(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110594
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】マイクロチップ、微粒子分析装置及び計測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20230802BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20230802BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N21/05
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012140
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100180758
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 利之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 人志
(72)【発明者】
【氏名】勝山 俊夫
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA06
2G043EA13
2G043EA14
2G043FA06
2G043HA01
2G043HA02
2G043JA03
2G043KA09
2G043LA02
2G057AA02
2G057AA03
2G057AA04
2G057AC01
2G057BA05
2G057BB01
2G057DB01
2G057DB02
2G057DC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光軸調整の困難性を低減することであり、装置全体をコンパクト化するマイクロチップ、微粒子分析装置及び計測装置を提供する。
【解決手段】マイクロチップ1は、試料液を通流する流路13を有する筐体12A及び12Bを有し、当該筐体12A及び12Bは試料液が流路13上の光照射領域において励起用光学ユニット11により光が照射されるよう配置されるものであり、励起用光学ユニット11は、レンズ111を有し、複数の光源110a、110b、110cから出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する複数の光源110a、110b、110cの配列方向の範囲が、光源110bから出射した光ビームがレンズ111を通過した直後のビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、光照射領域は、レンズ111を通過した後のそれぞれのビームが交差する領域である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液を通流する流路を有する筐体であって、前記試料液が前記流路上の光照射領域において光照射手段により光が照射されるよう配置される筐体を有するマイクロチップであって、
前記光照射手段は、集光部材を有し、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する前記複数の光源の配列方向の範囲が、前記複数の光源の前記集光部材に対して最も中心に位置する出射スポットから出射した光ビームが前記集光部材を通過した直後の光ビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、前記光照射領域は、前記集光部材を通過した後の前記複数の光源のそれぞれのビームが交差する領域であるマイクロチップ。
【請求項2】
前記筐体の前記光照射領域において照射される光は、前記光照射手段の前記集光部材と前記光照射領域との間に設けられたミラーを介して照射される請求項1に記載のマイクロチップ。
【請求項3】
前記ミラーは、前記光ビームに対する角度を変更可能に回転するものであり、前記試料液中の試料の流れに追従して前記光照射領域を移動させる請求項2に記載のマイクロチップ。
【請求項4】
前記光照射手段は、複数の波長及び/又は複数の強度の光ビームを順次照射する請求項2又は3に記載のマイクロチップ。
【請求項5】
前記ミラーは、前記光照射領域の前記試料液中の試料の透過光、反応発光、蛍光又は散乱光の検出が途切れたタイミングで追従を開始する初期位置に戻る請求項3又は4に記載のマイクロチップ。
【請求項6】
試料液に含まれる微粒子を分析するための微粒子分析装置であって、
前記試料液を流通する流路を有する筐体と、当該筐体上に形成されて前記流路に前記試料液を流通する試料液リザーバーとを有するマイクロチップと、
前記流路を通流する前記試料液を光照射領域において照射するための光照射手段と、
微粒子から発生する光の特徴量を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出信号により目的とする微粒子を識別、分析し、その結果を出力する分析手段とを備え、
前記光照射手段は、複数の光源と、集光部材を有し、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する前記複数の光源の配列方向の範囲が、前記複数の光源の前記集光部材に対して最も中心に位置する出射スポットから出射した光ビームが前記集光部材を通過した直後のビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、前記光照射領域は、前記集光部材を通過した後の前記複数の光源のそれぞれのビームが交差する領域である微粒子分析装置。
【請求項7】
試料液を通流する流路を有する筐体であって、前記試料液が前記流路上の光照射領域において光照射手段により光が照射されるよう配置される筐体を有するマイクロチップであって、前記光照射手段は、集光部材を有し、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する前記複数の光源の配列方向の範囲が、前記複数の光源の前記集光部材に対して最も中心に位置する出射スポットから出射した光ビームが前記集光部材を通過した直後の光ビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、前記光照射領域は、前記集光部材を通過した後の前記複数の光源のそれぞれのビームが交差する領域であるマイクロチップと、
前記試料液から入射する光を分光する分光器と、
前記分光器が分光した光の特徴量を検出することで前記試料液中の試料に生じた化学変化を解析する解析手段とを有する計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップ、微粒子分析装置及び計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、遅延時間を設定することなく、複数の蛍光色素により標識された試料としての細胞粒子が複数のレーザ光源により励起されて生じた複数の蛍光を検出する計測装置としてのフローサイトメータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された計測装置としてのフローサイトメータは、流路内を通流する試料に互いに異なる波長を有する複数の励起光を、所定の周期及び互いに異なる位相で照射する複数の光源と、複数の励起光を同一の入射光路上に導光し、染色された粒子に集光する導光部材とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-046947号公報
