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特開2023-110512作業機械、作業機械を制御するための方法、及び、作業機械の制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110512
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】作業機械、作業機械を制御するための方法、及び、作業機械の制御システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20230802BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20230802BHJP
   E02F 3/76 20060101ALI20230802BHJP
   E02F 3/80 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/24 B
E02F3/76 A
E02F3/80 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012010
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】興津 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】上前 健志
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】物体センサの検出範囲を広く確保すると共に、作業機の姿勢が変化しても作業機械の周辺の物体を適切に検出する。
【解決手段】作業機械は、車体と、作業機と、姿勢センサと、物体センサと、コントローラとを備える。作業機は、車体に対して動作可能に取り付けられる。姿勢センサは、作業機の姿勢を検出する。物体センサは、作業機に取り付けられる。コントローラは、物体センサの検出判定範囲を設定する。コントローラは、物体センサからの信号に基づいて、検出判定範囲内の物体の有無を判定する。コントローラは、作業機の姿勢に基づいて、センサ姿勢データを算出する。センサ姿勢データは、物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含む。コントローラは、センサ姿勢データに応じて、検出判定範囲を変更する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械であって、
車体と、
前記車体に対して動作可能に取り付けられる作業機と、
前記作業機の姿勢を検出する姿勢センサと、
前記作業機に取り付けられ、前記作業機械の周辺において物体を検出し、前記物体の有無を示す信号を出力する物体センサと、
前記物体センサの検出判定範囲を設定し、前記物体センサからの信号に基づいて、前記検出判定範囲内の前記物体の有無を判定するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記作業機の姿勢に基づいて、前記物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含むセンサ姿勢データを算出し、
前記センサ姿勢データに応じて、前記検出判定範囲を変更する、
作業機械。
【請求項2】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの位置を含み、
前記コントローラは、前記物体センサの位置の変化による前記検出判定範囲の変化を低減するように、前記検出判定範囲を変更する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの向きを含み、
前記コントローラは、前記物体センサの向きの変化による前記検出判定範囲の変化を低減するように、前記検出判定範囲を変更する、
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記物体センサに接続され、前記物体センサの向きを変更する方向変更装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記センサ姿勢データに応じて、前記方向変更装置によって前記物体センサの向きを変更することで、前記検出判定範囲を変更する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの高さを含み、
前記コントローラは、前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの高さの変化に応じて、前記方向変更装置によって前記物体センサの向きを上下方向に変更することで、前記検出判定範囲を変更する、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの左右方向の向きを含み、
前記コントローラは、前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの左右方向の向きの変化に応じて、前記方向変更装置によって前記物体センサの向きを左右方向に変更することで、前記検出判定範囲を変更する、
請求項4又は5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記物体センサは、前記物体センサの検出可能範囲内において前記物体を検出し、
前記コントローラは、
前記検出可能範囲内において前記検出判定範囲の設定を行い、
前記センサ姿勢データに応じて、前記検出可能範囲内における前記検出判定範囲の設定を変更することで、前記検出判定範囲を変更する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの高さを含み、
前記コントローラは、前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの高さの変化に応じて、前記検出可能範囲内において前記検出判定範囲を上下方向に変更するように、前記検出判定範囲の設定を行う、
請求項7に記載の作業機械。
【請求項9】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの左右方向の向きを含み、
