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特開2023-11087退出予測システム、及び団体指標表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011087
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】退出予測システム、及び団体指標表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230117BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114676
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】712007762
【氏名又は名称】株式会社トワール
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼野 裕希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】将来の退出(退学、退塾、退社、中退)などといった退出危惧者を予測するシステム、或いは、所属機関において将来の退出危惧者を含む団体指標の類型チャート分析を行うシステムを提供する。
【解決手段】
各構成員に対して、複数の質問リストからなる選択式のアンケートの回答を取得して得られた回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する指標を算出するステップと、アプローチ付与によって各構成員に与えた燃料指標を算出する燃料指標算出ステップと、各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元マップ上に表示する座標表示ステップと、
前記二次元マップを複数の分類領域に領域化して、二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類する分類ステップと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所属機関に在籍して成績を測られる複数の構成員の、当該所属機関からの将来の退出傾向を予測して表示する退出予測システムであって、
所属機関に属する構成員のうち対象とする各構成員に対して、所定期間の間に、成績向上の動機付けを行う動機付けアプローチを複数回与える動機付けアプローチ付与ステップと、
前記対象とする各構成員に対して、複数の質問リストからなる選択式のアンケートの回答を取得する回答ステップと、
回答ステップにより得られた回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する、前記対象とする各構成員の満足度に関する指標を算出する満足度指標算出ステップと、
アプローチ付与ステップによって前記対象とする各構成員に与えた燃料指標を算出する燃料指標算出ステップと、
前記燃料指標を第一座標軸とし、前記満足度指標を前記第一座標軸に交わる第二座標軸として、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元マップ上に表示する座標表示ステップと、
前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類する分類ステップと、
を備えることを特徴とする、退出予測システム。
【請求項2】
前記座標表示ステップ及び分類ステップに代えて、或いは前記座標表示ステップ及び分類ステップに加えて、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標の組合せと、所属機関に在籍する全構成員の燃料指標及び満足度指標の平均点及び標準偏差に基づいて、燃料指標及び満足度指標それぞれの基準化変量の値を、「基準化変量=(素点-平均点)÷標準偏差」の算出式によって算出する在籍指数算出ステップを有する、請求項1に記載の退出予測システム。
【請求項3】
所属機関に属する全ての構成員に対して、前記アプローチ付与ステップと、前記回答ステップと、前記満足度指標算出ステップと、前記燃料指標算出ステップとをそれぞれ行い、
所属機関に属する全ての構成員について、算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる共通の二次元マップ上に重複表示する座標重複表示ステップを行い、
前記座標重複表示ステップによる共通の二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
所属機関に属する全ての構成員について、二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類する重複分類ステップを行い、
前記重複分類ステップによって分類された、当該所属機関における各分類領域の割合をチャート表示するチャート表示ステップを行うことを特徴とする、請求項1に記載の退出予測システム。
【請求項4】
前記所属機関は、複数教科の各教科の担当指導員を有する学習機関からなり、
前記構成員は、当該学習機関に所属して定期的に複数教科の各成績を診断される生徒からなり、
前記回答ステップにおける質問リストは、少なくとも、
IQ及びEQのうちC、A、E、N、O、GRIT、頻度、建前、Gfの各指標に関するIQ/EQ質問群と、
所属機関自体、所属機関の担当指導員、所属機関の他の構成員、又は構成員自身の成績への評価乃至満足度に関する満足度/動機づけ質問群と、
構成員自身が受けている現在のストレスに関する質問群と、からなり、
前記燃料指標算出ステップは、
少なくとも、C、A、E、N、O、GRIT、頻度、建前、Gfのうち2つ以上の指標値の項と、構成員が受けた動機付けアプローチの指標値の項と、からなる加算項それぞれに所定の係数を乗じた加算式によって満足度指標を算出するものであり、
前記満足度指標算出ステップは、
少なくとも、C、A、E、N、O、GRIT、頻度、建前、Gfのうち2つ以上の指標値の項と、所属機関への満足度の指標値の項と、構成員のストレスの指標値の項と、からなる加算項それぞれに所定の係数を乗じた加算式によって満足度指標を算出することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の退出予測システム。
【請求項5】
請求項1に記載の退出予測システムによって、各構成員について、主要5因子性格検査の5次元座標の指標値を算出し、各指標の差の2乗の総和の平方根を算出して各点間の距離を計算するステップと、
各点間の距離の中で最小の値によって、各構成員を、あらかじめ設定された「平均的」「模範的」「控えめ」「奔放」の4分類を含む複数の分類タイプに分類する分類ステップと、
