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特開2023-1108763Dマルチスケールモデリングのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110876
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】3Dマルチスケールモデリングのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20230802BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20230802BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20230802BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/27
G06F30/12
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006238
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】17/587,214
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514180812
【氏名又は名称】ダッソー システムズ アメリカス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピエール イヴ メシン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョセフ ドイル
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC01
5B146DC03
5B146DC04
5B146DL08
5B146EA15
5B146EC04
(57)【要約】
【課題】3Dマルチスケールモデリングのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】方法は、所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成する。方法は、生成されたアーチファクトモデルに基づいて、3Dシステムの一連の表示モデルを修正する。一連の修正には、属性、特徴、およびアーチファクトを、所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールで、一連の表示モデルのうちの表示モデルにマッピングすることを含む。マッピングは、所与のスケールで一連の表示モデルのうちの所与の表示モデルを、およびより高いスケールまたはより低いスケールで表示モデルをブリッジする。方法は、修正された一連の表示モデルに関連して、アーチファクトモデルをデータベース内に自動的に格納し、それによって3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデルを生成するためのコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法が、
所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成することと、
生成された前記アーチファクトモデルに基づいて、前記3Dシステムの一連の表示モデルを修正することであって、前記修正することが、前記属性、特徴、およびアーチファクトを、前記一連の表示モデルのうちの表示モデルに、前記所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールでマッピングすることを含み、前記マッピングすることが、前記一連の表示モデルのうちの所与の表示モデルを、前記所与のスケールで、および前記表示モデルを前記より高いスケールまたはより低いスケールでブリッジする、修正することと、
修正された前記一連の表示モデルと関連して前記アーチファクトモデルをデータベース内に自動的に格納し、それによって前記3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記データベース内にモデル情報を自動的に格納することをさらに含み、
前記モデル情報が、前記一連の表示モデルが対応する、開始情報、訓練データセット情報、学習方法情報、補助データ、測定データもしくは予測データ、またはそれらの組み合わせを表し、
前記モデル情報が、前記一連の表示モデル、前記アーチファクトモデル、またはそれらの組み合わせと前記データベース内で関連付けられ、
前記アーチファクトモデルを生成することが、機械学習を介して、自動的に、前記属性、特徴、およびアーチファクトを識別することを含み、
前記識別することが、前記所与のスケールで実施される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記機械学習が、深層学習、敵対的学習、遺伝的もしくは進化的方法、他のモデリングもしくはモデリングに対するセグメンテーション分類アプローチ、またはそれらの組み合わせを利用することを含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
1組のサンプルの体系的な試験結果に対して前記機械学習を実行することをさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
閉ループで、または少なくとも一つの最適化基準に従って前記機械学習を制御することと、
性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、またはそれらの組み合わせに基づいて、前記機械学習を反復的に実行することと、
前記閉ループを介して、または前記少なくとも一つの最適化基準に従って、前記性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、または前記それらの組み合わせが満たされているかどうかを判定することと、をさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
(i)製造プロセスに基づいて、前記一連の表示モデルのうちの少なくとも一つの表示モデルを生成すること、および(ii)前記製造プロセスを介して製造される複数の試験クーポンの特徴を利用することによって、前記一連の表示モデルを生成すること、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記一連の表示モデルの各表示モデルが、複数のスケールの異なるスケールで構築され、前記複数のスケールが、前記所与のスケールを含み、前記コンピュータ実装方法が、前記複数のスケールの各スケールでそれぞれのアーチファクトモデルを生成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
訓練段階で、少なくとも一つのそれぞれの訓練データセットに基づいて、前記一連の表示モデルを訓練することと、
