(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011059
(43)【公開日】2023-01-23
(54)【発明の名称】光学材料用重合性組成物、当該組成物から得られる成形体およびその用途
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20230116BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230116BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230116BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20230116BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20230116BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20230116BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20230116BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20230116BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20230116BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20230116BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/42
C08G18/48
G02C7/00
G02C7/10
G02B1/04
B32B27/36
B32B27/40
G02B1/11
G02B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019235967
(22)【出願日】2019-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】内藤 駿一
(72)【発明者】
【氏名】塙 貴行
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ,ニジェル
【テーマコード(参考)】
2H006
2K009
4F100
4J034
【Fターム(参考)】
2H006BA01
2H006BA03
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4J034QC03
4J034QC08
4J034QD03
4J034RA13
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】ハンドリング性(ポットライフ)に優れ、耐衝撃性および染色性に優れた成形体を得ることができる光学材料用重合性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の光学材料用重合性組成物は、ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物(a)と、pKaが0未満の酸(b)と、ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(c)(ポリオール化合物(a)を除く)と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物と、
(b)pKaが0未満の酸と、
(c)ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(ポリオール化合物(a)を除く)と、
を含む、光学材料用重合性組成物。
【請求項2】
酸(b)は、塩酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびビニルスルホン酸から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項3】
ポリオール化合物(a)の重量平均分子量が2000以上である、請求項1または2に記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項4】
ポリエーテルポリオール(a1)は下記一般式(a1)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【化1】
(一般式(a1)中、R
1およびR
2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR
1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR
2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。)
【請求項5】
ポリエステルポリオール(a2)は下記一般式(a2)で表される化合物を含む、請求項1~4のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【化2】
(一般式(a2)中、Qは、ジオールから誘導される2価の基、または少なくとも3つの第1級アルコール基を有するポリオールから誘導される3~30価の基を表し、mは3~10の整数を示し、nは2~200の整数を示し、複数存在するnの数は同一でも異なっていてもよい。qは2~30の整数を示す。)
【請求項6】
酸(b)を200ppm以上含む、請求項1~5のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項7】
前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物が、脂肪族ポリイソ(チオ)シアネート化合物、脂環族ポリイソ(チオ)シアネート化合物、または芳香族ポリイソ(チオ)シアネート化合物である、請求項1~6のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項8】
さらに内部離型剤(d)を含む、請求項1~7のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項9】
さらにスズ触媒(e)を含む、請求項1~8のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項10】
さらにフォトクロミック化合物(f)を含む、請求項1~9のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を硬化した成形体。
【請求項12】
ポリオール化合物(a)のミクロ相分離構造体を含む、請求項11に記載の成形体。
【請求項13】
前記ミクロ相分離構造体の平均粒径は1~50nmである、請求項12に記載の成形体。
【請求項14】
請求項10~13のいずれかに記載の成形体からなるレンズ基材と、
ハードコート層と、
反射防止層と、
をこの順で備える、積層体。
【請求項15】
前記レンズ基材と前記ハードコート層との間に、プライマーコート層を備える、請求項14に記載の積層体。
【請求項16】
請求項11~13のいずれかに記載の成形体または請求項14または15に記載の積層体からなる光学材料。
【請求項17】
請求項11~13のいずれかに記載の成形体または請求項14または15に記載の積層体からなるプラスチックレンズ。
【請求項18】