所属機関に属する全ての構成員の分類の属性比率を表示するステップと、を含むことを特徴とする、団体指標表示システム。
【請求項6】
前記回答ステップは、退出傾向を予測して表示する、対象の構成員からのアンケート回答と、当該対象の構成員に関与する関係者からのアンケート回答とを入手するものであり、

前記満足度指標算出ステップは、回答ステップにより得られた前記関係者からの回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する指標値の加算項を更に加算してなることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の退出予測システム。
【請求項7】
前記回答ステップは、退出傾向を予測して表示する、対象の構成員からのアンケート回答と、当該対象の構成員に関与する関係者からのアンケート回答とを入手するものであり、
前記満足度指標算出ステップは、
回答ステップにより得られた対象の構成員からの回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する満足度指標値と、
回答ステップにより得られた前記対称の構成員の関係者からの回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する関係者満足度指標とを、それぞれ算出するものであり、
前記座標表示ステップは、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標値からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元マップ上に表示すると共に、
各構成員について算出された燃料指標及び関係者満足度指標からなる関係者座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる前記二次元マップ上に重ねて表示すると共に、
前記分類ステップは、
前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類すると共に、
前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、関係者満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類して、
これら各分類を並表示することを特徴とする、請求項1に記載の退出予測システム。
【請求項8】
前記在籍指数算出ステップは、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標の組合せと、所属機関に在籍する全構成員の燃料指標及び満足度指標の平均点及び標準偏差に基づいて、燃料指標及び満足度指標それぞれの基準化変量の値を、「基準化変量 = (素点-平均点)÷標準偏差」の算出式によって算出すると共に、
各構成員について算出された燃料指標及び関係者満足度指標の組合せと、所属機関に在籍する全構成員の燃料指標及び関係者満足度指標の平均点及び標準偏差に基づいて、燃料指標及び関係者満足度指標それぞれの基準化変量の値を、「基準化変量 = (素点-平均点)÷標準偏差」の算出式によって比較値として算出する、請求項2に記載の退出予測システム。
【請求項9】
所属機関に属する全ての構成員に対して、前記アプローチ付与ステップと、前記回答ステップと、前記満足度指標算出ステップと、前記燃料指標算出ステップとをそれぞれ行うと共に、
所属機関に属する全ての構成員の特定の関係者に対して、前記回答ステップと、前記関係者満足度指標算出ステップと、前記燃料指標算出ステップとをそれぞれ行い、
所属機関に属する全ての構成員について、算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号と、算出された燃料指標及び関係者満足度指標からなる座標記号とを、第一座標軸と第二座標軸とからなる別個の二次元マップ上に並列表示する座標重複表示ステップを行い、
前記重複分類ステップによって並列表示して分類された、当該所属機関における各分類領域の割合を、別個のチャート形式で並列表示するチャート表示ステップを行う、請求項3に記載の退出予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所属機関に所属する各構成員の、所属機関からの将来の退出の傾向を画像化して表示するシステムに関する。また、本発明の団体指標表示システムは、所属機関に所属する各構成員を類型化してその類型分布を画像化し、当該所属機関の団体指標を表示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、性格診断システムおよび性格診断方法として、複数の他人の回答に基づく性格診断結果の平均値を本人による性格診断結果と対比させる方法が開示される(特許文献1:特開2007-226531)。
【0003】
また従来、認知症の程度を判定するための方法、システム及びプログラムとして、年齢、教育年数、最大歩行速度及びTMTAテストのスコアの全てを用いて認知症の程度を表わす係数を算出し、被験者についての算出した係数Pが予め設定した値よりも大きい場合、認知症であると判定する判定システムが開示される(特許文献2:特許06207547)。
【0004】
また、従来、個人特性推定方法として、要因別に設定された因子得点を集計して要因別に重み付けを行い、その個人がその時に有している対象評価価値観を、前記重み付けされた各要因の線型モデルとして求め、作業者群が望ましい領域に分布しているか否か、分布のばらつきが大きすぎないか否かなどの判断情報を得る方法が開示される(特許文献3:特開2003-006566)。
【0005】
また一般的に、知能理論であるCHC理論に基づいて種々の知能検査モデルが作成されており、知能検査モデルを使用した知能検査やこの検査結果に基づく研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-226531号公報
【特許文献2】特許06207547号公報
【特許文献3】特開2003-006566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の各種システムや方法はいずれも、対象者について行った検査結果に基づいて特定の指標を算出し、対象者の特性や症状を診断ないし推定するものである。
【0008】
