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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110516
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】スライド選択システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230802BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20230802BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230802BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20230802BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230802BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20230802BHJP
【FI】
G06Q50/10
G09B5/02
G06N20/00
G06N3/02
G06F3/01 510
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012015
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】平岡 千穂
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
【テーマコード(参考)】
2C028
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
2C028BB01
5E555AA09
5E555AA48
5E555BA02
5E555BA13
5E555BA64
5E555BB02
5E555BB13
5E555BC04
5E555CA42
5E555CA47
5E555CB64
5E555CB67
5E555DB03
5E555DB43
5E555DC07
5E555DC21
5E555EA05
5E555EA19
5E555EA20
5E555EA22
5E555EA23
5E555FA00
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】プレゼンテーション中に複数のスライドの中から好適なスライドを選択する手段を提供する。
【解決手段】予測モデル記憶部11は、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す予測モデル7を記憶する。反応取得部14は、選択可能な各スライド群の特徴と受講者の属性を予測モデル7に与えて、受講者の反応を取得する。スライド選択部15は、受講者の反応に基づいて評価値を算出し、評価値に基づいて使用スライド群を選択する。反応検知部13は、使用スライド群を提示された受講者の反応を検知する。反応予測部16は、使用スライド群の特徴と受講者の属性を予測モデル7に与えて、受講者の反応を予測する。属性推定部17は、2つの受講者の反応の間に差があることに応じて、使用スライド群の特徴と検知された受講者の反応を予測モデル7に与えて、受講者の属性を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に提示される複数のスライドからなるスライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す予測モデルを記憶する予測モデル記憶部と、
プレゼンテーションの受講者の属性を入力するための属性入力部と、
上記プレゼンテーションにおいて選択可能な複数のスライド群のそれぞれについて、スライド群の特徴と、上記受講者の属性とを上記予測モデルに与えて、上記受講者の反応を取得する反応取得部と、
上記複数のスライド群のそれぞれについて、上記反応取得部で取得された上記受講者の反応に基づいて評価値を算出し、算出された上記評価値に基づいて、上記複数のスライド群の中から使用スライド群を選択するスライド選択部と、
上記使用スライド群を提示された上記受講者の反応を検知する反応検知部と、
上記使用スライド群の特徴と、上記受講者の属性とを上記予測モデルに与えて、上記受講者の反応を予測する反応予測部と、
上記反応検知部で検知された上記受講者の反応と、上記反応予測部で予測された上記受講者の反応との間に差があることに応じて、上記使用スライド群の特徴と、上記反応検知部で検知された上記受講者の反応とを上記予測モデルに与えて、上記受講者の属性を推定する属性推定部と、を備えたスライド選択システム。
【請求項2】
上記予測モデルは、実施済みのプレゼンテーションについて、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応とを対応づけて含むデータを教師データとして用いた機械学習によって得られたものである請求項1に記載のスライド選択システム。
