(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110786
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】アイテム画像合成装置、モデル情報生成装置、アイテム画像合成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/80 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
G06T11/80 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012449
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】517332845
【氏名又は名称】Arithmer株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 亮介
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA06
5B050BA12
5B050BA13
5B050DA04
5B050EA03
5B050EA13
5B050EA19
(57)【要約】
【課題】違和感を生じさせない自然な合成画像を出力する。
【解決手段】アイテム画像合成装置100は、モデル情報取得部141と、ユーザ画像取得部142と、ユーザ格子点設定部143と、アイテム画像合成部144とを備える。モデル情報取得部141は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、モデル画像から抽出されたアイテムに対応するアイテム画像と、アイテムを着用したモデルの形状を示すモデル形状の少なくとも一部に設定された所定間隔のモデル格子点とを関連付けて取得する。アイテム画像合成部144は、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像におけるモデル格子点と、ユーザ画像におけるユーザ格子点とを対応させて前記アイテムが映るアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像を前記ユーザ画像に合成する、アイテム画像合成装置。
【請求項2】
前記モデル画像における格子点間隔が所定値以上である場合、前記ユーザ画像における格子点間隔に対し所定の拡大処理を行なう、
請求項1に記載のアイテム画像合成装置。
【請求項3】
前記モデル格子点は、前記モデル画像から取得されたモデル骨格情報に基づいて、前記モデル画像から抽出されたモデル形状の少なくとも一部に対して設定される、
請求項1又は請求項2に記載のアイテム画像合成装置。
【請求項4】
前記モデル格子点は、前記モデルが前記アイテムを着用していないときの形状に対して設定される、
請求項3に記載のアイテム画像合成装置。
【請求項5】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、前記モデル画像から抽出された前記アイテムに対応するアイテム画像と、前記アイテムを着用したモデルの形状を示すモデル形状の少なくとも一部に設定された所定間隔のモデル格子点とを関連付けて取得するモデル情報取得部と、
ユーザを映したユーザ画像を取得するユーザ画像取得部と、
前記ユーザ画像に映るユーザの形状を示すユーザ形状の少なくとも一部に所定間隔のユーザ格子点を設定するユーザ格子点設定部と、
前記モデル格子点と前記ユーザ格子点とを対応させて前記アイテム画像を変形し、変形したアイテム画像を前記ユーザ画像に合成するアイテム画像合成部と、
を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のアイテム画像合成装置。
【請求項6】
前記ユーザ格子点設定部は、
前記ユーザ画像から前記ユーザの形状を示すユーザ形状を抽出するユーザ形状抽出部と、
前記ユーザ画像から前記ユーザに対するユーザ骨格情報を取得するユーザ骨格情報取得部と、
前記ユーザ骨格情報に基づいて前記ユーザ形状の少なくとも一部に対してユーザ格子点を設定するユーザ格子点処理部と、
を備える請求項5に記載のアイテム画像合成装置。
【請求項7】
少なくとも身長、体重、性別のいずれかの属性データに基づいて前記ユーザ画像を生成するユーザ画像生成部をさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載のアイテム画像合成装置。
【請求項8】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、前記モデル画像から抽出された前記アイテムに対応するアイテム画像と、前記アイテムを着用したモデルの形状を示すモデル形状の少なくとも一部に設定された所定間隔のモデル格子点とを関連付けて取得し、
ユーザを映したユーザ画像を取得し、
前記ユーザ画像に映るユーザの形状を示すユーザ形状の少なくとも一部に所定間隔のユーザ格子点を設定し、
前記モデル格子点と前記ユーザ格子点とを対応させて前記アイテム画像を変形し、変形したアイテム画像を前記ユーザ画像に合成する、
アイテム画像合成方法。
【請求項9】
請求項8に記載のアイテム画像合成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像を取得するモデル画像取得部と、
前記モデル画像から前記アイテムに対応するアイテム画像を抽出するアイテム画像抽出部と、
前記モデル画像から前記アイテムを着用したモデルの形状示すモデル形状を抽出するモデル形状抽出部と、
前記モデル画像から前記モデルに対するモデル骨格情報を取得するモデル骨格情報取得部と、
前記モデル骨格情報に基づいて前記モデル形状の少なくとも一部に対してモデル格子点を設定するモデル格子点設定部と、
前記モデル画像とモデル格子点とを関連付けてモデル情報を生成するモデル情報生成部と、
を備えるモデル情報生成装置。
【請求項11】
前記モデル格子点設定部は、前記モデルが前記アイテムを着用していないときの形状に対してモデル格子点を設定する、
請求項10に記載のモデル情報生成装置。
