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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110761
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】物品昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 3/16 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
B66D3/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012388
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小塩 亜衣子
(72)【発明者】
【氏名】服部 真二
(72)【発明者】
【氏名】居嶋 正幸
(72)【発明者】
【氏名】島本 昌晃
(57)【要約】
【課題】容易な操作で物品の高さを変更可能な物品昇降装置を提供すること。
【解決手段】物品昇降装置1は、操作者により引張操作される操作紐2と、操作紐2が接続された歯車30を有し、操作者の引張操作力を伝達する伝達機構3と、伝達機構3に連結され、伝達機構3により伝達される引張操作力に応じて回転する軸部4と、軸部4の回転により軸部4に巻き取られることで物品7を吊り下げ昇降可能な複数の吊紐5と、を備える。吊紐5は、軸部4から複数下垂して設けられ、複数の吊紐5のうちの一つの吊紐5が掛け回される滑車6を複数さらに備えることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者により引張操作される操作紐と、
前記操作紐が接続された歯車を有し、前記操作者の引張操作力を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構に連結され、前記伝達機構により伝達される前記引張操作力に応じて回転する軸部と、
前記軸部の回転により前記軸部に巻き取られることで物品を吊り下げ昇降可能な複数の吊紐と、を備える、物品昇降装置。
【請求項2】
前記吊紐は、前記軸部から複数下垂して設けられ、
前記複数の吊紐のうちの一つの吊紐が掛け回される滑車を複数さらに備える、請求項1に記載の物品昇降装置。
【請求項3】
前記物品昇降装置は、壁面に設けられ略水平方向に延びるレール部に移動可能に係合する、請求項1又は2に記載の物品昇降装置。
【請求項4】
前記物品昇降装置は、室内の一の壁面と他の壁面が交差して接続される入隅部に配置され、
前記軸部は、前記一の壁面に設置され、
前記吊紐は、前記軸部の長手方向の一方側に配置され、前記一の壁面の上部から下垂する第1吊紐部と、前記軸部の長手方向の他方側から延び、前記他の壁面の上部から下垂する第2吊紐部と、を有し、
前記第1吊紐部及び前記第2吊紐部の下端部を接続するとともに、長手方向に伸縮可能な伸縮棒と、
前記他の壁面に設けられ略水平方向に延びるレール部と、
前記レール部に係合して前記レール部内を移動する可動係止部と、をさらに備え
前記第2吊紐部は、前記可動係止部から下垂し、
前記伸縮棒は、前記可動係止部の移動に従って伸縮可能である、請求項1に記載の物品昇降装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を吊り下げて昇降する場合に、物品に吊紐とバランス用の重りを接続し、物品と重りとのバランスを取りながら吊紐を上下させることで物品を昇降する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-18399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より容易な操作で物品の高さを変更可能な物品昇降装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、操作者により引張操作される操作紐と、前記操作紐が接続された歯車を有し、前記操作者の引張操作力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構に連結され、前記伝達機構により伝達される前記引張操作力に応じて回転する軸部と、前記軸部の回転により前記軸部に巻き取られることで物品を吊り下げ昇降可能な複数の吊紐と、を備える、物品昇降装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の物品昇降装置の斜視図である。
