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特開2023-110814論文マップ作成方法、論文マップ作成装置及び論文マップ作成装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110814
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】論文マップ作成方法、論文マップ作成装置及び論文マップ作成装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20230802BHJP
   G06F 40/279 20200101ALI20230802BHJP
   G06F 16/332 20190101ALI20230802BHJP
   G06F 16/338 20190101ALI20230802BHJP
【FI】
G06Q50/20
G06F40/279
G06F16/332
G06F16/338
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053015
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2022011566の分割
【原出願日】2022-01-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】508095429
【氏名又は名称】廣岡 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 圭
【テーマコード(参考)】
5B091
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B091AA15
5B091CA01
5B091CC04
5B175DA01
5B175FA01
5B175JB02
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】論文同士の相互関係を視覚を通じて把握する論文マップを簡単に得ることができる論文マップ作成方法、論文マップ作成装置及び論文マップ作成装置用プログラムを提供する。
【解決手段】記憶部17と処理部18とを準備する。記憶部17は、複数の概念レベルC1~C3、それらに属する登録用語等を記憶する。処理部18は、その各要素25~29により、(a)取り込んだ論文から特徴用語を抽出し、その特徴用語が複数の概念レベルC1~C3のいずれに属するかを判断させる、(b)特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルCbの領域に当該論文に関するノードNを組み込ませる、処理を順次行う。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
論文の情報を処理装置に取り込ませ、該処理装置の処理を利用することにより、論文同士の相互関係を体系的に表示する論文マップを作成する論文マップ作成方法であって、
記憶装置として、予め、対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルを順次設定して該概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語を登録用語として記憶すると共に、該各概念レベルを、前記対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するベースマップを記憶し、さらには、その後のベースマップの変更内容を記憶するものを用意し、
その上で、前記処理装置により下記(a)~(b)の処理
(a)前記取り込まれた論文の情報から特徴用語を抽出し、該特徴用語と前記記憶装置に記憶された登録用語との同一性を照合することにより、該特徴用語が、該記憶装置が記憶する複数の概念レベルのいずれに属するかを判断させる、
(b)前記特徴用語と前記登録用語との同一性の照合結果に基づき、該特徴用語が属する概念レベルが存在するときには、前記ベースマップに、該特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域において、前記取り込まれた論文に関する論文位置表示を組み込ませる、
を順次、行わせる、
ことを特徴とする論文マップ作成方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記記憶装置が、前記ベースマップとして、前記複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側において暫定概念レベルの領域を配置するものを記憶しており、
前記特徴用語と前記登録用語との同一性の照合結果に基づき、該特徴用語として、前記複数の概念レベルのいずれにも属しないものがあると判断されたときには、前記処理装置により、該特徴用語を前記暫定概念レベルに属するものとすると共に、該特徴用語が抽出された論文に関する論文位置表示を前記ベースマップにおける暫定概念レベルの領域に表示させるようにする、
ことを特徴とする論文マップ作成方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記特徴用語が前記暫定概念レベルに属することになったと判断される度に、その特徴用語とその数を累積的に前記記憶装置に保存させ、
前記保存された特徴用語の累積数が所定以上になったときには、前記記憶装置において、前記複数の概念レベルに前記暫定概念レベルを該複数の概念レベルの最下位概念レベルとして組み込むと共に、該保存された特徴用語を登録用語として該複数の概念レベルの最下位概念レベルに属するものとし、しかも、前記ベースマップにおいて、該複数の概念レベルに組み込まれた最下位概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域を設定する、
ことを特徴とする論文マップ作成方法。
【請求項4】
論文の情報を取り込む処理装置が備えられ、該処理装置を利用することによって、取り込まれた論文の情報に基づき、論文同士の相互関係を体系的に表示する論文マップを作成する論文マップ作成装置であって、
予め、対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルを順次設定して該概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語を登録用語として記憶すると共に、該各概念レベルを、前記対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するためのベースマップデータを記憶し、さらには、その後のベースマップデータの変更内容を記憶する記憶装置が、備えられ、
前記処理装置に、
前記取り込んだ論文の情報から特徴用語を抽出する特徴用語抽出部と、
前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語と前記記憶装置の登録用語との同一性を照合することにより、該特徴用語が前記複数の概念レベルのいずれに属するかを判断する第1照合部と、
前記第1照合部の結果に基づき、前記特徴用語が属する概念レベルの存在を判断したとき、前記ベースマップデータに、前記特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域において、前記取り込まれた論文に関する論文位置表示情報を組み込む第1情報組み込み部と、
が備えられている、
ことを特徴とする論文マップ作成装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記記憶装置が、前記ベースマップデータとして、前記複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側において暫定概念レベルの領域を配置するものを記憶しており、
前記第1情報組み込み部は、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語として、前記複数の概念レベルのいずれにも属しないものがあると判断したときには、該特徴用語を前記暫定概念レベルに属するものとすると共に、前記ベースマップデータにおいて、前記論文位置表示情報を前記暫定概念レベルの領域に組み込むように設定されている、
ことを特徴とする論文マップ作成装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語が、前記暫定概念レベルに属することになったと判断される度に、その特徴用語とその数を累積的に前記記憶装置に保存させる保存処理部と、
前記記憶装置の記憶内容に基づき、前記保存された特徴用語の累積数が所定以上になったと判断したときに、前記記憶装置において、前記複数の概念レベルに前記暫定概念レベルを該複数の概念レベルの最下位概念レベルとして組み込むと共に、該保存された特徴用語を該複数の概念レベルの最下位概念レベルに属する登録用語として保存し、しかも、前記ベースマップにおいて、該複数の概念レベルに最下位概念レベルとして組み込まれた概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域を設定する更新処理部と、
が備えられている、
ことを特徴とする論文マップ作成装置。
【請求項7】
対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルを順次設定して該概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語を登録用語として記憶すると共に、該各概念レベルを、前記対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するためのベースマップデータを記憶し、さらには、その後のベースマップデータの変更内容を記憶する記憶装置が存在されていて、その存在の下で用いられる論文マップ作成装置用プログラムであって、
コンピュータを、
