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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110714
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】浮動型キャリパ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20230802BHJP
   F16D 55/226 20060101ALI20230802BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
F16D65/00 A
F16D55/226 104H
F16D65/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012318
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(72)【発明者】
【氏名】川島 淳
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058AA73
3J058AA87
3J058BA61
3J058CA52
3J058CA57
3J058FA06
(57)【要約】
【課題】意匠プレートを有する浮動型キャリパの生産性の向上を図ること。
【解決手段】意匠プレート4は当該意匠プレート4に一体に形成される複数の取付部の弾性変形により発生する復元力によってキャリパマウント3に固定される。取付部は、キャリパボディ2の支持に係るスライドピン21を収容する第2ブリッジ部31に対して係止する第1係止部42と、一対のアウタ側トルク受け部33同士をロータ周方向に接続するアウタ側架橋部35に対して係止する第2係止部43と、を備える。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンを摺動可能に収容するシリンダ部と、ディスクロータを該ロータの軸方向に跨いで該軸方向の車両アウタ側にて前記シリンダ部に対向配置される爪部と、前記ディスクロータを跨いで前記シリンダ部と前記爪部とを接続する第1ブリッジ部とを有するキャリパボディと、
一対のスライドピンを介して前記キャリパボディを前記ディスクロータの軸方向に摺動可能に支持するキャリパマウントであって、前記スライドピンを収容する第2ブリッジ部と、前記第2ブリッジ部の一端部から前記ディスクロータの径方向に延出し前記軸方向の車両アウタ側にて前記ディスクロータのトルクを受ける一対のアウタ側トルク受け部と、前記第2ブリッジ部の他端部から前記ディスクロータの径方向に延出し前記軸方向の車両インナ側にて前記ディスクロータのトルクを受ける一対のインナ側トルク受け部と、前記一対のアウタ側トルク受け部同士を前記周方向に接続するアウタ側架橋部と、を含むキャリパマウントと、
前記爪部に対して前記軸方向の車両アウタ側に対向配置された意匠プレートと、
を備える浮動型キャリパであって、
前記意匠プレートは当該意匠プレートに一体に形成される複数の取付部の弾性変形により発生する復元力によって前記キャリパマウントに固定され、
前記取付部は、前記第2ブリッジ部に対して係止する第1係止部と、前記アウタ側架橋部に対して係止する第2係止部と、
を備える浮動型キャリパ。
【請求項2】
前記第2ブリッジ部は前記第1係止部と係止する凹部または凸部を有する、請求項1に記載の浮動型キャリパ。
【請求項3】
前記意匠プレートは、
前記軸方向の前記爪部側から前記浮動型キャリパを見たときに視認可能な前記キャリパマウントの面を押圧する第3係止部を備える、請求項1または請求項2に記載の浮動型キャリパ。
【請求項4】
前記意匠プレートは、
前記アウタ側トルク受け部において前記周方向外側を臨む面を押圧するアウタ側トルク受け部用係止部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の浮動型キャリパ。
【請求項5】
前記意匠プレートの第2係止部は、
前記爪部の前記径方向内側と前記アウタ側架橋部との隙間を前記軸方向の車両アウタ側から車両インナ側に向かって通過する第1部と、
