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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110757
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】微細気泡生成器
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/20 20220101AFI20230802BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20230802BHJP
   E03C 1/084 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B01F3/04
B01F5/06
E03C1/084
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012373
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 知也
【テーマコード(参考)】
2D060
4G035
【Fターム(参考)】
2D060CC17
4G035AB04
4G035AC26
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で容易に取付可能な微細気泡生成器を提供する。
【解決手段】本発明の微細気泡生成器は、流路部材2と、弾性管を取付け可能な取付部13や取付部17を有する上流側継手部材3および下流側継手部材4と、を備え、流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4の内部には水が流動する流路5が形成され、流路部材2は、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が縮小する縮小部7と、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が拡大する拡大部8と、縮小部7と拡大部8との間に形成された細流路部9と、を有する構成としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡生成体と、
弾性管を取付け可能な取付部を有する管体と、を備え、
前記気泡生成体と前記管体の内部には液体が流動する流路が形成され、
前記気泡生成体は、前記流路の上流側から下流側に向かって断面積が縮小する縮小部と、前記上流側から前記下流側に向かって断面積が拡大する拡大部と、前記縮小部と前記拡大部との間に形成された細流路部と、を有することを特徴とする微細気泡生成器。
【請求項2】
前記気泡生成体と前記管体が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の微細気泡生成器。
【請求項3】
前記液体を吐出するポンプに前記気泡生成体が直接接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡生成器。
【請求項4】
前記弾性管に前記液体を吐出するポンプが接続可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡生成器。
【請求項5】
前記管体は、前記気泡生成体の前記上流側と前記下流側に配設されていることを特徴とする請求項1,2または4に記載の微細気泡生成器。
【請求項6】
前記取付部に前記弾性管の抜止部が形成されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の微細気泡生成器。
【請求項7】
前記液体の流れを規制する規制板をさらに備え、
前記規制板が前記気泡生成体の前記上流側に配設され、
前記規制板には、前記液体が通過する通過孔が形成され、
前記通過孔の前記上流側の開口と前記下流側の開口の位置がずれていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の微細気泡生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に微細気泡を生成することが可能な微細気泡生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の微細気泡生成器として、例えば特許文献1には、水道の蛇口に組み込まれる蛇口用マイクロバブル生成器が開示されている。水道の蛇口は、蛇口本体、口部、首振パイプ、袋ナット、Uパッキンおよびリングにより構成されるものであり、蛇口用マイクロバブル生成器は、水道の蛇口から放出される水が挿通可能な流路を有するインサートを備えている。