(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110782
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】識別文字形成体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
G06F3/02 480
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012435
(22)【出願日】2022-01-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】522041433
【氏名又は名称】小峠 孝浩
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】小峠 孝浩
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020AA02
5B020DD23
(57)【要約】
【課題】文字を指先の触覚のみで容易に識別することが可能な識別文字形成体を提供する。
【解決手段】本発明の識別文字形成体は、基材の少なくとも一部においてアルファベット文字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部を指との接触面に備え、識別文字は平面視略矩形状の枠体上及び/又は枠体内において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第一の斜め線要素、第二の斜め線要素及び第三の斜め線要素、及び、枠体の略中心部及び四隅の五か所に配置される点要素からなる文字要素の中から選択された、いずれか一つの文字要素によって、又は、いずれか三つ以内の文字要素の組み合わせによって形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一部において、アルファベット文字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部を、指との接触面に備えた識別文字形成体であって、
前記識別文字が、所定の長さ及び幅を有する平面視略矩形状の枠体上及び/又は枠体内において、
枠体右端部、枠体左端部、及び、前記枠体右端部と前記枠体左端部との中間である枠体中心部の三か所において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素、
前記枠体上端部、前記枠体下端部、及び、前記枠体上端部と前記枠体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に形成される横線要素、
前記枠体右端部、前記枠体左端部、及び、前記枠体中心部の三か所において、前記枠体上端部と前記枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素、
前記枠体右端部、前記枠体左端部、及び、前記枠体中心部の三か所において、前記枠体中央部と前記枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素、
前記枠体上端部に形成される横線要素と前記枠体中央部に形成される横線要素との間において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第一の斜め線要素、
前記枠体中央部に形成される横線要素と前記枠体下端部に形成される横線要素との間において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第二の斜め線要素、
前記枠体上端部に形成される横線要素と前記枠体下端部に形成される横線要素との間において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第三の斜め線要素、
及び、前記枠体の略中心部、及び、前記枠体の四隅の五か所に配置される点要素、
からなる文字要素の中から選択された、いずれか一つの文字要素によって、又は、いずれか三つ以内の文字要素の組み合わせによって形成される、
ことを特徴とする識別文字形成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ又はタイプライタ等のキーボードなどに貼着する触覚シールや、家庭用や産業用の各種機器におけるアルファベット文字の表示に使用される識別文字形成体に関し、特に、手元を見ずに触覚によってアルファベット文字を認識するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータ又はタイプライタ等のキーボードを用いて文字を入力するに際し、キーボード入力に習熟した者は、QWERTY配列などキーの配列が頭の中に入っており、キー表面に印字されている文字を見ることなくキー入力する、いわゆるブラインドタッチが可能となる。
【0003】
一方、キーボード入力に習熟していない者は、キー配列と配置されたキーに対応する指使いを覚えることが困難であり、タイピングソフトなどで練習したとしても、ブラインドタッチを習得するには時間がかかっていた。
【0004】
そこで、それぞれのキーに対応する文字の形状に凸部を設け、指先の触覚によってキーに印字されている文字を認識することができるものとして、特許文献1に示すようなキーボードが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に記載された発明によると、キーの上面に各キーの入力事項が判別可能な文字状突起が設けられており、指先でキーに触れると、その文字を認識できるようになっている。しかしながら、人間の指先の感覚は敏感ではあるものの、複雑な直線や曲線の組み合わせからなる文字の形状そのものを特定するまでの感覚はなく、文字の形状そのものの突起や、文字に沿った複数の突起を配置したからといって、触れた突起の文字がいずれの文字であるのか、認識するのは困難である。