(a)ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物と、(b)pKaが0未満の酸と、(c)ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(ポリオール(a)を除く)と、を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法であって、
前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、ポリオール化合物(a)と、pKaが0未満の酸(b)と、を混合する工程と、
前記工程で得られた混合液に、二官能以上の前記活性水素化合物を混合する工程と、
を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法。
【請求項19】
(a)ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物と、(b)pKaが0未満の酸と、(c)ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(ポリオール(a)を除く)と、(e)内部離型剤とを含む、光学材料用重合性組成物の製造方法であって、
二官能以上の前記活性水素化合物としてポリチオール化合物を含み、
内部離型剤(d)と前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物とを混合し、次いでポリオール化合物(a)を混合する工程と、
前記工程で得られた混合液に、pKaが0未満の酸(b)を混合し、次いでポリチオール化合物を混合する工程と、
を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用重合性組成物、当該組成物から得られる成形体およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、軽量で割れ難く、染色が可能なため眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料として急速に普及してきており、これまでに様々なプラスチック材料を用いたレンズ用成形体が開発され使用されている。
【0003】
代表的な例としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートやジアリルイソフタレートから得られるアリル樹脂や、(メタ)アクリレートから得られる(メタ)アクリル樹脂、イソシアネート化合物とチオール化合物から得られるポリチオウレタン樹脂が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、メルカプト基を1個以上有する化合物と、数平均分子量200以上の脂肪族直鎖状オリゴマーと、イソシアネート化合物等と、を含む、光学材料用重合性組成物が開示されている。当該文献には、ポリカプトラクトンジオール等の脂肪族直鎖状オリゴマーがソフトセグメントとして機能することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、ブロックコポリマーと、フォトクロミック化合物と、ポリチオールおよびポリイソ(チオ)シアナート化合物と、を含む、光学材料用重合性組成物が開示されている。
【0006】
特許文献3には、ポリエーテルポリオールと、フォトクロミック化合物と、ポリチオールおよびポリイソ(チオ)シアナート化合物と、を含む、光学材料用重合性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-265402号公報
【特許文献2】国際公開第2018/070383号
【特許文献3】国際公開第2019/117305号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】P. Alexandridis, T.A. Hatton/Colloids Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 96 (1995) 1-46
【非特許文献2】Phys. Chem. Chem. Phys., 1999, 1, 3331-3334
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、プラスチックレンズは落下等の衝撃による割れを防止するため耐衝撃性に優れることが要求される。しかしながら、耐衝撃性が向上すると染色性が低下する場合があり、耐衝撃性の向上と染色性の改善はトレードオフの関係にあった。
特許文献1~3においては、耐衝撃性および染色性の両立において改善の余地があった。さらに、各成分を混合して得られた重合性組成物は、混合後の増粘速度が速い場合がありハンドリング性(ポットライフ)に改善の余地があった
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリオール化合物と、該ポリオール化合物以外の重合反応性化合物と、pKaが所定の値である酸とを組み合わせて用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
[1](a)ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物と、
(b)pKaが0未満の酸と、
(c)ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(ポリオール化合物(a)を除く)と、
を含む、光学材料用重合性組成物。
[2] 酸(b)は、塩酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびビニルスルホン酸から選択される少なくとも1種を含む、[1]に記載の光学材料用重合性組成物。
[3] ポリオール化合物(a)の重量平均分子量が2000以上である、[1]または[2]に記載の光学材料用重合性組成物。
[4] ポリエーテルポリオール(a1)は下記一般式(a1)で表される化合物を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【化1】
(一般式(a1)中、R
1およびR
2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR
1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR
2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。)
[5] ポリエステルポリオール(a2)は下記一般式(a2)で表される化合物を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【化2】
(一般式(a2)中、Qは、ジオールから誘導される2価の基、または少なくとも3つの第1級アルコール基を有するポリオールから誘導される3~30価の基を表し、mは3~10の整数を示し、nは2~200の整数を示し、複数存在するnの数は同一でも異なっていてもよい。qは2~30の整数を示す。)