しかしながら、これら各種システムや方法は、診断時点における対象者の検査結果を評価するものに過ぎなかった。すなわち、上記システム等は検査後の検査動向や対象者の行動特性を示すものではないため、上記システム等を対象者の将来の所属機関からの退出(退学、退塾、退社、中退)といった将来動向変化の予測にそのまま使用することはできなかった。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、対象者の将来の退出(退学、退塾、退社、中退)などといった将来の退出危惧者を予測できるシステム、或いは、所属機関において将来の退出危惧者を含む団体指標の類型チャート分析を行うことのできるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決すべく以下(1)~(9)の手段を講じている。
(1)本発明に係る退出予測システムは、
所属機関に在籍して成績を測られる複数の構成員の、当該所属機関からの将来の退出傾向(中退又は退学予測)を表示する退出予測システムであって、
各構成員に対して、所定期間の間に複数の動機付けアプローチを与える動機付けアプローチ付与ステップと、
各構成員に対して、複数の質問リストからなる選択式のアンケートの回答を取得する回答ステップと、
回答ステップにより得られた回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する指標を算出する満足度指標算出ステップと、
アプローチ付与ステップによって各構成員に与えた燃料指標を算出する燃料指標算出ステップと、
前記燃料指標を第一座標軸とし、前記満足度指標を前記第一座標軸に交わる第二座標軸として、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元マップ上に表示する座標表示ステップと、
前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類する分類ステップと、
を備えることを特徴とする、退出予測システム。
ただし、動機付けアプローチとは、構成員に対して成績向上の動機づけを与えるための積極的アプローチを意味し、すくなくとも、構成員に対する励まし・助言・指導、構成員の意見(不満ないし悩み)の聞き取りを含む。
【0011】
(2)(基準化変量値)
前記座標表示ステップ、分類ステップに代えて、或いは前記座標表示ステップ、分類ステップに加えて、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標の組合せと、所属機関に在籍する全構成員の燃料指標及び満足度指標の平均点及び標準偏差に基づいて、燃料指標及び満足度指標それぞれの基準化変量の値を算出する在籍指数算出ステップを有するものとしてもよい。
【0012】
なお、基準化変量は以下の式で表される。
基準化変量 = (素点-平均点)÷標準偏差
【0013】
(3)所属機関に属する全ての構成員に対して、前記アプローチ付与ステップと、前記回答ステップと、前記満足度指標算出ステップと、前記燃料指標算出ステップとをそれぞれ行い、
所属機関に属する全ての構成員について、算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる共通の二次元マップ上に重複表示する座標重複表示ステップを行い、
前記座標重複表示ステップによる共通の二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
所属機関に属するすべての構成員について、二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類する分類ステップを行い、
所属する全構成員が分類された、当該所属機関における各分類領域の割合をチャート表示するチャート表示ステップを行うことを特徴とする、請求項1に記載の退出予測システム。
【0014】
(4)(学習機関における生徒の退出予測システム)
前記所属機関は、複数教科の各教科の担当指導員(先生)を有する学習機関(学校又は塾)からなり、
前記構成員は、当該学習機関に所属して定期的に複数教科の各成績を診断される生徒からなり、
前記回答ステップにおける質問リストは、少なくとも、
IQ及びEQのうちC、A、E、N、O、GRIT、頻度、建前、Gfの各指標に関するIQ/EQ質問群と、
所属機関自体、所属機関の担当指導員、所属機関の他の構成員、又は構成員自身の成績への評価乃至満足度に関する満足度/動機づけ質問群と、
構成員自身が受けている現在のストレスに関する質問群と、からなり、
前記燃料指標算出ステップは、
少なくとも、C、A、E、N、O、GRIT、頻度、建前、Gfのうち2つ以上の指標値の項と、構成員が受けた動機付けアプローチの指標値の項と、からなる加算項それぞれに所定の係数を乗じた加算式によって満足度指標を算出するものであり、
前記満足度指標算出ステップは、
少なくとも、C、A、E、N、O、GRIT、頻度、建前、Gfのうち2つ以上の指標値の項と、所属機関への満足度の指標値の項と、構成員のストレスの指標値の項と、からなる加算項それぞれに所定の係数を乗じた加算式によって満足度指標を算出することを特徴とする。
【0015】
(5)(関係者のアンケート回答に基づく関係者満足度を加算する「ギャップ機能」)
前記回答ステップは、退出傾向を予測して表示する、対象の構成員からのアンケート回答と、当該対象の構成員に関与する関係者からのアンケート回答とを入手するものであり、
前記満足度指標算出ステップは、回答ステップにより得られた前記関係者からの回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する指標値の加算項を更に加算してなることを特徴とする。
なお、さらに前記燃料指標算出ステップは、前記関係者による動機付けアプローチの指標値の加算項を更に加算してなるものとしてもよい。
上記に替えて、前記満足度指標算出ステップは、
回答ステップにより得られた前記関係者からの回答のみに基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する本人指標値の算出を行うと共に、
回答ステップにより得られた前記関係者からの回答のみに基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する関係者指標値の算出を行うものとし、
本人指標値と関係者指標値とを、対象者を同一とする別々の値として関連付けして保存するものとしてもよい。
この場合、前記座標重複表示ステップ、分類ステップ、チャート表示ステップは、本人回答による表示と、ギャップ機能による関係者回答に基づく表示とを切り替え可能に表示してもよく、或いは、本人指標値に基づくチャートと関係者指標値に基づくチャートを並べて、或いは重ねて併表示してもよい。
またさらには、本人指標値に基づくチャートの表示上に、本人指標値と関係者指標値を同時に表示してもよい。
或いは、本人指標値と関係者指標値に予め定められた閾値以上の差がある対象者のみを表示するものとしてもよい。