【0007】
一方、文字を文字そのものの形状ではなく、点の組み合わせを用いて簡略化して表示するものとして、古くから点字が用いられている。点字は主に視覚障碍者用の表示として駅や公共機関などにおいて用いられているが、点のみの組み合わせとして文字を表現するため、点の数や組み合わせの数が多くなり、点字自体が複雑であるという課題がある。そのため、点字の習得にも時間がかかり、点字の普及率向上を阻む要因となっている。
【0008】
また、家庭用機器のリモコン操作のためのボタンや工作機械などの操作ボタンなど、ボタンに印字されている表示を見ることなく正しいボタンを押下することが望まれている。さらに、飲料の入った容器などにおいて、点字でアルコール入りであると表記されているものであっても、子供や妊娠した視覚障碍者がその表示を正しく判断できない場合、誤ってアルコール入り飲料を飲んでしまう恐れがある。
【0009】
このように、従来の手法では、文字を指先の触覚のみを頼りに識別することは困難なことであった。
【0010】
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、文字を指先の触覚のみで容易にアルファベット文字を識別することが可能な識別文字形成体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る識別文字形成体は、基材の少なくとも一部において、アルファベット文字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部を、指との接触面に備える。識別文字は、平面視略矩形状の枠体上及び/又は枠体内において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第一の斜め線要素、第二の斜め線要素及び第三の斜め線要素、及び、枠体の略中心部及び四隅の五か所に配置される点要素、からなる文字要素の中から選択された、いずれか一つの文字要素によって、又は、いずれか三つ以内の文字要素の組み合わせによって形成される。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、識別文字は、アルファベット文字を簡略化して記号化したものであるから、触覚によって文字の形状をイメージしやすい。しかも、多くても3つの文字要素によって識別文字を形成していることから、識別文字の形状に形成される凸部を指先で触れた場合に3つの要素のみ認識すれば文字を把握することが可能であり、ブラインドタッチに不慣れな者や、後天的に視覚障碍となった者であっても、触覚によるアルファベット文字の識別が可能となる。
【0014】
また、文字要素は直線と点のみからなり、曲線を使用しないため、識別文字をより簡素な文字として表すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、文字を指先の触覚のみで容易に識別することが可能な識別文字形成体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る識別文字形成体の第一実施形態である触覚シールの一例であるキーボード貼着用シール10の概念図である。
図1(a)は各アルファベット文字を表す平面図、
図1(b)はアルファベットの「A」の正面図である。
【
図2】
図2(a)~(e)は、本発明に係る識別文字形成体において識別文字を形成するために使用される枠体モデルの概念図である。
【
図3】
図3は、アルファベットの「P」を表す識別文字の形成方法について説明する模式図である。
【
図4】
図4は、アルファベットの「O」を表す識別文字の形成方法について説明する模式図である。
【
図5】
図5は、アルファベットの「M」を表す識別文字の形成方法について説明する模式図である。
【
図6】
図6は、アルファベットの「N」を表す識別文字の形成方法について説明する模式図である。
【
図7】
図7は、アルファベットの「K」を表す識別文字の形成方法について説明する模式図である。
【
図8】
図8は、アルファベットの「F」を表す識別文字の形成方法について説明する模式図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る識別文字形成体の第二実施形態であるキーボード30の概念図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る識別文字形成体の第三実施形態である操作ボタン40の概念図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る識別文字形成体の第四実施形態である容器50の表示部を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0018】
[第一実施形態]
図1~
図2を用いて、本発明に係る識別文字形成体の第一実施形態である触覚シールを例にとり、本発明に係る識別文字形成体について説明する。
図1は触覚シールの一例であるキーボード貼着用シール10の概念図であり、
図1(a)は各アルファベット文字の識別文字を表す平面図、
図1(b)はアルファベットの「A」の識別文字を表すキーボード貼着用シール10の正面図である。また、
図2(a)~(e)は本発明に係るアルファベット文字表示手段において、それぞれのアルファベット文字を記号化した識別文字を作成するために使用される枠体モデルの概念図である。
【0019】
第一実施形態に係る触覚シールの一例であるキーボード貼着用シール10は、それぞれ、26文字のアルファベット文字が表示されるキーに貼着して使用するものであり、一般的なコンピュータのキーボードのキーに貼着可能なように、一辺が12.5mmで隅部をR形状とした平面視略正方形状に形成される。また、