[6] 酸(b)を200ppm以上含む、[1]~[5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[7] 前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物が、脂肪族ポリイソ(チオ)シアネート化合物、脂環族ポリイソ(チオ)シアネート化合物、または芳香族ポリイソ(チオ)シアネート化合物である、[1]~[6]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[8] さらに内部離型剤(d)を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[9] さらにスズ触媒(e)を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[10] さらにフォトクロミック化合物(f)を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[11] [1]~[10]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を硬化した成形体。
[12] ポリオール化合物(a)のミクロ相分離構造体を含む、[11]に記載の成形体。
[13] 前記ミクロ相分離構造体の平均粒径は1~50nmである、[12]に記載の成形体。
[14] [10]~[13]のいずれかに記載の成形体からなるレンズ基材と、
ハードコート層と、
反射防止層と、
をこの順で備える、積層体。
[15] 前記レンズ基材と前記ハードコート層との間に、プライマーコート層を備える、[14に記載の積層体。
[16] [11]~[13]のいずれかに記載の成形体または[14]または[15]に記載の積層体からなる光学材料。
[17] [11]~[13]のいずれかに記載の成形体または[14]または[15]に記載の積層体からなるプラスチックレンズ。
[18] (a)ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物と、(b)pKaが0未満の酸と、(c)ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(ポリオール(a)を除く)と、を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法であって、
前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、ポリオール化合物(a)と、pKaが0未満の酸(b)と、を混合する工程と、
前記工程で得られた混合液に、二官能以上の前記活性水素化合物を混合する工程と、
を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法。
[19] (a)ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物と、(b)pKaが0未満の酸と、(c)ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む重合反応性化合物(ポリオール(a)を除く)と、(e)内部離型剤とを含む、光学材料用重合性組成物の製造方法であって、
二官能以上の前記活性水素化合物としてポリチオール化合物を含み、
内部離型剤(d)と前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物とを混合し、次いでポリオール化合物(a)を混合する工程と、
前記工程で得られた混合液に、pKaが0未満の酸(b)を混合し、次いでポリチオール化合物を混合する工程と、
を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ハンドリング性(ポットライフ)に優れ、耐衝撃性および染色性に優れた成形体が得られる光学材料用重合性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で作成した成形体のTEM写真である。
【
図2】実施例2で作成した成形体のTEM写真である。
【
図3】実施例3で作成した成形体のTEM写真である。
【
図4】実施例4で作成した成形体のTEM写真である。
【
図5】実施例5で作成した成形体のTEM写真である。
【
図6】実施例6で作成した成形体のTEM写真である。
【
図7】比較例1で作成した成形体のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の光学材料用重合性組成物は、ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種のポリオール化合物(a)と、pKaが0未満の酸(b)と、重合反応性化合物(c)(ポリオール化合物(a)を除く)と、を含む。
本発明によれば、ハンドリング性(ポットライフ)に優れ、耐衝撃性および染色性に優れた成形体を得ることができる。さらに、本発明の光学材料用重合性組成物は、ハンドリング性(ポットライフ)に優れるとともに、さらに透明性、耐熱性、耐衝撃性および染色性に優れ、且つ光学歪み(脈理)の発生が抑制され、且つ耐光性に優れ、これらの特性のバランスに優れる成形体を得ることができる。
【0015】
[ポリオール化合物(a)]
本実施形態のポリオール化合物(a)は、ポリエーテルポリオール(a1)およびポリエステルポリオール(a2)から選択される少なくとも1種からなる。
【0016】
ポリオール化合物(a)の重量平均分子量は、本発明の効果の観点から、2000以上、好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上とすることができる。また、樹脂の透明性を良好に保つ観点から、20000以下、好ましくは15000以下とすることができる。
【0017】
(ポリエーテルポリオール(a1))
ポリエーテルポリオール(a1)は、本発明の効果を得ることができれば公知の化合物を用いることができる。
本実施形態において、ポリエーテルポリオール(a1)は、下記一般式(a1)で表される化合物を含むことができる。
【0018】
【0019】
一般式(a1)中、R1およびR2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。
一般式(a1)で表される化合物は、本発明の効果の観点から、重量平均分子量が2000以上、好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上とすることができる。また、樹脂の透明性を良好に保つ観点から、20000以下、好ましくは15000以下とすることができる。
【0020】
本実施形態においては、ポリエーテルポリオール(a1)として一般式(a1)で表される化合物から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般式(a1)で表される化合物としては、具体的に下記一般式(a1-1)で表される化合物を用いることができる。
【0021】
【0022】
一般式(a1-1)中、R3およびR4は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。a+cは2以上499以下、好ましくは2以上400以下の整数であり、bは1以上300以下、好ましくは1以上100以下の整数を表す。複数存在するR3およびR4は、同一でも異なっていてもよい。
【0023】
このような化合物の例としてはBASF社製のプルロニック(Pluronic)シリーズなどが挙げられる。プルロニックに含まれる化合物の構造は非特許文献1に示される。
なお、一般式(a1)で表される化合物の末端水酸基は、イソシアネート等の重合性化合物(c)と反応する場合もある。
【0024】
本実施形態においては、一般式(a1-1)で表される化合物として下記一般式(a1-2)または下記一般式(a1-3)で表される化合物を用いることができる。
【0025】
【0026】
一般式(a1-2)中、a、b、cはそれぞれユニット数を示し、それぞれ独立に3以上300以下の整数である。
