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特開2023-110760走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110760
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230802BHJP
   A01D 34/86 20060101ALI20230802BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 N
A01D34/86
A01B69/00 303K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012376
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】397008775
【氏名又は名称】有限会社曽田農機設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】曽田 清
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB16
2B043BA09
2B043BB11
2B043DC01
2B043EA04
2B043EA15
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED15
2B083AA02
2B083BA11
2B083BA16
2B083CA07
2B083CA17
2B083DA03
2B083EA03
2B083GA01
2B083HA07
2B083HA31
2B083HA59
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB12
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG12
5H301GG17
5H301HH10
5H301HH19
(57)【要約】
【課題】傾斜地で自走する場合の転倒のリスクがさらに低減された走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法を提供することを課題とする。
【解決手段】左右の走行部に支持される本体と、走行部の駆動を制御可能な制御部とを備え、制御部は、本体が方向転換位置からその時点での該本体の向きである基準方向に対して所定の角度だけ傾いた方向に所定距離だけ離れた方向復帰位置に移動するように該本体を自動で走行させる制御を実行するにあたり、本体が方向転換位置で方向復帰位置側又はその反対側を向くように該本体をその場で1/4周未満で旋回させ、続いて本体を方向転換位置側から方向復帰位置側に直進させ、続いて、本体をその場で上記旋回と反対側に同一量だけ旋回させて該本体の向きを基準方向に復帰させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜地で自走することが可能な走行機体であって、
左右一対の走行部と、
左右の走行部に支持される本体と、
少なくとも各走行部の駆動を制御可能な制御部とを備え、
前記制御部は、左右の走行部の一方のみを前進側又は後進側に駆動させるか、或いは左右の走行部の一方を前進側に駆動させ且つ他方を後進側に駆動させることによって、前記本体をその場又は略その場で左右何れかに旋回させるクイックターン制御を実行可能に構成され、
前記制御部は、前記本体が、その時点で位置している場所である方向転換位置から、その時点での前記本体の向きである基準方向に対して予め定めた所定の角度傾いた方向に所定距離だけ離れた位置である方向復帰位置に移動するように、該本体を自動で走行させる自動切替制御も実行可能に構成され、
前記制御部は、
前記自動切替制御が実行された場合、
前記方向転換位置側に位置する前記本体が前記方向復帰位置側の方向又はその反対側の方向を向くように前記クイックターン制御を実行して前記本体を1/4周未満で旋回させる方向転換処理と、
前記方向転換処理を行った後、前記本体を前記方向転換位置側から前記方向復帰位置側へ直進走行させる移動処理と、
前記移動処理の後、前記方向復帰位置側に位置する前記本体が前記基準方向を向くように前記クイックターン制御を実行して該本体を1/4周未満で旋回させる方向復帰処理と
を実行する
ことを特徴とする走行機体。
【請求項2】
請求項1に記載の走行機体と、該走行機体に連結された草刈装置とを備えた自走式草刈機であって、
前記制御部は前記草刈装置の駆動も制御可能に構成され、
前記草刈装置の負荷を検出可能な負荷検出手段を設け、
前記制御部は、前記本体を走行させている最中、前記負荷検出手段によって前記草刈装置の予め定めた所定以上の負荷を検出した場合、前記草刈装置の駆動を維持した状態で左右の走行部の駆動を停止させる走行停止制御を実行可能に構成され、
制御部は、前記走行停止制御の実行中、その実行を開始してから定めた所定時間が経過した場合又は前記負荷検出手段によって前記草刈装置の負荷が低下したことが検出された場合、その実行を停止して左右の走行部を駆動可能な状態とする
ことを特徴とする自走式草刈機。
【請求項3】
請求項1に記載の走行機体と、該走行機体に連結された草刈装置とを備えた自走式草刈機であって、
前記草刈装置は、回転駆動される左右一対の刈取回転体と、該刈取回転体の真上側に配置され且つ該刈取回転体と一体的に回転駆動される第1促進体と、前記刈取回転体の真上側における前記第1促進体よりも上方の位置に配置され且つ該第刈取回転体と一体的に回転駆動される第2促進体とを有し、
左右の刈取回転体は、前記走行機体が前記基準方向を向いて前進走行している場合、刈り取った草を、左右の刈取回転体の間から後方に掻き込む側に回転駆動されるように構成され、
左右の刈取回転体は、前記走行機体が前記基準方向を向いて後進走行している場合、刈り取った草を、左右の刈取回転体の間から前方に掻き込む側に回転駆動されるように構成された
ことを特徴とする自走式草刈機。
【請求項4】
請求項1に記載の走行機体と、該走行機体に連結された草刈装置とを備えた自走式草刈機によって傾斜地での草刈作業を行う草刈方法であって、
前記自走式草刈機が前記基準方向を向いた状態で前進走行しながら草刈作業を行う前進草刈工程と、
前記自走式草刈機が前記基準方向を向いた状態で後進走行しながら草刈作業を行う後進草刈工程と、
前記前進草刈工程から前記後進草刈工程への移行又は前記後進草刈工程から前記前進草刈工程への移行のために前記自動切替制御を実行する自動切替工程とを有し、
前記基準方向は、傾斜方向に対して交差する方向に設定された
