここでは、指)で操作部15を操作するため、その操作の際にセンサ部18でユーザの生体情報Da、すなわち、指紋情報が読み取られる。センサ部18は、読み取った生体情報Daを照合装置8に出力する。
【0036】
照合装置8は、取得した生体情報Daを生体認証部17で認証する。例えば、生体認証部17は、センサ部18から入力した生体情報Daと、事前登録された生体情報Daとを比較することにより、生体認証を実行する。生体認証部17は、生体情報Daが一致する場合、生体認証を成立とする。このため、例えば、ブレーキペダルが踏み込まれた状態で操作部15が操作された場合には、駆動力生成装置12の駆動が開始される。一方、生体認証が不成立の場合、車両2の利用が不可とされる。
【0037】
生体認証部17は、生体認証が成立した場合、どの生体情報Daで生体認証が成立したのかを知らせる生体認証結果通知Stを、通信線11を介してシート制御装置24に出力する。生体認証結果通知Stは、例えば、生体認証が成立したユーザ番号をシート制御装置24に伝える通知である。
【0038】
図4に示すように、シート制御装置24は、生体認証結果通知Stを入力すると、確認部33において、生体情報Da及びシート位置情報Dkの紐付けを確認する。例えば、確認部33は、取得した生体認証結果通知Stを用いて第2メモリ32の結び付け情報Dsを参照することにより、生体認証が成立したユーザに紐付くシート位置情報Dkが存在するか否かを確認する。具体的には、確認部33は、生体認証が成立したユーザ番号とシート位置情報Dkとが紐付く結び付け情報Dsが第2メモリ32内に存在するか否かを確認する。
【0039】
確認部33は、生体認証が成立したユーザ番号がシート位置情報Dkと紐付く結び付け情報Dsが存在すれば、その確認結果Soutを制御部27に通知する。確認結果Soutは、例えば、第1メモリ26に記憶されたシート位置情報Dkのうち、どのシート位置情報Dkを読み出すのかを指示する通知である。これにより、制御部27は、生体認証が成立したユーザに紐付くシート位置情報Dkを認識し得る。
【0040】
図5に示すように、制御部27は、確認部33から確認結果Soutを受け付けた場合、確認結果Soutから認識し得るシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出す。例えば、生体認証が成立したユーザ番号が第1シートスイッチ22aと対応していれば、制御部27は、第1シートスイッチ22aのシート位置情報Dkである第1シート位置情報Dk1を読み出す。そして、制御部27は、第1シート位置情報Dk1に基づき、シート駆動部28を駆動することにより、シート位置を自動調整する。
【0041】
以上により、本例のシート制御装置24の場合、ユーザが操作部15を操作して生体認証が実行されたときに、同時にシート位置も自動調整することが可能となる。このため、操作部15を操作する過程でシート21の自動調整も実行することが可能となるので、利便性の向上に寄与する。
【0042】
[実施形態の効果]
上記実施形態のシート制御装置24によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シート制御装置24は、ユーザ固有のシート位置情報Dkを第1メモリ26に事前登録させ、ユーザの乗車過程でシート位置調整のトリガTrを受け付けた場合に、トリガTrに基づくシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出してシート駆動部28を制御することにより、シート位置をユーザに応じた位置に自動調整する。シート制御装置24は、制御部27及び確認部33を備えている。確認部33は、車両2の操作部15に設けられたセンサ部18で取得したユーザの生体情報Daの認証によって車載機器4の作動可否が判断されるときに、認証された生体情報Daと第1メモリ26に登録されたシート位置情報Dkとの関係を確認する。制御部27は、確認部33の確認結果Soutから、操作部15を操作したユーザに対応するシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出し、読み出したシート位置情報Dkに基づいてシート駆動部28を制御することにより、シート位置を自動調整する。
【0043】
本例の構成によれば、車両2の操作部15が操作されるとき、操作部15に設けたセンサ部18で生体情報Daを読み取る。そして、読み取った生体情報Daに紐付くシート位置情報Dkを第1メモリ26から読み出すとともに、そのシート位置情報Dkに基づきシート位置の自動調整を実行する。このように、操作部15の操作を契機にシート位置の自動調整を開始可能となるので、シート位置調整を開始するための操作をユーザに別途実行させる必要がない。よって、シート調整の利便性を向上できる。
