(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110614
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】折り畳み式間仕切り
(51)【国際特許分類】
A47G 5/00 20060101AFI20230802BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20230802BHJP
D03D 3/08 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A47G5/00 A
D03D1/00 Z
D03D3/08
A47G5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012184
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000184687
【氏名又は名称】小松マテーレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】北本 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 陽子
【テーマコード(参考)】
4L048
【Fターム(参考)】
4L048AA08
4L048AA20
4L048AA24
4L048AB01
4L048AB06
4L048AC01
4L048BA01
4L048BB00
4L048CA00
4L048DA24
(57)【要約】
【課題】軽量で小さく折り畳むことができるため携行が容易であり、かつ意匠性が高い折り畳み式間仕切りを提供する。
【解決手段】本開示の折り畳み式間仕切りは、自立する折り畳み式間仕切りであって、布製であり、前記布が上下方向に延在する1つ以上の折目を有し、前記布の上下方向の剛軟度が50mm以上400mm以下であるものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立する折り畳み式間仕切りであって、
布製であり、
前記布が上下方向に延在する1つ以上の折目を有し、
前記布の上下方向の剛軟度が50mm以上400mm以下である、
折り畳み式間仕切り。
【請求項2】
前記布の目付が100g/m2以上800g/m2以下である、
請求項1に記載の折り畳み式間仕切り。
【請求項3】
折線を挟んで隣接する面同士が、前記折線から2cm以内の部分を前記折線と略平行に接合されることで、前記折目が形成されている、
請求項1または2に記載の折り畳み式間仕切り。
【請求項4】
前記間仕切りの左右両端部の各々に補強帯が接合されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の折り畳み式間仕切り。
【請求項5】
前記布を構成する繊維表面に撥水剤が付着している、
請求項1~4のいずれか1項に記載の折り畳み式間仕切り。
【請求項6】
物品を収納または係止する部品が前記間仕切りに接合されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の折り畳み式間仕切り。
【請求項7】
前記間仕切りの左右両端に位置する面同士を連結する連結帯を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の折り畳み式間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
肺炎球菌、百日咳菌、風疹ウイルス、インフルエンザウイルス、コロナウイルスなどの病原体が原因となる感染症は、その多くが咳、くしゃみ、会話などで発生する呼吸飛沫によるものであり、感染経路として一般的である。
【0003】
外界からの飛沫の吸入量を低減したり、自身が飛沫を飛散させることを抑制したりするためにマスクの着用が奨励されているが、食事、接客、肌トラブル、マスク携帯忘れなどの理由により、マスクを着用できない場面が存在する。また、オフィスや喫茶店などの場所において、作業に集中したり、くつろいだりする際には、マスクを外して呼吸を楽にしたり、視界を遮ったりしたいという要望も強い。
【0004】
飛沫が飛散する範囲を限定したり、視界を遮ったりする手段として、板やシートなどで空間を区切る間仕切りが使用されている。
【0005】