前記第1部から延設され前記アウタ側架橋部の前記軸方向の車両インナ側を前記径方向外側から径方向内側に向かって通過する第2部と、を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の浮動型キャリパ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮動型キャリパに関する。
【背景技術】
【0002】
浮動型キャリパは、ピストンを収容するシリンダ部と、シリンダ部に対向配置される爪部と、を有するキャリパボディを備えている。爪部は、車両の幅方向外側に配置され、車外から目視可能に配置される。そこで、従来、キャリパの意匠性向上及び部品の保護を目的として、キャリパボディに対して、爪部の外面を覆う意匠プレートを設置することが知られている。この意匠プレートとしては、例えば、特許文献1に記載のものを挙げることができる。この例では、意匠プレート(特許文献1では化粧ブレートと表記)がキャリパマウント(同じくキャリパブラケットと表記)に対してねじ止めによって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第04979670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、意匠プレートをねじ止めによりキャリパマウントに固定する構成では、ねじ穴の形成、及びねじ止めにおけるトルク管理が必要となる。ねじ穴の形成にかかるマウントやキャリパボディの加工・設計変更は大掛かりな作業となる。また、ねじの破損や緩みを抑制するためには、意匠プレートの脱着作業において、ねじを適正なトルクで締める必要があるうえ、こうしたトルク管理には、多くの場合、別途の設備が必要となる。このように、従来の構成には、意匠プレートの組付けに係る作業性を含む、浮動型キャリパの生産性の面で改良の余地がある。
本発明の目的は、意匠プレートを有する浮動型キャリパの生産性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の浮動型キャリパは、ピストンを摺動可能に収容するシリンダ部と、ディスクロータを該ロータの軸方向に跨いで該軸方向の車両アウタ側にて前記シリンダ部に対向配置される爪部と、前記ディスクロータを跨いで前記シリンダ部と前記爪部とを接続する第1ブリッジ部とを有するキャリパボディと、一対のスライドピンを介して前記キャリパボディを前記ディスクロータの軸方向に摺動可能に支持するキャリパマウントであって、前記スライドピンを収容する第2ブリッジ部と、前記第2ブリッジ部の一端部から前記ディスクロータの径方向に延出し前記軸方向の車両アウタ側にて前記ディスクロータのトルクを受ける一対のアウタ側トルク受け部と、前記第2ブリッジ部の他端部から前記ディスクロータの径方向に延出し前記軸方向の車両インナ側にて前記ディスクロータのトルクを受ける一対のインナ側トルク受け部と、前記一対のアウタ側トルク受け部同士を前記周方向に接続するアウタ側架橋部と、を含むキャリパマウントと、前記爪部に対して前記軸方向の車両アウタ側に対向配置された意匠プレートと、を有してなる浮動型キャリパを備える。そして、前記意匠プレートは当該意匠プレートに一体に形成される複数の取付部の弾性変形により発生する弾性復元力によって前記キャリパマウントに固定され、前記取付部は、前記第2ブリッジ部に対して係止する第1係止部と、前記アウタ側架橋部に対して係止する第2係止部と、を備える。
【0006】
これによれば、意匠プレートが、当該意匠プレートに一体に形成される複数の取付部の弾性変形により発生する弾性力によってキャリパマウントに固定されるとともに、これら取付部が、第2ブリッジ部に対して係止する第1係止部と、アウタ側架橋部に対して係止する第2係止部と、を備えるため、意匠プレートは、取付部の弾性力によって、ねじ止め固定が不要な状態でキャリパマウントに固定され得る。また、意匠プレートはディスクロータの径方向に離間した複数の係止部(第1係止部及び第2係止部)によってキャリパマウントに固定されるため、仮に、固定に係る取付部の弾性力が多少ばらついたとしても、該意匠プレートは軸方向への倒れ等が好適に抑止され、例えば、その車両アウタ側に配置されるタイヤホイール(車輪)とのクリアランス確保は好適に維持される。よって、こうした固定に係る信頼性を高く維持しつつ、意匠プレートの組付け作業性向上を図ることができるうえ、キャリパマウントへのねじ穴の追加工が不要となるなど意匠プレート組付けのためのキャリパマウントへの加工を最小限に抑えることができる。したがって、意匠プレートを有する浮動型キャリパの生産性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の意匠プレートが取り付けられていない状態の浮動型キャリパを示す斜視図。