実行段階で、前記3Dマルチスケールモデルを実行することであって、前記実行することが、前記3Dシステムでの故障の発症の予測を作製する、実行することと、
検証段階で、前記一連の表示モデルに対する測定データまたは予測データ入力に基づいて前記一連の表示モデルおよびアーチファクトを再学習することによって、前記実行段階で作製される前記予測の精度を改善することと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記3Dシステムが、建築システム、構成要素、材料、または構造であり、前記構造が、i)複数の原材料もしくは中間材料、またはii)前記複数の原材料もしくは中間材料の混合物または調合物を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記3Dシステムが現実世界のシステムであり、前記一連の表示モデルの各表示モデルが、異なるスケールで構築され、前記異なるスケールが、化学-物質スケール、材料-物質スケール、工学-設計スケール、工学-製造-プロセススケール、システム寿命スケール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデルを生成するためのコンピュータベースのシステムであって、前記コンピュータベースのシステムが、
少なくとも一つのメモリと、
前記少なくとも一つのメモリに結合された少なくとも一つのプロセッサであって、前記少なくとも一つのプロセッサが、
所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成することと、
生成された前記アーチファクトモデルに基づいて、前記3Dシステムの一連の表示モデルを修正することであって、前記修正することが、前記属性、特徴、およびアーチファクトを、前記一連の表示モデルのうちの表示モデルに、前記所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールでマッピングすることを含み、前記マッピングすることが、前記一連の表示モデルのうちの所与の表示モデルを前記所与のスケールでおよび前記表示モデルを前記より高いスケールまたはより低いスケールでブリッジする、修正することと、
修正された前記一連の表示モデルと関連して、前記アーチファクトモデルをデータベース内に自動的に格納し、それによって前記3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成することと、を実行するように構成される、少なくとも一つのプロセッサと、を備える、コンピュータベースのシステム。
【請求項12】
前記少なくとも一つのプロセッサが、モデル情報を前記データベース内に自動的に格納するようにさらに構成され、
前記モデル情報が、前記一連の表示モデルが対応する、開始情報、訓練データセット情報、学習方法情報、補助データ、測定データもしくは予測データ、またはそれらの組み合わせを表し、
前記モデル情報が、前記一連の表示モデル、前記アーチファクトモデル、またはそれらの組み合わせと前記データベース内で関連付けられ、
前記アーチファクトモデルを生成することが、機械学習を介して、自動的に、前記属性、特徴、およびアーチファクトを識別することを含み、
前記識別することが、前記所与のスケールで実施される、請求項11に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項13】
前記機械学習が、深層学習、敵対的学習、遺伝的もしくは進化的方法、他のモデリングもしくはモデリングに対するセグメンテーション分類アプローチ、またはそれらの組み合わせを利用することを含む、請求項12に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つのプロセッサが、1組のサンプルの体系的な試験結果に対して前記機械学習を実施するようにさらに構成される、請求項12に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
閉ループで、または少なくとも一つの最適化基準に従って前記機械学習を制御することと、
性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、またはそれらの組み合わせに基づいて、前記機械学習を反復的に実行することと、
前記閉ループを介して、または前記少なくとも一つの最適化基準に従って、前記性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、または前記それらの組み合わせが満たされているかどうかを判定することと、を実行するようにさらに構成される、請求項12に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
(i)製造プロセスに基づいて、前記一連の表示モデルのうちの少なくとも一つの表示モデルを生成すること、および(ii)前記製造プロセスを介して製造される複数の試験クーポンの特徴を利用することによって、前記一連の表示モデルを生成するようにさらに構成される、請求項11に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項17】
前記一連の表示モデルの各表示モデルが、複数のスケールの異なるスケールで構築され、前記複数のスケールが、前記所与のスケールを含み、前記少なくとも一つのプロセッサが、前記複数のスケールの各スケールでそれぞれのアーチファクトモデルを生成するようにさらに構成される、請求項11に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項18】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
訓練段階で、少なくとも一つのそれぞれの訓練データセットに基づいて、前記一連の表示モデルを訓練することと、
実行段階で、前記3Dマルチスケールモデルを実行して、前記3Dシステムでの故障の発症の予測を作製することと、
検証段階で、前記一連の表示モデルに対する測定データまたは予測データ入力に基づいて前記一連の表示モデルおよびアーチファクトモデルを再学習することによって、前記実行段階で作製される前記予測の精度を改善することと、を実行するようにさらに構成される、請求項11に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項19】
前記3Dシステムが、建築システム、構成要素、材料、または構造であり、前記構造が、i)複数の原材料もしくは中間材料、またはii)前記複数の原材料もしくは中間材料の混合物または調合物を含む、請求項11に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項20】
3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデルを生成するための非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読媒体が、少なくとも一つのプロセッサによってロードおよび実行されるとき、前記少なくとも一つのプロセッサに、
所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成することと、