間仕切りはその面の大きさによって役割を果たす物品であるため、常設しておくと場所をとったり、重く携行しにくかったりする。そのため、屏風のように折り畳み可能とすることで保管場所を節約したり、軽量の素材で構成され携行しやすくしたりする工夫がなされている(例えば特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3233565号
【特許文献2】実用新案登録第3230372号
【特許文献3】実用新案登録第3232300号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の折り畳み式間仕切りは、硬質樹脂や木材など自立する板材や、紙やプラスチックシートを枠体などに固定したパネルが使用され、必要に応じて蝶番やジョイントなどの連結具を用いたパネル同士の連結がされていたり、スタンドやポールなど適宜の支持体を用いて立設できるようにされていたりするものである。
【0008】
これらの折り畳み式間仕切りは、あらかじめ設けられている折目により折り畳み可能となっているが、自立する板材や枠体からなるパネル、連結具、支持体は折り畳むことができず、折り畳めるサイズが限定されていた。
【0009】
また、これらの間仕切りは外観が無機質になりがちで意匠性が低く、他者へ圧迫感や違和感を与えてしまうものがほとんどであった。
【0010】
したがって、本発明では、軽量で小さく折り畳むことができるため携行が容易であり、かつ意匠性が高い折り畳み式間仕切りを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明は、例えば、下記の構成(1)~(10)の1つ以上からなる。
(1)本発明の折り畳み式間仕切りは、自立する折り畳み式間仕切りであって、布製であり、前記布が上下方向に延在する1つ以上の折目を有し、前記布の上下方向の剛軟度が50mm以上400mm以下であるものである。
(2)前記折り畳み式間仕切りにおいて、前記布の目付が100g/m2以上800g/m2以下であるとよい。
(3)前記折り畳み式間仕切りにおいて、折線を挟んで隣接する面同士が、前記折線から2cm以内の部分を前記折線と略平行に接合されることで、前記折目が形成されているとよい。
(4)前記折り畳み式間仕切りにおいて、前記間仕切りの左右両端部の各々に補強帯が接合されているとよい。
(5)前記折り畳み式間仕切りにおいて、前記布を構成する繊維表面に撥水剤が付着しているとよい。
(6)前記折り畳み式間仕切りにおいて、物品を収納または係止する部品が前記間仕切りに接合されているとよい。
(7)前記折り畳み式間仕切りにおいて、前記間仕切りの左右両端に位置する面同士を連結する連結帯を有するとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の折り畳み式間仕切りは、布製であることから、軽量で小さく折り畳むことができるため携行が容易であり、かつ意匠性も高い。また、間仕切りを構成する布が上下方向において所定の剛軟度を有することから、折目以外の部分での折り畳みも可能であるとともに、枠体や支持体などの支えなしに自立できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】折り畳み式間仕切り100の構成を概略的に示している。
【
図2】折り畳み式間仕切り200の構成を概略的に示している。
【
図3】折り畳み式間仕切り300の構成を概略的に示している。
【
図4】折り畳み式間仕切り400の構成を概略的に示している。
【
図5】折り畳み式間仕切り500の構成を概略的に示している。
【
図6】実施例1に係る折り畳み式間仕切りの構成を概略的に示している。
【
図7】実施例2に係る折り畳み式間仕切りの構成を概略的に示している。
【
図8】実施例3に係る折り畳み式間仕切りの構成を概略的に示している。
【
図9】実施例4に係る折り畳み式間仕切りの構成を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、これらの態様のみに限定されるものではなく、その精神と実施の範囲内において様々な変更がなされ得ることを理解されたい。
【0015】
本実施の形態の折り畳み式間仕切りは、自立する折り畳み式間仕切りであって、布製であり、前記布が上下方向に延在する1つ以上の折目を有し、前記布の上下方向の剛軟度が50mm以上400mm以下であるものである。
【0016】
図1(A)~(C)に一実施形態に係る折り畳み式間仕切り100の構成を概略的に例示する。
図1に例示されるように、折り畳み式間仕切り100は、布製の面10x、10y、10zと、折目20とを有する。