【特許文献2】特開2016-57309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、試料が流れる流路を形成するフローセルをマイクロチップ化し、使い捨て可能にしたフローサイトメータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に開示された計測装置としてのフローサイトメータは、平板基板内に流路を形成してなるフローセルと、流路を流れる試料液中の微粒子に光を照射する光照射手段と、光を照射した際に微粒子から発生する散乱光又は蛍光を検出し、それらの信号強度に基づいて微粒子を識別し、目的の微粒子を検出する検出手段と、フローセルの流路を流れる試料液中の微粒子に圧力パルスを与える定圧ポンプ及びそれに接続された電磁バルブと、検出手段からの信号に基づいて電磁バルブの動作を制御する制御手段とを有する。
【0007】
上記した特許文献1のフローサイトメータは、複数のレーザビームを同一光路上に導光するため、遅延時間を設定することなく、複数の蛍光色素により標識された細胞粒子からの前方・側方散乱光及び蛍光を検出し、光源からフローセルに至る光軸の調整を簡素化するものの、依然として光学系の光軸調整は必要である。特に、複数の励起波長を用いてそれに対応する発光特性を測定する構成においてはそれぞれの励起波長の光源に対してその光軸を調整する必要があり、当該光軸調整が容易とは言えない、という問題がある。つまり、特許文献1には、具体的な光学系については開示が無く、光軸調整が不要、もしくは容易である光学系が求められている。さらに、特許文献2のフローサイトメータは、マイクロチップが使い捨てとされているため、マイクロチップの交換の度に光軸調整が必要であり、やはり光軸調整が容易であるとは言えない、という問題がある。
【0008】
本発明の目的は、光軸調整の困難性を低減することであり、装置全体をコンパクト化するマイクロチップ、微粒子分析装置及び計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下のマイクロチップ、微粒子分析装置
及び計測装置を提供する。
【0010】
[1]試料液を通流する流路を有する筐体であって、前記試料液が前記流路上の光照射領域において光照射手段により光が照射されるよう配置される筐体を有するマイクロチップであって、
前記光照射手段は、集光部材を有し、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する前記複数の光源の配列方向の範囲が、前記複数の光源の前記集光部材に対して最も中心に位置する出射スポットから出射した光ビームが前記集光部材を通過した直後の光ビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、前記光照射領域は、前記集光部材を通過した後の前記複数の光源のそれぞれのビームが交差する領域であるマイクロチップ。
[2]前記筐体の前記光照射領域において照射される光は、前記光照射手段の前記集光部材と前記光照射領域との間に設けられたミラーを介して照射される前記[1]に記載のマイクロチップ。
[3]前記ミラーは、前記光ビームに対する角度を変更可能に回転するものであり、前記試料液中の試料の流れに追従して前記光照射領域を移動させる前記[2]に記載のマイクロチップ。
[4]前記光照射手段は、複数の波長及び/又は複数の強度の光ビームを順次照射する前記[2]又は[3]に記載のマイクロチップ。
[5]前記ミラーは、前記光照射領域の前記試料液中の試料の透過光、反応発光、蛍光又は散乱光の検出が途切れたタイミングで追従を開始した初期位置に戻る前記[3]又は[4]に記載のマイクロチップ。
[6]試料液に含まれる微粒子を分析するための微粒子分析装置であって、
前記試料液を流通する流路を有する筐体と、当該筐体上に形成されて前記流路に前記試料液を流通する試料液リザーバーとを有するマイクロチップと、
前記流路を通流する前記試料液を光照射領域において照射するための光照射手段と、
微粒子から発生する光の特徴量を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出信号により目的とする微粒子を識別、分析し、その結果を出力する分析手段とを備え、
前記光照射手段は、複数の光源と、集光部材を有し、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する前記複数の光源の配列方向の範囲が、前記複数の光源の前記集光部材に対して最も中心に位置する出射スポットから出射した光ビームが前記集光部材を通過した直後のビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、前記光照射領域は、前記集光部材を通過した後の前記複数の光源のそれぞれのビームが交差する領域である微粒子分析装置。
[7]試料液を通流する流路を有する筐体であって、前記試料液が前記流路上の光照射領域において光照射手段により光が照射されるよう配置される筐体を有するマイクロチップであって、前記光照射手段は、集光部材を有し、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する前記複数の光源の配列方向の範囲が、前記複数の光源の前記集光部材に対して最も中心に位置する出射スポットから出射した光ビームが前記集光部材を通過した直後の光ビームの前記配列方向のサイズ内に入っており、前記光照射領域は、前記集光部材を通過した後の前記複数の光源のそれぞれのビームが交差する領域であるマイクロチップと、
前記試料液から入射する光を分光する分光器と、
前記分光器が分光した光の特徴量を検出することで前記試料液中の試料に生じた化学変化を解析する解析手段とを有する計測装置。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、6、7に係る発明によれば、光軸調整の困難性を低減することであり、装置全体をコンパクト化することができる。
請求項2に係る発明によれば、ミラーを集光部材と前記光照射領域との間に設けることができる。
請求項3に係る発明によれば、光照射領域を試料液中の試料の流れに追従して移動させることができる。
請求項4に係る発明によれば、複数の波長又は複数の強度の光ビームを順次照射することができる。
請求項5に係る発明によれば、追従を開始した初期位置に戻るタイミングを、光照射領域の試料の透過光、反応発光、蛍光又は散乱光の検出が途切れたタイミングとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態のフローサイトメータの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、検出器の出力する信号の処理工程の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係るマイクロチップの構成の一例を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4(a)及び(b)は、本発明の実施の形態の励起用光学ユニットの構成図であり、
図4(a)は平面図、
図4(b)は側面図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、本発明の実施の形態の励起用光学ユニットの構成図であり、
図5(a)は平面図、
図5(b)は側面図である。
【
図6】
図6は、光源の横方向移動量と光ビームの断面形状の扁平率の関係をシミュレーションしたものである。
【
図7】