そして、この流路は、液体が流れる上流側から下流側に行くにつれて断面積が減少する第一流路と、上流側から下流側に行くにつれて断面積が拡大する第三流路と、第一流路および第三流路を接続する第二流路と、を有している。ここで蛇口用マイクロバブル生成器を水道の蛇口に組み込むときは、蛇口本体に取付けられた口部から、首振パイプ、袋ナット、Uパッキンおよびリングを一旦取外し、Uパッキンおよびリングを首振パイプに装着し、この首振パイプに蛇口用マイクロバブル生成器を納めて、首振パイプを口部に再度取付けることにより、蛇口用マイクロバブル生成器を水道の蛇口に内蔵させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6579547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、水道の蛇口から放出された水がインサート内の流路を流れるため、このインサートを備える蛇口用マイクロバブル生成器を水道の蛇口に内蔵することで所定の位置に固定している。この微細気泡生成器では、例えば一般的な水道水の給水圧力である略0.1Mpaの水圧に耐えて所定の位置に固定するために蛇口用マイクロバブル生成器を水道の蛇口に内蔵させており、蛇口用マイクロバブル生成器と、水道の蛇口との間に強固な接続の構成を有している。そして特許文献1の微細気泡生成器は、水道の蛇口の部品を一旦取外し、再度取付ける必要があるため、この取外し時や取付け時に工具などが必要となり、また部品の取外し方や取付け方の知識が必要になり、水道の蛇口に微細気泡生成器を容易に取付けることができない、という問題があった。また水道の蛇口に微細気泡生成器を組み込むために、構造が複雑化してしまうという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造で容易に取付可能な微細気泡生成器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の微細気泡生成器は、気泡生成体と、弾性管を取付け可能な取付部を有する管体と、を備え、前記気泡生成体と前記管体の内部には液体が流動する流路が形成され、前記気泡生成体は、前記流路の上流側から下流側に向かって断面積が縮小する縮小部と、前記上流側から前記下流側に向かって断面積が拡大する拡大部と、前記縮小部と前記拡大部との間に形成された細流路部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構造で容易に取付可能な微細気泡生成器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態を示す微細気泡生成器の、(A)流路部材、上流側継手部材および下流側継手部材が別部品で形成されるときの本体の下流側から見た平面図、および(B)図1(A)におけるC-C断面図である。
図2】同上、(A)流路部材、上流側継手部材および下流側継手部材が一体に形成されるときの本体の下流側から見た平面図、および(B)図2(A)におけるC-C断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態を示す微細気泡生成器の、流路部材、上流側継手部材および下流側継手部材が別部品で形成されるときの本体の断面図である。
図4】同上、流路部材、上流側継手部材および下流側継手部材が別部品で形成されるときの本体の断面図である。
図5】同上、流路部材、上流側継手部材および下流側継手部材が一体に形成されるときの本体の断面図である。
図6】同上、(A)板部材の側面図、(B)板部材の平面図、および(C)図6(B)におけるD-D断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態を示す微細気泡生成器の部分断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態の変形例を示す微細気泡生成器の部分断面図である。
図9】本発明の第3の実施形態のさらなる変形例を示す微細気泡生成器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい微細気泡生成器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態の微細気泡生成器の構成を示している。これらの図に基いて説明すると、1は微細気泡生成器の本体であり、本体1は、流路部材2と、上流側継手部材3と、下流側継手部材4と、により概ね構成され、これらの流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4の内部には、液体としての水が流動する流路5が形成される。本実施形態の本体1の外形は略円筒状に形成されており、そのため流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4の外形も略円筒状に形成され、流路5の上流から上流側継手部材3、流路部材2、下流側継手部材4の順に同軸線上に並べられて接続されているが、本発明はこれに限定されない。
