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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110642
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ユニット接合用金物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
E04B1/348 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012222
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 周平
(72)【発明者】
【氏名】磯田 信賢
(72)【発明者】
【氏名】河村 優輝
(72)【発明者】
【氏名】大原 和之
(72)【発明者】
【氏名】大津 達▲郎▼
(72)【発明者】
【氏名】寺村 大真
(57)【要約】
【課題】六面体形状を備える建物ユニットを、スムーズに上下方向に接合して一体化できると共に、接合状態をスムーズに解除できるユニット接合用金物を提供する。
【解決手段】建物ユニット10取り付けられる、固定用係止開口21cを有する第1接合金物21と、固定用係止開口22cを有する第2接合金物22と、固定ボルト部材23とを含んで構成される。建物ユニット10を上下に連設して設置する際に、第1接合金物21の重合せプレート部21bと第2接合金物22の重合せプレート部22bとを重ね合わせると共に、これらに形成された固定用係止開口21c,22cを合致させて、合致させた双方の固定用係止開口21c,22cに固定ボルト部材23を着脱可能に同時に挿入して締着することによって、上下に連設する建物ユニット10を接合できるようになっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連設して組み付けられることにより建築物を形成する、六面体形状を備える建物ユニットの上端部分及び/又は下端部分に取り付けられて、下層の建物ユニット又は基礎の上に当該建物ユニットを設置して接合する際に用いるユニット接合用金物であって、
固定用係止開口を有する第1接合金物と、固定用係止開口を有する第2接合金物と、前記第1接合金物の固定用係止開口と前記第2接合金物の固定用係止開口とに同時に挿入係止される固定ボルト部材とを含んで構成されており、
前記第1接合金物及び前記第2接合金物は、建物ユニットの上端部分又は下端部分の表面に密着して固定される密着接合プレート部と、該密着接合プレート部から張り出して設けられた、前記固定用係止開口が形成された重合せプレート部とからなり、
前記第1接合金物及び前記第2接合金物のいずれか一方が、当該建物ユニットの上端部分又は前記基礎の上端部分に取り付けられるようになっていると共に、いずれか他方が、当該建物ユニットの下端部分における、下層の建物ユニット又は基礎の上端部分に取り付けられた前記いずれか一方の金物の取付け位置と対応する、所定の位置に取り付けられるようになっており、
当該建物ユニットを設置する際に、前記第1接合金物の重合せプレート部と前記第2接合金物の重合せプレート部とを重ね合わせると共に、これらに形成された前記固定用係止開口を合致させて、合致させた双方の前記固定用係止開口に前記固定ボルト部材を同時に挿入して締着することによって、当該建物ユニットを下層の建物ユニット又は基礎の上に固定できるようにするユニット接合用金物。
【請求項2】
前記第1接合金物及び前記第2接合金物の前記重合せプレートに形成された前記固定用係止開口は、長円形状又は楕円形状を有する開口穴となっており、前記第1接合金物の前記固定用係止開口と前記第2接合金物の前記固定用係止開口は、開口穴の長軸方向が互いに交差し、且つ互いに反対側に傾くように、長軸方向を前記密着接合プレート部に対して斜めに延設させた状態で形成されている請求項1記載のユニット接合用金物。
【請求項3】
前記第1接合金物及び前記第2接合金物のいずれか一方は、前記重合せプレート部が、前記密着接合プレート部に対して鈍角に、くの字形状に折れ曲がった状態で張り出して設けられており、いずれか他方は、前記重合せプレート部が、前記密着接合プレート部に対して鋭角に、レの字形状に折れ曲がった状態で張り出して設けられている請求項1又は2記載のユニット接合用金物。
【請求項4】
請求項3記載のユニット接合用金物が下端部分に複数取り付けられた、連設して組み付けられることにより建築物を形成する六面体形状を備える建物ユニットであって、
複数の前記ユニット接合用金物は、前記建物ユニットの矩形枠形状の下端部分における四方の辺部の各々の側面に、前記密着接合プレート部に対して前記重合せプレート部が折れ曲がる向きを揃えた状態で取り付けられている建物ユニット。
【請求項5】