図2】第1実施形態の物品昇降装置の側断面図である。
図3】第1本実施形態のカバーボックスの内部の斜視図である。
図4】第2実施形態の物品昇降装置の斜視図である。
図5】第2本実施形態のカバーボックスの内部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。第1実施径形態に係る物品昇降装置1は、室内の壁面200の上部に配置され、壁面200等から物品としての棚7を吊り下げて高さを変更可能な装置である。物品昇降装置1は、後述するレール部としての通電吊レール9に移動可能に係合して取り付けられている。物品昇降装置1は、操作紐2と、伝達機構3と、軸部4と、吊紐5と、滑車6と、カバーボックス10と、を有する。
【0008】
操作紐2は、カバーボックス10の操作紐開口部171から下垂し、操作者により引張操作される環状の紐である。
【0009】
伝達機構3は、図2及び図3に示すように、歯車としてのウォームギア30を有する。ウォームギア30は、ウォーム31と、ウォームホイール32と、操作紐接続部33と、を有する。ウォーム31は、壁面200側から室内側に延びるように配置される軸状の歯車である。ウォーム31は、後述する操作紐接続部33を介して、一端に操作紐2が接続される。操作紐2が操作者により引っ張られて回転すると、操作者の引張操作力がウォーム31に伝達され、ウォーム31が回転する。ウォームホイール32は、ウォームに係合し、ウォーム31の回転方向と交差する方向に回転する。操作紐接続部33は、ウォーム31の室内側の端部に配置され、ウォーム31ともに回転するプーリーである。操作紐接続部33は、操作紐2と係合し、操作紐2が引っ張られることで回転する。
【0010】
軸部4は、壁面200に沿って配置され、吊紐5の下垂方向と略直交する方向に延びる円柱体である。軸部4の端部には、ウォームホイール32が取り付けられ、軸部4は伝達機構3に連結されている。軸部4は、ウォームホイール32により伝達される引張操作力に応じて回転する。
【0011】
滑車6は、後述する吊紐5を案内するために配置される。滑車6は、複数配置され、奥側滑車61と、手前側滑車62と、を有する。本明細書において、物品昇降装置1の壁面200側と奥、室内側を手前と言う。
【0012】
奥側滑車61は、軸部4の長手方向の一方及び他方に、合計二個配置される。奥側滑車61は、軸部4と同心で、軸部4と同じ円周方向に回転する。奥側滑車61は、軸部4と一体に取り付けられる軸部4よりも大きな径を有する略円筒体である。奥側滑車61は、溝部611と、一対の案内壁612と、を有する。溝部611は、円筒体の一端と他端の間の中間部が、一端及び他端よりも径が小さくなっていることで形成される。溝部611内に、吊紐5が巻きつけられる。案内壁612は、円筒体の両端部の外径が溝部611よりも大きくなることで形成され、吊紐5が溝部611から奥側滑車61の外に移動してしまわないように案内する。奥側滑車61には、複数の吊紐5のうち、奥側吊紐51、52が掛け回される。
【0013】
手前側滑車62は、奥側滑車61の手前側にそれぞれ配置される。手前側滑車62は、奥側滑車61と同様に、互いに外径が異なり、小径の溝部621と、大径の案内壁622とを有する。手前側滑車62は、奥側滑車61から掛け回される吊紐5の延びる方向がずれないように、奥側滑車61の溝部611の中心と手前側滑車62の溝部621の中心とが、奥行方向に揃うように配置される。手前側滑車62には、複数の吊紐5のうち、後述する手前側吊紐53、54が掛け回される。
【0014】