前記コントローラは、前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの左右方向の向きの変化に応じて、前記検出可能範囲内において前記検出判定範囲を左右方向に変更するように、前記検出判定範囲の設定を行う、
請求項7又は8に記載の作業機械。
【請求項10】
作業機械を制御するための方法であって、前記作業機械は、車体と、前記車体に対して動作可能に取り付けられる作業機と、前記作業機に取り付けられ、前記作業機械の周辺において物体を検出し、前記物体の有無を示す信号を出力する物体センサと、を含み、前記方法は、
前記作業機の姿勢を検出することと、
前記物体センサの検出判定範囲を設定することと、
前記物体センサからの信号に基づいて、前記検出判定範囲内の前記物体の有無を判定することと、
前記作業機の姿勢に基づいて、前記物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含むセンサ姿勢データを算出することと、
前記センサ姿勢データに応じて、前記検出判定範囲を変更すること、
を備える方法。
【請求項11】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの位置を含み、
前記物体センサの位置の変化による前記検出判定範囲の変化を低減するように、前記検出判定範囲を変更することをさらに備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの向きを含み、
前記物体センサの向きの変化による前記検出判定範囲の変化を低減するように、前記検出判定範囲を変更することをさらに備える、
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記センサ姿勢データに応じて、前記物体センサの向きを変更することで、前記検出判定範囲を変更することをさらに備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの高さを含み、
前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの高さの変化に応じて、前記物体センサの向きを上下方向に変更することで、前記検出判定範囲を変更することをさらに備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの左右方向の向きを含み、
前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの左右方向の向きの変化に応じて、前記物体センサの向きを左右方向に変更することで、前記検出判定範囲を変更することをさらに備える、
請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記物体センサは、前記物体センサの検出可能範囲内において前記物体を検出し、
前記検出可能範囲内において前記検出判定範囲の設定を行うことと、
前記センサ姿勢データに応じて、前記検出可能範囲内における前記検出判定範囲の設定を変更することで、前記検出判定範囲を変更すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの高さを含み、
前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの高さの変化に応じて、前記検出可能範囲内において前記検出判定範囲を上下方向に変更するように、前記検出判定範囲の設定を行うことをさらに備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記センサ姿勢データは、前記物体センサの左右方向の向きを含み、
前記作業機の姿勢の変化による前記物体センサの左右方向の向きの変化に応じて、前記検出可能範囲内において前記検出判定範囲を左右方向に変更するように、前記検出判定範囲の設定を行うことをさらに備える、
請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
作業機械の制御システムであって、前記作業機械は、車体と、前記車体に対して動作可能に取り付けられる作業機とを含み、前記制御システムは、
前記作業機の姿勢を検出する姿勢センサと、
前記作業機に取り付けられ、前記作業機械の周辺において物体を検出し、前記物体の有無を示す信号を出力する物体センサと、
前記物体センサの検出判定範囲を設定し、前記物体センサからの信号に基づいて、前記検出判定範囲内の前記物体の有無を判定するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記作業機の姿勢に基づいて、前記物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含むセンサ姿勢データを算出し、
前記センサ姿勢データに応じて、前記検出判定範囲を変更する、
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、作業機械を制御するための方法、及び、作業機械の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械において、レーダーなどの物体センサによって、周辺の人、或いは障害物を検出する技術が用いられている。例えば、特許文献1の作業機械は、後方センサを備えている。この作業機械は、車体と作業機とを備えている。作業機は、車体の後部に昇降可能に装着されている。後方センサは、作業機に取り付けられ、作業機の後方の障害物を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-26349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように作業機械には、作業機が車体に取り付けられたものがある。このような作業機械において、車体に物体センサが取り付けられると、物体センサの検出範囲に作業機が入り込むことで、物体センサの検出範囲が狭まってしまう。そのため、物体センサは、作業機に取り付けられることが望まれる。
【0005】