図7は、光源が位置ずれした場合の説明図であり、
図7(a)は光源が位置ずれした場合の平面図であり、
図7(b)は側面図であり、
図7(c)は断面形状の変化の説明図である。
【
図8】
図8は、マイクロチップと励起用光学ユニットとの位置関係の一例を示すB-B’断面の一部断面図である。
【
図9】
図9(a)及び(b)は、光照射位置と試料流との関係を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の変形例1の光ビーム放射装置の概念的構成図である。
【
図11】
図11は、本発明の変形例3の励起用光学ユニットの概念的構成図である。
【
図12】
図12は、変形例3の励起用光学ユニットの光源制御及びMEMSミラー装置の動作制御を説明するタイミングチャートである。
【
図13】
図13(a)~(c)は、第2の実施の形態に係るマイクロチップであるところのフローセルを用いたセルソータの構成の一例を示す概略図である。
【
図14】
図14(a)~(c)は、第3の実施の形態に係る試料を通流する筐体を有するマイクロチップを用いた計測システムの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
(フローサイトメータの構成)
図1は、第1の実施の形態のフローサイトメータの構成を示す概略図である。また、
図2は、検出器の出力する信号の処理工程の一例を示すブロック図である。
【0014】
フローサイトメータ2は、試料液中の蛍光標識試薬などで染色された細胞粒子等の試料をシース流内で一列に配列するための流体力学的フロー機構と、各細胞粒子に波長の異なる複数の光を照射し、散乱光及び蛍光を受光するための光学的機構と、光学的機構から出力された散乱光及び蛍光に関する電気信号を制御・処理するための信号処理部とを備える。
【0015】
流体力学的フロー機構は、試料液として分析すべき細胞粒子を含むサンプル懸濁液を貯蔵・供給するためのサンプル懸濁液供給部211と、シース液を貯蔵・供給するためのシース液供給部212と、フローチャンバ222と、フローチャンバ222の下流に連結されたフローセルであるマイクロチップ1とを有する。
【0016】
フローチャンバ222は略円筒形状を有し、その中心軸に沿って懸濁液供給管221が配設されている。サンプル懸濁液供給部211及びシース液供給部212に貯蔵されたサンプル懸濁液及びシース液は、それぞれのエアポンプ201,202の圧力により、懸濁液供給管221及びフローチャンバ222内に供給される。これにより、シース液がサンプル懸濁液を円筒状に包み込む鞘状のシース流(層流としてのシース流f2)が形成される。このとき、サンプル懸濁液供給部211の圧力をシース液供給部212の圧力より若干低く設定することにより、流体力学的な絞り込みが生じ、シース液に包まれたサンプル懸濁液の流径が非常に細くなり(試料流f1)、サンプル懸濁液に含まれる細胞粒子をマイクロチップ1内で一列に整列させることができる。
【0017】
マイクロチップ1は、例えば、フローチャンバ222から取り外して交換可能に構成されており、最下部にオリフィスを有し、マイクロチップ1を通過した細胞粒子を含むシースフローがオリフィスからジェット噴射される。噴射されたシースフローに対し、図示しないピエゾ圧電素子などの振動装置から振動が加えられると、それぞれの細胞粒子を収容する液滴が形成される。また、特定の細胞粒子を含む液滴を分取するとき(セルソータに適用する場合)、液滴が形成されるブレイク・オフ・ポイントの直前で、分取したい細胞粒子を含むシースフローを荷電する荷電部(図示せず)が配設される。さらに、所定電圧(例えば、6000Vの直流電圧)が印加された一対の偏向板23a、23bが設けられ、荷電された液滴は、これらの偏向板23a、23bの間を通過するときに直流電場から力を受けて偏向し、分取される。
【0018】
光照射手段としての光学的機構は、光照射用に、マイクロチップ1内で整列した細胞粒子等の試料に異なる波長の複数の励起光を照射する光源110a、110b、110cと、集光部材としてのレンズ111と、必要に応じてミラー(113、
図11参照。)とを有する。光源110a、110b、110cと、レンズ111と(変形例として、さらにMEMSミラー装置113と)は、後述する
図4に示すように、単一の基板(112)上に搭載されることで励起用光学ユニット11としてユニット化される。
【0019】
光源110a、110b、110cは、任意の光源であって、本発明を限定するものではないが、それぞれシングルモードの半導体レーザが光ビームをコリメートあるいは集光する点で好ましい。また、光源110a、110b、110cから直接レンズ111に照射する他、光源110a、110b、110cを任意の位置に配置して光ファイバー等を用いてレンズ111に対して光を導くようにしてもよい。また、光源110a、110b、110cの数は、後述する配置の条件を満たせば3つに限定されるものではない。
【0020】
光源110a、110b、110cから発せられた光は、
図1に示すように、レンズ111を介してマイクロチップ1に照射される。光源110a、110b、110c、レンズ111及びこれらの配置により定まる光照射位置(マイクロチップ1上の光照射領域L)の詳細及び相対的な位置関係については詳しく後述する。
【0021】
また光学的機構は、光検出用に、試料で散乱して生じた前方散乱光(FSC:Forward Scattering Light)を検出する検出器14Aと、試料で散乱して生じた側方散乱光(SSC:Side Scattering Light)及び試料を励起して生じたさまざまな波長を有する複数の蛍光(FL:fluorescent light)を検出する検出器14Bとを備える。検出器14Aは、特定の波長の光を選択的に透過させるバンドパスフィルタ(図示せず、例えば、488±5nmの選択波長)を有し、試料で散乱して生じた前方散乱光を検出するものである。一方、検出器14Bは、照射光の波長と同じ3つの波長を有する側方散乱光と、各光源からの照射光の波長とは異なるさまざまな波長を有する蛍光を検出するものであり、各検出波長に対応したダイクロイックロングパスフィルタ、ロングバスフィルタ、ショートパスフィルタ及びバンドパスフィルタ等のフィルタと各検出波長に対応した複数の検出器とを有する。
【0022】
また信号処理部は、
図2に示すように、信号処理部15と、データ解析部16と、光源制御部17とを有する。上記した検出器14A(14B)の出力は、信号処理部15に入力される。信号処理部15は、公知の技術、例えば、アナログ信号からデジタル信号へ変換するA/D変換回路や、信号の面積、幅、高さを演算するAWH演算回路、処理すべき光信号要素を選択するパラメータセレクタ回路、蛍光の漏れ込みを補償するコンペンセーション回路等で構成され、検出器14A(14B)の検出したアナログ信号を光の波長及び強度の数値(デジタル信号)として出力する。データ解析部16は、複数の光の強度分布及びそれらの相互関係を解析し、光源制御部17に出力する。光源制御部17は、データ解析部16の解析結果に基づいて光源を制御する(変形例3にて詳細に記載する。)。データ解析部16は、公知のフローサイトメータのデータ分析や各光強度間の比演算や相関関係を行い、試料の特性を分析し、その結果を出力する。また、光の特徴量としては、個々の波長の有する強度に限られず各波長の強度の比較値又は当該強度の比較値から求まる物理量を光の特徴量としてもよい。なお、分光器を備えた場合には、波長分布を比較してもよい。
【0023】
(マイクロチップの構成)
図3は、第1の実施の形態に係るマイクロチップの構成の一例を示す概略斜視図である。
【0024】
