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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110635
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】部品装着装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230802BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012212
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】平木 勉
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE51
5E353EE71
5E353EE88
5E353GG01
5E353HH30
5E353JJ02
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353LL04
5E353NN12
5E353NN20
5E353QQ07
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】部品装着装置における基台の熱膨張に伴う実装ヘッドのXY位置の補正精度低下を抑止する。
【解決手段】部品装着装置は、基台に対して相対的に移動可能であって、基台側に設けられた部品供給部から部品をピックアップして基板に前記部品を装着する実装ヘッドと、基板を搬送する基板搬送部と、基台に設けられ、基板の搬送方向に沿って所定の間隔にて配置された複数のマークを有する一対のマーク配置部材を含むマーク配置部と、実装ヘッドに備えられ、マークを撮像する撮像部と、撮像部による撮像画像に基づき、実装ヘッドの位置ずれ量を算出する制御部と、一対のマーク配置部材同士を懸架する懸架部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対して相対的に移動可能であって、前記基台側に設けられた部品供給部から部品をピックアップして基板に前記部品を装着する実装ヘッドと、
前記基板を搬送する基板搬送部と、
前記基台に設けられ、前記基板の搬送方向に沿って所定の間隔にて配置された複数のマークを有する一対のマーク配置部材を含むマーク配置部と、
前記実装ヘッドに備えられ、前記マークを撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像画像に基づき、前記実装ヘッドの位置ずれ量を算出する制御部と、
前記一対のマーク配置部材同士を懸架する懸架部材と、を備える、
部品装着装置。
【請求項2】
前記マーク配置部は、
前記マーク配置部材を前記基台に連結する第1の連結部材と、
前記マーク配置部材と前記基台との相互間の相対的な移動を可能に、前記マーク配置部材を前記基台に連結する第2の連結部材と、をさらに含む、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記第2の連結部材は、
上部材と、
下部材と、
弾性体を含み、前記上部材と前記下部材のうちいずれか一方を他方に対して付勢する付勢手段と、を備える、
請求項2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記懸架部材の端部に設けられる、
請求項3に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記第2の連結部材は、前記一対のマーク配置部材のうちいずれか一方の前記マーク配置部材にのみ設けられる、
請求項2から4のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記マーク配置部材は、
第1の部材と、
前記第1の部材の上方に位置し、前記複数のマークが配置された第2の部材と、
前記第1の部材の下方と前記第2の部材の上方との両側から挟持する挟持部材と、を含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記第2の部材の熱膨張係数は、前記第1の部材の熱膨張係数よりも小さい、
請求項6に記載の部品装着装置。
【請求項8】
前記懸架部材の熱膨張係数は、前記基台の熱膨張係数よりも小さい、
請求項1から7のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実装ヘッドにより部品供給部から電子部品(以下、単に「部品」と称す)をピックアップし、基板に実装する部品装着装置が知られる。実装ヘッドは、部品装着装置に水平移動自在に備えられ、部品供給部と基板との間を移動して部品のピックアップ及び実装を連続して行う。部品装着装置は、実装ヘッドと基板の位置合わせにおいて、実装ヘッドに備えられたカメラにより基板を撮像し、撮像した画像の画像処理結果に基づいて実装ヘッドのXY位置を補正する。