一方、作業機が動作可能である場合、作業機の動作に応じて、作業機の姿勢が変化する。従って、物体センサが作業機に取り付けられている場合には、作業機の姿勢の変化に応じて、物体センサの位置、或いは、向きが変化する。その場合、物体センサの検出範囲が変化することで、作業機械の周辺の物体を適切に検出することが困難になる。例えば、作業機の姿勢の変化によって物体センサの位置が上方に変化した場合、物体センサの下方の死角が大きくなってしまう。本発明の目的は、物体センサの検出範囲を広く確保すると共に、作業機の姿勢が変化しても作業機械の周辺の物体を適切に検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る作業機械は、車体と、作業機と、姿勢センサと、物体センサと、コントローラとを備える。作業機は、車体に対して動作可能に取り付けられる。姿勢センサは、作業機の姿勢を検出する。物体センサは、作業機に取り付けられる。物体センサは、作業機械の周辺において物体を検出する。物体センサは、物体の有無を示す信号を出力する。
【0007】
コントローラは、物体センサの検出判定範囲を設定する。コントローラは、物体センサからの信号に基づいて、検出判定範囲内の物体の有無を判定する。コントローラは、作業機の姿勢に基づいて、センサ姿勢データを算出する。センサ姿勢データは、物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含む。コントローラは、センサ姿勢データに応じて、検出判定範囲を変更する。
【0008】
本発明の第2の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と、作業機と、物体センサとを含む。作業機は、車体に対して動作可能に取り付けられる。物体センサは、作業機に取り付けられる。物体センサは、作業機械の周辺において物体を検出する。物体センサは、物体の有無を示す信号を出力する。本態様に係る方法は、作業機の姿勢を検出することと、物体センサの検出判定範囲を設定することと、物体センサからの信号に基づいて、検出判定範囲内の物体の有無を判定することと、作業機の姿勢に基づいて、物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含むセンサ姿勢データを算出することと、センサ姿勢データに応じて、検出判定範囲を変更すること、を備える。
【0009】
本発明の第3の態様に係る制御システムは、作業機械の制御システムである。作業機械は、車体と作業機とを含む。作業機は、車体に対して動作可能に取り付けられる。本態様に係る制御システムは、姿勢センサと、物体センサと、コントローラとを備える。姿勢センサは、作業機の姿勢を検出する。物体センサは、作業機に取り付けられる。物体センサは、作業機械の周辺において物体を検出する。物体センサは、物体の有無を示す信号を出力する。コントローラは、物体センサの検出判定範囲を設定する。コントローラは、物体センサからの信号に基づいて、検出判定範囲内の物体の有無を判定する。コントローラは、作業機の姿勢に基づいて、センサ姿勢データを算出する。センサ姿勢データは、物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含む。コントローラは、センサ姿勢データに応じて、検出判定範囲を変更する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、作業機械において、物体センサが作業機に取り付けられる。そのため、物体センサが車体に取り付けられる場合と比べて、物体センサの検出範囲が広く確保される。また、作業機の姿勢に基づいて、物体センサの位置と向きとの少なくとも一方を含むセンサ姿勢データが算出される。そして、センサ姿勢データに応じて、物体センサの検出判定範囲が変更される。従って、作業機の姿勢の変化によって物体センサの位置、又は、向きが変化した場合に、物体センサの位置、又は、向きの変化に応じて、物体センサの検出判定範囲が変更される。それにより、作業機の姿勢の変化に応じて検出判定範囲が適切に変更されることで、作業機械の周辺の物体を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る作業機械の側面図である。
図2】作業機械の前部の斜視図である。
図3】作業機械の駆動系及び制御システムを示す模式図である。
図4】作業機械の周辺において物体を検出するための処理を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る検出判定範囲を示す側面図である。
図6】第1実施形態に係る検出判定範囲を示す側面図である。
図7】第1実施形態の変形例に係る検出判定範囲を示す側面図である。
図8】第2実施形態に係る検出判定範囲を示す上面図である。
図9】第2実施形態に係る検出判定範囲を示す上面図である。
図10】第2実施形態に係る検出判定範囲を示す上面図である。
図11】第3実施形態に係る検出判定範囲を示す側面図である。
図12】第3実施形態に係る検出判定範囲を示す側面図である。
図13】第4実施形態に係る検出判定範囲を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態に係る作業機械1の側面図である。図2は、作業機械1の前部の斜視図である。本実施形態に係る作業機械1は、モータグレーダである。図1に示すように、作業機械1は、車体2と、第1作業機3と、第2作業機4とを備える。第1作業機3は、車体2に取り付けられる。第2作業機4は、車体2の後部に取り付けられる。第1作業機3と第2作業機4とは、車体2に対して動作可能である。車体2は、車体フレーム5と、前輪6と、後輪7A,7Bと、タンデムドライブ8を含む。本実施形態においては、第1作業機3は、前輪6と後輪7Aとの間に配置されるブレード16を含む。第2作業機4は、車体2の後端よりも後側に取り付けられる。本実施形態においては、第2作業機4はリッパーであり、後輪7Bよりも後方に配置されるツース56を含む。
【0013】