【0016】
(6)(団体指標表示システム)
本発明の団体指標表示システムは、主要5因子性格検査(ビッグ5)の5次元座標で考え、各点との距離を計算する:各指標の差の2乗の総和の平方根を算出するステップと、各点間距離が所定の閾値(例えば2 .2)以下の点を採用し、その中でも最小の値の該当タイプを、当該構成員の分類タイプに分類して、所属機関に属する全構成員の属性比率をチャート表示するステップと、を具備する。
【0017】
(7)(※関係者満足度を比較算出するギャップ機能)
前記(1)に記載の退出予測システムにおいて、
前記回答ステップは、退出傾向を予測して表示する、対象の構成員からのアンケート回答と、当該対象の構成員に関与する関係者からのアンケート回答とを入手するものであり、

前記満足度指標算出ステップは、
回答ステップにより得られた対象の構成員からの回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する満足度指標値と、
回答ステップにより得られた前記対称の構成員の関係者からの回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する関係者満足度指標とを、それぞれ算出するものであり、

前記座標表示ステップは、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標値からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元マップ上に表示すると共に、
各構成員について算出された燃料指標及び関係者満足度指標からなる関係者座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる前記二次元マップ上に重ねて表示すると共に、

前記分類ステップは、
前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類すると共に、
前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、関係者満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類して、
これら各分類を並表示することを特徴とする。
【0018】
(8)(※ギャップ値を比較値として算出)
前記(2)に記載の退出予測システムにおいて、
前記在籍指数算出ステップは、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標の組合せと、所属機関に在籍する全構成員の燃料指標及び満足度指標の平均点及び標準偏差に基づいて、燃料指標及び満足度指標それぞれの基準化変量の値を、「基準化変量 = (素点-平均点)÷標準偏差」の算出式によって算出すると共に、
各構成員について算出された燃料指標及び関係者満足度指標の組合せと、所属機関に在籍する全構成員の燃料指標及び関係者満足度指標の平均点及び標準偏差に基づいて、燃料指標及び関係者満足度指標それぞれの基準化変量の値を、「基準化変量 = (素点-平均点)÷標準偏差」の算出式によって比較値として算出する、退出予測システム。
【0019】
(9)(※ギャップ値の結果を並列表記)
前記(3)に記載の退出予測システムにおいて、
所属機関に属する全ての構成員に対して、前記アプローチ付与ステップと、前記回答ステップと、前記満足度指標算出ステップと、前記燃料指標算出ステップとをそれぞれ行うと共に、
所属機関に属する全ての構成員の特定の関係者に対して、前記回答ステップと、前記関係者満足度指標算出ステップと、前記燃料指標算出ステップとをそれぞれ行い、
所属機関に属する全ての構成員について、算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号と、算出された燃料指標及び関係者満足度指標からなる座標記号とを、第一座標軸と第二座標軸とからなる別個の二次元マップ上に並列表示する座標重複表示ステップを行い、
前記重複分類ステップによって並列表示して分類された、当該所属機関における各分類領域の割合を、別個のチャート形式で並列表示するチャート表示ステップを行う、退出予測システム。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、主要五因子及びGRIT及び動機付け付与アプローチ或いは満足度指標を組み合わせた質問群によるアンケート回答に基づいて、所属機関に属する構成員の将来の退出動向を予測して表示することのできる退出予測システム、及び退出予測を含む構成員の団体指標表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】退出予測システムの構成例の概念図。
図2】座標重複表示ステップにおける並列表示の例。
図3】チャート表示ステップにおける並列表示の例。
図4A】主要五因子カテゴリの概念図。
図4B】能力因子カテゴリの概念図。
図5】基本質問群の具体例。
図6】基本質問群の具体例。
図7】追加質問群Aの具体例。
図8】追加質問群Bの具体例。
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、実施例として示す各図とともに説明する。なお、以下において各種の用語の直後に数字又はアルファベットとして示す文字列は、実施例として図面を参酌するために便宜的に付した符号であり、文字列それ自体が概念を有するものではなく、用語の意義を限定するものでもなく、実施例等の構成に限定するものでもない。本発明の危惧者検出システムの処理システムは基本的に図1に示す構成からなる。
【0024】
本発明の退出予測システムは、
成績が定期的に評価される複数の構成員が所属機関に在籍していることを前提に、各構成員の所属機関への将来に亘る在籍維持率の低さ、すなわち退学、退塾、退社、中退などの退出可能性の高さを予測するシステムである。
【0025】
本体退出予測システムは例えば、図1に示すようなサーバーS、デバイスT1、デバイスT2からシステム構成され、このシステム構成によって、以下各ステップからなる退出予測方法を行うことで、在籍している構成員の退出予測を行うものである。
【0026】
退出予測を行った結果は、例えば図2に示すような、「高満足指標かつ高燃料指標」領域(右上)、「低満足指標かつ高燃料指標」領域(右下)、「低満足指標かつ低燃料指標」領域(左下)、「高満足指標かつ低燃料指標」領域(左上)、の4領域に領域分類した二次元マップ上にプロットした座標記号として出力される。各座標記号は、各構成員の「満足度指標-燃料指標」の算出座標を示す。
【0027】
各指標は例えば、図5図6(基本質問群)図7(追加質問群A)図8(追加質問群B)に示すアンケート在籍する構成員の回答に基づいて算出を行う。