ことを特徴とする草刈方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、傾斜地で自走可能な走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自走可能な走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機が従来公知である。山間地域では、人手不足や作業負荷軽減の観点から、このような自走式草刈機を傾斜地で用いる必要性が高い。しかし、法面等の傾斜地での草刈作業に自走式草刈機を用いる場合、走行機体を直進走行させるだけではなく、左右に旋回させて適宜方向転換しながら草刈作業を行う必要があり、この左右旋回時に、走行機体が転倒するリスクが高くなる。
【0003】
このような転倒のリスクを低減させる走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法が公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。具体的には、上記文献の草刈方法は、自走式草刈機(走行機体)が傾斜地の傾斜方向に対して交差(具体的には直交)する方向(基準方向)を向いた状態で草刈作業を行いながら前進走行する前進草刈工程と、自走式草刈機(走行機体)が前記基準方向を向いた状態で草刈作業を行いながら後進走行する後進草刈工程と、前進草刈工程の実行の終了後に後進草刈工程への切替を行うか、或いは後進草刈工程の実行の終了後に前進草刈工程への切替を行う切替工程とを有している。
【0004】
前進草刈工程と後進草刈工程とは切替工程を介して交互に実行される。切替工程を介して連続的に実行される前進草刈工程及び後進草刈工程の走行経路は、傾斜地の傾斜方向に所定距離だけ離れて互いが平行又は略平行になるように、その位置が定められている。この切替工程では、該工程を介して連続的に実行される前進草刈工程及び後進草刈工程の内で先に実行される工程の走行経路の終端部から後に実行される工程の走行経路の始端部まで自走式草刈機を走行させる。
【0005】
以上の構成によれば、前進草刈工程と後進草刈工程が切替工程を介して交互に実行され、その度に、走行経路が傾斜方向の一方側(同文献に図示された例では下り側)に順次変位し、最終的に傾斜面の全体に対して草刈作業が行われる。この一連の工程における前進草刈工程及び後進草刈工程では、走行機体を同一の方向である基準方向に向ければよいため、その合間に行われる切替工程でも、自走式草刈機(走行機体)をUターン旋回させる必要がなく、転倒のリスクが低減する。
【0006】
しかし、上記文献の走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法は、傾斜地において、その向きを変えながら(旋回させながら)自走式草刈機を走行させる点は従来と手法と変わることがなく、さらなる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-141003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、傾斜地で自走する場合の転倒のリスクがさらに低減された走行機体及びそれを搭載した自走式草刈機並びにそれを用いた草刈方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の走行機体は、傾斜地で自走することが可能な走行機体であって、左右一対の走行部と、左右の走行部に支持される本体と、少なくとも各走行部の駆動を制御可能な制御部とを備え、前記制御部は、左右の走行部の一方のみを前進側又は後進側に駆動させるか、或いは左右の走行部の一方を前進側に駆動させ且つ他方を後進側に駆動させることによって、前記本体をその場又は略その場で左右何れかに旋回させるクイックターン制御を実行可能に構成され、前記制御部は、前記本体が、その時点で位置している場所である方向転換位置から、その時点での前記本体の向きである基準方向に対して予め定めた所定の角度傾いた方向に所定距離だけ離れた位置である方向復帰位置に移動するように、該本体を自動で走行させる自動切替制御も実行可能に構成され、前記制御部は、前記自動切替制御が実行された場合、前記方向転換位置側に位置する前記本体が前記方向復帰位置側の方向又はその反対側の方向を向くように前記クイックターン制御を実行して前記本体を1/4周未満で旋回させる方向転換処理と、前記方向転換処理を行った後、前記本体を前記方向転換位置側から前記方向復帰位置側へ直進走行させる移動処理と、前記移動処理の後、前記方向復帰位置側に位置する前記本体が前記基準方向を向くように前記クイックターン制御を実行して該本体を1/4周未満で旋回させる方向復帰処理とを実行することを特徴とする。
【0010】
本発明の自走式草刈機は、前記走行機体と、該走行機体に連結された草刈装置とを備えた自走式草刈機であって、前記制御部は前記草刈装置の駆動も制御可能に構成され、前記草刈装置の負荷を検出可能な負荷検出手段を設け、前記制御部は、前記本体を走行させている最中、前記負荷検出手段によって前記草刈装置の予め定めた所定以上の負荷を検出した場合、前記草刈装置の駆動を維持した状態で左右の走行部の駆動を停止させる走行停止制御を実行可能に構成され、制御部は、前記走行停止制御の実行中、その実行を開始してから定めた所定時間が経過した場合又は前記負荷検出手段によって前記草刈装置の負荷が低下したことが検出された場合、その実行を停止して左右の走行部を駆動可能な状態とすることを特徴とする。
【0011】
また、前記走行機体と、該走行機体に連結された草刈装置とを備えた自走式草刈機であって、前記草刈装置は、回転駆動される左右一対の刈取回転体と、該刈取回転体の真上側に配置され且つ該刈取回転体と一体的に回転駆動される第1促進体と、前記刈取回転体の真上側における前記第1促進体よりも上方の位置に配置され且つ該第刈取回転体と一体的に回転駆動される第2促進体とを有し、左右の刈取回転体は、前記走行機体が前記基準方向を向いて前進走行している場合、刈り取った草を、左右の刈取回転体の間から後方に掻き込む側に回転駆動されるように構成され、左右の刈取回転体は、前記走行機体が前記基準方向を向いて後進走行している場合、刈り取った草を、左右の刈取回転体の間から前方に掻き込む側に回転駆動されるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の草刈方法は、前記走行機体と、該走行機体に連結された草刈装置とを備えた自走式草刈機によって傾斜地での草刈作業を行う草刈方法であって、前記自走式草刈機が前記基準方向を向いた状態で前進走行しながら草刈作業を行う前進草刈工程と、前記自走式草刈機が前記基準方向を向いた状態で後進走行しながら草刈作業を行う後進草刈工程と、前記前進草刈工程から前記後進草刈工程への移行又は前記後進草刈工程から前記前進草刈工程への移行のために前記自動切替制御を実行する自動切替工程とを有し、前記基準方向は、傾斜方向に対して交差する方向に設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動切替モードによるクイックターン制御の実行によって、走行機体を左右何れかに旋回させながら前進側又は後進側に走行させる必要がなくなるため、転倒のリスクがさらに低減される。また、自動切替制御の実行によって、走行機体を、その前進又は後進の何れか一方側に走行する経路の終端から他方側に走行する経路の始端まで自動で走行させることが可能になるため、操作ミスの可能性もなくなり、この点でも転倒のリスクは低減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の自走式草刈機を適用した草刈機の構造をその一部を省略して示す斜視図である。