マイクロチップ1は、内部に流路13を形成する筐体12A、12Bとを有する。流路13内に、試料流を囲み込むためのシース液、例えば、生理食塩水等がシース流として流され、周囲に流れるシース流f
2と、当該シース流の中央に形成される試料を導入するための試料流f
1が形成される。また、マイクロチップ1は、
図1に示すようにさらに各流の上流に導入路を、下流に排出路を有するが
図3では省略している。また、筐体12Bの入射面側には、励起用光学ユニット11が配置されて筐体内を通流する試料流f
1の試料に対して励起用光学ユニット11を介して励起光を照射する。ここで、マイクロチップ1の試料流f
1上の光を照射すべき範囲のことを「光照射領域L」という。また、以降説明するように励起用光学ユニット11の照射する光のうち複数光源の光が交差する範囲を「光照射位置」という。
【0025】
励起用光学ユニット11は、マイクロチップ1に対する光照射領域の調整を不要とするためにマイクロチップ1と一体に構成された場合について以降説明するが、マイクロチップ1の試料流f1上の光照射領域Lに対して励起用光学ユニット11の光照射位置が一致するようにマイクロチップ1と励起用光学ユニット11とが互いに嵌め込み構造を有し、当該構造に嵌め合わせて設置するものであってもよいし、マイクロチップ1と励起用光学ユニット11を、マイクロチップ1の試料流f1上の光照射領域Lに対して励起用光学ユニット11の光照射位置が一致するように位置合わせのためのアタッチメント等を用意して設置するものであってもよい。さらに、マイクロチップ1の試料流f1上の光照射領域Lに対して励起用光学ユニット11の光照射位置が一致するように配置されれば、励起用光学ユニット11はユニット化せずに光源110a~110cとレンズ111とを別体で用意してもよい。また、マイクロチップ1の試料流f1上の光照射領域Lに対して励起用光学ユニット11の光照射位置が一致するように配置されれば、マイクロチップ1と励起用光学ユニット11をそれぞれ異なる位置に任意の方法で配置してよい。これらの配置方法は、マイクロチップ1及び励起用光学ユニット11を使い捨てにするか、マイクロチップ1のみを使い捨てにするか、マイクロチップ1及びレンズ111を使い捨てにするか等のように、設計に応じて適宜変更することができる。
【0026】
流路13内では、図面上から下に向けて試料流f
1とシース流f
2の層流が形成され(
図8も併せて参照。)、試料流f
1はシース流f
2の中心に保持される。
図3で流路13の断面形状は矩形としているが円形状としても良い。試料流f
1は、例えば、10~100μmの直径、シース流f
2は100~1000μmの直径を有する。当該直径は、流路断面が多角形である場合、内接円の直径と考えることができる。試料流f
1は、一例として、直径10μm程度の試料(0.5~50μmの範囲で任意の大きさを選択してもよい。)が含まれるものであり、試料は微粒子であり、例えば、細胞、リンパ球等を挙げることができる。
【0027】
また、試料流f
1と、検出器14Bへと続く側方散乱光/蛍光光路lsとは、ともに一の同一面(A-A’断面)に位置するように配置され、励起用光学ユニット11の照射光の光路と、試料流f
1と、検出器14Aへと続く前方散乱光光路lfとは、ともに他の同一面(B-B’断面)に位置するように配置される。一の同一面と他の同一面は検出する光信号に適した角度位置に配置されるのが好ましく、例えば互いに直交するものとすることをあげることができる。筐体12A、12Bは、一例として、シリコン、ガラス、樹脂等の励起光や試料からの光の障害とならない材質の材料が用いられ、後述する方法によって形成される。筐体12A,12Bは、少なくとも励起用光学ユニット11から出射される励起光、前方散乱光、側方散乱光/蛍光を透過させるものとする。なお、A-A’断面とは、
図1において励起用光学ユニット11側からマイクロチップ1の光照射面を正面視して、試料流f
1が位置する面の断面である。また、B-B’断面とは、検出器14B側からマイクロチップ1を正面視して、試料流f
1が位置する面の断面である。
【0028】
(励起用光学ユニットの構成)
図4(a)及び(b)並びに
図5(a)及び(b)は、本発明の実施の形態の励起用光学ユニットの構成図であり、
図4(a)及び
図5(a)は平面図であり、
図4(b)及び
図5(b)は側面図である。なお、図においては光源を3個としているが、光源の数は2以上であれば任意である。
【0029】
励起用光学ユニット11は、複数の光源110a~110cと、単一の集光部材であるレンズ111によって構成される。なお、この場合のレンズ111としては集光レンズを用いた場合を示している。光源110a~110cは、それぞれ間隔xで配置される。また、光源110bとレンズ111は距離y1で配置される。光源110a~110cの出射スポットea~ecから出射した光ビームra~rcは、光の中心軸の光跡ca~ccが互いに平行になるように、光ビームra~rcの形状は拡がりながらレンズ111に向かって進行する。なお、ここで「単一の集光部材」とは、複数の光源により集光部材が共用されていることを表現したものであり、必ずしも集光部材が1枚で構成されている必要はなく、複合レンズで構成されていてもよい。
【0030】
その後、レンズ111で集光され、レンズ111で集光された後は、コリメートされた光ビームとして、それぞれの光源110a~110cから出射した光の中心軸の光跡ca~ccが交わるように進行する。なお、コリメートされた光ビームとは、ビーム径が変化せずに進行する光ビームのことを言う。この光の中心軸の光跡ca~ccが交わる点を収束点(光照射領域L)と呼ぶことにする。この収束点とレンズ111としての集光レンズ間の距離y2は数学的な厳密さでレンズ111の焦点距離と等しい必要はない。また、収束点(光照射領域L)における3つの光ビームが交わる領域のビーム径が、試料の大きさ(10μm程度)に合わせて、例えば100μm程度となるように、光源110a~110cとレンズ111との距離、レンズ111の設計を調整するものとする。
【0031】
ここで、複数光源110a~110cの配列方向の間隔Dが、最も中心に配置された光源110aからの光ビームraのレンズ111を通過した直後の光ビームraのサイズQ以下の範囲になるように設定する。この場合の光ビームraの直径は、光ビームをガウシアンビームに近似して、光パワーが中心軸上の値から1/e2(e:ネピア数)になる直径とする。なお、光ビームraがレンズ111を通過した直後の光ビームraのサイズQとは、レンズ111がレンズの場合にはレンズを透過した直後のビーム径であり、レンズ111が反射体からなる場合には反射体で反射された直後のビーム径である。
【0032】
なお、複数の光源110a~110cの光ビームra~rcがレンズ111を通過した直後のビーム直径が異なる場合でも、最も中心に配置された光源110aのビーム直径を用いる。
【0033】
以降、上記構成によって複数の光源の光ビームを光照射位置に照射可能である理由について説明する。
【0034】
図6は、光源の横方向移動量と光ビームの断面形状の扁平率の関係をシミュレーションしたものである。ここでは、コリメートビームの直径(
図5のQに対応)を1mm、単レンズの焦点距離を6mm、単レンズの口径を4mmとしてシミュレーションを行った。
図3から分かるように、横方向移動量が0.5mm付近で、扁平率が10%を超え、且つ、0.5mmよりも大きくなると扁平率は急激に大きくなることが分かる。通常、扁平率は、ビーム品質が劣化しないように、1桁以内で使用することが望ましい。なお、扁平率は扁平率=1-楕円率で表され、楕円率は楕円の短径と長径の比で表される。
【0035】
