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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110775
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】電気装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20230802BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20230802BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01R31/00
H05K5/00 A
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012419
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲正
【テーマコード(参考)】
2G036
4E360
5H605
【Fターム(参考)】
2G036AA20
2G036AA28
2G036BB12
4E360AB33
4E360BA03
4E360BD02
4E360BD07
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA24
4E360EA29
4E360ED02
4E360FA02
4E360FA20
4E360GA23
4E360GA35
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5H605BB05
5H605CC06
5H605EC20
(57)【要約】
【課題】一例として、基板が損傷することを抑制可能な電気装置を得る。
【解決手段】実施形態に係る電気装置は、第1の基板と、前記第1の基板から離間した第2の基板と、アクチュエータと、流路に設けられた液体制御部と、前記第1の基板に設けられ、前記アクチュエータを駆動させるよう構成された駆動部と、前記第1の基板と前記第2の基板とを電気的に接続する接続部と、前記第1の基板に設けられ、前記駆動部が前記アクチュエータへ出力する駆動電流よりも小さい電流を、前記接続部を介して前記第2の基板に供給するよう構成された、電流供給部と、前記第1の基板に設けられ、前記電流を検出する検出部と、前記第1の基板に設けられ、前記検出部が検出した前記電流が閾値を超えた場合に、前記電流供給部から前記第2の基板への前記電流の供給を遮断する、遮断部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板から離間した第2の基板と、
アクチュエータと、
流路に設けられ、前記アクチュエータに駆動されることで前記流路における液体の流れを制御するよう構成された、液体制御部と、
前記第1の基板に設けられ、前記アクチュエータを駆動させるよう構成された駆動部と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを電気的に接続する接続部と、
前記第1の基板に設けられ、前記駆動部が前記アクチュエータへ出力する駆動電流よりも小さい電流を、前記接続部を介して前記第2の基板に供給するよう構成された、電流供給部と、
前記第1の基板に設けられ、前記電流を検出する検出部と、
前記第1の基板に設けられ、前記検出部が検出した前記電流が閾値を超えた場合に、前記電流供給部から前記第2の基板への前記電流の供給を遮断する、遮断部と、
を具備する電気装置。
【請求項2】
前記第2の基板の下方における端は、前記第1の基板の下方における端よりも下方に位置する、請求項1の電気装置。
【請求項3】
前記第1の基板が配置された第1の収容室と、前記第2の基板が配置された第2の収容室と、前記流路に含まれるとともに前記液体制御部が配置された第3の収容室と、が設けられた筐体、
をさらに具備し、
前記第1の収容室は、前記第3の収容室から離間しており、
前記第2の収容室は、前記第3の収容室に連通可能である、
請求項1又は請求項2の電気装置。
【請求項4】
前記筐体に、前記第1の収容室と前記第2の収容室とを連通する孔が設けられ、
第2の収容室の下方における端は、前記第2の収容室に開口する前記孔の端よりも下方に位置する、
請求項3の電気装置。
【請求項5】
前記第2の基板に実装された回転角センサ、
をさらに具備し、
前記アクチュエータは、モータを有し、
