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特開2023-110579パッキンおよびフランジ継手結合構造
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  • 特開-パッキンおよびフランジ継手結合構造 図1
  • 特開-パッキンおよびフランジ継手結合構造 図2
  • 特開-パッキンおよびフランジ継手結合構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110579
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】パッキンおよびフランジ継手結合構造
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20230802BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
F16J15/10 L
F16L23/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012116
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 文明
【テーマコード(参考)】
3H016
3J040
【Fターム(参考)】
3H016AB07
3H016AC01
3J040AA12
3J040BA03
3J040EA16
3J040EA22
3J040FA05
3J040HA08
3J040HA09
3J040HA21
(57)【要約】
【課題】パッキンに割れが発生するのを抑制することができる新規な構成のパッキンおよびフランジ継手結合構造を得る。
【解決手段】パッキン5は、板5aを備える。板5aは、外周面5eと内周面5fとを有する。板5aには、ボルト孔5dと、切欠5gとが設けられている。ボルト孔5dは、内周面5fの周囲に位置し、板5aの厚さ方向に板5aを貫通し、ボルトの挿入が可能である。切欠5gは、ボルト孔5dに対して内周面5fとは反対側で外周面5eに設けられ、外周面5eとボルト孔5dとに亘っている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面と内周面とを有した板を備え、
前記板には、
前記内周面の周囲に位置し、前記板の厚さ方向に前記板を貫通し、ボルトの挿入が可能なボルト孔と、
前記ボルト孔に対して前記内周面とは反対側で前記外周面に設けられ、前記外周面と前記ボルト孔とに亘った切欠と、
が設けられたパッキン。
【請求項2】
前記切欠の幅は、前記ボルト孔の直径よりも小さい、請求項1に記載のパッキン。
【請求項3】
前記板は、一対の平座面形フランジ継手の間に配置される、請求項1または2に記載のパッキン。
【請求項4】
一対の平座面形フランジ継手と、
前記一対の平座面形フランジ継手の間に配置された請求項1~3のうちいずれか一つに記載のパッキンと、
前記パッキンの前記ボルト孔に入れられた前記ボルトと、
前記ボルトに結合され前記ボルトとによって前記一対の平座面形フランジ継手を結合したナットと、
を備えたフランジ継手結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキンおよびフランジ継手結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のフランジ継手の間にパッキンを介在させて、一対のフランジ継手をボルトとナットによって結合したフランジ継手構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-34069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のフランジ継手結合構造において、平座面形(RF(Raised Face)形)フランジ継手に、全座面形(FF(Flat Face)形)のパッキンが用いられる場合には下記の問題が発生する可能性がある。すなわち、パッキンは中央部だけがフランジ継手に押圧されるため、その押圧力によってはパッキンのボルト孔とパッキンの外周面との肉厚の薄い部分に応力集中が発生し当該部分が割れる虞がある。
【0005】