車体フレーム5は、フロントフレーム11とリアフレーム12とを含む。リアフレーム12は、フロントフレーム11に接続されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して、左右にアーティキュレート可能である。なお、以下の説明において、前後左右の各方向は、アーティキュレート角が0、すなわち、フロントフレーム11とリアフレーム12とが真っすぐな状態での車体2の前後左右の各方向を意味するものとする。
【0014】
リアフレーム12上には、キャブ13と動力室14とが配置されている。キャブ13には、図示しない運転席が配置されている。動力室14には、後述する駆動系が配置されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12から前方へ延びている。前輪6は、フロントフレーム11に取り付けられている。タンデムドライブ8は、リアフレーム12に接続されている。タンデムドライブ8は、後輪7A,7Bを支持すると共に、後輪7A,7Bを駆動する。なお、図1では、左側の後輪7A,7Bのみが図示されている。
【0015】
第1作業機3は、車体2に対して可動的に接続されている。第1作業機3は、支持部材15とブレード16とを含む。支持部材15は、車体2に可動的に接続されている。支持部材15は、ブレード16を支持している。支持部材15は、ドローバ17とサークル18とを含む。ドローバ17とサークル18とは、フロントフレーム11の下方に配置される。
【0016】
図2に示すように、ドローバ17は、フロントフレーム11の軸支部19に接続されている。軸支部19は、フロントフレーム11の前部に配置されている。ドローバ17は、フロントフレーム11の前部から後方へ延びている。ドローバ17は、フロントフレーム11に対して、少なくとも車体2の上下方向と左右方向とに揺動可能に支持されている。例えば、軸支部19は、ボールジョイントを含む。ドローバ17は、ボールジョイントを介して、フロントフレーム11に対して回転可能に接続されている。
【0017】
サークル18は、ドローバ17の後部に接続されている。サークル18は、ドローバ17に対して回転可能に支持される。ブレード16は、サークル18に接続される。ブレード16は、サークル18を介して、ドローバ17に支持されている。ブレード16は、チルト軸21回りに回転可能にサークル18に支持されている。チルト軸21は、左右方向に延びている。ブレード16は、左右方向にスライド可能にサークル18に支持されている。
【0018】
作業機械1は、第1作業機3の姿勢を変更するための複数のアクチュエータ22-27を備えている。複数のアクチュエータ22-27は、複数の油圧シリンダ22-26を含む。複数の油圧シリンダ22-26は、第1作業機3に接続されている。複数の油圧シリンダ22-26は、油圧によって伸縮する。複数の油圧シリンダ22-26は、伸縮することで、車体2に対する第1作業機3の姿勢を変更する。以下の説明では、油圧シリンダの伸縮を「ストローク動作」と呼ぶ。
【0019】
詳細には、複数の油圧シリンダ22-26は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25と、ブレードシフトシリンダ26とを含む。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、左右方向に互いに離れて配置されている。左リフトシリンダ22は、ドローバ17の左部分に接続されている。右リフトシリンダ23は、ドローバ17の右部分に接続されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、ドローバ17に対して左右に揺動可能に接続されている。
【0020】
左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、フロントフレーム11に対して、左右に揺動可能に接続されている。詳細には、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、リフタブラケット29を介して、フロントフレーム11に接続されている。リフタブラケット29は、フロントフレーム11に接続されている。リフタブラケット29は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とを左右に揺動可能に支持している。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とのストローク動作により、ドローバ17は、軸支部19回りに上下に揺動する。それにより、ブレード16が上下に移動する。
【0021】
ドローバシフトシリンダ24は、ドローバ17とフロントフレーム11とに接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、リフタブラケット29を介してフロントフレーム11に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11に対して、揺動可能に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、ドローバ17に対して、揺動可能に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11からドローバ17に向かって、斜め下方に延びている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11の左右の一側方から反対の側方へ向かって延びている。ドローバシフトシリンダ24のストローク動作により、ドローバ17は、軸支部19回りに左右に揺動する。
【0022】
図1に示すように、ブレードチルトシリンダ25は、サークル18とブレード16とに接続されている。ブレードチルトシリンダ25のストローク動作により、ブレード16がチルト軸21回りに回転する。図2に示すように、ブレードシフトシリンダ26は、サークル18とブレード16とに接続されている。ブレードシフトシリンダ26のストローク動作により、ブレード16がサークル18に対して左右にスライドする。
【0023】
複数のアクチュエータ22-27は、回転アクチュエータ27を含む。回転アクチュエータ27は、ドローバ17とサークル18とに接続されている。回転アクチュエータ27は、油圧モータである。ただし、回転アクチュエータ27は、電動モータであってもよい。回転アクチュエータ27は、ドローバ17に対してサークル18を回転させる。それにより、ブレード16が、上下方向に延びる回転軸回りに回転する。
