(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110797
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】水道メータのパルス出力に於ける漏水段階検出方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20230802BHJP
G01F 1/06 20060101ALI20230802BHJP
G01M 3/00 20060101ALI20230802BHJP
E03B 7/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01F1/00 T
G01F1/06
G01M3/00 C
E03B7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022021647
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】515282681
【氏名又は名称】株式会社Clues
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀行
【テーマコード(参考)】
2F030
2G067
【Fターム(参考)】
2F030CB02
2F030CC02
2F030CG01
2G067AA13
2G067CC02
2G067DD04
2G067EE01
2G067EE13
(57)【要約】
【課題】 低コストで簡易な、羽根車式水道メータのパルス出力のみで、漏水を検出する方法を紹介する。
【解決手段】 漏水度合いに対応した、基準時間、判定回数、判定量、判定時間内計数、連続回数で構成される、複数の漏水判別パラメータにより、基準時間ごとのパルス信号の受信を監視し、判定回数を連続して受信しているとき、又は判定時間内の計数値が判定量となったときに漏水判定とする。更に、同一度合いの漏水を2回検出した場合に、その度合の判定回数パラメータを、最大連続回数に1加算した値へ自動更新する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道メータからの流量パルス信号を受信し水道量を計測する装置の、漏水を検知する方法に於いて、
少なくとも2つ以上の異なる、基準時間、判定回数、及び判定量を設定でき、前記基準時間と前記判定回数の乗算時間を判定時間とし、前記設定された基準時間ごとに、当該基準時間内に流量パルスを受信しているときに1つ増加し、又、受信していないときにゼロとなる連続回数が、前記設定された判定回数以上となったとき、又は前記判定時間内の水道量が、前記設定された判定量以上となったとき、当該度合いの漏水として検出する、漏水段階検出方法。
【請求項2】
更に、前記検出方法により、前記同一度合いの漏水が、2回以上検出された場合に、当該漏水度合いの最大連続回数を記憶しておき、当該前記漏水度合いの前記設定された判定回数を、前記最大連続回数に1を加算した値へ変更する、自動調整機能を有する、漏水段階検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータのパルス信号を受信し、水道量を計測する装置に於ける、水道の漏水を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道メータは主に、羽根車式と電磁式に分別される。羽根車式水道メータは、更に機械式と電子式に分類される。現在、主に使用されている水道メータは、羽根車式機械式水道メータである。
【0003】
電子式水道メータには、バッテリが内蔵されているものがあり、バッテリ寿命は8年となっている。これは、計量法による、水道メータの交換時期と同等時期まで持つよう設計されているためである。
【0004】
水道メータにはパルス信号を発信する機能を有するものがあり、この信号を遠隔地の計測装置へ接続し、パルス回数を計数することにより遠隔計測することが可能となる。この計測装置をカウンターや隔測装置と呼ぶ場合もある。
【0005】
羽根車式水道メータから出力されるパルス信号は、水流で回転する羽根車の回転を分周させ、磁石とホール素子を利用し、パルス発信を行っている。これにより、バッテリの電力を消費することなく、恒久的にパルス発信を行うことが可能である。
【0006】
電子式羽根車式水道メータと電磁式水道メータは、マイコンを内蔵しており、流量をソフトウェアで変換して出力する仕組みである。
【0007】
電子式水道メータには、漏水検出機能が付帯されているものが多い。一定期間に流量が継続している場合に検出される。