取り込んだ論文の情報から特徴用語を抽出する特徴用語抽出部、
前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語と前記記憶装置の登録用語との同一性を照合することにより、該特徴用語が前記複数の概念レベルのいずれに属するかを判断する第1照合部、
前記第1照合部の結果に基づき、前記特徴用語が属する概念レベルの存在を判断したとき、前記ベースマップデータに、前記特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域において、前記取り込んだ論文に関する論文位置表示情報を組み込む第1情報組み込み部、
として機能させる、
ことを特徴とする論文マップ作成装置用プログラム。
【請求項8】
請求項7において、
前記記憶装置が、前記ベースマップデータとして、前記複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側において暫定概念レベルの領域を配置するものを記憶している状態下で、
前記第1情報組み込み部としての機能が、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語として、前記複数の概念レベルのいずれにも属しないものがあると判断したときには、該特徴用語を前記暫定概念レベルに属させるものとすると共に、前記ベースマップデータにおいて、前記論文位置表示情報を前記暫定概念レベルの領域に組み込ませるように設定されている、
ことを特徴とする論文マップ作成装置用プログラム。
【請求項9】
請求項8において、
コンピュータを、保存処理部、更新処理部としても機能させ、
前記保存処理部としての機能が、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語が、前記暫定概念レベルに属することになったと判断される度に、その特徴用語とその数を累積的に前記記憶装置に保存させるように設定され、
前記更新処理部としての機能が、前記記憶装置の記憶内容に基づき、前記保存された特徴用語の累積数が所定以上になったと判断したときに、前記記憶装置において、前記複数の概念レベルに前記暫定概念レベルを該複数の概念レベルの最下位概念レベルとして組み込ませる共に、該保存された特徴用語を該複数の概念レベルの最下位概念レベルに属する登録用語として保存させ、しかも、前記ベースマップにおいて、該複数の概念レベルに最下位概念レベルとして組み込まれた概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域を設定させるように設定されている、
ことを特徴とする論文マップ作成装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研究支援を行う論文マップのための論文マップ作成方法、論文マップ作成装置及び論文マップ作成装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複雑ネットワークが着目されている。このネットワークの研究対象は、社会や、生態系、インターネット等、非常に多様となっており、そこでは、グラフ理論の下、物事のつながりが頂点(ノード)と辺(エッジ)とで表される。例えば、特許文献1には、複数のノードと、ノード間の関係を示すエッジとからなるグラフの自動レイアウト方法が提案されている。
【0003】
ところで、種々の研究を進めるに当たり、その研究に関連する関連先行論文を調べ、その相互の関係が明らかとなれば、重複研究を避けて研究の進むべき方向を見つけることができ、研究を効率的に独自性のある方向に進めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-30799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、研究を行うに当たって、関連先行論文を調べ、その相互の関係を明らかにするためには、関連先行論文を見つけ出し、その関連先行論文を読み込んでその内容を把握しなければならず、それら一連の行動、対応には、かなりの時間を要し、その負担は重い。しかも、関連先行論文の相互の関係を視覚を通じて把握できるようにした具体的手段は未だ存在しない。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、論文同士の相互関係を視覚を通じて把握できる論文マップを簡単に得ることができる論文マップ作成方法を提供することにある。第2の目的は、上記論文マップ作成方法を実施する論文マップ作成装置を提供することにある。第3の目的は、前記論文マップ作成装置に用いる好適な論文マップ作成装置用プログラムを提供することにある。
【0007】
前記第1目的を達成するため本発明にあっては、次の(1)~(3)の構成とされている。
【0008】
(1)論文の情報を処理装置に取り込ませ、該処理装置の処理を利用することにより、論文同士の相互関係を体系的に表示する論文マップを作成する論文マップ作成方法であって、
記憶装置として、予め、対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルを順次設定して該概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語を登録用語として記憶すると共に、該各概念レベルを、前記対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するベースマップを記憶し、さらには、その後のベースマップの変更内容を記憶するものを用意し、
その上で、前記処理装置により下記(a)~(b)の処理
(a)前記取り込まれた論文の情報から特徴用語を抽出し、該特徴用語と前記記憶装置に記憶された登録用語との同一性を照合することにより、該特徴用語が、該記憶装置が記憶する複数の概念レベルのいずれに属するかを判断させる、
(b)前記特徴用語と前記登録用語との同一性の照合結果に基づき、該特徴用語が属する概念レベルが存在するときには、前記ベースマップに、該特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域において、前記取り込まれた論文に関する論文位置表示を組み込ませる、
を順次、行わせる構成とされている。
【0009】
この構成においては、知見、研究内容等の進展が、抽象的なものから具体化する(明らかになる)方向にあり、最新内容が概念的に最下位に位置することが多い傾向にあることに着目し、取り込むべき論文の概念高さ(上位、下位)の相対的位置を視認化できるようにすべく、記憶装置が用意され、その記憶装置に、予め、対象分野毎に概念高さが異なる複数の概念レベルを順に設定してその各概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語が登録用語として記憶されると共に、その複数の各概念レベルを、対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するベースマップが記憶され、さらには、その後のベースマップの変更内容(更新内容)が記憶されることになっている。
【0010】
その上で、論文の情報が処理装置に順次取り込まれ、その処理装置の処理を利用することにより、その取り込まれた各論文の情報が反映された論文マップが作成される。この場合、論文マップには、ベースマップ上において、各論文につき、論文の相対的な概念高さ(上位、下位)位置を示す論文位置表示が組み込まれることになり、その組み込みにおいて、論文の情報から抽出した特徴用語(複数を含む)と各概念レベルに属する登録用語とを照合し、特徴用語が複数の概念レベルのいずれかに属するときには、その特徴用語が属する概念レベルのうちの最下位の概念レベルの領域(ベースマップ)に論文位置表示が組み込まれる。
【0011】
これにより、当該方法を用いれば、各論文を読み込まなくても、その各論文の情報を取り込みさえすれば、その度に論文位置表示が新たに組み込まれた最新の論文マップが作成(更新)されることになり、最新の論文マップを簡単に得ることができる。この結果、当該論文マップを利用することにより、論文同士の相互関係を視覚を通じて把握することができ、研究を独自性のある方向に進めることができる。ここで、論文マップの「作成」には、ベースマップ上に論文位置表示を初めて組み込んだ場合に限らず、その後の別の論文情報の取り込みにより、その論文に関する論文位置表示がこれまでの論文マップに新たに組み込まれる場合(更新)、論文位置表示の変更操作により論文マップ上の論文位置表示が変更されることになった場合等も含まれる。
【0012】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記記憶装置が、前記ベースマップとして、前記複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側において暫定概念レベルの領域を配置するものを記憶しており、
前記特徴用語と前記登録用語との同一性の照合結果に基づき、該特徴用語として、前記複数の概念レベルのいずれにも属しないものがあると判断されたときには、前記処理装置により、該特徴用語を前記暫定概念レベルに属するものとすると共に、該特徴用語が抽出された論文に関する論文位置表示を前記ベースマップにおける暫定概念レベルの領域に表示させるようにする構成とされている。
【0013】
この構成においては、特徴用語抽出手段により抽出された特徴用語として、複数の概念レベルのいずれにも属しないものが、当該対象分野において最新の内容である可能性が高いことに着目し、そのような特徴用語を属すべき仮の概念レベルとして暫定概念レベルを設定すると共に、その暫定概念レベルの領域を複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側に配置し、その暫定概念レベルの領域に当該論文の論文位置表示を表示している。これにより、特徴用語として、複数の概念レベルのいずれにも属しないものが存在しても、その存在の意味を、複数の概念レベルの領域を最上位要素表示から離れるに従って下位としている傾向(意味)に沿わせることができ、その暫定概念レベルの領域に表示される論文位置表示の配置上の意味を視覚を通じて的確に認識できる。