【請求項12】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像を取得し、
前記モデル画像から前記アイテムに対応するアイテム画像を抽出し、
前記モデル画像から前記アイテムを着用したモデルの形状示すモデル形状を抽出し、
前記モデル画像から前記モデルに対するモデル骨格情報を取得し、
前記モデル骨格情報に基づいて前記モデル形状の少なくとも一部に対してモデル格子点を設定し、
前記モデル画像とモデル格子点とを関連付けてモデル情報を生成する、
モデル情報生成方法。
【請求項13】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、前記モデル画像から抽出された前記アイテムに対応するアイテム画像と、前記モデル画像から取得された前記モデルに対するモデル骨格情報とを関連付けて取得するモデル情報取得部と、
ユーザを映したユーザ画像を取得するユーザ画像取得部と、
前記ユーザ画像から前記ユーザに対するユーザ骨格情報を取得するユーザ骨格情報取得部と、
前記モデル骨格情報と前記ユーザ骨格情報とを対応させて前記ユーザ画像を変形し、変形したユーザ画像を前記アイテム画像に合成するアイテム画像合成部と、
を備える、アイテム画像合成装置。
【請求項14】
アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、前記モデル画像から抽出された前記アイテムに対応するアイテム画像と、前記モデル画像から取得された前記モデルに対するモデル骨格情報とを関連付けて取得し、
ユーザを映したユーザ画像を取得し、
前記ユーザ画像から前記ユーザに対するユーザ骨格情報を取得し、
前記モデル骨格情報と前記ユーザ骨格情報とを対応させて前記ユーザ画像を変形し、変形したユーザ画像を前記アイテム画像に合成する、
アイテム画像合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アイテム画像合成装置、モデル情報生成装置、アイテム画像合成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、試着対象の衣服を着用した状態を表示する技術が開発されている。例えば、特許文献1(特開2019-128923号公報)には、ECサイト上で閲覧できる複数の衣服の画像及び衣服の説明を参考にして自分の体型に合う衣服を選択できる情報提供装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、違和感を生じさせる不自然な合成画像が出力されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係るアイテム画像合成装置は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像におけるモデル格子点と、ユーザ画像におけるユーザ格子点とを対応させて前記アイテムが映るアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像を前記ユーザ画像に合成する。このように、第1観点に係るアイテム画像合成装置は、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形するので、違和感を生じさせない自然な合成画像を出力できる。
【0005】
第2観点に係るアイテム画像合成装置は、第1観点に係るアイテム画像合成装置であって、モデル画像における格子点間隔が所定値以上である場合、ユーザ画像における格子点間隔に対し所定の拡大処理を行なうものである。これにより、アイテム画像をユーザ画像に合成した際に、違和感を生じさせないようにすることができる。
【0006】
第3観点に係るアイテム画像合成装置は、第1観点又は第2観点に係るアイテム画像合成装置であって、モデル格子点が、モデル画像から取得されたモデル骨格情報に基づいて、モデル画像から抽出されたモデル形状の少なくとも一部に対して設定されるものである。このようなモデル格子点を用いてアイテム画像を変形するので、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成したときに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0007】
第4観点に係るアイテム画像合成装置は、第3観点に係るアイテム画像合成装置であって、モデル格子点が、モデルがアイテムを着用していないときの形状に対して設定される。このようなモデル格子点を用いてアイテム画像を変形するので、モデルの体型が反映されていないアイテム画像であっても、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成したときに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0008】
第5観点に係るアイテム画像合成装置は、第1観点から第4観点に係るアイテム画像合成装置であって、モデル情報取得部と、ユーザ画像取得部と、ユーザ格子点設定部と、アイテム画像合成部とを備える。モデル情報取得部は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、モデル画像から抽出されたアイテムに対応するアイテム画像と、アイテムを着用したモデルの形状を示すモデル形状の少なくとも一部に設定された所定間隔のモデル格子点とを関連付けて取得する。ユーザ画像取得部は、ユーザを映したユーザ画像を取得する。ユーザ格子点設定部は、ユーザ画像に映るユーザの形状を示すユーザ形状の少なくとも一部に所定間隔のユーザ格子点を設定する。アイテム画像合成部は、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成する。このように、第5観点に係るアイテム画像合成装置は、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成するので、違和感を生じさせない自然な合成画像を出力できる。
【0009】