【0011】
本実施形態では、図1に示されるように流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4が別部品で形成される構成にしてもよい。また、上流側継手部材3の後述する取付部13における中空部11の直径が、流路部材2の後述する中空部6の入口の直径である縮小部7の入口の直径よりも大きい場合は、流路部材2と上流側継手部材3とが一体に形成される構成にしてもよく、下流側継手部材4の後述する取付部17における中空部21の直径が、流路部材2の後述する中空部6の出口の直径である拡大部8の出口の直径よりも大きい場合は、流路部材2と下流側継手部材4とが一体に形成される構成にしてもよい。ここで図2では、流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4が一体に形成される構成が示されている。
【0012】
本実施形態では、流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4は金属や樹脂材料で作成されている。なお、これらの流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4は、すべてが同一の材料で作成されていてもよく、異なる材料で作成されていてもよい。ここで図1の本体1のように流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4が別部品で形成される構成の場合の接合方法については、接合場所において流路5から液体が漏れ出ないように接合する方法を採用している。例えば、これらの部材同士が金属系の材料であれば、溶接や拡散接合によりこれらの部材同士を接合してもよく、また例えば、これらの部材同士が樹脂系の材料であれば、振動溶着、超音波溶着、接着剤を用いた接合のいずれか、またはこれらの組み合わせにより、これらの部材同士を接合してもよい。
【0013】
流路部材2は、流路5の一部となる中空部6を内部に有し、この中空部6に、例えば水などの液体を流動させて、液体に溶解している気体からマイクロバブルやウルトラファインバブルなどの微細気泡を生成するものである。したがって流路部材2は、微細気泡を生成する気泡生成体としての機能を有している。なお本明細書では、一般的な気泡の直径による分類と合わせて、微細気泡の直径が1μm~100μmの微細気泡をマイクロバブルと称し、微細気泡の直径が数十nm~1μm未満の微細気泡をウルトラファインバブルと称する。
【0014】
中空部6は、縮小部7と、拡大部8と、細流路部9とで概ね構成される。縮小部7は、中空部6の入口から流入した液体を円滑に細流路部9に導くものである。縮小部7は、液体を円滑に細流路部9に導くために、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が漸次縮小するように形成されるのが好ましく、本実施形態では縮小部7が略逆円錐形状に形成されるが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
拡大部8は、液体に溶解している気体から微細気泡を生成するものである。細流路部9から拡大部8に流入した液体が流路5の下流側に向かって流れるときに、この液体の周囲が減圧されて負圧になることで、この液体に溶解している気体がキャビテーションにより微細気泡となることで、液体中に微細気泡が生成される。拡大部8は、この現象を発生しやすくするために、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が漸次拡大するように形成されるのが好ましく、本実施形態では拡大部8が略円錐形状に形成されるが、本発明はこれに限定されず、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が拡大していればよい。また、この拡大部8の形状や流路5の断面積が拡大する度合いは、生成される微細気泡生成時の気泡生成量や気泡径により調整されてもよい。
【0016】
細流路部9は縮小部7と拡大部8との間に形成され、これらの縮小部7と拡大部8とを流体的に接続するものである。本実施形態では細流路部9が円柱状に形成されるが、本発明はこれに限定されない。細流路部9における液体の流速は細流路部9より上流側の流路5の圧力により決定されるが、この上流側の流路5の圧力が同一である場合は、細流路部9における液体の流速は細流路部9の直径により決定される。微細気泡生成時の気泡生成量や気泡径は、細流路部9から放出される液体の流速にも関係するため、細流路部9の直径は微細気泡生成時の気泡生成量や気泡径により調整され、変更されてもよい。