前記回転角センサは、前記モータの回転角を検出可能である、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つの電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板への液体の付着を検出可能な電気装置が知られている。例えば、基板は、実装される電気部品の端子と、当該端子の近傍に設けられた検出用のパターンとを有する。液体が端子と当該検出用のパターンとの間で短絡を生じると、電圧が変化する。このため、電圧の検出により、基板への液体の付着が検出され得る(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-113565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、基板において生じた短絡に基づき、基板への液体の付着が検出される。このため、短絡を生じた基板の回路を流れる電流が大きいと、基板が損傷する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、基板が損傷することを抑制可能な電気装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る電気装置は、一例として、第1の基板と、前記第1の基板から離間した第2の基板と、アクチュエータと、流路に設けられ、前記アクチュエータに駆動されることで前記流路における液体の流れを制御するよう構成された、液体制御部と、前記第1の基板に設けられ、前記アクチュエータを駆動させるよう構成された駆動部と、前記第1の基板と前記第2の基板とを電気的に接続する接続部と、前記第1の基板に設けられ、前記駆動部が前記アクチュエータへ出力する駆動電流よりも小さい電流を、前記接続部を介して前記第2の基板に供給するよう構成された、電流供給部と、前記第1の基板に設けられ、前記電流を検出する検出部と、前記第1の基板に設けられ、前記検出部が検出した前記電流が閾値を超えた場合に、前記電流供給部から前記第2の基板への前記電流の供給を遮断する、遮断部と、を備える。よって、一例としては、例えば流路から漏れた液体が第2の基板に接触し、当該第2の基板において短絡を発生させた場合に、電流供給部から第2の基板に供給される電流が大きくなる。これにより、検出部が検出した電流が閾値を超え、遮断部が第2の基板への電流の供給を遮断する。従って、電気装置は、第2の基板に液体が接触したとしても、第1の基板及び第2の基板のうち少なくとも一方が損傷することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一つの実施形態に係る液圧制御装置を概略的に示す断面図である。
図2図2は、上記実施形態のECU及びセンサユニットを模式的に示す図である。
図3図3は、上記実施形態のECUの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、一つの実施形態に係る液圧制御装置10を概略的に示す断面図である。液圧制御装置10は、電気装置の一例である。液圧制御装置10は、例えば、自動車のような車両1に搭載される。液圧制御装置10は、車両1のブレーキ装置の液路における圧力(液圧)を調整する。なお、液圧制御装置10は、この例に限られない。
【0010】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、液圧制御装置10の幅に沿って設けられる。Y軸は、液圧制御装置10の厚さに沿って設けられる。Z軸は、液圧制御装置10の高さに沿って設けられる。
【0011】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。
【0012】
液圧制御装置10は、筐体11と、ポンプ12と、モータ13と、エレクトロニックコントロールユニット(ECU)14と、センサユニット15と、接続部品16とを有する。ポンプ12は、液体制御部の一例である。モータ13は、アクチュエータ及びモータの一例である。接続部品16は、接続部の一例である。筐体11は、ハウジングブロック21と、モータケーシング22と、ECUカバー23とを有する。
【0013】
ハウジングブロック21は、例えば、金属又は合成樹脂によって作られた、略直方体状のブロックである。なお、ハウジングブロック21は、この例に限られない。ハウジングブロック21に、ポンプ12及びECU14が取り付けられる。さらに、ハウジングブロック21に、ソレノイドアクチュエータのような種々の部品が取り付けられる。
【0014】