複数の前記ユニット接合用金物は、前記建物ユニットの矩形枠形状の下端部分における四方の辺部の各々の内側の側面に、前記密着接合プレート部に対して前記重合せプレート部が折れ曲がる向きを、矩形枠形状の内側を向くように揃えた状態で取り付けられている請求項4記載の建物ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット接合用金物及び建物ユニットに関し、特に下層の建物ユニットの上に当該建物ユニットを設置して接合する際に用いるユニット接合用金物、及び該ユニット接合用金物が取り付けられた建物ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば住宅建築物等の建物として、工期の短縮や作業効率の向上等を図ることを目的として、予め工場等において、好ましくは大型トラックの荷台に収まる大きさの六面体形状となるように製造した箱形の建物ユニットを、建築現場まで搬送して組み付けることにより構築される、ユニット建築物が提案されており、このようなユニット建築物を形成するための建物ユニットが、種々開発されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
これらの特許文献1~3に記載の建物ユニットは、予め工場等において製造された後に、トラック等よって建築現場まで搬送され、建築現場において好ましくは上下方向及び/又は左右方向に連設して組み付けられることで、建物を構築する際の耐力構造を形成することになるが、上下方向や左右方向に組み付けられた複数の建物ユニットによって、所望の構造耐力が安定して得られるようにするには、これらの複数の建物ユニットを互いに接合して一体化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-14055号公報
【特許文献2】特開2016-205022号公報
【特許文献3】特開2020-20178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなことから、建物ユニットを用いて建物を構築する従来の工法によれば、建物の建築現場において、複数の建物ユニットを上下方向や左右方向に連設して設置した後に、連設するこれらの建物ユニットを、種々の固定用の接合金物を用いて接合することにより、一体化することが行なわれていたが、所望の構造耐力が得られるように、これらの建物ユニットを、固定用の接合金物を用いて精度良く安定した状態で一体化する作業には、多くの手間を要しているのが現状である。このため、建物の建築現場において、特に上下方向に連設して組付けられる建物ユニットを、多くの手間を要することなく、精度良くスムーズに接合して一体化できるようにする技術の開発が望まれている。
【0006】
また特に、建物ユニットによる新たな建物の施工方法として、複数の建物ユニットを組み付けて形成されている既存のユニット建築物を、個々の建物ユニットに解体した後に、解体して得られた複数の建物ユニットを別の構築現場に搬送し、当該別の構築現場において、搬送された複数の建物ユニットを再度組み付けて、ユニット建築物を新たに構築し直すといった構築工法が提案されている。このような、解体して得られた複数の建物ユニットを用いて新たにユニット建築物を構築し直す構築工法を、効率良く行うことができるようにするために、一体化されている複数の建物ユニットの接合状態をスムーズに解除したり、連設して設置された建物ユニットをスムーズに接合し直して一体化できるようにする技術の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、六面体形状を備える建物ユニットに取り付けて用いられて、特に上下方向に連設して設置される建物ユニットを、スムーズに接合して一体化することができると共に、上下方向に一体化されている建物ユニットの接合状態を、スムーズに解除させることのできるユニット接合用金物、及び該ユニット接合用金物が取り付けられた建物ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、連設して組み付けられることにより建築物を形成する、六面体形状を備える建物ユニットの上端部分及び/又は下端部分に取り付けられて、下層の建物ユニット又は基礎の上に当該建物ユニットを設置して接合する際に用いるユニット接合用金物であって、固定用係止開口を有する第1接合金物と、固定用係止開口を有する第2接合金物と、前記第1接合金物の固定用係止開口と前記第2接合金物の固定用係止開口とに同時に挿入係止される固定ボルト部材とを含んで構成されており、前記第1接合金物及び前記第2接合金物は、建物ユニットの上端部分又は下端部分の表面に密着して固定される密着接合プレート部と、該密着接合プレート部から張り出して設けられた、前記固定用係止開口が形成された重合せプレート部とからなり、前記第1接合金物及び前記第2接合金物のいずれか一方が、当該建物ユニットの上端部分又は前記基礎の上端部分に取り付けられるようになっていると共に、いずれか他方が、当該建物ユニットの下端部分における、下層の建物ユニット又は基礎の上端部分に取り付けられた前記いずれか一方の金物の取付け位置と対応する、所定の位置に取り付けられるようになっており、当該建物ユニットを設置する際に、前記第1接合金物の重合せプレート部と前記第2接合金物の重合せプレート部とを重ね合わせると共に、これらに形成された前記固定用係止開口を合致させて、合致させた双方の前記固定用係止開口に前記固定ボルト部材を同時に挿入して締着することによって、当該建物ユニットを下層の建物ユニット又は基礎の上に固定できるようにするユニット接合用金物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