このような化合物の例としてはPluronicシリーズ(BASF社製)などが挙げられる。
【0027】
【0028】
一般式(a1-3)中、a、b、cはそれぞれユニット数を示し、それぞれ独立に3以上300以下の整数である。
このような化合物の例としてはPluronic Rシリーズ(BASF社製)などが挙げられる。
【0029】
(ポリエステルポリオール(a2))
ポリエステルポリオール(a2)は、本発明の効果を得ることができれば公知の化合物を用いることができる。
本実施形態において、ポリエステルポリオール(a2)は下記一般式(a2)で表される化合物を含むことができる。
【0030】
【0031】
一般式(a2)中、Qは、ジオールから誘導される2価の基、または少なくとも3つの第1級アルコール基を有するポリオールから誘導される3~30価の基を表し、mは3~10の整数を示し、nは2~200の整数を示し、複数存在するnの数は同一でも異なっていてもよい。qは2~30の整数を示す。
【0032】
なお、式中、Qに直結する酸素原子は、ジオール由来の酸素原子またはポリオール由来の酸素原子である。
【0033】
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0034】
少なくとも3つの第1級アルコール基を有するポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0035】
一般式(a2)で表される化合物としては、本発明の効果の観点から、重量平均分子量が1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは3000以上のものを用いることができる。また、樹脂の透明性を良好に保つ観点から、10000以下、好ましくは5000以下とすることができる。
【0036】
一般式(3b)で表されるアルコール化合物としては、PERSTORP社のCAPA polycaprolactone polyolシリーズ、DEICEL社のPLACCELシリーズ等を用いることができる。これらのアルコール化合物は単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0037】
本実施形態においては、一般式(a1)で表されるポリエーテルポリオール(a1)と一般式(a2)で表されるポリエステルポリオール(a2)とを併用することもできる。
【0038】
[pKaが0未満の酸(b)]
本実施形態の酸(b)としては、本発明の効果を得ることができれば、pKaが0未満である公知の酸を用いることができる。
【0039】
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、(a)成分および(c)成分とともにpKaが0未満の酸(b)を用いることにより、増粘が抑制されることからハンドリング性(ポットライフ)に優れ、さらに耐衝撃性および染色性に優れた成形体を得ることができる。
【0040】
本実施形態においては、pKaが0未満の酸(b)として、塩酸(pKa:-3.7)、メタンスルホン酸(pKa:-2.6)、p-トルエンスルホン酸(pKa:-2.8)、ビニルスルホン酸(pKa:-2.7)等を挙げることができ、塩酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ビニルスルホン酸が好ましく、塩酸、メタンスルホン酸、ビニルスルホン酸がより好ましい。pKaが0未満の酸(b)は、これらから選択される少なくとも1種を含むことができる。
これらの酸を用いることにより、増粘が抑制されることからハンドリング性(ポットライフ)により優れた光学材料用重合性組成物を得ることができ、当該組成物からより耐衝撃性および染色性に優れた成形体を得ることができる。
【0041】
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、pKaが0未満の酸(b)を、本発明の効果の観点から、200ppm以上、好ましくは300ppm以上、より好ましくは500ppm以上含むことができる。上限値は特に限定されないが、光学材料用重合性組成物のハンドリング性の観点から、5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下とすることができる。
【0042】
[重合反応性化合物(c)]
重合反応性化合物(c)には、必要に応じて添加される開始剤および触媒等の添加剤の存在下あるいはそれら不存在下においても、自己重合、共重合、或いは付加重合できる重合性官能基を少なくとも1個以上有する重合反応性化合物が含まれる。なお、重合反応性化合物(c)は、重合体(a)を含まない。
【0043】
重合反応性化合物としては、本発明の効果を得ることができれば公知の化合物を用いることができるが、例えば、イソシアナト基またはイソチオシアナト基を2個以上有するポリイソ(チオ)シアネート化合物、エポキシ基またはチオエポキシ基を1個以上有する(チオ)エポキシ化合物、オキセタニル基を1個以上有するオキセタニン化合物、チエタニル基を1個以上有するまたはオキセタニル基とチエタニル基を有するチエタン化合物、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルチオ基、アクリロイルチオ基、メタクリルアミド基、またはアクリルアミド基を1個以上有する(メタ)アクリル化合物、メタアリル基またはアリル基を1個以上有する(メタ)アリル化合物、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルチオ基、アクリロイルチオ基、メタクリルアミド基、またはアクリルアミド基以外の重合性炭素炭素二重結合基を1個以上有するアルケン化合物、重合性炭素炭素三重結合基を1個以上有するアルキン化合物、二官能以上の活性水素化合物、酸無水基を1個以上有する酸無水物、などが挙げられ、これらから選択される1種または2種以上の化合物を用いることができる。
【0044】
これらの化合物としては、本発明の効果を得ることができれば従来公知の化合物から選択して用いることができ、例えば、国際公開第2018/070383号に記載の化合物を用いることができる。
本実施形態においは、重合反応性化合物(c)が、前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の前記活性水素化合物を含むことが好ましい。
【0045】
ポリイソ(チオ)シアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、3,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルスルフィド-4,4-ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5-ジイソシアナトチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5-ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアナト-1,4-ジチアン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物;
ヘキサメチレンジイソチオシアネート、リジンジイソチオシアネートメチルエステル、リジントリイソチオシアネート、m-キシリレンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトエチル)ジスルフィド等の脂肪族ポリイソチオシアネート化合物;
イソホロンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソチオシアナトシクロヘキシル)メタン、シクロヘキサンジイソチオシアネート、メチルシクロヘキサンジイソチオシアネート、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、3,8-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;
トリレンジイソチオシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソチオシアネート、ジフェニルジスルフィド-4,4-ジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;等を挙げることができ、これらから選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0046】
二官能以上の活性水素化合物としては、ヒドロキシ基またはメルカプト基を2個以上有するポリ(チ)オール化合物、アミノ基または第二アミノ基を2個以上有するポリアミン化合物、カルボキシル基を2個以上有するポリカルボン酸化合物等を挙げることができる。また、一分子中に、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、第二アミノ基、カルボキシル基等から選ばれる2個以上の活性水素基を有する化合物も挙げることができる。2個以上の活性水素基は同一でも異なっていてもよい。
【0047】
これらの化合物としては、本発明の効果を得ることができれば従来公知の化合物から選択して用いることができ、例えば、国際公開第2018/070383号に記載の化合物を用いることができる。
【0048】
ポリオール化合物としては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2-メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ズルシトール、イジトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1'-ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクトース等の脂肪族ポリオール;
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA-ビス-(2-ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA-ビス-(2-ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ポリオール;
ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール;
エポキシ樹脂等の高分子ポリオールが挙げられる。本実施形態においては、これらから選択される少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。
【0049】
ポリチオール化合物としては、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;
2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物等が挙げられる。
【0050】
[内部離型剤(d)]
本発明の光学材料用重合性組成物は、成形後におけるモールドからの離型性を改善する目的で、さらに内部離型剤(d)を含むことができる。
内部離型剤(d)としては、特に限定されず従来公知のものを用いることができ、例えば酸性リン酸エステルを挙げることができる。酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、それぞれ単独または2種類以上混合して使用することできる。
【0051】
酸性リン酸エステルとしては、ZelecUN(STEPAN社製)、MR用内部離型剤(三井化学社製)、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等を用いることができ、ZelecUN(STEPAN社製)、MR用内部離型剤(三井化学社製)、城北化学工業社製のJPシリーズがより好ましい。
【0052】
内部離型剤(d)の使用量は、特に限定されるものではないが、光学材料用重合性組成物100重量部に対して0.0001~10重量部の範囲である。
【0053】
[スズ触媒(e)]
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、重合反応性化合物(c)がポリイソ(チオ)シアネート化合物および二官能以上の活性水素化合物を含む場合、さらにスズ触媒(e)を含むことができる。
スズ触媒(e)を含む場合、光学材料用重合性組成物が増粘しポットライフが短くなる傾向があるものの、本実施形態の光学材料用重合性組成物はpKaが0未満の酸(b)を含むことから、増粘抑制効果に優れており、スズ触媒の触媒性能を生かしつつポットライフを改善することができる。
【0054】
スズ触媒(e)としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド等を挙げることができ、1種または2種以上を併用することができる。
【0055】
スズ触媒(e)の使用量は、特に限定されるものではないが、重合反応性化合物(c)100重量部に対して0~10重量部の範囲である。
【0056】
[フォトクロミック化合物(f)]
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、さらにフォトクロミック化合物(f)を含むことができる。
【0057】
フォトクロミック化合物(f)としては、特定の波長の光に対して吸光特性(吸収スペクトル)が変化する化合物が挙げられる。フォトクロミック化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、ナフトピラン、クロメン、スピロピラン、スピロオキサジンおよびチオスピロピラン、ベンゾピラン、スチルベン、アゾベンゼン、チオインジゴ、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニリン、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、スピロペリミジン、トリアリールメタンなどの化合物から誘導される化合物が挙げられる。
本実施形態においては、フォトクロミック化合物(f)としてナフトピラン誘導体を用いることが好ましい。
【0058】
(その他の成分)
本実施形態においては、前記(a)、(b)および(c)成分、必要に応じて添加される前記(d)成分、前記(e)成分または前記(f)成分に加えて、紫外線吸収剤、光安定剤、重合触媒、樹脂改質剤等をさらに含んでいてもよい。
【0059】
<光学材料用重合性組成物の製造方法>
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、前記成分を従来公知の方法で混合することにより得ることができる。
【0060】
本実施形態においては、重合反応性化合物(c)が、ポリイソ(チオ)シアネート化合物、および二官能以上の活性水素化合物を含む場合には、ハンドリング性や所望の組成物を得る観点から、以下の方法で得ることができる。
【0061】
まず、ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、ポリオール化合物(a)と、pKaが0未満の酸(b)と、を混合して混合液を調製し、次いで当該混合液に、二官能以上の活性水素化合物を混合する。