【0003】
実装ヘッドを水平移動させるヘッド移動機構は、実装ヘッドの連続した動作によって生じる熱により、経時変化し得る。そのため、初期段階で適正に位置補正がされたとしても、経時変化に起因する実装ヘッドの位置ずれにより、実装品質の低下が生じ得る。このような問題を解決するため、等間隔に並ぶ複数のマークを所定のタイミングで撮像して水平方向のずれ量を求め、当該ずれ量に基づいて実装ヘッドのXY位置を補正する方法が知られる(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-152421号公報
【特許文献2】特開2017-168619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品装着装置の基台には、実装ヘッドのXY位置の補正精度向上のため、複数のマークが長手方向に等間隔に並ぶバー(以下、熱補正バーと称する)が2本、基板に部品を実装する領域(以下、実装領域と称する)を挟んで配置される。この際、熱補正バーを熱膨張係数の小さい材料で構成することにより、基台が熱膨張したとしてもマークの間隔はほとんど変化しない。しかし、2つの熱補正バーの間隔は、基台の熱膨張により変化し得るため、実装ヘッドのXY位置の補正精度が低下し得る。
【0006】
本開示は、部品装着装置における基台の熱膨張に伴う実装ヘッドのXY位置の補正精度低下の抑止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る部品装着装置は、基台に対して相対的に移動可能であって、前記基台側に設けられた部品供給部から部品をピックアップして基板に前記部品を装着する実装ヘッドと、前記基板を搬送する基板搬送部と、前記基台に設けられ、前記基板の搬送方向に沿って所定の間隔にて配置された複数のマークを有する一対のマーク配置部材を含むマーク配置部と、前記実装ヘッドに備えられ、前記マークを撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像画像に基づき、前記実装ヘッドの位置ずれ量を算出する制御部と、
前記一対のマーク配置部材同士を懸架する懸架部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、部品装着装置における基台の熱膨張に伴う実装ヘッドのXY位置の補正精度低下を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る部品装着装置の平面図
図2図1に示す部品装着装置の部分断面図(A-A断面)
図3】本実施の形態に係るマーク配置機構の平面図
図4】本実施の形態に係るマーク配置機構の斜視図
図5】本実施の形態に係るマーク配置機構の斜視図
図6】本実施の形態に係るマーク配置機構の部分拡大図
図7】本実施の形態に係るマーク配置機構におけるマーク配置部材と第2の連結部材との接合部分の断面斜視図
図8】本実施の形態に係るマーク配置機構におけるマーク配置部材と第2の連結部材との接合部分の断面正面図
図9】本実施の形態に係るマーク配置機構におけるマーク配置部材と第2の連結部材との接合部分のずれが生じた場合の断面正面図
図10】本実施の形態に係るマーク配置機構における付勢手段の断面斜視図
図11】本実施の形態に係る部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図
図12】本実施の形態に係る部品実装方法の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(本実施の形態)
<部品装着装置の構成>
図1及び図2を参照して、基板に部品を実装する部品装着装置1の構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る部品装着装置1の平面図を示す。図2は、図1に示す部品装着装置1の部分断面図(図1のA-A断面)を示す。
【0012】
以下、基板搬送方向(図1の紙面の左右方向)をX軸方向、X軸方向と水平面内において直交する方向(図1の紙面の上下方向)をY軸方向、水平面と直交する高さ方向(図2の紙面の上下方向)をZ軸方向と定義する。
【0013】
図1において、基台1aの中央には、X軸方向に基板を搬送する基板搬送部2が配設される。基板搬送部2は、並行に配設された少なくとも2つの搬送レール2aを含んで構成される。基板搬送部2は、上流側から搬入された基板3を搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに位置決めして保持する。
【0014】
基板搬送部2の側方には、部品供給部4が配置される。部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並列に装着される。
【0015】