第6観点に係るアイテム画像合成装置は、第5観点に係るアイテム画像合成装置であって、ユーザ格子点設定部が、ユーザ形状抽出部と、ユーザ骨格情報取得部と、ユーザ格子点処理部とを備える。ユーザ形状抽出部は、ユーザ画像からユーザの形状を示すユーザ形状を抽出する。ユーザ骨格情報取得部は、ユーザ画像からユーザに対するユーザ骨格情報を取得する。ユーザ格子点処理部は、ユーザ骨格情報に基づいてユーザ形状の少なくとも一部に対してユーザ格子点を設定する。このようなユーザ格子点を用いてアイテム画像を変形するので、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成したときに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0010】
第7観点に係るアイテム画像合成装置は、第1観点から第6観点に係るアイテム画像合成装置であって、少なくとも身長、体重、性別のいずれかの属性データに基づいてユーザ画像を生成するユーザ画像生成部をさらに備える。このような構成により、任意のユーザ画像を準備できる。
【0011】
第8観点に係るアイテム画像合成方法では、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、前記モデル画像から抽出された前記アイテムに対応するアイテム画像と、アイテムを着用したモデルの形状を示すモデル形状の少なくとも一部に設定された所定間隔のモデル格子点とを関連付けて取得する。次に、この方法では、ユーザを映したユーザ画像を取得する。続いて、この方法では、ユーザ画像に映るユーザの形状を示すユーザ形状の少なくとも一部に所定間隔のユーザ格子点を設定する。次に、この方法では、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成する。これにより、アイテム画像をユーザ画像に合成したときに、違和感を生じさせない自然な合成画像を出力することができる。
【0012】
第9観点に係るプログラムは、第8観点に係るアイテム画像合成方法をコンピュータに実行させる。このようなプログラムを実行することで、コンピュータは、アイテム画像をユーザ画像に合成したときに、違和感を生じさせない自然な合成画像を出力することができる。
【0013】
第10観点に係るモデル情報生成装置は、モデル画像取得部と、アイテム画像抽出部と、モデル形状抽出部と、モデル骨格情報取得部と、モデル格子点設定部と、モデル情報生成部とを備える。モデル画像取得部は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像を取得する。アイテム画像抽出部は、モデル画像からアイテムに対応するアイテム画像を抽出する。モデル形状抽出部は、モデル画像からアイテムを着用したモデルの形状示すモデル形状を抽出する。モデル骨格情報取得部は、モデル画像からモデルに対するモデル骨格情報を取得する。モデル格子点設定部は、モデル骨格情報に基づいてモデル形状の少なくとも一部に対してモデル格子点を設定する。モデル情報生成部は、モデル画像とモデル格子点とを関連付けてモデル情報を生成する。このように、第8観点に係るモデル情報生成装置は、モデル画像からアイテム画像を抽出するとともに、モデル骨格情報に基づいてモデル格子点を設定するので、モデル以外の体型を有するユーザのユーザ画像に対して違和感を生じさせないようにアイテム画像を合成させるための情報を提供できる。
【0014】
第11観点に係るモデル情報生成装置は、第10観点に係るモデル情報生成装置であって、モデル格子点設定部が、モデルがアイテムを着用していないときの形状に対してモデル格子点を設定するものである。このようなモデル格子点を用いてアイテム画像を変形するので、モデルの体型が反映されていないアイテム画像であっても、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成したときに違和感を生じさせないようにすることができる。
【0015】
第12観点に係るモデル情報生成方法は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像を取得する。次に、この方法では、モデル画像からアイテムに対応するアイテム画像を抽出する。続いて、この方法では、モデル画像からアイテムを着用したモデルの形状示すモデル形状を抽出する。次に、この方法では、モデル画像からモデルに対するモデル骨格情報を取得する。続いて、この方法では、モデル骨格情報に基づいてモデル形状の少なくとも一部に対してモデル格子点を設定する。次に、この方法では、モデル画像とモデル格子点とを関連付けてモデル情報を生成する。このような方法により、モデル以外の体型を有するユーザのユーザ画像に対して違和感を生じさせないようにアイテム画像を合成させるための情報を提供できる。
【0016】
第13観点に係るアイテム画像合成装置は、モデル情報取得部と、ユーザ画像取得部と、ユーザ骨格情報取得部と、アイテム画像合成部とを備える。モデル情報取得部は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、モデル画像から抽出されたアイテムに対応するアイテム画像と、モデル画像から取得されたモデルに対するモデル骨格情報とを関連付けて取得する。ユーザ画像取得部は、ユーザを映したユーザ画像を取得する。ユーザ骨格情報取得部は、ユーザ画像からユーザに対するユーザ骨格情報を取得する。アイテム画像合成部は、モデル骨格情報とユーザ骨格情報とを対応させてユーザ画像を変形し、変形したユーザ画像をアイテム画像に合成する。このように、第13観点に係るアイテム画像合成装置は、モデル骨格情報とユーザ骨格情報とを対応させてユーザ画像を変形し、変形したユーザ画像をアイテム画像に合成するので、違和感を生じさせない自然な合成画像を出力できる。
第14観点に係るアイテム画像合成方法は、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像と、モデル画像から抽出されたアイテムに対応するアイテム画像と、モデル画像から取得されたモデルに対するモデル骨格情報とを関連付けて取得する。次に、この方法では、ユーザを映したユーザ画像を取得する。続いて、この方法では、ユーザ画像からユーザに対するユーザ骨格情報を取得する。次に、この方法では、モデル骨格情報とユーザ骨格情報とを対応させてユーザ画像を変形し、変形したユーザ画像をアイテム画像に合成する。このような方法により、違和感を生じさせない自然な合成画像を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係るアイテム画像合成システム1の構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態に係るアイテム画像合成装置100の構成を示す模式図である。