図1(A)~(C)において、面10xは間仕切りの左右方向における一端に位置する面(一端面)であり、面10yは間仕切りの左右方向における他端に位置する面(他端面)であり、面10zは、一端面と他端面との間に位置する面である。ただし、後述するように、本実施の形態の折り畳み式間仕切りは、上下方向に延在する折目20を1つのみ有するものであってもよく、この場合、面10zが存在しない。
図1(A)~(C)に示されるように、折目20は布の上下方向に延在しており、当該折目20によって面10x、10y、10zが重なり合うように折り畳み可能とされている。尚、本願において、間仕切りの「左右方向」とは、間仕切りを完全に展開して平面状とした場合(
図1(A)参照)に、折目を挟んで一方側の布面の端部から他方側の布面の端部に向かう方向をいい、布面の底辺に沿った方向であってよい。また、「上下方向」とは、間仕切りの布面に沿った方向であって、上記の左右方向に対して直交する方向をいう。
【0017】
1.布について
本実施の形態の折り畳み式間仕切りに用いられる布の素材は、後述する糸の太さや布の種類、組織などの要素も含め、布が別途の枠体や支持体などの支えなしで自立できるように、布としては比較的高い剛軟度を付与できるものであれば特に限定されない。素材単体で比較的高い剛軟度を有する繊維として、例えば、ステンレスや銅などの金属繊維、ガラス繊維や岩石繊維などのケイ酸塩繊維といった無機繊維が挙げられる。また、有機繊維であっても、糸を太くしたり、糸密度(織密度または編密度)を高めたりなどで布の剛軟度を向上させてもよい。また、繊維への糊付け、塩縮加工などの硬仕上げ加工を行ったり、鞘部にポリエチレンや低融点ポリアミドなどの低融点素材を有する芯鞘構造糸を熱融着させて剛軟度を向上させたりしてもよい。折目以外の個所で折り曲げた後に展開した際の、折損や畳みジワの復元能力の観点、および手触りや意匠性の観点から、有機繊維を用いることが好ましい。有機繊維の中でも、目付が小さくても自立させることができ、軽量化できるとの観点から、硬仕上げ加工や熱融着などの加工を行ったものがより好ましい。また、これらの素材や加工を組み合わせてもよい。好ましい有機繊維としては、硬仕上げ加工を行いやすい綿や麻などのセルロース系繊維、6ナイロンや66ナイロンなどのポリアミド繊維、熱融着加工が可能な前記芯鞘構造糸等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよいし、組み合わされて用いられてもよい。
【0018】
布を構成する糸は、短繊維であっても長繊維であってもよく、長繊維である場合にはモノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよい。
【0019】
糸の太さは、布に自立できる剛軟度を付与できれば特に限定されないが、比較的高い剛軟度を付与しやすいとの観点から、75dtex以上が好ましく、100dtex以上がより好ましく、150dtex以上が特に好ましい。太さの上限は、特に限定されないが、畳みジワの復元能力の観点から1000dtex以下が好ましく、コストや加工性の良さの観点から、750dtex以下がより好ましい。
【0020】
糸は、生糸であってもよいし、撚糸であってもよいし、仮撚加工、タスラン加工などが施された加工糸であってもよい。
【0021】
布の種類や組織は、特に限定されず、平織、綾織、朱子織などの組織の織物、経編、緯編(横編または丸編)などの組織の編物、または不織布であってもよい。布に自立できる剛軟度を付与しやすいとの観点から、織物が好ましい。また、オックスフォード織や斜子織などのように複数本の糸を引き揃えて布としてもよいし、同種、または違う種類の布を縫合や接着などで接合して一体化したものを用いてもよい。
【0022】
布は、任意の色に着色されていてもよいし、着色されていなくともよい。着色の方法は、糸への染料や顔料などの着色剤の練り込み、糸の段階での染色(先染め)、布の段階での染色(後染め)など特に限定されない。また、着色されている糸と未着色または別の色に着色されている糸を用いた布であってもよいし、印刷などで部分的に着色された布であってもよい。さらに、エンボス柄など凹凸形状による意匠性付与がなされていてもよい。
【0023】