【0014】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記特徴用語が前記暫定概念レベルに属することになったと判断される度に、その特徴用語とその数を累積的に前記記憶装置に保存させ、
前記保存された特徴用語の累積数が所定以上になったときには、前記記憶装置において、前記複数の概念レベルに前記暫定概念レベルを該複数の概念レベルの最下位概念レベルとして組み込むと共に、該保存された特徴用語を登録用語として該複数の概念レベルの最下位概念レベルに属するものとし、しかも、前記ベースマップにおいて、該複数の概念レベルに組み込まれた最下位概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域を設定する構成とされている。
【0015】
この構成によれば、暫定概念レベルに属すると判断された特徴用語の累積数が所定以上になったときには、これまでの暫定概念レベルが複数の通常の概念レベルに最下位概念レベルとして組み込まれ、ベースマップについて、その最下位の概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域が設定されることから、研究の進展に伴う論文数の増加に伴い、論文マップが示す範囲を拡張(拡張更新)できることになり、研究の進展、時間の経過等にも対応できる論文マップにすることができる。
【0016】
前記第2の目的を達成するため本発明にあっては、次の(4)~(6)の構成とされている。
【0017】
(4)論文の情報を取り込む処理装置が備えられ、該処理装置を利用することによって、取り込まれた論文の情報に基づき、論文同士の相互関係を体系的に表示する論文マップを作成する論文マップ作成装置であって、
予め、対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルを順次設定して該概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語を登録用語として記憶すると共に、該各概念レベルを、前記対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するためのベースマップデータを記憶し、さらには、その後のベースマップデータの変更内容を記憶する記憶装置が、備えられ、
前記処理装置に、
前記取り込んだ論文の情報から特徴用語を抽出する特徴用語抽出部と、
前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語と前記記憶装置の登録用語との同一性を照合することにより、該特徴用語が前記複数の概念レベルのいずれに属するかを判断する第1照合部と、
前記第1照合部の結果に基づき、前記特徴用語が属する概念レベルの存在を判断したとき、前記ベースマップデータに、前記特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域において、前記取り込まれた論文に関する論文位置表示情報を組み込む第1情報組み込み部と、
が備えられている構成とされている。
【0018】
この構成によれば、前述の(1)の方法を使用する論文マップ作成装置を具体的に提供できる。
【0019】
(5)前記(4)の構成の下で、
前記記憶装置が、前記ベースマップデータとして、前記複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側において暫定概念レベルの領域を配置するものを記憶しており、
前記第1情報組み込み部は、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語として、前記複数の概念レベルのいずれにも属しないものがあると判断したときには、該特徴用語を前記暫定概念レベルに属するものとすると共に、前記ベースマップデータにおいて、前記論文位置表示情報を前記暫定概念レベルの領域に組み込むように設定されている構成とされている。
【0020】
この構成によれば、前述の(2)の方法を使用する論文マップ作成装置を具体的に提供できる。
【0021】
(6)前記(5)の構成の下で、
前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語が、前記暫定概念レベルに属することになったと判断される度に、その特徴用語とその数を累積的に前記記憶装置に保存させる保存処理部と、
前記記憶装置の記憶内容に基づき、前記保存された特徴用語の累積数が所定以上になったと判断したときに、前記記憶装置において、前記複数の概念レベルに前記暫定概念レベルを該複数の概念レベルの最下位概念レベルとして組み込むと共に、該保存された特徴用語を該複数の概念レベルの最下位概念レベルに属する登録用語として保存し、しかも、前記ベースマップにおいて、該複数の概念レベルに最下位概念レベルとして組み込まれた概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域を設定する更新処理部と、
が備えられている構成とされている。
【0022】
この構成によれば、前述の(3)の方法を使用する論文マップ作成装置を具体的に提供できる。
【0023】
前記第3の目的を達成するため本発明にあっては、次の(7)~(9)の構成とされている。
【0024】
(7)対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルを順次設定して該概念レベル毎にその各概念レベルに応じた用語を登録用語として記憶すると共に、該各概念レベルを、前記対象分野を示す最上位要素表示から離れるに従って下位となる領域として表示するためのベースマップデータを記憶し、さらには、その後のベースマップデータの変更内容を記憶する記憶装置が存在されていて、その存在の下で用いられる論文マップ作成装置用プログラムであって、
コンピュータを、
取り込んだ論文の情報から特徴用語を抽出する特徴用語抽出部、
前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語と前記記憶装置の登録用語との同一性を照合することにより、該特徴用語が前記複数の概念レベルのいずれに属するかを判断する第1照合部、
前記第1照合部の結果に基づき、前記特徴用語が属する概念レベルの存在を判断したとき、前記ベースマップデータに、前記特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域において、前記取り込んだ論文に関する論文位置表示情報を組み込む第1情報組み込み部、
として機能させる構成とされている。
【0025】
この構成によれば、前述の(4)の論文マップ作成装置に用いる好適な論文マップ作成装置用プログラムを提供できる。
【0026】
(8)前記(7)の構成の下で、
前記記憶装置が、前記ベースマップデータとして、前記複数の概念レベルのうちの最下位概念レベルの領域外側において暫定概念レベルの領域を配置するものを記憶している状態下で、
前記第1情報組み込み部としての機能が、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語抽出部が抽出した特徴用語として、前記複数の概念レベルのいずれにも属しないものがあると判断したときには、該特徴用語を前記暫定概念レベルに属させるものとすると共に、前記ベースマップデータにおいて、前記論文位置表示情報を前記暫定概念レベルの領域に組み込ませるように設定されている構成とされている。
【0027】
この構成によれば、前述の(5)の論文マップ作成装置に用いる好適な論文マップ作成装置用プログラムを提供できる。
【0028】
(9)前記(8)の構成の下で、
コンピュータを、保存処理部、更新処理部としても機能させ、
前記保存処理部としての機能が、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記特徴用語が、前記暫定概念レベルに属することになったと判断される度に、その特徴用語とその数を累積的に前記記憶装置に保存させるように設定され、
前記更新処理部としての機能が、前記記憶装置の記憶内容に基づき、前記保存された特徴用語の累積数が所定以上になったと判断したときに、前記記憶装置において、前記複数の概念レベルに前記暫定概念レベルを該複数の概念レベルの最下位概念レベルとして組み込ませると共に、該保存された特徴用語を該複数の概念レベルの最下位概念レベルに属する登録用語として保存させ、しかも、前記ベースマップにおいて、該複数の概念レベルに最下位概念レベルとして組み込まれた概念レベルの領域外側に新たな暫定概念レベルの領域を設定させるように設定されている構成とされている。
【0029】
この構成によれば、前述の(6)の論文マップ作成装置に用いる好適な論文マップ作成装置用プログラムを提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、論文同士の相互関係を視覚を通じて把握できる論文マップを簡単に得ることができる論文マップ作成方法を提供できる。また、上記論文マップ作成方法を実施する論文マップ作成装置を具体的に提供できる。さらに、上記論文マップ作成装置に用いる好適な論文マップ作成装置用プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る論文マップの一例を示す説明図。
図2図1の論文マップのベースとなるベースマップを示す説明図。
図3】実施形態に係る論文マップ作成装置(論文マップ作成システム)を示す全体構成図。
図4】管理サーバにおけるデータベース部において、対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて3つの概念レベルC1,C2,C3を設定し、その概念レベルC1,C2,C3毎に登録用語を保存している状態の一例を示す説明図。
図5】ユーザ端末及び管理サーバの処理内容を説明する説明図。
図6】実施形態に係る論文マップでの処理例を説明する説明図。