ハウジングブロック21は、第1の装着面21aと、第2の装着面21bとを有する。第1の装着面21a及び第2の装着面21bは、ハウジングブロック21の外面である。第1の装着面21aは、略平坦に形成され、+Y方向に向く。第2の装着面21bは、第1の装着面21aの反対側に位置する。第2の装着面21bは、略平坦に形成され、-Y方向に向く。
【0015】
ハウジングブロック21に、流路25が設けられる。流路25は、ハウジングブロック21の外面に開口し、ブレーキ装置の液路に接続される。このため、液路の作動油(ブレーキフルード)は、流路25を流れる。作動油は、液体の一例である。作動油は、例えば水分及び不純物を含有することで、導電性を有し得る。ハウジングブロック21には、例示される流路25に限られず、種々の流路がさらに設けられる。
【0016】
ハウジングブロック21に、ポンプ装着穴26と、貫通孔27とがさらに設けられる。ポンプ装着穴26は、第3の収容室の一例である。貫通孔27は、孔の一例である。また、ハウジングブロック21に、他の穴及び溝が設けられても良い。
【0017】
ポンプ装着穴26は、流路25に設けられる。言い換えると、ポンプ装着穴26は、流路25に含まれる。作動油は、ポンプ装着穴26の一部を通過する。すなわち、ポンプ装着穴26に作動油が流れない部分が設けられても良い。
【0018】
ポンプ装着穴26は、第1の装着面21aから略-Y方向に窪む凹部である。ポンプ装着穴26は、第1の装着面21aの略中央において、当該第1の装着面21aに開口する。ポンプ装着穴26は、流路25の他の部分を通じて、ブレーキ装置の液路に接続される。
【0019】
貫通孔27は、ハウジングブロック21を略Y方向に貫通する。このため、貫通孔27は、第1の装着面21aと第2の装着面21bとで開口する。貫通孔27は、例えば、ポンプ装着穴26から+Z方向に離間している。なお、貫通孔27は、ポンプ装着穴26から他の方向に離間していても良い。また、ハウジングブロック21に、複数の貫通孔27が設けられても良い。
【0020】
モータケーシング22は、第1の装着面21aに取り付けられる。モータケーシング22は、アウタカバー31と、エンドカバー32とを有する。なお、モータケーシング22は、この例に限られない。例えば、モータケーシング22は、エンドカバー32を省略しても良い。
【0021】
アウタカバー31は、Y方向に延びる略円筒状に形成される。+Y方向におけるアウタカバー31の端部31aは、塞がれている。-Y方向におけるアウタカバー31の端部31bは、開放されている。エンドカバー32は、アウタカバー31に取り付けられ、アウタカバー31の端部31bを塞ぐ。
【0022】
アウタカバー31の端部31bは、ハウジングブロック21の第1の装着面21aに取り付けられる。アウタカバー31と第1の装着面21aとの間は、例えば、ポンプ装着穴26及び貫通孔27を囲むシール材により液密に封止される。
【0023】
ECUカバー23は、第2の装着面21bに取り付けられる。ECUカバー23と第2の装着面21bとの間に、第1の収容室35が設けられる。第1の収容室35は、筐体11の内部に設けられた空間である。
【0024】
第1の収容室35は、貫通孔27に連通している。ECUカバー23と第2の装着面21bとの間は、例えば、シール材により液密に封止される。第1の収容室35とポンプ装着穴26との間は、ハウジングブロック21の一部によって隔てられる。すなわち、第1の収容室35は、ポンプ装着穴26から離間している。
【0025】
ポンプ12は、例えばギヤポンプである。なお、ポンプ12は、他の種類のポンプであっても良い。ポンプ12の少なくとも一部が、ポンプ装着穴26に収容される。すなわち、ポンプ12は、流路25に設けられる。ポンプ12は、流路25において、作動油を送ることができる。
【0026】
モータ13は、例えば、三相ブラシレスモータである。なお、モータ13は、他の種類のモータであっても良い。モータ13は、モータケーシング22に収容される。このため、第1の装着面21aは、モータ13に向く。モータ13は、モータシャフト41と、二つのベアリング42と、ロータ43と、ステータ44と、モータターミナル45とを有する。モータ13は、モータケーシング22を含んでも良い。
【0027】
モータシャフト41は、モータ13の出力軸である。モータシャフト41は、ベアリング42により、中心軸Axまわりに回転可能に支持される。中心軸Axは、モータシャフト41の回転の中心である。中心軸Ax上にポンプ装着穴26が配置される。二つのベアリング42は、例えば、アウタカバー31の端部31aと、エンドカバー32とに保持される。
【0028】
ロータ43は、モータシャフト41に取り付けられる。ステータ44は、ロータ43を囲み、アウタカバー31に取り付けられる。ステータ44は、駆動電流が入力されると、ロータ43及びモータシャフト41を中心軸Axまわりに回転させる。