【請求項3】
上記プレゼンテーションの終了後に、上記使用スライド群の特徴と、上記受講者の属性と、上記受講者の反応とを教師データとして用いた機械学習によって上記予測モデルを更新する終了処理部をさらに備えた請求項1又は2に記載のスライド選択システム。
【請求項4】
上記終了処理部は、上記プレゼンテーションの終了後に、上記反応検知部で検知された上記受講者の反応に基づいて、上記評価値の算出方法を変更する請求項3に記載のスライド選択システム。
【請求項5】
上記複数のスライド群は、上記プレゼンテーションを構成するパートに対応し、
上記反応取得部、上記スライド選択部、上記反応予測部、及び上記属性推定部は、上記パートの切り換え時に動作する請求項1から4のいずれかに記載のスライド選択システム。
【請求項6】
上記受講者の反応は、笑顔、笑い声、腕組み、眉間のしわ、及びうなずき回数のうちの1以上を含む請求項1から5のいずれかに記載のスライド選択システム。
【請求項7】
上記スライド群の特徴は、スライド枚数、文字数、挿絵の数、図の数、表の数、及びグラフ内の列数のうちの1以上を含む請求項1から6のいずれかに記載のスライド選択システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスライドの中から好適なスライドを選択するスライド選択システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セミナー、発表会、学会、講義等における発表者は、複数のスライドを所定の順序で受講者に提示することにより、プレゼンテーションを行う。スキルが高い発表者は、プレゼンテーションを受講中の受講者の反応に応じて、予定していたスライドを飛ばしたり、別のスライドに変更したりする。このように受講者の反応に応じてスライドを選択することにより、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0003】
特許文献1には、プレゼンテーションにおける参加者の関心の度合いを検出する関心度合検出手段と、検出された感心の度合いに応じて、予め定めた複数のスライド進行パターンから少なくとも一つのスライド進行パターンを選択する選択手段と、選択されたスライド進行パターンに基づく進行順序でスライドを表示する表示手段と、を備えたプレゼンテーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-149145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキルが低い発表者にとって、受講者の反応に応じてスライドを選択することは困難である。このため、プレゼンテーションの質は、発表者のスキルに依存する。また、セミナー等では受講者に伝えるべき内容が決まっているので、スライドの選択には一定の制約があり、スライドを自由に選択できる訳ではない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレゼンテーション中に複数のスライドの中から好適なスライドを選択する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明のスライド選択システムは、順に提示される複数のスライドからなるスライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す予測モデルを記憶する予測モデル記憶部と、プレゼンテーションの受講者の属性を入力するための属性入力部と、上記プレゼンテーションにおいて選択可能な複数のスライド群のそれぞれについて、スライド群の特徴と、上記受講者の属性とを上記予測モデルに与えて、上記受講者の反応を取得する反応取得部と、上記複数のスライド群のそれぞれについて、上記反応取得部で取得された上記受講者の反応に基づいて評価値を算出し、算出された上記評価値に基づいて、上記複数のスライド群の中から使用スライド群を選択するスライド選択部と、上記使用スライド群を提示された上記受講者の反応を検知する反応検知部と、上記使用スライド群の特徴と、上記受講者の属性とを上記予測モデルに与えて、上記受講者の反応を予測する反応予測部と、上記反応検知部で検知された上記受講者の反応と、上記反応予測部で予測された上記受講者の反応との間に差があることに応じて、上記使用スライド群の特徴と、上記反応検知部で検知された上記受講者の反応とを上記予測モデルに与えて、上記受講者の属性を推定する属性推定部と、を備えている。
【0008】
上記スライド選択システムによれば、予測モデルを用いて取得された受講者の反応に基づいて、使用スライド群が選択される。また、実際に検知された受講者の反応と、システムで予測した受講者の反応とが異なる場合には、予測モデルに与えられる受講者の属性が推定され、変更される。したがって、プレゼンテーション中に受講者の反応に応じて好適なスライドを選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記予測モデルは、実施済みのプレゼンテーションについて、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応とを対応づけて含むデータを教師データとして用いた機械学習によって得られたものでもよい。