図2】第1実施形態のディスクブレーキ装置を示す斜視図。
図3図2のディスクブレーキ装置をロータ軸方向からみた正面図。
図4図3のA-A断面図。
図5】第1実施形態の意匠プレートを示す斜視図。
図6】第2実施形態のディスクブレーキ装置を示す斜視図。
図7】第2実施形態の意匠プレートを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。説明に用いる各図は概念図である。また説明において、ディスクロータRの軸方向を「ロータ軸方向」と称し、ディスクロータRの径方向を「ロータ径方向」と称し、ディスクロータRの周方向を「ロータ周方向」と称する。また、車幅方向におけるディスクロータRよりも内側を「ロータ軸方向インナ側(車両インナ側あるいは単にインナ側ともいう)」と称し、ディスクロータRよりも外側を「ロータ軸方向アウタ側(車両アウタ側あるいは単にアウタ側ともいう)」と称する。つまり、ディスクロータRの軸方向一方側がアウタ側であり、ディスクロータRの軸方向他方側がインナ側である。
【0009】
(第1実施形態)
以下では、図1図5を用いて本発明の第1実施形態について説明する。なお、図1は、説明の便宜上、後述の本発明の意匠プレートが取り付けられていない状態のディスクブレーキ装置を示したものである。ディスクブレーキ装置は、図2及び図3に示すように、車輪とともに回転するディスクロータRと、浮動型キャリパと1、を備えている。本実施形態の浮動型キャリパ1は、キャリパボディ2と、キャリパマウント3と、スライドピン21と、意匠プレート4と、を有している。キャリパマウント3は、車体の非回転部材に取り付けられた金属部材(トルクメンバ)である。
【0010】
図1及び図2に示すようにキャリパマウント3は、ロータ周方向に並んで配置された一対の第2ブリッジ部31と、一対のインナ側トルク受け部32と、一対のアウタ側トルク受け部33と、アウタ側架橋部34と、インナ側架橋部35と、を備えている。一対の第2ブリッジ部31は、ロータ径方向外側において、ディスクロータRをロータ軸方向に跨いでいる。一対のアウタ側トルク受け部33は制動時にディスクロータRを押圧するパッド(不図示)を介してディスクロータRのトルクを間接的に受け止め、一対の第2ブリッジ部31のアウタ側の一端部からロータ径方向内側に延出している。アウタ側架橋部34は、一対のアウタ側トルク受け部33のロータ径方向内側の端部同士を架橋している。一対のインナ側トルク受け部32は制動時にディスクロータRを押圧するパッド(不図示)を介してディスクロータRのトルクを間接的に受け止め、一対の第2ブリッジ部31の他端部(インナ側の端部)からロータ径方向内側に延出している。インナ側架橋部35は、一対のインナ側トルク受け部32のロータ径方向内側の端部同士を架橋している。
【0011】
一対の第2ブリッジ部31には、それぞれロータ軸方向に延在するピンガイド孔(不図示)が形成されている。ピンガイド孔には、スライドピン21がロータ軸方向にスライド可能に挿通されている。キャリパボディ2は、スライドピン21を介し、キャリパマウント3にロータ軸方向に相対移動可能に取付けられている。
【0012】
キャリパボディ2は、金属部材(例えばアルミ製部材)であって、スライドピン21と、シリンダ部22と、第1ブリッジ部23と、爪部24とを備えている。第1ブリッジ部23は、ロータ径方向外側において、ディスクロータRをロータ軸方向に跨ぎ、爪部24とシリンダ部22とを接続している。爪部24は、キャリパボディ2のロータ軸方向アウタ側部位を構成している。
シリンダ部22は、キャリパボディ2のロータ軸方向インナ側部位を構成しており、ピストン(不図示)を摺動可能に収容する。シリンダ部22は、ディスクロータRを介して、爪部24とロータ軸方向に対向している。
【0013】
図2及び図3に示すように、意匠プレート4は、浮動型キャリパ1の意匠性の向上や部品の保護等を目的として、爪部24のロータ軸方向アウタ側(アウタ側の表面)と対向配置されている。本実施形態の意匠プレート4は、一例として金属部品であって、後述する取付部42~44の弾性復元力によってキャリパマウント3に組み付けられる。