生成された前記アーチファクトモデルに基づいて、前記3Dシステムの一連の表示モデルを修正することであって、前記一連の修正が、前記属性、特徴、およびアーチファクトを、前記一連の表示モデルのうちの表示モデルに、前記所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールでマッピングすることを含み、前記マッピングすることが、前記一連の表示モデルのうちの所与の表示モデルを前記所与のスケールでおよび前記表示モデルを前記より高いスケールまたはより低いスケールでブリッジする、修正することと、
修正された前記一連の表示モデルと関連して、前記アーチファクトモデルをデータベース内に自動的に格納し、それによって前記3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成することと、を実行させる一連の命令を媒体上に符号化させている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dマルチスケールモデリングのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品およびプロセスの挙動を多重スケールで理解し、制御する必要性の高まりを考慮すると、マルチスケールモデリングおよびシミュレーションは、応用科学および工学における焦点研究分野として浮上してきた。マルチスケールモデリングとは、異なるスケールで複数のモデルを使用して、システム、例えば、現実世界のシステムを説明する、モデリングの様式を指す。マルチスケールモデルでは、方法は、一つのスケールで情報を変換し、別のスケール、すなわち、「スケールブリッジング」または「スケールリンケージ」と呼んでもよいプロセスに転送する。スケールブリッジング/リンケージのアプローチが存在し、二つの一般的な種類がある。設計工学スケールに対する材料/調合物については、既存のアプローチは、実証的適合を使用してデータをリンクする。製造スケールに対する設計工学については、統計プロセスモデルが存在する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示されるコンピュータ実装方法およびシステムの例示的な実施形態は、3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデリングおよびシミュレーションに関する。本明細書に開示される例示的な実施形態は、複雑な複合システムに関して記載されてもよいが、実施形態は、それに限定されず、任意の材料、混合物、または調合されたおよび製造されたシステムに対して、より広範な文脈で使用されてもよい。
【0004】
複数の材料(例えば、非限定的な例として表面コーティングを有する材料)からなる構造を、本明細書に開示される例示的な実施形態を介してモデル化し、現実世界の材料をより良好に表すことができる。こうした例示的な実施形態は、非限定的な例として、一つ以上の材料からプロセスを用いて製作された試験クーポンのセットに対して、原子状物質スケール属性を測定された属性にマッピングするための化学的および物理的に現実的なモデルを生成しうる。これは、バルクスケールおよびナノメートルスケール以上の材料性能のシミュレーションを改善するのに有用である。
【0005】
こうした現実的なモデルもまた、非局所現象および非平衡現象を研究し、非限定的な例として環境における化学的分解などの長期スケールの属性を理解できるようにするため、有用である。こうした現実的なモデルのシミュレーションにより、非限定的な例として、(コンピュータベースの仮想世界の)材料がどのように変化するか(例えば、エージング、寿命)、および材料が設計、安全性、寿命などに関してどのように機能するかの予測が可能となる。こうしたシミュレーションの結果は、モデルが基づく現実世界のシステムを修正するために使用することができる。例えば、実施形態を使用して、現実世界のシステムの障害を予測し、現実世界のこうしたシステムの設計を修正することができる。
【0006】
例示的な実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成する。コンピュータ実装方法は、所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成することを含む。コンピュータ実装方法は、生成されたアーチファクトモデルに基づいて、3Dシステムの一連の表示モデルを修正することをさらに含む。修正することは、所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールで、一連の表示モデルのうちの表示モデルに、属性、特徴、およびアーチファクトをマッピングすることを含む。マッピングは、所与のスケールでの一連の表示モデルのうちの所与の表示モデル、およびより高いスケールまたはより低いスケールでの表現モデルの所与の表示モデルをブリッジする(時間および空間)。コンピュータ実装方法は、修正された一連の表示モデルと関連して、アーチファクトモデルをデータベース内に自動的に格納し、それによって3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成することをさらに含む。
【0007】
コンピュータ実装方法は、モデル情報をデータベース内に自動的に格納することをさらに含んでもよい。モデル情報は、一連の表示モデルが対応する、開始情報、訓練データセット情報、学習方法情報、補助データ、測定もしくは予測データ、またはそれらの組み合わせを表しうる。モデル情報は、一連の表示モデル、アーチファクトモデル、またはそれらの組み合わせとデータベース内で関連付けられてもよい。アーチファクトモデルを生成することは、機械学習を介して自動的に、属性、特徴、およびアーチファクトを識別する(決定する)ことを含みうる。識別(決定)は、所与のスケールで行われてもよい。しかしながら、識別(決定)は、より低いスケール詳細またはより高いスケール性能特徴からなど、他のスケール情報を組み込みうることが理解されるべきである。より低いスケールは、所与のスケールと比較して低く、より高いスケールは、所与のスケールと比較して高い。
【0008】
機械学習は、非限定的な例として、深層学習、敵対的学習、遺伝的もしくは進化的方法、他のモデリングもしくはモデリングに対するセグメンテーション分類アプローチ、またはそれらの組み合わせを利用することを含みうる。
【0009】
コンピュータ実装方法は、1組のサンプルの体系的な試験結果に対して機械学習を実行することをさらに含みうる。
【0010】
コンピュータ実装方法は、非限定的な例として、閉ループで、またはパレート最適化分析を介して決定されるパレート最適化など、少なくとも一つの最適化基準に従って機械学習を制御することをさらに含んでもよい。コンピュータ実装方法は、機械学習を、性能基準(例えば、非限定的な例として最終降伏強度)、収束閾値(例えば、非限定的な例に対する、1%、5%など)、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、またはそれらの組み合わせに基づいて、反復的に実施することをさらに含みうる。コンピュータ実装方法は、閉ループを介して、または少なくとも一つの最適化基準に従い、性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、またはそれらの組み合わせが満たされているかどうかを判定することをさらに含んでもよい。