吊紐5は、軸部4に巻き付けられている。吊紐5の下部には、後述する棚7が接続されて、吊り下げられている。吊紐5は、軸部4の回転により軸部4に巻き取られることで、棚7を吊る高さが変更され、棚7が昇降する。吊紐5は、第1実施形態では、軸部4の長手方向の一方側において、奥側と手前側にそれぞれ接続され、一方側で計二本、軸部4の他方側において、奥側と手前側にそれぞれ接続され、他方側で計二本、合計四本、軸部4から複数下垂するように設けられる。それぞれを奥側吊紐51、52、手前側吊紐53、54と呼ぶ。
【0015】
奥側吊紐51、52は、上端部が奥側滑車61に固定して接続され、図2に示すように、自由端側が奥側滑車61から下垂する。
【0016】
手前側吊紐53、54は、上端部は奥側滑車61に固定して接続されるとともに、手前側滑車62の溝部621に掛け回され、手前側滑車62から下垂するように配置される。手前側吊紐53、54は、奥側滑車61に接続され、手前側滑車62に掛けられて下垂することで、吊り下げる棚7に奥行方向の幅があった場合に、棚7のバランスを取りながら巻き取りやすくなる。
【0017】
昇降操作について説明する。操作紐2を一方側に引張操作すると、操作紐2が接続されているウォーム31が回転し、操作紐2の引張操作力がウォームホイール32を通じて軸部4に伝達され、軸部4が回転する。軸部4が回転することで、軸部4に巻き付けられている奥側吊紐51、52及び手前側吊紐53、34のいずれもが巻き取られる。吊紐5が巻き取られると、棚7は上昇する。操作紐2を他方側に引張操作すると、軸部4が反対側に回転し、吊紐5が下垂して棚7が下降する。
【0018】
カバーボックス10は、壁面200の上部に配置され、内部に伝達機構3と、軸部4と、吊紐5と、滑車6と、を収容して覆う略直方体状の箱体である。カバーボックス10は、軸部4の長手方向に沿う横長の形状を有する。カバーボックス10は、天面部11と、前面部12と、底面部13と、一対の側面部14と、背面部15と、係合部16と、操作紐開口部171と、奥側吊紐開口部173と、手前側吊紐開口部172を有する。
【0019】
天面部11は、天井201に対向する略長方形の板である。前面部12は、室内側に面し、天面部11から下垂する板である。底面部13は、天面部11に対向する板である。一対の側面部14は、カバーボックス10の正面視における左右方向の端部で底面部13と天面部11とを接続する。天面部11、前面部12、底面部13及び一対の側面部14は、それぞれ樹脂製の同素材による板状の部材で構成される。操作紐開口部171は、底面部13に形成された貫通孔であり、伝達機構3に接続された操作紐2が挿通して下垂する。手前側吊紐開口部172は、前面部12及び底面部13に形成される開口部である。奥側吊紐開口部173は、奥側吊紐51、52が挿通する開口であり、手前側吊紐開口部172は、手前側吊紐53、54が挿通する略L字状のスリットによる開口である。
【0020】
背面部15は、金属製の板状の部材で形成され、前面部12に対向するとともに壁面200に沿って配置される。背面部15には、伝達機構3及び軸部4が接続される。具体的には、背面部15は、背面部本体150と、ウォーム31を支持する第1支持部151、ウォームホイール32及び軸部4が挿通する第2支持部152、手前側滑車62を支持する第3支持部153を有する。背面部本体150は、壁面200側に位置し、横長に延びる長方形の板である。第1支持部151~第3支持部153は、奥側から手前側へ片持状に突出する背面部本体150よりも小さな板である。
【0021】
係合部16は、背面部15の第2支持部152の上面に接続される。係合部16は、軸部161と、係合頭部162と、を有する。軸部161背面部15に固定され、上方に向かって延びる。係合頭部162は、軸部161の上端に配置され、軸部161の上端部が縮径した後、膨出することで形成される。係合頭部162は、通電吊レール9の吊溝部911に係合する。
【0022】
通電吊レール9は、壁面200における天井201直下に、壁面200に沿って配置される。通電吊レール9は、レール本体91と、レールコンセント92と、を有する。
【0023】