本発明の課題の一つは、パッキンに割れが発生するのを抑制することができる新規な構成のパッキンおよびフランジ継手結合構造を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態のパッキンは、外周面と内周面とを有した板を備え、前記板には、前記内周面の周囲に位置し、前記板の厚さ方向に前記板を貫通し、ボルトの挿入が可能なボルト孔と、前記ボルト孔に対して前記内周面とは反対側で前記外周面に設けられ、前記外周面と前記ボルト孔とに亘った切欠と、が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態のパッキンおよびフランジ継手結合構造によれば、パッキンに割れが発生するのを抑制することができる新規な構成のパッキンおよびフランジ継手結合構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態のフランジ継手結合構造の例示的な側面図である。
図2図2は、実施形態の平座面形フランジ継手の例示的な正面図である。
図3図3は、実施形態のパッキンの例示的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0010】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
図1は、実施形態のフランジ継手結合構造1の例示的な側面図である。図1に示されるように、フランジ継手結合構造1は、一対の管2,3の間に設けられ、一対の管2,3を接続する。管2,3は、内部を流体等の物質が移動する。流体は、液体(水や油)であってもよいし気体であってもよい。フランジ継手結合構造1は、フランジ継手結合装置とも称される。
【0012】
フランジ継手結合構造1は、一対の平座面形フランジ継手4A,4Bと、パッキン5と、複数のボルト6と、複数のナット7と、を備える。平座面形フランジ継手4A,4Bは、それぞれ管2,3の端部に設けられている。パッキン5は、全座面形用パッキンであり、平座面形フランジ継手4A,4Bの間に配置されている。複数のボルト6と複数のナット7とは、平座面形フランジ継手4A,4Bの間にパッキン5が挟まれた状態で、平座面形フランジ継手4A,4Bを結合している。以後、一対の平座面形フランジ継手4A,4Bの総称として平座面形フランジ継手4を用いる。
【0013】
図2は、実施形態の平座面形フランジ継手4の例示的な正面図である。図2に示されるように、平座面形フランジ継手4は、ベース部4aと、凸部4bと、を有する。ベース部4aは、中心線C1回りに円環状の円板状に形成されている。ベース部4aは、一面4cと、一面4cの反対側の他面4iと、を有する。
【0014】
凸部4bは、ベース部4aの一面4cから突出し、中心線C1回りに円環状(円板状)に形成されている。凸部4bの先端には、フランジ面4dが設けられている。フランジ面4dは、平坦に形成されている。
【0015】
また、平座面形フランジ継手4は、外周面4gと、内周面4hと、を有する。外周面4gは、ベース部4aの外周面である。内周面4hは、ベース部4aと凸部4bとに亘って設けられている。
【0016】
また、平座面形フランジ継手4には、孔4eと、複数のボルト孔4fとが形成されている。孔4eは、平座面形フランジ継手4の中央部に設けられ、平座面形フランジ継手4の厚さ方向に平座面形フランジ継手4を貫通している。すなわち、孔4eは、ベース部4aと凸部4bとを貫通している。孔4eは、管2,3の内部と通じ、物質が移動可能である。孔4eは、内周面4hによって形成されている。複数のボルト孔4fは、内周面4h(孔4e)の周囲に互いに間隔をあけて設けられている。ボルト孔4fには、ボルト6の軸部6bが挿入される。
【0017】
図3は、実施形態のパッキン5の例示的な正面図である。図1および図3に示されるように、パッキン5は、中心線C1回りに円環状(円板状)の板5aを備える。板5aは、ゴムや合成樹脂材料等によって構成されている。
【0018】
板5aは、一対の面5b,5cと、外周面5eと、内周面5fと、を有する。面5cは面5bの反対側の面である。面5bは、平座面形フランジ継手4Aのフランジ面4dと重ねられ、面5cは、平座面形フランジ継手4Bのフランジ面4dと重ねられている。外周面5eと内周面5fとは、それぞれ、一対の面5b,5cに亘っている。
【0019】
また、板5aには、孔5kと、複数のボルト孔5dと、複数の切欠5gとが設けられている。
【0020】
孔5kは、板5aの中央部に設けられ、板5aの厚さ方向に板5aを貫通している。孔5kは、孔4eおよび管2,3の内部と通じ、物質が移動可能である。孔5kは、内周面5fによって形成されている。
【0021】
複数のボルト孔5dは、内周面5f(孔5k)の周囲に互いに間隔をあけて設けられている。ボルト孔5dは、板5aの厚さ方向に板5aを貫通している。ボルト孔5dは、周面5hによって形成されている。ボルト孔5dには、ボルト6の軸部6bが挿入される。