また、本発明のユニット接合用金物は、前記第1接合金物及び前記第2接合金物の前記重合せプレートに形成された前記固定用係止開口が、長円形状又は楕円形状を有する開口穴となっており、前記第1接合金物の前記固定用係止開口と前記第2接合金物の前記固定用係止開口は、開口穴の長軸方向が互いに交差し、且つ互いに反対側に傾くように、長軸方向を前記密着接合プレート部に対して斜めに延設させた状態で形成されていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明のユニット接合用金物は、前記第1接合金物及び前記第2接合金物のいずれか一方は、前記重合せプレート部が、前記密着接合プレート部に対して鈍角に、くの字形状に折れ曲がった状態で張り出して設けられており、いずれか他方は、前記重合せプレート部が、前記密着接合プレート部に対して鋭角に、レの字形状に折れ曲がった状態で張り出して設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記ユニット接合用金物が下端部分に複数取り付けられた、連設して組み付けられることにより建築物を形成する六面体形状を備える建物ユニットであって、複数の前記ユニット接合用金物は、前記建物ユニットの矩形枠形状の下端部分における四方の辺部の各々の側面に、前記密着接合プレート部に対して前記重合せプレート部が折れ曲がる向きを揃えた状態で取り付けられている建物ユニットを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0012】
そして、本発明の建物ユニットは、複数の前記ユニット接合用金物が、前記建物ユニットの矩形枠形状の下端部分における四方の辺部の各々の内側の側面に、前記密着接合プレート部に対して前記重合せプレート部が折れ曲がる向きを、矩形枠形状の内側を向くように揃えた状態で取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のユニット接合用金物又は建物ユニットによれば、上下方向に連設して設置される建物ユニットを、スムーズに接合して一体化することができると共に、上下方向に一体化されている建物ユニットの接合状態を、スムーズに解除させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の好ましい一実施形態に係るユニット接合用金物の使用状態を説明する、図3のA部拡大図の斜視図である。
図2図2(a),(b)は、本発明の好ましい一実施形態に係るユニット接合用金物の構成を説明する斜視図である。
図3図3は、ユニット接合用金物の取付け位置を例示する、上下方向に連設して組み付けられる木造軸組み建物ユニットの接合部の説明図である。
図4図4は、ユニット接合用金物を用いて接合される複数の建物ユニットを例示する斜視図である。
図5図5は、複数の建物ユニットを上下方向及び左右方向に連設して組み付けた状態を例示して説明する斜視図である。
図6図6は、建物ユニットの上下の組み合わせを変えて施工する際の説明図である。
図7図7(a)は、第1接合金物及び第2接合金物の重合せプレートに開口形成される固定係止開口の他の形態を例示する略示正面図であり、図7(b)は、第1接合金物及び第2接合金物の重合せプレートを重ね合わせた状態を示す略正面図である。
図8図8(a)、(b)は、上下方向接合金物の他の形態を例示する略示側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2(a)、(b)に例示する本発明の好ましい一実施形態に係るユニット接合用金物20は、六面体形状を備える建物ユニットとして、図4に例示する軸組構法用の複数の建物ユニット10を、好ましくは左右方向及び上下方向及び一体として接合して組み付けて、例えば図5に示すような、軸組構法による木造の建物の骨組み構造30を形成する際に、特に左右方向に連設して設置された建物ユニットを、スムーズに接合して一体化するための接合用の金物として用いられる。
【0016】
本実施形態では、建物ユニット10は、軸組構法による木造の建物の骨組み構造30を形成可能な、軸組構法用の建物ユニットとなっており、構造用柱部材11及び構造用梁部材12,13による、骨組みとなる六面体形状の枠組み構造を備えている。軸組構法用の建物ユニット10は、構造用柱部材11及び構造用梁部材12を用いたことで、相当の構造耐力を備えることになり、大掛かりな建物をも形成することが可能なユニットとなっている。また建物ユニット10は、予め工場等において製造された後に、トラック等よって建築現場まで搬送されて組み付けられることで、効率良く建物を構築することを可能にすると共に、好ましくは後述するように、大掛かりな建物を形成する場合でも、ユニット自体の重量が増加するのを抑制して、搬送時や建築現場での設置時の手間を軽減できるようにすることに加えて、吊り上げた際に歪みや変形が生じないような、十分な保形剛性を担保できるようになっている。
【0017】
