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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110856
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】建造物の基礎構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20230802BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20230802BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
E02D27/00 D
E02D27/12 Z
E02D27/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194172
(22)【出願日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2022012358
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】酒井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 健司
(72)【発明者】
【氏名】丸藤 達裕
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA15
2D046CA05
2D046CA08
2D046DA37
(57)【要約】
【課題】短期間で簡易な工程で設置可能な建造物の基礎構造1を提供すること。
【解決手段】建造物の基礎構造1は、アルミニウム合金製の柱脚部2と、地盤中に埋設され、柱脚部2を内周側に配置可能な管杭部3と、柱脚部2と、管杭部3との間に充填されるとともに、柱脚部2及び管杭部3を結合する充填部材4と、有する。管杭部3は、柱脚部2よりも短いことが好ましい。管杭部3は、円周方向に分割された複数の分割体30を有し、分割体30は、隣接する分割体30同士を接続する接続部31を有し、接続部31により接続されて略円筒形に形成されることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金製の柱脚部と、
地盤中に埋設され、前記柱脚部を内周側に配置可能な管杭部と、
前記柱脚部と、前記管杭部との間に充填されるとともに、前記柱脚部及び前記管杭部を結合する充填部材と、を有する、建造物の基礎構造。
【請求項2】
前記管杭部は、前記柱脚部よりも短い、請求項1に記載の建造物の基礎構造。
【請求項3】
前記管杭部は、円周方向に分割された複数の分割体を有し、
前記分割体は、隣接する分割体同士を接続する接続部を有し、前記接続部により接続されて略円筒形に形成される、請求項1又は2に記載の建造物の基礎構造。
【請求項4】
前記管杭部の外周面に接続され、前記管杭部から離れる方向に延びる補強部材をさらに有する、請求項1又は2に記載の建造物の基礎構造。
【請求項5】
前記管杭部は、外周面から内周側に窪むとともに前記管杭部の長手方向に延びる複数の溝部を有し、
前記溝部は、円周方向に沿って隣接する、請求項1又は2に記載の建造物の基礎構造。
【請求項6】
前記管杭部は、アルミニウム合金製である、請求項1又は2に記載の建造物の基礎構造。
【請求項7】
前記管杭部は、周方向に分割された複数の分割体を有し、
前記分割体は、湾曲部分を有する湾曲板材と平板状の接続板材によって構成され、
前記湾曲板材と前記接続板材が接続されて略楕円筒形に形成される、請求項1又は2に記載の建造物の基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建造物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱を有する建造物を地面に立設するためには、支柱が設置される地面にコンクリートの基礎材が配置される。基礎材の中に支柱が埋設され、基礎材が硬化するにしたがって支柱が固定されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-167669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基礎材としてのコンクリートの打設には、穴を掘削し所定の期間を設けて養生する必要があり、支柱の基礎工事には、長い期間と多くの工程が必要となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、アルミニウム合金製の柱脚部と、地盤中に埋設され、前記柱脚部を内周側に配置可能な管杭部と、前記柱脚部と、前記管杭部との間に充填されるとともに、前記柱脚部及び前記管杭部を結合する充填部材と、を有する、建造物の基礎構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の建造物の基礎構造を示す図である。