【0029】
モータシャフト41は、ポンプ12のロータに接続される。モータ13がモータシャフト41を回転させると、ポンプ12のロータは、回転して作動油を送る。すなわち、ポンプ12は、モータ13に駆動されることで、流路25における作動油の流れを制御する。作動油の流れの制御は、流速の変更、圧力の変更、流れの方向の変更、流れの遮断、又は流れへのその他の作用の発生を含む。
【0030】
モータターミナル45は、例えば、ステータ44に接続された電極と、当該電極を覆うカバーとを有する。モータターミナル45は、貫通孔27を貫通し、第2の装着面21bを越えて延びている。
【0031】
本実施形態において、モータケーシング22に第2の収容室47が設けられる。第2の収容室47は、例えば、エンドカバー32と、ステータ44との間に設けられた空間である。なお、第2の収容室47は、この例に限られない。例えば、第2の収容室47は、第2の装着面21bとエンドカバー32との間に設けられた空間であっても良い。
【0032】
第2の収容室47は、例えばエンドカバー32に設けられた孔又は切り欠きを通じて、貫通孔27に連通している。すなわち、貫通孔27は、第1の収容室35と第2の収容室47とを連通する。さらに、第2の収容室47は、例えばベアリング42を通じてポンプ装着穴26に連通している。
【0033】
図2は、本実施形態のECU14及びセンサユニット15を模式的に示す図である。図2は、ECU14及びセンサユニット15における回路を模式的に示す。図2に示すように、ECU14は、第1の基板51と、電流供給部52と、制御部53と、駆動部54と、モータ遮断部55と、電流制御部56と、を有する。なお、ECU14は、この例に限られない。
【0034】
第1の基板51は、例えば、プリント回路板(PCB)である。なお、第1の基板51としては、例えば、ガラスエポキシ基板を採用することができるが、フレキシブル基板など、他の基板を採用しても良い。第1の基板51は、第1の収容室35に配置される。第1の基板51は、X-Z平面に沿って配置され、例えばネジによってハウジングブロック21に取り付けられる。なお、第1の基板51は、ECUカバー23に取り付けられても良い。
【0035】
電流供給部52、制御部53、駆動部54、モータ遮断部55、及び電流制御部56のそれぞれは、ECU14に設けられた回路の一部である。電流供給部52、制御部53、駆動部54、モータ遮断部55、及び電流制御部56は、第1の基板51に設けられる。電流供給部52、制御部53、駆動部54、モータ遮断部55、及び電流制御部56のそれぞれは、例えば、第1の基板51に設けられた回路、第1の基板51に実装されたIC、及び第1の基板51に設けられた回路と第1の基板51に実装されたICとが協同で構成する部分のいずれであっても良い。
【0036】
電流供給部52は、例えば車両1のバッテリに電気的に接続される。電流供給部52は、例えば、制御部53、駆動部54、モータ遮断部55、電流制御部56、及びセンサユニット15に電流(電力)を供給することができる。
【0037】
制御部53は、例えば、第1の基板51に実装されたIC及びマイコンを有する。制御部53は、液圧制御装置10を制御する。例えば、制御部53は、駆動部54、モータ遮断部55、電流制御部56、及びセンサユニット15を制御する。
【0038】
駆動部54は、例えばモータ13を駆動するインバータ回路である。駆動部54は、例えばコネクタを介して、モータ13のモータターミナル45に接続される。駆動部54は、モータ13に駆動電流Idを出力し、モータ13を駆動することができる。
【0039】
モータ遮断部55は、例えばリレーである。モータ遮断部55は、電流供給部52と駆動部54との間の電気経路に設けられる。モータ遮断部55は、電流供給部52と駆動部54との間の電気経路を通電させる状態と、電流供給部52から駆動部54への電流の供給を遮断する状態と、の間で切り替えられることができる。
【0040】
電流制御部56は、電流供給部52とセンサユニット15との間の電気経路に設けられる。電流制御部56は、センサユニット15へ供給される電流Isを検出し、当該電流Isに応じてセンサユニット15への電流Isの供給を遮断することができる。
【0041】
センサユニット15は、第2の基板61と、複数の回転角センサ62とを有する。なお、センサユニット15は、この例に限られず、他の部品を有しても良い。
【0042】
第2の基板61は、例えば、PCBである。なお、第2の基板61は、他の基板であっても良い。第2の基板61は、第2の収容室47に配置される。このため、第2の基板61は、第1の基板51から離間している。