【0024】
前述した通り、本実施形態において、第2作業機4は、リッパーである。図1に示すように、第2作業機4は、リッパーブラケット51と、リンク52,53と、ツースブラケット54と、リッパーアクチュエータ28と、ツース56とを含む。リッパーブラケット51は、車体2の背面に取り付けられている。リンク52,53は、リッパーブラケット51とツースブラケット54とに接続されている。リンク52,53は、リッパーブラケット51に対して回転可能である。リンク52,53は、ツースブラケット54に対して回転可能である。
【0025】
ツース56は、ツースブラケット54に接続されている。リッパーアクチュエータ28は、ツースブラケット54を介して、ツース56に接続されている。リッパーアクチュエータ28は、油圧シリンダである。リッパーアクチュエータ28が伸縮することで、ツース56が上下に移動する。
【0026】
図3は、作業機械1の制御システム9と駆動系10とを示す模式図である。図3に示すように、作業機械1は、駆動源31と、油圧ポンプ32と、動力伝達装置33と、制御弁34とを備えている。駆動源31は、例えば内燃機関である。或いは、駆動源31は、電動モータ、或いは内燃機関と電動モータとのハイブリッドであってもよい。油圧ポンプ32は、駆動源31によって駆動されることで、作動油を吐出する。
【0027】
制御弁34は、油圧回路を介して油圧ポンプ32と複数のアクチュエータ22-28とに接続されている。制御弁34は、複数のアクチュエータ22-28にそれぞれ接続される複数の弁を含む。制御弁34は、油圧ポンプ32から複数のアクチュエータ22-28に供給される作動油の流量を制御する。
【0028】
動力伝達装置33は、駆動源31からの駆動力を後輪7A,7Bに伝達する。動力伝達装置33は、トルクコンバータ、及び/又は、複数の変速ギアを含んでもよい。或いは、動力伝達装置33は、HST(Hydraulic Static Transmission)、或いは、HMT(Hydraulic Mechanical Transmission)などのトランスミッションであってもよい。
【0029】
図3に示すように、作業機械1は、操作装置35とコントローラ36とを備えている。操作装置35は、第1作業機3の姿勢を変更するためにオペレータによって操作可能である。第1作業機3の姿勢は、車体2に対するブレード16の位置と向きとを示す。操作装置35は、例えば複数のレバーを含む。操作装置35の操作に応じて、複数のアクチュエータ22-26のストローク動作と、回転アクチュエータ27の回転動作とが制御される。それにより、第1作業機3の姿勢が変更される。
【0030】
操作装置35は、第2作業機4の姿勢を変更するためにオペレータによって操作可能である。第2作業機4の姿勢は、車体2に対するツース56の位置と向きとを示す。操作装置35の操作に応じて、リッパーアクチュエータ28のストローク動作が制御される。それにより、第2作業機4の姿勢が変更される。
【0031】
コントローラ36は、駆動源31及び動力伝達装置33を制御することで、作業機械1を走行させる。コントローラ36は、油圧ポンプ32と制御弁34とを制御することで、第1作業機3を動作させる。また、コントローラ36は、油圧ポンプ32と制御弁34とを制御することで、第2作業機4を動作させる。
【0032】
コントローラ36は、プロセッサ37と記憶装置38とを含む。プロセッサ37は、例えばCPUであり、作業機械1を制御するためのプログラムを実行する。記憶装置38は、RAM及びROMなどのメモリと、SSD或いはHDDなどの補助記憶装置を含む。記憶装置38は、作業機械1を制御するためのプログラムとデータとを記憶している。
【0033】
図3に示すように、作業機械1は、姿勢センサ41を備えている。姿勢センサ41は、第2作業機4の姿勢を検出する。姿勢センサ41は、第2作業機4の姿勢を示す信号を出力する。姿勢センサ41は、例えば第2作業機4に装着されたIMU(慣性計測装置)である。或いは、姿勢センサ41は、リンク52,53と、ツースブラケット54との角度を検出するセンサであってもよい。その場合、コントローラ36は、リンク52,53とツースブラケット54との角度から、ツース56の位置と向きとを算出してもよい。或いは、姿勢センサ41は、リッパーアクチュエータ28のストローク長さを検出するセンサであってもよい。その場合、コントローラ36は、リッパーアクチュエータ28のストローク長さから、ツース56の位置と向きとを算出してもよい。
【0034】
図3に示すように、作業機械1は、物体センサ42と、方向変更装置43と、出力装置44とを備えている。物体センサ42は、作業機械1の周辺の物体を検出する。物体センサ42は、例えば、ミリ波レーダーなどのレーダー装置である。或いは、物体センサ42は、超音波センサ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)装置などの他の種類のセンサであってもよい。物体センサ42は、検出可能範囲内における物体の有無を示す信号を出力する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態では、物体センサ42は、第2作業機4に取り付けられている。詳細には、物体センサ42は、ツース56の上部に取り付けられている。物体センサ42は、作業機械1の後方へ向けて配置されている。物体センサ42は、作業機械1の後方における物体の有無を検出する。このように、物体センサ42が第2作業機4に取り付けられることで、物体センサ42が車体に取り付けられる場合と比べて、物体センサ42の検出範囲が広く確保される。
【0036】
図3に示すように、方向変更装置43は、物体センサ42に接続されている。方向変更装置43は、物体センサ42の向きを変更する。方向変更装置43は、例えば電動モータを含む。方向変更装置43は、物体センサ42の向きを、上下方向及び左右方向に変更する。
【0037】
出力装置44は、例えばディスプレイである。出力装置44は、コントローラ36からの指令信号に応じて画像を表示する。或いは、出力装置44は、スピーカーであってもよい。出力装置44は、コントローラ36からの指令信号に応じて音声を出力してもよい。