また、布には、所期の目的を逸脱しない範囲で、防炎剤、紫外線吸収剤、赤外線反射材、抗菌剤、撥水剤などの機能剤が、繊維に吸尽または表面に付着していてもよい。特に、布を構成する繊維の表面に撥水剤が付着していると、間仕切りとして使用している際、水や飲み物がかかってしまっても間仕切りが濡れない、または容易に水分を拭き取ることができるため、好ましい。上記機能加工は、機能剤の糸への練り込み、吸尽加工など繊維の内部に機能剤を埋め込む方法や、パディング法やスプレー法、塗布などで機能剤を布に付与した後適宜の熱や湿気、活性エネルギー線の照射などで繊維表面に固着させる方法など、特に限定されない。
【0024】
繊維表面に撥水剤を付着させた場合、本実施の形態の折り畳み式間仕切りに用いる布の撥水度は、JIS L1092:2009に規定されるはっ水度試験(スプレー試験)により判定される級が3級以上であると好ましい。撥水度が3級以上であれば、コーヒーなどの水分をこぼしてもすぐに拭き取ることで水分が除去できる。4級以上であれば、布が水分によってほとんど湿潤しないため、より好ましい。さらに、汚れた場合や、間仕切りを清潔に保つために間仕切りを洗濯することもできるが、洗濯後でも間仕切りの撥水性が発揮されることが好ましい。具体的には、JIS L1930:2014に規定されるC4M法により5回洗濯した後の撥水度が3級以上であると好ましく、10回洗濯した後の撥水度が3級以上であればより好ましい。
【0025】
本実施の形態の折り畳み式間仕切りに用いる布が、素材や糸の太さ、組織などだけでは自立できる剛軟度を有していない場合、前記のような剛軟度を向上させる加工を行うとよい。具体的には、熱や湿気、活性エネルギー線照射などで硬化する樹脂(糊剤)を布にパディング法やスプレー法、塗布などで付与し、適宜の硬化手段で硬化させる方法、苛性ソーダや硝酸石灰、ベンジルアルコールなどの処理液を付与後乾燥する方法、布の素材として用いた熱融着糸と他の糸、または熱融着糸同士を熱により融着させる方法などが挙げられる。
【0026】
本実施の形態の折り畳み式間仕切りに用いられる布は、その上下方向の剛軟度が50mm以上400mm以下であることが重要である。ここで、布の「剛軟度」は、JIS L1096:2010に規定されるA法(45°カンチレバー法)により測定される。剛軟度が50mm以上であることにより、エアコンの風や人間が接触した際の衝撃などを受けても、姿勢を安定したまま保持させやすい。また、剛軟度が400mm以下であれば、小さく折り畳みやすく、かつ、所定の折目以外の部分で折り曲げられた際の畳みジワの復元能力も高くすることができ、すなわち、所定の折目以外の部分に畳みジワがつきにくい。剛軟度のより好ましい範囲は70mm以上200mm以下である。なお、布を複数枚重ねて用いる場合には、当該複数枚の布の各々の上下方向の剛軟度を測定し、測定された各々の剛軟度の合計値が50mm以上400mm以下であればよい。
【0027】
一方、布の左右方向の剛軟度は特に限定されないが、上下方向の剛軟度と同様の理由で、左右方向の剛軟度も50mm以上400mm以下であると好ましく、70mm以上200mm以下であるとより好ましい。
【0028】
本実施の形態の折り畳み式間仕切りに用いられる布は、目付が100g/m2以上800g/m2以下が好ましい。目付が100g/m2以上であれば、間仕切りの姿勢安定性をより確保しやすい。また、目付が800g/m2以下であれば、より軽量で携行しやすい間仕切りが得られる。目付は150g/m2以上又は200g/m2以上であってもよく、600g/m2以下又は400g/m2以下であってもよい。
【0029】
2.折目について
本実施の形態の折り畳み式間仕切りにおいては、布が上下方向に延在する1つ以上の折目を有する。折目に沿って間仕切りを折り畳むことで携行を容易にし、かつ間仕切りを展開した際には折目と、左右両端を頂点とする平面図形の内部に間仕切りの重心が収まり、間仕切りを自立させることができる。尚、本願において、「折目」とは、間仕切りを折り畳んだり、展開して自立させたりするために設けられた上下方向のラインをいい、すなわち、間仕切りを使用する際に折り畳むラインをいう。また、「折線」とは、プリーツ加工やミシンによる縫合(接合)などによって「折目」を作るための目安となる線をいう。
【0030】
間仕切りの上下方向に延在する折目の数は、1つであってもよいが、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましい。当該折目の数が2つ以上であることで、間仕切りを「コの字(Uの字)」型に展開することが可能となり、飛沫が飛散する範囲を限定したり、視界を遮ったりする間仕切りとしての能力がより発揮でき、かつ筆記やキーボードの打鍵などの音が外部に漏れることを抑制できる。当該折目の数が3つ以上であることで、後述する各面の横幅の好ましい範囲に収めながら、間仕切りを展開した際、人間の肩幅を超える横幅を有する間仕切りとして使用することができる。折目の数の上限は特に限られないが、間仕切りを「コの字(Uの字)」に展開して使用することを想定する場合、間仕切りの姿勢安定性の観点から5つ以下が好ましい。