図2】本発明の自走式草刈機を適用した草刈機の構造をその一部を省略して示す側面図である。
図3図1図2に示す草刈機の分解斜視図である。
図4図1図2に示す草刈機の分解平面図である。
図5図1図2に示す草刈機の底面図である。
図6】(A)は草刈装置の側面図であり、(B)は(A)のB-B断面図である。
図7】制御部の構成を示すブロック図である。
図8】走行停止制御手段の処理内容を示すフロー図である。
図9】本発明を適用した草刈方法の構成を示すフロー図である。
図10図9に示す草刈方法の構成を概念的に説明する説明図である。
図11】後進経路の方向復帰位置の変形例を説明する説明図である。
図12】前進経路の方向復帰位置の変形例を説明する説明図である。
図13】(A),(B)は夫々別実施形態に係る自動切替制御の内容を概念的に説明する説明図である。
図14】別実施形態に係る草刈方法の処理内容を示すフロー図である。
図15図14に示す草刈方法の構成を概念的に説明する説明図である。
図16】(A),(B)は別実施形態に係る草刈装置の構成を示す平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図2は本発明の自走式草刈機を適用した草刈機の構造をその一部を省略して示す斜視図及び側面図であり、図3乃至図5は、図1図2に示す草刈機の分解斜視図、分解平面図及び底面図であり、図6(A)は草刈装置の側面図であり、(B)は(A)のB-B断面図である。
【0016】
これらの図面に示された草刈機1は、自走可能な走行機体2と、該走行機体2の前部に連結された草刈装置(作業装置)3とを備えている。走行機体2は、本体2aと、該本体2aを支持する左右一対のクローラ式走行装置(走行部)5,5とを有している。
【0017】
草刈装置3は、本体2aに上下揺動可能に連結され且つ草刈機1(走行機体2)が直進する方向(前後方向)に対して平面視で直交する方向(左右方向)の範囲が、正面視で左右のクローラ式走行装置5,5における左右内側の側面の間に収まるように、そのサイズ及び左右位置が設定されている。
【0018】
本体2aは、前後方向に延びる一対の辺を有する方形の枠状に成形された本体フレーム4と、該本体フレーム4上の後部に配置された複数のバッテリ6a,6b及び制御部7とを有している。バッテリ6a,6bは前後に並べて複数(本例では2つ)設けられている。1つのバッテリ6aは、左右のクローラ式走行装置5,5を駆動させるための走行用バッテリであり、もう1つのバッテリ6bは、草刈装置3を駆動させるための作業用バッテリである。制御部7は、一又は複数のマイコンから構成され、前後のバッテリ6a,6bの間に配置されている。
【0019】
本体フレーム4には、その前端側に配置された左右方向のサポート軸8を支点として、上下に回動可能に電動式のモーター9が支持されている。このモーター9は、草刈装置3を正逆転駆動させる作業用モーターであり、作業用バッテリ6bからの電力供給によって回転駆動される。この作業用モーター9は、草刈作業時、前方に下方傾斜した状態になる。このモーター9からは伝動ケース(縦ケース)11が該モーター9と同一軸心又は略同一軸心となるように前方に突出形成され、この縦ケース11の前端部には、左右方向の伝動ケース(横ケース)12の左右中央部の背面側が連結して固定されている。縦ケース11及び横ケース12は、T字状をなし、その内部同士が連通している。
【0020】
横ケース12の左右の夫々の端部からは、下方に向かって上下方向の駆動ケース13,13が垂直又は略垂直に突設されている。横ケース12と、左右の駆動ケース13,13とは、正面視で、下方が開放されたコの字状をなし、その内部同士が連通している。各駆動ケース13には、刈取地面に沿って回転して草刈作業を行うロータリカッター(刈取回転体)14が取付けられている。
【0021】
サポート軸8は、本体フレーム4の前部における左右の箇所の夫々から上方に突設された一対のブラケット(軸受部)16,16によって、自身の軸回りに回動可能に支持され、作業用モーター9と一体で上下に回動される。サポート軸8の一端側(図示する例では、右端側)には、側面視で、該サポート軸8から後方斜め上方に突出する調節レバー17が配置されている。
【0022】
この調節レバー17は、取付プレート18等の取付部材によって、サポート軸8に取り付け固定されている。そして、調節レバー17を、サポート軸9と一体で上下揺動させると、モーター9及び伝動ケース11もサポート軸9と一体で上下に回動され、駆動ケース13,13及びロータリカッター14,14の高さが変更される。すなわち、調節レバー17の上下揺動操作は、草の刈高さを調節する刈高さ調節操作になる。
【0023】
ちなみに、調節レバー17は、図示しない固定部材によって、複数の上下揺動位置の何れかに選択的に固定できるように構成されている。この固定部材は、ワイヤ等の連係機構によって、調節レバー17の後端側に上下揺動操作に支持されたグリップレバー19と機械的に連結されている。
【0024】
グリップレバー19は、図示しない弾性部材によって下方揺動側に付勢され、その付勢力に抗して該グリップレバー19を上方に揺動操作することによって、固定部材による調節レバー17の本体2a側への固定が解除され、該調節レバー17の上下揺動操作が可能になり、その上下揺動位置(すなわち刈高さ)を変更することが可能になる。
【0025】
各クローラ式走行装置5は、前後方向に長いプレート状に成形された走行フレーム21と、該走行フレーム21の前後一方の端部側に回転駆動に支持された駆動輪22と、他方に回転可能に支持された従動輪23と、駆動輪22及び従動輪23に駆け回れた側面視で環状をなすクローラ24と、該走行フレーム21の左右の内側の側面における駆動輪22側に取り付け支持され且つ該駆動輪22を正逆転駆動させる電動式のモーター26とを有している。すなわち、モーター26は、走行用モーターであり、上述した走行用バッテリ6aから供給される電力によって回転駆動され、クローラ式走行装置5を前進側又は後進側の何れかに一方側に駆動させる。なお、走行用モーター26は、走行フレーム21の左右の外側の側面側に取付けることもできる。
【0026】
左右夫々のクローラ式走行装置5,5の走行フレーム21と、本体2aの本体フレーム4との間には、左右のクローラ式走行装置5,5の夫々を本体2aに着脱可能に取り付けるジョイント部27,27が設けられている。図示する例では、このクローラ式走行装置5,5毎に設けられたジョイント部27,27が走行フレーム21と本体フレーム4との間における前寄りの位置に配置されている。
【0027】