図2】第1実施形態の管杭部の断面図である。
図3A】第1実施形態の建造物の基礎構造の設置方法を示す図である。
図3B】第1実施形態の建造物の基礎構造の設置方法を示す図である。
図3C】第1実施形態の建造物の基礎構造の設置方法を示す図である。
図4】第2実施形態の建造物の基礎構造を示す図である。
図5A】第2実施形態の建造物の基礎構造の部分斜視図である。
図5B】第2実施形態の管杭部及び補強部材の部分断面図である。
図6A】第3実施形態の建造物の基礎構造の部分斜視図である。
図6B】第3実施形態の建造物の基礎構造の部分縦断面図である。
図6C】第3実施形態の管杭部及び補強部材の部分横断面図である。
図7】変形例に係る管杭部の断面図である。
図8A】変形例に係る接続部の断面図である。
図8B】変形例に係る接続部の断面図である。
図8C】変形例に係る接続部の断面図である。
図9】第4実施形態の管杭部の断面図である。
図10】第4実施形態の管杭部を構成する湾曲板材の断面図である。
図11】第4実施形態の管杭部を構成する接続板材の断面図である。
図12】第5実施形態の管杭部の断面図である。
図13】第5実施形態の管杭部を構成する湾曲板材の断面図である。
図14】第5実施形態の管杭部を構成する接続板材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、第1実施形態の建造物の基礎構造1は、カーポートやテラス等の支柱の上部に梁や屋根を配置して用いられる建造物を支持する地中の構造である。建造物の基礎構造1は、柱脚部2と、管杭部3と、充填部材4と、を有する。
【0008】
柱脚部2は、地面から上方に延びる支柱を構成する長尺の部材である。柱脚部2は、例えば方形筒状のアルミニウム合金製の型材である。柱脚部2は、下端側が地盤100に埋設され、地上に延びて、上端側が不図示の梁や屋根等に連結される。
【0009】
管杭部3は、柱脚部2を内周側に配置可能な寸法を有するアルミニウム合金製の円筒状の部材である。管杭部3は、柱脚部2よりも短く、地盤100中に埋設される。管杭部3は、図2に示すように、円周方向に分割された複数の分割体30を有する。分割体30は、例えば円を四つに分割した四枚の湾曲した板材によって構成される。分割体30は、隣接する分割体30同士を接続する接続部31を有する。接続部31は、分割体30の周方向の一方及び他方の端部に配置される。接続部31の一方は、突起31aであり、他方は、湾曲部31bである。突起31aは、分割体30の外周面よりも内側にずれた位置で、外周面から連続しつつ、端部が断面略円形に膨出した形状を有する。湾曲部31bは、突起31aの周囲を覆い、突起31aが内部をスライド可能な寸法で湾曲する。突起31aと湾曲部31bとは互いに連結可能に構成されており、四枚の分割体30が接続部31により接続されて、略円筒形に形成される。管杭部3の厚みは、例えば2~3mm程度であってよい。管杭部3の外径は、例えば50~200mm程度であってよい。
【0010】
充填部材4は、管杭部3の内部で、柱脚部2との隙間に充填される。充填部材4は、セメントを含む水硬化性の結合材であり、柱脚部2と管杭部3とを結合する。充填部材4はコンクリートやモルタル、ポリマーセメントモルタル等を含んでよい。
【0011】
図3A図3Cを参照して、建造物の基礎構造1の設置方法を説明する。図3Aに示すように、柱脚部2を設置したい位置で、地盤100を掘削する。地盤100は、設置したい建造物がカーポートやテラス等の場合、多くは地面の上にコンクリートが敷設された改良地盤、所謂土間コンクリートである場合が多い。しかし、土や砂利を含む改良されていない地面であってもよい。地盤100の表層が土間コンクリートの場合、コアドリル等を用いて孔を掘削する。プレボーリングでは、ドリルで管杭部3の直径の3~4倍を掘削する。
【0012】
管杭部3の分割体30を、予め組み立てておく。隣接する分割体30同士の接続部31の突起31aを湾曲部31bに押し嵌め、適宜スライドさせて位置を合わせながら接続する。図3Bに示すように、プレボーリングにより形成した掘削穴101に、組み立てた管杭部3を打ち込んでいく。この際、管杭部3を掘削穴101以上の深さに打ち込むことで、管杭部3と地盤100との間に摩擦による鉛直荷重への抵抗力が生まれる。このようにして管杭部3を地盤100に埋設する。
【0013】
図3Cに示すように、管杭部3を埋設した後、管杭部3の内側に柱脚部2を挿入する。柱脚部2を挿入しながら、管杭部3と柱脚部2との間に充填部材4を充填する。
【0014】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。建造物の基礎構造1を、アルミニウム合金製の柱脚部2と、地盤中に埋設され、柱脚部2を内周側に配置可能な管杭部3と、柱脚部2と、管杭部3との間に充填されるとともに、柱脚部2及び管杭部3を結合する充填部材4と、を含んで構成した。柱脚部2を、コンクリートの基礎材に埋設して固定させるのではなく、管杭部3を地盤に打ち込んで、管杭部3の中に柱脚部2を差し込み、管杭部3と柱脚部2との間をコンクリート等の充填部材4で固定するので、柱脚部2を設置する時間を短縮化することができ、施工性が向上する。