【0017】
上流側継手部材3は流路5の一部となる中空部11を内部に有しており、上流側継手部材3に接続された弾性管(図示せず)から中空部11に流入する液体を、流路部材2の中空部6に導くものである。上流側継手部材3は、継手本体12と、取付部13とを有しており、図1の本体1は、継手本体12の下流側の縁部が流路部材2の上流側の縁部に接合されることで上流側継手部材3が流路部材2に接続されている。本実施形態の継手本体12および取付部13は、いずれも円筒形状に形成されて、継手本体12から取付部13が突出するように、取付部13が継手本体12に同軸上に設けられる。そのため上流側継手部材3は管状に形成されており、管体としての機能を有している。
【0018】
取付部13は、ホースなどの弾性管を本体1に取付け可能にするものである。この取付部13の部分に弾性管の端部が挿入保持されることで、この弾性管が上流側継手部材3に取付けられる。取付部13の外周面には弾性管の抜け止め用の鍔部14が設けられる。本実施形態では、鍔部14は、取付部13の上流側縁部の外周面に設けられ、外径が略一定の環状凸部14aと、この環状凸部14aに続けて設けられ、ホース用ニップルのように外径が継手本体12方向に拡がる山形凸部14bとを有して構成される。弾性管の挿入側である環状凸部14aの上流側の角部はR加工されて弾性管の挿入を容易にしている一方で、環状凸部14aの下流側の角部は略90°以下に加工されて、挿入された弾性管を抜けにくくしている。また山形凸部14bもホース用ニップルのように形成されるため、弾性管の挿入を容易にしている一方で、挿入された弾性管を抜けにくくしている。したがって鍔部14である環状凸部14aおよび山形凸部14bは、弾性管が取付部13から抜けることを防止する抜止部としての機能を有している。なお本実施形態では、環状凸部14aや山形凸部14bが取付部13の外周面に複数設けられており、これらの環状凸部14aや山形凸部14bは取付部13の軸方向に連続して設けられているが、取付部13の軸方向の長さや外径、鍔部14の数や形状や位置は、使用される弾性管の種類や内径、流路5に流入する液体の圧力などにより調整され、変更されてもよい。
【0019】
継手本体12は、中空部11において取付部13から流入する液体を流路部材2の中空部6に導くものである。本実施形態では取付部13における中空部11は円筒状に形成され、継手本体12における中空部11の出口の直径が、中空部6の入口の直径よりも僅かに大きく形成されているが、本発明はこれに限定されず、取付部13から流入する液体を円滑に中空部6に導ければよい。
【0020】
ここで図1の本体1のように、継手本体12の外径より取付部13の外径が小さいときは、取付部13の下流側縁部から継手本体12の上流側縁部へと移行する移行部15が形成される。ここで通常は、取付部13の外径が、使用する弾性管の内径に合わせて作成されているので、弾性管の端部は、移行部15に当接するまで挿入されると、この移行部15よりも奥には挿入できない。そのため、このときの移行部15は、弾性管の端部の挿入位置の目安を示す位置決め部としての機能を有している。
【0021】
また図2の本体1のように、継手本体12の外径と取付部13の外径とが略同一のときは、継手本体12と取付部13との間に移行部15は形成されない。あるいは継手本体12の外径より取付部13の外径が大きいときは、移行部15が形成されても弾性管の端部を移行部15よりも奥には挿入できるため、移行部15が位置決め部として機能しない。このように、例えば継手本体12の外径が取付部13の外径以上のときに、図2に示されるように取付部13の下流側縁部の外周面に略円環状のフランジ部16を設けるように構成してもよい。この場合、弾性管の端部はフランジ部16に当接するまで挿入されると、このフランジ部16よりも奥には挿入できないため、フランジ部16は、弾性管の端部の挿入位置の目安を示す位置決め部としての機能を有している。
【0022】
下流側継手部材4は、流路5の一部となる中空部21を内部に有し、流路部材2の拡大部8から流入した液体を、下流側継手部材4に接続された弾性管(図示せず)に導くものである。下流側継手部材4は、上流側継手部材3と同様に、継手本体17と、取付部18とを有しており、図1の本体1は、継手本体17の上流側の縁部が流路部材2の下流側の縁部に接合されることで下流側継手部材4が流路部材2に接続されている。また図2の本体1は、流路部材2と下流側継手部材4とが一体に形成される構成である。したがって下流側継手部材4は管状に形成されており、管体としての機能を有している。