各ジョイント部27は、走行フレーム21側から本体フレーム4側に突出する左右方向の前後一対の取付フレーム27a,27aと、本体フレーム4側から走行フレーム21側に突出する左右方向の前後一対の被取付フレーム27b,27bとを有している。左右のジョイント部27,27毎に設けられた前後に配置された前後の取付フレーム27a,27a,27a,27a同士の間隔は、前後に配置された被取付フレーム27b,27b,27b,27b同士の間隔と一致又は略一致しており、取付フレーム27aが左右方向に延びる棒状に成形されている。被取付フレーム27bが左右方向に延びる筒状に成形され且つその突出側端が開放され、前後の取付フレーム27a,27aは、対応する被取付フレーム27b,27bに嵌合して挿入可能な大きさ及び形状に成形されている。
【0028】
そして、クローラ式走行装置5の前後の取付フレーム27a,27aを、対応する被取付フレーム27b,27bの開放端側からその内周面側に嵌合状態で挿入して固定することによって、該クローラ式走行装置5を本体2aに着脱可能に取り付け固定している。取付フレーム27a,27aを被取付フレーム27b,27bの内周面側に挿入して固定する位置(挿入量)は、変更可能であり、この挿入量の変更によって左右のクローラ式走行装置5,5の間の間隔(クローラ幅)を適宜変更することが可能である。
【0029】
例えば、このクローラ幅を広くすることにより、傾斜地を、その傾斜方向に対して交差する方向(具体的には、直交する方向)に走行する際の走行機体2の転倒を適宜防止することが可能である。また、例えば、刈地の畝幅その他の条件に適合させ、クローラ幅を狭くすることや広くすることが可能である。また、アクチュエータによって、このクローラ幅の変更を自動的に実行することも可能である。
【0030】
ちなみに、上述した調節レバー17によって草刈装置3の刈高さを調節する機能との干渉を避けるため、図4及び図5に示す通り、調節レバー17側の右側のジョイント部27は、その反対側のジョイント部27に対して後方にセットバックされている。
【0031】
作業用モーター9の回転動力は、縦ケース11、横ケース12及び駆動ケース13の内部の空間に設置された作業側伝動機構28によって、草刈装置3(ロータリカッター14)に伝動される(図6参照)。この作業側伝動機構28は、縦ケース11及び横ケース12の内部の夫々に回転可能に支持された伝動軸28a,28bと、左右の各駆動ケース13,13の内部に回転可能に支持され且つロータリカッター14と一体で回転する駆動軸28c,28cと、縦ケース11側の伝動軸28aの動力を横ケース12側の伝動軸28bに伝動する一対のベベルギヤ28d,28eと、横ケース12側の伝動軸28bを、左右の駆動軸28c,28cに伝動する一対のベベルギヤ28f,28f,28g,28gとを有している。
【0032】
上述の駆動軸28cは、その上端から中途部に至る範囲が駆動ケース13の内部に位置し且つ該駆動ケース13の軸心上に配置され、その下端側にはロータリカッター14が取り付け固定されている。ロータリカッター14は、駆動軸28cに対して垂直な円板状に成形されたベースプレート14aと、駆動軸28cの軸心に向かって下方に膨出するドーム状に成形され且つベースプレート14aの真下側に配置されたガードケース14bと、ベースプレート14aとガードケース14bとの間に取り付けられ且つ駆動軸28cの軸方向視で放射状に外側に突出する刈刃14cとを有している。
【0033】
このロータリカッター14は、その回転によって草刈作業を行う。ちなみに、左右のロータリカッター14,14の刈刃14c,14cは、互いが回転時に干渉しないようにして、その回転軌跡が、駆動軸28cの軸方向視で重複するように配置構成されている。
【0034】
各ロータリカッター14には、その真上側と左右の外側とをカバーするカッターカバー29が設けられている。左右のカッターカバー29,29は、対応する駆動ケース13,13の下端部外周面側に取り付け固定されている。さらに、左右のカッターカバー29,29の真上側を覆う左右方向に長い単一の作業側カバー31が設けられ、縦ケース12及び横ケース13の両方又は一方に着脱可能に取り付け固定されている。この作業側カバー31は伝動ケース12,13側に着脱可能に取り付け固定されている。ちなみに、本体2aを覆う本体側カバー32も設けられている。
【0035】
上述した作業側伝動機構28は、左右のロータリカッター14,14が平面視で互いに反対方向に同一の速度で回転するように、作業用モーター9の回転動力を左右のロータリカッター14,14の夫々に伝動する。さらに具体的には、作業側伝動機構28は、作業用モーター9の正転駆動時、左右のロータリカッター14,14が互いの間で後方に移動するように該ロータリカッター14,14を正転側に回転駆動させる一方で、作業用モーター9の逆転駆動時、左右のロータリカッター14,14が互いの間で前方に移動するように該ロータリカッター14,14を逆転側に回転駆動させる。
【0036】
また、作業側伝動機構28は、草刈機1(走行機体2)の前進又は後進側への走行時、該草刈機1が刈り取る対象の草に対して相対変位する速度と比較して、遥かに速い速度(例えば、100倍程度の速度)で、ロータリカッター14,14が草に対して変位するように、該ロータリカッター14,14を回転駆動させる。これによって草刈機1を走行させながら草刈作業をする際、左右のロータリカッター14,14が刈り取った草を、その間において走行方向と反対の方向に高速で掻き込み、草により走行抵抗の増加や、作業負荷の増加が低減される。
【0037】
制御部7は、後述する構成によって、草刈装置3(ロータリカッター14)の駆動を制御可能であるとともに、クローラ式走行装置5,5の駆動も制御可能である。そして、制御部7は、走行機体2の前進走行時、左右のロータリカッター14,14(草刈装置3)を正転側に草刈駆動させる一方で、走行機体2の後進走行時、左右のロータリカッター14,14(草刈装置3)を逆転側に草刈駆動させるように構成されている。言い換えると、この草刈機1は、前進走行時には勿論、後進走行時にも草刈作業を行うことが可能に構成され、前進走行しながらの草刈作業時には、左右のロータリカッター14,14の間において刈り取った草を後方に掻き込む一方で、後進走行しながらの草刈作業時には、左右のロータリカッター14,14の間において刈り取った草を前方に掻き込む。すなわち、左右のロータリカッター14,14の間において走行方向の反対側に草を掻き込むように、該ロータリカッター14,14が回転駆動される。
【0038】
図7は制御部の構成を示すブロック図である。上述した制御部7の入力側には、左右のクローラ式走行装置5,5毎に設けられ且つ走行用モーター26の回転を検出する回転センサ33,33と、走行機体2と位置を取得する位置取得手段の1つであるGPSセンサ34と、草刈機1(走行機体2、本体2a)が向いている方向(機体方法)やその左右傾斜や上下傾斜を検出するジャイロセンサ36と、草刈装置3の草刈作業負荷を検出する負荷検出手段37とが接続されている。
【0039】