さらに、本実施形態では、好ましくはユニット建築物を構成する全ての建物ユニット10が、当該建物ユニット10を形成する4本の角部構造用柱部材11と、各4本の上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13とが、同様の形状を備えるものとして、仕様が統一されたユニットとなっており、これによって例えば図6に示すように、好ましくは既存のユニット建築物を解体して、解体後の複数の建物ユニット10を別の構築現場に搬送し、搬送した複数の建物ユニット10を再度組み付けて、新たにユニット建築物を構築し直すことができるようになっている。
【0018】
本実施形態のユニット接合用金物20は、このような、複数の建物ユニット10を組み付けて形成されている既存のユニット建築物を、個々の建物ユニット10に解体した後に、解体して得られた複数の建物ユニット10を別の構築現場に搬送し、当該別の構築現場において、搬送された複数の建物ユニット10を再度組み付けて、ユニット建築物を新たに構築し直すといった構築工法を採用した場合でも、特に上下方向に一体化されている複数の建物ユニットの接合状態をスムーズに解除したり、上下方向に連設して設置された建物ユニットをスムーズに接合し直して一体化できるようにすることで、このような構築工法を効率良く施工できるようにする機能をも備えている。
【0019】
そして、本実施形態のユニット接合用金物20は、連接して組み付けられることにより建築物を形成する、六面体形状を備える建物ユニット10の上端部分及び/又は下端部分(本実施形態では下層の建物ユニット10の上端部分及び上層の建物ユニット10の下端部分)に取り付けられて、下層の建物ユニット10又は基礎の上に当該建物ユニット10を設置して接合する際に用いるユニット接合用金物20であって、図1及び図2(a),(b)に示すように、固定用係止開口21cを有する第1接合金物21と、固定用係止開口22cを有する第2接合金物22と、第1接合金物21の固定用係止開口21cと第2接合金物22の固定用係止開口22cとに同時に挿入係止される固定ボルト部材23とを含んで構成されている。第1接合金物21及び第2接合金物22は、建物ユニット10の上端部分又は下端部分の表面に密着して固定される密着接合プレート部21a,21bと、これらの密着接合プレート部21a,22aから張り出して設けられた、固定用係止開口21c,22cが形成された重合せプレート部21b,22bとからなり、第1接合金物21及び第2接合金物22のいずれか一方(本実施形態では第1接合金物21)が、当該建物ユニット10の上端部分又は基礎(図示せず)の上端部分に取り付けられるようになっていると共に、いずれか他方(本実施形態では第2接合金物22)が、当該建物ユニット10の下端部分における、下層の建物ユニット10又は基礎の上端部分に取り付けられたいずれか一方の金物(本実施形態では第1接合金物21)の取付け位置と対応する、所定の位置に取り付けられるようになっている。当該建物ユニット10を設置する際に、第1接合金物21の重合せプレート部21bと第2接合金物22の重合せプレート部22bとを重ね合わせると共に、これらに形成された固定用係止開口21c,22cを合致させて、合致させた双方の固定用係止開口21c,22cに固定ボルト部材23を同時に挿入して締着することによって、当該建物ユニット10を下層の建物ユニット10又は基礎の上に固定できるようになっている。
【0020】
また、本実施形態では、第1接合金物21及び第2接合金物22の重合せプレート21b,22bに形成された固定用係止開口21a,22aは、長円形状又は楕円形状を有する開口穴となっており、第1接合金物21の固定用係止開口21aと第2接合金物22の固定用係止開口22aは、開口穴の長軸方向X1,X2(図7(a)、(b)参照)が互いに交差し、且つ互いに反対側に傾くように、長軸方向X1,X2を密着接合プレート部21a,22aに対して斜めに延設させた状態で形成されている。
【0021】
さらに、本実施形態では、第1接合金物21及び第2接合金物22のいずれか一方(本実施形態では第1接合金物21)は、重合せプレート部21bが、密着接合プレート部21aに対して鈍角に、くの字形状に折れ曲がった状態で張り出して設けられており、いずれか他方(本実施形態では第2接合金物22)は、重合せプレート部22bが、密着接合プレート部22aに対して鋭角に、レの字形状に折れ曲がった状態で張り出して設けられている。
【0022】
本実施形態のユニット接合用金物20は、好ましくは予め工場等において、軸組構法用の建物ユニット10を製造する際に、建物ユニット10の上部構造用梁部材12や下部構造用梁部材13の所定の位置に、当該ユニット接合用金物20を構成する第1接合金物21や第2接合金物22を取り付けておくことができ、これによって、建物の建築現場において、搬送された複数の建物ユニット10を特に上下方向に組み付ける際に、これらの上下方向に連設する建物ユニット10を接合し一体化する作業を、よりスムーズに効率良く容易に行えるようにするものとなっている。
【0023】
すなわち、本実施形態では、好ましくは図1及び図3に示すように、軸組構法用の建物ユニット10を構成する上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13の少なくともいずれか一方として、好ましくは上部構造用梁部材12の内側側面には、ユニット接合用金物20の第1接合金物21と第2接合金物22のいずれか一方が、上下に隣接して設置される当該建物ユニット10に取り付けられるいずれか他方の接合金物21,22の位置と対応する、所定の位置に取り付けられている。具体的には、ユニット接合用金物20を構成する第1接合金物21は、第2接合金物22の位置と対応させて、好ましくは、一対の長辺部上部梁部材12aにおける六面体形状の角部に近接する各々の両側部分、及びこれらの中間部分の、6か所に取り付けられている。