レール本体91は、壁面200の上部に延設され、略水平方向に延びて配置される長尺の部材である。レール本体91は、裏面91bが壁面200に固定され、表面91aが室内側に面している。レール本体91は、吊溝部911と、電線用凹部912と、を有する。
【0024】
吊溝部911は、係合部16が、レール本体91の延出方向に沿って移動可能に係合する凹部である。吊溝部911は、レール本体91の下面91cに配置され、下方に向かって開口するとともに上方に向かって窪むことで形成される。吊溝部911は、底面部911aと、一対の側壁部911bと、係合凸部911cと、を有する。底面部911aは、取り付けられた状態で上方に位置し、レール本体91に沿って延びる面である。一対の側壁部911bは、底面部911aの両端部から下方に向かって延びる。係合凸部911cは、一対の側壁部911bの下端から、互いが近づく方向に突出する。係合凸部911cは、吊溝部911を部分的に塞ぐように突出する。係合凸部911cにより、吊溝部911内に配置された係合部16の係合頭部162が、下方に落下しないように支持されて、係合部16が吊溝部911内を移動可能に係合する。
【0025】
電線用凹部912は、レール本体91の手前側の面に形成され、手前側に向かって開口するとともに奥側に向かって窪んで形成される。電線用凹部912は、壁面側に配置される底部912a、上面及び下面側に配置される一対の側壁部912bにより形成される。電線用凹部912は、後述するレールコンセント92を内部に収容し、レールコンセント92の外形に合った形状を有する。
【0026】
レールコンセント92は、レール本体91の延設方向に沿って延びる。レールコンセント92は、長尺の基材921に、金属の電線922を配置して構成される。基材921は、内部に電線922を収容可能であるとともに、外部から電線922にアクセス可能な開口を有して形成される。レールコンセント92は、別体のプラグ(図示省略)を差し込むことにより、プラグに接続された製品に電力を供給する。レールコンセント92自体は、室内の電源部(図示省略)に接続されて、室内の電源部から電力が供給される。
【0027】
通電吊レール9の取付方法について説明する。最初に、レール本体91を壁面200にねじ等で固定する。このとき、レールコンセント92は、まだベース部910に配置していない。レール本体91を固定した後、電線用凹部912にレールコンセント92を嵌め込むようにして配置する。これにより、レールコンセント92でねじが隠蔽される。
【0028】
棚7は、上部が開口した略直方体の形状を有する。図2に示すように、棚7は、奥側で壁面200に沿って配置される後壁部71と、後壁部71に対向する前壁部72と、下方で略水平方向に延びる底面部73と、底面部73から、後壁部71及び前壁部72に交差する方向に起立する一対の側壁部74と、を有する。棚7では、底面部73における一対の側壁部74側の端部に、奥側に奥側吊紐51、52が接続され、手前側に手前側吊紐53、54が接続される。奥側吊紐51、52及び手前側吊紐53、54は、底面部73の一対の側壁部74側の端部に設けられた挿通孔に配置される取付金具75を挿通し、底面部73からさらに下垂している。
【0029】
取付金具75は、略円筒形の軸と底面部73に当接可能な鍔を有する留め具751と、留め具751を締結可能な締結部752と、を有する。取付金具75は、留め具751の内周側に吊紐5を挿通させた状態で吊紐5の位置を変更し、所定の位置で締結部752を締めて吊紐5を留め具751内に固定可能に構成されている。奥側吊紐51、52及び手前側吊紐53、54は、同じ奥側滑車61に掛け回されて巻き取られるので、巻き取る距離が長いと、棚7のバランスが崩れてしまう。その場合には、取付金具75を緩めて吊紐5の長さを調整し、棚7のバランスを調整する。
【0030】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。物品昇降装置1を、操作者により引張操作される操作紐2と、操作紐2が接続されたウォームギア30を有し、操作者の引張操作力を伝達する伝達機構3と、伝達機構3に連結され、伝達機構3により伝達される引張操作力に応じて回転する軸部4と、軸部4の回転により軸部4に巻き取られることで物品Tを吊り下げ昇降可能な複数の吊紐5と、を含んで構成した。操作紐2を引張操作することで、伝達機構3を介して軸部4が回転し、吊紐5が昇降するので、吊紐5に吊り下げた物品Tを容易な操作で昇降させることが可能になる。