また、制御部7の出力側には、左右のクローラ式走行装置5,5毎に設けられた上述の走行用モーター26,26と、上述した作業用モーター9とが接続され、この構成によって、制御部7は草刈機1の走行の制御が可能になるとともに草刈機1の草刈作業の制御が可能に構成される。
【0040】
また、制御部7には、インターネット等のグローバルなネットワークを介した無線通信を可能とする無線通信手段38と、コントローラ41によって草刈機1を遠隔操作できるように該コントローラ41との間で電波の送受信を行う送受信手段39とが入出力可能に接続されている。
【0041】
さらに、制御部7は、各種の情報を記憶する記憶部7aと、CPUのクロック数等を利用して時間を計測するタイマー7bとが設けられている他、後述するクイックターン制御を実行するクイックターン制御手段7cと、後述する自動切替制御を実行する自動切替制御手段7dと、後述する走行停止制御を実行する走行停止制御手段7eとを有している。
【0042】
回転センサ33は、クローラ式走行装置5の駆動の有無や駆動速度を検出可能である他、その継続的な検出によって駆動量も検出可能である。左右のクローラ式走行装置5,5の駆動速度や駆動量によって、草刈機1(走行機体2)の向いている方向(機体方向)や、草刈機1の初期位置からの相対的な位置も取得可能になる他、緯度や経度等の絶対的な初期位置を後述する記憶部7aにインプットしておくか、或いは無線通信手段38によって取得すれば、その後の草刈機1の絶対的な位置を取得することも可能になる。
【0043】
すなわち、この2つの回転センサ33,33は、草刈機1の走行の有無を検出する走行検出手段や走行速度を検出する走行速度検出手段として機能するのみではなく、機体方向を検出する機体方向検出手段や、草刈機1の相対的又は絶対的な位置を検出する自己位置取得手段として機能する。このため、左右の回転センサ33,33を設けることにより、自己位置取得手段として機能するGPSセンサ34と、機体方向検出手段として機能するジャイロセンサ36とを省略することも可能になる。
【0044】
負荷検出手段37は、本例では作業用モーター9に流れる電流を計測する電流計測センサであり、この電流計測によって草刈装置3の作業負荷(さらに具体的には草刈作業負荷)を検出する。
【0045】
左右のクローラ式走行装置5,5毎に設けられた走行用モーター26,26と、作業用モーター9とは、回転数を制御可能に構成されている。具体的には、モーター9,26をステッピングモーターとするか、或いはDCモーターとし且つPWM制御等によって回転数を制御可能に構成する。
【0046】
無線通信手段38は、制御部7がネットワークを介して情報端末やサーバから各種の情報を取得することが可能になる他、他の自走式の草刈機1との間で無線通信を行い、互いに協調して走行する制御や、互いに協調して草刈作業を行う制御を実行することを可能とする。
【0047】
コントローラ41は、草刈機1から離れた位置から該草刈機1を遠隔操作する。具体的には、コントローラ41によって、走行機体2(草刈機1)を前進側又は後進側に直進走行させる操作や、走行機体2を前進側又は後進側に走行しながら左右何れかに旋回走行させる操作や、走行機体2の走行中にその走行方向を前進から後進又は後進から前進に切り替える操作や、走行機体2の走行中にその走行速度を変更する操作や、草刈装置3の駆動の有無を切り替える操作や、草刈装置3の駆動中にその駆動方向の正逆転で切り替える操作や、草刈装置3の駆動中にその駆動スピードを変更する操作等の各種の操作を行う。
【0048】
また、コントローラ41による操作時にはコントローラ41から草刈機1に電波信号が送信される一方で、草刈機1側の各種の状態を示す情報が電波信号によって該草刈機1からコントローラ41に送信される。草刈機1から送信されてくる情報は、コントローラ41のモニタ等によって確認することができる。
【0049】
上述したクイックターン制御手段7cは、左右のクローラ式走行装置5,5の一方を前進側に走行駆動させ且つ他方を後進側に走行駆動させるか、或いは左右のクローラ式走行装置5,5の一方を走行駆動させ且つ他方を駆動停止させることによって、草刈機1をその場又は略その場で、左右に旋回させるクイックターン制御を実行する。
【0050】
具体的には、左側のクローラ式走行装置5を前進側に駆動させ且つ右側のクローラ式走行装置5を後進側に駆動させることによって、草刈機1がその場又は略その場で右(平面視で時計回り)に旋回する一方で、左側のクローラ式走行装置5を後進側に駆動させ且つ右側のクローラ式走行装置5を前進側に駆動させることによって、草刈機1がその場又は略その場で左(平面視で反時計回り)に旋回する。また、左側のクローラ式走行装置5を駆動停止させた状態で、右側のクローラ式走行装置5を前進側に駆動させれば草刈機1が左旋回する一方で、右側のクローラ式走行装置5を後進側に駆動させれば草刈機1が右旋回する。さらに、右側のクローラ式走行装置5を駆動停止させた状態で、左側のクローラ式走行装置5を前進側に駆動させれば草刈機1が右旋回する一方で、左側のクローラ式走行装置5を後進側に駆動させれば草刈機1が左旋回する。
【0051】
図8は、走行停止制御手段の処理内容を示すフロー図である。上述した走行停止制御手段7eは、所定時間の経過毎に同図に示すルーチン処理を実行する。具体的に説明すると、走行停止制御手段7eは、処理が開始されると、ステップS101に進む。ステップS101では、草刈装置3又は左右のクローラ式走行装置5,5の少なくとも一方に対して手動操作が行われた否かを確認し、この手動操作が行われている場合、その回のルーチン処理を終了させる。
【0052】
ステップS101において、上述の手動操作が検出されなかった場合、ステップS102に進む。ステップS102では、フラグの状態を確認し、OFF状態であればステップS103に進む。このフラグは、走行停止制御の実行時にはONにセットされる一方で、実行停止時にはOFFにリセットされ、初期状態ではOFFにリセットされている。
【0053】
ステップS103では、負荷検出手段37によって草刈装置3が予め定めた所定以上の負荷(高負荷)になっていることが検出されているか否かを確認し、高負荷が確認されればステップS104に進む一方で、確認されなければ、その回のルーチン処理を終了させる。具体的には、作業用モーター9に流れる電流の値が所定の値よりも大きくなっている場合に高負荷であると判断する。
【0054】
ステップS104では、フラグをONにセットし、走行停止制御の実行を開始し、ステップS105に進む。ステップS105では、タイマー7bを利用して、予め定めた所定の時間の走行停止時間(例えば2秒)から0へのカウントダウンを開始し、その回のルーチン処理を終了させる。
【0055】
ステップS102において、フラグのON状態が確認された場合、ステップS106に進む。ステップS106では、走行停止制御の実行開始から上述した走行停止時間が経過しているか否かをタイマー7bによる0へのカウントダウンが終了しているか否かによって確認し、カウント中であればステップS107に進む。ステップS107では、走行停止制御の実行を継続するため、各クローラ式走行装置5の駆動を停止させて草刈機1(走行機体2)をその場で走行停止させた状態で保持してステップS108に進む。ステップS108では、草刈装置3を正転側又は逆転側に草刈駆動させ、そのルーチンの処理を終了させる。