【0015】
本実施形態によれば、管杭部3を、柱脚部2よりも短く構成した。これにより、柱脚部2の根本部分のみを固定することができるので、施工性が向上する。
【0016】
本実施形態によれば、管杭部3を、円周方向に分割された複数の分割体30を含んで構成した。分割体30を、隣接する分割体30同士を接続する接続部31を含んで構成し、接続部31により接続されて略円筒形に形成させた。管杭部3を分割可能に構成したことにより、管杭部3を地中に打ち込む際に、分割体30を打ち込んでから連結して管杭部3を形成することが可能になる。よって、作業が容易になり、施工性が向上する。
【0017】
本実施形態によれば、管杭部3を、アルミニウム合金製とした。管杭部3をアルミニウム合金製にすることで、例えば分割体30を形成したり、表面に溝を形成したりする等、押し出し成形が可能になる。よって、成形の自由度が向上し、より強度の高い形状に成型しやすくなる。
【0018】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲で変形、改良等は本開示に含まれる。図4図5Bは、第2実施形態に係る建造物の基礎構造1Aに関する。第2実施形態の管杭部3Aには、補強部材5が接続される。
【0019】
補強部材5は、管杭部3Aから離れる方に延びるように取り付けられる。具体的には、図5Aに示すように、補強部材5は管杭部3Aの外周面に径方向外側に向かって延びるように接続される。補強部材5は、図5Bに示すように、横断面視で略T字状の形状を有する板状の部材である。補強部材5は、本体部51と、係合部52と、を有する。本体部51は、略長方形の板であり、長手方向が管杭部3Aの長手方向に沿うように、短手方向が管杭部3Aから放射状に配置される。係合部52は、本体部51の短手方向の一端に、短手方向に対して直交する厚さ方向に突出することで構成される。図5A及び図5Bに示すように、係合部52は、後述する管杭部3Aの補強部材取付溝32に挿入され、係合する。
【0020】
管杭部3Aは、分割体30の円周方向における両端の間に、補強部材取付溝32を有する。補強部材取付溝32は、補強部材5の係合部52が補強部材取付溝32に沿ってスライド可能となるように寸法を合わせて形成されている。補強部材取付溝32は、断面視略台形状の凹部321と、係合部52が抜けないように凹部321の開口の両端から凹部321を閉じる方向に向かって延出する抜け止め部322と、を有する。抜け止め部322は、補強部材5の係合部52における外周面側に当接する。抜け止め部322は、管杭部3の円周方向に沿っており、分割体30の一部を構成している。
【0021】
図4及び図5Aに示すように、補強部材5は、複数の分割体30Aのそれぞれに接続されてよい。例えば、分割体30Aが4枚ある場合は、補強部材5は、管杭部3Aに4枚接続することができる。補強部材5は径方向外側に向かって延びるように管杭部3Aに接続されることで、管杭部3Aを地盤100中に埋設した場合に、補強部材5が地盤100中の土や砂利等に食い込み、管杭部3Aに対する地盤反力や水平力に対抗する。管杭部3Aが安定して強固に地盤100に埋設されることで、管杭部3A内に配置される柱脚部2も安定して地盤100中に固定される。
【0022】
図6A図6Cは、第3実施形態の建造物の基礎構造1Bに関する。第3実施形態の管杭部3Bには、補強部材5として、根枷部材53が接続される。管杭部3Bの補強部材取付溝32の構成は、第2実施形態と同様である。
【0023】
根枷部材53は、管杭部3Aから離れる方に延びるように取り付けられる。具体的には、図6Aに示すように、管杭部3Bに対して略直交する方向に取り付けられる縦長の部材である。根枷部材53は、管杭部3Bに対して略直交する方向に長さがあればよく、素材や形状は特に限定されない。コンクリートブロックであってもよく、金属製の板や棒であってもよい。根枷部材53は、根枷本体531と根枷留付金具532と、を有する。
【0024】
根枷本体531は、略直方体の棒状の形状を有する。根枷留付金具532は、図6Bに示すように、根枷留付金具532は、保持部533と、留付部534と、を有する。保持部533は、根枷本体531の周囲の表面に係止可能な略コの字型の金具である。保持部533は、内側に根枷本体531を保持可能な寸法に形成されている。図6Cに示すように、留付部534は、保持部533の端部に形成されたねじ溝534aと、補強部材取付溝32に挿入されるねじ頭534bと、抜け止め部322の外側に配置されるナット534cとを有する。根枷留付金具532のコの字の凹部に根枷本体531を配置し、ねじ頭534bをねじ溝534aに締結させた状態で分割体30Bの補強部材取付溝32内に配置する。その後、ナット534cを抜け止め部322を挟んでねじ溝534aに螺合させることで、根枷部材53が管杭部3Bに取付けられる。