【0031】
間仕切りに折目を設ける方法は特に限定されるものではない。隣り合う布面を形成する別々のパーツを縫合や接着などで連結することで折目を形成してもよいし、布に対して熱や圧力などによりプリーツ加工を施すことで折目を形成してもよいし、折線の近傍部分を前記折線と略平行に接合することで、折目を形成してもよい。折目をしっかりと付け、畳みやすくするとの観点、および折目を補強し姿勢を安定させやすいとの観点から、折目となるパーツの連結線や折り曲げてできた折線の近傍部分をそれらの線と略平行に接合してあるのが好ましい。さらに、間仕切りの展開しやすさの観点から、折線を挟んで隣接する面同士が、前記折線から2cm以内の部分を前記折線と略平行に接合されることで、前記折目が形成されているのがより好ましく、1cm以内の部分を前記折線と略平行に接合されることで、前記折目が形成されているのが特に好ましい。
【0032】
例えば、
図2(A)~(D)に示される折り畳み式間仕切り200のように、折線20aを挟んで一方側の面と他方側の面とのうち、折線20aから2cm以内、好ましくは1cm以内の一方側の面の領域A1と、同じ折線20aから2cm以内、好ましくは1cm以内の他方側の面の領域A2とを重ね合わせたうえで、当該領域A1と領域A2との少なくとも一部を折線20aと略平行に接合することで、折目20を形成するとよい。この場合の接合は、例えば、縫合であってもよいし、接着であってもよい。例えば、
図2(D)に示される折り畳み式間仕切り200のように、折線20aから2cm以内、好ましくは1cm以内に縫合部30が形成されていてもよい。
【0033】
3.面について
折目によって区切られる間仕切りの各面は、任意の平面形状であってよいが、姿勢安定性、間仕切りとしての能力、折り畳んだ際のコンパクトさといった観点から、矩形であることが好ましく、長方形であることがより好ましく、各面がほぼ合同の長方形であることが特に好ましい。
【0034】
間仕切りの各面の上下方向の長さは、特に限定されないが、携行しやすいサイズ、姿勢の安定性、間仕切りとしての能力といった観点から、20cm以上80cm以下が好ましい。また、間仕切りの各面の接地する底辺の長さは、特に限定されないが、携行しやすいサイズ、姿勢の安定性、間仕切りとしての能力といった観点から、10cm以上60cm以下が好ましい。また、間仕切りの各面の接地する底辺の合計の長さ(
図1(A)や
図2(A)のように間仕切りを完全に展開して平面状とした場合の底辺の全長)は、特に限定されないが、姿勢の安定性、間仕切りとしての能力、省スペース性といった観点から、20cm以上300cm以下が好ましい。
【0035】
4.その他の構成について
本実施の形態の折り畳み式間仕切りは、上記の通り、所定の剛軟度を有する布製であり、折目及び面を有して自立可能に構成されるものである。また、本実施の形態の折り畳み式間仕切りは、例えば、以下のその他の構成を備えていてもよい。
【0036】
4.1 補強帯
本実施の形態の折り畳み式間仕切りにおいて、前記間仕切りの左右両端部の各々に、補強帯が接合されているとよい。間仕切りを展開した際の前記間仕切りの左右両端部を帯にて補強することにより、左右両端が直立しやすくなり、姿勢安定性が向上する。帯に用いられる素材としては、畳みジワの復元能力の観点から前記の繊維製が好ましく、市販の合成繊維製のベルトや、間仕切りに用いた布を積層し、縫合や接着などで接合すればよい。また、布の端を折り返して接合する形態でもよい。帯の上下方向の長さは、間仕切りの左右端辺より5cm短い長さから左右端辺と同一の長さが好ましく、帯の左右方向の長さは、1cm~10cmが好ましい。帯の上下方向の剛軟度は、姿勢安定化の観点および畳みジワの復元性の観点から、間仕切り本体の上下方向の剛軟度と同様、50mm以上400mm以下が好ましい。
【0037】
図3(A)~(C)に、補強帯40を有する折り畳み式間仕切り300を例示する。
図3(A)~(C)に示されるように、補強帯40は、間仕切りの左右両端部の各々に接合されている。補強帯40は、布の左右両端部において、布の表面(前面)及び裏面(背面)のうちの一方にのみ設けられていてもよいし、双方に設けられていてもよい。また、補強帯40は、布の表面(前面)から裏面(背面)に亘って連続して存在し、布の端辺を覆い隠すように設けられたものであってもよい。