【0038】
コントローラ36は、作業機械1の周辺に検出判定範囲を設定し、物体センサ42からの信号に基づいて、検出判定範囲内の物体の有無を判定する。例えば、コントローラ36は、車体2の後方に検出判定範囲を設定する。コントローラ36は、検出判定範囲内に物体を検出した場合には、出力装置44に警報を出力させる。
【0039】
上述したように、第2作業機4は、車体2に対して動作可能である。そのため、物体センサ42の姿勢は、第2作業機4の動作に応じて変化する。コントローラは、物体センサ42の姿勢の変化に応じて、検出判定範囲を変更する。以下、第1実施形態に係る物体の検出方法について説明する。
【0040】
図4は、作業機械1の周辺において物体を検出するための処理を示すフローチャートである。図5及び図6は、第1実施形態に係る検出判定範囲を示す側面図である。図4に示すように、ステップS1では、コントローラ36は、作業機姿勢データを取得する。作業機姿勢データは、第2作業機4の姿勢を示す。図5及び図6に示すように、オペレータの操作によって、第2作業機4(リッパー)のツース56は、上下に移動する。第1実施形態においては、作業機姿勢データは、ツース56の位置を示す。詳細には、第1実施形態においては、作業機姿勢データは、ツース56の高さを示す。コントローラ36は、姿勢センサ41からの信号により、作業機姿勢データを取得する。
【0041】
ステップS2では、コントローラ36は、センサ姿勢データを算出する。図5に示すように、センサ姿勢データは、物体センサ42の高さH1を示す。コントローラ36は、作業機姿勢データに基づいて、物体センサ42の高さH1を、センサ姿勢データとして算出する。
【0042】
ステップS3では、コントローラ36は、検出判定範囲60を設定する。コントローラ36は、センサ姿勢データが示す物体センサ42の高さH1に応じて、検出判定範囲60を設定する。図5に示すように、車両側面視で、検出判定範囲60は、下限線61と、上限線62と、後限線63とを有する。検出判定範囲60は、下限線61と、上限線62と、後限線63とに囲まれた範囲である。
【0043】
下限線61は、検出判定範囲60の下方への限界位置を示す。上限線62は、検出判定範囲60の上方への限界位置を示す。後限線63は、検出判定範囲60の後方への限界位置を示す。検出判定範囲60は、物体センサ42に対して固定されている。下限線61と上限線62との間の角度は、物体センサ42のセンサ性能に応じた固定値である。検出判定範囲60の位置は、物体センサ42の位置及び向きの変化に応じて、変化する。
【0044】
コントローラ36は、センサ姿勢データに応じて、方向変更装置43によって物体センサ42の向きを変更することで、検出判定範囲60を変更する。物体センサ42の向きは、センサ角度θで示される。センサ角度θは、物体センサ42の上下方向の向きを示す。センサ角度θは、物体センサ42の中心軸C1の水平方向に対する角度である。コントローラ36は、物体センサ42から、下限線61と地面100とが交わる地点P1までの距離が目標距離Dtとなるセンサ角度θの目標角度θ1を算出する。コントローラ36は、物体センサ42の高さH1と目標距離Dtとから、目標角度θ1を算出する。目標距離Dtは、例えば固定値であり、コントローラ36に記憶されている。或いは、目標距離Dtは可変であってもよい。
【0045】
コントローラ36は、センサ角度θが目標角度θ1となるように、方向変更装置43によって物体センサ42の向きを変更する。それにより、図5に示すように、物体センサ42から地点P1までの距離が目標距離Dtとなるように、検出判定範囲60が設定される。
【0046】
ステップS4では、コントローラ36は、物体センサ42からの信号に基づいて、検出判定範囲60内の物体の有無を判定する。検出判定範囲60内において物体がある場合には、コントローラ36は、ステップS5において、出力装置44に警報を出力させる。そして、処理はステップS1に戻り、ステップS1~S5の処理が繰り返される。
【0047】
図6に示すように、ツース56が上昇するように第2作業機4が動作した場合、コントローラ36は、ステップS1において、ツース56の高さを取得する。コントローラ36は、ステップS2において、ツース56の高さから、物体センサ42の高さH2を算出する。ステップS3において、コントローラ36は、物体センサ42の高さH2に基づいて、検出判定範囲60を設定する。コントローラ36は、物体センサ42から地点P1までの距離が目標距離Dtとなるセンサ角度θの目標角度θ2を算出する。コントローラ36は、物体センサ42の高さH2と目標距離Dtとから、目標角度θ2を算出する。
【0048】
コントローラ36は、センサ角度θが目標角度θ2となるように、方向変更装置43によって物体センサ42の向きを変更する。それにより、図6に示すように、コントローラ36は、物体センサ42の高さがH1からH2に変化しても、物体センサ42から地点P1までの距離が目標距離Dtに維持されるように、検出判定範囲60を変更する。すなわち、コントローラ36は、物体センサ42の高さの変化による検出判定範囲60の変化を低減するように、検出判定範囲60を変更する。
【0049】
以上説明した第1実施形態に係る物体の検出方法では、コントローラ36は、第2作業機4の姿勢の変化による物体センサ42の高さの変化に応じて、方向変更装置43によって物体センサ42の向きを上下方向に変更することで、検出判定範囲60を変更する。そのため、第2作業機4の姿勢が変化しても、検出判定範囲60の死角の拡大が抑えられる。それにより、作業機械1の周辺の物体を適切に検出することができる。
【0050】
図7は、第1実施形態の変形例に係る検出判定範囲60を示す図である。図7に示すように、コントローラ36は、物体センサ42から、物体センサ42の中心軸C1と地面100とが交わる地点P2までの距離が目標距離Ltとなるように、センサ角度θの目標角度θ1を算出してもよい。
【0051】
次に、第2実施形態に係る物体の検出方法について説明する。図8から図10は、第2実施形態に係る検出判定範囲60を示す上面図である。第2実施形態に係る物体の検出方法を示すフローチャートは、図4に示す第1実施形態に係る物体の検出方法を示すフローチャートと同様である。