二官能以上の活性水素化合物は混合液に一括で投入してもよく、徐々に添加してもよい。
【0062】
また、本実施形態の光学材料用重合性組成物は、内部離型剤(d)を含み、重合反応性化合物(c)が、ポリイソ(チオ)シアネート化合物、および二官能以上の活性水素化合物としてポリチオール化合物を含む場合には、ハンドリング性や所望の組成物を得る観点から、以下の方法で得ることができる。
【0063】
内部離型剤(d)とポリイソ(チオ)シアネート化合物とを混合し、次いでポリオール化合物(a)を混合する。そして、得られた混合液に、pKaが0未満の酸(b)を混合し、次いでポリチオール化合物を混合する。
ポリオール化合物(a)および酸(b)は混合液に一括で投入してもよく、徐々に添加してもよい。
【0064】
<成形体およびその用途>
本実施形態においては、光学材料用重合性組成物を硬化することにより成形体を得ることができる。本実施形態の成形体は、ポリオール化合物(a)のミクロ相分離構造体を含む。成形体がミクロ相分離構造体を含むことにより、耐衝撃性および染色性により優れる。
【0065】
ミクロ相分離構造体と効果の関係は明らかではないものの、ミクロ相分離構造体が成形体に含まれ、特に成形体の表面近傍に多く存在することによって、衝撃吸収性や親水性が向上し、結果として耐衝撃性および染色性により優れると考えられる。
ミクロ相分離構造体は成形体の表面近傍に偏在する傾向があり、衝撃吸収性や親水性がより向上すると考えられる。
前記ミクロ相分離構造体の平均粒径は、本発明の効果の観点から、1~50nm、好ましくは2~30nm、さらに好ましくは5~20nmである。平均粒径は断面TEM分析によって測定することができる。
【0066】
光学材料用重合性組成物を重合させる際のモールド形状を変えることにより種々の形状の成形体およびかかる成形体からなる光学材料を得ることができる。本実施形態の成形体は、所望の形状とし、必要に応じて形成されるコート層や他の部材等を備えることにより、様々な光学材料として用いることができる。
【0067】
光学材料としては、プラスチックレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター等を挙げることができる。特に、プラスチックレンズとして好適である。
以下、本実施形態の成形体からなるプラスチックレンズについて説明する。プラスチックレンズは以下のように製造することができる。
【0068】
<プラスチックレンズの製造方法>
本実施形態のプラスチックレンズは、通常、上述の光学材料用重合性組成物を用いた注型重合法によって製造される。本実施形態のプラスチックレンズの製造方法は、具体的には、光学材料用重合性組成物を注型重合することによりレンズ基材を形成する工程を含む。
【0069】
当該工程においては、得られた本実施形態の組成物をガラスモールドとガスケットまたはテープからなるキャビティーに注入し、加熱または赤外線以外の紫外線等の放射線を照射することにより、重合硬化せしめて本実施形態の樹脂およびその樹脂からなるプラスチックレンズ基材が製造される。当該工程により、重合反応性化合物(c)が重合して樹脂を形成するとともに重合体(a)がミクロ相分離構造体を形成し、前記樹脂と前記ミクロ相分離構造体と酸(b)とからなるプラスチックレンズ基材を得ることができる。
【0070】
重合条件については、光学材料用重合性組成物、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、-50~150℃の温度で1~50時間かけて行われる。
モールドから離型して得られたレンズ基材は、重合完結化または残留応力による歪を取り除く目的等で、必要に応じて再加熱処理(アニーリング)を行ってもよい。
【0071】
本実施形態においては、成形体からなるレンズ基材上に、ハードコート層と、反射防止層と、をこの順で備える、積層体とすることができる。
耐衝撃性の観点から、前記レンズ基材と前記ハードコート層との間に、プライマーコート層を備えることも好ましい。
【0072】
上記プライマー層に用いるコート剤としては、たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂をビヒクルの主成分とするコート剤を用いることができる。
【0073】
積層体は、その他の層として、調光コート層、帯電防止コート等の機能性コート層を設けることができる。さらに、ファッション性付与のための染色処理を行ったり、表面およびエッジの研磨等の処理を行ったり、さらには偏光性を付与する目的で偏光フィルムを内部に入れたり表面に貼り付けたり様々な機能性を付与する加工等を行ってもよい。
【0074】
さらにこれら機能性コート層と基材との密着性を向上させる等の目的で、得られたレンズ基材(成形体)の表面を、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガスもしくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等による酸化処理、火炎処理等の物理的または化学的処理を施すこともできる。
【0075】
こうして得られる成形体または積層体からなる本実施形態のプラスチックレンズは、メガネレンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、フルネルレンズ、プリズムレンズ、およびレンチキュラレンズ等様々なレンズ用途に使用できる。それらの中でも特に好ましい用途として、表面が平滑なメガネレンズ、カメラレンズ、およびピックアップレンズが挙げられる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例0077】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本発明の実施例における評価方法を以下に示す。
【0078】
<評価方法>
・粘度:本実施形態の光学材料用重合性組成物を調整したのち、窒素雰囲気下、15℃で5時間攪拌を続けたのちに、BROOKFIELD ENGINEERING LABS.INC.社製のB型粘度計(モデル:LVT)を用いて該組成物の粘度を測定した。
【0079】
・透明性:得られた樹脂を暗所にてプロジェクターに照射して、曇り(テープからの溶出を含む)、不透明物質の有無を目視にて判断した。曇り(テープからの溶出を含む)、不透明物質が確認されないものを「○」(透明性あり)、確認されたものを「×」(透明性なし)とした。
【0080】
・ヘイズ値:日本電色工業株式会社製のヘイズメーター(型番:NDH 2000)を使用し、2.5mm厚の平板の樹脂のHAZE値を測定した。なお、HAZE値は、0.70未満であれば、レンズとして問題なく使用することができる。
【0081】
・歪み(脈理):得られたレンズを高圧UVランプに投影して、レンズ内に歪みが見られないものを「◎」(脈理なし)、目視観察にてレンズ内に歪みが見られないものを「○」、目視観察にてレンズ内に歪みが見られるものを「×」(脈理あり)とした。
【0082】
・屈折率(ne)、アッベ数(νe):プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
・耐熱性:TMAペネートレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ、昇温速度10℃/min)でのガラス転移温度Tgを測定した。
・比重:アルキメデス法により測定した。
【0083】