【0011】
コンピュータ実装方法は、(i)製造プロセスに基づいて、一連の表示モデルのうちの少なくとも一つの表示モデルを生成すること、および(ii)製造プロセスを介して製造される複数の試験クーポンの特徴を利用すること、によって、一連の表示モデルを生成することをさらに含んでもよい。
【0012】
一連の表示モデルの各表示モデルは、複数のスケールの異なるスケールで構築されてもよく、複数のスケールは、所与のスケールを含む。コンピュータ実装方法は、複数のスケールの各スケールでそれぞれのアーチファクトモデルを生成することをさらに含んでもよい。
【0013】
コンピュータ実装方法は、訓練段階で、少なくとも一つのそれぞれの訓練データセットに基づいて、一連の表示モデルを訓練することをさらに含みうる。コンピュータ実装方法は、実行段階で、3Dシステムでの故障の発症の予測を作製する、3Dマルチスケールモデルを実行することをさらに含んでもよい。コンピュータ実装方法は、検証段階で、一連の表示モデルに対する測定データまたは予測データ入力に基づいて一連の表示モデルおよびアーチファクトモデルを再学習することによって、実行段階で作製される予測の精度を改善することをさらに含んでもよい。
【0014】
3Dシステムは、建築システム、構成要素、材料、または構造であってもよい。構造は、i)複数の原材料もしくは中間材料、あるいはii)複数の原材料もしくは中間材料の混合物または調合物を含みうる。
【0015】
3Dシステムは、現実世界のシステムであってもよい。一連の表示モデルの各表示モデルは、異なるスケールで構築されてもよい。異なるスケールは、化学-物質スケール、材料-物質スケール、工学-設計スケール、工学-製造-プロセススケール、システム寿命スケール、またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0016】
別の例示的な実施形態によると、3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデルを生成するためのコンピュータベースのシステムは、少なくとも一つのメモリと、少なくとも一つのメモリに結合された少なくとも一つのプロセッサとを備える。少なくとも一つのプロセッサは、所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成するように構成される。少なくとも一つのプロセッサは、生成されたアーチファクトモデルに基づいて、3Dシステムの一連の表示モデルを修正するようにさらに構成される。一連の修正には、属性、特徴、およびアーチファクトを、所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールで、一連の表示モデルのうちの表示モデルにマッピングすることを含む。マッピングは、所与のスケールで一連の表示モデルのうちの所与の表示モデルと、及びより高いスケールまたはより低いスケールで表示モデルとをブリッジする。少なくとも一つのプロセッサはさらに、修正された一連の表示モデルと関連して、アーチファクトモデルをデータベース内に自動的に格納し、それによって3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成するように構成される。
【0017】
代替的なコンピュータベースのシステムの実施形態は、例示的な方法の実施形態に関連して上述したものと類似している。
【0018】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、その上にプログラムコードが具現化された、方法、装置、システム、または非一時的コンピュータ可読媒体の形態で実施されうることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前述は、同様の参照文字が、異なる図を通して同じ部分を参照する、添付図面に図示されるように、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかとなる。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、代わりに、実施形態を説明することに重点を置く。
【0020】
図1A図1Aは、3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデルを生成するために、材料科学者がコンピュータベースのシステムを使用している、計算環境の例示的な実施形態のブロック図である。
図1B図1Bは、アーチファクトモデルおよび一連の表示モデルの例示的な実施形態のブロック図である。
図2図2は、3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成するためのコンピュータ実装方法の例示的な実施形態の流れ図である。
図3図3は、表示モデルを構築するための手順の例示的な実施形態のブロック図である。
図4図4は、複数の種類の材料を有するナノスケールデータから属性モデルを構築するための複雑な手順によって利用されうる特徴、プロセス製作特性、および分析の要素の例示的な実施形態のブロック図である。
図5図5は、加工された部品性能データに対する一つの種類の材料を有するナノスケールデータから属性モデルを構築する手順の例示的な実施形態のブロック図である。
図6図6は、本開示の様々な実施形態が実装されうる、コンピュータの内部構造の例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な実施形態の説明は、以下の通りである。
【0022】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデリングおよびシミュレーションに関し、化学、ナノメートル、およびドメインマイクロ構造を使用して、非限定的な例として、腐食、分解、クリープ、表面保護コーティングの性能、マトリックスおよび繊維の複合材料、複雑な混合物および調合物、多段階フロー、化学反応系または化学プロセス効果などの製品の性能および挙動を予測し、理解する領域に適用されうる。本明細書に開示される例示的な実施形態は、複雑な複合システムの3Dマルチスケールモデリングおよびシミュレーションに関連しうるが、実施形態は、複雑な複合システムに限定されず、例えば、任意の建築システム、構成要素、材料、または構造に適用されうることを利用されたい。
【0023】
3Dマルチスケールモデルのコアには、異なるスケールでプロセスを結合し、一つのスケールで情報を変換し、別のスケールにそれを伝達するモデルおよび関連する方法がある。こうした変換および伝達は、当技術分野ではスケールブリッジング(リンケージ)と呼ばれる。本明細書に開示されるスケールリンケージ(ブリッジング)フレームワーク(例えば、コンピュータベースのシステム/アーキテクチャ/方法)は、上記に開示したもの以外の領域に拡張可能であってもよい。こうしたフレームワークは、対象材料、試験方法、および/または材料から製造された観察可能な特徴の時間スケールに基づく領域に対して展開されうる。スケールリンケージへのアプローチは、当技術分野に存在し、二つの一般的な種類に入る。