【0028】
(本発明の退出予測方法)
本発明の退出予測方法によれば、所属機関に属する構成員それぞれの退出指標を算出することができる。また、所属機関に属する全構成員の退出指標を算出することで、図2に示すような、所属機関に在籍する全構成員の各退出指標の傾向を二次元マップとして出力することができ、また、図3に示すような、当該所属機関に在籍する全構成員の類型チャートを出力することができる。
【0029】
特に、図2に示すように、各退出指標の傾向を、満足度指標(高-低)を第一座標軸とし、燃料指標(高-低)を第二座標軸とした二次元マップにおいて、(燃料指標値、満足度指標値)の座標として出力算出することを特徴とする。
【0030】
(各構成員に対する退出予測方法)
各構成員に対する退出予測方法は、所属機関に属する各構成員に対して以下の各ステップを経て行われる。
・各構成員に対して、所定期間の間に複数の動機付けアプローチを与える動機付けアプローチ付与ステップと、
・各構成員に対して、複数の質問リストからなる選択式のアンケートの回答を取得する回答ステップと、
・回答ステップにより得られた回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する指標を算出する満足度指標算出ステップと、
・アプローチ付与ステップによって各構成員に与えた燃料指標を算出する燃料指標算出ステップと、
・前記燃料指標を第一座標軸とし、前記満足度指標を前記第一座標軸に交わる第二座標軸として、
各構成員について算出された燃料指標及び満足度指標からなる座標記号を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元マップ上に表示する座標表示ステップと、
・前記座標表示ステップによる二次元マップを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化して、
二次元マップ上における各構成員の座標記号が、前記複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを分類する分類ステップ。
【0031】
(動機付けアプローチ)
前記動機付けアプローチとは、構成員に対して成績向上の動機づけを与えるための積極的アプローチを意味し、すくなくとも、構成員に対する励まし・助言・指導、構成員の意見(不満ないし悩み)の聞き取りを含む。
【0032】
(全構成員に対する退出予測方法)
全構成員に対する退出予測方法は、所属機関に属する各構成員全員を対象として、以下の各ステップを経て行われる。
・所属機関に属する全ての構成員に対して、所定期間の間に複数の積極的アプローチを与えるアプローチ付与ステップと、
・所属機関に属する全ての構成員に対して、複数の質問リストからなる選択式のアンケートの回答を取得する回答ステップと、
・所属機関に属する全ての構成員に対して、回答ステップにより得られた回答のうち、特定の質問群の回答に基づいて、所属機関に対する各構成員の満足度に関する指標を算出する満足度指標算出ステップと、
・所属機関に属する全ての構成員に対して、アプローチ付与ステップによって各構成員に与えた燃料指標を算出する燃料指標算出ステップと、
・前記燃料指標を第一座標軸とし、前記満足度指標を前記第一座標軸に交わる第二座標軸として、
所属機関に属する全ての構成員について算出された燃料指標及び満足度指標を、第一座標軸と第二座標軸とからなる二次元チャート上にマップ表示するマップ表示ステップと、
・前記退出予測システムのマップ表示ステップによる二次元チャートを、燃料指標の高低分類と、満足度指標の高低分類との組合せからなる複数の分類領域に領域化する領域化ステップと、
・二次元チャート上にマップ表示された各構成員の燃料指標及び満足度指標の座標が、前記領域化ステップによる複数の分類領域のうちどの分類領域に属するかを判別する分類ステップと、
・所属機関に属するすべての構成員について、前記分類ステップを行い、
所属する全構成員が分類された、当該所属機関における各分類領域の割合をチャート表示するチャート表示ステップ。
【0033】
(回答ステップ)
回答ステップにおいては、図5図6(基本質問群)、図7(追加質問群A)、図8(追加質問群B)に示すアンケートの回答を、在籍する構成員から取得する。基本質問群と、追加質問群Aを組み合わせたアンケートにしてもよいし、さらに追加質問群Bを組み合わせたアンケートとしてもよい。各質問項目は、「企画時の備考」欄に示す評価要素の指標を得ることを目的としており、アンケートの対象者は「文言」欄に記載の対象者に限定され、指定の段階数値(1~3又は1~5)の数値による回答を得る。図5の例であれば、例えば「eq:70 中学生以上:どちらかというと無口です。」という質問項目を、中学生以上の構成員に対する質問項目とし、1、2、3のいずれかの数値選択による回答を得る。これにより、外向性の低さに関する指標を得ることができる。
【0034】
(アンケートによる質問項目の分類)
アンケートによる質問項目は、以下の[好奇心]に関する質問と、[満足度]に関する質問とに分類される。
【0035】
[好奇心]に関する質問
・[期待度]塾/学校への期待に関する質問項目
・[魅力度]塾/学校への魅力(肯定的評価)に関する質問項目
・[道具性]塾/学校の道具的使用に関する質問項目
[満足度]に関する質問群
【0036】
アンケートの質問項目は、構成員の学年(小学生低学年、小学生高学年、中学生、高校生、大学生、社会人)、所属機関の種別(塾、学校、専門学校)といった属性別に区分される。またアンケート対象者は、退出予測を行う該当の構成員自身に限らず、構成員の親、先生、兄弟、友人といった関連対象者を含む。
【0037】
(基本質問群の内容)
基本質問群は、図5図6に例示するような、主要五因子とGrit、Gfに関する質問である。
【0038】
(追加質問群Aの内容)
追加質問群Aは、図7に例示するような、基本質問群より変動しやすい指標(満足度や動機付け、学習方略など)を図る質問群である。具体的には、IQ指標のうちGs(処理速度), Gwm(作業記憶)に関する質問群A-IQと、EQ指標に関する質問群A-EQとに分類される。
【0039】
満足度質問群は、構成員の満足度に関する指標、又は、構成員が受けた動機付けアプローチ(指導、対話又は学習方略)に関する指標を算出するための質問群からなる。具体的には、以下が挙げられる。
【0040】