【0038】
4.2 物品を収納または係止する部品
本実施の形態の折り畳み式間仕切りには、物品を収納または係止する部品が接合されていると好ましい。例えば、物品を収納するポケットや、筆記用具などを引っかけて保持できる筒状の隙間を有するベルトなどを備えている間仕切りは、間仕切り自体を携行鞄や筆箱などとしても活用できる。前記部品の素材としては、畳みジワの復元能力の観点から前記の繊維製または軟質ウレタンフォームなどが好ましく、ポケットを形成する場合には、ダブルラッセル編地などメッシュの二重編地素材を用いると内容物が外から視認でき、同時に緩衝材の役割を果たすのでより好ましい。これら部品は、布に対して直接的又は間接的に、縫合や接着などで接合されていてもよいし、ホックや面ファスナーなどで着脱可能な形態で固定されていてもよい。
【0039】
図4に、物品を収納または係止する部品50を有する折り畳み式間仕切り400を例示する。
図4に示されるように、間仕切り400は、その布面の少なくとも一部に、少なくとも一つの部品50が直接的又は間接的に接合されており、当該部品50が上記のポケットやベルトなどとして機能し得る。部品50は、布の表面(前面)及び裏面(背面)のうちの一方にのみ設けられていてもよいし、双方に設けられていてもよい。
【0040】
4.3 連結帯
本実施の形態の折り畳み式間仕切りにおいて、前記間仕切りの左右両端に位置する面同士を連結する連結帯を有すると好ましい。間仕切りの左右両端の面が少なくとも1本の帯で連結されていることで、姿勢安定性が向上する。また連結帯により、折り畳んだ間仕切りが勝手に開いてしまわないように封じることもできる。すなわち、本実施の形態の折り畳み式間仕切りは、布が折り畳まれた状態で前記布が前記連結帯によって拘束可能に構成されていてもよい。連結帯に用いられる素材としては、可撓性を有する素材であれば特に限定されず、例えば、前記繊維素材、塩化ビニルなどの軟質プラスチック、皮革などが挙げられる。連結帯は、左右両端の面の少なくとも一方に、縫合や接着などで接合されていてもよいし、ホックや面ファスナーなどで着脱可能な形態で固定されていてもよいし、帯が挿通できるサイズのガイドを左右両端の面の少なくとも一方に設けておいて、前記ガイドに帯を挿通した後、帯の端にガイドより大きな抜け止めを設ける形態で固定されていてもよい。例えば、本実施の形態の折り畳み式間仕切りにおいては、前記間仕切りの左右両端に位置する面のうちの一方の面に前記連結帯の一端側が接合(例えば、縫合や接着などであってよい)されていてもよく、前記間仕切りの左右両端に位置する面のうちの他方の面に固定部材(例えば、ガイドなどであってもよい)が接合されていてもよく、前記連結帯の他端側が前記固定部材に対して固定(例えば、抜け止めによる掛止などであってもよい)可能に構成されていてもよい。また、前記固定部材による前記連結帯の固定位置が変更可能に構成されていてもよい。さらに、帯の両端同士を係止できるよう、帯の両端部にホック、面ファスナー、バックルなどが設けられていてもよい。これらの部品には、前記抜け止めとしての役割を担わせてもよい。
【0041】
図5(A)~(E)に、連結帯60を有する折り畳み式間仕切り500を例示する。
図5(A)及び(B)に示されるように、連結帯60は、間仕切りの左右方向の一端面10xと他端面10yとを連結している。ここで、連結帯60は、その両端が面10x、10yに直接的に接合されている必要はない。例えば、連結帯60をガイド80に挿入したうえで、帯の端部60xにガイド80の挿入口よりも大きな部品71を取り付け、当該ガイド80に部品71を引っ掛けることで、連結帯60が間仕切りの面10x、10yを連結できるようにしてもよい。この場合、ガイド80は上記の固定部材としても機能し得る。また、
図5(A)~(E)に示されるように、連結帯60の両端部60x、60yには、バックルのような互いに係合可能な部品71、72が設けられていてもよく、この場合、
図5(C)~(E)に示されるように、折目20を介して布を折り畳んで、連結帯60を一周させたうえで、部品71、72を互いに係合させることで、当該布を連結帯60によって拘束することができる。また、
図5(A)及び(B)に示されるように、連結帯60の端部60xにおける部品71の取り付け位置を変更可能に構成することで、固定部材としてのガイド80による連結帯60の固定位置(連結帯60の一端60xから他端60yまでの長さ)を任意に変更することもできる。
【0042】
5.補足