【0043】
第2の基板61は、X-Z平面に沿って配置され、モータシャフト41を囲む略円環状に形成される。第1の基板51と第2の基板61とは、略平行に配置される。第2の基板61は、モータケーシング22又はステータ44に取り付けられる。なお、第2の基板61は、この例に限られない。
【0044】
回転角センサ62は、例えば、ホールICである。なお、回転角センサ62は、この例に限られず、MRセンサ、ロータリエンコーダ、又は他の回転角を検出可能なセンサであっても良い。回転角センサ62は、第2の基板61に実装される。回転角センサ62は、モータ13のモータシャフト41及びロータ43の回転角を検出する。回転角センサ62は、モータ13の角速度又は回転数を検出しても良い。
【0045】
接続部品16は、例えば、バスバー、ワイヤハーネス、又はケーブルである。接続部品16の一方の端部は、第1の基板51に接続される。接続部品16の他方の端部は、第2の基板61に接続される。これにより、接続部品16は、第1の基板51と第2の基板61とを電気的に接続する。
【0046】
図1に示すように、接続部品16は、例えば、モータターミナル45と共に貫通孔27を通って、第1の基板51と第2の基板61との間で延びている。なお、接続部品16は、モータターミナル45が通る孔とは異なる孔を通っても延びていても良い。
【0047】
接続部品16は、第1の基板51及び第2の基板61に接続される。図2に示すように、電流供給部52は、接続部品16を介して、第2の基板61及び回転角センサ62に電流Isを供給する。電流供給部52は、第2の基板61に実装された他の部品に電流を供給しても良い。また、回転角センサ62の出力信号が接続部品16を流れても良い。
【0048】
電流制御部56は、検出部71と、判定部72と、遮断部73とを有する。電流制御部56は、他の部分又は部品を有しても良い。なお、検出部71、判定部72、遮断部73、及び他の部分又は部品のうち複数が、一つの部品として統合されていても良い。
【0049】
検出部71は、例えば、電流計である。検出部71は、電流供給部52と接続部品16との間の電気経路に設けられる。検出部71は、電流供給部52から第2の基板61に供給される電流Isを検出する。なお、電流供給部52と検出部71との間に、電流供給部52から出力された電流を所定の電流Isに調整する回路が設けられても良い。
【0050】
回転角センサ62の消費電流は、モータ13の消費電流よりも少ない。このため、電流供給部52から第2の基板61へ供給される電流Isは、駆動部54がモータ13へ出力する駆動電流Idよりも小さい。
【0051】
判定部72は、検出部71に接続される。判定部72は、検出部71が検出した電流Isが、所定の閾値を超えるか否かを判定する。判定部72は、電流Isが閾値を超えた場合に、遮断部73へ制御信号を出力する。なお、判定部72は、制御部53に含まれても良い。
【0052】
遮断部73は、例えばリレーである。遮断部73は、電流供給部52と接続部品16との間の電気経路に設けられる。遮断部73は、電流供給部52と接続部品16との間の電気経路を通電させる状態と、電流供給部52から接続部品16を介した第2の基板61への電流の供給を遮断する状態と、の間で切り替えられることができる。
【0053】
遮断部73は、判定部72から出力された制御信号に基づき、電流供給部52から第2の基板61への電流の供給を遮断する。すなわち、遮断部73は、検出部71が検出した電流Isが閾値を超えた場合に、電流供給部52から第2の基板61への電流Isの供給を遮断する。
【0054】
図1に示すように、本実施形態において、第2の基板61の下方における端61aは、第1の基板51の下方における端51aよりも、下方に位置する。また、図2に示すように、第2の基板61における配線61bの少なくとも一部は、第1の基板51における配線51bよりも、下方に位置する。配線61bは、第2の基板61に設けられた配線であり、接続部品16を介して第1の基板に電気的に接続される。配線51b,61bは、例えば、配線パターンと、当該配線パターンに接続された他の部品又は部分を含む。
【0055】
図1に示すように、本実施形態において、第2の収容室47の下方における端47aは、第2の収容室47に開口する貫通孔27の端27aよりも、下方に位置する。さらに、第2の基板61における配線61bの少なくとも一部は、第2の収容室47に開口する貫通孔27の端27aよりも、下方に位置する。
【0056】
以上の液圧制御装置10において、流路25のポンプ装着穴26に設けられたポンプ12は、流路25と第2の収容室47との間を、基本的に封止する。しかし、ポンプ12から作動油Fbが漏出することがある。