【0008】
電子式水道メータや電磁式水道メータには、電文通信方式を内蔵しているものが多い。これは水道メータ内で計測されたデータや前述の漏水検出情報を電文通信で発信し、その内容を隔測装置で表示するというものである。
【先行技術文献】
【0009】
【0010】
特許文献1は、本発明の発明者が提出済みの文献であり、漏水通報機能を有する水道量隔測装置という、装置の発明として申請しているものである。本発明では、この文献の請求項1にて記載されている、漏水判定方法をより詳細に発展させ、水道メータと接続する装置で、簡易に漏水を検出できる方法として紹介しているものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
漏水を発見するには、まず漏水であると認識する事から始まる。しかし、漏水というものはその量が少量であれば、発見することは難しい。施設内のどこからか水漏れや水シミが発見され、初めて認識することが多い。しかしながら、建物内に水漏れが発見されてからでは、すでに様々な箇所に水が回り込んでいる可能性が高く、損害も大きくなってしまう。
【0012】
経年した商業ビルや集合住宅に於いて漏水が発生し、何かしらの損害が発生した場合、その責を負う債務者は、賃貸であればビルオーナーとなり、分譲マンション等の専有物件であれば、専有所有者、自ら居住している場合は居住者となる。
【0013】
また、学校のプールにて水栓の締め忘れによる水道の無駄使い問題がある。学校の夏休み期間で教員も少なく、プールの水栓を締め忘れたことを1か月余り忘れてしまい、水道料金が数百万円にも及ぶという事件が、例年発生している。
【0014】
このように漏水による損害金額は様々であるが、通常十数万~数百万、中には一千万円以上にも及ぶ場合がある。
【0015】
従来の漏水検出装置は、検針者に対し通報するような仕組みとなっている。通常の検針は、水道料金徴収のため、水道局の検針員や、建物を管理している管理者となり、検針タイミングは1か月乃至2か月に1回程度である。
【0016】
前述のように、電子式水道メータには漏水検出機能が付随しているが、この漏水検出は一定期間以上連続して水が流れている場合に検出するというもので、一般的には検出時間を設定することはできない。
【0017】
前述の電文通信方式は、一般的には電文フォーマットは公開されておらず、電文を受信することは困難である。また、バッテリを搭載する電子式メータの場合、バッテリの都合から、頻度が1日1回程度の通信に限られる。
【0018】
電磁式水道メータはアナログ信号を出力する機能を搭載したものがあり、アナログ信号は流量の割合によりDC4~20mAの電気信号を出力するため、アナログ信号の継続性を測定すれば漏水を見ることが可能であるが、電磁式水道メータは高価であり、アナログ信号を出力するため、別途電源が必要となる。
【0019】
安価であるのは、羽根車式水道メータである。現在、一般的に使用されている水道メータはそのほとんどが機械式羽根車式であり、これらは漏水検出の機能を有していない。
【0020】
つまり、安価で簡便な羽根車式水道メータのパルス信号で、漏水を検知できれば、低コストで漏水の早期発見につながるための検出装置を製作することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、
水道メータからの流量パルス信号を受信し水道量を計測する装置の、漏水を検知する方法に於いて、少なくとも2つ以上の異なる、基準時間、判定回数、及び判定量を設定でき、前記基準時間と前記判定回数の乗算時間を判定時間とし、前記設定された基準時間ごとに、当該基準時間内に流量パルスを受信しているときに1つ増加し、又、受信していないときにゼロとなる連続回数が、前記設定された判定回数以上となったとき、又は前記判定時間内の水道量が、前記設定された判定量以上となったとき、当該度合いの漏水として検出する、漏水段階検出方法により達成される。
【0022】
また、本発明の上記目的は、更に、前記検出方法により、前記同一度合いの漏水が、2回以上検出された場合に、当該漏水度合いの最大連続回数を記憶しておき、当該前記漏水度合いの前記設定された判定回数を、前記最大連続回数に1を加算した値へ変更する、自動調整機能を有することにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安価なパルス発信付きの水道メータとマイコンを内蔵した隔測装置の内部処理に本発明の処理を組み込めば、安価で簡易に漏水を検出する装置を作ることが可能となる。
【0024】