【0024】
(1)材料、調合物、および設計工学スケールについては、既存のアプローチは、実証的適合を使用してデータをリンクさせる。(1)とは対照的に、本明細書に開示される例示的な実施形態は、異なるスケールレベルで決定された特性間の製作および試験のアーチファクトを説明する、機械学習モデルを利用しうる。
【0025】
(2)製造スケールに対する設計工学については、既存の統計プロセスモデルでは、製造と原材料の変化、およびプロセスと製品の最終品質とに与える影響を説明できない。これは、本明細書に開示される例示的な実施形態が改善する、有意な近似値である。
【0026】
既存のスケールリンケージアプローチの両方、すなわち、上記(1)および(2)は、移動可能性または拡張性がほとんどない、非理想モデルを作製する方法であり、したがって、こうした既存のアプローチは、現実世界の材料、その派生属性、試験サンプル、および/または生成物の不十分な表示であるとみなされうるモデルを作製する。(1)および(2)とは対照的に、本明細書に開示されるシステムおよびコンピュータ実装方法の例示的な実施形態は、非限定的な例として、機械学習を使用して、化学的および物理的に現実的なマルチスケールモデルを生成し、非限定的な例について、一つ以上の材料からプロセスを用いて製作された試験クーポンのセットに対して測定された属性に原子材料スケール属性をマッピングしてもよい。こうしたマルチスケールモデルは、図1A~Bに関連して以下にさらに開示され、バルクスケールでの材料性能のシミュレーション、ならびにナノメートルスケール以上のシミュレーションを改善するために有用である。
【0027】
こうしたマルチスケールモデルはまた、非局所現象および非平衡現象を研究し、非限定的な例の環境における化学的分解などの長期スケール属性を理解できるようにするために有用である。本明細書に開示される例示的な実施形態は、非限定的な例として風力タービンブレードなどの複合システムに適用されるものとして開示されうるが、こうした例示的な実施形態は、それに限定されず、任意の材料、混合物、または調合されたおよび製造されたシステムに対して、より広範な文脈で使用されうる。複数の材料を含む構造も、本明細書に開示された例示的な実施形態を介してモデル化されて、図1Aに関連して以下に開示されるなどの、現実世界の材料をより良く表すことができる。
【0028】
図1Aは、材料科学者102がコンピュータベースのシステム104の例示的な実施形態を使用して、3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデル106を生成する、計算環境100の例示的な実施形態のブロック図である。材料科学者とは、新製品の開発または既存の製品の強化のために、様々な材料の構造および化学属性を研究する人物である。当然のことながら、コンピュータベースのシステム104は、材料科学者によって使用されることに限定されない。3Dシステムは、建築システム、構成要素、材料、または構造であってもよく、構造は、i)複数の原材料もしくは中間材料、あるいはii)複数の原材料もしくは中間材料の混合物または調合物を含む。3Dシステムは、非限定的な例として風力タービンブレードなどの現実世界のシステムであってもよい。
【0029】
図1Aの例示的な実施形態では、材料科学者102は、コンピュータベースのシステム104を使用して、3Dシステムの3Dマルチスケールモデル106、すなわち、非限定的な例として風力タービンの現実世界の(物理的)風力タービンブレードを生成する。コンピュータベースのシステム104は、非限定的な例として図6に関してさらに以下に開示される、メモリ608に結合された中央プロセッサユニット618などの、少なくとも一つのメモリと、少なくとも一つのメモリに結合された少なくとも一つのプロセッサとを備える。図1Aをさらに参照すると、コンピュータベースのシステム104の少なくとも一つのプロセッサは、所与のスケールで、図1Bに関連して以下に開示されるアーチファクトモデル110などのアーチファクトモデルを生成するように構成される。
【0030】
図1Bは、非限定的な例として図1Aに関連して上記におよび以下にさらに開示された風力タービンブレードなどの、3Dシステムのアーチファクトモデル110および一連の表示モデル118(すなわち、表示モデル0・・・表示モデルN)の例示的な実施形態のブロック図である。図1Aおよび図1Bを参照すると、コンピュータベースのシステム104の少なくとも一つのプロセッサは、所与のスケールで、アーチファクトモデル110を生成するように構成される。アーチファクトモデル110は、3Dシステムの属性112、特徴114、およびアーチファクト116を示す。少なくとも一つのプロセッサは、生成されたアーチファクトモデル110に基づいて、3Dシステムの一連の表示モデル118を修正するようにさらに構成される。一連118を修正することは、所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールで、属性112、特徴114、およびアーチファクト116を、一連の表示モデル118内の表示モデルにマッピングすること120を含む。マッピング120は、所与のスケールの一連の表示モデル118の所与の表示モデルと、より高いスケールまたはより低いスケールの表示モデルとをブリッジする。少なくとも一つのプロセッサはさらに、修正された一連の表示モデル118に関連して、データベース(図示せず)内にアーチファクトモデル110を自動的に格納し、それによって、3Dシステムの3Dマルチスケールモデル106、すなわち、風力タービンブレードの風力タービンブレードマルチスケールモデル108を生成するように構成される。
【0031】
図1Aをさらに参照すると、材料科学者102は、コンピュータベースのシステム104によって提供される二つのユーザインターフェース、すなわち第一のユーザインターフェース(UI)103と第二のUI105とを相互作用させる。一つのコンピュータオペレーティングシステムでは、ユーザインターフェース103、105は、いわゆる窓として実装される。グローバルネットワーク(インターネット)サーバベースのコンピュータシステムでは、ユーザインターフェース103、105は、異なるタブ、画面ビュー、または類似のものとして実装されてもよい。第一のUI103および第二のUI105は、ユーザ対話のためにコンピュータベースのシステム104の表示画面107上に提示される。当然のことながら、コンピュータベースのシステム104は、二つのユーザインターフェース(UI)を提供することに限定されない。
【0032】
例示的な実施形態では、第一のUI103は、物理的(現実世界の)風力タービンの風力タービンマルチスケールモデル109の表示を含む。第二のUI105は、3Dマルチスケールモデル106、すなわち、例示的な実施形態における風力タービンの風力タービンブレードの風力タービンブレードマルチスケールモデル108の表示を含む。当然のことながら、3Dシステム(またはそのマルチスケールモデル)は、例示的な目的のために本明細書に記載される風力タービンブレードまたは風力タービンに本明細書では限定されない。