【0010】
この構成によれば、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す予測モデルが得られる。
【0011】
(3) 好ましくは、上記プレゼンテーションの終了後に、上記使用スライド群の特徴と、上記受講者の属性と、上記受講者の反応とを教師データとして用いた機械学習によって上記予測モデルを更新する終了処理部をさらに備えていてもよい。
【0012】
この構成によれば、終了したプレゼンテーションの結果に基づいて予測モデルを更新することにより、次回以降のプレゼンテーションにおいて、受講者の反応に応じて好適なスライドを選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0013】
(4) 好ましくは、上記終了処理部は、上記プレゼンテーションの終了後に、上記反応検知部で検知された上記受講者の反応に基づいて、上記評価値の算出方法を変更してもよい。
【0014】
この構成によれば、終了したプレゼンテーションの結果に基づいて評価値の算出方法を変更し、スライド群の選択基準を変更することにより、次回以降のプレゼンテーションにおいて、受講者の反応に応じて好適なスライド群を選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0015】
(5) 好ましくは、上記複数のスライド群は、上記プレゼンテーションを構成するパートに対応し、上記反応取得部、上記スライド選択部、上記反応予測部、及び上記属性推定部は、上記パートの切り換え時に動作してもよい。
【0016】
この構成によれば、プレゼンテーションを構成するパートごとに、複数のスライド群の中から使用スライド群を選択できる。
【0017】
(6) 好ましくは、上記受講者の反応は、笑顔、笑い声、腕組み、眉間のしわ、及びうなずき回数のうちの1以上を含んでいてもよい。
【0018】
この構成によれば、笑顔、笑い声、腕組み、眉間のしわ、うなずき回数等を受講者の反応として用いて、プレゼンテーション中に受講者の反応に応じて好適なスライドを選択できる。
【0019】
(7) 好ましくは、上記スライド群の特徴は、スライド枚数、文字数、挿絵の数、図の数、表の数、及びグラフ内の列数のうちの1以上を含んでいてもよい。
【0020】
この構成によれば、スライド枚数、文字数、挿絵の数、図の数、表の数、及びグラフ内の列数等をスライド群の特徴として用いて、プレゼンテーション中に受講者の反応に応じて好適なスライドを選択できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プレゼンテーション中に受講者の反応に応じて好適なスライドを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係るスライド選択システム10の構成を示すブロック図である。
図2図2は、スライド選択システム10のハードウエア構成を示すブロック図である。
図3図3は、プレゼンテーションを構成するパートとスライド群とを示す図である。
図4図4は、スライド選択システム10の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面が参照されて、本発明の実施形態に係るスライド選択システムについて説明される。以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0024】
[スライド選択システム10の概要]
図1に示されように、実施形態に係るスライド選択システム10は、予測モデル記憶部11、属性入力部12、反応検知部13、反応取得部14、スライド選択部15、反応予測部16、属性推定部17、及び終了処理部18を備えている。
【0025】
スライド選択システム10は、発表者がセミナー、発表会、学会、講義等においてプレゼンテーションを行うときに使用される。発表者は、プレゼンテーションを行う前に、プレゼンテーション中に受講者に提示する複数のスライドを用意する。複数のスライドは、プレゼンテーションを構成するパートに対応する複数のスライド群に分けられる。スライド選択システム10は、プレゼンテーション中に複数のスライド群の中から好適なスライド群を使用スライド群として選択する。
【0026】
予測モデル記憶部11は、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す予測モデル7を記憶している。属性入力部12は、プレゼンテーションの受講者の属性を入力するための手段である。反応取得部14は、プレゼンテーションにおいて選択可能な複数のスライド群のそれぞれについて、スライド群の特徴と、受講者の属性とを予測モデル7に与えて、受講者の反応を取得する。スライド選択部15は、複数のスライド群のそれぞれについて、反応取得部14で取得された受講者の反応に基づいて評価値S(詳細は後述)を算出し、算出された評価値Sに基づいて、複数のスライド群の中から使用スライド群を選択する。
【0027】