【0052】
ステップS1では、コントローラ36は、作業機姿勢データを取得する。図8及び図9に示すように、オペレータの操作によって、第2作業機4(リッパー)のツース56は、左右に回動する。従って、第2実施形態においては、作業機姿勢データは、ツース56の左右方向の向きを示す。すなわち、作業機姿勢データは、ツース56の左右方向の回転角度である。
【0053】
ステップS2では、コントローラ36は、センサ姿勢データを算出する。図9に示すように、センサ姿勢データは、物体センサ42のセンサ角度λを含む。センサ角度λは、物体センサ42の左右方向の向きを示す。センサ角度λは、車両平面視で、車体2の中心線C2に対する物体センサ42の中心軸C1の角度である。コントローラ36は、作業機姿勢データに基づいて、物体センサ42のセンサ角度λを、センサ姿勢データとして算出する。
【0054】
ステップS3では、コントローラ36は、検出判定範囲60を設定する。コントローラ36は、センサ姿勢データが示す物体センサ42の向きに応じて、検出判定範囲60を設定する。図8に示すように、検出判定範囲60は、左限線64と右限線65とを含む。左限線64は、検出判定範囲60の左方への限界位置を示す。左限線64は、左最外線66を越えないように設定される。右限線65は、検出判定範囲60の右方への限界位置を示す。右限線65は、右最外線67を越えないように設定される。
【0055】
左右の最外線66,67は、予め定められて、コントローラ36に記憶されている。左右の最外線66,67は、例えば車体2の幅に応じて決定される。或いは、左右の最外線66,67は、ツース56の幅に応じて決定されてもよい。左限線64と右限線65との間の角度は、物体センサ42のセンサ性能に応じた固定値である。検出判定範囲60の位置は、物体センサ42の位置及び向きの変化に応じて、変化する。
【0056】
図9に示すようにツース56が左右に回動した場合、コントローラ36は、図10に示すように、センサ姿勢データに応じて、方向変更装置43によって物体センサ42の向きを変更することで、検出判定範囲60を変更する。コントローラ36は、ツース56の回動によるセンサ角度λをキャンセルするよう、方向変更装置43によって物体センサ42の左右方向の向きを変更する。すなわち、コントローラ36は、センサ角度λが0度となるように、物体センサ42をツース56の回動方向と反対の方向に回動させる。それにより、図10に示すように、検出判定範囲60が設定される。ステップS4,S5の処理については、上述した第1実施形態と同様である。
【0057】
以上説明した第2実施形態に係る物体の検出方法では、コントローラ36は、第2作業機4の姿勢の変化による物体センサ42の左右方向の向きの変化に応じて、方向変更装置43によって物体センサ42の向きを左右方向に変更することで、検出判定範囲60を変更する。そのため、第2作業機4の姿勢が変化しても、検出判定範囲60の死角の拡大が抑えられる。それにより、作業機械1の周辺の物体を適切に検出することができる。
【0058】
次に、第3実施形態に係る物体の検出方法について説明する。図11及び図12は、第2実施形態に係る検出判定範囲60を示す側面図である。第3実施形態に係る物体の検出方法を示すフローチャートは、図4に示す第1実施形態に係る物体の検出方法を示すフローチャートと同様である。
【0059】
ステップS1では、コントローラ36は、作業機姿勢データを取得する。図11及び図12に示すように、第1実施形態と同様に、オペレータの操作によって、第2作業機4(リッパー)のツース56は、上下に移動する。ツース56を上下に移動させる。従って、第3実施形態においては、作業機姿勢データは、ツース56の高さを示す。
【0060】
ステップS2では、コントローラ36は、センサ姿勢データを算出する。図11に示すように、センサ姿勢データは、物体センサ42の高さH1を含む。コントローラ36は、作業機姿勢データに基づいて、物体センサ42の高さH1を、センサ姿勢データとして算出する。
【0061】
ステップS3では、コントローラ36は、検出判定範囲60を設定する。図11に示すように、物体センサ42は、検出可能範囲70内において物体を検出する。検出可能範囲70は、下限線71と上限線72とを含む。下限線71は、検出可能範囲70の下方への限界位置を示す。上限線72は、検出可能範囲70の上方への限界位置を示す。
【0062】
コントローラ36は、検出可能範囲70内において、検出判定範囲60の設定を行う。コントローラ36は、センサ姿勢データが示す物体センサ42の高さに応じて、検出可能範囲70内において検出判定範囲60を設定する。検出判定範囲60は、上限角度αと下限角度βとを有する。上限角度αは、車両側面視において、物体センサ42の中心軸C1に対する上限線62の角度である。下限角度βは、車両側面視において、物体センサ42の中心軸C1に対する下限線61の角度である。
【0063】
コントローラ36は、物体センサ42から、下限線61と地面100とが交わる地点P1までの距離が目標距離Dtとなるように、検出判定範囲60の下限角度βの目標角度β1を算出する。コントローラ36は、物体センサ42の高さH1と目標距離Dtとから、下限角度βの目標角度β1を算出する。
【0064】
図12に示すように、ツース56が上昇して、物体センサ42の高さがH1からH2に変化すると、コントローラ36は、高さH2に応じて、検出可能範囲70内における検出判定範囲60を変更する。コントローラ36は、高さH2と目標距離Dtとから下限角度βの目標角度β2を算出する。
【0065】
上限角度αは、固定値であってもよい。その場合、図11に示す上限角度の目標角度α1と、図12に示す上限角度αの目標角度α2とは等しい。上限角度αは、物体センサ42のセンサ性能に応じて定められていてもよい。或いは、上限角度αは可変であってもよい。上限角度αは、仰角に限らず、俯角であってもよい。
【0066】
以上のように、図12に示すように検出可能範囲70内において、検出判定範囲60が設定される。ステップS4,S5の処理については、上述した第1実施形態と同様である。
【0067】
