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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110807
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】試料保持具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230802BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025062
(22)【出願日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022011863
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】積久 優志
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA04
5F131EB15
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB82
5F131EB85
(57)【要約】
【課題】流路での異常放電を抑制することができる試料保持具を提供する。
【解決手段】試料保持具は、セラミック基板と、ベースプレートと、埋込部材と、を備える。セラミック基板は、被処理体が載置される第1面と、第1面の反対に位置する第2面と、第1面と第2面との間を貫通する第1流路と、を有する。ベースプレートは、セラミック基板の第2面に接合され、少なくとも第1流路に対応する位置に貫通孔を有する。埋込部材は、貫通孔内における第1流路側の端部に多孔体を有しているとともに、多孔体を介して第1流路と連通する第2流路を有する。また、第2流路は、第1面に対して垂直である第1部位と、第1部位と交差する第2部位と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、
ベースプレートと、
埋込部材と、を備え、
前記セラミック基板は、被処理体が載置される第1面と、前記第1面の反対に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1流路と、を有し、
前記ベースプレートは、前記セラミック基板の前記第2面に接合され、少なくとも前記第1流路に対応する位置に貫通孔を有し、
前記埋込部材は、前記貫通孔内における前記第1流路側の端部に多孔体を有しているとともに、前記多孔体を介して前記第1流路と連通する第2流路を有し、
前記第2流路は、
前記第1面に対して垂直である第1部位と、
前記第1部位と交差する第2部位と、を有する
試料保持具。
【請求項2】
前記第2部位は、前記第1面に対して平行である
請求項1に記載の試料保持具。
【請求項3】
前記第2流路は、複数の前記第2部位を有する
請求項1または2に記載の試料保持具。
【請求項4】
前記第1流路と、前記第2流路の前記第1部位とは、平面視で互いに重ならない位置に位置する
請求項1~3のいずれか一つに記載の試料保持具。
【請求項5】
前記第2部位は、平面視で屈曲している
請求項1~4のいずれか一つに記載の試料保持具。
【請求項6】
前記第2部位は、前記第1面から離れる方向に媒体が通流する部分を有する
請求項1~5のいずれか一つに記載の試料保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、試料保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品を製造するプロセスでは、プラズマ処理の対象となる半導体ウェハなどの被処理体を保持する試料保持具として、静電チャックが使用される。この静電チャックは、たとえば、電極が埋設されたセラミック基板を金属製のベースプレートに接合して構成される。
【0003】
この静電チャックには、静電チャック上に載置された被処理体に温調用の伝熱ガスを供給するための流路が形成される。また、流路へのプラズマの侵入を抑制する観点から、流路内に多孔体を配置した静電チャックが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-165223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、流路での異常放電を抑制する点でさらなる改善の余地があった。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、流路での異常放電を抑制することができる試料保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る試料保持具は、セラミック基板と、ベースプレートと、埋込部材と、を備える。前記セラミック基板は、被処理体が載置される第1面と、前記第1面の反対に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1流路と、を有する。前記ベースプレートは、前記セラミック基板の前記第2面に接合され、少なくとも前記第1流路に対応する位置に貫通孔を有する。前記埋込部材は、前記貫通孔内における前記第1流路側の端部に多孔体を有しているとともに、前記多孔体を介して前記第1流路と連通する第2流路を有する。