反応検知部13は、使用スライド群を提示された受講者の反応を検知する。反応予測部16は、使用スライド群の特徴と、受講者の属性とを予測モデル7に与えて、受講者の反応を予測する。属性推定部17は、反応検知部13で検知された受講者の反応と、反応予測部16で予測された受講者の反応との間に差があることに応じて、使用スライド群の特徴と、反応検知部13で検知された受講者の反応とを予測モデル7に与えて、受講者の属性を推定する。
【0028】
終了処理部18は、プレゼンテーションの終了後に、使用スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応とを教師データとして用いた機械学習によって予測モデル7を更新する。また、終了処理部18は、反応検知部13で検知された受講者の反応に基づいて、評価値Sの算出方法を変更する。
【0029】
[スライド選択システム10のハードウエア構成]
図2に示されるように、スライド選択システム10は、コンピュータ20によって構成される。コンピュータ20には、周辺機器が接続される。図2に示される例では、コンピュータ20には、周辺機器として、カメラ31、マイク32、及びプロジェクタ33が接続されている。
【0030】
コンピュータ20は、CPU21、RAM22、記憶部23、入力部24、及び表示部25を備えている。記憶部23は、例えば、ハードディスクドライブやSSDドライブ等である。入力部24は、例えば、キーボードやマウス等である。表示部25は、例えば、液晶ディスプレイ等である。記憶部23は、予測モデル7、プログラム8、スライド群9等を記憶している。プログラム8は、CPU21が実行するプログラムである。スライド群9は、発表者がプレゼンテーションを行う前に準備したものである。コンピュータ20がスライド選択システム10として動作するときには、記憶部23に記憶されたプログラム8は、RAM22に複写転送される。CPU21がRAM22に記憶されたプログラムを実行することにより、コンピュータ20はスライド選択システム10として機能する。RAM22及び記憶部23は、予測モデル記憶部11として機能する。
【0031】
プロジェクタ33は、スライド選択システム10で選択されたスライド(使用スライド群に含まれるスライド)を受講者に提示する。これにより、発表者はプレゼンテーションを行う。なお、プロジェクタ33がコンピュータ20に接続されていない場合には、スライド選択システム10は、選択したスライドを表示部25に表示する。この場合、発表者は、表示部25に表示されたスライドと同じスライドを表示するようにプロジェクタ33を操作する。
【0032】
[プレゼンテーションの構成とスライドの特徴]
図3に示されるように、プレゼンテーションは、複数のパートによって構成される。プレゼンテーションを構成するパートには、例えば、導入部分、準備部分、本体部分、解説部分、例示部分、補足部分、結論部分等が含まれる。各パートには、1枚以上のスライドからなるスライド群が対応づけられる。スライド群は、例えば、3~5枚程度のスライドからなる。スライド群に含まれるスライドは、予め定められた順序で受講者に提示される。なお、各スライド群に含まれるスライドの枚数は、3~5枚に限らず、何枚でもよい。
【0033】
発表者は、各パートに対応して、1個以上のスライド群を用意する。また、発表者は、1個以上のパートに対応して、複数のスライド群を用意する。図3に示される例では、発表者は、導入部分に対応して、1枚のスライドからなるスライド群1を用意する。また、発表者は、第1準備部分に対応して、3枚のスライドからなるスライド群2Aと、4枚のスライドからなるスライド群2Bとを用意する。さらに、発表者は、第2準備部分に対応して、3枚のスライドからなるスライド群3Aと、5枚のスライドからなるスライド群3Bと、4枚のスライドからなるスライド群3Cとを用意する。スライド選択システム10は、パートに対応して用意された選択可能な複数のスライド群の中から、プレゼンテーション中に受講者に提示される使用スライド群を選択する。
【0034】
上述されたように、記憶部23は、発表者が用意した複数のスライド群9を記憶する。各スライド群9は、スライド枚数、文字数、挿絵の数、図の数、表の数、グラフ内の列数等の特徴を有する。スライド群9の特徴は、スライド群9自身の外見上の特徴、又はスライド群9に含まれるスライドの外見上の特徴である。スライド群9の特徴の多くは、スライドの内容とは無関係である。記憶部23は、複数のスライド群9と共に、各スライド群9の特徴(図示せず)を記憶する。スライド群9の特徴は、発表者が記憶部23に記憶されたスライド群9を表示部25に表示して付与したものでもよい。或いは、スライド群9の特徴は、スライド選択システム10が記憶部23に記憶されたスライド群9について自動的に付与したものでもよい。
【0035】
[受講者の属性]
プレゼンテーションの受講者は、各種の属性を有する。受講者の属性は、例えば、ビジネス関係者、学術関係者、カップル、子育てファミリー、大学生、一般的好奇心持つ人、課題の解決を求める人等である。受講者の属性に応じてスライド群を選択することにより、プレゼンテーションの質を向上できる。また、プレゼンテーションを受講中の受講者の反応も、受講者の属性によって異なる。例えば、受講者の属性がカップルや子育てファミリーである場合には、良いプレゼンテーションを受講すると、笑い声が生じる。一方、受講者の属性が学術関係者である場合には、良いプレゼンテーションを受講すると、うなずき回数が多くなる。