人生に対する満足度、自分の時間に対する満足度、学校に対する満足度、家に対する満足度、塾に対する満足度、先生に対する満足度、実践的利用価値を先生が言っているか、制度的利用価値を先生が言っているか、利用価値の自己生成について先生が言っているか、テスト不安、過去の成績、戦略的アプローチ、深いアプローチ、表面的アプローチ、出席に対する自己効力感、成績に対する自己効力感、学習に対する競争心、学習に対する魅力、学習に対する道具性-制度的利用価値、学習に対する道具性-実践的利用価値、先輩との関係、家族との関係、友達との関係、家族構成、家にある物、本(雑誌や漫画以外)の数、本(雑誌や漫画)の数、家庭での会話、習い事、自分の時間の使い方、お小遣い、お出かけ頻度
【0041】
(所属機関への満足度の指標)
上記満足度質問群への回答によって、所属機関への満足度の指標の加算項を算出することができる。
構成員に複数の動機付けアプローチを行う程、本項の指標値が高くなる傾向にある。
【0042】
(追加質問群Bの内容)
追加質問群Bは、図8に例示するような、ストレッサー、ソーシャルサポート、ストレス反応といった、ストレス関連の指標を算出するための質問群である。
【0043】
(在籍指数Eiと退塾指数Wi・退学指数Di)
在籍指数Eiは、構成員が将来に亘って所属機関に在籍し続ける統計的確率を示す指標である。在籍指数が高いほど、当該構成員が将来に亘って所属機関へ在籍する期間(日数)が長いことを示す。退塾指数Wi・退学指数Diはいずれも、この在籍指数Eiの一形態であり、それぞれ所属機関が塾の場合、学校の場合の指標である。在籍指数Eiが高いことはそのまま退塾・退学指数Wi・Diが高いことを示す。
退塾指数Wi・退学指数Diの実際の計算式はパラメータ及び係数が異なるため別々の計算式によって算出される。(但し、実施例の画面では「在籍指数」として表示している。)
なお、所属機関は他に、営利・非営利の事業団体、ボランティア、思想活動、政治活動などの活動団体、学会、試験機関などの研究団体、運動、遊戯などのスポーツ・遊戯団体などが挙げられ、それぞれの所属機関の在籍指数が具体的な指標の計算式によって算出される。
【0044】
(算出式の具体的な式内容)
以下、塾の在籍指数Eiである退塾指数Wi、学校の在籍指数Eiである退学指数Diの具体例を示す。
(算出ステップの基本加算項の例)
算出ステップの基本加算項としては、少なくともC、A、E、N、O、GRITの各因子の項が挙げられ、好ましくは前記6つの項に加えて、頻度、建前、Gfが追加される。
【0045】
但し、C、A、E、N、Oは図4に示す主要五因子であり、各加算項アンケートの回答値に基づいて各因子の指標値が一つずつ定められる。
【0046】
また、これら基本加算項を加算した基本加算式とする際は、これら基本加算項に夫々予め設定した係数を乗じて、アンケートの回答値に基づいて各項の指標が同じ最大値を持つように各項が調整される。
【0047】
(算出ステップの他の加算項の例)
算出ステップの他の加算項の例として、下記のa~eまたはA~Hの項目が挙げられる。
+a(塾に対する満足度÷4)
+b(先生に対する満足度合計素点÷6÷評価した先生の数)
+c(成績に対する自己効力感÷評価した教科の数)
+d(習い事、クラブ)
+e((家にある物+本(雑誌や漫画以外)の数+本(雑誌や漫画)の数)÷3)
+A(学校に対する満足度÷4)+B(先生に対する満足度合計素点÷6÷評価した先生の数)
+C(過去の成績÷20)
+D(成績に対する自己効力感÷20)
+E(((学習に対する魅力÷3)+(学習に対する道具性-制度的利用価値÷3)+(学習に対する道具性-実践的利用価値÷3))÷3)
+F(((先輩との関係÷4)+(ソーシャルサポートの合計素点÷4÷5))÷2)
+G(ストレス反応の合計素点÷4÷4)
+H((家にある物+本(雑誌や漫画以外)の数+本(雑誌や漫画)の数)÷3)
【0048】
(退塾指数Wi)
退塾指数Wiは下記数式1で算出される。但し、実施例の画面では退塾指数をその上位概念である「在籍指数」として表示している。
【0049】
(数式1)
Wi= 0C+0A+0E+0N+0O+0GRIT+0頻度+0建前+0Gf
+a(塾に対する満足度÷4)
+b(先生に対する満足度合計素点÷6÷評価した先生の数)
+c(成績に対する自己効力感÷評価した教科の数)
+d(習い事、クラブ)
+e((家にある物+本(雑誌や漫画以外)の数+本(雑誌や漫画)の数)÷3)
【0050】
上記算出式は、主要五因子と、Grit(やり抜く力)と、満足度指数aと、所属機関への評価指数bと、自己評価指数cと、他の所属機関への所属指数dと、所有物指数eとの加算項による組み合わせ式からなる。
【0051】
ただし、各項の「0」は所定の係数であり、初期値として設定されるか或いは重回帰分析によって修正される。
【0052】
(中退指数Di)
また、中退指数Diは例えば下記数式2で算出される。但し、実施例の画面では退塾指数をその上位概念である「在籍指数」として表示している。
【0053】
(数式2)
Di= 0C+0A+0E+0N+0O+0GRIT+0頻度+0建前+0Gf
+A(学校に対する満足度÷4)
+B(先生に対する満足度合計素点÷6÷評価した先生の数)
+C(過去の成績÷20)
+D(成績に対する自己効力感÷20)
+E(((学習に対する魅力÷3)+(学習に対する道具性-制度的利用価値÷3)+(学習に対する道具性-実践的利用価値÷3))÷3)
+F(((先輩との関係÷4)+(ソーシャルサポートの合計素点÷4÷5))÷2)
+G(ストレス反応の合計素点÷4÷4)
+H((家にある物+本(雑誌や漫画以外)の数+本(雑誌や漫画)の数)÷3)
【0054】
但し、Gf:知能テストによる測定知能である。
上記算出式は、主要五因子と、Grit(やり抜く力)と、満足度指数Aと、所属機関への評価指数bと、自己評価指数cと、他の所属機関への所属指数dと、所有物指数eとの加算項による組み合わせ式からなる。
【0055】
各項の「0」は所定の係数であり、初期値として設定されるか或いは重回帰分析によって修正される。
【0056】
(類型論の算出方法)として、下記のような各点距離によるプロット分類を行う。
(1)
基準化変量を求める:基準化変量 = (素点-平均点)÷標準偏差
(2)
主要5因子性格検査(ビッグ5)の5次元座標で考え、各点との距離を計算する:各指標の差の2乗の総和の平方根を算出する。
(3)
距離が2 .2以下の点を採用し、その中でも最小の値の該当タイプを、当該構成員の分類タイプに分類する。
(4)
採用されなかった人は「その他」に分類する。
【0057】
表1として下記のプロット例を挙げる。
5次元座標 N
E
O A C
Average(平均的) -0.61
0.46 -0.66 0.21 0.27
Self-centered(奔放) 0.34 0.67 -0.88 -0.41 -0.7
Reserved(控えめ) 0.71 -0.18 -0.9
0.06 0.28
Role model(模範的) 0.97 0.69 0.5 0.64 0.8
Oters(その他)
【0058】