【0031】
本実施形態によれば、吊紐5を、軸部4から複数下垂して設け、複数の吊紐5のうちの一つの吊紐5が掛け回される滑車6を複数さらに含んで形成した。複数の吊紐5(奥側吊紐51、52、手前側吊紐53、54)のうち、ある吊紐(手前側吊紐53、54)を手前側滑車62に掛け回すことで、手前側吊紐53、54は、軸部4から手前側に嵌まれた手前側滑車62に案内される。これにより、複数の吊紐5の奥側吊紐51、52と手前側吊紐53、54とが、奥側と手前側に下垂する位置が離れるので、奥行方向に一定の長さを有する棚7等の物品を、安定して昇降させることができる。
【0032】
物品昇降装置1を、壁面200に設けられ略水平方向に延びる通電吊レール9に移動可能に係合させた。これにより、物品昇降装置1を、壁面200の所望の位置に移動させて使用することができ、所望の位置で電力の供給を受けることができる。通電吊レール9に接続することで、物品昇降装置1で吊った物品で使用する電子機器に電力を供給したり、照明を吊り下げて移動可能な照明として使用したりすることも可能となる。
【0033】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。以上の第1実施形態では、物品昇降装置1は、通電吊レール9に接続されている。しかし、物品昇降装置1は、通電吊レール9に係合させずに、壁面200に直接固定してもよい。またレール部として、電線が設けられておらず、係合部が移動可能な溝部を有する吊レールを用いてもよい。吊紐5の数や位置は、吊る物品の形状等に応じて適宜変更可能である。
【0034】
図4及び図5に示す第2実施形態では、物品昇降装置1Aは、レール部として通電吊レール9を構成要件として含む。物品昇降装置1Aは、第1実施形態の主要構成に加え、第1吊紐部55と、第2吊紐部56と、伸縮棒70と、可動係止部8と、通電吊レール9と、を有する。物品昇降装置1Aは、室内の一の壁面202と、他の壁面204とが交差して接続される入隅部203に配置される。
【0035】
カバーボックス10Aは、一の壁面202側に設置されている。カバーボックス10Aの内部には、軸部4が配置されており、軸部4も一の壁面202側に設置される。カバーボックス10Aに形成される吊紐開口部174は、一の壁面202側では、底面部13に形成され、他の壁面204側では、前面部12に形成される。吊紐開口部174から、吊紐5がカバーボックス10Aの外側へ挿通する。
【0036】
第2実施形態の吊紐5Aは、二本の吊紐により構成される。吊紐5Aは、カバーボックス10Aから延びて、後述する伸縮棒70に接続される。また、吊紐5Aは、伸縮棒70の端部を挿通してさらに下垂する。
【0037】
第1吊紐部55は、軸部4の長手方向の一方側に配置され、一の壁面202の上部から下垂する。図5に示すように、第1吊紐部55は、滑車6の溝部611に端部が固定されて掛け回され、吊紐開口132からカバーボックス10Aの下方に延びる。
【0038】
第2吊紐部56は、軸部4の長手方向の他方側から延びるように配置される。第2吊紐部56は、滑車の溝部611に端部が固定されて掛け回され、軸部4の回転とともに巻き取られる。図4に示すように、第2吊紐部56は、カバーボックス10Aの前面部12に形成された吊紐開口部174から、他の壁面204に沿って延び、カバーボックス10Aから離れた位置で、他の壁面204の上部から下垂する。第2吊紐部56は、軸部4から他の壁面204に沿って延びた後に下垂するので、予め第1吊紐部55よりも長い距離、軸部4から延びるように配置されている。
【0039】