テープフィーダ5は、部品Dを収納したキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送部2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッド8の部品吸着位置に部品Dを供給する。
【0016】
基台1a上面において、X方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム6が配設される。Y軸ビーム6には、同様にリニア駆動機構を備えたX軸ビーム7が、Y方向に移動自在に結合される。
【0017】
X軸ビーム7には、実装ヘッド8がX方向に移動自在に装着される。実装ヘッド8は、複数の保持ヘッドを備えた多連型ヘッドである。それぞれの保持ヘッドの下端部には、図2に示すように、部品Dを吸着及び保持し、個別に昇降可能な吸着ノズル8aが装着される。
【0018】
Y軸ビーム6、及び、X軸ビーム7を駆動することにより、実装ヘッド8は、X軸方向、及び、Y軸方向に自在に移動する。
【0019】
これにより、実装ヘッド8は、部品供給部4のテープフィーダ5の部品吸着位置から部品Dを吸着ノズル8aによって取り出し、基板搬送部2に位置決めされた基板3の実装点に部品Dを移送搭載する。
【0020】
Y軸ビーム6及びX軸ビーム7は、実装ヘッド8を水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動させるヘッド移動機構9を構成する。
【0021】
このように、実装ヘッド8は、基台1aに対して相対的に水平移動可能に設けられ、部品供給部4から部品Dをピックアップして基板3に実装する。
【0022】
部品供給部4と基板搬送部2との間には、部品認識カメラ10が配設される。部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド8が、部品認識カメラ10の上方を移動する際に、部品認識カメラ10は、実装ヘッド8に保持された状態の部品Dを撮像して認識する。
【0023】
実装ヘッド8には、X軸ビーム7の下面側に位置して、実装ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ11が装着される。実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ11は、基板搬送部2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3を撮像して認識する。なお、基板認識カメラ11は、撮像部と読み替えられてもよい。
【0024】
実装ヘッド8による基板3への部品実装動作において、部品認識カメラ10による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ11による基板認識結果とに基づいて、部品Dを基板3に実装する位置(実装位置)のずれ(つまり位置ずれ)の補正が行われる。
【0025】
実装ヘッド8をヘッド移動機構9によって移動させ、部品Dを部品供給部4から取り出して基板3に移送搭載する部品実装作業では、実装ヘッド8を部品供給部4と基板3との間で反復して移動させる実装ターンが、高頻度で実行される。この反復動作によって、ヘッド移動機構9を構成するX軸ビーム7のリニア駆動機構又は摺動部分から熱が発生し、この熱によってX軸ビーム7は熱変形(例えば熱膨張)し得る。例えば、X軸ビーム7は、熱変形によって、伸縮したり、曲がったり、ねじれたりし得る。熱変形の大きさはX軸ビーム7の温度に依存するため、X軸ビーム7の形状は経時的に変化し得る。
【0026】
X軸ビーム7が熱変形すると、実際に部品Dを基板3に搭載する際の吸着ノズル8aの位置(以下、実位置と称する)と、X軸ビーム7に熱変形が発生していない理想状態における吸着ノズル8aの位置(以下、理想位置と称する)との間にずれ(以下、実装ずれと称する)が生じる。
【0027】
この実装ずれの大きさを検出するために、マーク配置機構40が、基台1aに設置される。マーク配置機構40は、図1に示すように、基板搬送部2に位置決めされた状態の基板3を挟んでX軸方向に延びる長方形状の(つまりバー形状の)2つのマーク配置部材42A、42Bを含む。マーク配置部材42A、42Bの上面には、長手方向に所定の間隔で複数のマーク46が配置される。
【0028】
実装ヘッド8と共に移動する基板認識カメラ11によってマーク配置部41のマーク46を認識し、理想位置との比較を行うことにより、実装ヘッド8の実位置の理想位置に対するずれ(位置ずれ)を検出できるようになっている。次に、本実施の形態に係るマーク配置部材42A、42Bを含むマーク配置機構40について詳細に説明する。
【0029】
<マーク配置機構の構成>