【0025】
根枷部材53を取り付けることによって、管杭部3Bがより安定して地盤100中に固定される。管杭部3Bの固定強度が増すことによって、管杭部3B内に配置される柱脚部2も風圧等の水平力に対向しやすくなり、安定して地盤100中に固定される。
【0026】
第3実施形態の変形例として、根枷部材53の代わりに、地中梁を取り付けてもよい。地中梁は、地盤100中に埋設される管杭部3B同士を連結するように配置してよい。地中梁を配置することで、水平外力に対向するとともに、降雪や降雨等の鉛直方向の荷重にも地中梁の面で支えることができ、柱脚部2が安定して地盤100中に固定される。
【0027】
図7は、変形例に係る管杭部3Cの断面図である。管杭部3Cは、分割体30Cの表面に、複数の溝部としての抗力溝33を有する。抗力溝33は、管杭部3Cの外周面から内周側に窪む断面視略V字状の深さの小さな溝である。抗力溝33が内周側へ窪む径方向の深さは、補強部材取付溝32における管杭部3Cの外周面から凹部321の深さよりも浅い。抗力溝33は、管杭部3Cの長手方向に沿って一端から他端まで延びる。抗力溝33は、円周方向に沿って隣接して配置される。管杭部3Cの表面に抗力溝33が複数形成されていることにより、管杭部3C内に挿入されて地上に立設されている柱脚部2に水平力や回転力がかかった場合に、柱脚部2から管杭部3Cに伝わる力を分散させ、小さくすることができる。これにより、柱脚部2が安定して地盤100中に固定される。
【0028】
図8A図8Cは、変形例に係る分割体30D~30Fにおける接続部31D~31Fの部分断面図である。図8Aに示すように、接続部31Dは、分割体30Dの一端側に配置されるリブベース部311及び内側リブ部312と、分割体30Dの他端側に配置される凹部313と、を有する。
【0029】
リブベース部311は、分割体30Dの一端側における管杭部3Dの厚みが、分割体30Dの端部以外の部分よりも厚くなっている部分である。
【0030】
内側リブ部312は、分割体30Dの外周面から内周側にずれた位置で、リブベース部311の厚さ方向の中央部側から円周方向に沿って短く延びる。内側リブ部312は、リブベース部311と一体で形成されている。内側リブ部312は、管杭部3Dの外周面側と、内周面側にそれぞれ突出する小突起312aを有する。小突起312aは、内側リブ部312の円周方向に間隔を空けて複数配置されている。
【0031】
凹部313は、分割体30Dの他端側における外周面の一部により構成される外周壁313aと、外周壁313a面から間を開けた内周側で円周方向に延びる内周壁313bと、外周壁313a及び内周壁313bを接続する底部313cとを有する。これら外周壁313a、内周壁313b、及び底部313cにより形成される凹部313の内部に、内側リブ部312が挿入される。凹部313の内面は、内側リブ部312及び小突起312aと係合可能な形状を有する。すなわち、外周壁313a及び内周壁313bには、小突起312aと係合可能な小凹部313dが形成されている。
【0032】
図8Bは、図8Aに示す変形例の接続部31Dに、補強キャップ315を配置して構成される接続部31Eを示す。補強キャップ315は、断面視略コの字状に形成され、接続部31Eが管杭部3Eの長手方向に沿って形成される長さに対応する長さを有する。補強キャップ315は、一対の係止壁315aと、一対の係止壁315aの一端を接続する底面部315bと、を有する。一対の係止壁315aは、リブベース部311及び凹部313の底部313cに係止する。底面部315bは、リブベース部311及び凹部313の内周壁313bに当接する。補強キャップ315は、内側リブ部312が凹部313に係合した状態で凹部313とリブベース部311を挟むように保持するので、分割体30Dが強固に連結される。
【0033】
図8Cは、他の変形例の接続部31Fを示す。接続部31Fでは、分割体30Fの一端及び他端に、第1実施形態と同様の突起31a及び湾曲部31bがそれぞれ形成される。接続部31Fの突起31aが形成される根本の部分に、補強部材取付溝32Fが形成される。これら変形例に示すように、接続部の形状は、管杭部が押し出し成形可能であることから、自在に成形することができる。
【0034】
上記の実施形態では分割体30が4枚の例を説明した。しかし、枚数は特に限定されない。管杭部の外径等に応じて、適宜増減してよい。上記の実施形態では、柱脚部2及び管杭部3をアルミニウム合金製のものとして説明した。しかし、管杭部は、アルミニウムを含まない金属、例えば鋼製であってもよく、分割体を鋼製で構成してもよい。
【0035】
図9図11は、第4実施形態に係る管杭部3Dに関する。管杭部3Dは、図9に示すように、楕円の周方向で分割された複数の分割体としての四枚の湾曲板材40と二枚の接続板材45によって全体として楕円状に構成される。湾曲板材40は、断面が湾曲した円弧状に形成される部材である。接続板材45は平板状に形成される。以下の説明において、隣接する湾曲板材40同士が接続される部分を接続部35とし、湾曲板材40と接続板材45が接続される部分を接続部36,37として説明する。