【0056】
ステップS106において、走行停止時間が経過してタイマー7bによる0へのカウントダウンが終了している状態が確認された場合、ステップS109に処理を進める。ステップS109では、フラグをOFFにリセットさせ、走行停止制御の実行を終了させる。
【0057】
以上のような構成によれば、ステップS101の処理によって、草刈装置3又は左右のクローラ式走行装置5,5の手動操作が走行停止制御に優先して実行される。
【0058】
また、後述する自動切替制御を実行中の草刈作業等によって、上述した高負荷の状態が発生した場合、ステップS101→ステップS102→ステップS103→ステップS104→ステップS105の順に処理が進み、走行停止制御が開始される。ちなみに、この場合は、走行停止制御の実行が、自動切替制御の実行よりも優先される。
【0059】
また、走行停止制御の実行中は、ステップS101→ステップS102→ステップS106→ステップS107→ステップS108と進むルーチン処理が繰り返され、草刈機1(走行機体2)がその場で走行停止し且つ草刈装置3が正転側又は逆転側に駆動される状態が維持される。この状態では、草刈装置3が左右のロータリカッター14,14が回転作動し、そこに絡まった草や付着した泥等が草刈装置3外に排出され、高負荷の状態が次第に改善する。そして、上述した走行停止時間が経過した場合、ステップS101→ステップS106→ステップS109と進むルーチン処理が1回実行され、走行停止制御の実行が終了する。
【0060】
ちなみに、走行停止制御手段7eは、走行停止制御の実行が終了した直後、次のルーチン処理において、ステップS101から処理を開始することになるが、その際、高負荷の状態が改善されていない場合には、ステップS101→ステップS102→ステップS103→ステップS104→ステップS105の順の処理が進み、再び、走行停止制御の実行が開始される。一方、高負荷の状態が改善されていれば、ステップS101→ステップS103の順の処理が進み、走行停止制御が再び実行されることはない。
【0061】
すなわち、高負荷の状態が改善するまでの間は、走行停止制御の走行停止時間の実行が繰り替えられる。一方、高負荷の状態が改善していれば、迅速に、高負荷が検出される前の作業が再開される。例えば、高負荷の検出する直前まで自動切替制御を実行していた場合、走行停止制御の実行が終了した段階で、直ちに自動切替制御の実行が再開される。
【0062】
なお、本例では、高負荷の状態が改善されるまで、走行停止時間が経過した場合でも、走行停止制御が繰り返し実行され、草刈機1が走行停止し且つ草刈装置3が駆動される状態が維持されるが、走行停止時間の経過のみをもって、草刈機1の走行が再開されるようにしてもよい他、走行停止時間の経過とは無関係に、高負荷状態が改善されたことのみをもって、草刈機1の走行が再開されるようにしてもよい。
【0063】
また、上述の例では、草刈機1が走行であることは、走行停止制御の実行の条件になっていないが、これを走行停止制御の実行開始の条件としてもよい。
【0064】
上述した自動切替制御は、草刈機1による傾斜地での草刈作業時に適宜実行され、その詳細は後述する。
【0065】
次に、図7図9及び図10に基づき、図1乃至図7に示す草刈機1を用いた傾斜地での草刈方法について説明する。
【0066】
図9は、本発明を適用した草刈方法の構成を示すフロー図であり、図10図9に示す草刈方法の構成を概念的に説明する説明図である。草刈機1を用いた傾斜地での草刈方法は、草刈機(走行機体2,本体2a)を、その機体方向と同一の方向である前進側に直進走行させながら草刈作業を行う前進草刈工程(S1)と、草刈機1をその機体方向と反対の方向である後進側に直進走行させながら草刈作業を行う後進草刈工程(S3)と、前記自動切替制御を実行することによって前進草刈工程から後進草刈工程への切替及び後進草刈工程から前進草刈工程への切替を自動的に行う自動切替工程(S2)とを有している。
【0067】
前進草刈工程を行っている最中の機体方向と、後進草刈工程を行っている最中の機体方向とは、傾斜方向に対して交差(図示する例では、直交)する方向(基準方向)を基準とし、この基準方向と同一又は略同一の方向に設定されている。ちなみに、この基準方向はジャイロセンサ36や左右の回転センサ33,33によって検出することが可能である。
【0068】
前進草刈工程を行っている最中の草刈機1(走行機体2,本体2a)の走行経路である直線状の前進経路Aと、後進草刈工程を行っている最中の草刈機1(走行機体2,本体2a)の走行経路である直線状の後進経路Cとは、互いが平行又は略平行な状態で、傾斜方向に交互に並べて配置される。前進経路Aでは、その基準方向と反対の端(図10における左端)が始端A1になり、その基準方向の端が終端A2になる。一方、後進経路Cでは、その基準方向の端(図10における右端)が始端C1になり、その基準方向の反対の端が終端C2が配置されている。
【0069】
傾斜方向に隣接する前進経路Aと後進経路Bの間隔Lは、予め定められた所定の距離に設定される。すなわち、前進草刈工程と後進草刈工程が交互に実行される毎に、基準方向を向いた草刈機1の傾斜方向における位置が下り側又は上り側(図10に示す例では上り側)に間隔Lだけ順位変位し、最終的に傾斜地の全体の草が刈り取られる。また、この間隔Lは、草刈機1の草の左右の刈幅と同一又は略同一の長さに設定されるか、或いはそれよりも若干短い長さに設定され、傾斜地における草の刈残しが極力防止される。ちなみに、図10は、傾斜地での草刈作業を分かり易く概念的に示すものであるため、草刈機1のサイズは正確に示されていない。
【0070】
前進草刈工程から後進草刈工程への切替を目的として実行される自動切替工程での草刈機1の走行経路(切替経路B)は、該前進草刈工程の前進経路Aの終端A2と、該後進草刈工程の後進経路Cの始端C1とを結ぶ直線状をなしている。一方、後進草刈工程から前進草刈工程への切替を目的として実行される自動切替工程の切替経路Bは、該後進草刈工程の後進経路Cの終端C2と、該前進草刈工程の前進経路Aの始端A1とを結ぶ直線状をなしている。
【0071】
前進経路Aを複数列設ける場合、その始端A1の基準方向における位置は同一又は略同一に揃えられるとともに、その終端A2の基準方向における位置も同一又は略同一に揃えられる。同様に、後進経路Cを複数列設ける場合、その始端C1の基準方向における位置は同一又は略同一に揃えられるとともに、その終端C2の基準方向における位置も同一又は略同一に揃えられる。
【0072】
これに対して、切替経路Bを介して前進経路Aの終端A2と接続される後進経路Cの始端C1は、該終端A2に対して、その基準方向における位置が前進側又は後進側の何れか一方(図10に示す例では、後進側)にずらして配置されている。同様に、切替経路Bを介して後進経路Cの終端C2と接続される前進経路Aの始端A1は、該終端C2に対して、その基準方向における位置が前進側又は後進側の何れか一方(図10に示す例では、前進側)にずらして配置されている。