【0024】
ここで、本実施形態では、軸組構法用の建物ユニット10は、図4に示すように、各々、六面体形状の4か所の角部分に各々立設して配置される4本の角部構造用柱部材11と、これらの角部構造用柱部材11を連結するように配置された各4本の上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13と、六面体形状の上面を閉塞して取り付けられた平面部耐力面材14と、上縁部及び下縁部が上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13に各々接合されて取り付けられた側面部耐力面材15とを含んで構成されている。建物ユニット10は、例えばトラックの荷台に積み組むことが可能で、且つ建物の1階層分の高さを有する大きさとして、例えば長さが600~700cm程度、横幅が180~250cm程度、高さが250~320cm程度の大きさの、六面体状の枠形状を備えるように形成される。
【0025】
角部構造用柱部材11は、例えば縦横105~180mm程度の大きさ正方形を含む矩形の断面形状を備える木製の角材からなり、軸組構法による建物の骨組みとなる軸組部材として、十分な構造耐力を備えるものとなっている。角部構造用柱部材11は、六面体形状の建物ユニット10の4か所の角部分に、互いに平行に垂直に立設して配置される。これらの4本の角部構造用柱部材11の上端部が、4本の上部構造用梁部材12を介して互いに連結され、下端部が、4本の下部構造用梁部材13を介して互いに連結されることで、角部構造用柱部材11は、これらの4本の上部構造用梁部材12や4本の下部構造用梁部材13と共に、強固な六面体状の骨組み構造を形成する。隣接する各一対の角部構造用柱部材11の間の部分には、補強用や補助用の間柱11’を、適宜取り付けておくこともできる。間柱11’は、構造用柱部材を構成するものでなくても良い。
【0026】
上部構造用梁部材12は、例えば縦横105~300mm程度の大きさ矩形の断面形状を備える木製の角材からなり、後述する上下方向接合金物20を介して接合される下部構造用梁部材13と共に、軸組構法による建物の骨組みとなる軸組部材として、十分な構造耐力を備えるものとなっている。上部構造用梁部材12は、六面体形状の長さ方向に沿った長辺部分に配置される一対の長辺部上部梁部材12aと、横幅方向に沿った短辺部分に配置される一対の短辺部上部梁部材12bとからなる。一対の短辺部上部梁部材12bの間の部分には、補強用や補助用の中間梁12b’を、好ましくは短辺部上部梁部材12bと平行に配置して、適宜取り付けておくこともできる。中間梁12b’は、構造用梁部材を構成するものでなくても良い。本実施形態では、この中間梁12b’と上部構造用梁部材12との側面に周縁部が接合されることで、平面部耐力面材14が、分断された状態で六面体形状の上面を閉塞して取り付けられている。
【0027】
下部構造用梁部材13は、例えば縦横90~120mm程度の大きさ正方形を含む矩形の断面形状を備える木製の角材からなり、後述する上下方向接合金物20を介して接合される上部構造用梁部材12や土台(図示せず)と共に、軸組構法による建物の骨組みとなる軸組部材として、十分な構造耐力を備えるものとなっている。下部構造用梁部材13は、六面体形状の長さ方向に沿った長辺部分に配置される一対の長辺部下部梁部材13aと、横幅方向に沿った短辺部分に配置される一対の短辺部下部梁部材13bとからなる。一対の短辺部下部梁部材13bの間の部分には、補強用や補助用の中間梁13b’を、好ましくは短辺部下部梁部材13bと平行に配置して、適宜取り付けておくこともできる。中間梁13b’は、構造用梁部材を構成するものでなくても良い。
【0028】
角部構造用柱部材11、上部構造用梁部材12、及び下部構造用梁部材13による、六面体形状の骨組み構造の上面を閉塞して取り付けられる平面部耐力面材14は、本実施形態では、上述のように、周囲の上部構造用梁部材12及び中間梁12b’に周縁部が接合されることで、分断された状態で設けられている。平面部耐力面材14は、例えば90~150mm程度の厚さを有する直交集成板(CLT)からなっていることが好ましい。平面部耐力面材14が直交集成板からなっていることにより、地震発生時等における構造躯体の変形抑制効果、天井仕上げ材として美観の向上、火災時における上部への延焼抑制等を図ることが可能になる。
【0029】
角部構造用柱部材11、上部構造用梁部材12、及び下部構造用梁部材13による六面体形状の骨組み構造の、4方の側面の少なくとも一面に取り付けられる側面部耐力面材15は、本実施形態では、図1に示すように、好ましくは上部構造用梁部材12と、下部構造用梁部材13と、角部構造用柱部材11や間柱11’とによって周囲を囲まれる領域において、上縁部及び下縁部が上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13に各々接合されると共に、好ましくは左右の側縁部が角部構造用柱部材11や間柱11’に接合された状態で、六面体形状の側面の適宜の位置に、1か所又は2か所に部分的に配置されて取り付けられている。側面部耐力面材15は、平面部耐力面材14と同様の理由で、直交集成板からなっていることが好ましい。平面部耐力面材14や側面部耐力面材15は、直交集成板の他、構造用合板等の、その他の公知の種々の耐力面材を用いて形成することもできる。