【0036】
図10に示すように、湾曲板材40は、周方向における一方の端部に第1連結部41が配置され、周方向における他方の端部に第2連結部42が配置される。第1連結部41は、湾曲部分の外周面よりも内側に屈曲する鉤状の嵌合部である。第2連結部42は、湾曲部分の外周面に連続する部分を有し、第1連結部41を挟み込む鉤状に形成される嵌合部である。
【0037】
図11に示すように、接続板材45は、一方の端部に第1連結部46が配置され、他方の端部に第2連結部47が配置される。第1連結部46は、直線状の外周面に連続する部分を有し、湾曲板材40の第1連結部41を挟み込む鉤状に形成される。第2連結部47は、直線状の外周面よりも内側に屈曲する鉤状の嵌合部であり、湾曲板材40の第2連結部42に嵌合する。
【0038】
湾曲板材40の第1連結部41、第2連結部42、接続板材45の第1連結部46及び第2連結部47は、篏合状態において互いにスライド移動が可能な寸法により構成される。従って、湾曲板材40同士の接続において、湾曲板材40同士を適宜スライドさせて位置を合わせながら接続することが可能であり、湾曲板材40と接続板材45の接続においても湾曲板材40と接続板材45を適宜スライドさせて位置を合わせながら接続することが可能である。
【0039】
図9に示すように、2枚の接続板材45は、柱脚部2を挟むように対向配置される。このうち一方の接続板材45の第1連結部46が湾曲板材40の第1連結部41に篏合して接続部37を構成する。接続板材45の第2連結部47が別の湾曲板材40の第2連結部42に篏合して接続部36を構成する。他方の接続板材45も、同様に2枚の湾曲板材40とともに接続部36,37を構成する。さらに、一方の接続板材45に接続された湾曲板材40の第1連結部41と、他方の接続板材45に接続された湾曲板材40の第2連結部42と、が篏合して接続部35を構成する。同様に、他方の接続板材45に接続された湾曲板材40の第1連結部41と、一方の接続板材45に接続された湾曲板材40の第2連結部42と、が篏合して接続部35を構成する。このように、四枚の湾曲板材40と二枚の接続板材45がそれぞれ接続されることにより、楕円筒形の管杭部3Dが形成される。
【0040】
図12図14は、第5実施形態に係る管杭部3Eに関する。第5実施形態に係る管杭部3Eは、第4実施形態の管杭部3Dと全体的な構成は略同様である。なお、第5実施形態において第4実施形態と共通する構造については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0041】
図12に示すように、管杭部3Eは、楕円の周方向で分割された複数の分割体として四枚の湾曲板材40aと、二枚の接続板材45aと、によって全体として楕円状に構成される。
【0042】
図13に示すように、第5実施形態の湾曲板材40aは、湾曲部分(円弧部分)の形状が第4実施形態の湾曲板材40の湾曲部分(円弧部分)よりも短い形状となっている。湾曲板材40aの第1連結部41と第2連結部42は第4実施形態の湾曲板材40と共通の構造である。図14に示すように、第5実施形態の接続板材45aは、直線部分の形状が第4実施形態の接続板材45よりも長い形状となっている。接続板材45aの第1連結部46と第2連結部47は第4実施形態の接続板材45と共通の構造である。
【0043】
このように、管杭部3Eは、形状の異なる湾曲板材40aと接続板材45aによって全体として楕円状に構成される。従って、第4実施形態の柱脚部2と形状が異なるような柱脚部2aであっても、形状の異なる湾曲板材40aと接続板材45aを適用することにより、柔軟に対応することができる。なお、接続部35,36,37の構成は共通しているので、湾曲板材40と接続板材45aを組み合わせることもできるし、湾曲板材40aと接続板材45を組み合わせることもでき、種々の形状の柱脚部に対応することができる。
【0044】
以上説明したように、管杭部3D,3Eは、周方向に分割された複数の分割体を有し、分割体は、湾曲部分を有する湾曲板材40,40aと平板状の接続板材45,45aによって構成され、湾曲板材40,40aと接続板材45,45aが接続されて略楕円筒形に形成される。これにより、柱脚部2の断面形状が長方形であるような場合であっても、断面が楕円形の管杭部3Dを用いることにより、より適切な量、強度でコンクリートの基礎材の充填を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 建造物の基礎構造、 2 柱脚部、 3 管杭部、 4 充填部材、 5 補強部材、 30 分割体、 31 接続部、 33 抗力溝(溝部)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14