また、前記第2流路は、前記第1面に対して垂直である第1部位と、前記第1部位と交差する第2部位と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、流路での異常放電を抑制することができる試料保持具が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る試料保持具の構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る試料保持具の断面を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る埋込部材およびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図4図4は、実施形態に係る埋込部材を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図5図5は、実施形態の変形例1に係る埋込部材およびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図6図6は、実施形態の変形例1に係る埋込部材を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図7図7は、実施形態の変形例2に係る埋込部材およびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図8図8は、実施形態の変形例2に係る埋込部材を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図9図9は、実施形態の変形例3に係る埋込部材およびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図10図10は、実施形態の変形例3に係る埋込部材を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図11図11は、実施形態の変形例4に係る埋込部材およびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図12図12は、実施形態の変形例4に係る埋込部材を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
図13図13は、実施形態の変形例5に係る埋込部材およびその周辺の構成を示す拡大断面図である。
図14図14は、実施形態の変形例5に係る埋込部材を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する試料保持具の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各実施形態は、内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。たとえば、「垂直」は第1面に対して第1部位の中心軸が90°±2°「平行」は第1面に対して第2部位の中心軸が0°±2°である。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
<実施形態>
まず、実施形態に係る試料保持具100の構成について、図1図4を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る試料保持具100の構成を示す斜視図である。図1に示すように、試料保持具100は、セラミック基板110とベースプレート120とが接合された構造を有する。
【0013】
セラミック基板110は、静電力を利用して半導体ウェハなどの被処理体(図示せず)を吸着する。セラミック基板110は、セラミックを含有する原料を略円板状に成形した部材である。
【0014】
セラミック基板110は、たとえば、酸化アルミニウム(Al)や窒化アルミニウム(AlN)、イットリア(Y)、コージェライト、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si)などを主成分として含んでいる。
【0015】
ベースプレート120は、セラミック基板110を支持する支持部材である。ベースプレート120は、たとえば半導体製造装置などに取り付けられ、試料保持具100を半導体ウェハなどの被処理体を保持する半導体保持装置として機能させる。
【0016】
ベースプレート120は、金属製の円形部材である。ベースプレート120を形成する金属材料としては、たとえば、アルミニウムやステンレス鋼、チタン、AlSiCなどのアルミニウム基複合材料を用いることができる。
【0017】
図2は、実施形態に係る試料保持具100の断面を示す模式図である。上述の通り、試料保持具100は、セラミック基板110とベースプレート120とが接合されて構成される。
【0018】
セラミック基板110は、第1面110aおよび第2面110bを有する。第1面110aには、半導体ウェハなどの被処理体(図示せず)が載置される。第2面110bは、第1面110aとは反対側に位置する。
【0019】
セラミック基板110の第1面110aに載置された被処理体には、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させることによってプラズマ処理が施される。このプラズマは、第1面110aに対向する電極(図示せず)に高周波電力を印加してガスを励起させることによって発生させることができる。
【0020】
セラミック基板110の内部には、電極111が配置される。かかる電極111は、たとえば、静電吸着用電極であり、白金やタングステン、モリブデンなどの金属を含有する導電部材である。試料保持具100では、電極111に電圧が印加されると静電力が発生し、静電チャックとして、かかる静電力によってセラミック基板110の第1面110aに被処理体を吸着させる。
【0021】
ベースプレート120は、セラミック基板110の第2面110bに接合される。ベースプレート120は、たとえば、接合材を介して第2面110bに接合されてもよい。かかる接合材としては、たとえば、シリコーン樹脂などの接着剤を用いることができる。
【0022】
ベースプレート120は、内部に空間121を有してもよい。かかる空間121は、たとえば、冷却水や冷却ガスなどの冷却媒体を通過させる冷媒通路として利用されてもよい。また、ベースプレート120は、プラズマ発生用の高周波電力が印加される高周波電極としての機能を兼ねてもよい。