以上説明した第3実施形態に係る物体の検出方法では、コントローラ36は、第2作業機4の姿勢の変化による物体センサ42の高さの変化に応じて、検出判定範囲60の向きを上下方向に変更するように、検出可能範囲70内における検出判定範囲60の設定を行う。そのため、第2作業機4の姿勢が変化しても、検出判定範囲60の死角の拡大が抑えられる。それにより、作業機械1の周辺の物体を適切に検出することができる。
【0068】
次に、第4実施形態に係る物体の検出方法について説明する。図13は、第4実施形態に係る検出判定範囲60を示す上面図である。第4実施形態に係る物体の検出方法を示すフローチャートは、図4に示す第1実施形態に係る物体の検出方法を示すフローチャートと同様である。
【0069】
ステップS1では、コントローラ36は、作業機姿勢データを取得する。第2実施形態と同様に、オペレータの操作によって、第2作業機4(リッパー)のツース56は、左右に回動する。従って、第4実施形態においては、第2実施形態と同様に、作業機姿勢データは、ツース56の左右方向の向きを示す。ステップS2では、コントローラ36は、センサ姿勢データを算出する。第2実施形態と同様に、センサ姿勢データは、物体センサ42のセンサ角度λを含む。
【0070】
ステップS3では、コントローラ36は、検出判定範囲60を設定する。コントローラ36は、検出可能範囲70内において、検出判定範囲60を設定する。検出可能範囲70は、左限線74と右限線75とを含む。左限線74は、検出可能範囲70の左方への限界位置を示す。右限線75は、検出可能範囲70の右方への限界位置を示す。
【0071】
検出判定範囲60は、左限角度γと右限角度φとを有する。左限角度γは、物体センサ42の中心軸C1と、検出判定範囲60の左限線64との間の角度である。右限角度φは、物体センサ42の中心軸C1と、検出判定範囲60の右限線65との間の角度である。
【0072】
コントローラ36は、センサ姿勢データが示す物体センサ42の向きに応じて、左限角度γの目標角度γ1と右限角度φの目標角度φ1とを算出する。コントローラ36は、物体センサ42から、車両上面視で左限線64と左最外線66とが交わる地点P3までの距離が、目標距離Wtとなるように、左限角度γの目標角度γ1を算出する。コントローラ36は、物体センサ42から、車両上面視で右限線65と右最外線67とが交わる地点P4までの距離が、目標距離Vtとなるように、右限角度φの目標角度φ1を算出する。目標距離Wt,Vtは、例えば固定値であり、コントローラ36に記憶されている。目標距離Wt,Vtは、可変であってもよい。
【0073】
ツース56が左右に回動した場合、コントローラ36は、ツース56の回動によるセンサ角度λをキャンセルするように、検出可能範囲70内における検出判定範囲60の設定を行う。すなわち、コントローラ36は、センサ角度λが変化しても、物体センサ42から地点P3までの距離が、目標距離Wtに維持されるように、検出判定範囲60の左限角度γを変更する。また、コントローラ36は、センサ角度λが変化しても、物体センサ42から地点P4までの距離が、目標距離Vtに維持されるように、検出判定範囲60の右限角度φを変更する。それにより、図13に示すように、検出判定範囲60が設定される。ステップS4,S5の処理については、上述した第1実施形態と同様である。
【0074】
以上説明した第4実施形態に係る物体の検出方法では、コントローラ36は、第2作業機4の姿勢の変化による物体センサ42の左右方向の向きの変化に応じて、検出判定範囲60の向きを左右方向に変更するように、検出可能範囲70内における検出判定範囲60の設定を行う。そのため、第2作業機4の姿勢が変化しても、検出判定範囲60の死角の拡大が抑えられる。それにより、作業機械1の周辺の物体を適切に検出することができる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0076】
作業機械1は、モータグレーダに限らず、他の種類の作業機械であってもよい。作業機械1の構成は、上記のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1作業機3の構成が変更されてもよい。第2作業機4の構成が変更されてもよい。例えば、第2作業機4は、リッパーに限らず、ブレード、或いは、バケットなどの他の作業機を含んでもよい。第2作業機4が車体2の前端よりも前側に取り付けられ、物体センサ42が作業機械1の前方の障害物を検出するように構成されてもよい。典型的には、車体前方にブレードを有するブルドーザに、本発明が適用されてもよい。
【0077】
作業機械1の制御システムの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。例えば、操作装置35は、作業機械1の外部に配置されてもよい。出力装置44は、作業機械1の外部に配置されてもよい。
【0078】
コントローラ36は、複数のコントローラによって構成されてもよい。上述した処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。複数のコントローラの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。
【0079】
物体が検出判定範囲60内で検出された場合の処理は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、物体が検出判定範囲60内で検出された場合、コントローラ36は、第2作業機4、及び/又は、車体2を停止させる、或いは動作を制限するなどの処理を行ってもよい。
【0080】
検出判定範囲60は、車体2の後方に限らず、車体2の前方に設定されてもよい。検出判定範囲60は、車体2の前方と後方とにそれぞれ設定されてもよい。検出判定範囲60は、車体2の側方に設定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、物体センサの検出範囲を広く確保すると共に、作業機の姿勢が変化しても作業機械の周辺の物体を適切に検出することができる。
【符号の説明】
【0082】
2:車体
4:第2作業機
36:コントローラ
41:姿勢センサ
42:物体センサ
43:方向変更装置
60:検出判定範囲
70:検出可能範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13