図7】管理サーバからユーザ端末に配信された初期画面情報に基づき表示された初期画面を示す説明図。
図8】論文マップでの論文1の処理例を説明する説明図。
図9】論文マップでの論文3,4の処理例を説明する説明図。
図10】論文マップでの論文1に対する論文2の処理例を説明する説明図。
図11】論文マップでの論文5のノードの手動修正を説明する説明図。
図12】論文マップでの論文7のエッジの手動修正を説明する説明図。
図13】論文マップをツリー構造に変換した状態を説明する説明図。
図14】ユーザ端末における処理内容を示すフローチャート。
図15】サーバにおける処理内容を示すフローチャート。
図16図15の続きを示すフローチャート。
図17図16の続きを示すフローチャート。
図18】ユーザ端末での手動修正に伴う、管理サーバにおける処理内容を示すフローチャート。
図19】他の実施形態に係る論文マップ作成装置(ユーザ端末)を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[論文マップ]
先ず、論文マップ作成方法、その方法を使用する論文マップ作成装置1により作成される論文マップについて説明する。図1は、実施形態に係る論文マップ6の一例を示す。論文マップ6は、論文同士の相互関係を視覚を通じて直感的に把握できるようにしたものであり、その論文マップ6は、後述の論文マップ作成装置1に論文の情報が入力される度にその論文マップ作成装置1によってその論文の情報を反映させた最新のものが作成(更新)され、その最新の論文マップ6が論文マップ作成装置1の表示部に表示されることになる。
【0033】
前記論文マップ6は、図1に示すように、ベースマップ13上において、各論文毎に、その論文の位置を円をもって示す論文位置表示としてのノードN(ノードの代表符号)と、ノードN同士を結線する結線表示としてのエッジE(エッジの代表符号)とが表示される構成となっている。
【0034】
前記ベースマップは、図2に示すように、対象分野を示す最上位要素表示としてのルートRを中心として、複数の概念レベルC1~Cn、暫定概念レベルCn+1の領域が同心状に順次設定されている。複数の概念レベルC1~Cnは、当該対象分野についての内容を上位概念から下位概念に向けて分けたものであり、その複数の各概念レベルC1~Cnの各領域は、ルートRから離れるに従って下位概念のものとされていて、その各領域のいずれかにノードNを示すことにより当該論文が各概念レベルC1~Cnのいずれに属するかが視認できることになっている。暫定概念レベルCn+1は、論文が複数の概念レベルC1~Cnのいずれにも属さないと判断されるときに用いられるものであり、その暫定概念レベルCn+1の領域は、複数の概念レベルC1~Cnのうちの最下位の概念レベルCn領域のさらに外側(下位側)に配置される。本実施形態においては、複数の概念レベルC1~Cnとして、上位概念から下位概念に向けて3つの概念レベルC1,C2,C3が設定され、暫定概念レベルCn+1として暫定概念レベルC4が設定されている。ベースマップ13における複数の概念レベルC1~C3、暫定概念レベルC4の各領域が、ルートRから離れるに従って下位概念のものとされているのは、知見、研究内容等の進展が、順次、抽象的なものから具体化する(明らかになる)方向にあり、最新内容が概念的に最下位になることが多い傾向にあることに着目し、上記のようなベースマップ13とすることが概念の高さ(上位、下位)を視覚を通じて捉え易いと考えたからである。
【0035】
尚、図2のベースマップ13において、符号L1~Lnは仮想上の表示予定ラインであり、その表示予定ラインL1~Ln毎に、その各表示予定ラインL1~Lnに沿って各論文の情報(ノードN)が表示されることになる。この各表示予定ラインL1~Lnは、視認性の観点から、取り込む論文数に応じて増減されることになり、また、各論文のノードN同士の処理に伴い、必要があるときには、その配置位置は変更(隣合うように配置変更)されることになる。
【0036】
前記ノードNは、そのノードに関する論文の情報(内容)に応じて、ベースマップ13上のいずれかの概念レベルC1~C4の領域に表示されるもの(頂点)である。これにより、そのノードNに関する論文について、他の論文に対する概念の高さ(上位、下位)の相対的位置関係を視覚を通じて把握できることになる。前記エッジEは、論文間に関連性があるときに、その論文に関するノードN同士(最上位概念表示としてのルートRを含む)を結線するもの(辺)である。これにより、論文同士の相互の関連性、つながりを視覚を通じて把握できることになる。
【0037】
この結果、論文マップ6上の各ノードN、各エッジEを視覚を通じて把握することにより、論文の相互関係を直感的に捉えることができ、ユーザは、研究を独自性がある方向に進めることができる。また、ユーザの研究内容をノードN、エッジEにて示すことにより、関連論文に対するユーザの研究内容の位置を客観的に把握することもできる。
【0038】
[論文マップ作成システム1A(論文マップ作成装置1)の概要]
次に、前記論文マップ6を作成する論文マップ作成装置1について説明する。本実施形態においては、論文マップ作成装置1は、論文マップ作成システム1Aにより構成されており、その論文マップ作成システム1Aは、図3に示すように、端末装置としてのユーザ端末2と、そのユーザ端末2がインターネット等の通信ネットワーク3を介して通信可能とされる管理サーバ4とを備えている。これにより、この論文マップ作成システム1Aにおいては、ユーザ端末2から管理サーバ4への論文情報等の送信に基づき、管理サーバ4は、所定の処理を行って論文マップ情報(マップデータ)を作成又は更新し、その論文マップ情報を配信情報としてユーザ端末2に配信する。この結果、ユーザ端末2の表示部に論文マップ(グラフ)6が、図1(論文マップ6の一例)に示すように表示され、その論文マップ6において、取り込んだ各論文に関するノード(論文位置表示)Nと、エッジ(結線表示)Eとが表示される。
【0039】
[ユーザ端末2]
前記ユーザ端末2には、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末装置、さらには、パーソナルコンピュータ(PC)等の通信可能な端末装置を用いることができる。このユーザ端末2には、図3に示すように、管理サーバ4と通信する通信部7と、管理サーバ4からの配信情報等を表示する表示部8と、論文情報等の情報を取り込む情報入力部(例えばスキャナー)9と、要求操作を入力する操作入力部(キーボード)10と、記憶部11と、演算制御部12とが備えられている。
【0040】
ユーザ端末2の記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成され、その記憶部11には、ユーザ端末2を作動させるために必要な基本的なプログラムの他に、各論文の相対位置を示すノードN、ノードN間を結ぶエッジEをベースマップ13(図1参照)上に表示させるための表示プログラム(配信情報表示プログラム)、ノードNの位置及びエッジEの位置、配置姿勢を変更操作(例えばドラッグ操作)により変更させる変更プログラム、設定情報等が格納されている。これら各種プログラム等は、必要に応じて、演算制御部12に読み出され、また、必要な情報(情報入力部9及び入力操作部10からの入力情報、管理サーバ4からの配信情報等)は記憶部11に適宜、記憶される。
【0041】
前記演算制御部12は、図3に示すように、記憶部11から読み出されたプログラムに基づき、表示処理部14、変更処理部15等として機能する。具体的には、表示処理部14は、管理サーバ4から配信情報としての論文マップ情報を受け取ることにより、ノードN、エッジEがベースマップ13上に配置された論文マップ6を表示部8に表示させる機能を発揮し、変更処理部15は、表示部8に表示されるベースマップ13上のノードNの配置位置、エッジEの配置位置、配置姿勢をドラッグ等の変更操作により変更させる機能を発揮する。
【0042】
[管理サーバ4]
前記管理サーバ4には、単一のサーバ又はクラウドサーバのいずれかを用いることができる。この管理サーバ4には、図3に示すように、ユーザ端末2との間で通信を行う通信部16と、ユーザ端末2から通信部等3,7,16を介して受信された各種情報(論文情報等)を保存すると共に予め準備された記憶情報を保存する記憶装置としての記憶部17と、ユーザ端末2から受けた論文情報に関する分析等の各種処理を実行する処理装置としての処理部(演算制御部)18と、が備えられている。
【0043】
具体的に説明する。記憶部17は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されている。その記憶部17には、必要な情報を格納するために、設定情報保存部19、データベース部20、マップデータ保存部21、仮保存部22、論文情報保存部23、プログラム保存部24等が設けられている。
【0044】
設定情報保存部19には、定数、固定値、ユーザ端末2においてベースマップ13として表示されるベースマップデータ等の設定情報が格納されている。データベース部20には、対象分野毎に上位概念から下位概念に向けて複数の概念レベルC1~Cnが順次設定されてその複数の各概念レベルC1~Cn毎にその各概念レベルC1~Cnに応じた多くの用語が登録用語として格納されている。本実施形態においては、複数の概念レベルC1~Cnとして、当初、概念レベルC1,C2,C3の3つが順次設定されてその3つの各概念レベルC1,C2,C3毎にその各概念レベルC1,C2,C3に応じた多くの用語が登録用語として格納されている。図4は、化学一般を対象分野として、上位概念から下位概念に向けて3つの概念レベルC1,C2,C3を設定し、その概念レベルC1,C2,C3毎に登録用語を保存している一例を示している。前記設定情報保存部19には、上述の通り、ベースマップデータが保存されている。ベースマップデータは、ユーザ端末2において、図2に示すようにベースマップ13として表示されるが、そのベースマップ13は、図2を用いて前述した如く、前記複数の各概念レベルC1,C2,C3の各領域が、対象分野を示す最上位要素表示としてのルートRから離れるに従って下位概念のものとなるように表示され(R→C1→C2→C3)、その複数の概念レベルC1,C2,C3のうちの最下位概念レベルC3のさらに外側(下位側)に暫定概念レベルC4の領域が表示されることになる。この各領域の境界線は、本実施形態においては、径が異なる同心状の円をもって示される。