意匠プレート4は図5に示すように、爪部24に対してロータ軸方向アウタ側に対向配置されるプレート部41と、該プレート部41から一体に延びる第1~第3係止部(取付部)42~44と、を備えている。プレート部41は板状部材であって、上述の爪部24におけるロータ軸方向アウタ側の面の少なくとも一部(本実施形態では面全体)を覆うものである。
【0014】
プレート部41のロータ径方向外側(図5では上側)には取付部を構成する第1係止部42が一体形成されている。第1係止部42は、基端部421と、フック部422とを備えている。基端部421はプレート部41の一部からロータ軸方向インナ側に向かって延出しており、フック部422は基端部421の先端からロータ径方向内側(図5では下側)に湾曲するようにして延出形成されている。
【0015】
プレート部41のロータ径方向内側には上述同様取付部を構成する第2係止部43が一体形成されている。第2係止部43は、基端部431と、フック部432とを備えている。基端部431はプレート部41の一部からロータ軸方向インナ側に向かって延出しており、フック部432は基端部431の先端からロータ径方向外側に湾曲するようにして延出形成されている。なお、図5では、第2係止部43が3つ設けられる態様を例示したが、例えば、2つまでとしてもよいし、1つのみとしてもよい。
【0016】
プレート部41のロータ周方向両側には上述同様取付部を構成する第3係止部44が一体形成されている。第3係止部44は、離間部441と、挟持部442を備えている。離間部441は、プレート部41のロータ周方向の両端部から周方向の中央に向かって延出しており、さらにその先端がロータ軸方向アウタ側に湾曲している。挟持部442は、プレート部41のロータ周方向の両端部において離間部441と並設されており、該両端部からロータ軸方向インナ側に向かって延出するとともに、その先端がプレート部41のロータ周方向の外側に向かって湾曲している。なお、第3係止部44はプレート部41のロータ径方向内側寄りの位置に設けてもよい。
【0017】
図2に示すように、第1係止部42は、第2ブリッジ部31のロータ軸方向アウタ側に設けられた溝状の凹部36とかみ合う。第1係止部42が凹部36とかみ合った状態で、第2係止部43がアウタ側架橋部34に係止すると、第1係止部42は弾性変形し、ロータ径方向内側に向かって復元力を伴い凹部36に係止する。ここでいう復元力とは、第1係止部42がロータ径方向外側に広げられることで発生する弾性力(弾性復元力)である。またフック部422が凹部36のロータ軸方向の壁と当接することにより、意匠プレート4はロータ軸方向の移動を規制される。なお、例えば、溝状の凹部36に代えて突起状の凸部(不図示)を設けてこれと第1係止部42をかみ合わせてもよい。
【0018】
第2係止部43は、アウタ側架橋部34をロータ軸方向アウタ側から見たときに、アウタ側架橋部34のロータ周方向中央にある湾曲形状に沿うように並んで配置され、アウタ側架橋部34のロータ径方向内側を臨む面とかみ合う。第1係止部42が凹部36とかみ合った状態で、第2係止部43をアウタ側架橋部34にかみ合わせると、上述した第1係止部42同様、第2係止部43は弾性変形し、ロータ径方向外側に向かって復元力を伴いアウタ架橋部34に係止する。ここでいう復元力とは、上述同様、第2係止部43がロータ径方向内側に広げられることで発生する弾性力(弾性復元力)である。またフック部432がアウタ側架橋部34のロータ軸方向インナ側を臨む面と当接することにより、意匠プレート4はロータ軸方向アウタ側への移動が規制される。
【0019】
上述の第1係止部42及び第2係止部43におけるロータ径方向の弾性復元力以外にも、第1係止部42及び第2係止部43がキャリパマウント3に係止された状態で、第3係止部44がプレート部41をアウタ側トルク受け部33からロータ軸方向アウタ側に離間させるような弾性復元力を発生させると、第1係止部42及び第2係止部43においてロータ軸方向に係る弾性復元力をより確実に発生させることが可能になる。
【0020】
すなわち、図4に示すように、第3係止部44の離間部441はアウタ側トルク受け部33のロータ軸方向アウタ側を臨む壁面に押し付けられ、第3係止部44はプレート部41をアウタ側トルク受け部33からロータ軸方向アウタ側に離間させるような弾性復元力を発生させる。第3係止部44の挟持部442は、ロータ周方向外側からアウタ側トルク受け部33を見た時に視認可能な壁面のうち、ロータ径方向内側寄りの面と当接し、弾性復元力を伴いつつアウタ側トルク受け部33の当該壁面を押圧する。挟持部442におけるこの弾性復元力は、挟持部442がロータ周方向外側に向かって広げられることで生じる力である。