図1(b)に示すように、触覚シールの一例であるキーボード貼着用シール10は、各キーに貼着するために裏面に接着剤が塗布された可撓性樹脂製の基材11と、打鍵時に指が接触する基材11の表面においてアルファベット文字を簡略化して記号化した識別文字の形状に設けた凸部12によって形成される。なお、第一実施形態に係る触覚シールの一例であるキーボード貼着用シール10は無色透明である。
【0020】
つまり、キーボード貼着用シール10は、それぞれ異なるアルファベット文字が表示される複数のキーを有するキーボードにおける各キーに貼着され、各キーに表示されるアルファベット文字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部12を指との接触面に備えるキーボード貼着用シールである。
【0021】
それぞれのアルファベット文字に対応する識別文字は、
図2に示す複数の枠体モデル20a~20eに形成される所定の幅及び長さを有する平面視略矩形状の枠体21上及び/又は枠体21内に形成される複数の文字要素の中から選択されて形成される。なお、
図2(a)~(e)において、平面視略矩形状の枠体21は破線にて示されており、8mmの幅と10mmの長さを有する。
【0022】
本実施形態に係る識別文字を形成するために使用される枠体モデルは、
図2(a)~(e)に示す5つの枠体モデル20a~20eからなる。
【0023】
それぞれの枠体モデル20a~20eには、枠体上端部、枠体下端部、枠体右端部及び枠体左端部によって画定され所定の長さ及び幅を有する平面視略矩形状の枠体21が形成され、枠体21上及び/又は枠体21内部において、本実施形態に係る識別文字を形成するための文字要素が設けられる。
【0024】
平面視略矩形状の枠体21は、紙面に向かって枠体21の右側端部である枠体右端部、紙面に向かって枠体21の左側端部である枠体左端部、枠体右端部と枠体左端部との中間である枠体中心部、紙面に向かって枠体21の上側端部である枠体上端部、紙面に向かって枠体21の下側端部である枠体下端部、枠体上端部と枠体下端部との中間である枠体中央部を備える。本実施形態においては、平面視略矩形状の枠体21は8mmの幅と10mmの長さを有するため、枠体右端部と枠体左端部との間の距離が8mmであり、枠体上端部と枠体下端部との間の距離が10mmである。
【0025】
図2(a)に示すように、枠体モデル20aが有する文字要素は、枠体右端部、枠体左端部、及び、枠体右端部と枠体左端部との中間である枠体中心部の三か所において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素22、枠体上端部、枠体下端部、及び、枠体上端部と枠体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素23、によって構成される。
【0026】
つまり、
図2(a)に示す枠体モデル20aが有する文字要素は、3本の第一の縦線要素22及び3本の横線要素23である。なお、第一の縦線要素22は幅1mm及び長さ9mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素で、横線要素23は幅1mm及び長さ6mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素である。また、第一の縦線要素22の高さは0.5mmに設定されており、その上面の表面粗さが荒くなるよう加工されている。さらに、横線要素23の高さは0.5mmに設定されており、その上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がる凸状となっている。
【0027】
図2(b)に示すように、枠体モデル20bが有する文字要素は、枠体上端部、枠体下端部、及び、枠体上端部と枠体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素23、枠体右端部及び枠体左端部の二か所において、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素24、枠体右端部及び枠体左端部の二か所において、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素25、枠体上端部に形成される横線要素23と枠体中央部に形成される横線要素23との間において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される一組の第一の斜め線要素26、枠体中央部に形成される横線要素23と枠体下端部に形成される横線要素23との間において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される一組の第二の斜め線要素27、によって構成される。
【0028】
図2(b)に示す枠体モデル20bにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は、枠体モデル20aに示した第一の縦線要素22の約半分の長さに形成される。つまり、枠体モデル20aに示した枠体左右両端部の第一の縦線要素22をそれぞれ二つに分割して4つの縦線となるように形成される。また、第一の斜め線要素26は、枠体上端部の横線要素23と枠体中央部の横線要素23の間において交差するように2本設けられ、第二の斜め線要素27は、枠体中央部の横線要素23と枠体下端部の横線要素23との間において交差するように2本設けられる。
【0029】