【0044】
(2)操作部15は、車両電源を遷移させるために操作される部材である。車載機器4は、車両2を走行させるための駆動力を生成する駆動力生成装置12である。この構成によれば、駆動力生成装置12を作動させるために操作部15を操作する操作過程の中でセンサ部18によって生体情報Daが取得される。そして、その生体情報Daに紐付くシート位置情報Dkを特定することにより、シート位置の自動調整を実行する。よって、車両電源の遷移操作とともに、シート位置の自動調整も同時に実行することができる。よって、利便性の向上に一層寄与する。
【0045】
(3)シート制御装置24は、ユーザの生体情報Daと第1メモリ26に登録されたシート位置情報Dkとの紐付けを、ユーザに登録させる登録部31を備えている。この構成によれば、生体情報Daとシート位置情報Dkとを紐付ける登録を、ユーザの要望や必要に応じて適宜実施することができる。
【0046】
(4)車両2は、シート位置の自動調整を開始するために操作されるシートスイッチ22を備えている。トリガTrは、シートスイッチ22から出力されるスイッチ信号S1である。この構成によれば、シートスイッチ22のスイッチ操作によってシート位置を自動調整する機能(シートポジションメモリシステム20)を利用することにより、生体認証からシート位置を呼び出す機能を効率よく追加することができる。
【0047】
(5)シート制御装置24は、シート位置情報Dkを記憶した第1メモリ26と、生体情報Da及びシート位置情報Dkの紐付けを表す結び付け情報Dsを記憶した第2メモリ32とを備えている。確認部33は、認証された生体情報Daにシート位置情報Dkの紐付けがあるか否かを、結び付け情報Dsに基づき確認し、生体情報Daにシート位置情報Dkの紐付けがある場合、その旨を通知する確認結果Soutを制御部27に出力する。制御部27は、取得した確認結果Soutに基づき、第1メモリ26において生体情報Daに紐付くシート位置情報Dkを特定し、特定したシート位置情報Dkに基づきシート位置の自動調整を実行する。この構成によれば、生体認証が実行されたとき、第2メモリ32に記憶された結び付け情報Dsを確認するという簡易な処理によって、生体認証に紐付くシート位置情報Dkが存在するか否かを確認できる。
【0048】
[他の実施形態]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・結び付け情報Dsは、生体情報Daのデータ列がどのシート位置情報Dkと対応するのかを紐付けた情報でもよい。この場合、確認部33は、生体情報Daのデータ列自体を受け取るとともに、そのデータ列に基づき結び付け情報Dsを参照することにより、シート位置情報Dkを特定する。
【0050】
・シート位置情報Dkに紐付けがある生体情報Daか否かは、シート制御装置24で実行されることに限らず、照合装置8(生体認証部17)で実行されてもよい。このように、生体情報Da及びシート位置情報Dkの紐付けの確認は、車両2のどの装置で実行されてもよい。
【0051】
・センサ部18は、電源遷移操作用の操作部15に設けられることに限らず、例えば、ドア13のノブや、ハンドルの把持部に設けられてもよい。また、センサ部18は、センタークラスターやセンターコンソールに設けられたスイッチに配置されてもよい。
【0052】
・シート21の自動調整には、シート21のリクライニング角度の自動調整を含んでもよい。
・シート位置が自動調整されるとき、車内バックミラーや車外ドアミラーの位置や角度も自動調整されてもよい。
【0053】
・生体情報Da及びシート位置情報Dkの紐付けの登録方式は、車載された装置を用いて行う方式に限定されず、例えば、モバイル端末を用いて実行する方式としてもよい。
・制御部27、登録部31、及び確認部33は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0054】
・制御部27、登録部31、及び確認部33は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、制御部27、登録部31、及び確認部33は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0055】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0056】
2…車両、4…車載機器、12…駆動力生成装置、15…操作部、18…センサ部、22…シートスイッチ、24…シート制御装置、26…第1メモリ、27…制御部、28…シート駆動部、31…登録部、32…第2メモリ、33…確認部、Da…生体情報、Dk…シート位置情報、Tr…トリガ、Sout…確認結果、S1…スイッチ信号、Ds…結び付け情報。