この結果は、
図5中の範囲Q(―0.5mm~0.5mmの範囲)を超えて、光源110aを配置すると、その光ビームr
aの形状が大きく劣化することを示すものである。また、この条件は、集光レンズの種類、光ビームの直径、レンズの焦点距離、光源110aの放射角にかかわらず、また、横方向移動した光源110aの放射角が、元の位置における光源110aの放射角と異なる場合でも、実用的な条件のとき(光源110aの放射角が30deg以内で、コリメートビーム直径は5mm以内)、ほぼ一般的に成り立つ。つまり、コリメートビームの直径はQであるから、
図6中の横軸を「光源の横方向移動量(mm)」から「光源の横方向移動量/Q」(無次元)と読み替えることができる。そして、「光源の横方向移動量/Q」≦1を満たすように励起用光学ユニット11が構成されればよいことになる。
【0036】
この読み替えた「光源の横方向移動量/Q」の関係から、光源の配置位置、レンズの配置位置、レンズの焦点距離を設計できる。例えば、
図5において2つの光源110a、110b(110b、110c)を間隔x=0.15mmで配置して光学レンズ111から光照射位置(光照射領域L)の距離y
2を11.5mmに設定して光ビーム径を100μmに絞る場合を考える。まず、光源100bから光学レンズ111に光ビームを投入したときに、半導体レーザー光源からのビームの広がり角は通常は10°程度であるので光源110aと光学レンズ111との距離y
1が約11.3mmでQの値が1mmとなり、「光源の横方向移動量/Q」の値は0.15となる。つまり、複数の光源110a、110b、110cの配列方向の範囲が、集光部材(光学レンズ111)に対して最も中心に位置する出射スポット(光源110b)から出射した光ビームが集光部材(光学レンズ111)を通過した直後の光ビームの配列方向のサイズ内に入っている。さらに、例えば焦点距離が5.7mmである光学レンズ111を用いることで、光学レンズ111から光照射位置(光照射領域L)の距離y
2=11.5mmにおいて、直径Q=1mmの光ビームを光照射位置(光照射領域L)で100μmに絞ることができる。
【0037】
なお、上記において例に挙げた光学レンズ111と光照射位置との距離y2=「11.5mm」は以下の条件に基づいて定めたものである。
(a1) 試料流f1がφ100μmであり、これを囲むシース流f2がφ1mm(内接円)であって、シース流f2がクローズの場合(筐体12A、12B(セルチップ)で囲まれている場合。)、シース流f2の外にセルの壁(例えば、厚さ1mmとする。)があるものとする。さらに、シース流f2セル壁外から10mmの位置に励起用光学ユニット11の出射口があり、当該出射口に光学レンズ111が配置されているとすると、光学レンズ111と試料間の距離は「シース流f2径の半分(0.5mm)」+「セル壁の厚さ1mm」+「シース流f2セル壁外から励起用光学ユニット11出射口までの距離10mm」であるから、光学レンズ111と光照射位置との距離は11.5mmとなる。
【0038】
また、以下の例についても同様に光源の配置位置、レンズの配置位置、レンズの焦点距離を設計できる。
(a2) 上記(a1)と同様の配置において、光学レンズ111が励起用光学ユニット11の出射口(端部)からオフセットされている場合(例えば5mmのオフセット。)、当該オフセット長が加算されることで(11.5+5)、光学レンズ111と光照射位置との距離y
2は16.5mmとなる。なお、オフセットにより生じるスペースは、例えば、後述するMEMSミラー(113、
図11)等の配置に用いられる。
【0039】
この場合、2つの光源110a、110b(110b、110c)を間隔x=0.15mmで配置して光学レンズ111からy2=16.5mm離れた光照射位置(光照射領域L)での光ビーム径を100μmに絞る場合には、まず、光源110aと光学レンズ111との距離x1が約8.7mmでQの値が1mmとなるため、「光源の横方向移動量/Q」の値は上記同様に0.15となる。さらに、焦点距離(例えば5.7mm)を有する光学レンズ111を用いることで、光学レンズ111からy2=10.5mm離れた光照射位置(光照射領域L)において、Q=1mmの光ビームを100μmに絞ることができる。
【0040】
(b1) また、上記(a1)と、シース流f2がオープンである点において異なる場合(筐体12A、12B(セルチップ)で囲まれていない場合。)はシース流f2の外のセルの壁がないため、シース流f2と10mmの位置に励起用光学ユニット11の出射口があることになり、当該出射口に光学レンズが配置されているとすると、光学レンズ111と試料間の距離は「シース流f2径の半分(0.5mm)」+「シース流f2セル壁外から励起用光学ユニット11出射口までの距離10mm」であるから、光学レンズ111と光照射位置との距離y2は10.5mmとなる。
【0041】
この場合、2つの光源110a、110b(110b、110c)を間隔x=0.15mmで配置して光学レンズ111からy2=10.5mm離れた光照射位置(光照射領域L)での光ビーム径を100μmに絞る場合には、まず、光源110aと光学レンズ111との距離y1が約12.5mmでQの値が1mmとなるため、「光源の横方向移動量/Q」の値は0.15となる。さらに、焦点距離(例えば5.7mm)を有する光学レンズ111を用いることで、光学レンズ111からy2=10.5mm離れた光照射位置(光照射領域L)において、Q=1mmの光ビームを100μmに絞ることができる。
【0042】
また、さらに光学レンズ111と試料間の距離y2が上記に比べて小さい場合であっても光学レンズ111の焦点距離を変更することで対応可能である。例えば、光学レンズ111と試料間の距離がy2=1.5mmの場合であって、焦点距離1.71mmの光学レンズ111を用いる場合は、光源110aと光学レンズ111との距離y1は約7.1mmに設定すればよい。光源100bから光学レンズ111に光ビームを投入したときに、半導体レーザー光源からのビームの広がり角は通常は10°程度であるので光源110aと光学レンズ111との距離y1が約7.1mmでQの値が0.3mmとなり、「光源の横方向移動量/Q」の値は1以下となる。つまり、複数の光源110a、110b、110cの配列方向の範囲が、集光部材(光学レンズ111)に対して最も中心に位置する出射スポット(光源110b)から出射した光ビームが集光部材(光学レンズ111)を通過した直後の光ビームの配列方向のサイズ内に入っている。さらに、焦点距離が1.71mmである光学レンズ111を用いることで、光学レンズ111から光照射位置(光照射領域L)の距離y2=1.5mmにおいて、直径Q=0.3mmの光ビームを光照射位置(光照射領域L)で100μmに絞ることができる。また、同様に、例えば、光学レンズ111と試料間の距離y2が6.5mmの場合には、焦点距離1.71mmの光学レンズ111を用い、光源110aと光学レンズ111との距離y1は約2mmに設定すればよい。このように各光学パラメータを変更することで様々な配置が可能となる。なお、このように光学レンズ111と試料間の距離が比較的短い例は、マイクロチップ1と励起用光学ユニット11が一体に構成された場合、又はマイクロチップ1に励起用光学ユニット11が填め込み式に構成された場合を想定している。
【0043】
また、放射角が等方的でなく、光源110aから出射された光ビームraの断面形状が元々楕円の場合でも、光源の配置方向(横方向)のビーム径を用いれば同じことが言える。このことから、複数の光源から出射するそれぞれの光ビームの出射スポットが存在する光源の配列方向の範囲Dが、光ビームraがレンズ111を通過した直後の光源の配列方向の光ビームの直径の範囲Q内に入っていることが望ましいことが分かる。