【0045】
マップデータ保存部21には、処理部18による処理に基づき、ベースマップデータに情報が組み込まれたものがマップデータとして保存される。このマップデータにおいては、新たな情報が組み込まれ又は組み込まれていた情報が変更された場合に、その度に、その変更等されたマップデータは当該マップデータとして更新保存される。仮保存部22には、後述するように、論文情報から抽出された特徴用語が複数の概念レベルC1,C2,C3のいずれにも属さず暫定概念レベルC4に属すると判断されたときに、その特徴用語がその数と共に累積的に仮保存される。論文情報保存部23には、ユーザ端末2から受け取った論文の情報が蓄積保存される。プログラム保存部24には、必要なプログラムを保存するべく、基本プログラムの他に、処理部18での各種処理を行うものが格納されている。
【0046】
前記処理部(演算制御部)18は、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されて、記憶部17から読み出されたプログラムに基づき、図3に示すように、特徴用語抽出部25、第1照合部26、第1情報組み込み部27、第2照合部28、第2情報組み込み部29、保存処理部30、更新処理部40等として機能する。これらの詳細については、後述する。
【0047】
[論文マップ作成システム1Aの全体処理概要]
次に、論文マップ作成システム1Aの全体処理について、図5図6に基づき説明する。
【0048】
(1)論文マップ作成システム1Aにおいては、ユーザ端末2による管理サーバ4に対するアクセスを条件として、管理サーバ4が初期画面情報をユーザ端末2に送信することになり、ユーザは、その初期画面情報を利用して、対象分野及び論文の各情報を管理サーバ4に送信する。初期画面情報は、ユーザ端末2の表示部8において、図7に示すように、初期画面31として表示されることになり、この初期画面31には、対象分野を入力するための対象分野入力欄32と、論文入力欄33と、送信表示(送信ボタン)34とが設けられている。対象分野入力欄32は、直接入力又はプルダウンにより引き出される複数の選択肢の中から一つを選択することにより、ユーザが希望する対象分野を入力する欄であり、論文入力欄33は、コピーペースト等により、ユーザが希望する論文情報を入力する欄である。この論文入力欄33に入力する論文情報としては、情報入力部9から入力されるもの、論文蓄積サイト等からダウンロードしたもの等が用いられる。送信表示34は、対象分野入力欄32及び論文入力欄33への入力を条件としてアクティブになることになっており、そのアクティブ状態の送信表示34を選択(クリック)することにより、対象分野入力欄32及び論文入力欄33に入力された入力情報が管理サーバ4に送信されることになっている。
【0049】
(2)論文マップ作成システム1Aにおいては、管理サーバ4が論文情報をユーザ端末2から受け取ると、その管理サーバ4の処理部18が次の処理を順次行って論文マップ情報(マップデータ)を作成する。
【0050】
(2-1)処理部18は、図5に示すように、その特徴用語抽出部25が、受け取った論文の情報から特徴用語を抽出する。この場合、特徴用語を抽出する論文の情報としては、論文全体、論文のタイトル、論文の概要(アブストラクト)のいずれか、論文のタイトルと論文の概要の両方等、適宜選択することができ、特徴用語の抽出に当たっては、その抽出対象として、論文情報中のフレーズ、単語等の用語に適宜設定することができる。
【0051】
(2-2)特徴用語抽出部25による特徴用語の抽出を終えると、図5に示すように、処理部における第1照合部26は、その特徴用語と記憶部17におけるデータベース部20に保存された登録用語との同一性を照合し、特徴用語が、登録用語が属する複数の概念レベルC1~C3のいずれに属するかを判断する。この場合、特徴用語と登録用語との同一性の照合(判断)には、両者が全く同一の場合に限らず、SQL文のLIKE演算子を用いてあいまい検索等を行うことにより、特徴用語を含む登録用語についても同一性を判断する等、適宜の処理を行うことができる。図8は、上記処理内容を図6に示す論文1の処理例をもって概念的に示したものである。その図8の上段図においては、第1照合部26により、特徴用語抽出部25により抽出された複数の特徴用語(小円をもって示す)w(特徴用語の代表符号として用いる)のうち、特徴用語w11が概念レベルC1に属し、特徴用語w12、w13が概念レベルC2に属していると判断されたことが示されている。
【0052】
(2-3)第1照合部26の判断を終え、特徴用語が概念レベルC1~C3のいずれに属するかが判断されると、図5に示すように、処理部18の第1情報組み込み部27が、特徴用語が属する概念レベルのうち最下位の概念レベルの領域に論文1のノードN1が表示されるようにすべく、そのノードN1の情報をマップデータに組み込み、第2情報組み込み部29が、そのノードN1を対象分野を示すルートRに対してエッジ(結線表示)E1をもって結線するように表示させるべく、そのエッジE1の情報をマップデータに組み込む。前述の論文1の処理を引き続き例にとれば、第1情報組み込み部27が、図8の上段図に示す結果に基づき、図8の下段図に示すように、特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルとなる概念レベルC2の領域において論文1のノードN1が表示されるようにすべく、そのノードN1の情報をベースマップデータに組み込み、第2情報組み込み部29が、ノードN1とルートRとがエッジE1で結線されるように表示すべく、そのエッジE1の情報をマップデータに組み込む。このように、特徴用語が属する概念レベルのうち、最下位の概念レベルの領域にノードが表示されるようにしているのは、知見、研究内容等の進展が、順次、抽象的なものから具体化する(明らかになる)方向にあり、最新内容が概念的に最下位になることが多い傾向にあることに着目し、そのことを、特徴用語の存在場所を通じて利用することとしたためである。また、ルートRとノードN1とをエッジE1により結線するように表示しているのは、ノードNの根拠となる特徴用語が、当該対象分野についての複数の概念レベルC1~C3のいずれかに属し、当該対象分野に関連することが明らかだからである。
【0053】
(2-4)一方、第1照合部26が、特徴用語抽出部25が抽出した特徴用語として、概念レベルC1~C3のいずれにも属さないものがあると判断したときには、第1情報組み込み部27は、暫定概念レベルC4の領域にノードNが表示されるようにすべく、そのノードNの情報をマップデータに組み込む。特徴用語として、概念レベルC1~C3に属する登録用語のいずれに対しても同一性を示さないものは、最新且つ具体的なもの(概念的に下位に属するもの)、或は全く別個のものと擬制できるからである。この場合、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語として、暫定概念レベルC4だけでなく概念レベルC1~C3に属するものも存在するときには、論文マップ6において、上記暫定概念レベルC4の領域のノードNとルートRとがエッジEで結線されるように表示すべく、第2情報組み込み部29は、そのエッジEの情報をマップデータに組み込む。概念レベルC1~C3に属すると判断される特徴用語が存在する以上、暫定概念レベルC4に特徴用語が属するといえども、当該対象分野と関連性があると推定できるからである。これに対して、第1照合部26の判断により、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が暫定概念レベルC4に属するものに限られ、概念レベルC1~C3に属するものが存在しないときには、暫定概念レベルC4領域にノードが独立(孤立)した状態で表示されようにすべく、第1情報組み込み部27は、暫定概念レベル領域C4に位置されるためのノードNの情報をマップデータに組み込み、第2情報組み込み部29は、暫定概念レベルC4領域のノードNとルートRとを結線するエッジEの情報をマップデータに組み込まない。
【0054】
(2-5)上記内容を、図6図9に示す論文3、論文4の処理例をもって具体的に示す。論文3については、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語のうち、特徴用語w32が暫定概念レベル領域C4に属し、しかも、特徴用語w31が暫定概念レベル以外の概念レベルC2に属する場合であることから、第1、第2情報組み込み部27,29は、論文マップ6上において、暫定概念レベルC4領域にノードN3が表示されると共に、そのノードN3とルートRとを結ぶエッジE3が表示されるようにすべく、そのノードN3の情報とエッジE3の情報とをマップデータに組み込む。また、論文4については、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語w41~w44が、いずれも概念レベルC1~C3のいずれにも属さず、暫定概念レベル領域に属するものと判断される場合であることから、論文マップ6上において、暫定概念レベル領域にノードN4が独立(孤立)して表示されるようすべく、第1情報組み込み部27は、そのノードN4の情報をマップデータに組み込み、第2情報組み込み部29は、エッジEの情報をマップデータに組み込まない。
【0055】