次に、図3図10を参照して、マーク配置機構40の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るマーク配置機構40の平面図(上から見た図)を示す。図4は、本実施の形態に係るマーク配置機構40の斜視図を示す。図5は、本実施の形態に係るマーク配置機構40の斜視図を示す。図6は、本実施の形態に係るマーク配置機構40の部分拡大図を示す。図7は、本実施の形態に係るマーク配置機構40におけるマーク配置部材42Bと第2の連結部材70との接合部分の断面斜視図(図5のB-B断面)を示す。図8は、本実施の形態に係るマーク配置機構40におけるマーク配置部材42Bと第2の連結部材70との接合部分の断面正面図(図5のB-B断面)を示す。図9は、本実施の形態に係るマーク配置機構40におけるマーク配置部材42Bと第2の連結部材70との接合部分のずれが生じた場合の断面正面図(図5のB-B断面)を示す。図10は、本実施の形態に係るマーク配置機構40における付勢手段73の断面斜視図(図5のC-C断面)を示す。
【0030】
図3図5に示すように、マーク配置機構40は、互いに略平行に配置される一対のマーク配置部材42A及びマーク配置部材42Bと、マーク配置部材42A及びマーク配置部材42Bを懸架する懸架部材50A及び懸架部材50Bと、マーク配置部材42Aを基台1aに連結する第1の連結部材60と、マーク配置部材42Bを基台1aに連結する第2の連結部材70とを備える。本実施の形態では、マーク配置部材42A、マーク配置部材42B、第1の連結部材60、及び、第2の連結部材70を含む構成を、マーク配置部41と称する。
【0031】
マーク配置部材42A及びマーク配置部材42Bは、基板搬送部2に位置決めされた状態の基板3を挟んで、当該基板3の搬送方向(つまりX軸方向)に沿って延びる長方形状(例えばバー形状)を呈する。なお、マーク配置部材42A、42Bは、マークプレート、マークバー、又は、熱補正バーといった他の用語に読み替えられてもよい。
【0032】
図4図5及び図6に示すように、マーク配置部材42A及びマーク配置部材42Bは、それぞれ、第1の部材43と、当該第1の部材43の上方に位置する(つまり第1の部材43上に載置される)第2の部材44と、第1の部材43の下方と第2の部材44の上方とを両側から挟持する挟持部材45とを含んで構成される。
【0033】
挟持部材45は、第1の部材43の下方と第2の部材44の上方とを挟持する板バネであってよい。
【0034】
第1の部材43は、鉄を含んで構成されてよい。第2の部材44は、石英ガラスを含んで構成されてよい。すなわち、第2の部材44の熱膨張係数は、第1の熱膨張係数よりも小さい。
【0035】
第2の部材44の上面には、所定の間隔(例えば10mm間隔)にて複数のマーク46が配置される。すなわち、複数のマーク46は、基板3の搬送方向(つまりX軸方向)に沿って所定の間隔にて配置される。第2の部材44が石英ガラスを含んで構成される場合、マーク46は、石英ガラスに対するクロム蒸着によって付加されてよい。石英ガラスの熱膨張係数は0.6×10-6(1/℃)であり、ほとんど熱膨張しないため、第2の部材44のマーク46は、X軸ビーム7の熱変形に伴う実装ヘッド8の位置ずれを算出するための基準に用いることができる。なお、マーク46の形状は、円形であってよい。ただし、マーク46の形状は、円形とは異なる形状(例えば多角形、十字形等)であってもよい。
【0036】
懸架部材50A及び懸架部材50Bは、マーク配置部材42A又はマーク配置部材42Bの長手方向と交差(例えば直交)する方向(つまりY軸方向)に延びる長方形状(例えばバー形状)を呈する。懸架部材50A及び懸架部材50Bの熱膨張係数は、基台1aの熱膨張係数よりも小さい。
【0037】
第1の連結部材60は、上下方向(つまりZ軸方向)に延びる柱形状であり、上端をマーク配置部材42Aの第1の部材43に連結し、下端を基台1aに連結する。第1の連結部材60の少なくとも1つは、図7図9に示すように、ねじ80及び皿ばね81によって第1の部材43に連結されてよい。図8に示すように、第1の部材43のねじ穴82の直径L1は、ねじ80の直径L2よりも大きくてよい。つまり、第1の部材43のねじ穴82は、所定の隙間83を有してよい。ただし、第1の部材43の複数のねじ穴82のうち、所定の1つの第1の連結部材60が連結されるねじ穴82は所定の隙間83を有しなくてもよい。つまり、所定の1つの第1の連結部材60は、マーク配置部材42Aの第1の部材43を基台1aに固定的に連結されてよい。
【0038】
第2の連結部材70は、マーク配置部材42Bと基台1aとの相互間の相対的な移動を可能に、マーク配置部材42Bを基台1aに連結する。なお、図4図5では、第2の連結部材70は、マーク配置部材42Bに設けられているが、第2の連結部材70は、マーク配置部材42Aに設けられてもよい。すなわち、第2の連結部材70は、一対のマーク配置部材42A,42Bのうちのいずれか一方にのみ設けられてよい。
【0039】
次に、図7図10を参照して、第2の連結部材70について詳細に説明する。
【0040】
図10に示すように、第2の連結部材70は、上部材71と、下部材72と、付勢手段73とを含んで構成される。上部材71及び下部材72は、それぞれ、上下方向(つまりZ軸方向)に延びる柱形状である。上部材71は、下部材72の上に配置される。
【0041】