具体的には、枠体モデル20bにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は、幅1mm及び長さ4mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素、横線要素23は幅1mm及び長さ6mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素、第一の斜め線要素26及び第二の斜め線要素27は幅1mm及び長さ6mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素である。また、第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25の高さは0.7mmに設定されていて、上面は平らである。また、横線要素23の高さは0.5mmに設定されており、その上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がる凸状となっている。さらに、第一の斜め線要素26及び第二の斜め線要素27の高さは0.5mmに設定されていて、しかも、上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がるよう高さ0.4mmの凸状となっている。
【0030】
図2(c)に示すように、枠体モデル20cが有する文字要素は、枠体上端部、枠体下端部、及び、枠体上端部と前体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素23、枠体右端部、枠体左端部、及び、枠体中心部の三か所において、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素24、枠体右端部、枠体左端部、及び、枠体中心部の三か所において、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素25、によって構成される。
【0031】
図2(c)に示す枠体モデル20cにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は、枠体モデル20bにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25と同様に、枠体モデル20aに示した第一の縦線要素22の約半分の長さに形成される。そして、枠体モデル20cにおいては、枠体モデル20aにおける枠体中心部及び枠体左右両端部の第一の縦線要素22をそれぞれ二つに分割して6つの縦線となるように形成される。枠体モデル20cにおける横線要素23は、枠体モデル20bにおける横線要素23と同様に、枠体上端部と枠体下端部とに1本ずつ、そして枠体上端部と枠体下端部の横線要素23の間の枠体中央部に1本配置される。
【0032】
具体的には、枠体モデル20cにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は、幅1mm及び長さ4mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素で、横線要素23は幅1mm及び長さ6mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素である。また、第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25の高さは0.7mmに設定されていて、上面は平らである。さらに、横線要素23の高さは0.5mmに設定されており、その上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がる凸状となっている。
【0033】
図2(d)に示すように、枠体モデル20dは、枠体上端部、枠体下端部、及び、枠体上端部と枠体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素23、枠体右端部及び枠体左端部の二か所において、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素24、枠体右端部及び枠体左端部の二か所において、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素25、枠体上端部に形成される横線要素23と枠体下端部に形成される横線要素23との間において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される一組の第三の斜め線要素28、によって構成される。
【0034】
図2(d)に示す枠体モデル20dにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は、枠体モデル20bにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25と同様に、枠体モデル20aに示した枠体左右両端部の第一の縦線要素22をそれぞれ二つに分割して略半分の長さの4つの縦線となるように形成される。枠体モデル20dにおける横線要素23は、枠体モデル20bにおける横線要素23と同様に、枠体上端部と枠体下端部とに1本ずつ、そして枠体上端部と枠体下端部の横線要素23の間の枠体中央部に1本配置される。また、枠体モデル20dにおける第三の斜め線要素28は、枠体上端部の横線要素23と枠体下端部の横線要素23の間において交差するように2本設けられる。
【0035】
具体的には、枠体モデル20dにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は幅1mm及び長さ4mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素、横線要素23は幅1mm及び長さ6mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素、第三の斜め線要素28は幅1mm及び長さ9mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素である。また、第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25の高さは0.7mmに設定されていて、上面は平らである。また、横線要素23の高さは0.5mmに設定されており、その上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がる凸状となっている。さらに、第三の斜め線要素28の高さは0.5mmであり、上面の端部から線の中心に向かって形成される凸状の高さは0.2mmに設定される。