【
図3】同実施形態に係る「モデル画像M1」の概念を示す模式図である。
【
図4】同実施形態に係る「アイテム画像M2」の概念を示す模式図である。
【
図5】同実施形態に係る「モデル格子点M5」の概念を示す模式図である。
【
図6】同実施形態に係る「モデル形状M3」の概念を示す模式図である。
【
図7】同実施形態に係る「モデル骨格情報M4」の概念を示す模式図である。
【
図8】同実施形態に係るユーザ格子点設定部143の構成を示す模式図である。
【
図9】同実施形態に係るモデル情報生成装置200の構成を示す模式図である。
【
図10】同実施形態に係るモデル情報を記憶する手順を説明するためのフローチャートである。
【
図11】同実施形態に係るモデル情報を記憶する手順を説明するための模式図である。
【
図12】同実施形態に係るアイテム画像合成装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】同実施形態に係るユーザ格子点の設定を説明するための模式図である。
【
図14】同実施形態に係る合成画像U6を説明するための模式図である。
【
図15】同実施形態に係る合成画像U8を説明するための模式図である。
【
図16】同実施形態に係る不適切な合成画像U9を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)アイテム画像合成システムの構成
以下、本開示の一実施形態に係るアイテム画像合成システムの構成について図面を用いて説明する。
【0019】
図1は本実施形態に係るアイテム画像合成システム1の構成を示す模式図である。アイテム画像合成システム1では、ユーザ端末5からアイテム画像合成装置100にユーザ画像が送信される。ユーザ端末5には、アイテム画像合成装置100により複数のモデル画像が出力され、一のモデル画像がユーザ端末5により選択される。アイテム画像合成装置100では、ユーザ端末5により選択されたモデル画像と、ユーザ端末5から送信されたユーザ画像とを用いて、モデル画像に含まれるアイテム画像をユーザ画像に合成し、ユーザ端末5に合成画像を提供する。なお、画像の合成に必要なモデル情報はモデル情報生成装置200により生成され、アイテム画像合成装置100に提供される。以下、各装置の詳細を説明する。
【0020】
(1-1)アイテム画像合成装置
図2はアイテム画像合成装置100の構成を示す模式図である。
アイテム画像合成装置100は、任意のモデル画像に映るアイテムをユーザ画像に合成することが可能な装置である。これにより、ユーザは任意のモデルの着用しているアイテムを仮想的に試着した状態を確認できる。
【0021】
アイテム画像合成装置100は、任意のコンピュータにより実現することができ、記憶部110、入出力部120、通信部130、及び処理部140を備える。なお、アイテム画像合成装置100は、LSI(Large Scale Integration),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いてハードウェアとして実現されるものでもよい。
【0022】
記憶部110は、各種情報を記憶するものであり、メモリ及びハードディスク等の任意の記憶装置により実現される。ここで、記憶部110は、「モデル情報」として、少なくともモデル画像及びアイテム画像を関連付けて記憶する。アイテム画像に映るアイテムには、第1タイプのアイテムと、第2タイプのアイテムとが存在する。
【0023】
「第1タイプのアイテム」は、モデルの体型に少なくとも一部がフィットしているものである。例えば、手首部分はモデルの体型にフィットしているものの脇の部分などは緩んでいるスウェットのようなアイテムである。第1タイプのアイテムに対応するモデル情報にはモデル格子点が含まれる。
【0024】
「第2タイプのアイテム」は、モデルの体型にフィットしている部分がないとみなされるものである。例えば、モデルの体型を全体として緩く覆っているものであり、コートのようなアイテムである。第2タイプのアイテムに対応するモデル情報にはモデル骨格情報が含まれる。
【0025】
「モデル画像」は、
図3のM1に示すように、衣服などのアイテムを着用したモデルが映されている画像である。ここでは、一枚のモデル画像に対して一人のモデルが対応するものとする。また、モデル画像には、モデルの身長がメタデータとして関連付けられている。
【0026】
「アイテム画像」は、
図4のM2に示すように、モデルに着用された状態でのアイテムの形態を示す画像である。例えば、アイテム画像としてはモデルが着用しているシャツ、スーツ、パンツ、靴などのアイテムに対応する画像が挙げられる。なお、
図4では、第1タイプのアイテムを示している。また、
図4では、便宜上、シャツ、とパンツが一体的に抽出されているが、これらは別のアイテム画像として取り扱われる。
【0027】
「モデル格子点」は、
図5のM5に示すように、第1タイプのアイテムを着用したモデルの形状を示すモデル形状の少なくとも一部に設定された所定間隔の格子点データである。詳しくは、モデル形状は、DeepLab v3などの機械学習モデルを用いてモデル画像から抽出され、シルエット画像として保存される(
図6のM3参照)。そのため、モデル形状は、アイテムを着用している分だけモデルの実際の体型から外れたものとなる。そこで、モデル格子点は、モデルがアイテムを着用していないときの形状に対して設定される。すわなち、モデル格子点は、必ずしもモデル形状の内側領域全体に設定されるものではなく、モデルの体型に合うように設定されるものである。このようなモデル格子点は、モデル骨格情報に基づいて設定される(
図7のM4参照)。モデル骨格情報はLightWeight OpenPoseなどの機械学習モデルを用いて抽出される。