【0044】
図7は、光源が位置ずれした場合の説明図であり、
図7(a)は光源が位置ずれした場合の平面図であり、
図7(b)は側面図であり、
図7(c)は断面形状の変化の説明図である。図に示すように、光源110aから出射した光ビームr
aをレンズ111(図の場合は、単レンズ)でコリメートビームにした場合に、光源110aを横方向(光源の配列方向:図においては縦方向)に移動すると、光ビームr
aは、
図7(a)に示すように変形する。特に、光ビームr
aの断面形状は、光ビームr
aが等方的に出射された場合、
図7(c)に示すように円形から楕円にゆがむことになる。なお、当該ゆがみを考慮して、光ビームr
aの断面形状が円形となるようにレンズ111を設計してもよい。
【0045】
図8は、マイクロチップ1と励起用光学ユニット11との位置関係の一例を示すB-B’断面の一部断面図である。
【0046】
励起用光学ユニット11は、光源110a~110c、レンズ111の性能及びこれらの位置関係を適切な値に設定することで、対向する筐体12Bの照射面と距離dの位置から、それぞれ異なる波長の光を出射する光源110a~110cからの光を、試料流f1上の光照射領域Lに照射する。ここで、距離d、筐体12Bの厚みt及び筐体12Bから試料流f1までの距離並びに空気、筐体12Bの材質、試料流f1及びシース流f2の屈折率に応じて光照射領域Lの照射範囲が定まる。なお、光照射領域Lの照射範囲は、例えば、試料の大きさに合わせて100μm程度に設計するが、より小さな径又はより大きな径のビームを、筐体12B上等にレンズを設けて、集光するものであってもよい。
【0047】
図9(a)及び(b)は、光照射領域Lと試料流f
1との関係を示す概略図である。
【0048】
図9(a)に示すように、試料流f
1が平面視において上下に設定される場合、光の中心軸の光跡c
a~c
cが互いに交わる位置を光照射領域Lとして、当該光照射領域Lを通過するようにすることですべての光源110a~110cからの光を効率よく照射することができる。
【0049】
また、
図9(b)に示すように、試料流f
1が正面視において上下に設定される場合、光の中心軸の光跡c
a~c
cが互いに交わる位置を光照射領域Lとして、当該光照射領域Lを通過するようにすることですべての光源110a~110cからの光を効率よく照射することができる。
【0050】
(第1の実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、マイクロチップ1と一体又は光照射領域に対する位置合わせ可能に別体で励起用光学ユニットを設け、複数の光源の複数の光ビームをレンズ111によって光照射領域Lで重なるように構成し、光照射領域Lをマイクロチップ1の試料流f1が交差する位置に設計したため、マイクロチップの交換の度に複数の光源の光軸調整が不要であり、また、励起用光学ユニット11を用いたため、複数の光源の光軸をそれぞれ一致させる必要がある光学系を用いた場合に比べて装置全体をコンパクト化することができる。
【0051】
(変形例1)
図10は、本発明の変形例1の光ビーム放射装置の概念的構成図である。この変形例1においては、光源を6個にした以外は上記第1の実施の形態と同様である。
【0052】
発振波長が635nmの2つの赤色半導体レーザ110r1、110r2、発振波長が450nmの2つの青色半導体レーザ110b1、110b2、及び、発振波長が520nmの2つの緑色半導体レーザ110g1、110g2を0.15mmの間隔で平行に配置する。この場合も最も端に置いた青色半導体レーザ110b1と緑色半導体レーザ110g2間の出射スポットの素子配列方向の範囲Dが、集光レンズ24の最も中心に近い位置に配置された赤色半導体レーザ110r1の集光レンズ24の通過直後のビーム範囲Q(赤色半導体レーザ110r1からの光ビーム横方向範囲:1mm)内に入っている。なお、配列の仕方としては、集光レンズ24側から向かって、例えば青、赤、緑、青、赤、緑の順でも良く、どのような順でも良い。
【0053】
本発明の変形例1においては、上記第1の実施の形態の効果に加え、6個の半導体レーザの配置が容易になり、第1の実施の形態の場合に比べて、最大で2倍の強度の光ビームが得られ、高輝度光ビーム投影装置を実現することができる。また、6つの半導体レーザをすべて同色としてもよく、6つのうち任意の個数の半導体レーザを発光させてもよい。すなわち、照射光の強度を素子数で設定できることになる。その結果、従来のように照射光強度を変えたい場合に供給電流値を変更すると発光状態が変化(光ビームの発光位置やビーム径)して光軸調整などが再度必要になることがあったが、本変化例では個々の光源の状態を変えることなく強度を素子数で設定することができるので光学系が安定し、光学的な再調整が不要となる。
【0054】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2の光ビーム放射装置を説明する。変形例2においては、光源を赤外光及び紫外光を加えて5個にした以外は上記第1の実施の形態と同様である。なお、光源の数以外において図は
図10と類似するため省略する。
【0055】
発振波長が635nmの赤色半導体レーザ、発振波長が450nmの青色半導体レーザ、発振波長が520nmの緑色半導体レーザ、発振波長が830nmの赤外光半導体レーザ、及び、発振波長が375nmの紫外光半導体レーザを0.15mmの間隔で順次平行に配置する。この場合も最も端に置いた赤色半導体レーザの出射スポットと紫外光半導体レーザ間の出射スポットの素子配列方向の範囲Dが、緑色半導体レーザの集光レンズの通過直後のビーム範囲Q内に入るようにする。なお、並べ方は、集光レンズの中心にどの半導体レーザを置いても良く、且つ、どのような順でも良い。
【0056】
本発明の変形例2においては、第1の実施の形態の効果に加え、発振波長の異なる5個の半導体レーザを用いることによって、第1の実施の形態の場合に比べて、赤外光から紫外光にわたる広範囲の波長領域の多重光ビームからなる小型の光ビーム投影装置を実現することができる。
【0057】
(変形例3)
(ミラーによる追従制御)
図11は、本発明の変形例3の励起用光学ユニットの概念的構成図である。この変形例3においては、上記第1の実施の形態の励起用光学ユニットの光源110a~110cと光照射領域Lとの間に光軸方向を所定の角度に変化させるためのMEMSミラー装置113を設けている。具体的には、光軸中心に対してMEMSミラー装置113の可動ミラー部113aのミラー面の中心113acを置き、反射光を走査可能に構成している。
【0058】
MEMSミラー装置113のサイズは、チップサイズが7mm×5mm×0.7mm(奥行き(Length)×幅(Width)×高さ(Height)の順)とする。MEMSミラー装置113の可動ミラー部113aのサイズは1mmφである。MEMSミラー装置113は基材としてSiを用い、可動ミラー部113aの材料としてAl膜を用いた。
【0059】
例えば、この可動ミラー部113aをピエゾ駆動方式で、最大駆動電圧±15Vで駆動することによって、高速(水平)軸駆動周波数35KHz、高速(水平)軸振り角±15deg(ミラー振れ角)、低速(垂直)軸駆動周波数60Hz、低速(垂直)軸振り角±15deg(ミラー振れ角)で2次元光走査を行う能力を有するものを用いることができる(当該変形例3では2次元光走査可能なMEMSミラーを用いて1次元走査を行っている。)。ここではピエゾ効果を用いたピエゾ駆動方式としているが、静電駆動方式や電磁駆動方式の駆動装置でも良い。
【0060】