【0036】
図2(e)に示すように、枠体モデル20eは、枠体上端部、枠体下端部、及び、枠体上端部と枠体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素23、枠体右端部及び枠体左端部の二か所において、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素24、枠体右端部及び枠体左端部の二か所において、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素25、枠体21の略中心部、及び、枠体21の四隅の五か所に配置される点要素29、によって構成される。
【0037】
図2(e)に示す枠体モデル20eにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は、枠体モデル20bや枠体モデル20dにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25と同様に、枠体モデル20aに示した枠体左右両端部の第一の縦線要素22をそれぞれ二つに分割して略半分の長さの4つの縦線となるように形成される。枠体モデル20eにおける横線要素23は、枠体モデル20bや、枠体モデル20c及び枠体モデル20dにおける横線要素23と同様に、枠体上端部と枠体下端部とに1本ずつ、そして枠体上端部と枠体下端部の横線要素23の間の枠体中央部に1本配置される。さらに、枠体モデル20eにおいては、枠体21の略中心部に1つ、枠体21の四隅にそれぞれ1つずつ、計5つの点要素29が配置される。
【0038】
具体的には、枠体モデル20eにおける第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25は幅1mm及び長さ4mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素で、横線要素23は幅1mm及び長さ6mmを有し端部がR形状となっている直線状の要素である。また、第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25の高さは0.7mmに設定されていて、上面は平らである。さらに、横線要素23の高さは0.5mmに設定されており、その上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がる凸状となっている。
【0039】
また、点要素29については、底面の直径が3mmで高さが0.5mmの円柱状の土台の上面中央部に、さらに直径1mmの半球状突起が形成されている形状を有する。このようにすることで、単に円柱状や半球状の突起を設けるよりも点状の文字要素であることを判別しやすくなる。
【0040】
なお、上述したように、枠体モデル20a~20eにおいて、各文字要素の高さや表面粗さ、上面の形状などについては、文字要素に応じて異なるよう設定してもよい。
【0041】
例えば、第一の縦線要素22の高さは0.5mmに設定されており、その上面の表面粗さが荒くなるよう加工されている。また、第二の縦線要素24及び第三の縦線要素25の高さは0.7mmに設定されていて、上面は平らである。このように、縦線要素同士で異なる表面形状を備えることにより、指で触れたときにそれぞれの文字要素を識別しやすい。
【0042】
また、第一の斜め線要素26及び第二の斜め線要素27の高さは0.5mmに設定されていて、さらに、上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がるよう高さ0.4mmの凸状となっている。さらに、第三の斜め線要素28の高さは、第一の斜め線要素26及び第二の斜め線要素27と同様に0.5mmであるものの、凸状の高さは0.2mmに設定されている。このように、斜め線要素同士で異なる高さの凸状を有する上面とすることにより、指で触れたときにそれぞれの文字要素を識別しやすい。
【0043】
また、横線要素23の高さは0.5mmに設定されており、その上面は平らではなく端部から線の中心に向かって盛り上がる凸状となっている。
【0044】
このように、文字要素ごとに異なる形状や構造の表面とすることで、指先で文字要素に触れたときに生ずる文字要素同士を混同する恐れを低減することができ、より確実に識別文字で表される文字を識別することが可能となる。
【0045】
本実施形態に係る識別文字は、上記枠体モデル20a~20eにおける、九本の縦線要素22、24、25、三本の横線要素23、六本の斜め線要素26、27、28、及び、五つの点要素29からなる文字要素を単独で用いることで、又は文字要素の組み合わせによって形成される。そして、指先での触覚によって識別文字が表す文字を認識することができるよう、識別文字の形状に凸部12を形成するとともに、識別文字を形成するために使用される文字要素の数を3つ以内に限定する。
【0046】
[本発明に係る識別文字の形成]
図3~
図8を用いて、本発明に係る識別文字形成体の第一実施形態である触覚シールの一例であるキーボード貼着用シール10に形成される凸部12の形状を表す識別文字の形成方法について説明する。
【0047】
本発明においては、アルファベット文字を簡略化して記号化した識別文字は、枠体モデルに配置された複数の文字要素の中から3つ以内の文字要素を選択して組み合わせることによって、あるいは、単独で使用することによって形成される。以下、具定例について説明する。