図7の例では18カ所か所の特徴点を結ぶようにモデル骨格情報が生成される。モデル骨格情報が生成されると、モデル骨格情報に基づいて体の部位およびその部位の中心軸が特定される。そして、当該部位が中心軸に沿って所定数で区分けされ、その区分けされた位置で中心軸に直行する方向に所定数の格子点が割り当てられることでモデル格子点が設定される。なお、シルエット画像はモデルの身長により規格化されている。
【0028】
入出力部120は、キーボード、マウス、タッチパネル等の任意の入力装置及び/又はディスプレイ、タッチパネル、スピーカー等の任意の出力装置により実現され、コンピュータとの間で各種情報の入出力を行なう。
通信部130は、任意のネットワークカード等により実現され、有線又は無線によりネットワーク上の通信機器との通信を可能にするものである。
【0029】
処理部140は、各種情報処理を実行するものであり、CPU及び/又はGPU等のプロセッサ及びメモリにより実現される。ここでは、コンピュータのCPU,GPU等に、記憶部110に記憶された一又は複数のプログラムが読み込まれることにより、処理部140が、モデル情報取得部141、ユーザ画像取得部142、ユーザ格子点設定部143、及びアイテム画像合成部144として機能する。
【0030】
モデル情報取得部141は、モデル画像、アイテム画像、モデル格子点を含むモデル情報を取得する。ここでは、モデル情報取得部141は、モデル情報生成装置200からモデル情報を取得する。取得されたモデル情報は記憶部110に格納される。
【0031】
ユーザ画像取得部142は、ユーザを映したユーザ画像を取得する。ここでは、ユーザ画像は、ユーザが操作するユーザ端末5により撮像され、ユーザ端末5からアイテム画像合成装置100に送信される。
【0032】
ユーザ格子点設定部143は、ユーザ画像に映るユーザの形状を示す「ユーザ形状」の少なくとも一部に所定間隔の「ユーザ格子点」を設定する。具体的に、ユーザ格子点設定部143は、
図8に示すように、ユーザ形状抽出部143Aと、ユーザ骨格情報取得部143Bと、ユーザ格子点処理部143Cとを備える。
【0033】
ユーザ形状抽出部143Aは、ユーザ画像からユーザ形状を抽出する。具体的に、ユーザ形状は、DeepLab v3などの機械学習モデルを用いて抽出され、シルエット画像として保存される。なお、ユーザ画像はユーザの身長により規格化されている。なお、ここでは、ユーザの体型が反映されるように、ユーザが緩みのない衣服を着た状態(下着を着用した状態など)又はユーザが衣服を着ていない裸の状態で撮影されたものがユーザ画像として用いられる。
【0034】
ユーザ骨格情報取得部143Bは、ユーザ画像からユーザに対するユーザ骨格情報を取得する。例えば、ユーザ骨格情報はLightWeight OpenPoseなどの機械学習モデルを用いて抽出される。
【0035】
ユーザ格子点処理部143Cは、ユーザ骨格情報に基づいてユーザ形状の少なくとも一部に対してユーザ格子点を設定する。ユーザ格子点は、モデル格子点に対応するように設定されるものであり、ユーザ格子点とモデル格子点の数は一致する。
【0036】
アイテム画像合成部144は、アイテム画像に映るアイテムが第1タイプのアイテムである場合、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成する。ここでは、アイテム画像合成部144は、モデル画像における格子点間隔が所定値以上である場合、ユーザ画像における格子点間隔に対し所定の拡大処理を行なう。これにより、アイテム画像をユーザ画像に合成した際に、違和感を生じさせないような合成画像にすることができる。一方、アイテム画像合成部144は、アイテム画像に映るアイテムが第2タイプのアイテムである場合、モデル骨格情報から得られる各部位の中心軸の角度に対応させてユーザ骨格情報を変更し、変更したユーザ骨格情報に基づいてユーザ画像を変形する。そして、アイテム画像合成部144は、変形したユーザ画像にアイテム画像を合成する。
【0037】
(1-2)モデル情報生成装置
図9はモデル情報生成装置200の構成を示す模式図である。
モデル情報生成装置200は、アイテム画像合成装置100にモデル情報を提供するものであり、任意のコンピュータにより実現することができる。モデル情報生成装置200のコンピュータにプログラムが読み込まれることにより、CPU及び/又はGPU等のプロセッサが、モデル画像取得部241、アイテム画像抽出部242、モデル形状抽出部243、モデル骨格情報取得部244、モデル格子点設定部245、及びモデル情報生成部246として機能する。
【0038】
モデル画像取得部241は、任意のモデル画像(
図3のM1参照)を取得する。なお、モデル画像を取得する際、モデル画像に映されているモデルの身長のデータが関連付けて取得される。
【0039】
アイテム画像抽出部242は、モデル画像からアイテムに対応するアイテム画像(
図4のM2参照)を抽出する。例えば、アイテム画像抽出部242は、モデル画像に映されるモデルが着用している衣服の上半身部分(シャーツ、上着等)及び下半身部分(ズボン、スカート等)を個別のアイテム画像として抽出する。ただし、これに限らず、アイテム画像抽出部242は、モデル画像に映されるモデルが着用している衣服全体をアイテム画像として抽出するものでもよい。
【0040】
モデル形状抽出部243は、モデル画像からモデル形状(
図6のM3参照)を抽出する。モデル形状は、シルエット画像として保存される。この際、シルエット画像はモデルの身長により規格化される。
【0041】
モデル骨格情報取得部244は、モデル画像からモデルに対するモデル骨格情報(
図7のM4参照)を取得する。例えば、モデル骨格情報はLightWeight OpenPoseなどの機械学習モデルを用いて抽出される。
【0042】
モデル格子点設定部245は、アイテム画像として第1タイプのアイテムが映っている場合、モデル骨格情報に基づいてモデル形状の少なくとも一部に対してモデル格子点(
図5のM5参照)を設定する。
【0043】