【0030】
上述の構成を備える軸組構法用の建物ユニット10は、予め工場等において製造された後に、トラック等よって建築現場まで搬送され、建築現場において、好ましくは上下方向及び左右方向に組み付けられて、例えば図5に示すような、軸組構法による木造の建物を形成するための、骨組み構造30を構成することができる。すなわち、建物ユニット10は、工場等において、例えば吊上げ用重機を用いて吊り上げられてトラック等に積み込まれると共に、搬送先の建築現場においても同様に、吊上げ用重機等を用いてトラック等から吊り上げられて、所定の取り付け位置に設置されることになる。本実施形態では、建物ユニット10は、角部構造用柱部材11や、上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13による、軸組部材を用いた耐力構造となっているので、耐力壁パネルを用いた耐力構造となっている従来の建物ユニットと比較して、大掛かりな建物を形成する場合でも、パネルの壁厚を大きくする必要を生じてユニット自体の重量が増加するのを、効果的に抑制することが可能になる。これによって搬送時や建築現場での設置時の手間を、効果的に軽減することが可能になる。また六面体形状の一部に平面部耐力面材14や側面部耐力面材15を備えていることで、吊り上げた際に歪みや変形が生じないような、十分な保形剛性を担保することが可能になる。
【0031】
したがって、このような建物ユニット10を用いて、軸組構法による大掛かりなユニット建築物を構築する場合でも、安定した状態で効率良く構築することが可能になると共に、搬送時や建築現場での設置時に、建物ユニット10を吊り上げた際に歪みや変形が生じないように、建物ユニット10に十分な保形剛性を担保することが可能になる。
【0032】
また、本実施形態では、建物ユニット10は、後述するように、ユニット接合用金物20を用いて、特に上下方向に複数連設した状態で一体化することによって、好ましくは軸組構法によるユニット建築物や、このようなユニット建築物を一部に含む建物を、より一層効率良く容易に形成することが可能になる。
【0033】
さらに、本実施形態では、好ましくは軸組構法によるユニット建築物を構成する全ての建物ユニット10を、当該建物ユニット10を構成する、4本の角部構造用柱部材11と、各4本の上部構造用梁部材12及び下部構造用梁部材13とが、同様の形状を備えるものとして仕様を統一しておくことによって、例えば図6に示すように、好ましくはユニット建築物を解体して、解体後の複数の建物ユニット10を別の構築現場に搬送し、搬送した複数の建物ユニット10を再度組み付けて新たにユニット建築物を構築し直す際に、建物ユニット10の仕様か統一されていることで、例えば上下階の建物ユニット10を入れ替える等、異なる建物ユニット10の配置で、新たにユニット建築物を容易に構築することが可能になる。
【0034】
そして、本実施形態では、ユニット接合用金物20は、図2(a)、(b)にも示すように、上部構造用梁部材12の側面又は下部構造用梁部材13の側面に密着して接合される密着接合プレート部21a,22aと、密着接合プレート部21a,22aから側方に張り出して設けられた、固定係止開口21c,22cを有する重合せプレート部21b,22bとを有する第1接合金物21及び第2接合金物22と、これらの第1接合金物21及び第2接合金物22の重合せプレート部21b,22bを重ね合わせることで合致させた固定係止開口21c,22cに挿入係止される、固定ボルト部材23とを含んで構成されている。
【0035】
第1接合金物21は、例えば厚さが6~9mm程度、横幅が150~300mm程度の大きさの金属製のプレート部材からなり、例えば150~300mm程度の縦幅の密着接合プレート部21aに対して、例えば縦幅が50~150mm程度の重合せプレート部21bが、くの字形状に鈍角に折れ曲がった状態となるように、溶接等によって接合されている。重合せプレート部21bは、上部構造用梁部材12の好ましくは内側側面に密着接合プレート部21aが密着して接合された際に、好ましくは内側側方に張り出して設けられるようになっている。重合せプレート部21bの好ましくは中央部分には、固定ボルト部材23を締着させる固定係止開口21cが形成されている。密着接合プレート部21aには、これの表裏を貫通して、固定用のビス孔21dが適宜の位置に複数形成されている。これらのビス孔21dに固定ビス(図示せず)を、上部構造用梁部材12の好ましくは内側側面に向けて打ち込むことによって、第1上下金物21を、上部構造用梁部材12の所定の位置に、強固に取り付けておくことが可能になる。
【0036】