【0023】
セラミック基板110には、図2に示すように、第1面110aと第2面110bとの間を貫通する第1流路112が形成される。
【0024】
また、ベースプレート120の少なくとも第1流路112に対応する位置には、貫通孔122が形成される。そして、かかる貫通孔122内には、埋込部材130が配置される。
【0025】
埋込部材130は、たとえば、酸化アルミニウム(Al)などの絶縁性材料からなる円柱状部材である。埋込部材130は、セラミック基板110の第2面110bに凹部113が設けられる場合、ベースプレート120の上面(つまり、第2面110bと接合される面)よりもセラミック基板110側に突出して凹部113に嵌合されてもよい。
【0026】
これにより、セラミック基板110の凹部113に対応する位置において、第1流路112の長さが短くなることから、第1流路112内でのプラズマの発生を抑制することができる。
【0027】
埋込部材130は、第1流路112側の端部に多孔体131を有する。このように、第1流路112側の端部に多孔体131が位置することによって、セラミック基板110の第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマが第1流路112を通過してベースプレート120側へ到達する不具合を低減することができる。
【0028】
多孔体131は、たとえば、アルミナ多孔体やその他のセラミック多孔体である。多孔体131は、気体(ガス)の流動が可能となる程度に空隙を有していればよい。多孔体131の空隙率は、たとえば、40%以上60%以下である。
【0029】
また、埋込部材130には、多孔体131を介して第1流路112と連通する第2流路132が形成される。第2流路132および第1流路112は、ベースプレート120の下面から多孔体131を経由してセラミック基板110の上面(第1面110a)まで連続するガス流路を形成する。
【0030】
第2流路132および第1流路112には、たとえば、ヘリウムなどの伝熱ガスを流してもよい。第2流路132および第1流路112に伝熱ガスを流すことによって、その伝熱ガスがセラミック基板110の第1面110aに載置される被処理体の裏面へ供給され、被処理体とセラミック基板110との間の熱伝達率が向上する。
【0031】
図3は、実施形態に係る埋込部材130およびその周辺の構成を示す拡大断面図であり、図4は、実施形態に係る埋込部材130を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。なお、図4およびこの図4と対応する以降の図面には、理解を容易にするため、セラミック基板110(図3参照)に形成される第1流路112の位置も示している。
【0032】
図3などに示すように、実施形態では、埋込部材130に形成される第2流路132が、第1部位132aおよび第2部位132bを有する。第1部位132aは、セラミック基板110の第1面110aに対して垂直な部位である。
【0033】
第2部位132bは、第1部位132aと交差する部位である。換言すると、第2部位132bは、第1部位132aとは異なる向きに延びる部位である。たとえば、実施形態では、第2部位132bが第1面110aに対して平行であり、かつ直線状である。
【0034】
また、実施形態では、2つの第1部位132aの間を1つの第2部位132bで接続して、第2流路132が形成される。これにより、第2流路132は、埋込部材130の内部において途中で屈曲した形状を有する。
【0035】
2つの第1部位132aのうち、多孔体131と直接繋がる第1部位132aは、図4に示すように、平面視で第1流路112と重なって位置する。一方、2つの第1部位132aのうち、多孔体131と直接繋がらない第1部位132aは、平面視で第1流路112と重ならないように位置する。
【0036】
ところで、たとえば、第1流路112および第2流路132が、セラミック基板110の上面(第1面110a)からベースプレート120の下面に至るまで直線状に位置する場合を仮定する。
【0037】
この場合、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、プラズマ中の荷電粒子が、高いエネルギーを保ったまま第1流路112に進入し、多孔体131や第2流路132へ至ることで、多孔体131や第2流路132において異常放電が発生する恐れがある。
【0038】
これに対して、実施形態では、図3などに示すように、第2流路132が屈曲する構造、つまりラビリンス構造を有する。これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合であっても、かかる荷電粒子を第2流路132の壁面に衝突させて失活させることができる。
【0039】
さらに、実施形態では、第1流路112および第2流路132が、セラミック基板110の第1面110aからベースプレート120の下面に至るまで直線状に位置する場合と比べて、流路全体の長さを長くすることができる。
【0040】
これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合であっても、長い流路の途中で失活させることができる。
【0041】
ここまで説明したように、実施形態では、第2流路132が屈曲する構造を有することで、第2流路132に進入した荷電粒子を容易に失活させることができるため、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を抑制することができる。
【0042】
実施形態に係る埋込部材130は、たとえば、第1部位132aに対応する貫通孔が形成される円筒状のグリーンシートと、第2部位132bに対応する横穴が形成される円筒状のグリーンシートとを積層して積層体を形成し、かかる積層体を焼成することで形成することができる。