【0048】
図3に示すように、例えば、アルファベットの「P」を表す識別文字は、枠体モデル20aにおける枠体左端部の第一の縦線要素22と、枠体モデル20eにおける右上の点要素29の組み合わせによって形成される。つまり、アルファベットの「P」を示すキーボード貼着用シール10は、基材11の上面に、枠体モデル20aにおける枠体左端部の第一の縦線要素22及び枠体モデル20eにおける右上の点要素29の形状に凸部を備えたものとなる。
【0049】
また、
図4に示すように、アルファベットの「O」を表す識別文字は、枠体モデル20eにおける枠体21の略中心部の点要素29のみによって形成される。
【0050】
また、
図5に示すように、アルファベットの「M」を表す識別文字は、枠体モデル20aにおける枠体左右両端部の第一の縦線要素22、22と、枠体モデル20cにおける枠体中心部の第二の縦線要素24の3つの文字要素によって形成される。
【0051】
また、
図6に示すように、アルファベットの「N」を表す識別文字は、枠体モデル20dにおける右下がりの第三の斜め線要素28と、枠体モデル20d等における枠体右端部の第二の縦線要素24と、枠体モデル20d等における枠体左端部の第三の縦線要素25の3つの文字要素によって形成される。
【0052】
また、
図7に示すように、アルファベットの「K」を表す識別文字は、枠体モデル20aにおける枠体左端部の縦線要素22と、枠体モデル20bにおける右上がりの第一の斜め線要素26と、枠体モデル20bにおける右下がりの第二の斜め線要素27の3つの文字要素によって形成される。
【0053】
また、
図8に示すように、アルファベットの「F」を表す識別文字は、枠体モデル20bにおける枠体上端部の横線要素23と、枠体モデル20bにおける枠体中央部の横線要素23と、枠体モデル20bにおける枠体左端部の第三の縦線要素25の3つの文字要素によって形成される。
【0054】
このようにして、本実施形態に係る識別文字は、各枠体モデル20a~20eを用いて配置される第一から第三の九本の縦線要素22、24、25、三本の横線要素23、第一から第三の六本の斜め線要素26、27、28及び五つの点要素29からなる文字要素の中から所望の文字要素を選択し、単独で使用することによって、あるいは、文字要素の3つ以内の組み合わせによって形成される。そして、本発明に係る識別文字形成体の基材11における指との接触面には、識別文字の形状に凸部12が形成される。
【0055】
多くても3つの文字要素によって識別文字を形成していることから、識別文字の形状を表す凸部12を指先で触れた場合に3つの要素のみ認識すれば文字を把握することが可能であり、ブラインドタッチに不慣れな者や、後天的に視覚障碍となった者であっても、触覚による文字の判別や学習が可能となる。
【0056】
また、文字要素として直線と点のみからなり、曲線を使用しないため、識別文字をより簡素な文字として表すことができる。
【0057】
なお、第一実施形態においては、触覚シールの一例としてキーボードのキーに貼着されるキーボード貼着用シール10を例として記載したが、これに限ったものではなく、視覚障碍を持つ者がアルファベット文字を読むのを支援するためのシール、各種リモコンやスイッチなどにおいて目視に頼らず指先の触覚のみでボタン操作を行うために貼着するためのシール、VR(Virtual Reality)ゴーグルやHMD(Head Mounted Display)など身体に装着するディスプレイ装置を装着時に指先の触覚のみでボタン操作するためのシールなど、様々な用途において表示されている内容を触覚により識別するための触覚シールとして使用することも可能である。
【0058】
〔第二実施形態〕
次に、
図9を用いて、本発明に係る識別文字形成体の第二実施形態であるキーボード30を例にとり、説明する。
【0059】
図9は、本発明に係る識別文字形成体を用いて各キーを形成し、いわゆるQWERTY配列を用いて配列したキーボード30の概念図である。第二実施形態のキーボード30は、PC用キーボード、タブレット端末用外付けキーボード、タイプライタ用キーボードなどの各種キーボードである。
【0060】
キーボード30における各キーは、指で打鍵するための樹脂製の基材31からなり、指との接触面に識別文字の形状に形成した凸部32を備えている。
【0061】
第二実施形態のキーボード30においても、第一実施形態と同様に、枠体モデル20a~20eを用いて配置される第一から第三の九本の縦線要素22、24、25、三本の横線要素23、第一から第三の六本の斜め線要素26、27、28及び五つの点要素29からなる文字要素の中から選択される文字要素を単独で使用することによって、あるいは、文字要素の3つ以内の組み合わせによって形成した識別文字の形状に凸部32を備えている。
【0062】
多くても3つの文字要素によって識別文字を形成していることから、識別文字の形状を表す凸部32を指先で触れた場合に3つの要素のみ認識すれば文字を把握することが可能であり、ブラインドタッチに不慣れな者や、後天的に視覚障碍となった者であっても、触覚による文字の判別や学習が可能となる。そのため、本発明の第二実施形態に係るキーボード30を用いることによって、触覚によって文字入力を行うことができる。
【0063】
〔第三実施形態〕
次に、
図10を用いて、本発明に係る識別文字形成体の第三実施形態である操作ボタン40を例にとり、説明する。
【0064】
図10は、本発明に係る識別文字形成体の第三実施形態である操作ボタン30の概念図であり、「ON」及び「OFF」の識別文字による表示を示した操作ボタン40の概念図である。
【0065】