【0073】
このような始端A1,C1及び終端A2,C2の位置関係によれば、この切替経路Bは、互いに平行又は略平行な前進経路A及び後進経路Cに対して所定角度(切替角度α)傾いた状態になる。言い換えると、ある終端A2,C2に対して、該終端A2,C2と切替経路Bを介して接続される始端A1,C1は、基準方向に対して切替角度α傾いた方向又は180°から切替角度αを減算した角度傾いた方向に所定距離(切替距離)だけ離れた位置に配置されている。
【0074】
自動切替制御手段7d(制御部7)は、予め定めた所定の条件(切替条件)が満たされた場合、上述した自動切替制御の実行を開始する。切替条件について説明すると、例えば、草刈機1(走行機体2,本体2a)が前進経路A又は後進経路Cの終端A2,C2に達したことを、自動切替制御手段7dが位置取得手段として機能する左右の回転センサ33,33やGPSセンサ34によって検出した場合や、コントローラ41等によって自動切替制御の実行開始の手動操作が行われたことを自動切替制御手段7dが検出した場合や、その両方が自動切替制御手段7dによって検出した場合、自動切替条件が満たされたものとして、自動切替制御手段7dが自動切替制御の実行を開始する。
【0075】
自動切替制御手段7dは、自動切替制御の実行が開始された場合、まず、その機体方向が基準方向に向けられ且つ終端A2,C2に位置する草刈機1(走行機体2,本体2a)が、その場で1/4周未満の旋回角度である前記切替角度αだけ旋回するように、クイックターン制御を実行することによって、該草刈機1の機体方向を、該終端A2,C2と切替経路Bを介して接続される始端A1,C1又はその近傍側の方向に向けるか、或いは、その反対側の方向に向ける方向転換処理(S2-1)を行う。すなわち、この終端A2,C2は、草刈機1の方向を、始端A1,C1側又はその反対側に向ける方向転換位置になる。
【0076】
例えば、図10に示す後進経路Cの始端C1は、前進経路Aの終端A2からみて、基準方向と反対の方向に向かって傾斜方向上り側に切替角度α傾いた方向に切替距離だけ離れた箇所に位置しているため、クイックターン制御を実行し、この終端A2に位置している草刈機1を、平面視で時計回りにその場で切替角度αだけ旋回させることにより、該草刈機1を、該始端C1と反対の方向に向ける。
【0077】
一方、同図に示す前進経路Aの始端A1は、後進経路Cの終端C2からみて、基準方向に向かって傾斜方向上り側に切替角度α傾いた方向に切替距離だけ離れた箇所に位置しているため、クイックターン制御を実行し、この終端C2に位置している草刈機1を、平面視で時計回りにその場で旋回させることにより、該草刈機1を、該始端C1の方向に向ける。
【0078】
自動切替制御手段7dは、自動切替制御の実行中、方向転換処理を終えると、続けて、終端A2,C2側に位置する草刈機1(走行機体2,本体2a)を、該終端A2,C2から切替経路B上を前進側又は後進側に直進走行させ、その切替経路Bのもう一端である始端A1,C1まで移動させる移動処理(S2-2)を行う。具体的には、方向転換処理によって機体方向が始端A1,C1側の方向を向けられた草刈機1は、移動処理によって、切替経路B上を前進側に直進走行する。一方、方向転換処理によって機体方向が始端A1,C1と反対側の方向を向けられた草刈機1は、移動処理によって、切替経路B上を後進側に直進走行する。ちなみに、移動処理を行って切替経路Bを前進側又は後進側に直進走行している最中は、草刈装置3も駆動されて草刈作業を行われる。
【0079】
自動切替制御手段7dは、自動切替制御の実行中、移動処理を終えると、始端A1,C1又はその近傍に位置する草刈機1(走行機体2,本体2a)を、その場で、方向転換処理の際に旋回させた側と反対側に切替角度αだけ旋回させるようにクイックターン制御を実行し、該草刈機1を基準方向に向ける方向復帰処理(S2-3)を行い、この自動切替制御の実行を終了する。すなわち、この始端A1,C1は、草刈機1の方向を、基準方向に復帰させる方向復帰位置になる。
【0080】
例えば、図10に示す後進経路Cの始端C1又はその近傍に位置する草刈機1は、クイックターン制御を実行して平面視で反時計回りに切替角度αだけ旋回させることにより、その機体方向を基準方向に復帰させる。一方、同図に示す前進経路Aの始端A1又はその近傍に位置する草刈機1は、クイックターン制御を実行して平面視で時計回りに切替角度αだけ旋回させることにより、その機体方向を基準方向に復帰させる。
【0081】
このような自動切替制御を実行する自動切替工程を、前進草刈工程から後進草刈工程への切替と、後進草刈工程から前進草刈工程への切替との夫々で行うことによって、草刈機1を前進又は後進させながら左右に旋回させることなく、傾斜地の全体を満遍なく走行させ、草刈作業を行うことが可能になる。
【0082】
以上のように構成される本発明によれば、自動切替制御を実行することによって、前進草刈工程を実行する際の草刈機1の走行終了位置である終端A2から、後進草刈工程を実行する際の草刈機1の走行開始位置である始端C1への移動が自動的に行われるとともに、後進草刈工程を実行する際の草刈機1の走行終了位置である終端C2から、前進草刈工程を実行する際の草刈機1の走行開始位置である始端A1への移動も自動的に行われるため、誤操作に起因して草刈機1の転倒が防止される。また、草刈機1は1/4以上の旋回量では方向転換されないため、傾斜地での転倒の可能性がさらに低減される。
【0083】
なお、草刈作業のみならず、傾斜地の除雪作業等のその他の作業にも適用可能であり、この場合、前進草刈工程は前進作業工程になり、後進草刈工程は後進作業工程になる。
【0084】
また、図10に示す例では、後進経路Bの方向復帰位置B1を、該方向復帰位置B1と切替経路Bを介して接続される方向転換位置A2に対して、基準方向と反対の方向に向かって上り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置しているが、図11に中心線で示す通り、この方向復帰位置C1を、該方向転換位置A2に対して、基準方向に向かって上り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置しもよい。
【0085】
また、図11に仮想線で示す通り、後進経路Bの方向復帰位置C1を、該方向復帰位置C1と切替経路Bを介して接続される方向転換位置A2に対して、基準方向と反対の方向に向かって下り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置してもよい他、基準方向に向かって下り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置してもよい。
【0086】