本発明の変形例3の励起用光学ユニットは光軸を変化させる機能を有してその変化を試料の流れ方向とすることにできるので、光源制御部17による制御で、試料流f1の試料の流れに追従させて光を照射することができる。以降、効果的に追従させるための光源制御及びMEMSミラー装置の動作制御について説明する。なお、ここでは、試料の流れ方向への1次元光走査について説明するが、マイクロチップ1の構成によっては試料の流れ方向だけでなくその断面方向を含めた2次元走査を行ってもよい。
【0061】
図12は、変形例3の励起用光学ユニットの光源制御及びMEMSミラー装置の動作制御を説明するタイミングチャートである。
【0062】
まず、例えば、光源制御部17により励起用光学ユニット11を制御して試料流f1に対して赤の励起光を照射する(1)。なお、この時点でMEMSミラー装置113の可動ミラー部113aのミラー回転角は試料流f1の上流側限界位置を照射する位置であって、これを初期位置とする。試料流f1中に試料が存在する場合は、検出器14Aによって赤励起光に応じた散乱光が観測される(2)。また、試料の流れに対して追従できている場合には散乱光が連続して観測され、連続して観測されるように可動ミラー部113aの回転角速度を自動で又は手動で調整するように構成する。
【0063】
次に、光源制御部17は、上記(2)のように散乱光が観測され始めたら、MEMSミラー装置113の可動ミラー部113aのミラー回転角を、上記調整した回転角度で、試料流f1の流れに合わせて時間とともに下流側へと移動していく(3)。赤励起光はミラー回転角が試料に追従していることを確かめるため照射し続けるが、次に説明する緑励起光を照射する際に照射を停止するようにしてもよい。
【0064】
上記の状態で、ミラーで反射した励起光が試料に追従していることが確かめられるため、光源制御部17は、次に赤励起光と異なる波長の光、例えば、緑の励起光を、励起用光学ユニット11を制御してさらに照射する(4)。試料流f1中に試料が存在する場合は、緑励起光に応じた蛍光が検出器14Bによって観測される(5)。緑励起光の照射及び蛍光の観測は予め定めた期間行われる。当該予め定めた期間は、(1)から(8)で定まる周期から定めるものであってもよい。
【0065】
次に、光源制御部17は、緑励起光の照射が完了すると、例えば、青の励起光を、励起用光学ユニット11を制御してさらに照射する(6)。試料流f1中に試料が存在する場合は、青励起光に応じた蛍光が検出器14Bによって観測される(7)。青励起光の照射及び蛍光の観測は予め定めた期間行われる。当該予め定めた期間についても、(1)から(8)で定まる周期から定めるものであってもよい。
【0066】
次に、光源制御部17は、赤励起光に対する散乱光が観測されなくなった時点で、MEMSミラー装置113の可動ミラー部113aのミラー回転角を初期位置にリセットし(8)、次の試料の追従に移る。これらの(1)から(8)の動作周期を流れてくる次の試料に対して繰り返すことで試料に追従して散乱光、蛍光の観測を行う。
【0067】
なお、異なる波長の励起光を順次照射する例を示したが、同一の波長の励起光を繰り返して順次照射するようにしてもよいし、強度を変更して順次照射してもよい。また、複数の波長を同時に照射する他、順番を追って励起して準位を上げていくように複数の波長を順に照射するようにしてもよい。さらにこれらの組み合わせを用いて光を照射してもよい。
【0068】
本発明の変形例3においては、試料に対して複数波長又は複数強度の光の照射又はこれらの組み合わせを行うようにしたため、ひとつの試料からより多くの情報を得ることができる。また、単一の光の照射又は限られた期間の光の照射では不可能であった、多段的な励起状態の生成やこれに対する反応を得ることができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、本発明の一例としてのマイクロチップであるところの使い捨てチップ型フローセルに第1の実施の形態の励起用光学ユニット11を、適宜波長を変更して適用し、当該チップ型フローセルを用いた微粒子分析装置を備えた微粒子分離装置(セルソータ)を構成したものである。
【0070】
図13(a)~(c)は、第2の実施の形態に係るマイクロチップであるところのフローセルを用いたセルソータの構成の一例を示す概略図である。
【0071】
セルソータ2Bは、平板基板を筐体とし、平板基板内に流路を形成してなるフローセル1Bと、流路を流れる試料液中の微粒子に光を照射する光照射手段としての励起用光学ユニット11Bと、光を照射した際に微粒子から発生する少なくとも特定波長の散乱光、反応光又は蛍光を検出する検出手段としての検出器730と、それらの検出信号の信号強度に基づいて微粒子を識別し、目的の微粒子を判別する分析手段としてのマイクロコンピュータ790と、フローセル1Bの流路を流れる試料液中の微粒子に圧力を与える定圧ポンプ及びそれに接続された電磁バルブとを有し、マイクロコンピュータ790は、分析結果に基づいて電磁バルブの動作を制御する。なお、励起用光学ユニット11Bはフローセル1Bと一体に又は光照射領域の位置調整不要に取り付け可能に構成されるものとする。
【0072】
図13(a)及び(b)は、使い捨てチップ型のフローセル1Bに、シリンダーポンプと電磁バルブを接続した状態を示している。また、
図13(b)は、
図13(a)のC-C断面を示している。フローセル1Bは、分離用の流路4-1と流路4-2とそれぞれ分離用リザーバー5-1、5-2を対称的に追加した構造とする。使い捨てチップ型のフローセルは、透明な樹脂製である。樹脂の種類としては、ポリメタルアクリレート(PMMA)、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、メチルペンテンポリマーなどが使用できる。特に、波長が350nmから410nm程度のUV波長領域のレーザーを照射光源として用いる場合は、フローセルの素材としてはメチルペンテンポリマーが適している。なお、波長は、例えば、405nm、488nm、561nm、637nm等を選択できる。この場合、励起用光学ユニット11Bの各光源の波長は、例えば、405nm、488nm、561nm、637nmの任意の3波長の組み合わせとすることができる。蛍光の波長領域は405nmに対して中心波長445nm、488nmに対して中心波長543nm、561nmに対して中心波長591.5nm、637nmに対して中心波長676nm、716nm、775nmとすることができる。分離用リザーバーを流路4-2にも設置した対称構造として電磁バルブとシリンダーポンプを接続する。
【0073】
図13(c)は、光学系と制御系回路との接続関係を示したものである。チップの断面図は
図13(a)のD-D断面である。
図13(a)に示したように、チップの上流側に空気圧を加えることで、シース液とともにサンプル液を流路370に流し、対向する分離用流路4-1、4-2の領域よりやや上流の主流路の中央部に励起用光学ユニット11Bから単一又は複数の波長の光を照射する。試料液中の被測定微粒子の細胞がこの照射領域を通過した瞬間に散乱光と蛍光がパルス的に発生する。散乱光は複数のフィルタを組み合わせて構成された分光器10Bによって照射光と同じ波長を分離されて検出器730で検出される。また、蛍光は、照射光よりも長波長で分光器10Bによって複数の波長領域に分離されてそれぞれ検出器730で検出される。各検出パルス信号は、信号処理部740において増幅してAD変換してデジタル化し、データ解析部としてのマイクロコンピュータ790によって、試料液中の細胞の特性を分析する。以上が微粒子分析装置の動作である。
【0074】