図10に示すような操作ボタン40は、各種リモコン、電気機器や電子機器、工作機械などの産業機械、VR(Virtual Reality)ゴーグルやHMD(Head Mounted Display)など身体に装着するディスプレイ装置を装着時に指先の触覚のみでボタン操作するための操作ボタンなどに使用される。
【0066】
操作ボタン40は、指で押下することで操作を実行するためのものであり、樹脂製の基材41において、指との接触面に識別文字の形状に形成した凸部42を備えている。
【0067】
第三実施例に係る操作ボタン40においては、識別文字が連続して配置されるため、各識別文字同士の間隔を所定値以上空けることが好ましい。その際、枠体左端部又は枠体右端部から枠体中心部までの距離よりも大きな間隔をあけることで、隣接する文字同士の文字要素を混同してしまう恐れを軽減することができる。
【0068】
第三実施形態に係る操作ボタン40においても、第一実施形態等と同様に、枠体モデル20a~20eを用いて配置される第一から第三の九本の縦線要素22、24、25、三本の横線要素23、第一から第三の六本の斜め線要素26、27、28及び五つの点要素29からなる文字要素の中から選択された文字要素を単独で使用することによって、あるいは、文字要素の3つ以内の組み合わせによって形成した識別文字の形状に凸部32を備えている。
【0069】
多くても3つの文字要素によって識別文字を形成していることから、識別文字の形状を表す凸部42を指先で触れた場合に3つの要素のみ認識すれば文字を把握することが可能であり、後天的に視覚障碍となった者や、身体に装着するディスプレイ装置の装着時であっても、触覚による文字の識別が可能となる。また、工作機械などでの作業中において、加工部を目視しながらのボタン操作であっても、正しいボタンを指先の触覚のみで識別することが可能となる。そのため、本発明の第三実施形態に係る操作ボタン40を用いることによって、触覚のみを頼りに押し間違いなく正しいボタン操作を行うことができる。
【0070】
〔第四実施形態〕
次に、
図11を用いて、本発明に係る識別文字形成体の第四実施例である容器50を例にとり、説明する。
【0071】
図11は、本発明に係る識別文字形成体の第四実施形態である容器50の一例であるアルコール飲料のアルミ缶容器の表示図を示す拡大図であり、「ALC」の識別文字による表示を示した容器50の概念図である。
【0072】
視覚障碍者が缶飲料を飲む場合や暗闇で缶飲料を飲む場合、表面に印刷された文字を判別することが困難であるため、プルタブやステイオンタブを開けるまで、中身の飲料物を知ることができない。そのため、例えば未成年や妊娠中の者がアルコール飲料を誤飲してしまう恐れがある。
【0073】
第四実施形態に係る容器50の一例であるアルコール飲料のアルミ缶容器においては、プルタブやステイオンタブの近傍における容器50の基材51に、内容物がアルコール類であることを示す「ALC」の識別文字の形状に凸部52を設けている。
【0074】
このように、容器50の基材51の少なくとも一部において、アルファベット文字を簡略化して記号化した識別文字の形状に凸部52を設け、中身に関する情報を表示することによって、飲料を飲もうとしている者に対して注意喚起を促すことができ、誤飲による事故を未然に防止することができる。
【0075】
なお、表示する文字はアルコールであることに関するものに限らず、中身を想起できるものや何らかの注意を喚起できるものであればよい。また、第四実施形態に係る容器50は飲料用の缶容器に限らず、例えばシャンプーなどの樹脂製容器であってもよい。
【0076】
第四実施形態に係る容器50においても、第一実施形態等と同様に、枠体モデル20a~20eを用いて配置される第一から第三の九本の縦線要素22、24、25、三本の横線要素23、第一から第三の六本の斜め線要素26、27、28及び五つの点要素29からなる文字要素の中から選択された文字要素を単独で使用することによって、あるいは、文字要素の3つ以内の組み合わせによって形成した識別文字の形状に凸部52を備えている。
【0077】
多くても3つの文字要素によって識別文字を形成していることから、識別文字の形状を表す凸部52を指先で触れた場合に3つの要素のみ認識すれば文字を把握することが可能であり、後天的に視覚障碍となった者や、暗闇の中で中身に関する情報を知りたい場合であっても、触覚による文字の識別が可能となる。そのため、本発明の第四実施形態に係る容器50を用いることによって、触覚のみを頼りに容器の中身に関する情報を得ることができる。
【0078】
〔変形例1〕
上記各実施形態に係る識別文字形成体10を形成する識別文字は、アルファベット文字を簡略化して記号化したものであるが、本願発明の変形例1として、アラビア数字を簡略化して記号化したものを形成することができる。
【0079】
すなわち、本発明の変形例に係る識別文字形成体は、基材の少なくとも一部において、アラビア数字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部を、指との接触面に備えたものである。アラビア数字を記号化した識別文字は、平面視略矩形状の枠体上及び/又は枠体内において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第一の斜め線要素、第二の斜め線要素及び第三の斜め線要素、及び、枠体の略中心部及び四隅の五か所に配置される点要素、からなる文字要素の中から選択されたいずれか一つの文字要素によって、又は、いずれか三つ以内の文字要素の組み合わせによって形成される。
【0080】
このようにアラビア数字を簡略化して記号化した識別文字の形状に凸部を設けた識別文字形成体を使用することで、アラビア数字についても、指先の触覚のみで容易に識別することが可能となる。
【0081】
〔変形例2〕
上記各実施形態に係る識別文字形成体10を形成する識別文字は、アルファベット文字を簡略化して記号化したものであるが、本願発明の変形例2として、記号文字を簡略化して記号化したものを形成することができる。ここでいう記号文字とは、「+」「=」「<」「>」「?」「、」などを指す。