ただし、Nは情緒不安定性、Eは外向性、Oは経験への開放性、Aは協調性、Cは誠実性を指す。
【0059】
(満足度について)
追加質問群A前を受けている、A後は受けていない場合、
塾(学校)の学生:
(3EvaE1+EvaE2+EvaE3+EvaE4)/6 (min=1,Max=5,中心=3)
教員:SatW1 (min=1,Max=5,中心=3)
保護者:(EvaEX1+EvaEX2+EvaEX3+EvaEX4)/4 (min=1,Max=5,中心=3)
【0060】
追加質問群A前を受けている、A後は受けている場合、
塾の学生:(SatL+(3EvaE1+EvaE2+EvaE3+EvaE4)/6+SatH+SatM+SatS)/5 (min=1,Max=5,中心=3)
学校の学生:(SatL+(3EvaE1+EvaE2+EvaE3+EvaE4)/6+SatH+SatM)/4 (min=1,Max=5,中心=3)
教員:(SatL+SatW+SatH+SatM)/4 (min=1,Max=5,中心=3)
保護者:(6EvaEY1+EvaEY2+EvaEY3+EvaEY4+EvaEY5+EvaEY6+EvaEY7)/12 (min=1,Max=5,中心=3)
【0061】
(積極的アプローチ(燃料)について)
積極的アプローチ(燃料)は、所属機関への在籍傾向を肯定的に示すパラメーターである。
追加質問群A前を受けている、A後は受けていない場合、
塾(学校)の学生:
(EffA+EffG+MotLP+MotLS+MotLL+MotLC)/6 (min=1,Max=5,中心=3)
大学の学生:(EffA+EffG+MotLP+MotLS+MotLL+MotLC+ComU+ComG)/8 (min=1,Max=5,中心=3)
教員:(EffG+MotLP+MotLS+MotLL+MotLC)/5 (min=1,Max=5,中心=3)
保護者:(ExpU+ExpP+MotLP+MotLS+MotLL+MotLC)/6 (min=1,Max=5,中心=3)
【0062】
(退出者の検出方法)
本発明の退出危惧者検出システムの処理プログラムによる退出危惧者の検出方法は、
対象候補者それぞれが試行する選択式のテストの入力結果によって、候補者それぞれのIQ指標値、EQ指標値、及びGRIT指標値を割出す第一ステップと、
システム内で設定ないし調整された、各指標値の多項式からなる算出式によって、退出指標を算出する第二ステップと、
グループ属性によって対象者を抽出して並び替えを行う第三ステップと、
対象者グループ内の下位所定割合未満又は所定割合以下に属する対象者を危惧者として検出して表示する第四ステップとからなる。
【0063】
ここで、前記第二ステップにおいて使用される算出式は、
論文として公表され又は塾、学校などの成績管理機関によって記録された、過去の将来の退出(退学、退塾、退社、中退)動向又は交友関係悪化動向と、各指標値とからなるデータの入力を一定期間ごとに受け付けて蓄積する蓄積ステップと、
入力されるデータによって、設定された多項式の係数を重回帰分析によって調整する調整ステップと、によって更新される。
【0064】
蓄積ステップ及び調製ステップが繰り返されることで、算出時点で最新の係数に更新された算出式が第二ステップで用いられる。
【0065】
(第一ステップ)
第一ステップでは、候補者の選択式のテストの入力結果に基づき、IQ,EQ,GRITの各指標値を導出して候補者の識別タグと共に記憶する。後述のように、本人評価に加えて他人評価を行う場合は、本人評価による各指標値の導出・記憶に加えて、第三者評価による各指標値の導出値と当該第三者の属性データとからなる追加データが、ギャップ機能として、当該候補者の識別タグデータと共に追加記憶される。
【0066】
(ギャップ機能(測定者による数値差の比較)について)
ギャップ機能とは、例えば、 AさんのIQ,EQをAさん自身が本人測定として検査をして測った数値と、AさんのIQ,EQをAさん以外の人が第三者測定として検査をして測った数値とを比較する機能である。第一ステップにおいては、本人測定による各指標値の記憶データに加えて、第三者測定者による各指標値が、第三者測定データとして追加記憶される。また、本人測定による各指標値と第三者測定による各指標値のギャップ(値の差)を追加記憶してもよい。
【0067】
(第二ステップ)
第二ステップでは、候補者の選択式のテストの入力結果に基づき導出されたIQ,EQ,GRITの各指標値を、記憶した内部で予め設定及び調整された各動向の算出式を用いて、各動向の危惧値を算出し、候補者ごとに危惧値及び算出式を紐づけて記憶する。
【0068】
ただし、検出したい動向毎に予め複数設定された複数の算出式を用いて、複数の動向に関する各危惧値を識別タグと共に記憶してもよく、テストの入力結果は候補者本人による入力だけでなく父親、母親又は担当教員による入力結果を追加記憶してもよい。
【0069】
(算出式)
検出したい動向に応じて、「IQ指標値の項とEQ指標値の項及び属性項からなる多項式」を危惧値の算出式として一つ設定する。各項は調整係数を乗じた形となっており、調整係数は予め定められた基準に基づいて設定された初期値か、設定又は調整されたのちに調整ステップによって調整された調整値が用いられる。係数を調整した場合、原則として、最新の係数が最新の値として用いられる。
【0070】
将来の退出(退学、退塾、退社、中退)動向FVgに関する算出式は具体的には、IQ指標値の一要素であるGf(流動性知能)の項に係数αを乗じたα‘
Gf’項と、EQの一要素である‘C’(勤勉性)指標値の項に係数βを乗じたβ‘C’項と、‘GRIT’(やり抜く力/情熱) 指標値の項‘GRIT’に係数γを乗じたγ‘GRIT’項、すなわち、
αGf+βC+γGRITの基本項を有し、この基本項に、属性に関する一つ以上の加算項(属性項)を加算した下式からなる。
【0071】
(式1)
FVg=αGf+βC+γGRIT
+δY+εS+ζN+ηD+ιBs+κBps+λCl+μAdm+νAdf
【0072】
交友関係悪化動向FVfに関する算出式は具体的には、N(情緒安定性)の項に計数αを乗じたαN項と、EQの一要素であるE(外向性)指標値の項に計数βを乗じたβF項と、EQの一要素であるA(協調性)指標の項に計数γを乗じたγA項、すなわち
αN+βE+γA を基本項とし、この基本項に、属性に関する一つ以上の加算項(属性項)を加算した下式からなる。
(式2)
FVf=αN+βE+γA
+δY+εS+ζN+ηD+ιBs+κBps+λCl+μAdm+νAdf
【0073】
(加算項)
また算出式の加算項として、候補者の年齢Y、性別S、国籍N、志望校D、所属学校Bs、所属学習機関Bps、さらに各所属学校又は各所属学習機関における所属クラスCl、母親/父親との年齢差Adm/Adfといった、国籍性差又は環境差に基づく各属性項を予め加算して設定することが好ましい。