また、近年、マイコンや組み込み機器は、IoTによる高性能化が進み、簡単にインターネット等のネットワークに接続することが可能となっており、管理者へ迅速に漏水を伝達することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実際の水道が流れている場合の、水道メータのパルス出力の形態を表したものである。
【
図2】処理に必要な、メモリ内のバッファ内容を図示したものである。
【
図3】同一のパルス出力を基準時間で区切った場合の、基準時間が5分と10分の場合での漏水判定の違いを表したものである。
【
図4】口径13ミリの水道メータの流量範囲と、本発明の基準時間の設定値によるカバー範囲を表にしたものである。
【
図5】口径13ミリの水道メータの流量範囲を表にしたものである。
【
図6】本発明で使用されるパラメータの、水道メータの口径による設定例を示している。
【
図7】請求項2のパラメータ自動設定時の動作を図で表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、水道メータのパルス出力を元にした漏水検出の手段を説明するものであり、パラメータの異なる同一処理を複数回行うことで、漏水を段階的に検出できるものである。この漏水段階検出方法は、水道メータからのパルス信号のみを受信し、通常使用される水道量も計測しつつ、漏水の発生も検出するものである。
【0027】
水道メータはその口径により、精度のある流量範囲が決まっている。あるメーカの羽根車式水道メータの仕様書によれば、水道メータの流量範囲は、口径13ミリで、1時間あたり25リットルから2500リットル、口径20ミリで、1時間あたり40リットルから4000リットル、口径25ミリで、1時間あたり63リットルから6300リットル、口径30ミリ及び40ミリで、1時間あたり100リットルから10000リットルとなっている。
【0028】
参考までに、口径13ミリの水道メータの最小流量で見ると1時間あたり25リットルという流量は、1分間に約417ミリリットル、1秒間に約7ミリリットルとなる。
【0029】
電子式羽根車式水道メータのパルス出力は、出力単位が、1リットル、10リットル、100リットル、1000リットル等がある。
【0030】
機械式羽根車式水道メータのパルス出力は、出力単位が、100リットル、1000リットル等がある。
【0031】
図1では実際の水道が流れている場合の、パルス出力の形態を示している。出力単位に達するまで、水道メータ内部で蓄積され、出力単位に達した時点でパルスが出力され、内部の蓄積がクリアされるといった仕組みとなる。
【0032】
電子式水道メータのパルス出力を受信する場合、パルス出力単位は10リットル以下が望ましい。この出力単位が小さい程、水道メータ内で蓄積された流量が現れる頻度が多くなるため、より速く漏水を検出できることになる。東京都水道局の仕様では、電子式水道メータはパルス出力単位が10リットルとなっている。
【0033】
機械式水道メータの出力信号を受信する場合、パルス出力単位は100リットル以上となる。この場合、パルスが出力されるまで所要時間が長くなるため、漏水検出時間も、その分長くなる。
【0034】
水道メータのパルス出力は流量が上記のようにまとめられて出力されため、本発明の漏水判別方法は、水道の通水を判別する手段が断続的となる。
【0035】
通常の水道使用にてパルス出力は行われるが、通常はある程度使用したら通水状態は止まる。しかし、漏水が発生している場合は、継続して水道が流れていることを想定し、且つ、前述のようにパルス出力は断続的であるため、一定の時間間隔でパルスの出力が連続しているかを見ることで、漏水を検出する。
【0036】
水道量を一定の基準時間あたりで区切り、その間にパルス信号の受信があれば、通水しているものとみなす。
【0037】
この基準時間あたりで区切られた通水状態が、通常使用の連続回数を超えて連続している場合に、漏水と判断する。
【0038】
このように断続的に連続した信号から漏水を検出する処理は、その検出までにある程度の時間を要するため、異なる複数の、基準時間或いは判定回数のパラメータでの漏水検出を行うことにより、漏水の度合いが大量の場合は迅速に、少量の場合は時間を要するが確実に検出するような仕組みとなる。
【0039】
また、水道メータの羽根車が回転しないような、極小の漏水の場合は感知されない。
【0040】
本発明に係る、漏水段階検出方法には、CPU、RAM、ROM、I/O、内蔵タイマで構成されるマイコンが必要である。その他、不揮発メモリ、表示器、操作I/F等があれば、パラメータ等を手動で設定及び保存ができ、更に、通信I/Fがあれば、漏水検出情報をネットワーク等で外部に知らせる事が可能である。