【0043】
そして、実施形態では、第2部位132bを第1面110aに対して平行に配置することで、第2部位132bに対応する横穴が形成されるグリーンシートを簡便に形成できることから、埋込部材130を簡便に形成することができる。
【0044】
なお、実施形態に係る埋込部材130は、第1部位132aおよび第2部位132bが半円柱状に形成される半円柱状の成形体2つを並べて円柱状となるように圧着し、圧着された成形体を焼成することで形成してもよい。
【0045】
また、実施形態に係る埋込部材130は、第1部位132aおよび第2部位132bが内部に形成される円柱状の成形体を3Dプリンタで作製し、かかる成形体を焼成することで形成してもよい。
【0046】
<変形例1>
つづいて、実施形態の各種変形例について、図5図14を参照しながら説明する。図5は、実施形態の変形例1に係る埋込部材130およびその周辺の構成を示す拡大断面図であり、図6は、実施形態の変形例1に係る埋込部材130を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
【0047】
図5などに示すように、変形例1に係る試料保持具100では、第2流路132の構成が上述の実施形態と異なる。具体的には、変形例1では、第2流路132の第2部位132bが、第1部位132aおよび第1面110aに対して傾いて位置する。
【0048】
これによっても、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、かかる荷電粒子を第2流路132の壁面に衝突させて失活させることができる。
【0049】
また、変形例1では、プラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合であっても、長い流路の途中で失活させることができる。したがって、変形例1によれば、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を抑制することができる。
【0050】
<変形例2>
図7は、実施形態の変形例2に係る埋込部材130およびその周辺の構成を示す拡大断面図であり、図8は、実施形態の変形例2に係る埋込部材130を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。図7に示すように、この変形例2では、第2流路132が3つの第1部位132aと、2つの第2部位132bとを有する。
【0051】
3つの第1部位132aのうち、多孔体131と直接繋がる第1部位132aおよび多孔体131から最も離れた第1部位132aは、図8に示すように、平面視で第1流路112と重なって位置する。一方、3つの第1部位132aのうち、中間に位置する第1部位132aは、平面視で第1流路112と重ならないように位置する。
【0052】
そして、変形例2では、3つの第1部位132aの間を2つの第2部位132bで接続して、第2流路132が形成される。これにより、変形例2の第2流路132は、途中で複数の箇所が屈曲した形状を有する。
【0053】
これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、かかる荷電粒子を第2流路132の壁面に衝突させて効果的に失活させることができる。
【0054】
さらに、変形例2では、第1流路112および第2流路132が、セラミック基板110の第1面110aからベースプレート120の下面に至るまで直線状に位置する場合と比べて、流路全体の長さをさらに長くすることができる。
【0055】
これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、さらに長い流路の途中で効果的に失活させることができる。
【0056】
このように、変形例2では、第2流路132が複数箇所において屈曲する構造を有することで、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0057】
なお、図7の例では、第2流路132が3つの第1部位132aと2つの第2部位132bとを有する場合について示したが、本開示はかかる例に限られず、第2流路132が4つ以上の第1部位132aと3つ以上の第2部位132bとを有していてもよい。
【0058】
<変形例3>
図9は、実施形態の変形例3に係る埋込部材130およびその周辺の構成を示す拡大断面図であり、図10は、実施形態の変形例3に係る埋込部材130を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
【0059】
図9などに示すように、この変形例3では、2つの第1部位132aの両方が、平面視で第1流路112と重ならないように位置する。たとえば、一方の第1部位132aが多孔体131の周縁部に近接して位置し、他方の第1部位132aが一方の第1部位132aと反対側の多孔体131の周縁部に近接して位置する。
【0060】
これにより、変形例3では、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、かかる荷電粒子を多孔体131における空隙の壁面や第2流路132の壁面に衝突させて効果的に失活させることができる。
【0061】
さらに、変形例3では、第1流路112および第2流路132が、セラミック基板110の第1面110aからベースプレート120の下面に至るまで直線状に位置する場合と比べて、流路全体の長さをさらに長くすることができる。
【0062】
これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、さらに長い流路の途中で効果的に失活させることができる。
【0063】
このように、変形例3では、第2流路132の第1部位132aを平面視で第1流路112と重ならないように配置することで、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0064】