【0023】
取付部17は、ホースなどの弾性管を本体1に取付け可能にするものであり、取付部13と同様の機能を有している。また継手本体17は、中空部21において流路部材2の中空部6から流入する液体を取付部17に導くものである。本実施形態では上流側継手部材3と、下流側継手部材4とを共通の形状としており、下流側継手部材4も取付部17の外周面には弾性管の抜け止め用の鍔部14が設けられている。また図1の本体1では下流側継手部材4に移行部15が形成され、図2の本体1では取付部17の上流側縁部の外周面に略円環状のフランジ部16を設けられる。なお上流側継手部材3と、下流側継手部材4とを異なる形状にしてもよい。
【0024】
以上のように、本実施形態の微細気泡生成器の本体1は、気泡生成体としての流路部材2と、弾性管を取付け可能な取付部13や取付部17を有する管体としての上流側継手部材3および下流側継手部材4と、を備え、流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4の内部には液体としての水が流動する流路5が形成され、流路部材2は、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が縮小する縮小部7と、流路5の上流側から下流側に向かって断面積が拡大する拡大部8と、縮小部7と拡大部8との間に形成された細流路部9と、を有する構成としている。
【0025】
このように構成することにより、ホースなどの弾性管を取付部13に取付け、この弾性管を介して、例えば水道の蛇口など、液体が放出される部品と接続することができ、簡単な構造で容易に取付可能な微細気泡生成器を提供できる。
【0026】
また本実施形態の本体1は、流路部材2と、上流側継手部材3および下流側継手部材4とが一体に形成されてもよく、部品点数の削減ができ、またこれらの部品同士を接合する手間を省くことができる。
【0027】
また本実施形態の上流側継手部材3および下流側継手部材4は、流路部材2の上流側と下流側に配設されている構成であり、そのため、本体1の上流側および下流側に弾性管を取付けることができ、簡単な構造で容易に取付可能な微細気泡生成器を提供できる。
【0028】
また本実施形態の上流側継手部材3の取付部13および下流側継手部材4の取付部17に、弾性管の抜止部としての鍔部14が形成されており、そのため取付部13や取付部17に挿入された弾性管を抜けにくくすることができる。
【0029】
図3図6は、本発明の第2の実施形態の微細気泡生成器の構成を示している。本実施形態では、流路部材2の上流側に板部材25を配設し、この板部材に偏心長孔27を設けて、中空部11から流入する液体を旋回させて縮小部7に流入させている。
【0030】
図3図5に基いて本実施形態の微細気泡生成器の本体1’の説明をすると、流路部材2の中空部6と、上流側継手部材3の中空部11との間に、板部材25が設けられている点が第1の実施形態とは相違している。この板部材25は略円板状に形成されており、金属や樹脂材料で作成される。なお板部材25は、流路部材2、上流側継手部材3または下流側継手部材4と同一の材料で作成されていてもよく、異なる材料で作成されていてもよい。
【0031】
板部材25は、例えば流路部材2、上流側継手部材3および下流側継手部材4が別部品で形成される本体1’に取付けられる場合、図3に示されるように板部材25の外径を流路部材2の外径や上流側継手部材3の外径と略同一に形成し、板部材25を流路部材2の上流側端部と上流側継手部材3の下流側端部とに接合して、流路部材2と上流側継手部材3との間に挟まれて取付けられるように構成してもよい。また図4に示されるように、板部材25の外径を流路部材2の上流側の外径よりも小さくし、流路部材2の上流側端部に板部材25を収容するスペースを設けて、このスペースに板部材25を接合し、その後で流路部材2と上流側継手部材3とを接合するようにしてもよい。そして上流側継手部材3の下流側端部に板部材25を収容するスペースを設けるように構成してもよい。
【0032】
その一方で、板部材25が、流路部材2と上流側継手部材3とが一体に形成される本体1’に取付けられる場合、図5に示されるように、板部材25の外径が上流側継手部材3における中空部11の外径と略同一に形成され、上流側継手部材3の取付部13の上流側端部から板部材25を挿入して、この板部材25を流路部材2の上流側に接合するように構成してもよい。
【0033】