【0033】
風力タービンは、風力エネルギーを風力タービンのブレード、すなわち、航空機の翼またはヘリコプタのロータブレードのように機能するロータブレードからの空気力を使用して電気に変換する現実世界の物体である。風力タービンブレードは、30年以上にわたって使用されるように設計された物理オブジェクトである。物理的試験は、構造試験エンジニアによって設計され、循環荷重下でのこうしたブレードの疲労を定量化する。こうした物理的試験は、風力条件のために風力タービンブレードを平均応力に曝露させて、Nサイクル後の材料故障限界を決定することができる。図1Aの例示的な実施形態では、コンピュータベースのシステム104を使用してこうした3Dシステムの正確な表示である風力タービンブレードのマルチスケールモデル108を生成し、コンピュータシミュレーションを介して材料故障限界を決定することを可能にする。
【0034】
風力タービンブレードは、航空機の翼よりも長くてもよい。したがって、こうした物体の物理的試験は、風力タービンブレードおよび物資を収容して、風力タービンブレードを物理的に循環させて材料故障限界を決定するために、相当量の不動産を使用する。費用および時間のかかる物理的試験を避けるために、コンピュータベースのシステム104を利用して、こうした材料故障限界を仮想的に決定してもよい。
【0035】
風力タービンブレードは、いくつかの材料の種類が関与する複合構造である。例えば、風力タービンブレードは、層およびコア材料のアセンブリである複合スキンを有してもよい。したがって、各層およびコアは、こうした風力タービンブレードのマルチスケールモデルにおいて、それ自体の固有モデルを有してもよい。例えば、コアは、非限定的な例としてハニカム構造であってもよい。硬化プロセスからの樹脂は、コアの全体的な剛性に寄与する。複合スキンは、0度~90度のけん引(繊維)の均衡でありうる織布層を含むいくつかの種類の層を、可変比で組み合わせうる。こうした層およびコア材料のモデルは、図1Bに関連して上記に開示された一連の表示モデル118に含まれうる。
【0036】
風力タービンブレードの各単方向層において、樹脂内へ繊維はランダムに分配されうる。繊維直径、繊維の体積分率、および繊維間の最小空間などの風力タービンブレードの製造プロセスにおける可変性は、樹脂の硬化プロセス中に閉じ込められるガスなどのアーチファクトをもたらし、多孔質材料を作製する場合がある。上述の図1Bのアーチファクトモデル110は、所与のスケールで生成され、非限定的な例としてこのようなアーチファクトを示しうる。図1Bを参照して上記に開示されるように、所与のスケールで生成されるアーチファクトモデル110は、3Dシステムの属性112、特徴114、およびアーチファクト116を示す。例示的な実施形態によれば、風力タービンブレードまたは別の3Dシステムなどの、3Dシステムの一連の表示モデル118は、こうしたアーチファクトモデル110に基づいてもよい。一連の表示モデル118の各表示モデルは、異なるスケールで構築されてもよい。異なるスケールは、非限定的な例として化学-物質スケール、材料-物質スケール、工学-設計スケール、工学-製造-プロセススケール、システム寿命スケール、またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0037】
こうした修正は、属性112、特徴114、およびアーチファクト116を、所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールで、一連の表示モデル118内の表示モデルにマッピングすること120を含む。二つの業界主導の一連の表示モデルを有するこのようなマッピング120の非限定的な例は、リチウムイオン電池および風力タービンブレードに関する非限定的な例として開示されている。非限定的な例では、電池が故障する前のサイクルまたは風力タービンブレードがマイクロクラックを有する前の時間などの、属性拡散または引張係数、特徴、電圧または強度、ならびに製造変化性に対する必要性が両方ともある。こうしたマッピング120の非限定的な例は、モデルが、リチウムイオン電池について、電解質の化学物質モデルからのリチウムイオンの拡散速度をマッピングしうるものである。次いで、拡散速度はまた、リチウムイオン電池のセル全体の電圧/充電状態モデルにマッピングされて、オープンセル電圧を推定してもよく、アーチファクトのマッピングは、電池寿命の変化を理解するため動作温度または充電/放電サイクル数を含む、こうしたモデルのマッピングを含みうる。別のアーチファクトマッピングは、非限定的な例として、製造特徴(例えば、非限定的な例として、温度、湿度、製造時間、場所などの工場品質パラメータ)を有するオープンセル電圧の変化をマッピングしうる。
【0038】
風力タービンブレードの複合材料の領域では、一連118内の表示モデルに対する属性112、特徴114、およびアーチファクト116のマッピング120は、非限定的な例として、樹脂に使用されるポリマー構造を、風力タービンブレードの形成された部分の故障応力に対する繊維間隔および方向と組み合わされた、ヤング率機械的性能予測にマッピングすることを含みうる。アーチファクト116は、製造特徴、工場、使用される化学物質のバッチ、時刻およびシフトID、ならびに施設およびプロセスユニットの識別子であってもよい。こうした実装形態では、前述のアーチファクト116は、非限定的な例として、製造された風力タービンブレードとしての平均故障間隔にマッピングされてもよい。図1Aおよび1Bをさらに参照すると、マッピング120は、所与のスケールで一連の表示モデル118の所与の表示モデルを、およびより高いスケールまたはより低いスケールで表示モデルをブリッジし、正確な3Dマルチスケールモデルを生成することを可能にする。同じシミュレーションにより、構造、すなわち、非限定的な例として風力タービンブレード、または別の種類の3D構造の検証が可能になる。
【0039】
風力タービンブレードスケールでは、マルチスケールシミュレーションに従って、コンピュータベースのシステム104によって全体的なシミュレーションを実施することができる。仮想モデル、すなわち、3Dマルチスケールモデル106は、製造プロセスの可変性の仮想モデリングを可能にし、構造の完全な仮想検証を、物理試験と比較して、より速く、かつ低減されたコストで実行できる。例示的な実施形態によれば、3Dマルチスケールモデル106は、材料クラスに特有であってもよく、参照整合性を確保するためにモデルおよびバージョン管理に従ってもよい。
【0040】
図1Aおよび1Bを参照して上記に開示されるように、コンピュータベースのシステム104の少なくとも一つのプロセッサは、一連の修正された表示モデル118に関連して、アーチファクトモデル110をデータベース内に自動的に格納し、それによって3Dシステムの3Dマルチスケールモデル106を生成する。例示的な実施形態によれば、少なくとも一つのプロセッサは、モデル情報をデータベース内に自動的に格納するようにさらに構成されてもよい。
【0041】