【0057】
ポンプ12から漏出した作動油Fbは、例えば、ベアリング42を通じて第2の収容室47に浸入する。作動油Fbは、第2の収容室47において、重力により下方へ移動する。ハウジングブロック21とアウタカバー31との間は、封止されている。このため、作動油Fbは、第2の収容室47に溜まる。
【0058】
第2の収容室47に溜まる作動油Fbの液位が上昇すると、作動油Fbが第2の基板61に付着する。作動油Fbは、例えば、配線61bの露出したランド(パッド)に付着することで、第2の基板61において短絡を生じさせる。
【0059】
第2の基板61において短絡が生じると、電流供給部52から接続部品16を介して第2の基板61に供給される電流Isが増大し、過電流(過負荷)が生じる。増大した電流Isが閾値を超えると、判定部72は遮断部73へ制御信号を出力する。遮断部73は、制御信号に基づき、電流供給部52から第2の基板61への電流Isの供給を遮断する。
【0060】
判定部72は、電流Isが閾値を超えた場合に、制御部53へ信号を出力しても良い。制御部53は、当該信号に基づき、モータ遮断部55に制御信号を出力する。モータ遮断部55は、当該制御信号に基づき、電流供給部52から駆動部54への電流の供給を遮断する。これにより、液圧制御装置10は、駆動部54とモータ13との間で短絡が生じることを抑制できる。
【0061】
さらに、制御部53は、上記信号に基づき、ランプの点灯、警笛の作動、通信、又は他の方法により運転者(ユーザ)に第2の収容室47への作動油Fbの浸入を通知しても良い。運転者は、当該通知に基づき、液圧制御装置10の修理を行うことができる。
【0062】
上述のように、作動油Fbは、第2の基板61において短絡を生じさせる。しかし、電流供給部52が第2の基板61に供給する電流Isは、駆動部54が出力する駆動電流Idよりも小さい。このため、第2の基板61における短絡が生じる影響は、駆動部54とモータ13との間において短絡が生じた場合の影響よりも小さい。
【0063】
第2の収容室47に溜まる作動油Fbの液位が貫通孔27の端27aまで到達すると、作動油Fbが貫通孔27を通って第1の収容室35に浸入する可能性が有る。しかし、作動油Fbは、貫通孔27に到達する前に、第2の基板61に付着する。このため、作動油Fbが貫通孔27に到達する前に、遮断部73が第2の基板61への電流Isの供給を遮断し、運転者が第2の収容室47への作動油Fbの侵入に気づくことができる。
【0064】
図3は、本実施形態のECU14の処理の一例を示すフローチャートである。まず、検出部71が電流Isを検出する(S1)。次に、判定部72は、検出部71が検出した電流Isが、所定の閾値を超えるか否かを判定する(S2)。電流Isが閾値を超えない場合(S2:No)、S1に戻る。
【0065】
一方、S2において電流Isが閾値を超える場合(S2:Yes)、判定部72は、遮断部73に電流供給部52から第2の基板61への電流Isの供給を遮断させる(S3)。さらに、制御部53は、モータ遮断部55に電流供給部52から駆動部54への電流の供給を遮断させる(S4)。
【0066】
以上のように、液圧制御装置10は、第2の基板61における短絡により、第2の収容室47に作動油Fbが浸入したことを検出することができる。なお、液圧制御装置10による第2の収容室47への作動油Fbの侵入の検出は、以上の例に限られない。
【0067】
以上の例では、第2の収容室47に溜まった作動油Fbが第2の基板61において短絡を生じさせる。しかし、例えば、部品から漏出した液体や、筐体11の外部から第2の収容室47に浸入した液体が、第2の基板61において短絡を生じさせても良い。
【0068】
以上説明された本実施形態に係る液圧制御装置10において、第1の基板51と第2の基板61とは、互いに離間し、接続部品16によって互いに電気的に接続される。第1の基板51に、駆動部54、電流供給部52、検出部71、遮断部73が設けられる。駆動部54は、モータ13を駆動させる。電流供給部52は、駆動部54がモータ13へ出力する駆動電流Idよりも小さい電流Isを、接続部品16を介して第2の基板61に供給する。このため、接続部品16に接続された第2の基板61の配線61bにおいて流れる電流Isは、少なくとも第1の基板51の駆動部54が出力する駆動電流Idよりも小さい。検出部71は、当該電流Isを検出する。遮断部73は、検出部71が検出した電流Isが閾値を超えた場合に、電流供給部52から第2の基板61へ電流Isの供給を遮断する。