【0036】
属性入力部12は、プレゼンテーションの受講者の属性を入力するための手段である。属性入力部12経由で入力された受講者の属性は、RAM22に記憶され、反応取得部14において受講者の反応を取得するとき、及び反応予測部16において受講者の反応を予測するときに参照される。
【0037】
[受講者の反応]
プレゼンテーションの受講者は、プレゼンテーションの進行に伴い各種の反応を示す。例えば、受講者は、笑い声を出したり、笑顔になったり、腕組みをしたり、眉間にしわを寄せたり、うなずいたりする。反応検知部13は、プレゼンテーションを受講中の受講者の反応、即ち使用スライド群を提示された受講者の反応を検知する。
【0038】
カメラ31は、プレゼンテーションを受講中の受講者の様子を撮影し、画像信号を出力する。マイク32は、プレゼンテーションを受講中の受講者が発する声や音等を取得し、音声信号を出力する。
【0039】
反応検知部13は、カメラ31から出力された画像信号を処理する画像処理部と、マイク32から出力された音声信号を処理する音声処理部とを含んでいる。画像処理部は、カメラ31で取得された画像信号に基づいて、受講者の笑顔、腕組み、眉間のしわ、うなずき等を検知する。音声処理部は、マイク32で取得された音声信号に基づいて、受講者の笑い声を検知する。反応検知部13は、受講者の反応として、笑い声、笑顔、腕組み、眉間のしわ、及びうなずき回数を検知し、検知した結果を数値データとして出力する。
【0040】
これに加えて、画像処理部は、カメラ31で取得された画像信号に基づいて、受講者が発表者又はスライドを注視しているか否かを判断し、判断結果に基づいて受講者の注視率を取得する。取得された注視率は、終了処理部18において評価値Sの算出方法を変更するときに参照される。
【0041】
なお、反応検知部13は、上記以外の方法で、受講者の反応を検知してもよい。例えば、反応検知部13は、受講者が座る椅子に取り付けられたセンサから出力された信号に基づいて、受講者の反応として受講者の体の揺れを検知してもよい。
【0042】
コンピュータ20には1台のカメラ31を接続してもよく、複数のカメラ31を接続してもよい。コンピュータ20には1本のマイク32を接続してもよく、複数のマイク32を接続してもよい。接続されるカメラ31やマイク32の数が多いほど、受講者の反応をより高い精度で検知できる。
【0043】
[予測モデル7]
予測モデル記憶部11に記憶された予測モデル7は、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示すモデルである。予測モデル7は、実施済みのプレゼンテーションについて、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応とを対応づけて含むデータを教師データとして用いた機械学習によって得られる。予測モデル7は、例えば、ニューラルネットワークに深層学習を行わせることによって得られたものでもよい。機械学習には、バックプロパゲーション等、任意のアルゴリズムが用いられてもよい。予測モデル7は、スライド選択システム10(コンピュータ20)における機械学習によって得られたものでもよく、他のコンピュータにおける機械学習によって得られたものでもよい。後者の場合、他のコンピュータで得られた予測モデルは、例えば、コンピュータ20の通信部(図示せず)を経由してスライド選択システム10に入力され、予測モデル記憶部11に記憶される。
【0044】
[スライド選択システム10の動作]
図4が参照されて、スライド選択システム10の動作が説明される。CPU21は、発表者がプレゼンテーションを行うときに、図4に示される処理を行う。CPU21が図4に示される処理を行う前に、記憶部23は、発表者が用意した複数のスライド群9(図2参照)と、各スライド群の属性(図示せず)とを記憶している。記憶部23に記憶された複数のスライド群9の中には、プレゼンテーションを構成する複数のパートのうち同じパートに対応するものが含まれている。
【0045】
図4に示されるように、CPU21は、まず、入力された受講者の属性を受け取る(S11)。S11を実行するCPU21は、属性入力部12として機能する。発表者は、例えば、受講者の名簿に基づいて受講者の属性を認識してもよく、実際に集まった受講者の外見から受講者の属性を推定してもよい。発表者は、スライド選択システム10に受講者の属性を入力した後、プレゼンテーションを開始する。なお、発表者以外の人が、受講者の属性を入力してもよい。プレゼンテーションが行われている間、反応検知部13は、プレゼンテーションを受講中の受講者の反応を検知する。
【0046】