モデル情報は、非限定的な例として、一連の表示モデル118が対応する、開始情報、訓練データセット情報、学習方法情報、補助データ、測定または予測データ、またはそれらの組み合わせを表しうる。モデル情報は、データベース内で、一連の表示モデル118、アーチファクトモデル110、またはそれらの組み合わせと関連付けられてもよい。アーチファクトモデル110を生成することは、機械学習を介して自動的に、属性112、特徴114、およびアーチファクト116を識別する(決定する)ことを含みうる。機械学習は、非限定的な例として、深層学習、敵対的学習、遺伝的もしくは進化的方法、他のモデリングもしくはモデリングに対するセグメンテーション分類アプローチ、またはそれらの組み合わせを利用することを含みうる。少なくとも一つのプロセッサは、1組のサンプルの体系的な試験結果に対して機械学習を実施するようにさらに構成されてもよい。
【0042】
識別(決定)は、所与のスケールで行われてもよい。しかしながら、識別(決定)は、より低いスケール詳細またはより高いスケール性能特徴からなど、他のスケール情報を組み込みうることが理解されるべきである。より低いスケールは、所与のスケールと比較して低く、より高いスケールは、所与のスケールと比較して高い。
【0043】
例示的な実施形態によれば、少なくとも一つのプロセッサは、閉ループでまたは非限定的な例としてパレート最適化分析を介して決定されるパレート最適化など、少なくとも一つの最適化基準に従って機械学習を制御するようにさらに構成されてもよい。別の例示的な実施形態によれば、少なくとも一つのプロセッサは、性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、またはそれらの組み合わせに基づいて、反復的に機械学習を行うようにさらに構成されてもよい。少なくとも一つのプロセッサは、閉ループを介して、または少なくとも一つの最適化基準に従い、性能基準、収束閾値、品質測定基準、限界値もしくは限界値群、またはそれらの組み合わせが満たされているかどうかを判定するようにさらに構成されてもよい。
【0044】
例示的な実施形態によれば、少なくとも一つのプロセッサは、(i)製造プロセスに基づいて、一連の表示モデル118の少なくとも一つの表示モデルを生成すること、および(ii)製造プロセスを介して製造される、複数の試験クーポンの特徴を利用することによって、一連の表示モデル118を生成するようにさらに構成されうる。製造プロセスは、何らかの方法で測定または特徴付けされる特徴付けされた製造プロセスであってもよい。例えば、製造スケールアップまたは立ち上げなどの場合によっては、製造プロセスによって利用されるプロセス変数は、設計された実験または試験を介して系統的に変更されてもよく、その結果は、工学スケールと製造スケールとの間にある3Dマルチスケールモデル106の開発への入力として使用することができる。
【0045】
例示的な実施形態によれば、一連の表示モデル118の各表示モデルは、複数のスケールの異なるスケールで構築されてもよく、複数のスケールは、所与のスケールを含む。少なくとも一つのプロセッサは、複数のスケールの各スケールでそれぞれのアーチファクトモデルを生成するようにさらに構成されてもよい。
【0046】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、複合材料の標準である試験クーポンを利用してもよいが、そのような実施形態は、試験クーポンに限定されず、例えば、試験クーポンの代わりにサンプルの体系的な試験結果を利用してもよいことを理解されたい。
【0047】
例示的な実施形態によれば、少なくとも一つのプロセッサは、訓練段階で、少なくとも一つのそれぞれの訓練データセット(図示せず)に基づいて、一連の表示モデル118を訓練するようにさらに構成されてもよい。少なくとも一つのプロセッサは、実行段階で、3Dマルチスケールモデル106を実行して、3Dシステムでの故障の発症の予測を作製するようにさらに構成されてもよい。少なくとも一つのプロセッサは、検証段階で、一連の表示モデル118に対する測定データまたは予測データ入力に基づいて、一連の表示モデル118およびアーチファクトモデル110を再学習することによって、実行段階で作製される予測の精度を改善するようにさらに構成されてもよい。
【0048】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、一つ以上の材料からプロセスを用いて作製された一組の試験クーポンに対して測定された属性に原子材料スケール属性をマッピングするために、化学的および物理的に現実的なモデルを生成するように、上記に開示された機械学習を使用してもよい、効率的な方法を含む。これは、バルクスケールおよびナノメートルスケール以上の材料性能のシミュレーションを改善するのに有用である。また、非局所現象および非平衡現象を研究し、環境中の化学的分解などの長期スケールの属性を理解できるようにするため、有用である。本明細書に開示される例示的な実施形態は、風力タービンブレードなどの複合システムに関して記載されうるが、本明細書に開示される実施形態は、複合システムに限定されず、任意の材料、混合物、または調合されたおよび製造されたシステムに対して、より広範な文脈で使用されうることを理解されたい。複数の材料からなる構造も、現実世界の材料をより良好に表すために、本明細書に開示されるコンピュータ実装方法の例示的な実施形態を使用してモデル化することができる。
【0049】
図2は、3Dシステムの三次元(3D)マルチスケールモデルを生成するためのコンピュータ実装方法(200)の例示的な実施形態の流れ図である。コンピュータ実装方法は、所与のスケールで、3Dシステムの属性、特徴、およびアーチファクトを示すアーチファクトモデルを生成すること(202)を含む。コンピュータ実装方法は、生成されたアーチファクトモデルに基づいて、3Dシステムの一連の表示モデルを修正すること(204)をさらに含む。修正すること(206)は、属性、特徴、およびアーチファクトを、所与のスケールと比較して、より高いスケールまたはより低いスケールで、一連の表示モデルのうちの表示モデルにマッピングすることを含む。マッピングは、所与のスケールで一連の表示モデルのうちの所与の表示モデルを、およびより高いスケールまたはより低いスケールで表示モデルをブリッジする。コンピュータ実装方法は、修正された一連の表示モデルと関連して、データベース内にアーチファクトモデルを自動的に格納(208)し、それによって3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成することをさらに含む。その後、方法は例示的な実施形態で終了する(210)。
【0050】
コンピュータ実装方法200は、モデル情報をデータベース内に自動的に格納することをさらに含んでもよい。モデル情報は、一連の表示モデルが対応する、開始情報、訓練データセット情報、学習方法情報、補助データ、測定もしくは予測データ、またはそれらの組み合わせを表しうる。モデル情報は、一連の表示モデル、アーチファクトモデル、またはそれらの組み合わせとデータベース内で関連付けられてもよい。アーチファクトモデルを生成することは、機械学習を介して自動的に、属性、特徴、およびアーチファクトを識別することを含みうる。識別は、所与のスケールで行われてもよい。機械学習は、深層学習、敵対的学習、遺伝的もしくは進化的方法、他のモデリングもしくはモデリングに対するセグメンテーション分類アプローチ、またはそれらの組み合わせを利用することを含みうる。