以上の通り、本実施の形態の折り畳み式間仕切りは、布製であることから、軽量で小さく折り畳むことができるため携行が容易であり、かつ意匠性も高い。また、間仕切りを構成する布が上下方向において所定の剛軟度を有することから、折目以外の部分での折り畳みも可能であるとともに、枠体や支持体などの支えなしに自立できる。また、布製であることで洗濯等も可能であり、折り畳み式間仕切りを清潔に保ちやすい。このような折り畳み式間仕切りは、任意の面に対して自立して設置することができ、例えば、卓上間仕切りとして使用できる。尚、本実施の形態の折り畳み式間仕切りにおいては、
図1~5に示されたような各構成が組み合わされて採用されてもよいし、図示されていないその他の構成が採用されてもよい。
【実施例0043】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲で変更を施すことは、全て本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の例における各種性能等の測定、試験および評価は次の方法で行った。
【0044】
<剛軟度>
JIS L1096:2010に規定されるA法(45°カンチレバー法)に準じ測定した。なお、布を重ねて用いる場合、重ねられた布の各々の上下方向および左右方向の剛軟度を測定し、測定された各々の剛軟度の合計値を求めた。
【0045】
<目付>
試料を100cm2にカットしたものを測定試料として、電子天秤を用いて質量を測定し、1m2あたりの質量に換算し、布の目付とした。
【0046】
<撥水度>
JIS L1092:2009に規定されるはっ水度試験(スプレー試験)に準じて初期の撥水度を級判定した。また、洗濯後の撥水度は、JIS L1930:2014に規定されるC4M法により5回洗濯した後、吊り干しにて乾燥させる作業を1セットとし、5回洗濯(1セット)および10回洗濯(2セット)後、上記試験にて撥水度を級判定した。
【0047】
(実施例1)
糸の太さ738dtexの綿糸の一部をインジゴにより染色し、経糸に染色した糸を用い、緯糸に染色していない糸を用い、3/1綾のデニム生地を製織した。得られたデニム生地の剛軟度は経106mm、緯86mm、目付は870g/m2であった。
【0048】
得られたデニム生地から、経30cm×緯60cmの横長の長方形2枚を切り出し、2枚をぴったりと重ね、短辺から1cm内側の部分を、短辺に沿って略平行にミシンで縫うことで、間仕切りの上下方向に延在する折目を1つ有し、折り畳むと上下方向30cm×左右方向60cmの長方形状、展開すると上下方向30cm×左右方向118cmの長方形状、質量157gの布製の折り畳み式間仕切りを得た(
図6参照)。
【0049】
得られた布製の折り畳み式間仕切りを、折目を中心として「くの字(Vの字)」状に立たせると自立し、意匠性の高い間仕切りとして問題なく使用できた。また、設けた折目以外の場所で折り畳んでも、展開すると畳みジワは残っておらず、自立性や意匠性に変化はないため、非常に小さく折り畳んで携行することができた。
【0050】
(実施例2)
糸の太さ235dtexのポリアミド糸を経糸に用い、糸の太さ155dtexのポリアミド糸を緯糸に用い、それぞれ2本ずつ引き揃えてオックスフォード生地を製織した。
【0051】
得られたオックスフォード生地を、150g/Lのベンジルアルコールの水分散液中に投入して98℃で40分処理を行い、次いで湯洗いすることで風合いが硬い生地を得た。
【0052】
さらに酸性染料にてネビー色に染色し、次いで1.5質量%のアクリル系撥水剤、およびイソシアネート系架橋剤の水分散液中に生地を浸漬し、マングルロールで絞った後に170℃で乾燥することにより、繊維表面に撥水剤が付着している布を得た。得られた布の剛軟度は経86mm、緯80mm、目付は228g/m2、初期の撥水度は4級、5回洗濯および10回洗濯後の撥水度はともに3級であった。
【0053】
得られた布から、経40cm×緯100cmの横長の長方形を切り出し、1つの面の左右方向の長さが全て10cmとなるよう、互い違いの方向に折り曲げて9つの折線を付けた(
図7(A)参照)。次に、左端の面と隣接する面を折り重なった状態で全周を縫い、左端の面のみを二重にした。同様にして、右端の面も二重にした(
図7(B)参照)。次いで、残りの全ての折線に対し、折線から5mm内側の部分を折線に沿って略平行にミシンで縫うことで、間仕切りの上下方向に延在する折目を7つ有し、折り畳むと上下方向40cm×左右方向10cmの長方形状、展開すると上下方向40cm×左右方向73cmの長方形状、質量92gの布製の折り畳み式間仕切りを得た(