【0082】
すなわち、本発明の変形例に係る識別文字形成体は、基材の少なくとも一部において、記号文字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部を、指との接触面に備えたものである。記号文字を記号化した識別文字は、平面視略矩形状の枠体上及び/又は枠体内において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に形成される横線要素、枠体上端部と枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素、枠体中央部と枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素、枠体右端部と枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第一の斜め線要素、第二の斜め線要素及び第三の斜め線要素、及び、枠体の略中心部及び四隅の五か所に配置される点要素、からなる文字要素の中から選択されたいずれか一つの文字要素によって、又は、いずれか三つ以内の文字要素の組み合わせによって形成される。
【0083】
このように記号文字を簡略化して記号化した識別文字の形状に凸部を設けた識別文字形成体を使用することで、記号文字についても、指先の触覚のみで容易に識別することが可能となる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0085】
例えば、枠体モデルは
図2に示したような5種類のものである必要はない。第一の縦線要素22のみを有する枠体モデル、横線要素23のみを有する枠体モデル、第二の縦線要素24のみを有する枠体モデル、第三の縦要素線25のみを有する枠体モデル、第一の斜め線要素26のみを有する枠体モデル、第二の斜め線要素27のみを有する枠体モデル、第三の斜め線要素28のみを有する枠体モデル、点要素29のみを有する枠体モデル、というように、文字要素ごとに枠体モデルを設けるようにしてもよい。あるいは、一つの枠体モデルに全ての文字要素を配置しその中から必要な文字要素を選択するようにしてもよい。
【0086】
また、各アルファベット文字を簡略化して記号化した識別文字は、
図1、
図3~11に示す文字要素の組み合わせに限定されるものではない。つまり、例えば
図8に示すようなアルファベットの「F」を表す識別文字であっても、枠体上端部の横線要素23と、枠体中央部の横線要素23と、枠体左端部の第三の縦線要素25の3つの文字要素によって形成する必要はなく、別の文字要素の組み合わせによって形成してもよい。つまり、同じアルファベット文字であっても、文字要素の組み合わせによって、数パターンの識別文字が形成可能である。
【0087】
また、本発明に係る識別文字形成体10を適用する基材11は樹脂製や金属製のものに限らず、セラミック製や木製、ガラス製のものも含まれる。
【0088】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
この発明の識別文字形成体は、触覚シール、キーボード、操作ボタン、容器のみならず、様々な物品に適用して使用することで、指先の触覚によるアルファベット文字の認識を支援することができる。
【符号の説明】
【0090】
10、30、40、50 識別文字形成体
11、31、41、51 基材
12、32、42、52 凸部
20a~20e 枠体モデル
21 枠体
22 第一の縦線要素
23 横線要素
24 第二の縦線要素
25 第三の縦線要素
26 第一の斜め線要素
27 第二の斜め線要素
28 第三の斜め線要素
29 点要素
【手続補正書】
【提出日】2022-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一部において、アルファベット文字を記号化した識別文字の形状に形成される凸部を、指との接触面に備えた識別文字形成体であって、
前記識別文字が、所定の長さ及び幅を有する平面視略矩形状の枠体上及び/又は枠体内において、
枠体右端部、枠体左端部、及び、前記枠体右端部と前記枠体左端部との中間である枠体中心部の三か所において、枠体上端部と枠体下端部との間に形成される第一の縦線要素、
前記枠体上端部、前記枠体下端部、及び、前記枠体上端部と前記枠体下端部との中間である枠体中央部の三か所において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に形成される横線要素、
前記枠体右端部、前記枠体左端部、及び、前記枠体中心部の三か所において、前記枠体上端部と前記枠体中央部との間に形成される第二の縦線要素、
前記枠体右端部、前記枠体左端部、及び、前記枠体中心部の三か所において、前記枠体中央部と前記枠体下端部との間に形成される第三の縦線要素、
前記枠体上端部に形成される横線要素と前記枠体中央部に形成される横線要素との間において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第一の斜め線要素、
前記枠体中央部に形成される横線要素と前記枠体下端部に形成される横線要素との間において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第二の斜め線要素、
前記枠体上端部に形成される横線要素と前記枠体下端部に形成される横線要素との間において、前記枠体右端部と前記枠体左端部との間に交差するように形成される一組の第三の斜め線要素、
及び、前記枠体の略中心部、及び、前記枠体の四隅の五か所に配置される点要素、
を全て含む文字要素の中から選択された、いずれか一つの文字要素によって、又は、いずれか三つ以内の文字要素の組み合わせによって形成される、
ことを特徴とする識別文字形成体。