【0041】
マイコンのI/Oに、水道メータのパルス信号を受信し、信号のOFFからONのエッジを検知することにより水道量を計測する。
【0042】
図2は、メモリ内のバッファ内容を図示したものである。まず、設定値として、基準時間、判定回数、判定量の3つのパラメータを設定、記憶する。また、判定時間内のパルス計数値、連続回数も合わせて準備する。これら5つのパラメータを1セットとして、漏水の段階に合わせ、2つ以上の複数個をメモリ上に記憶する。
【0043】
漏水の判定までの時間は、基準時間×判定回数となる。この時間を判定時間という。
【0044】
一般的に、マイコンは入力されたクロック周波数で動作し、このクロックを元に指定された分周周期でタイマカウンタをカウントアップさせ、指定したカウント値になると割り込みを発生させて、定周期タイマとして使用する。
【0045】
基準時間とは、漏水判定の基準となる時間であり、前述の定周期タイマにて処理する一定周期のことである。基準時間の値は、水道メータの口径、出力単位、更に検知したい漏水度合いにより設定する。
【0046】
基準時間が長期なほど、少量の漏水が検出でき、短期なほど、大量の漏水が検出できる。基準時間の設定値は、その漏水度合いに合わせ、大量は1分、中量は15分、少量は60分などとなる。これらの時間間隔を設定パラメータとして記憶しておく。
【0047】
基準時間経過ごとに、当該時間内に流量パルスを受信している状態とは、基準時間定周期の時間内に、流量パルスのエッジを受信したかを判別することである。
【0048】
具体的な処理の例を挙げる。基準時間内にパルスを受信したら、メモリ上に用意した連続回数バッファに1を加算する。連続回数に1を加算するのは、基準時間内に1回のみとなる。さらに、前述の判定時間内の流量カウント数も別途記憶しておく。
【0049】
基準時間内にパルスを受信しなかった場合は、連続回数を0とし、判定時間内の流量カウント数も0にする。
【0050】
判定回数は、基準時間間隔に流量カウントを受信している状態、つまり前述の連続回数が、この判定回数に達しているかを判定する回数である。この判定回数を連続して、流量パルスを受信していた場合、漏水と判定する。
【0051】
図3では、同一のパルス出力を基準時間で区切った場合の、基準時間が5分と10分の場合での漏水判定の違いを表している。5分の場合は漏水判定とならないが、同一のパルス出力で、10分の場合は漏水と判定される。
【0052】
このように、判定時間が長くなる程、判定時間が短いレベルの漏水も検知できる。即ち、基準時間が大きいほど、少量の漏水を検知することができ、基準時間が小さいほど、大量の漏水に対応することができる。
【0053】
実際に漏水が発生したときは、迅速に元栓を閉めなければならない。このため、段階的に処理を複数個設けることにより、大量や中量の漏水が発生した場合に、早い段階で漏水を検知できるようになる。
【0054】
判定時間内の水道量とは、基準時間×判定回数となる判定時間の時間内で、連続している状態での水道量である。基準時間内でパルスを受信しなかった場合、判定時間内の水道量はゼロクリアされる。
【0055】
本発明の漏水判定方法は、その判定までに、ある程度の所要時間が掛かる。しかし、前述の通り、いざ漏水が発生した場合は、迅速に元栓を締める必要がある。
【0056】
判定量とは、判定時間内で、判定時間内の水道量が、設定された判定量に達した場合に、すぐに漏水と判別するための水道量である。
【0057】
図4では、基準時間を1分、判定回数を60回、判定量を300リットルと設定した場合の動作例を示している。この例では、1分あたり40リットルの流量が継続して流れていると仮定している。判定量が無い場合、60分で漏水判定となるが、判定量を設けることにより、7分半で判定量の300リットルに達し、漏水と判定することが出来る。
【0058】
少量の漏水判定では、判定までに時間がかかり、大量の判定では、判定時間は短くなるが、漏水判定されない場合もある。これに対応し、例えば更に、中量の流量範囲を設ければ、様々な範囲の漏水をカバーできる。
【0059】
前述の口径13ミリの水道メータを例にとると、最小流量の場合、1時間あたり25リットルとなる。パルス出力単位が10リットルの場合、24分ごとに1パルスを出力することとなる。
【0060】
前述のように、水道メータは水流を検知する最小流量が設定されているが、精度は悪くなるであろうが、最小流量未満の流量も検知できることを想定し、基準時間は、最小流量のパルス出力所要時間の2倍程度の時間を取る。
【0061】