【0022】
切欠5gは、ボルト孔5dに対して内周面5fとは反対側で外周面5eに設けられ、外周面5eとボルト孔5dとに亘っている。切欠5gは、一対の面5i,5jによって形成されている。面5iと面5jとの間の距離すなわち切欠5gの幅L1は、ボルト孔5dの直径D1よりも小さい。なお、切欠5gの幅L1は、ボルト孔5dの直径D1と同じであってよい。また、切欠5gの幅L1は、一定であってもよいし、外周面5eに向かうにつれて大きくなってもよいし小さくなってもよい。
【0023】
図1に示されるように、ボルト6は、頭部6aと、頭部6aから延びた軸部6bと、を有する。頭部6aは、一方の平座面形フランジ継手4(一例として平座面形フランジ継手4B)の他面4iに重ねられている。軸部6bは、ボルト孔4f,5dに入れられている。ナット7は、他方の平座面形フランジ継手4(一例として平座面形フランジ継手4A)の他面4iに重ねられている。ナット7は、ボルト6の軸部6bに結合されボルト6とによって一対の平座面形フランジ継手4を結合している。
【0024】
以上のように、本実施形態では、パッキン5は、板5aを備える。板5aは、外周面5eと内周面5fとを有する。板5aには、ボルト孔5dと、切欠5gとが設けられている。ボルト孔5dは、内周面5fの周囲に位置し、板5aの厚さ方向に板5aを貫通し、ボルト6の挿入が可能である。切欠5gは、ボルト孔5dに対して内周面5fとは反対側で外周面5eに設けられ、外周面5eとボルト孔5dとに亘っている。
【0025】
このような構成によれば、切欠5gが、ボルト孔5dに対して内周面5fとは反対側で外周面5eに設けられ、外周面5eとボルト孔5dとに亘っているので、パッキン5がフランジ継手によって押圧された場合でも、板5aにおける、ボルト孔5dに対して内周面5fとは反対側の部分に応力集中が発生するのが抑制される。よって、板5aにおける、ボルト孔5dに対して内周面5fとは反対側の部分に割れが発生するのを抑制することができる。
【0026】
また、切欠5gの幅L1は、ボルト孔5dの直径D1よりも小さい。
【0027】
このような構成によれば、ボルト孔5dに挿入されるボルト6がボルト孔5dの周面に接触しやすいので、ボルト6によってパッキン5の位置決めがされやすい。
【0028】
ここで、一対の平座面形フランジ継手4の結合には、一般的に平座面形用パッキン(不図示)が用いられる。しかしながら、平座面形用パッキンにはボルト孔5dが設けられていないため、平座面形フランジ継手4に対する位置決めが難しく、平座面用フランジ継手に対して平座面形用パッキンがずれると平座面形フランジ継手4のフランジ面4dに錆や破損が発生する虞がある。
【0029】
これに対して、本実施形態のフランジ継手結合構造1は、一対の平座面形フランジ継手4と、パッキン5と、ボルト6と、ナット7と、を備える。パッキン5は、一対の平座面形フランジ継手4の間に配置されている。ボルト6は、パッキン5のボルト孔5dに入れられている。ナット7は、ボルト6に結合されボルト6とによって一対の平座面形フランジ継手4を結合している。すなわち、本実施形態では、一対の平座面形フランジ継手4の結合に全座面形用パッキン(パッキン5)が用いられている。
【0030】
よって、本実施形態によれば、平座面形フランジ継手4に対するパッキン5の位置決めが容易であるので、平座面形フランジ継手4に対してパッキン5がずれるのを抑制することができる。したがって、平座面形フランジ継手4のフランジ面4dに錆や破損が発生するのを抑制することができる。また、このように、平座面形フランジ継手4に対するパッキン5の位置決めが容易であるので、平座面形フランジ継手4に対するパッキン5の取付作業性の向上および平座面形フランジ継手4のフランジ面4dの手入れ作業の簡略化を図ることができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、パッキン5が、平座面形フランジ継手4の結合に用いられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、パッキン5は、全座面形フランジ継手の結合に用いられてもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…フランジ継手結合構造、4,4A,4B…平座面形フランジ継手、5…パッキン、5a…板、5d…ボルト孔、5e…外周面、5f…内周面、5g…切欠、6…ボルト、7…ナット、D1…直径、L1…幅。
図1
図2
図3