モデル情報生成部246は、アイテム画像として第1タイプのアイテムが映っている場合、少なくともモデル画像M1、アイテム画像M2及びモデル格子点M5を関連付けてモデル情報として生成する。また、モデル情報生成部246は、アイテム画像として第2タイプのアイテムが映っている場合、少なくともモデル画像M1、アイテム画像M2、モデル骨格情報M4を関連付けてモデル情報として生成する。また、モデル情報生成部246は、要求に応じて、モデル情報をアイテム画像合成装置100に送出する。
【0044】
(1-3)ユーザ端末
ユーザ端末5は、ユーザが使用する端末であり、任意のコンピュータにより実現される。例えば、スマートデバイスにプログラムが読み込まれることにより、そのスマートデバイスがユーザ端末5として機能する。ユーザ端末5は、入出力機能、通信機能、撮影機能などを有している。これらの機能により、ユーザ端末5は、ユーザを撮影してユーザ画像を生成し、そのユーザ画像をアイテム画像合成装置100に送信することができる。また、ユーザ端末5は、アイテム画像合成装置100から合成画像を受信して、それをディスプレイに表示できる。なお、ユーザ端末5はユーザ画像を送信する際、ユーザの属性(身長、体重、性別)などの情報の入力を受け付けて、それらの情報をユーザ画像とともにアイテム画像合成装置100に送信する。
【0045】
(2)アイテム画像合成システムの動作
次にアイテム画像合成システム1の動作について説明する。
【0046】
(2-1)モデル情報の準備
アイテム画像合成システム1では、ユーザ端末5からの要求に応じて、アイテム画像合成装置100がユーザ画像にアイテム画像を合成する。アイテム画像合成装置100が画像を合成するためには、モデル情報が予め記憶部110に記憶されている必要がある。そこで、モデル情報を記憶部110に記憶する手順について、
図10のフローチャートを用いて説明する。また各ステップで生成される画像を
図11に示す。
図11においては、実線が第1タイプのアイテムのモデル情報の生成に対応しており、点線が第2タイプのアイテムのモデル情報の生成に対応している。ただし、
図11では第2タイプのアイテム画像の図示を省略している。
【0047】
まず、モデル情報生成装置200(モデル画像取得部241)が、モデル画像M1を取得する(R1)。ここでは、モデル画像M1は、モデルの人物が商品の服を着た状態で正面から撮影された画像を用いる。撮影の際、モデルには、足を肩幅に開き、手をハの字に30度くらい開いたポーズをとるようにしてもらう。ただし、モデルのポーズはこれに限定されるものではない。
【0048】
次に、モデル情報生成装置200(アイテム画像抽出部242)は、モデル画像M1からアイテム画像M2を抽出する(R2)。具体的には、モデル画像M1において、モデルが着用している衣服だけを切り取った画像をアイテム画像M2として抽出する。
【0049】
続いて、モデル情報生成装置200(モデル形状抽出部243)は、モデル画像M1からモデル形状M3を抽出する(R3)。例えば、モデル形状は、DeepLab v3などの機械学習モデルを用いて抽出され、シルエット画像として保存される。なお、シルエット画像はモデルの身長により規格化される。
【0050】
次に、モデル情報生成装置200(モデル骨格情報取得部244)は、モデル画像M1からモデルに対するモデル骨格情報M4を取得する(R4)。例えば、モデル骨格情報はLightWeight OpenPoseなどの機械学習モデルを用いて抽出される。
【0051】
続いて、モデル情報生成装置200(モデル格子点設定部245)は、アイテム画像として第1タイプのアイテムが映っている場合、モデル骨格情報M4に基づいてモデル形状M3の少なくとも一部に対してモデル格子点M5を設定する(R5,R6)。ここでは、モデル情報生成装置200(モデル格子点設定部245)は、モデル骨格情報M4に基づいて身体の各部位およびその部位の中心軸を特定する。そして、モデル情報生成装置200(モデル格子点設定部245)は、当該部位を中心軸に沿って所定数で区分けし、その区分けした位置で中心軸に直行する方向に所定数の格子点を割り当てるようにモデル格子点を設定する。この際、モデル情報生成装置200(モデル格子点設定部245)は、モデル骨格情報に基づいて腕の太さを仮想的に算出し、算出した腕の太さと、モデル形状のシルエット画像から得られる腕の太さとを比較する。そして、モデル骨格情報に基づいて算出した腕の太さより、シルエット画像から得られる腕の太さが大きい場合、モデル情報生成装置200(モデル格子点設定部245)は、モデル骨格情報に基づいて算出した腕の太さに対応する領域にモデル格子点を設定する。これにより、モデルがアイテムを着用していないときの形状に対してモデル格子点が設定される。なお、アイテムの形状がモデルの体型にフィットしている場合には、モデルがアイテムを着用していないときの形状とモデルがアイテムを着用しているときの形状とは略一致する。
【0052】
次に、モデル情報生成装置200(モデル情報生成部246)は、アイテム画像として第1タイプのアイテムが映っている場合、少なくともモデル画像M1、アイテム画像M2及びモデル格子点M5を関連付けてモデル情報として生成する(R7)。
【0053】
一方、モデル情報生成装置(モデル情報生成部246)は、アイテム画像として第2タイプのアイテムが映っている場合、少なくともモデル画像M1、アイテム画像M2及びモデル骨格情報M4を関連付けてモデル情報として生成する(R5,R7)。
【0054】
そして、モデル情報生成装置200は、モデル情報をアイテム画像合成装置100に送出する。アイテム画像合成装置100では、取得したモデル情報を記憶部110に記憶する(R8)。
【0055】
(2-2)アイテム画像合成装置の動作
次に、アイテム画像合成装置100を使用してアイテム画像をユーザ画像に合成する手順について、
図12のフローチャートを用いて説明する。また各ステップで生成される画像を
図13,14,15に示す。
【0056】
まず、ユーザ端末5などを介して、ユーザが映されたユーザ画像U1が撮影され、そのユーザ画像U1がアイテム画像合成装置100に送信される。この際、ユーザの属性データ(身長、体重、性別等)もアイテム画像合成装置100に送信される。これにより、アイテム画像合成装置100が属性データに関連付けられたユーザ画像U1を取得する(S1)。なお、ここではユーザ画像U1には、ユーザの体型が反映されるように、緩みのない衣服を着た状態若しくは裸の状態で撮影されたものが用いられる。