第2接合金物22は、第1接合金物21と同様に、例えば厚さが6~9mm程度、横幅が150~300mm程度の大きさの金属製のプレート部材からなり、例えば150~300mm程度の縦幅の密着接合プレート部22aに対して、例えば縦幅が150~300mm程度の重合せプレート部22bが、レの字形状に鋭角に折れ曲がった状態となるように、溶接等によって接合されている。重合せプレート部22bは、下部構造用梁部材13の好ましくは内側側面に密着接合プレート部22aが密着して接合された際に、好ましくは内側側方に張り出して設けられるようになっている。重合せプレート部22bの好ましくは中央部分には、固定ボルト部材23を定着させる固定係止開口22cが形成されている。密着接合プレート部22aには、これの表裏を貫通して、固定用のビス孔22dが適宜の位置に複数形成されている。これらのビス孔22dに固定ビス(図示せず)を、下部構造用梁部材13の好ましくは内側側面に向けて打ち込むことによって、第2上下金物22を、上部構造用梁部材13の所定の位置に、強固に取り付けておくことが可能になる。
【0037】
上下方向に積重ねて設置される一対の木造軸組み建物ユニット10を組み付ける際に合致させた、第1接合金物21及び第2接合金物22の固定係止開口21c,22cに挿入係止される固定ボルト部材23として、本実施形態では、例えば外周面に雄ネジ突条が形成された雄ネジボルトを用いることができる。この雄ネジボルトを、合致した固定係止開口21c,22cに挿通して、例えばナット部材を用いて締着することによって、第1接合金物21の重合せプレート部21bと第2接合金物22の重合せプレート部22bとを、密着させた状態で強固に固定できるようになっている。これによって、これらの第1接合金物21や第2接合金物22が固定された、積重ねて設置される一対の木造軸組み建物ユニット10を、上下方向に一体として容易に連結して組み付けることが可能になる。
【0038】
また、本実施形態では、第1接合金物21及び第2接合金物22の重合せプレート21b,22bに開口形成される固定係止開口21c,22cは、例えば図7(a)、(b)に示すように、好ましくは細長い長円形状又は楕円形状を有する開口穴とすることができ、第1接合金物21の固定係止開口21cと第2接合金物22の固定係止開口22cは、これらの開口穴21c,22cの長軸方向X1,X2が互いに交差し、且つ互いに反対側に傾くように、長軸方向X1,X2を密着接合プレート部21a,22aに対して斜めに延設させた状態で形成することができる。これによって、第1接合金物21の重合せプレート21bに第2接合金物の重合せプレート22bを重ね合わせて、下方の木造軸組み建物ユニット10の上に上方の木造軸組み建物ユニット10を位置決めする際に、木造軸組み建物ユニット10に誤差等があってこれらの重合せプレート21b,22bを精度良く重ね合わせることができず、固定係止開口21c,22cの位置が相対的にずれる場合でも、これらの位置ずれを吸収し、一対の固定係止開口21c,22cをこれらの交差部分において合致させることで、合致した部分において固定係止開口21c,22cに固定ボルト部材23を締着させることを可能にして、上下方向に隣接する一対の木造軸組み建物ユニット10を、安定した状態で一体として接合することが可能になる。
【0039】
さらに、本実施形態では、第1接合金物21は、下方の木造軸組み建物ユニット10の上部構造用梁部材12の両側の長辺部上部梁部材12aにおける、好ましくは内側の側面に、斜めに傾斜する重合せプレート部21bを外側に向けた状態で各々取り付けられており、第2接合金物22は、上方の木造軸組み建物ユニット10の下部構造用梁部材13の両側の長辺部下部梁部材13aにおける、好ましく内側の側面の、上方の造軸組み建物ユニット10に取り付けられた第1上接合物21と対応する位置に、斜めに傾斜する重合せプレート部22bを内側に向けた状態で各々取り付けられている。これらによって、下方の木造軸組み建物ユニット10の上に上方の木造軸組み建物ユニット10を位置決めする際に、下方の木造軸組み建物ユニット10の両側の長辺部上部梁部材12aに取り付けられた第1接合金物21の、外側を向いた重合せプレート部21bに、上方の木造軸組み建物ユニット10の両側の長辺部下部梁部材13aに取り付けられた第2接合金物22の、内側を向いた重合せプレート部22bを擦り合わせながら、上方の木造軸組み建物ユニット10を吊り降ろすことにより、下方の木造軸組み建物ユニット10に対する上方の木造軸組み建物ユニット10の横幅方向の位置決めを、容易に行うことが可能になる。
【0040】
さらにまた、本実施形態では、第1接合金物21を、下方の建物ユニット10の上部構造用梁部材12の両側の短辺部上部梁部材12bにおける、好ましくは内側の側面に、斜めに傾斜する重合せプレート部21bを外側に向けた状態で各々取り付けておき、第2接合金物22を、上方の建物ユニット10の下部構造用梁部材13の両側の短辺部下部梁部材13bにおける、好ましく内側の側面の、上方の建物ユニット10に取り付けた第1接合金物21と対応する位置に、斜めに傾斜する重合せプレート部22bを内側に向けた状態で各々取り付けておくこともできる。これらによって、下方の建物ユニット10の上に上方の建物ユニット10を位置決めする際に、下方の建物ユニット10の両側の短辺部上部梁部材12bに取り付けられた第1接合金物21の、外側を向いた重合せプレート部21bに、上方の木造軸組み建物ユニット10の両側の短辺部下部梁部材13bに取り付けられた第2接合金物22の、内側を向いた重合せプレート部22bを擦り合わせながら、上方の建物ユニット10を吊り降ろすことにより、下方の建物ユニット10に対する上方の建物ユニット10の長さ方向の位置決めもまた、容易に行うことが可能になる。