・耐衝撃性(ドロップボール試験):中心厚1mmのレンズにハードコート層(SDC Technologies Inc.社製C-415)、反射防止層(Optotech社製Duracote 1.60)を積層したのち、米国FDAに準拠し、127cmの高さより軽い鋼球から重い鋼球へ、破断するまで順に落下させて、破断した鋼球重量により耐衝撃性を評価した。鋼球は8g→16g→28g→33g→45g→67g→95g→112g→174g→225g→530gの順で実施した。
【0084】
・耐衝撃性(High Mass Impact Test):中心厚2mmのレンズに米国ANSI Z87.1に準拠し、127cmの高さから重さ500gの鉄錘を落下させ、樹脂が破断しなかった割合を合格率として評価した。
【0085】
・耐衝撃性(High Velocity Impact Test):実施例および比較例で得られた中心厚2mmのレンズに、以下のプライマー層、ハードコート層、および反射防止層を積層したのち、米国ANSI Z87.1に準拠し、直径6.35mmの鉄球を秒速45メートル毎秒でレンズに発射し、樹脂が破断しなかった割合を合格率として評価した。
プライマー層:(SDC Technologies Inc.社製PR-1135、膜厚1.3μm)
ハードコート層:(SDC Technologies Inc.社製C-415、膜厚2.5μm)
反射防止層:(Optotech社製Duracote 1.60、膜厚2.6nm)
【0086】
・染色性:水1960gに染料(BPI grey/Brain Power Inc.社製)40gを溶解した染色液を90℃に加熱し、9.0mm×50.0mm×1.4mmの試験片を60分浸漬させたのち、紫外可視分光光度計にて各波長での透過率を測定した。
【0087】
・耐光性:2.5mm厚平板を用いてQ-Lab製促進耐候性試験機にてQUV試験(光源:UVA-340、強度:0.50W/m2、試験条件:50℃×150時間)を実施し、照射前後の色相変化を測定した。
【0088】
・耐溶剤性:得られたレンズの表面に、アセトンを染み込ませた不織布を10秒間押し当て、レンズ表面に膨潤の跡が確認されないものを「○」(耐溶剤性あり)、膨潤の跡が確認されるものを「×」(耐溶剤性なし)とした。
【0089】
・ナノドメインの観察:得られた樹脂中のナノドメインの形状観察は、試料を四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM/日立ハイテクノロジーズ社製H-7650)で100kVの条件にて行った。
【0090】
[実施例1]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真から直径5~8nmの粒子が樹脂中に均一分散している様子が観察された。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を
図1に示す。
【0091】
[実施例2]
メタキシリレンジイソシアネート49.58重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が6800のポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-77)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.44重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真ではドメインの観察および粒径の測長は困難であった。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を
図2に示す。
【0092】
[実施例3]
メタキシリレンジイソシアネート49.61重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が2900のポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic L-64)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.40重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真でわずかながらドメインが均一分散している様子を観察できたが、粒径の測長は困難であった。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を
図3に示す。
【0093】
[実施例4]
メタキシリレンジイソシアネート49.61重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が3000のポリカプロラクトンジオール(Perstorp社製;商品名 CAPA 2302A)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.41重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真から直径5~10nmの粒子が樹脂中に均一分散している様子が観察された。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を
図4に示す。
【0094】
[実施例5]
メタキシリレンジイソシアネート49.60重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が4000のポリカプロラクトンジオール(Perstorp社製;商品名 CAPA 2403D)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.42重量部を混合溶解し、均一溶液とした。さらに、メタキシリレンジイソシアネート10.0重量部にスズ触媒としてジメチルスズジクロライド(本荘ケミカル社製;商品名 ネスチンP)0.0060重量部を混合溶解し得た均一溶液を当該調合液に加え、混合溶解し、均一溶液を得た。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真から直径5~20nmの粒子が樹脂中に均一分散している様子が観察された。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を
図5に示す。
【0095】
[実施例6]
メタキシリレンジイソシアネート49.61重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が3000のポリカプロラクトンジオール(Perstorp社製;商品名 CAPA 2302A)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.41重量部を混合溶解し、均一溶液とした。さらに、メタキシリレンジイソシアネート10.0重量部にスズ触媒としてジメチルスズジクロライド(本荘ケミカル社製;商品名 ネスチンP)0.0060重量部を混合溶解し得た均一溶液を当該調合液に加え、混合溶解し、均一溶液を得た。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真から直径5~8nmの粒子が樹脂中に均一分散している様子が観察された。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を
図6に示す。
【0096】
[実施例7]
メタキシリレンジイソシアネートに塩化水素ガスを吹き込み溶解させ、塩化水素濃度が3000ppmとなる溶液を作製した。本溶液33.3重量部にメタキシリレンジイソシアネート16.3重量部を加え、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0097】