上部材71は、図7図9に示すように、上端をマーク配置部材42Bの第1の部材43に連結する。上部材71は、ねじ80及び皿ばね81によって第1の部材43に連結されてよい。第1の部材43のねじ穴82の直径L1は、ねじ80の直径L2よりも大きくてよい。つまり、第1の部材43のねじ穴82は、所定の隙間83を有してよい。
【0042】
下部材72は、図10に示すように下端をねじ86によって基台1aに連結する。
【0043】
付勢手段73は、図10に示すように、弾性体(例えばばね)を含み、上部材71と下部材72のうちいずれか一方を他方に対して付勢する。例えば、付勢手段73は、下部材72の上端部分に固定され、上部材71の下端部分をばね力で挟持することにより、上部材71と下部材72とを締結する。あるいは、付勢手段73は、上部材71の下端部分に固定され、下部材72の上端部分をばね力で挟持することにより、上部材71と下部材72とを締結する。
【0044】
懸架部材50A、50Bは、図3図5図10に示すように、一端を第1の連結部材60に連接し、他端を第2の連結部材70の付勢手段73に連接する。図10に示すように、懸架部材50A、50Bは、ねじ90及び皿ばね91によって第2の連結部材70の付勢手段73に連接されてよい。懸架部材50A、50Bのねじ穴92の直径は、ねじ90の直径よりも大きくてよい。つまり、懸架部材50A、50Bのねじ穴92は、所定の隙間93を有してよい。
【0045】
また、図4図5に示すように、懸架部材50A、50Bの高さ方向(つまりZ軸方向)の位置は、マーク配置部材42A、42Bの高さ方向の位置よりも下方である。具体的には、懸架部材50A、50Bは、基板搬送部2の移動を妨げないように、基板搬送部2よりも下方に配置される。
【0046】
<マーク配置機構の作用及び効果>
次に、上述した本実施の形態に係るマーク配置機構40の構成による作用及び効果について説明する。
【0047】
マーク配置機構40では、基台1aよりも熱膨張係数の小さい懸架部材50A、50Bが、一端を第1の連結部材60に連接し、他端を第2の連結部材70の上部材71に付勢手段73を介して連接している。よって、基台1aが熱膨張して第1の連結部材60と第2の連結部材70の下部材72との間の距離が延びたとしても、懸架部材50A、50Bにより第1の連結部材60と第2の連結部材70の上部材71との間の距離はほぼ変化しない。すなわち、マーク配置部材42Aに付加されるマーク46と、マーク配置部材42Bに付加されるマーク46との間の距離はほぼ変化しない。よって、基台1aが熱膨張したとしても、マーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度は、ほとんど低下しない。なお、基台1aの熱膨張による第1の連結部材60と、第2の連結部材70の下部材72との間の距離の延びは、懸架部材50A、50Bが連接される付勢手段73におけるねじ穴92の隙間93により吸収される。
【0048】
また、基台1aが熱膨張した場合、基台1aに連結されている2つの第1の連結部材60の間の距離が延びる。しかし、第1の部材43のねじ穴82の隙間83により、この2つの第1の連結部材60の間の距離の延びは吸収される。また、第1の部材43が熱膨張した場合、第1の部材43はX軸方向に延びる。しかし、第1の部材43と第2の部材44とは挟持部材45によって挟持されているので、第1の部材43の延びは、第2の部材44に影響を与えない。よって、第2の部材44は、基台1a及び第1の部材43の熱膨張の影響を受けない。したがって、第1の部材43が熱膨張したとしても、マーク配置部材42A、42Bに付加されるマーク46の間隔は変化しないため、これらのマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度は、ほとんど低下しない。
【0049】
<ハードウェア構成>
次に、図11を参照して、部品装着装置1の制御系の構成について説明する。図11は、本実施の形態に係る部品装着装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0050】
制御部30は、部品装着装置1の全体制御装置である。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、プロセッサ、又は、コントローラといった他の用語に読み替えられてもよい。制御部30は、記憶部31に記憶された処理プログラムを実行して、部品装着装置1の基板搬送部2、部品供給部4、実装ヘッド8、ヘッド移動機構9、及び、表示部33を制御する。
【0051】
表示部33は、部品認識カメラ10及び基板認識カメラ11の撮像画像を含む各種情報を表示する液晶ディスプレーなどである。
【0052】
記憶部31には、実装データ31a及び位置ずれ量データ31bなどの部品実装作業に使用される各種データが記憶される。記憶部31は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ又はそれらの組み合わせによって構成されてよい。