次に、CPU21は、スライド選択タイミングであるか否かを判断する(S12)。CPU21は、S12において、例えば、プレゼンテーションのパートを切り換えるタイミングである場合に、スライド選択タイミングであると判断する。CPU21は、スライド選択タイミングであると判断したことに応じて(S12:Yes)、S13へ進む。CPU21は、スライド選択タイミングでないと判断したことに応じて(S12:No)、S13~S18を実行することなくS19へ進む。
【0047】
CPU21は、S13において、その時点で選択可能な複数のスライド群のそれぞれについて、スライド群の特徴と、受講者の属性とを予測モデル7に与えて、受講者の反応を取得する。S13を実行するCPU21は、反応取得部14として機能する。予測モデル7は、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す。したがって、予測モデル7にスライド群の特徴と、受講者の属性とを与えることにより、受講者の反応を取得できる。
【0048】
次に、CPU21は、選択可能な複数のスライド群のそれぞれについて、S13で取得された受講者の反応に基づいて評価値を算出する(S14)。CPU21は、S14において、各スライド群について、次式(1)に従い、評価値Sを算出する。
S=X1・A1+X2・A2+X3・A3+X4・A4+X5・A5 …(1)
ただし、式(1)において、A1~A5は、S13で取得された受講者の反応を示す数値データであり、A1は笑い声、A2は笑顔、A3は眉間のしわ、A4は腕組み、A5はうなずき回数を示す数値データである。X1~X5は、CPU21が図4に示される処理を行う前に決定された係数である。なお、係数X1~X5は、プレゼンテーション終了後のS20において変更される。
【0049】
次に、CPU21は、S14で算出された評価値Sに基づいて、複数のスライド群の中から使用スライド群を選択する(S15)。S14及びS15を実行するCPU21は、スライド選択部15として機能する。CPU21は、S15において、複数のスライド群の中から、評価値Sが最も高いスライド群を使用スライド群として選択する。
【0050】
次に、CPU21は、前回選択された使用スライド群の特徴と、受講者の属性とを予測モデル7に与えて、受講者の反応を予測する(S16)。S16を実行するCPU21は、反応予測部16として機能する。S13と同様に、予測モデル7に前回の使用スライド群の特徴と、受講者の属性とを与えることにより、受講者の反応を予測できる。S16では、前回の使用スライド群を提示された受講者の反応が予測される。
【0051】
次に、CPU21は、反応検知部13で検知された受講者の反応と、S16で予測された受講者の反応との間に差があるか否かを判断する(S17)。CPU21は、S17において、反応検知部13で検知された受講者の反応と、S16で予測された受講者の反応とを比較し、両者の間の差が所定の閾値を超えたことに応じて、差があると判断する。CPU21は、差があると判断したことに応じて(S17:Yes)、S18へ進む。CPU21は、差がないと判断したことに応じて(S17:No)、S18を実行することなく、S19へ進む。
【0052】
CPU21は、S18において、前回選択された使用スライド群の特徴と、反応検知部13で検知された受講者の反応とを予測モデル7に与えて、受講者の属性を推定する(S18)。S18及びS19を実行するCPU21は、属性推定部17として機能する。上述されたように、予測モデル7は、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係を示す。したがって、予測モデル7に前回選択された使用スライド群の特徴と受講者の属性とを与えることにより、受講者の属性を推定できる。S18で推定された受講者の属性は、S13において受講者の反応を取得するとき、及びS16において受講者の反応を予測するときに参照される。
【0053】
プレゼンテーションがあるパートまで進んだ時点で、反応検知部13で検知された受講者の反応と、S16で予測された受講者の反応との間に差がある場合には、その時点で使用されている受講者の属性に誤りがあると推定される。そこで、プレゼンテーションが次のパートに進む前に、S18において、予測モデル7を用いて受講者の属性が推定される。推定された受講者の属性をその後の処理で用いることにより、S13では受講者の反応を高い精度で取得し、S15では好適なスライド群を使用スライド群として選択できる。
【0054】
図4に示される処理では、CPU21は、スライド選択タイミングであると判断したことに応じて、S13からS18の処理を行う。スライド選択タイミングは、パートの切り換えタイミングでもある。このように反応取得部14、スライド選択部15、反応予測部16、及び属性推定部17は、プレゼンテーションを構成するパートの切り換え時に動作する。
【0055】
次に、CPU21は、プレゼンテーションが終了したか否かを判断する(S19)。CPU21は、S19において、例えば、発表者がプレゼンテーションの終了を指示した以降は、プレゼンテーションが終了したと判断する。CPU21は、プレゼンテーションが終了したと判断したことに応じて(S19:Yes)、S20へ進む。CPU21は、プレゼンテーションが終了していないと判断したことに応じて(S19:No)、S12へ進む。この場合、CPU21は、プレゼンテーションを構成する次のパートについてS12からS18の処理を行う。