つまり、この場合、1時間程度の基準時間を設ければ、この最小流量範囲に足ることとなる。よほどの事がなければ1日中水道を使用することは無いので、判定回数を12~24回などとすれば、検出所要時間12時間~24時間で、25リットル毎時以下の少量漏水の判定ができる。
【0062】
反対に、大量の漏水を検知する場合、前述の口径13ミリの水道メータの最大流量は、1時間あたり2500リットルとなる。この場合、10リットルのパルス出力に要する時間は、14.4秒となる。
【0063】
しかし、実際には、設定されている水圧や周辺環境によりこの最大流量が流れることは稀なので、基準時間を1分などとすれば、流量範囲の100~25%までの範囲をカバーすることが出来る。
【0064】
大量の漏水が発生した場合、緊急に元栓を閉める必要があるため、この場合の判定時間はなるべく短く設定するのが望ましい。
【0065】
出力単位10リットルで、判定時間を1分とした場合、最大流量2500リットルが流れた場合、1分間の通水状態は、最大40リットル以上となる。
【0066】
1人が1日あたりに使用する水道量は、平均200~300リットルと言われている。家族がいる家庭では、その人数に比例し使用量は増加する。
【0067】
これらを踏まえ、口径13ミリ、パルス単位が10リットルの水道メータで、大量の漏水検出を行う場合、基準時間を1分、判定回数を30~60回、判定量を300リットルなどと設定すれば良い。
【0068】
少量の判定では、それよりも多い量の検出も可能となるが、判定までに時間がかかり、大量の判定では、最大流量に対応すべく、判定時間を短くしているため、漏水判定されない場合がある。これに対応し、大量漏水と少量漏水の間の中間量のパラメータを追加すれば、全ての範囲をカバーできる。
【0069】
図5は、口径13ミリの水道メータの流量範囲を表にしたものである。基準時間を1分とすれば、流量範囲の100%から25%以上をカバーでき、基準時間を15分とすれば、25%未満から1.8%以上をカバーでき、基準時間を60分とすれば、1.8%未満の少量漏水をカバーする。
【0070】
判定時間は、一般家庭の場合、家族構成や、通常生活での水道使用を考慮し決定する。また、事業所や工場での用途の場合は、一時的に大量の水道を使用するような場合も考慮する。
【0071】
図6は、水道メータの各口径によるパラメータの初期設定例を示している。基準時間×判定回数である判定時間の設定値は、通常の水道使用時間より上回る時間となるように設定する。これは、通常の水道使用にて漏水検知しないためである。
【0072】
しかし、実際の水道使用は、運用させてみて初めて分かることも多い。このため当初は誤検出をさせながら、最適な判定時間を設定する必要がある。
【0073】
最終的な漏水の判断は、漏水を知った管理者が判断するものであるが、あまりに誤判定が多いと、実際の漏水も誤判定と判断してしまう恐れがある。また、漏水発生の度に、パラメータを手動で変更するのは煩雑である。
【0074】
本発明の請求項2は、このような誤検出の場合に、判定回数を増加させ、自動的に判定時間を延長させる方法である。
【0075】
漏水判定時に、その度合いに応じた連続回数が、過去に発生した同一度合いの連続回数を上回っている場合に、最大連続回数として記憶しておく。同一の漏水度合いの漏水判定が2回発生したときに、その漏水度合いの判定回数パラメータを、記憶している連続回数の最大値に1加算した値に書き換える。
【0076】
図3の最大連続回数パラメータは、この連続回数の最大値を記憶しておく記憶領域である。
【0077】
図7に自動設定時の動作を図で表したものを示す。設定パラメータは基準時間5分、判定回数6回としている。1度目は連続回数が6回に達した時点で漏水と判定され、そのまま継続して8回まで通水状態が連続している。この8回という回数を、最大連続回数として記憶しておく。その後、水道使用が止まり判定解除となり、連続回数は0へとクリアされる。その後、再度漏水が発生し、今度は7回の連続通水が起こる。この値は最大連続回数を下回るため、最大連続回数は更新されない。その後、漏水が解除された時に、記憶している最大連続回数8回に1を加算した値、9回を大量パラメータの判定回数に書き換える。
【0078】
この自動調整機能により、初動の誤判別はあるものの、その使用状況に応じて、自動的に判定時間を自動的に設定する事が可能となる。
【0079】
このように、本発明の請求項2の自動設定機能を搭載することにより、初期の判定回数を、例えば最小の1などとしておき、運転開始から2回は漏水検知してしまうが、3回目以降はその環境に合わせた判定時間に自動的に設定することが可能となる。