一方、図10に示す例では、前進経路Aの方向復帰位置A1を、該方向復帰位置A1と切替経路Bを介して接続される方向転換位置B2に対して、基準方向に向かって上り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置しているが、図12に中心線で示す通り、この方向復帰位置A1を、該方向転換位置A2に対して、基準方向と反対の方向に向かって上り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置しもよい。
【0087】
また、図12に仮想線で示す通り、前進経路Aの方向復帰位置A1を、該方向復帰位置A1と切替経路Bを介して接続される方向転換位置C2に対して、基準方向と反対の方向に向かって下り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置してもよい他、基準方向に向かって下り側に傾斜した方向に切替距離だけ離間した位置に配置してもよい。
【0088】
次に、図13に基づき本発明の別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
【0089】
図13(A),(B)は夫々別実施形態に係る自動切替制御の内容を概念的に説明する説明図である。図10に示す例では、前進経路Aの方向転換位置A2に対して、後進経路Cの方向復帰位置C1を、基準方向と反対の方向に所定の距離だけずらした位置に配置しているため、上述の方向転換位置A2と比較して、この方向復帰位置C1から基準方向に前記所定の距離分だけ変位した位置までの範囲が草刈を行っていない未刈範囲Dになるが、図12(A)に示す通り、草刈機1を未刈範囲Dで往復走行させて草刈作業を行う準備工程を、自動切替工程の後で且つ後進草刈工程の前に実行してもよい。
【0090】
また、上述した通り、後進経路Cの方向復帰位置C1に対して、前進経路Cの方向転換位置A2を、基準方向と反対の方向に所定の距離だけずらした位置に配置してもよいが、この場合、上述の方向復帰位置C1と比較して、この方向転換位置A2から基準方向に前記所定の距離分だけ変位した位置までの範囲が草刈を行っていない未刈範囲Dになるが、図13(B)に示す通り、草刈機1を未刈範囲Dで往復走行させて草刈作業を行う準備工程を、前進草刈工程の後で且つ自動切替工程の前に実行してもよい。
【0091】
なお、本例では、切替経路Bを介して接続される前進経路Aの方向転換位置A2と後進経路Cの方向復帰位置C1との関係で発生する未刈地Dの処理について説明したが、切替経路Bを介して接続される後進経路Cの方向転換位置C2と後進経路Aの方向復帰位置A1との関係で発生する未刈地Dの処理についても、同様の考え方で、準備工程を導入可能である。
【0092】
次に、図7図14及び図15に基づき草刈方法の別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
【0093】
図14は別実施形態に係る草刈方法の処理内容を示すフロー図であり、図15図14に示す草刈方法の構成を概念的に説明する説明図である。図14に示す草刈方向では、前進草刈工程と、草刈機1を前進経路Aの終端A2から前進側で且つ左右の一方側(図示する例では、上り側)に走行させてUターンさせるUターン旋回工程(S4)とを交互に実行する。
【0094】
また、このUターン旋回工程は、図7に仮想線で示すUターン制御手段7fによって実行されるUターン制御によって自動的に行わせてもよい。
【0095】
次に、図16に基づき本発明の別実施形態について上述の形態と異なる点を説明する。
【0096】
図16(A),(B)は別実施形態に係る草刈装置の構成を示す平面図及び側面図である。同図に示す例では、草刈装置3には、回転駆動される左右一対のロータリカッター14の他、ロータリカッター14と一体で回転駆動される第1促進体43及び第2促進体44が設けられている。
【0097】
第1促進体43及び第2促進地44は、ロータリカッター14の真上側で且つ作業側カバー31の真下側の位置するスペースに配置される。第1促進体43及び第2促進地44は、駆動軸28cによって、ロータリカッター14と共にその軸回り方向に回転駆動される。
【0098】
第1促進体43は、ロータリカッター14のベースプレート14aに取り付け固定され且つ該ベースプレート14aから上方に突出形成される。ベースプレート14aは、駆動軸28cの軸方向視で、該駆動軸28cを中心とする円形の板状に成形され、第1促進体43は、ベースプレート14aの外縁部に配置され、該ベースプレート14aの円形の径方向に厚みを有する板状に成形されている。また、第1促進体43はロータリカッター14毎に複数設けられ、その複数の第1促進体43が駆動軸28cの軸回り方向に所定間隔(図示する例では1/4周)毎に等間隔で満遍なく並べて配置されている。
【0099】
第2促進体44は、第1促進体43の上方の空間において該第1促進体43から所定距離だけ離れた位置に配置されている。第2促進体44は、駆動軸28cと平行な方向に厚みを有する板状をなす且つ該駆動軸28c側からその径方向の外側に突出している。第2促進体44は、ロータリカッター14毎に複数設けられ、その複数の第2促進体44は、駆動軸28cの軸回り方向に所定間隔(図示する例では1/3周)毎に等間隔で満遍なく並べて配置されている。ちなみに、第2促進体44は、駆動軸28cの軸方向視で、ベースプレート14aや第1促進体43よりも、その径方向の外側に突出するとともに、刈刃14cよりは突出量が少ない。
【0100】
以上のように構成される草刈装置3によれば、走行機体2の走行中、左右の刈刃14c,14cによって根本側から刈り取られて地面から浮いた草は、平面視で刈刃14c,14cの間に位置するスペースにおいて、その下部が第1促進体43により走行方向の反対の方向に送られるとともに、その中途部が第2促進体44により走行方向の反対の方向に送られ、速やかに、ロータリカッター14,14から離間し、その作業負荷の増加が抑制する。このため、出力の小さい電動式のモーターを作業用モーター9として採用することも可能になる。
【0101】
また、草刈機1を前進走行させながらの草刈作業時には、作業側カバー31が草その走行方向である前方に傾斜させて刈り取り易い状態への切替を行う一方で、草刈機1を後進走行させながらの草刈作業時には、走行機体2自体が草を後方に傾斜させて刈り取り易い状態への切替を行う。
【0102】
以上により、草刈機1は、前進時及び後進時の両方において、さらに効率的且つ迅速に草刈作業を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0103】
1 草刈機(自走式草刈機,作業機)
2 走行機体
2a 本体
3 草刈装置
5 クローラ式走行装置(走行部)
7 制御部
14 ロータリカッター(刈取回転体)
37 負荷検出手段
43 第1促進体
44 第2促進体
A1,C1 始端(方向復帰位置)
A2,C2 終端(方向転換位置)
α 切替角度(角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16