<変形例4>
図11は、実施形態の変形例4に係る埋込部材130およびその周辺の構成を示す拡大断面図であり、図12は、実施形態の変形例4に係る埋込部材130を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。図12に示すように、この変形例4では、第2部位132bが平面視で屈曲している。
【0065】
これによって、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、かかる荷電粒子を第2流路132の壁面に衝突させて効果的に失活させることができる。
【0066】
さらに、変形例4では、第1流路112および第2流路132が、セラミック基板110の第1面110aからベースプレート120の下面に至るまで直線状に位置する場合と比べて、流路全体の長さをさらに長くすることができる。
【0067】
これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、さらに長い流路の途中で効果的に失活させることができる。
【0068】
このように、変形例4では、第2部位132bがさらに屈曲する構造を有することで、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0069】
<変形例5>
図13は、実施形態の変形例5に係る埋込部材130およびその周辺の構成を示す拡大断面図であり、図14は、実施形態の変形例5に係る埋込部材130を上方向から見た構成の一例を示す平面図である。
【0070】
図13に示すように、この変形例5では、第2部位132bが側面視で屈曲している。また、変形例5では、第2部位132bが、第1面110aから離れる方向(図13では下向き)に媒体が通流する部分を有する。
【0071】
これによって、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、かかる荷電粒子を第2流路の壁面に衝突させて効果的に失活させることができる。
【0072】
さらに、変形例5では、第1流路112および第2流路132が、セラミック基板110の第1面110aからベースプレート120の下面に至るまで直線状に位置する場合と比べて、流路全体の長さをさらに長くすることができる。
【0073】
これにより、第1面110aよりも上方においてプラズマを発生させた際に、そのプラズマ中の荷電粒子が第1流路112に進入した場合に、さらに長い流路の途中で効果的に失活させることができる。
【0074】
このように、変形例5では、第1面110aから離れる方向に媒体を通流させることとで、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0075】
実施形態に係る試料保持具100は、セラミック基板110と、ベースプレート120と、埋込部材130と、を備える。セラミック基板110は、被処理体が載置される第1面110aと、第1面110aの反対に位置する第2面110bと、第1面110aと第2面110bとの間を貫通する第1流路112と、を有する。ベースプレート120は、セラミック基板110の第2面110bに接合され、少なくとも第1流路112に対応する位置に貫通孔122を有する。埋込部材130は、貫通孔122内における第1流路112側の端部に多孔体131を有しているとともに、多孔体131を介して第1流路112と連通する第2流路132を有する。また、第2流路132は、第1面110aに対して垂直である第1部位132aと、第1部位132aと交差する第2部位132bと、を有する。これにより、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を抑制することができる。
【0076】
また、実施形態に係る試料保持具100において、第2部位132bは、第1面110aに対して平行である。これにより、埋込部材130を簡便に形成することができる。
【0077】
また、実施形態に係る試料保持具100において、第2流路132は、複数の第2部位132bを有する。これにより、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0078】
また、実施形態に係る試料保持具100において、第1流路112と、第2流路132の第1部位132aとは、平面視で互いに重ならない位置に位置する。これにより、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0079】
また、実施形態に係る試料保持具100において、第2部位132bは、平面視で屈曲している。これにより、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0080】
また、実施形態に係る試料保持具100において、第2部位132bは、第1面110aから離れる方向に媒体が通流する部分を有する。これにより、第1流路112および第2流路132での異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、多孔体131が埋込部材130に設けられる例について示したが、本開示はかかる例に限られず、多孔体131がセラミック基板110に設けられていてもよい。
【0082】
さらなる効果や他の態様は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
100 試料保持具
110 セラミック基板
110a 第1面
110b 第2面
112 第1流路
120 ベースプレート
122 貫通孔
130 埋込部材
131 多孔体
132 第2流路
132a 第1部位
132b 第2部位
図1
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