例えば流路25から漏れた作動油Fbが第2の基板61に接触し、当該第2の基板61において短絡を発生させた場合に、電流供給部52から第2の基板61に供給される電流Isが大きくなる。これにより、検出部71が検出した電流Isが閾値を超え、遮断部73が第2の基板61への電流Isの供給を遮断する。従って、液圧制御装置10は、第2の基板61に作動油Fbが接触したとしても、第2の基板61への電流Isの供給が続くことによる第2の基板61の損傷と、第2の基板61と共に連鎖的に第1の基板51が損傷することと、を抑制することができる。また、液圧制御装置10は、第2の基板61の配線61bにおいて流れる電流Isが小さいため、第2の基板61において発生した短絡による影響を抑制することができる。
【0069】
第2の基板61の下方における端61aは、第1の基板51の下方における端51aよりも下方に位置する。これにより、液圧制御装置10の内部で作動油Fbが貯まった場合に、第2の基板61が第1の基板51よりも先に作動油Fbに接触しやすくなる。これにより、液圧制御装置10は、当該液圧制御装置10の内部に作動油Fbが浸入したとしても、第1の基板51に作動油Fbが接触する前に、第2の基板61に作動油Fbを接触させることができる。従って、液圧制御装置10は、作動油Fbにより第1の基板51が損傷することを抑制することができる。
【0070】
筐体11に、第1の基板51が配置された第1の収容室35と、第2の基板61が配置された第2の収容室47と、流路25に含まれるとともにポンプ12が配置されたポンプ装着穴26と、が設けられる。第1の収容室35は、ポンプ装着穴26から離間している。第2の収容室47は、ポンプ装着穴26に連通可能である。第1の収容室35がポンプ装着穴26から離間するため、液圧制御装置10は、流路25を流れる作動油Fbが第1の収容室35に漏れ出すことを抑制できる。一方で、流路25を流れる作動油Fbは、ポンプ装着穴26から第2の収容室47に漏れ出す可能性が有る。第2の収容室47に漏れ出た作動油Fbが第2の基板61に接触すると、遮断部73が第2の基板61への電流Isの供給を遮断する。これにより、液圧制御装置10は、流路25から作動油Fbが漏れ出たとしても、第1の基板51に作動油Fbが接触する前に、第2の基板61に作動油Fbを接触させることができる。従って、液圧制御装置10は、作動油Fbにより第1の基板51が損傷することを抑制することができる。
【0071】
筐体11に、第1の収容室35と第2の収容室47とを連通する貫通孔27が設けられる。第2の収容室47の下方における端47aは、第2の収容室47に開口する貫通孔27の端27aよりも下方に位置する。これにより、液圧制御装置10は、流路25から第2の収容室47に漏れ出た作動油Fbを当該作動油Fbの液位が貫通孔27に到達するまで第2の収容室47に留め、当該作動油Fbが第1の収容室35へ流入することを抑制できる。従って、液圧制御装置10は、作動油Fbにより第1の基板51が損傷することを抑制することができる。
【0072】
回転角センサ62が、第2の基板61に実装される。回転角センサ62は、モータ13の回転角を検出可能である。駆動部54から出力される駆動電流Idは、モータ13を駆動するため、一般的に大きい。一方で、第2の基板61に供給される電流Isは、回転角センサ62の電源として第2の基板61に供給される電流であるため、駆動電流Idよりも小さい。このため、液圧制御装置10は、第2の基板61において発生した短絡による影響を抑制することができる。
【0073】
なお、以上の実施形態において、モータターミナル45は、第1の基板51とステータ44とを接続する。しかし、モータターミナル45は、第2の基板61を経由して、第1の基板51とステータ44とを電気的に接続しても良い。この場合、第2の基板61において、電流Isが流れる配線は、駆動電流Idが流れる配線よりも下方に位置する。
【0074】
また、以上の実施形態において、ポンプ12が液体制御部の一例である。しかし、液体制御部は、例えば、バルブのような他の装置であっても良い。バルブは、例えば、アクチュエータに駆動されることで、流路において液体が流れる方向を切り替える。すなわち、バルブは、流路における液体の流れを制御する。