また、分離装置として用いる場合はさらにデータ解析部において分析した結果が予め設定した分離条件を満たすか否かを判断し、満たす場合に電磁バルブドライバー760にトリガー信号を一定遅延時間後に出力する。この遅延時間は、細胞がレーザー照射領域から分離用流路4-1、4-2の領域に流れるまでの時間に調整する。トリガー信号を受信した電磁バルブドライバー760は、電磁バルブ7-1,又は7-2に一定時間だけOPENする信号を出力する。電磁バルブOPEN時に目的の細胞が分離用リザーバー5-1又は5-2に流れ込む。分離用リザーバーに流れ込まなかったシース液、試料液は回収リザーバー210に流れ込む。
【0075】
図13(a)に示したようにチップの上流側のリザーバー300の内部には、図には記していないが定圧ポンプで一定の空気圧を加えるようにしてある。リザーバー300の内部には試料液リザーバー200がありその内側に適宜蛍光試薬等でマーキングした細胞を含む試料液を入れ、その外側にシース液を入れる。シース液としてはphosphate buffer saline(PBS)を用いるが望ましい。共通の空気圧によって、試料液20が試料液配管20-1を経由して、シース液が左右のシース液配管30-1、30-2を経由して下流に向かって流れ、3本の配管流路が合流したあと流路370内を試料液はシース液によって細く絞られた状態で流れる。例えば、流路370の幅は80μmとすることができ、深さは50μmとすることができる。合流後の試料液の幅は流路幅の約1/10である。流路370には、側面から対向する分離用流路4-1、4-2があり、その流路はリザーバー5-1、又は5-2に接続している。この対向領域よりも数100μmだけ上流側の流路370の中央部に、例えば、波長405nm、488nm、561nmの光を合波した光を照射する。そのビームサイズは長さ50μm幅20μmの長円としている。
【0076】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によれば、セルソータ及びセルソータに用いるマイクロチップに第1の実施の形態と同様の励起用光学ユニット11を採用したため、セルソータに用いるマイクロチップの交換の度に光軸調整の困難性が低減もしくは不要であり、励起用光源として複数の光源の光軸を一致させる必要がある光学系を採用した場合に比べて、装置全体をコンパクト化することができる。
【0077】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、マイクロチップを用いた計測システムに第1の実施の形態の励起用光学ユニット11を適用したものである。
【0078】
図14(a)~(c)は、第3の実施の形態に係る試料を通流する筐体を有するマイクロチップを用いた計測システムの構成の一例を示す概略図である。なお、
図14(a)は平面視であり、
図14(b)は透過光又は散乱光を検出する場合の正面断面図、
図14(c)は散乱光、蛍光又は反応発光を検出する場合の平面断面図である。
【0079】
計測システム3は、ポンプ4と、ポンプ5と、ポンプ4から試料液Aが流入する流路31と、ポンプ5から試料液Bが流入する流路32とこれらが合流する流路33とを有するマイクロチップ1Cと、合流した液の回収部6と、当該マイクロチップ1C内の合流した試料液に対して複数の波長の光を照射する励起用光学ユニット11Cと、当該マイクロチップ1C内に形成され試料から入射される光を複数のフィルターによって分光する分光器10Cと、照射光に対応した光の特徴量を検出し、化学変化を解析する解析手段として分光器10Cで分光された光を検出する検出器14と、信号処理部15と、データ解析部16とを有する。ここで、導波路型合波器、導波路型分光器に用いる波長としては、前述した合波器、分光器の条件を満たして、かつ、励起スペクトル、吸収スペクトル、発光スペクトル、蛍光スペクトルから選択することができ、例えば、スペクトルのピーク部から選択した波長とすることができる。
【0080】
以下、動作の一例を説明する。マイクロチップ1C内では、プロトン化した色素と特定のイオンと選択的に錯形成するクラウンエーテルなどのイオノフェアが加えられた試料液Aを流しておき、合流させた試料液Bに目的イオンが存在する場合には、イオンが試料液Aのイオノフェアと錯形成反応する。このとき試料液A中の色素の吸収スペクトルがシフトする。この吸収スペクトルシフトにより、試料液Aを通過する特定の波長の検出光の光強度が変化する。以上の原理により、試料に生じた化学変化の解析の一例として、目的イオンの存在状況を計測することができる。
【0081】
つまり、
図14(b)に示すように、励起用光学ユニット11Cは、試料液A中の色素の吸収スペクトル(シフト前及びシフト後)に対応して選択した波長の光、又は複数の色素の吸収スペクトル(シフト前、シフト後又は双方)に対応した波長の光を合波して試料液A中の色素に対して照射する。また、分光器10Cは、励起用光学ユニット11Cが照射した光に対応した特定の波長に分光し、検出器14と、信号処理部15と、データ解析部16によって試料液Aを通過する光の特徴量の一例として光強度を検出して、その変化を判別する。なお、分光器10Cは、励起用光学ユニット11Cが照射し、試料液Aを透過した光を検出できる位置に配置される。
【0082】
また、試料液A中の色素に対して励起光を照射して、
図11(c)に示すように、分光器10Cは、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、光の照射方向と直交する方向で散乱光、蛍光又は反応発光を受光する構成とすることもできる。その後、分光器10Cは、励起用光学ユニット11Cが照射した光に対応した波長に分光し、検出器14と、信号処理部15と、データ解析部16によって試料液A中の色素から発する光の特徴量を検出する。
【0083】
(第3の実施の形態の効果)
上記した第3の実施の形態によれば、マイクロチップ1Cと一体又は光軸調整不要に励起用光学ユニット11を設けたため、複数の相が流入するマイクロチップにおいて流路中における化学変化を検出する際にも、マイクロチップの交換の度に光軸調整の困難性が低減もしくは不要であり、複数の光源の光軸を一致させる必要がある光学系を用いた場合に比べて装置全体をコンパクト化することができる。
【0084】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
な変形が可能である。
【0085】
上記実施の形態では、励起用光学ユニットをマイクロチップと一体形成したが、位置合わせが可能であれば製造時又は測定準備時に励起用光学ユニットをマイクロチップに取り付けるものであってもよいし、これらを接続するアタッチメント等で取り付けるものであってもよい。
【0086】
また、検出器として、微弱光を検出できる検出器であれば公知の検出器を用いることができ、APD(Avalanche Photodiode)またアレイ状検出器としては、APDアレイ、多チャンネルPMT(PhotoMultiplier Tube、光電子増倍管)等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 :マイクロチップ
1B :フローセル
1C :マイクロチップ
2 :フローサイトメータ
2B :セルソータ
3 :計測システム
4、5 :ポンプ
6 :回収部
10B、10C:分光器
11、11B、11C:励起用光学ユニット
12A、12B:筐体
13 :流路
14、14A、14B:検出器
15 :信号処理部
16 :データ解析部
17 :光源制御部
20 :試料液
24 :集光レンズ
31、32、33:流路
110 :光源
111 :レンズ
112 :基板
113 :MEMSミラー装置