通電吊レール9は、一の壁面202及び他の壁面204の両方の上部に配置される。一の壁面202側では、カバーボックス10A内に配置された係合部16が通電吊レール9に係合する。一の壁面202側の構成は、第1実施形態と同様である。他の壁面204側では、通電吊レール9は、一の壁面202側に設けられる通電吊レール9と同じ高さ位置で、略水平方向に延びる。通電吊レール9の吊溝部911内に、以下に説明する可動係止部8が係合して移動する。
【0040】
可動係止部8は、係合軸部81と、係合頭部82と、環状部83と、を有する金具である。係合頭部82は、通電吊レール9の吊溝部911に配置され、係合凸部811cに係止する。係合軸部81は、係合頭部82と環状部83を接続する略円柱状の軸である。環状部83は、通電吊レール9内に配置された係合頭部82の下方に位置する環である。環状部83には、第2吊紐部56が挿通し、環状部83から第2吊紐部56が下垂する。
【0041】
伸縮棒70は、外径の異なる略円筒状の二本の棒を重ねて配置し、長手方向に伸縮可能に構成される。伸縮棒70は、第1吊紐部55及び第2吊紐部56に接続される。具体的には、伸縮棒70は外筒76と、内筒77と、接続金具78を有する。外筒76は、内側に内筒77を収容する。内筒77は、外筒76の長手方向にスライド可能であるとともに、希望の位置で固定可能に構成されている。
【0042】
接続金具78は、外筒76の一端と、内筒77の他端に、それぞれ配置される。接続金具78を介して、外筒76は第1吊紐部55に、内筒77は第2吊紐部56に、接続される。接続金具78は、上下方向に第1吊紐部55及び第2吊紐部56を挿通させることが可能な貫通孔と、ロック機構(不図示)と、を有する。例えば、ロック機構は、貫通孔内に配置されたばねにより吊紐5Aを固定した状態で付勢し、付勢力を解除することで吊紐5Aが移動可能に構成される。貫通孔を挿通する吊紐5Aは、ロック機構を解放する操作により、接続金具78を通って移動することができ、ロック機構の固定により接続金具78に固定される。
【0043】
第2実施形態に係る物品昇降装置1Aの動きについて説明する。操作者が操作紐2を引張操作すると、伝達機構3を介して引張操作力が軸部4に伝えられ、第1吊紐部55及び第2吊紐部56が巻き取られたり下垂したりする。ここで、第2吊紐部56は、通電吊レール9に係合する可動係止部8の環状部83を通って下垂しているので、可動係止部8を通電吊レール9に沿って移動させることで、伸縮棒70の位置を変更したり、伸縮棒70を可動係止部8の移動に従って伸縮させたりすることができる。
【0044】
例えば、伸縮棒70を伸縮させずに、外筒76の長さのみで用いる場合、可動係止部8をカバーボックス10A側へ近づけると、伸縮棒70は、一の壁面202側の辺が長く、他の壁面204側の辺が短い直角三角形の斜片を構成する。この位置では、伸縮棒70が、一の壁面202側に近い。可動係止部8をカバーボックス10Aから遠ざけると、入隅部203に形成される三角形の一の壁面202側の辺と、他の壁面204側の辺との長さが近くなってくるとともに、伸縮棒70が入隅部203の室内側へ移動してくる。
【0045】
さらに可動係止部8を通電吊レール9に沿ってカバーボックス10Aから遠ざける場合、伸縮棒70の外筒76から内筒77を伸ばす。伸縮棒70を伸ばせば伸ばすほど、入隅部203に形成される三角形の一の壁面202側の辺が短く、他の壁面204側の辺が長くなり、伸縮棒70が入隅部203の室内側へ移動する。伸縮棒70には、洗濯物やコート等の衣類を掛けることができるので、伸縮棒70を伸ばせば、多くの物を掛けることができ、掛けるものが少ない時には、伸縮棒70を縮めて場所を取らないように配置することができる。伸縮棒70を伸ばすことで第2吊紐部56の長さが足りなくなる場合は、第2吊紐部56が挿通してる側の接続金具78のロック機構を操作して、下垂する余剰の第2吊紐部56の位置を変えることで、伸縮棒70を略水平に保持させる。
【符号の説明】
【0046】
1 物品昇降装置、 2 操作紐、 3 伝達機構、 4 軸部、 5 吊紐、 6 滑車、 7 棚(物品)、 8 可動係止部、 9 通電吊レール(レール部)、 30 ウォームギア(歯車)、 55 第1吊紐部、 56 第2吊紐部、 202 一の壁面、 204 他の壁面、 70 伸縮棒
図1
図2
図3
図4
図5