(2-6)第1、第2情報組み込み部27,29の組み込み処理等を終えると、第2照合部28は、第1照合部26の照合結果及び記憶部17の記憶内容(マップデータ)に基づき、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が、概念レベルC1~C3のうちで最も下位の最下位概念レベルだけでなくその最下位の概念レベルよりも上位の概念レベルにも属しており、しかも、その特徴用語が属する上位の概念レベルと同一の概念レベルの領域において、既に他の論文に関するノードNが存在すると判断したときには、その同一の概念レベルにおいて、その特徴用語と他の論文におけるノードNの根拠となった特徴用語との関連性を照合する。論文同士の関連性を判断するためである。この場合、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語と、他の論文におけるノードNの根拠となった特徴用語との関連性の照合(判断)には、前記第1照合部26の同一性判断と同様の判断を含め、種々の方法を用いることができる。
【0056】
(2-7)図10の上段図は、上記処理内容を論文1に対する論文2の具体的処理例をもって示している。論文2について、概念レベルC1に特徴用語w21、概念レベルC2に特徴用語 w22、概念レベルC3に特徴用語w23がそれぞれ属しているものとする。このため、第1情報組み込み部27は、そのうちの最下位の概念レベルである概念レベルC3の領域にノードN2が表示されるように、そのノードN2の情報をマップデータに組み込んでいる。また、論文2においては、上記最下位の概念レベルである概念レベルC3の上位の概念レベルC1,C2にも特徴用語w21, w22が属し、そのうち、特徴用語w22が属する概念レベルC2の領域に論文1(他の論文)のノードN1が既に存在する。このため、第2照合部28は、これらを判断し、そのノードN1の根拠となった特徴用語w12又はw13と論文2の特徴用語w22との関連性を判断する。
【0057】
(2-8)第2照合部28の処理を終えると、第2情報組み込み部29は、その第2照合部28の照合結果に基づき、その照合した特徴用語同士に関連性があると判断したときには、さらに、その特徴用語同士に関連性があった概念レベルのうち、最下位の概念レベルに最も近い概念レベルを判断し、その最下位の概念レベル領域におけるノードNと、前記特徴用語同士に関連性があった概念レベルのうち、最下位の概念レベルに最も近い概念レベルの領域に表示される他の論文に基づくノードNとをエッジE2で結ぶべく、エッジE2の情報をマップデータに組み込む。
【0058】
前述の論文1に対する論文2の処理内容(図10参照)を引き続き例にとれば、第2情報組み込み部29は、第2照合部28の照合結果に基づき、他の論文である論文1のノードN1の根拠となった特徴用語w12又はw13と論文2の特徴用語w22とに関連性があるか否かを判断して、関連性があると判断したときには、図10の下段図に示すように、ノードN2とノードN1とをエッジE2で結線させるべく、エッジE2の情報をマップデータに組み込む。この場合、特徴用語w22が属する概念レベルC2だけに他の論文としての論文1のノードN1が存在することから、この処理例では、概念レベルC2が、特徴用語同士に関連性があった概念レベルのうち、最下位の概念レベルC3に最も近い概念レベルとなる。
【0059】
(2-9)上述のような処理を終えると、保存処理部30は、処理装置18の処理情報が組み込まれたマップデータを最新のマップデータとして記憶部17のマップデータ保存部21に保存する。この保存処理部30は、上述の一連の処理に基づくものだけでなく、ユーザ端末2からの論文マップ6についての変更情報も随時、マップデータに組み込んで、マップデータを最新のものとする。このようにして作成又は更新された論文マップ情報は、通信部16、ネットワーク3により配信情報としてユーザ端末2に配信されることになり、ユーザ端末2の表示部8には最新の論文マップ6が表示される。この結果、ユーザは、各関連論文を読み込まなくても、その論文の情報(ノードN等)を組み込んだ最新の論文マップ6を簡単に入手できることになり、ユーザの負担は軽減される。この場合、論文マップ6における各ノードN上には、そのノードNがどの論文を根拠としているかを示すために識別符号又は論文タイトルの全部又は一部が表示され、さらには、その各ノードNにハイパーリンク等を利用することにより記憶部17(論文情報保存部23)の該当論文情報が関連付けられ、そのノードNを選択(クリック)することにより記憶部17の該当論文情報にアクセスできることになっている。
【0060】
(2-10)複数の各論文について、上述の一連の処理が行われるが、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が、概念レベルC1~C3のいずれにも属さず暫定概念レベルC4に属すべきものと判断されたときには、その特徴用語wとその数が累積的に記憶部17(仮保存部22)に保存される。そして、更新処理部40は、その仮保存された特徴用語の累積数wtが所定数w0以上になったと判断したときには、これまでの暫定概念レベルC4を、上下関係の概念を有する通常の複数の概念レベルC1~C3に概念レベルC3に続く最下位の概念レベルC4として組み込み、これまで仮保存されてきた特徴用語を、概念レベルC4に属する登録用語としてデータベース部20に保存させる。また、更新処理部40は、この暫定概念レベルC4の通常概念レベルC4への変更に伴い、新たな暫定概念レベルC5を設定し、その暫定概念レベルC5の領域を、概念レベルC4の外側(下位側)に配置し、前記暫定概念レベルC4の場合同様、位置的に最下位の位置とする内容を記憶部17に保存する。これにより、以後、暫定概念レベルC5の処理においても、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が複数の概念レベルC1~C4のいずれにも属さないと判断されたときには、その特徴用語は、前述の暫定概念レベルC4の場合同様、暫定概念レベルC5に属するものとされ、その特徴用語及び累積数は記憶部17に仮保存される(図5参照)。
【0061】
(3)マップデータ(論分マップ情報)が管理サーバ4からユーザ端末2には配信されると、ユーザ端末2の表示部8には、前述した如く、図1に示すような論文マップ6が表示される。
【0062】
(3-1)この場合、ユーザは、図5に示すように、ユーザ端末2の表示部8を通じて論文マップ6を見ながら、ノードNの配置位置、エッジEの配置位置、配置姿勢等をドラッグ操作等の変更操作により変更できる(手動修正)。各関連論文の内容を読まなくても、論文マップ6を入手して、その論文マップ6により関連論文の相互関係を視覚を通じて把握できるものの、その論文マップ6の内容が、必ずしも、ユーザの意に沿う内容でない場合があるからである。このため、ユーザは、ユーザ端末2の変更処理部15に基づき、表示部8に表示される論文マップ6を見ながら、その論文マップ6上のノードNの配置位置、エッジEの配置位置、配置姿勢等をドラッグ操作等により変更できる。この変更された情報(ノードNの情報、エッジEの情報)は、管理サーバ4に送信され、管理サーバ4は、その受け取った情報に基づき所定の処理(修正処理)を行い、その処理情報はマップデータ(論文マップ情報)に組み込まれる。その更新された最新のマップデータは、保存処理部30により記憶部17に保存されると共に、通信部16によりユーザ端末2に配信され、ユーザ端末2の表示部8には、ユーザが意図した内容に修正された論文マップ6が表示される。
【0063】
上記ノードNの位置変更を、図6図11に示す論文5の処理例をもって具体的に説明する。論文5の処理において、特徴用語抽出部25に抽出された特徴用語w51が概念レベルC1~C3のいずれにも属さないと判断されて、暫定概念レベルC4の領域にノードN5が独立(孤立)して配置されているとする(図11上段図参照)。しかし、ユーザが、ノードN5の位置が意に沿わないとして、ドラッグ操作等によりノードN5を概念レベルC3の領域に移動させた場合、その情報が管理サーバ4に送られ、その情報に基づき、管理サーバ4は、所定の修正処理を行い、これまでのマップデータを処理情報を組み込んだ最新のものに更新する。このマップデータがユーザ端末2に配信されることになり、ノードN5は、移動先の概念レベルC3の領域にとどまった状態で表示されると共に、その移動を終えた論部ノードN5とルートRとを結ぶエッジE5が自動修正によって新たに表示される(図11下段図参照)。この場合、ノードN5の根拠となる特徴用語w51が移動先の概念レベルC3に属する登録用語として存在するか否かが判別され、特徴用語w51が移動先の概念レベルC3に属する登録用語として存在しない場合には、特徴用語w51は概念レベルC3に属する登録用語として保存される。その一方で、記憶部17の仮保存部22に仮保存されていた特徴用語w51は削除される。
【0064】
前記エッジEの配置位置、配置姿勢の変更を論文6に対する論文7の処理例をもって図6図12に基づき具体的に説明する。論文マップ6において、論文6に関し、ノードN6が概念レベルC3の領域に表示され、そのノードN6とルートRとがエッジE6により結ばれている一方、論文7に関しては、暫定概念レベルC4の領域にノードN7が配置され、そのノードN7とルートRとがエッジE7により結ばれているとする(図12上段図参照)。しかし、ユーザが、ノードN7から伸びるエッジE7の結線対象が意に沿わないとして、ノードN7から伸びるエッジE7の結線対象を、概念レベルC3領域のノードN6にするべく、ドラッグ操作等により、エッジE7をノードN7を中心としてノードE6に至るまで回動させると、その情報が管理サーバ4に送られて、それに基づき管理サーバ4は、修正情報を作成しその修正情報を含んだマップデータをユーザ端末2に配信する。これにより、エッジE7は、ノードN7とN6とを結ぶように表示される(図12下段図参照)。この一連の変更処理は、例えば、エッジE7の回動(移動)により、そのエッジE7又はその仮想上の延長線がノードN7とノードN6とを通る状態(横切った状態)になったことを条件に開始するように設定することができる。
【0065】
(3-2)このような論文マップ6(例えば図1に示すもの)は、複数の各概念レベルC1~C3又は暫定概念レベルC4と各ノードNとの関係、各ノードN及び各エッジEの相互関係が記憶部17に保存されていることから、ユーザは、ユーザ端末2から管理サーバ4への要求信号に基づき、論文マップ6を、図13に示すようなツリー構造に変換したものとしてユーザ端末2に表示できる。
【0066】