【0041】
そして、上述の構成を備える本実施形態のユニット接合用金物20によれば、六面体形状を備える建物ユニット10に取り付けて用いられて、上下方向に連設して設置される建物ユニットを、スムーズに接合して一体化することができると共に、上下方向に一体化されている建物ユニットの接合状態を、スムーズに解除させることが可能になる。
【0042】
すなわち、本実施形態のユニット接合用金物20は、固定用係止開口21cを有する第1接合金物21と、固定用係止開口22cを有する第2接合金物22と、第1接合金物21の固定用係止開口21cと第2接合金物22の固定用係止開口22cとに同時に挿入係止される固定ボルト部材23とを含んで構成されており、第1接合金物21及び第2接合金物22は、一対の建物ユニット10の対向する接合面における対向する位置に取り付けて用いられるようになっているので、第1接合金物21の重合せプレート21bに第2接合金物22の重合せプレート22bを重ね合わせるとともに、これらに形成された固定用係止開口21c,22cを合致させて、上下に隣接する一対の建物ユニット10を位置決めした後に、合致させた双方の固定用係止開口21c,22cに固定ボルト部材23を同時に挿入して締着することによって、上層の建物ユニット10を下層の建物ユニット10の上に固定することが可能になり、これによって連接して設置された建物ユニット10をスムーズに接合して一体化することが可能になる。
【0043】
また、第1接合金物21及び第2接合金物22の固定用係止開口21c,22cに固定ボルト部材23を同時に挿入して締着しているので、例えば固定ボルト部材23を固定用係止開口21c,22cから引き抜くことにより、固定ボルト部材23による締着状態を容易に解除して、第1接合金物21と第2接合金物22とを開孔することで、位置決めされて一体化している建物ユニット10の接合状態をスムーズに解除することが可能になる。
【0044】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明のユニット接合用金物が取り付けられて上下方向に接合される建物ユニットは、構造用柱部材や構造用梁部材を用いた軸組部材による軸組構法用の建物ユニットである必要は必ずしもなく、好ましくは直交集成板等からなる面状の構造用パネル部材を用いた、壁パネルによる建物ユニット等であっても良い。また木製以外の六面形状を備える建物ユニットであっても良い。建物ユニットは、居室部用のユニットの他、建物の屋根部分を形成する屋根ユニットや、屋根裏空間や床板空間を形成するユニットであっても良い。ユニット接合用金物は、建物ユニットの内側の側面の他、外側の側面等に取り付けられていても良い。
【0045】
また、ユニット接合用金物は、第1接合金物がくの字状に折れ曲がった形状を備えており、第2接合金物がレの字状に折れ曲がった形状を備えている必要は必ずしもなく、図8(a)に示すように、第1接合金物や第2接合金物は、L字状に折れ曲がった形状を備えていても良い。図8(b)に示すように、第1接合金物及び第2接合金物を、双方共にレの字状に折れ曲がった形状に形成して、これらを別途に設けたくの字形状の補助金物を介して、一体として接合固定することもできる。上下方向接合金物を構成する第1上下金物や第2上下金物は、例えば地震力を負担する上下階の耐力壁同士を接合する金物や、耐力壁と基礎とを接合する金物等の、当該木造軸組み建物ユニットに取り付けられるその他の種々の金物と一体化して、これらの金物の一部として用いることもできる。本発明の木造軸組み建物ユニットは、当該木造軸組み建物ユニットとは異なる、例えば構造用パネル部材を用いた建物ユニットと組み合わせて、軸組構法による建築物ではない建物を形成することもできる。
【0046】
さらに、ユニット接合用金物は、下層の建物ユニットの上に、別の建物ユニットを設置して接合する際に用いる必要は必ずしもなく、例えば、基礎の上に建物ユニットを設置して接合する際に用いることもできる。具体的には、第1接合金物及び第2接合金物のいずれか一方を、基礎の上端部分に取り付け、いずれか他方が、建物ユニットの下端部分における、基礎の上端部分に取り付けられた一方の金物の取り付け位置と対応する、所定の位置に取り付けて用いることもできる。これによって基礎と建物ユニットとをスムーズに接合して一体化することが可能になる。
【符号の説明】
【0047】
10 建物ユニット
11 構造用柱部材
11’ 間柱
12 上部構造用梁部材
12a 長辺部上部梁部材
12b 短辺部上部梁部材
12b’ 中間梁
13 下部構造用梁部材
13a 長辺部下部梁部材
13b 短辺部下部梁部材
13b’ 中間梁
14 平面部耐力面材
15 側面部耐力面材
20 ユニット接合用金物
21 第1接合金物
21a 密着接合プレート部
21b 重合せプレート部
21c 固定係止開口
21d ビス孔
22 第2接合金物
22a 密着接合プレート部
22b 重合せプレート部
22c 固定係止開口
22d ビス孔
23 固定ボルト部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8