図6は、板部材25の側面図、上面図および断面図を示している。板部材25は、略円板状の板部材本体26の外周に沿って偏心長孔27が複数個設けられて形成されている。この偏心長孔27は、板部材本体26を貫通して設けられた通過孔であり、板部材本体26の上流側の面26Aと下流側の面26Bとで偏心長孔27の開口の位置を板部材本体26の略周方向にずらして穿設されている。そのため偏心長孔27を通過した液体の流れをらせん状にさせて旋回流にし、かつ流速を増加させることで、細流路部9から拡大部8に流入した液体が流路5の下流側に向かって流れるときに発生する負圧の領域を増加させることができる。その結果、液体中に生成される微細気泡の気泡径をさらに微細なものにすることができ、かつ微細気泡生成時の気泡生成量を増加させることができる。なお偏心長孔27の開口の位置をずらす量は、それぞれの偏心長孔27で略同一であることが好ましく、そのため偏心長孔27の形状は、それぞれの偏心長孔27で略同一であることが好ましい。また図3図5に示されるように、下流側の面26Bにおける偏心長孔27の開口の位置が縮小部7の上流側の外径近傍になるように偏心長孔27が設けられることが好ましい。また本実施形態では長孔形状の偏心長孔27が4つ設けられているが、偏心長孔27の形状や数は微細気泡生成時の気泡生成量や気泡径により調整され、変更されてもよい。
【0034】
板部材25は金型により成型されることが好ましく、この金型は分割式で、分割された上型および下型のそれぞれに偏心長孔27成型用の型が形成されることが好ましい。本実施形態の偏心長孔27は長孔であるので、上型および下型のそれぞれに偏心長孔27成型用の型を設けることを容易にしている。ここで上型および下型の偏心長孔27成型用の型には、これらの型同士が接触する略平面状の接触面を設けることが好ましく、偏心長孔27の成型時にアンダーカット部が形成されることを回避することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態の微細気泡生成器の本体1’は、液体の流れを規制する規制板としての板部材25をさらに備え、板部材25が流路部材2の上流側に配設され、板部材25には、液体が通過する通過孔としての偏心長孔27が形成され、偏心長孔27の上流側の開口と下流側の開口の位置がずれている構成としている。そのため簡易な構成かつ製造性の高い板部材25で液体の流速を増加させ、かつらせん状にして縮小部7に流入させることができ、液体中に生成される微細気泡の気泡径をさらに微細なものにすることができ、かつ微細気泡生成時の気泡生成量を増加させることができる。
【0036】
図7は、本発明の第3の実施形態の微細気泡生成器の部分断面図を示している。図7では、弾性管34の部分のみを断面図で示し、その他の微細気泡生成器の部分を側面図で示している。本実施形態では、液体を吐出するポンプ31に流路部材2が接続されることにより、微細気泡生成器を構成している。
【0037】
図7に基いて本実施形態の微細気泡生成器の説明をすると、31は液体を吐出するポンプであり、ポンプ本体32と、ポンプ吐出口33とを有している。ポンプ本体32は、例えば遠心式のポンプやダイヤフラム式のポンプで構成されるが、他のタイプのポンプで構成してもよく、特に限定されない。ポンプ吐出口33は、取付部13や取付部17と同様に、ホースなどの弾性管34をポンプ31に取付け可能にするものである。またポンプ吐出口33は管状に形成され、ポンプ本体32から流入する液体を、ポンプ吐出口33に接続された弾性管34に導いている。そのためポンプ吐出口33の軸方向の長さや外径は、使用される弾性管34の種類や内径、ポンプ吐出口33から吐出する液体の圧力などにより調整される。なおポンプ吐出口33の外周面に弾性管34の抜け止め用の鍔部が設けられてもよい。
【0038】
本実施形態では、弾性管34の一方の端部にポンプ31のポンプ吐出口33が挿入接続され、弾性管34の他方の端部に本体1の上流側継手部材3の取付部13が挿入接続される。そしてポンプ本体32によりポンプ吐出口33から液体が吐出されると、この液体が弾性管34を経由して流路5に流入し、流路部材2の中空部6によりこの液体に溶解している気体から微細気泡が生成される。本実施形態では、例えばポンプ吐出口33から水圧が35kPaの水が吐出された場合、微細気泡の気泡径が1μm程度のマイクロバブルになるように微細気泡生成器が構成されているが、これは一例である。その後、微細気泡を含有した液体が中空部21を経由して下流側継手部材4の取付部13に接続された弾性管(図示せず)に導かれる。このように構成することで、接続が容易な微細気泡生成器を提供することができ、この微細気泡生成器を様々な洗浄を必要とする用途に応用することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態の微細気泡生成器は、本体1の上流側継手部材3の取付部13に接続された弾性管34に、液体を吐出するポンプ31が接続可能である構成であり、そのため、接続が容易な微細気泡生成器を提供することができ、この微細気泡生成器を様々な洗浄を必要とする用途に応用することができる。
【0040】