したがって、論文マップ作成システム1Aにおいては、関連論文を読み込まなくても、関連論文の相互関係をノードN、エッジEをもって示す論文マップ6を作成することができ、論文マップ6を簡単に作成更新することができる。これにより、関連論文の相互関係を視覚を通じて把握でき、研究を独自性がある方向に進めることができる。また、ユーザの研究内容を論文として取り込んで、ユーザの研究内容のノードN、エッジEを得ることもでき、関連論文に対するユーザの研究内容の位置付けを客観的なものにできる。
【0067】
また、仮に、論文マップ6の内容がユーザの意に反するもの(実際の関連論文の内容を的確に反映されていないものを含む)であっても、そのときには、ユーザ端末2における変更操作により論文マップ6を簡単に変更でき、その変更された論文マップ6を最新の論文マップ6とすることができる。このため、研究支援のための論文マップ6の作成の簡単化を図りつつ、その内容の的確性の実現を図ることができる。
【0068】
次に、ユーザ端末2における上記内容の具体的処理例を図14に示すフローチャートをもって説明する。Sはステップを示す。
【0069】
先ず、S1において、ユーザ端末2から管理サーバ4に対してアクセス信号が送信されたか否かが判別される。そのアクセス信号の送信が判断されたときには(S1がYES)、管理サーバ4から初期画面情報がユーザ端末2に送信されることになるため、S2において、その管理サーバ4からの初期画面情報を受信したか否かが判別される。このS2がYESのとき、ユーザ端末2の表示部8に初期画面31が表示される(S3)。
【0070】
次のS4,S5において、初期画面31における対象分野入力欄32への対象分野の入力及び論文入力欄33への論文情報の入力が判別される。この両欄32,33への入力が行われたと判断されたときには(S4及びS5YES)、初期画面31上の送信表示34がアクティブとなり(S6)、次のS7において、入力情報(S4,S5)の送信の意思を確認すべく、送信表示34が選択(クリック)されたか否かが判別される。S7がNOのときには、S7の判別が繰り返される一方、S7がYESのときには、S8において、前述の論文情報等の送信に基づき作成されたマップデータを管理サーバ4から受け取ったか否かが判別され、S8がYESであるときには、S9において、そのマップデータに基づく論文マップ6がユーザ端末2の表示部8に表示される。これにより、論文マップ6上の各ノードN、各エッジEを視覚を通じて認識することができ、関連論文の相互関係を直感的に把握できることになる。この結果、ユーザは、独自性を追い求める研究を進めることができる。
【0071】
管理サーバ4における上記内容の具体的処理例を図15図17に示すフローチャートに基づき説明する。Qはステップを示す。
【0072】
先ず、Q1において、ユーザ端末2からのアクセス信号を受信したか否かが判別される。このアクセス信号の受信を判断したときには(Q1がYES)、対象分野及び論文情報の送信を促すべく、初期画面情報がユーザ端末2に配信され(Q2)、管理サーバ4はユーザ端末2からの返信を待つ。
【0073】
次のQ3においては、前記Q2の初期画面情報に基づき、対象分野及び論文の各情報が送られてきたか否かが判別される。これらの情報がない場合には、当該論文を反映させた論文マップ6を作成できないからである。このため、Q3がNOのときには、適正な情報である対象分野及び論文の両情報の送付要請送信を行うと共に(Q4)、Q2に戻されて、再度、初期画面情報が配信される。Q3がYESのときには、Q5において、今の処理が初回の処理か否かが判別され、そのQ5がYESのときには、Q6において、これまでの最新のマップデータ(初めての作成の場合には、ベースマップデータ)、暫定概念レベルに属すると判断できる特徴用語の累積数の上限値(所定数)w0が読み込まれ、Q7において当該対象分野における各概念レベルC1~C3の登録用語等が読み込まれる。Q5の判別がNOと判断される場合には、前記Q7に進む。
【0074】
Q7の処理を終えると、続いて、Q8において、特徴用語抽出部25により特徴用語が抽出され、Q9において、第1照合部26により、その抽出された特徴用語と記憶部17における登録用語との同一性が照合される。そして次のQ10において、Q9の結果に基づき、抽出された特徴用語が複数の概念レベルC1~C3のいずれかに属するか否かが判別される。このQ10における判別態様(特徴用語が複数の概念レベルC1~C3のいずれかに属する態様)には、特徴用語の少なくとも一つが複数の概念レベルC1~C3のいずれかに属している限り、他の特徴用語が複数の概念レベルC1~C3のいずれにも属さないため暫定概念レベルC4に属すると判断される場合も含まれる。このQ10がYESのときには、Q11において、特徴用語が属する概念レベルが特定され、Q12において、Q11で特定された該当概念レベルの数mc、その該当概念レベルについて、最下位及びその最下位を基準として上位に向けての順位が特定される。この場合、Q11で特定される該当概念レベルには、前述のQ10の判別に基づき、特徴用語の少なくとも一つが複数の概念レベルC1~C3のいずれかに属し、且つ他の特徴用語が暫定概念レベルC4に属すると判断されるときには、その暫定概念レベルC4も該当概念レベルに該当すると判断され(Q11)、そのとき、その暫定概念レベルC4は最下位の概念レベルと判断される(Q12)。
【0075】
Q12の処理を終えると、Q13において、Q11の該当概念レベルのうちQ12で特定された最下位の概念レベルCbが、前記概念レベルC3に該当するか否かが判別される。Q13がYESのときには、Q14において、ノード配置位置をベースマップ上の概念レベルC3の領域とするノード情報が作成され、そのノード情報は、Q15においてマップデータとして保存される。
【0076】
前記Q13がNOのときには、Q16において、Q12で特定された最下位の概念レベルCbが前記概念レベルC2に該当するか否かが判別される。Q16がYESのときには、Q17において、ノード配置位置をベースマップ13上の概念レベルC2の領域とするノード情報が作成され、そのノード情報は、前記Q15に進んでマップデータとして保存される。前記Q16がNOのときは、Q18において、Q12で特定された最下位の概念レベルCbが前記概念レベルC1に該当するか否かが判別される。Q18がYESのときには、Q19において、ノード配置位置をベースマップ13上の概念レベルC1の領域とするノード情報が作成され、そのノード情報は、前記Q15に進んでマップデータとして保存される。Q18がNOのときは、Q12で特定された最下位の概念レベルCbが前記概念レベルC1~C3のいずれにも該当しないときであるから、そのときには、Q20において、ノード配置位置をベースマップ13上の暫定概念レベルC4の領域とするノード情報が作成され、そのノード情報は、前記Q15に進んでマップデータとして保存される。
【0077】
Q15の処理を終えると、Q21において、前記Q12で特定された該当概念レベルの数mcが、mc=1か否かが判別される。このQ21がYESのときには、Q22において、ルートRと前記最下位の概念レベルCb領域のノードとを結ぶエッジ情報が作成され(図6における論文6の処理例参照)、そのエッジ情報はマップデータに組み込まれ、そのマップデータは、次のQ23において記憶部17に最新のマップデータとして保存される(更新)。他方、Q21がNOのときには、Q24において、Q12で特定された最下位の概念レベルCbから上位に向けての該当概念レベル(Q12)の順位mが、m=1に設定され、次のQ25において、前記最下位の概念レベルCbから上位に向けて1番目の該当概念レベルCm(全ての順位についての代表符号)が前記概念レベルC1~C3のいずれに該当するかが特定される。そして、次のQ26において、概念レベルCmが該当するQ25で特定された概念レベルの領域(=概念レベルCm)に他の論文のノードNが存在するか否かが判別される。Q26がNOのときには、Q27において、順位mが、1だけ加算されて(m=m+1)、次の順位とされ、Q28において、その順位mが、Q12で特定された該当概念レベルの数mc以上になったか否かが判別される。そのQ28がNOのときには、Q25に戻されて、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が属する概念レベルのうち、前記最下位の概念レベルCbから上位に向けてのものについて、順番に、他の論文のノードNが存在するか否かを判別することが繰り返される。他方、Q28がYESのときには、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が属する概念レベルのうち、前記最下位の概念レベルCbよりも上位の概念レベル全てについて、他の論文のノードNが存在しなかったとして、前記Q22に進み、その最下位の概念レベルCb領域のノードNとルートRとを結ぶエッジ情報が作成される。
【0078】
前記Q26がYESのときは、m番目の順位の該当概念レベルCm(Cmが該当する概念レベル)に他の論文のノードNが存在するときであり、このときには、Q29において、概念レベルCmの根拠となっている特徴用語と、他の論文におけるノードNの根拠となった特徴用語とについて、関連性があるか否かが判別される。特徴用語同士の関連性の有無により当該論文と他の論文とのつながりを上下の概念関係の下で判断するためである。このQ29がNOのときには、次の順位の概念レベルにおいてQ29の判別を行うべく、前記Q27に進む一方、Q29がYESのときには、Q30において、当該論文と他の論文とのつながりを上下の概念関係の下で明確にすべく、当該論文のノード(前記最下位の概念レベルCb領域に配置されるノード)Nと他の論文のノードNとを結ぶエッジ情報が作成され(図6の論文2の処理例参照)、そのエッジ情報はマップデータに組み込まれ、そのマップデータは、前記Q23において、記憶部17に最新のマップデータとして保存される(更新)。
【0079】