【0057】
次に、ユーザによるユーザ端末5などの操作によりモデル画像M1が選択される(S1)。ここでは、ユーザ端末5に、衣服等を着用したモデルが映されたモデル画像が選択可能に複数表示される。ユーザは、複数のモデル画像の中から自分の好みの衣服を着用したモデル画像M1を選択する。
【0058】
アイテム画像合成装置100は、モデル画像M1が選択されると、そのモデル画像M1に映るアイテムのタイプを判定する(S3)。ここでは、服のタイプが第1タイプであるか、第2タイプであるかを判定する。
【0059】
ステップS3において、アイテム画像合成装置100は、モデル画像M1に基づいて第1タイプのアイテムであると判定した場合、ユーザ画像U1からユーザ形状U3(
図13参照)を抽出する(S4)。ユーザ形状U3はシルエット画像として保存される。なお、ユーザ画像U1はユーザの身長により規格化される。
【0060】
続いて、アイテム画像合成装置100は、ユーザ画像U1からユーザ骨格情報U4(
図13参照)を取得する(S5)。
【0061】
次に、アイテム画像合成装置100は、ユーザ骨格情報U4に基づいてユーザ形状U3(
図13参照)の少なくとも一部に対してユーザ格子点U5を設定する(S6)。
【0062】
続いて、アイテム画像合成装置100は、モデル画像M1に対応するモデル格子点M5と、ユーザ画像U1に対応するユーザ格子点U5とを比較する(S7,
図14参照)。この際、モデル格子点M5の間隔とユーザ格子点U5の間隔との差に応じて拡大処理を行なうことがある。例えば、腕領域に対応するモデル格子点M5がユーザ格子点U5よりも間隔が大きい場合、ユーザ格子点U5間隔を拡大する(S7-YES,S8)。これにより、モデル画像M1に含まれるアイテム画像M2をユーザ画像U1に合成したときに、アイテム画像M2が縮小して違和感を生じさせるのを回避できる。一方、腕領域に対応するモデル格子点M5がユーザ格子点U5よりも間隔が小さい場合、ユーザ画像U1の格子点間隔の拡大処理を実行せずに次の処理に進む(S7-NO)。
【0063】
次に、アイテム画像合成装置100は、モデル格子点M5からユーザ格子点U5に対応させるように、モデル画像M1に含まれるアイテム画像M2の変形を行なう(S9)。補足すると、各モデル格子点と各ユーザ格子点とは一対一に対応しており、各モデル格子点の位置が各ユーザ格子点の位置に遷移させるように、モデル格子点が設定された領域のアイテム画像M2をユーザ格子点が設定された領域のアイテム画像に変形する。これにより、ユーザの体型に適合するように変形されたアイテム画像U2(
図14参照)が生成される。
【0064】
続いて、アイテム画像合成装置100は、変形されたアイテム画像U2をユーザ画像U1に合成する(S10)。そして、合成された画像U6(
図14参照)がユーザ端末5のディスプレイなどに表示される。
【0065】
一方、上記ステップS3において、アイテム画像合成装置100は、モデル画像M1に基づいて第2タイプのアイテムであると判定した場合、ユーザの姿勢がモデルの姿勢と同じになるようにユーザ画像U1を変形する(S11)。例えば、腕領域に関し、ユーザ骨格情報U4から得られる腕の角度をモデル骨格情報M4にから得られる腕の角度に変形するように、ユーザ画像U1を変形する。これにより変形されたユーザ画像U7(
図15参照)が得られる。
【0066】
続いて、アイテム画像合成装置100は、変形されたユーザ画像U7にアイテム画像を合成する(S12)。そして、合成画像U8(
図15参照)がユーザ端末5に送出され、ディスプレイなどに表示される。
【0067】
(3)アイテム画像合成システムの特徴
上述したように、本実施形態に係るアイテム画像合成装置100は、第1タイプのアイテムの関し、モデル格子点とユーザ格子点とを対応させてアイテム画像を変形し、変形したアイテム画像をユーザ画像に合成する。これにより、アイテム画像合成装置100は、モデルの体型からユーザの体型に変化させるようにアイテム画像を変形し、そのように変形したアイテム画像をユーザ画像に合成するので、違和感の生じない自然な合成画像を出力することができる。これにより、ユーザ画像にアイテム画像を合成したときに、ユーザがアイテムを試着しているように見せることができる。
【0068】
具体的に、アイテム画像合成装置100を用いることで、ユーザ(試着者)に対して、モデル画像から商品の服だけを切り取ったアイテム画像を重ねることで、商品の服を試着しているような画像を合成することができる。このとき、ユーザ(試着者)とモデルとの体型・身長・ポーズの差異に応じて、アイテム画像が変形されるので、試着のリアル感を高めることができる。換言すると、モデルがアイテムを着用している状態(服を着ている状態)を撮影し、アイテム(服)を切り抜くだけで任意のユーザに対して試着した状態を示す合成画像を生成することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るアイテム画像合成装置100を用いることで、モデルの着用しているアイテムがゆとりの大きいもの(厚手のアウターや裾の広がっているパンツ・スカートなど)である場合、アイテム画像がユーザ画像を覆うように合成するのでユーザがアイテムを試着した状態を表示できる。補足すると、アイテム画像からユーザ画像がはみ出るように合成される場合には、現実には生じ得ない不自然な画像になる。これに対し、本実施形態に係るアイテム画像合成装置100では、第2タイプのアイテムについては、ユーザ骨格情報に基づいて、ユーザ画像を変形させてからアイテム画像を合成することでアイテム画像からユーザ画像がはみ出ないように合成できる。なお、アイテム画像合成装置100は、ユーザ骨格情報に基づいてアイテム画像の大きさを変更するものでもよい。これにより、全体のバランスを調整した合成画像を生成できる。
【0070】
なお、ユーザ及びモデルが同様のポーズで撮影されたユーザ画像及びモデル画像を用いると、アイテム画像の変形量を少なくすることができる。これにより、合成画像の違和感を減らすことができる。
【0071】
また、アイテム画像合成装置100では、アイテムを着用したモデルを映したモデル画像に基づいて合成画像が生成されるので、ユーザはアイテムがどのように着用されるのかをイメージしながらアイテムを選択することが可能になる。