【0056】
CPU21は、S20において、終了処理を行う。S20を実行するCPU21は、終了処理部18として機能する。CPU21は、S20において、終了したプレゼンテーションについての使用スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応とを教師データとして用いた機械学習によって予測モデル7を更新する。これにより、スライド群の特徴と、受講者の属性と、受講者の反応との関係をより正しく示す予測モデル7が得られる。したがって、次回以降のプレゼンテーションにおいて好適なスライド群を選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0057】
また、CPU21は、S20において、反応検知部13で検知された受講者の反応に基づいて、評価値Sの算出方法を変更する。CPU21は、S20において、式(1)内jの評価値Sに、反応検知部13で検知された注視率Tを代入して得られた次式(2)を用いる。
T=X1・A1+X2・A2+X3・A3+X4・A4+X5・A5 …(2)
【0058】
記憶部23は、実施済みのプレゼンテーションについて、A1~A5の値と注視率Tとを対応づけて記憶している。CPU21は、終了したプレゼンテーションについてのA1~A5の値と注視率Tとを記憶部23に記憶する。CPU21は、記憶部23に記憶されたA1~A5の値と注視率Tとに対して重回帰分析を行うことにより、係数X1~X5を取得する。取得された係数X1~X5は、次回のプレゼンテーションにおいてS14で評価値を算出するときに参照される。このようにスライド選択システム10では、終了したプレゼンテーションの結果に基づいて評価値Sの算出方法が変更され、スライド群の選択基準が変更される。したがって、次回以降のプレゼンテーションにおいて、受講者の反応に応じて好適なスライド群を選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0059】
なお、CPU21は、S20において、受講者の属性にかかわらず評価値Sが低いスライド群を特定し、削除すべきスライド群として表示部25に表示させてもよい。発表者は、次回のプレゼンテーションを行うときには、スライド選択システム10から削除を勧められたスライドを使用しない。これにより、次回以降のプレゼンテーションの質を向上できる。
【0060】
[作用効果]
本実施形態に係るスライド選択システム10によれば、予測モデル7を用いて取得された受講者の反応に基づいて、使用スライド群が選択される。また、実際に検知された受講者の反応と、スライド選択システム10で予測した受講者の反応とが異なる場合には、予測モデル7に与えられる受講者の属性が推定され、変更される。したがって、プレゼンテーション中に受講者の反応に応じて好適なスライドを選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。
【0061】
また、終了したプレゼンテーションの結果に基づいて予測モデル7を更新することにより、次回以降のプレゼンテーションにおいて、受講者の反応に応じて好適なスライドを選択し、プレゼンテーションの質を向上できる。また、終了したプレゼンテーションの結果に基づいて評価値Sの算出方法を変更し、スライド群の選択基準を変更することにより、同様の効果が得られる。また、反応取得部14、スライド選択部15、反応予測部16、及び属性推定部17はパートの切り換え時に動作するので、パートごとに複数のスライド群の中から使用スライド群を選択できる。
【0062】
[変形例]
スライド選択システム10では、受講者の反応は、笑顔、笑い声、腕組み、眉間のしわ、及びうなずき回数であるとしたが、変形例に係るスライド選択システムでは、受講者の反応は、笑顔、笑い声、腕組み、眉間のしわ、及びうなずき回数のうちの1以上を含んでいればよい。また、受講者の反応は、他の要素を含んでいてもよい。変形例に係るスライド選択システムでは、受講者の反応に含まれる要素に応じて式(1)を変形した式に基づいて、評価値Sが算出される。例えば、受講者の反応が笑顔及び笑い声だけを含む場合には、評価値Sは次式(3)に従い算出される。
S=X1・A1+X2・A2 …(3)
【0063】
スライド選択システム10では、スライド群の特徴は、スライド枚数、文字数、挿絵の数、図の数、表の数、及びグラフ内の列数であることとしたが、変形例に係るスライド選択システムでは、スライド群の特徴は、スライド枚数、文字数、挿絵の数、図の数、表の数、及びグラフ内の列数のうちの1以上を含んでいればよい。また、スライド群の特徴は、他の要素を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0064】
7・・・予測モデル
9・・・スライド群
10・・・スライド選択システム
11・・・予測モデル記憶部
12・・・属性入力部
13・・・反応検知部
14・・・反応取得部
15・・・スライド選択部
16・・・反応予測部
17・・・属性推定部
18・・・終了処理部
図1
図2
図3
図4