図7(C)参照)。
【0054】
得られた布製の折り畳み式間仕切りを、屏風のように立たせると自立し、意匠性の高い間仕切りとして問題なく使用できた。また、設けた折目以外の場所で折り畳んでも、展開すると畳みジワは残っておらず、自立性や意匠性に変化はないため、非常に小さく折り畳んで携行することができた。
【0055】
(実施例3)
実施例2と同様に、オックスフォード生地の製織、硬仕上げ加工、染色加工、撥水加工を行い、繊維表面に撥水剤が付着した、布製の折り畳み式間仕切りに用いる布を得た。
【0056】
得られた布から、経80cm×緯120cmの長方形を切り出し(
図8(A)参照)、長辺と平行に2つ折りにしてから全周をミシンで縫い、上下方向40cm×左右方向120cmの二重のシートとした(
図8(B)参照)。二重のシートの剛軟度は経172mm、緯160mmであった。次いで、1つの面の左右方向の長さが全て30cmとなるよう、互い違いの方向に折り曲げて3つの折線を付けた(
図8(B)参照)。さらに、全ての折線に対し、折線から5mm内側の部分を折線に沿って略平行にミシンで縫った(
図8(C)参照)。最後に、黒色に染色したポリエステルベルト(丸善織物株式会社製、規格:E1.5×25、幅25mm、剛軟度176mm)を40cmの長さで2本切り出し、間仕切りの、間仕切りを展開した際に同一の側の左右両端にミシンで縫合した(
図8(D)参照)。以上により、間仕切りの上下方向に延在する折目を3つ有し、折り畳むと上下方向40cm×左右方向30cmの長方形状、展開すると上下方向40cm×左右方向117cmの長方形状、質量235gの布製の折り畳み式間仕切りを得た。
【0057】
得られた布製の折り畳み式間仕切りを、「コの字(Uの字)」状に立たせると自立し、意匠性の高い間仕切りとして問題なく使用できた。また、間仕切りの内部でパソコン操作を行ったところ、キーボードの打鍵音やマウスの操作音が外部から聞こえにくくなっていた。さらに、設けた折目以外の場所で折り畳んでも、展開すると畳みジワは残っておらず、自立性や意匠性に変化はないため、非常に小さく折り畳んで携行することができた。
【0058】
(実施例4)
実施例3の布製の折り畳み式間仕切りに対し、実施例3で使用したポリエステルベルト(補強帯)と同一のポリエステルベルト(連結帯)を、両端にポリエステルベルト(補強帯)を縫合したのと同一の側で、間仕切りの左右方向と平行に延在するよう配置し、間仕切りの左右方向一端の面の、上下方向は中央、左右方向は折目の近傍に、前記ポリエステルベルト(連結帯)と間仕切りとを縫合し(
図9(A)参照)、かつポリエステルベルト(連結帯)の一端に雌型バックルを取り付けた(
図9(B)参照)。一方、両端にポリエステルベルト(補強帯)を縫合したのと同一の側で、左右方向他端の面の、上下方向は中央、左右方向は折目の近傍に、前記ポリエステルベルト(連結帯)を挿通できるガイドを縫合した(
図9(C)参照)。前記ガイドに前記ポリエステルベルト(連結帯)の他端を挿通し、さらにポリエステルベルト(連結帯)の他端に雄型バックルを取り付け、前記ガイドから抜けないようにすることで、ポリエステルベルト(連結帯)の両端部が間仕切りの左右両端に位置する面に固定されるようにした(
図9(D)参照)。
【0059】
次いで、ポリエステルベルト(補強帯及び連結帯)を縫合した側とは反対の側の面に対し、長方形状のダブルラッセル編地を配置して3辺を縫合することで、物品を収納できるポケットを設けた(不図示)。
【0060】
得られた布製の折り畳み式間仕切りを、「コの字」状に立たせると自立し、意匠性の高い間仕切りとして問題なく使用できた。また、間仕切りの内部でパソコン操作を行ったところ、キーボードの打鍵音やマウスの操作音が外部から聞こえにくくなっていた。さらに、設けた折目以外の場所で折り畳んでも、展開すると畳みジワは残っておらず、自立性や意匠性に変化はないため、非常に小さく折り畳んで携行することができた。さらに、設けたポケット内には、書類やパソコンなどを収納でき、かつ取り付けた一対のバックルを篏合することで、布製の折り畳み式間仕切りを鞄としても利用することができた。さらに、布製の折り畳み式間仕切りのオックスフォード生地面について撥水度を評価したところ、初期の撥水度は4級、5回洗濯および10回洗濯後の撥水度はともに3級であった。
【0061】
以上の通り、所定の剛軟度を有する布に対して折目をつけることによって、自立可能であり、携行性や意匠性にも優れる折り畳み式間仕切りを得ることができた。