【0075】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係る電気装置は、一例として、第1の基板と、前記第1の基板から離間した第2の基板と、アクチュエータと、流路に設けられ、前記アクチュエータに駆動されることで前記流路における液体の流れを制御するよう構成された、液体制御部と、前記第1の基板に設けられ、前記アクチュエータを駆動させるよう構成された駆動部と、前記第1の基板と前記第2の基板とを電気的に接続する接続部と、前記第1の基板に設けられ、前記駆動部が前記アクチュエータへ出力する駆動電流よりも小さい電流を、前記接続部を介して前記第2の基板に供給するよう構成された、電流供給部と、前記第1の基板に設けられ、前記電流を検出する検出部と、前記第1の基板に設けられ、前記検出部が検出した前記電流が閾値を超えた場合に、前記電流供給部から前記第2の基板への前記電流の供給を遮断する、遮断部と、を備える。よって、一例としては、接続部に接続された第2の基板の配線において流れる電流は、少なくとも第1の基板の駆動部が出力する駆動電流よりも小さくなる。例えば流路から漏れた液体が第2の基板に接触し、当該第2の基板において短絡を発生させた場合に、電流供給部から第2の基板に供給される電流が大きくなる。これにより、検出部が検出した電流が閾値を超え、遮断部が第2の基板への電流の供給を遮断する。従って、電気装置は、第2の基板に液体が接触したとしても、第2の基板への電流の供給が続くことによる第2の基板の損傷と、第2の基板と共に連鎖的に第1の基板が損傷することと、を抑制することができる。また、電気装置は、第2の基板の配線において流れる電流が小さいため、第2の基板において発生した短絡による影響を抑制することができる。
【0076】
上記電気装置では、一例として、前記第2の基板の下方における端は、前記第1の基板の下方における端よりも下方に位置する。よって、一例としては、電気装置の内部で液体が貯まった場合に、第2の基板が第1の基板よりも先に液体に接触しやすくなる。これにより、電気装置は、当該電気装置の内部に液体が浸入したとしても、第1の基板に液体が接触する前に、第2の基板に液体を接触させることができる。従って、電気装置は、液体により第1の基板が損傷することを抑制することができる。
【0077】
上記電気装置は、一例として、前記第1の基板が配置された第1の収容室と、前記第2の基板が配置された第2の収容室と、前記流路に含まれるとともに前記液体制御部が配置された第3の収容室と、が設けられた筐体、をさらに備え、前記第1の収容室は、前記第3の収容室から離間しており、前記第2の収容室は、前記第3の収容室に連通可能である。よって、一例としては、第1の収容室が第3の収容室から離間するため、電気装置は、流路を流れる液体が第1の収容室に漏れ出すことを抑制できる。一方で、流路を流れる液体は、第3の収容室から第2の収容室に漏れ出す可能性が有る。第2の収容室に漏れ出た液体が第2の基板に接触すると、遮断部が第2の基板への電流の供給を遮断する。これにより、電気装置は、流路から液体が漏れ出たとしても、第1の基板に液体が接触する前に、第2の基板に液体を接触させることができる。従って、電気装置は、液体により第1の基板が損傷することを抑制することができる。
【0078】
上記電気装置では、一例として、前記筐体に、前記第1の収容室と前記第2の収容室とを連通する孔が設けられ、第2の収容室の下方における端は、前記第2の収容室に開口する前記孔の端よりも下方に位置する。よって、一例としては、電気装置は、流路から第2の収容室に漏れ出た液体を当該液体の液位が孔に到達するまで第2の収容室に留め、当該液体が第1の収容室へ流入することを抑制できる。従って、電気装置は、液体により第1の基板が損傷することを抑制することができる。
【0079】
上記電気装置は、一例として、前記第2の基板に実装された回転角センサ、をさらに備え、前記アクチュエータは、モータを有し、前記回転角センサは、前記モータの回転角を検出可能である。よって、一例としては、駆動部から出力される駆動電流は、モータを駆動するため、一般的に大きい。一方で、第2の基板に供給される電流は、回転角センサの電源として第2の基板に供給される電流であるため、駆動電流よりも小さい。このため、電気装置は、第2の基板において発生した短絡による影響を抑制することができる。
【0080】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0081】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
10…液圧制御装置(電気装置)、11…筐体、12…ポンプ(液体制御部)、13…モータ(アクチュエータ)、16…接続部品(接続部)、25…流路、26…ポンプ装着穴(第3の収容室)、27…貫通孔(孔)、27a…端、35…第1の収容室、47…第2の収容室、47a…端、51…第1の基板、51a…端、52…電流供給部、54…駆動部、61…第2の基板、61a…端、62…回転角センサ、71…検出部、73…遮断部、Is…電流、Id…駆動電流、Fb…作動油(液体)。
図1
図2
図3