【0021】
第1係止部42は、第2ブリッジ部31のロータ軸方向アウタ側に設けられた溝状の凹部36または突起状の凸部にロータ径方向内側に働く弾性復元力を伴い係止する。そして、第2係止部43は、アウタ側架橋部34のロータ径方向内側にロータ径方向外側に向かって働く弾性復元力を伴い係止する。これらによって、第1係止部42と第2係止部43とが意匠プレート4をロータ軸方向アウタ側に外れないように意匠プレート4が組付けられている。
【0022】
なお、本実施形態の意匠プレート4は上記構成に加え、ロータ軸方向の爪部24側から浮動型キャリパ1を見たときに視認可能なキャリパマウント3の面をロータ軸方向に押圧する離間部441と、アウタ側トルク受け部33のロータ周方向外側を、ロータ周方向内側に向かって押圧する挟持部442とを含む第3係止部44を備えている。一例として、離間部441はアウタ側トルク受け部33のロータ径方向の略中央位置を押圧し、挟持部442はロータ周方向外側からアウタ側トルク受け部33を見た時に視認可能な面のうち、ロータ径方向内側寄りにある面を押圧する。上述のような第1~第3係止部42~44を備えた構成によって、ロータ径方向、ロータ軸方向及びロータ周方向への意匠プレート4の移動が好適に規制され、意匠プレートのがたつきを好適に防止することができる。
【0023】
(第2実施形態)
以下では、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は上述の第1実施形態と意匠プレートの構成が異なる。意匠プレート以外の第1実施形態と同様または均等の構成については同様の参照番号を用いることで詳細な説明を省略する。図6及び図7に示すように、意匠プレート5は爪部24の凹凸に沿うように立体的に形成されたプレート部51を有している。第2係止部53は、アウタ側架橋部34と爪部24との間を通り、アウタ側架橋部34のロータ軸方向インナ側を抱え込むように係止する第1~第3部531~533を備えている。第1係止部52は第1実施形態における第1係止部42と同様の機能を有し、第3係止部54を構成する離間部541は第1実施形態における離間部441、挟持部542は第1実施形態における挟持部442と同様の機能を有する。
【0024】
第2係止部53はプレート部51のロータ径方向内側に形成される。第1部531はプレート部51の一部からロータ軸方向インナ側に延びるように形成されている。第2部532は第1部531の先端からロータ径方向内側に向かって折れ曲がり延設されている。第3部533は第2部532の先端からロータ軸方向アウタ側に向かって折れ曲がり延設されている。第2係止部53は、アウタ側架橋部34のロータ軸方向インナ側であってディスクロータRと対向する側を、ロータ軸方向アウタ側に向かって押圧している。第1係止部52と第2係止部53が意匠プレート5をロータ軸方向アウタ側に外れないように係止することで意匠プレート5が組付けられている。これら構成により、第1係止部52が何らかの原因で第2ブリッジ31に設けられた凹部36または突起状の凸部から外れた場合、第1部531と第2部532と第3部533がアウタ側架橋部34をロータ径方向に挟み込むように係止した状態を保とうとするため、意匠プレート5の脱落を好適に防止できる。
【符号の説明】
【0025】
R ディスクロータ
1 浮動型キャリパ
2 キャリパボディ
21 スライドピン
22 シリンダ部
23 第1ブリッジ部
24 爪部
3 キャリパマウント
31 第2ブリッジ部
32 インナ側トルク受け部
33 アウタ側トルク受け部
34 アウタ側架橋部
35 インナ側架橋部
36 凹部
4 意匠プレート(第1実施形態)
41 プレート部
42 第1係止部
421 基端部
422 フック部
43 第2係止部
431 基端部
432 フック部
44 第3係止部
441 離間部
442 挟持部
5 意匠プレート(第2実施形態)
51 プレート部
52 第1係止部
53 第2係止部
531 第1部
532 第2部
533 第3部
54 第3係止部
541 離間部
542 挟持部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7