一方、前記Q10がNOと判断されたときは、Q8の特徴用語のいずれもが概念レベルC1~C3のいずれにも属さないときであることから、このときには、Q31に進んで、ノード情報として、ノード配置位置をベースマップ上の暫定概念レベルC4の領域とするものが作成され、その独立(孤立)したノード情報は、マップデータに組み込まれ(図6の論文4の処理参照)、そのマップデータは、前記Q23において、記憶部17に最新のマップデータとして保存される(更新)。
【0080】
Q23の処理を終えると、次のQ32において、Q23のマップデータがユーザ端末2に配信される。これにより、ユーザ端末2の表示部8において、論文マップ6が表示される。
【0081】
次のQ33においては、前記最下位の概念レベルCbが暫定概念レベルC4に該当する場合に、その根拠となった特徴用語及びその数が特定され、それらは、次のQ34において、記憶部17の仮保存部22に累積的に保存される。そして、次のQ35において、仮保存部22に保存された特徴用語の累積数wtが所定数w0以上か否かが判別される。このQ35がNOのときには、処理を終了する一方、Q35がYESのときには、Q36において、暫定概念レベルC4が概念レベルC1~C3に続く最下位の通常の概念レベルとしてマップデータに組み込まれると共に、仮保存部22に保存されていた特徴用語は概念レベルC4の登録用語としてデータベース部20に保存され、Q37において、新たな暫定概念レベルC5と、そのベースマップ上の領域とが設定保存される。
【0082】
図18は、ユーザ端末2での変更操作に伴う管理サーバ4の処理を具体的に示すフローチャートである。Uは、ステップを示す。
【0083】
先ずU1において、ユーザ端末2から論文マップ6の変更操作情報を受け取ると、U2において、U1の変更操作情報がノードの移動に基づくものか否かが判別される。このU2がYESのときには、U3において、移動前の移動ノードが複数の概念レベルC1~C3のいずれかの領域に配置されていたか否かが判別され、U3がYESのときには、U4において、移動ノードの移動先が複数の概念レベルC1~C3のいずれかの領域であるか否かが判別される。U4がYESのときには、U5において、エッジの修正情報として、移動ノードとこれまでの相手方ノード(ルートRを含む)とが的確な長さで結ばれるように調整されたものが作成される。この場合、移動ノードと相手方ノードとが同一の概念レベルの領域に位置されることになった場合には、移動ノードとルートRとがエッジで結ばれるように修正される。このエッジの修正情報は、U6において、移動ノードの情報と共にマップデータに組み込まれ、そのマップデータは、記憶部17に最新のマップデータとして保存され、次のU7において、そのマップデータがユーザ端末2に配信される。これにより、ユーザ端末2においては、移動されたノードと、修正されたエッジとが示された論文マップ6が、ユーザ端末2の表示部8に表示される。
【0084】
前記U4がNOのときは、移動ノードが暫定概念レベルC4の領域に移動したときであり、このときには、U8において、移動ノードに関する論文に関し、概念レベルC1~C3のいずれかに、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が存在するか否かが判別される。U8がYESのときには、前記U5に進み、そのU5において、暫定概念レベルC4の領域に移動した移動ノードと、これまでの相手方ノード(ルートRを含む)との結線状態を的確なものとするエッジ修正情報が作成され、この後、前記同様の処理が行われる(U6,U7)。U8がNOのときには、移動ノードは、対象分野において孤立した存在になることから、U9において、これまでのエッジを削除するエッジ削除情報が作成され、この後、前記U6に進む。
【0085】
前記U3がNOのときは、移動ノードが、その移動前において暫定概念レベルC4に存在し、それが当該対象分野に関係する概念レベルC1~C3のいずれかに移動したときであり、このときには、U10において、移動ノードに関する論文に関し、移動ノードの移動先領域以外の領域(概念レベルC1~C3)に、特徴用語抽出部25により抽出された特徴用語が存在するか否かが判別される。U10がYESのときには、前記U5に進み、そのU5において、移動ノードとこれまでの相手方ノード(ルートRを含む)との結線状態を的確なものとするエッジ修正情報が作成され、この後、前記同様の処理が行われる(U6,U7)。この場合、移動ノードと相手方ノードとが同一の概念レベルの領域に位置されることになった場合には、移動ノードとルートRとがエッジで結ばれるように修正される。U10がNOのときには、移動前に孤立した移動ノードは、その根拠となる特徴用語だけが当該対象分野に関係することになることから、U11において、ルートRと移動ノードとを新たに結線するエッジ情報が作成され、その後、前記U6に進む。
【0086】
U2がNOのときは、エッジEが移動操作されたときであり、このときには、U12において、その移動エッジ又はその延長線が、移動を終えた時点で、結線すべきとしている両ノードを横切ったか否かが判別される。このU12がNOのときには、前記U2に戻される一方、U12がYESのときには、前記U5に進む。このようにU12YESを経てU5に至った場合には、U5において、移動エッジ又はその延長線が横切った両ノードを的確に結線するエッジ修正情報が作成され、その後、前記U6に進む。
【0087】
図19は他の実施形態を示すものである。この他の実施形態において、前記実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図19に示す他の実施形態においては、論文マップ6を作成するに当たり、前記管理サーバ4が行っていた役割についても端末装置であるユーザ端末2(パーソナルコンピュータ)に行わせ、ユーザ端末2だけで論文マップ6に関する処理を完結させるようにしたものを示している。このため、ユーザ端末2においては、記憶部11に第1記憶部11Aと第2記憶部11Bとが設けられ、第1記憶部11Aには、前記実施形態に係るユーザ端末2の記憶部11と同様の機能を発揮するものが用いられ、第2記憶部11Bには、前記実施形態に係る管理サーバ4の記憶部17と同様の機能を発揮するものが用いられている。このため、第2記憶部11Bには、前記管理サーバ4の記憶部17同様、設定情報保存部19、データベース部20、マップデータ保存部21、仮保存部22、論文情報保存部23、プログラム保存部24が備えられている。また、演算制御部12には、前記実施形態に係るユーザ端末2で同様の機能を発揮したもの(表示処理部14、変更処理部15)以外に、前記実施形態に係る管理サーバ4の処理部18で機能を発揮したもの(特徴用語抽出部25、第1照合部26、第1情報組み込み部27、第2照合部28、第2情報組み込み部29、保存処理部30、更新処理部40)が設けられている。
【0089】
これにより、ユーザ端末2に関連論文の情報、自己の研究情報(論文情報)等が入力されれば、ユーザ端末2がそれらの処理を行うことになり、ユーザ端末2の表示部8には、処理結果内容としての論文マップ6が表示されることになる。
【0090】
以上形態について説明したが本発明においては、次の態様を包含する。
(1)対象とする論文には、自然科学、形式科学、社会科学、人文科学等、広い範囲の論文、研究参考資料等が含まれること。
(2)複数の概念レベルを、C1~C3の3つに限らず、C1~Cn(nは任意の整数)のように任意の数とすること。
(3)論文マップ6(ベースマップ13)における仮想上の表示予定ラインを、視認できないようにするだけでなく、視認できるようにしてもよいこと。
(4)ベースマップ13において、複数の概念レベルC1~C3の領域を、ルートRを中心とした径の異なる球面で区画すること。
(5)ベースマップ13において、複数の概念レベルC1~C3の領域を識別するために、境界線を付したり、各領域に異なる色彩を付したりすること。
(6)ベースマップ13において、複数の概念レベルC1~C3の領域を識別するために、境界線を付さないこと。
(7)仮保存部22に保存できる特徴用語wの累積数wtの所定数w0は、任意の設定できること。
(8)論文マップ作成装置用プログラムとして、以下のものを用いることができる。
(8-1)コンピュータを、前記特徴用語抽出部25、前記第1照合部26、前記第1情報組み込み部27、前記第2照合部28、前記第2情報組み込み部29、として機能させるための論文マップ作成装置用プログラム。
(8-2)前記(8-1)の構成の下で、
前記第1情報組み込み部27としての機能が、前記第1照合部26の照合結果に基づき、前記特徴用語抽出部25が抽出した特徴用語として、前記複数の概念レベルC1~C3のいずれにも属しないものがあると判断したときには、該特徴用語を前記暫定概念レベルC4に属させるものとすると共に、前記ベースマップデータ13において、前記論文位置表示情報を前記暫定概念レベルC4の領域に組み込ませるように設定されている論文マップ作成装置用プログラム。
(8-3)前記(8-2)の構成の下で、
前記保存処理部30、前記更新処理部40、として機能させるための論文マップ作成装置用プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、論文同士の相互関係を視覚を通じて把握できる論文マップを簡単に得ることに利用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 論文マップ作成装置
1A 論文マップ作成システム(論文マップ作成装置1)
2 ユーザ端末(論文マップ作成システム1A、論文マップ作成装置1)
3 ネットワーク
4 管理サーバ(論文マップ作成システム1A)
6 論文マップ
8 ユーザ端末の表示部
9 情報入力部
13 ベースマップ
17 管理サーバの記憶部(記憶装置)
18 管理サーバの処理部(処理装置)
25 特徴用語抽出部
26 第1照合部
27 第1情報組み込み部
28 第2照合部
29 第2情報組み込み部
30 保存処理部
40 更新処理部
C1~C3 複数の概念レベル
C4 暫定概念レベル
Cb 最下位の概念レベル
E エッジ(結線表示)
N ノード(論文位置表示)
R ルート(最上位要素表示)
w 特徴用語
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19