加算項は、例えば下記の式からなる。
(式3)
δY+εS+ζN+ηD+ιBs+κBps+λCl+μAdm+νAdf
(但し、加算項の設定は任意)
【0074】
属性項を加算項とする場合、係数はあらかじめ定められたルールに基づいて任意の値で設定される。例えば、係数性別Sの係数の設定値を、予め男性は0、女性は1と設定しておくことで、(1・)Sの項がついた算出式は必ず女性の候補者となり、ソート条件のタグ情報を付加することなく、多数の候補者から対象者の算出式の抽出が容易に行われる。
【0075】
特に前記加算項として、候補者が将来志望する可能性のある複数の志望校の項を加算しておき、志望度合いに応じて予め係数設定しておくこともできる。このようにすることで、第三ステップにおいて、各候補者の志望校の志望度合いを考慮した抽出が可能となる。
【0076】
例えば年齢Y=16才、性別S=男性、国籍N=日本、志望校D=x大学、y大学、z大学、所属学校Bs=p学校、所属学習機関Bps=q学習塾、さらに各所属学校又は各所属学習機関における所属クラスCl=sクラス、母親/父親との年齢差Adm/Adf=7/6、といった属性項を加算項とする場合は、
16Y+0S+81N+11D+12D+13D+14D+101Bs+11Bps+2C+7Adm+6Adf、といった加算項となる。なお上記加算項において、係数は任意設定された値の例である。
【0077】
(属性区分)
加算項における属性区分は、対象生徒の属性ラベルを入力データソートするための区分である。例えば、
男性か女性かを示す「S0/S1」いずれかのSコード、国籍を示す「N+国番号」のNコード、所属機関を示す「B+所属番号」のBコード、学年を示す「G+学年数値」のGコード、クラスを示す「Cl+クラス数値」のClコード、からなる。
【0078】
具体的には、入力ステップにおいて候補者又はその保護者(母親又は父親)、指導教員によって以下の事項が入力される。
・本人が思う本人のGf,Gs,Gwm, ‘GRIT’,E,O,N,C,A,性別,生年月日,
・第三者から見た本人の‘GRIT’,E,O,N,C,A,当該第三者の生年月日
・偏差値SS
・保護者が望む塾に期待することH(習慣付け/意識変化/知識教授/成績向上/)
・期待する指導方法T(厳しい/中間/緩い)
・学習管理の仕方M(厳格化/現状維持/弛緩化)
・他の習い事(有無)
・本人がどれだけ家族と接しているか(頻繁/適度/稀有)
・兄弟姉妹構成(兄/姉/弟/妹の有無)
【0079】
上記入力データ列のうち、以下の項目は例えば下記にあげるデータ値として入力される。
・保護者が望む塾に期待すること、期待する指導方法、学習管理の仕方、=肯定的/否定的、抽象的/具体的、楽観的/悲観的の属性判別による0/1値
・習い事=(有0/無1)、
・「本人がどれだけ家族と接しているか」=数値(一週間の接触時間)、「兄弟姉妹構成」なら(兄姉姉妹の4ケタ数(1001など)
【0080】
(ギャップ機能)
第一ステップでは、一の候補者を対象とした選択式テストの入力によって当該候補者の指標値が決定され記憶される。本人評価による入力に基づいて、各指標値が導出され、当該候補者の識別タグと共に記憶される。その後の第二ステップで、各指標値の値が使用する算出式の各項値としてあてはめられることで、本人評価による在籍指数(退塾・退学指数)が算出され、記憶される。
【0081】
但し、同一の候補者であっても、本人が選択式テストを入力した本人評価と、父親/母親又は指導教員が選択式テストを入力した他人評価とでは入力結果が異なる。このため、本人評価による各指標値の算出結果を記憶するだけでなく、他人評価による各指標値の算出結果を参照値として追加記憶し、参照値を追加情報として記憶させることができる(ギャップ機能)。参照値を追加情報として記憶させた場合、その後の第二ステップで、各指標値の値が使用する算出式の各項値としてあてはめられることで、他人評価による参照在籍指数(退塾・退学指数)が算出され、前記本人評価による在籍指数(退塾・退学指数)と紐づけて記憶される。
【0082】
本人評価によるだけでなく他人評価による指標値を参照値として記憶しておき、本人評価によって算出された在籍指数(退塾・退学指数)だけでなく、第三者によって算出された在籍指数(退塾・退学指数)を記憶しておき、次のステップにおいて本人評価の在籍指数(退塾・退学指数)の表示と共に参照在籍指数(退塾・退学指数)をギャップ機能として参照表示することで、評価者による在籍指数(退塾・退学指数)の値同士を比較することができる。
【0083】
(指標の種類)
本システムで用いる在籍指数(退塾・退学指数)の算出結果は、各対象者の将来の所属機関からの退出(退学、退塾、退社、中退)の傾向の表示だけでなく、当該対象者の属性(学校、塾、所属団体のほか、性別、国籍、地域、家族構成など)ごとの団体指標として表示することができる。すなわち所属する構成員それぞれの所属機関は構成員の属性指標に置き換えた所属グループとして定義することができる。これにより、所属機関の区分を団体のパラメータ指標として概念することができる。
また、所属団体から構成員に継続的なアプローチ(生活指導や補講、個別面談、テスト、講演会、鑑賞会など)を行い、アプローチによる在籍指数の傾向の変化を、図2図3のような属性分布画面で検証することができる。これにより、アプローチの内容と在籍指数の変化との関連性、例えば団体傾向におけるプロットのシフト方向、シフト量を表示画面によって数値化し、また「見える化」によって直観的に把握することができる。
【0084】
本発明は将来の退出(退学、退塾、退社、中退)、交友関係悪化をはじめとした各機関からの退出者又は退出危惧者の検出システムとして利用できるほか、人を対象とした将来の動向予測ログラム或いはこれを含むアプリケーションとして利用することができる。
【0085】
また、数か月後又は数年後の実際の退出動向と連動させることで、算出式にフィードバックさせることができる。退出動向の設定処理として、例えば、退出(退学、退塾、退社、中退)の時期、交友関係悪化の時期、就業後の離職の時期、退出の形態といった情報を設定することができる。なお、これらのネガティブな情報はIQ,EQ,GRITの指標値との相関性が比較的顕著であり、また結果の判別が比較的明確であるため、将来の危惧者を予測して示すという本発明の退出傾向の検出システムに適している。
【0086】
その他、本発明は上記した実施形態に関わらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更、構成の組合せ、順番の組み替え、公知構成への置換が可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8