【0053】
実装データ31aは、実装される部品Dの種類及び実装位置などのデータであり、生産対象の基板の種類ごとに記憶される。
【0054】
制御部30は、内部制御機能として、認識処理部32、実装制御部30a、及び、算出部30bを有する。
【0055】
認識処理部32は、部品認識カメラ10、及び、基板認識カメラ11による撮像画像39に対して認識処理を行う。例えば、認識処理部32は、撮像画像39から、部品D、基板3、及び/又は、マーク配置部41のマーク46を認識する。
【0056】
実装制御部30aは、基板搬送部2、部品供給部4、実装ヘッド8、及び、ヘッド移動機構9を制御することにより、部品Dを部品供給部4から取り出して基板3に移送搭載する作業(部品実装作業)を行う。
【0057】
算出部30bは、上述したように、基板認識カメラ11によって撮像された撮像画像39に含まれるマーク配置部41のマーク46に基づいて、実装ヘッド8のX軸ビーム7の位置Xに対する位置ずれ量を算出する。算出部30bは、X軸ビーム7の位置Xと算出した位置ずれ量とを対応付けて位置ずれ量データ31bとして記憶部31に格納する。
【0058】
<部品実装方法>
図12を参照して、部品装着装置1によって部品Dを基板3に実装する部品実装方法の流れについて説明する。図12は、本実施の形態に係る部品実装方法の流れを示すフローチャートである。
【0059】
実装制御部30aは、ヘッド移動機構9を制御して実装ヘッド8を基準位置に移動させ、基板認識カメラ11を制御して、マーク配置部41のマーク46を撮像する(S41)。
【0060】
認識処理部32は、ステップS41の撮像画像からマーク46を認識する(S42)。
【0061】
算出部30bは、上述したように、撮像画像から認識した少なくとも2つのマーク46の位置関係に基づいて、基準位置に位置した実装ヘッド8の位置ずれ量を算出する(S43)。算出部30bは、算出した位置ずれ量を、位置ずれ量データ31bとして記憶部31に記憶してよい。
【0062】
実装制御部30aは、部品実装作業を行う(S44)。すなわち、実装制御部30aは、実装ヘッド8を制御して、部品Dを部品供給部4から取り出して基板3に移送搭載する。このとき、実装制御部30aは、記憶部31に記憶されている位置ずれ量に基づいて、部品Dの実装位置を補正する。
【0063】
実装制御部30aは、所定の部品実装作業が完了したか否かを判定する(S45)。
【0064】
実装制御部30aは、所定の部品実装作業が完了していない場合(S45:NO)、処理をステップS44に戻す。
【0065】
実装制御部30aは、所定の部品実装作業が完了した場合(S45:YES)、本処理を終了する。本処理の終了後、部品実装済みの基板3は搬出され、次に部品を実装する基板3が搬入される。
【0066】
ステップS41~S45は、所定枚数の実装基板の生産が完了するまで繰り返し実行されてよい。
【0067】
また、ステップS41~S43の処理は、必ずしも、基板3の部品搭載が行われる毎に実行される必要はない。すなわち、ステップS41~S43は、X軸ビーム7(又はY軸ビーム6)の熱変形の時間変動(経時変化)を考慮して、所定の頻度で実行されてよい。
【0068】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下の付記のように表現できる。
【0069】
<付記1>
本開示に係る部品装着装置1は、基台1aに対して相対的に移動可能であって、基台1a側に設けられた部品供給部4から部品Dをピックアップして基板3に部品Dを装着する実装ヘッド8と、基板3を搬送する基板搬送部2と、基台1aに設けられ、基板3の搬送方向に沿って所定の間隔にて配置された複数のマーク46を有する一対のマーク配置部材42A、42Bを含むマーク配置部41と、実装ヘッド8に備えられ、マーク46を撮像する撮像部(例えば基板認識カメラ11)と、撮像部による撮像画像に基づき、実装ヘッド8の位置ずれ量を算出する制御部30と、一対のマーク配置部材42A、42B同士を懸架する懸架部材50A、50Bと、を備える。
これにより、基台1aが熱膨張したとしても、マーク配置部材42Aとマーク配置部材42Bとの間の距離は、マーク配置部材42A、42B同士を懸架する懸架部材50A、50Bによりほぼ変化しない。よって、マーク配置部材42A、42Bに含まれるマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下は抑制される。
【0070】
<付記2>
付記1に記載の部品装着装置1において、マーク配置部41は、マーク配置部材42Aを基台1aに連結する第1の連結部材60と、マーク配置部材42Bと基台1aとの相互間の相対的な移動を可能に、マーク配置部材42Bを基台1aに連結する第2の連結部材70とをさらに含んでよい。