図8は、本発明の第3の実施形態の変形例の部分断面図を示している。図8では、流路部材2、下流側継手部材4およびポンプ本体32の一部を断面図で示し、その他の微細気泡生成器の部分を側面図で示している。本変形例では、液体を吐出するポンプ31に流路部材2が直接接続されている。
【0041】
図8に基いて本変形例の微細気泡生成器の説明をすると、ポンプ吐出口33の代わりに流路部材2がポンプ本体32に直接接続され、ポンプ本体32からの液体が流路部材2の中空部6に流入される構成となっている。なお本変形例の微細気泡生成器は、図8(A)に示されるように、流路部材2および下流側継手部材4が別部品で形成される構成でもよく、図8(B)に示されるように、流路部材2および下流側継手部材4が一体に形成される構成でもよい。このように構成しても、簡易な構成により、接続が容易な微細気泡生成器を提供することができ、この微細気泡生成器を様々な洗浄を必要とする用途に応用することができる。
【0042】
以上のように、本変形例の微細気泡生成器は、液体を吐出するポンプとしてのポンプ本体32に流路部材2が直接接続される構成であり、そのため簡易な構成により、接続が容易な微細気泡生成器を提供することができ、この微細気泡生成器を様々な洗浄を必要とする用途に応用することができる。
【0043】
図9は、本発明の第3の実施形態のさらなる変形例の部分断面図を示している。図8では、流路部材2、板部材25、下流側継手部材4およびポンプ本体32の一部を断面図で示し、その他の微細気泡生成器の部分を側面図で示している。本変形例では、液体を吐出するポンプ31に流路部材2が直接接続され、その流路部材2の上流側に板部材25が配設されている。
【0044】
図9に基いて本変形例の微細気泡生成器の説明をすると、ポンプ吐出口33の代わりに流路部材2がポンプ本体32に直接接続され、その流路部材2の上流側に板部材25が接合される構成であり、ポンプ本体32からの液体が板部材25の偏心長孔27を通過し、この液体の流れをらせん状にさせて旋回流にし、かつ流速を増加させて縮小部7に流入させている。その結果、液体中に生成される微細気泡の気泡径をさらに微細なものにすることができ、かつ微細気泡生成時の気泡生成量を増加させることができる。本変形例では、例えばポンプ吐出口33から水圧が35kPaの水が吐出され、偏心長孔27の孔径が1mm未満程度である場合、微細気泡の気泡径が0.1μm程度のウルトラファインバブルで、1cc当たり数億個の気泡生成量になるように微細気泡生成器が構成されているが、これは一例である。このように構成することで、液体中に生成される微細気泡の気泡径をさらに微細なものにすることができ、かつ微細気泡生成時の気泡生成量を増加させることができる。
【0045】
なお本変形例の微細気泡生成器は、図9(A)に示されるように、流路部材2および下流側継手部材4が別部品で形成される構成でもよく、図9(B)に示されるように、流路部材2および下流側継手部材4が一体に形成される構成でもよい。また本変形例では、図4図5の本体1’のように板部材25の外径を流路部材2の上流側の外径よりも小さくし、流路部材2の上流側端部に板部材25を収容するスペースを設けて、このスペースに板部材25を接合しているが、図3の本体1’のように、板部材25の外径を流路部材2の外径と略同一に形成し、板部材25を流路部材2の上流側端部とポンプ本体32とに接合して、流路部材2とポンプ本体32との間に挟まれて取付けられるように構成してもよい。
【0046】
以上のように、本実施形態の微細気泡生成器は、液体の流れを規制する規制板としての板部材25をさらに備え、板部材25が流路部材2の上流側に配設され、板部材25には、液体が通過する偏心長孔27が形成され、偏心長孔27の上流側の開口と下流側の開口の位置がずれている構成としている。そのため簡易な構成かつ製造性の高い板部材25で液体の流速を増加させ、かつらせん状にして縮小部7に流入させることができ、液体中に生成される微細気泡の気泡径をさらに微細なものにすることができ、かつ微細気泡生成時の気泡生成量を増加させることができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第1~第3の実施形態および変形例を組み合わせて構成してもよい。また本実施形態の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
2 流路部材(気泡生成体)
3 上流側継手部材(管体)
5 流路
7 縮小部
8 拡大部
9 細流路部
13 取付部
14 鍔部(抜止部)
18 取付部
25 板部材(規制板)
27 偏心長孔(通過孔)
31 ポンプ
34 弾性管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9