[実施例8]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にビニルスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0098】
[実施例9]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にパラトルエンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0099】
[実施例10]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にメタンスルホン酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。さらに、メタキシリレンジイソシアネート10.0重量部にスズ触媒としてジメチルスズジクロライド(本荘ケミカル社製;商品名 ネスチンP)0.0020重量部を混合溶解し得た均一溶液を当該調合液に加え、混合溶解し、均一溶液を得た。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0100】
[比較例1]
メタキシリレンジイソシアネート50.70重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.10重量部を混合溶解し均一溶液とした後、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物49.30重量部を混合溶解し、均一溶液とした。さらに、メタキシリレンジイソシアネート10.0重量部にスズ触媒としてジメチルスズジクロライド(本荘ケミカル社製;商品名 ネスチンP)0.0080重量部を混合溶解し得た均一溶液を当該調合液に加え、混合溶解し、均一溶液を得た。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体はナノドメインの観察の結果、TEM写真から樹脂中に粒子は確認されなかった。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示し、TEM写真を図-7に示す。
【0101】
[比較例2]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にギ酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は耐熱性が95℃であり、透明性があるものの多数のクラックが生じていたため物性評価を行うことが出来なかった。
【0102】
[比較例3]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にシュウ酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0103】
[比較例4]
メタキシリレンジイソシアネート49.56重量部に、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.50重量部、内部離型剤(城北化学社製;商品名JP506H)0.30重量部を混合溶解し均一溶液とした後、重量平均分子量が13300のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Sigma Aldrich社製;商品名 Pluronic F-127)1.98重量部を装入し、20℃で1時間反応させた。当該溶液にトリフルオロ酢酸0.10重量部を混合溶解し、均一溶液とした後、更に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを含む組成物48.45重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、20℃~120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。組成および得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
(ポリオール化合物)
P1:重量平均分子量13333のポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー(Sigma Aldrich社製 Pluronic F-127)
P2:重量平均分子量6800のポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー(Sigma Aldrich社製 Pluronic F-77)
P3:重量平均分子量2900のポリ(エチレングリコール)ポリ(プロピレングリコール)ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマー(Sigma Aldrich社製 Pluronic L-64)
P4:重量平均分子量3000のポリ(カプロラクトン)ジオール(Perstorp社製 CAPA2302A)
P5:重量平均分子量4000のポリ(カプロラクトン)ジオール(Perstorp社製 CAPA2403D)
【0108】
(酸)
A1:メタンスルホン酸
A2:塩酸
A3:ビニルスルホン酸
A4:パラトルエンスルホン酸
A5:ギ酸
A6:シュウ酸
A7:トリフルオロ酢酸
【0109】
(イソ(チオ)シアネート化合物)
I1:メタキシリレンジイソシアネート
【0110】
(ポリチオール化合物)
T1:5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンとの混合物
【0111】
(スズ触媒)
S1:ジメチルスズジクロライド
【0112】
実施例1~10のチオウレタンウレタン成形体は、ポリオール化合物(a)および酸(b)を含まないチオウレタン成形体である比較例1と比較して、耐衝撃性および染色性に優れており、その他光学材料としての諸物性とのバランスに優れていた。
【0113】
さらに、実施例1~10のチオウレタンウレタン成形体は、pKaが0以上の酸を添加剤として用いたチオウレタンウレタン成形体(比較例2~4)と比較し、調合液の粘度上昇が緩やかなためハンドリング性に優れ、光学材料を製造する工程において円滑に取り扱うことが可能であるとともに、光学歪みの発生が少なく外観に優れていた。
また、ギ酸を添加したチオウレタンウレタン成形体(比較例2)では、硬化過程で樹脂中に大量のクラックが発生し、物性評価を行うことが出来なかった。
【0114】
実施例1のチオウレタンウレタン成形体にハードコート層および反射防止層を積層した積層体は、実施例2~10のチオウレタンウレタン成形体にハードコート層および反射防止層を積層した積層体と比較して耐衝撃性により優れ、さらに成形体自体に脈理が確認されず外観により優れていた。
【0115】
実施例1および実施例10のチオウレタンウレタン成形体にプライマー層、ハードコート層および反射防止層を積層した積層体は、比較例1のチオウレタン成形体にプライマー層、ハードコート層および反射防止層を積層した積層体と比較して耐衝撃性に優れていた。
【0116】
このように、本発明の光学材料用重合性組成物から得られるチオウレタンウレタン成形体は、透明性、耐熱性、耐衝撃性および染色性に優れ、且つ光学歪み(脈理)の発生が抑制され、且つ耐光性に優れ、これらの特性のバランスに優れていた。
【0117】
本発明の光学材料用重合性組成物から得られるチオウレタンウレタン成形体は、高い透明性が要求される各種光学材料、特に眼鏡レンズにおいて好適に使用することができる。