これにより、基台1aが熱膨張したとしても、基台1aに連結される第2の連結部材70の位置の移動が、マーク配置部材42Aとマーク配置部材42Bとの間の距離に影響を及ぼさない。よって、マーク配置部材42A、42Bに含まれるマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下は抑制される。
【0071】
<付記3>
付記2に記載の部品装着装置1において、第2の連結部材70は、上部材71と、下部材72と、弾性体を含み、上部材71と下部材72のうちいずれか一方を他方に対して付勢する付勢手段73と、を備えてよい。
これにより、基台1aが熱膨張したとしても、第1の連結部材60と第2の連結部材70の下部材72との間の距離の変化が付勢手段73によって吸収され、マーク配置部材42Aとマーク配置部材42Bとの間の距離に影響を及ぼさないので、これらのマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下が抑制される。
【0072】
<付記4>
付記3に記載の部品装着装置1において、付勢手段73は、懸架部材50A、50Bの端部に設けられる。
これにより、懸架部材50A、50Bが、付勢手段73を介して第2の連結部材70に連結されるので、基台1aが熱膨張したとしても、第1の連結部材60と第2の連結部材70の下部材72との間の距離の変化が付勢手段73によって吸収され、マーク配置部材42Aとマーク配置部材42Bとの間の距離に影響を及ぼさないので、これらのマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下が抑制される。
【0073】
<付記5>
付記2から4のいずれか1項に記載の部品装着装置1において、第2の連結部材70は、一対のマーク配置部材42A、42Bのうちいずれか一方のマーク配置部材(例えば42B)にのみ設けられてよい。
これにより、基台1aが熱膨張した場合における第1の連結部材60と第2の連結部材70との間の距離の変化は、第1の連結部材60の位置が基準となり、第2の連結部材70の方で吸収されるので、第1の連結部材60と第2の連結部材70との相対位置のねじれが生じない。
【0074】
<付記6>
付記1から5のいずれか1項に記載の部品装着装置1において、マーク配置部材42A、42Bは、第1の部材43と、第1の部材43の上方に位置し、複数のマーク46が配置された第2の部材44と、第1の部材43の下方と第2の部材44の上方との両側から挟持する挟持部材45と、を含んでよい。
これにより、第1の部材43の熱膨張による延びは、第2の部材44に影響を及ぼさない。よって、第2の部材44に配置されたマーク46の位置もほぼ変化しないので、これらのマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下が抑制される。
【0075】
<付記7>
付記6に記載の部品装着装置1において、第2の部材44の熱膨張係数は、第1の部材43の熱膨張係数よりも小さくてよい。
これにより、第1の部材43の熱膨張による延びは、第2の部材44に影響を及ぼさない。よって、第2の部材44に配置されたマーク46の位置もほぼ変化しないので、これらのマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下が抑制される。
【0076】
<付記8>
付記1から7のいずれか1項に記載の部品装着装置1において、懸架部材50A、50Bの熱膨張係数は、基台1aの熱膨張係数よりも小さくてよい。
これにより、懸架部材50A、50Bの熱膨張は抑制されるので、マーク配置部材42Aとマーク配置部材42Bとの間の距離もほぼ変化しない。よって、マーク配置部材42A、42Bに含まれるマーク46を基準とする実装ヘッド8のXY位置の補正精度の低下は抑制される。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示の技術は、部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 部品装着装置
1a 基台
2 基板搬送部
2a 搬送レール
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ
6 Y軸ビーム
7 X軸ビーム
8 実装ヘッド
8a 吸着ノズル
9 ヘッド移動機構
10 部品認識カメラ
11 基板認識カメラ
30 制御部
30a 実装制御部
30b 算出部
31 記憶部
31a 実装データ
31b 位置ずれ量データ
32 認識処理部
33 表示部
39 撮像画像
40 マーク配置機構
41 マーク配置部
42A、42B マーク配置部材
43 第1の部材
44 第2の部材
45 挟持部材
46 マーク
50A、50B 懸架部材
60 第1の連結部材
70 第2の連結部材
71 上部材
72 下部材
73 付勢手段
80 ねじ
81 皿ばね
82 ねじ穴
83 隙間
86 ねじ
90 ねじ
91 皿ばね
92 ねじ穴
93 隙間
D 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12