【0072】
また、アイテム画像合成装置100は、モデル画像における格子点間隔が所定値以上である場合、ユーザ画像における格子点間隔に対し所定の拡大処理を行なうので、アイテム画像をユーザ画像に合成した際に、違和感を生じさせないような合成画像を生成できる。補足すると、モデルの腕の方がユーザの腕より太いときに、上記拡大処理が実行されないと、ユーザの腕の太さに合うようにアイテム画像が収縮される。これに関し、本発明者らは、このようなアイテム画像の収縮により、合成画像に違和感を生じさせることがあり、特に手先や腕回りではこのような収縮がアイテム全体の印象に与える影響が大きいという知見を得た。そのため、腕の部分のアイテム画像の変形処理においては、上記拡大処理が行われることが好ましい。
【0073】
また、アイテム画像合成装置100は、第1タイプのアイテムの場合、モデル画像とモデル格子点とを関連付けて記憶しているので、モデル格子点とユーザ格子点に基づいてアイテム画像をユーザの形状に適合させて変形させることができる。
【0074】
さらに、アイテム画像合成装置100は、アイテムの形状によっては、モデルがアイテムを着用していないときの形状に対して設定されたモデル格子点を記憶しているので、モデルが着用するアイテムがモデルの体型にフィットしていなくても、自然な合成画像を生成できる。補足すると、モデル格子点が、モデルの実際の体型に対応したものでなく、モデル形状の内側領域全体に設定される場合、ユーザの体型に吸い付くようにアイテム画像が変形する。例えば、
図4に示すような脇の部分が緩いアイテム画像M2をユーザ画像に合成する場合、本来であればアイテムの一部であるユーザの脇の部分a1,a2にアイテムが存在しない不適切な合成画像U9が生成される(
図16(a)参照)。これに対し、アイテム画像合成装置100は、モデル骨格情報を用いてモデル格子点を設定しているので、比較的緩やかに体型にフィットしている衣服をモデルが着用している場合、そのようなアイテムをユーザに緩やかにフィットさせるようにユーザ画像にアイテム画像を合成できる(
図16(b)参照)。
【0075】
また、アイテム画像合成装置100は、ユーザ骨格情報に基づいてユーザ形状の少なくとも一部に対してユーザ格子点を設定するので、モデル格子点とユーザ格子点に基づいてアイテム画像をユーザの形状に適合するように変形できる。
【0076】
また、アイテム画像合成装置100はモデル情報生成装置200で生成されたモデル情報を記憶する。具体的に、アイテム画像合成装置10は、第1タイプのアイテムの場合、モデル画像とモデル格子点とを関連付けて記憶部11に記憶する。なお、モデル情報生成装置200は、モデルがアイテムを着用していないときの形状に対してモデル格子点を設定したモデル情報を生成する。このようなモデル情報を用いることで、アイテム画像合成装置100は、モデルが着用するアイテムが必ずしもモデルの体型にフィットしていなくても、自然な合成画像を生成することができる。
【0077】
(4)変形例
上記説明において、ユーザ画像はユーザを撮影したものであったが、ユーザ画像は仮想的に生成されるものでもよい。例えば、ユーザの属性データ(身長、体重、性別等)に基づいて3次元的に生成し、これを特定視点から投影させた画像データなどを採用してもよい。この場合、アイテム画像生成装置が、少なくとも身長、体重、性別のいずれかの属性データに基づいてユーザ画像を生成するユーザ画像生成部をさらに備える。
【0078】
また、上記説明において、アイテム画像として第2タイプのアイテムが映っている場合、アイテム画像M2においてアノテーションした部分をモデル情報に含めてもよい。例えば、アイテムとしてコートが映っている場合、そのコートにおいて腕の部分をアノテーションし、そのアノテーションした部分をモデル情報に含めてもよい。これにより、例えば、アイテム画像M2に映るコートの袖口が、ユーザ画像に映るユーザの手首と一致するようにアノテーションした部分の伸縮し、ユーザ画像にアイテム画像を合成したときに、ユーザがアイテムを試着しているように見せることができる。
【0079】
また、上記説明において、モデル画像に映るアイテムを、第1タイプのアイテムと第2タイプのアイテムとに区分けしたが、これらの定義は便宜上のものである。例えば、上述した第2タイプのアイテムに定義されるアイテムであったとしても、第1タイプのアイテムとみなして画像合成の処理を実行してもよい。また、上述した第1タイプのアイテムに定義されるアイテムであったとしても、第2タイプのアイテムとみなして画像合成の処理を実行してもよい。要するに、第1タイプのアイテム及び第2タイプのアイテムに応じた画像合成の処理は適宜組み合わせてもよいし、いずれか一方のみを実行するものであってもよい。
【0080】
<他の実施形態>
本開示は、上記各実施形態そのままに限定されるものではない。本開示は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。また、本開示は、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できるものである。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよいものである。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよいものである。
【符号の説明】
【0081】
1 アイテム画像合成システム
5 ユーザ端末
100 アイテム画像合成装置
110 記憶部
120 入出力部
130 通信部
140 処理部
141 モデル情報取得部
142 ユーザ画像取得部
143 ユーザ格子点設定部
143A ユーザ形状抽出部
143B ユーザ骨格情報取得部
143C ユーザ格子点処理部
144 アイテム画像合成部
200 モデル情報生成装置
241 モデル画像取得部
242 アイテム画像抽出部
243 モデル形状抽出部
244 モデル骨格情報取得部
245 モデル格子点設定部
246 モデル情報生成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】