【0051】
図1Aおよび1Bを再度参照すると、例示的な実施形態によれば、量子力学的、原子論的、メソスケール、および構成的モデルは、一連の表示モデル118を生成する際に使用するためのコンピュータベースのシステム104への入力または特徴として適用されうる。マッピング120は、ナノスケール、工学スケール、および/または測定スケールのブリッジング(連結)を可能にする。
【0052】
例示的な実施形態によれば、コンピュータベースのシステム104は、自己更新され、すなわち、新しいデータが受信されると、一連の表示モデル118(本明細書では、一連の反復中間モデルとも呼ぶ)が決定され、その後、例えば、コンピュータベースのシステム104上で実行される敵対的機械学習プロセスによって、将来の取得のために評価、ランク付け、および格納されてもよい。
【0053】
別の例示的な実施形態によれば、試験プロセスおよび手順情報は、こうした情報を使用して、モデル入力を、コンピュータベースのシステム104によってモデル化されたシステムのモデルを装飾(拡張)できる記述子に分類するように構成されうる、コンピュータベースのシステム104に入力することができる。例示的な実施形態によれば、一連の表示モデル118は、追跡およびトレースの信頼性および検証のために、起源(源)、データセット、方法、および結果と共にデータベースに格納されてもよい。
【0054】
スケールを横切って接続することは新たな試みでなくてもよいが、歴史的には、すべてのそうした試みは、範囲、拡張性、および正確さにおいて限定されている。既存のアプローチの失敗の鍵となるのは、試験によってもたらされたアーチファクト、および材料からのボトムアップ性能を予測するか、または環境からトップダウン性能を予測するために使用されうるモデルへのアーチファクトの組み込みを特徴付ける良いモデルの欠如である。コンピュータベースのシステム104は、属性/性能モデルおよびアーチファクトモデルの両方の自動生成を可能にするプラットフォームである。コンピュータベースのシステム104は、モデル/シミュレーションを、設計、開発、および展開のための予測に接続することを可能にする。
【0055】
コンピュータベースのシステム104は、機械学習アプローチを使用して、非限定的な例として、以下の特徴のいずれかまたはすべてを組み合わせてもよい。
a)材料から(測定済みおよび仮想)
b)物質の(調合物およびレシピ・暗黙のプロセス条件)
c)試験について(結果、運用、機器)
d)その他のスケールモデル(低減次数/均質化または完全な複雑さ)
【0056】
例示的な実施形態によれば、一連の表示モデル118を導出する方法と、その順位(試験セットの検証によって決定される)との間のリンク、およびそれらを構築するために使用されるデータ(訓練セット)は、例えば、データベース内のコンピュータベースのシステム104によって保持されて、テスト間比較、一連118内の表示モデルの更新、ならびに決定のトレーサビリティおよび依存性を許容しうる。
【0057】
例示的な実施形態によれば、コンピュータベースのシステム104は、3Dマルチスケールモデル106の構築(既存の更新または新規)を、値予測および不確実性の両方を用いて可能にする。コンピュータベースのシステム104は、モデルを例えば、原子から分子に、材料に分配に、エンジニアリング要素に、製品に、階層的に、ボトムアップアプローチで自動化された方法で構築することを可能にし、また、疲労効果に追いやり、3Dシステムの3Dマルチスケールモデル106の一連の表示モデル118などの、システムのモデルに適用される物質変化(通常は故障するが、常にではない)を誘導する、トップダウン入力の負担(例えば、負荷、周期的効果、応力、および環境入力)を許容する。
【0058】
例示的な実施形態によれば、コンピュータベースのシステム104は、複数のモデリングアプローチを使用して、特徴(他のモデル、パラメータ、条件、および負荷)、例えば、限定されるものではないが、敵対的生成ネットワーク(GAN)、深層ニューラルネットワーク(DNN)、遺伝子機能近似(GFA)、および/または他の多変量統計または分類アプローチなど、データ(属性)を反復的に一致させることができる。このようなモデルアプローチの多くは、関連するモデルのファミリーを作製し、このようなモデルは、例えば、データベース内に、再利用のために保存されてもよい。コンピュータベースのシステム104は、このようなモデルを取り、構成的形態でこのようなモデルの近似モデルバリアントを構築するように構成されてもよく、低減次数モデリングアプローチを適用し、こうしたバリアントの影響のユーザによる解釈を容易にすることができる。
【0059】
例示的な実施形態によれば、コンピュータベースのシステム104は、敵対的な深層ニューラルコンピューティングアプローチを反復的および確率的プロセスとともに使用して、3Dシステムの現実的なコンピュータモデルでありうる3Dマルチスケールモデル106を取得し、原子論的、工学的および製造スケールデータ間の時間、長さ、および複雑のスケールさをブリッジするように構成されうる。
【0060】
別の例示的な実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、訓練されていないモデルネットワークで開始しうる。メソ、原子論的、ナノ、および量子スケールモデリングからの調合された材料特徴と共に一連の試験クーポンのデータおよび情報に基づいて、図1Bに関連して上記に開示された一連の表示モデル118などの、一連の表示モデルが開発および訓練されてもよい(ステップ1)。次に、モデルは、敵対的アプローチおよび方法を使用して最適化されて、異なる観測された属性および特徴に対して、数値精度および堅牢な誤差推定の両方を有する改善されたモデルを構築してもよい(ステップ2)。次に、ネットワークのデコンボリューションを実施して、物理形態を、開発されている基となる属性関係の方程式として識別しうる(ステップ3)。次に、これらの新しい方程式を、ステップ1でモデルネットワークの特徴として再最適化することができる(ステップ4)。次いで、結果は、使用中の追跡のためのメタタグを有するデータ構造に格納されてもよい(ステップ5)。パラメトリックまたはデータサブセットバリアントなどであるがこれに限定されない、異なるモデルを、上記のプロセスを繰り返して、分析された試験およびプロセスの最終の統計的平均アンサンブルまたは複合モデルを取得することによって生成することができる。モデル生成、学習、最適化のプロセスは、一体的バージョン管理とマスターデータの生成により、監督下または非監督下で行うことができる。
【0061】
したがって、例示的な実施形態によれば、複合システムなどの3Dシステムの3Dマルチスケールモデルを生成するための方法は、モデル化される材料システムの一連の試験クーポン、所与の製作プロセスから作製された試験クーポン、および試験クーポンの各々の物理的特性を測定することを含みうる。訓練されていないモデルネットワークから、方法は、所与の製造プロセスからの一つ以上の種類のスケールモデルからの材料特徴に基づいて、一つ以上のデータモデルを生成しうる。方法は、敵対的アプローチを使用して、試験クーポンの物理的に測定された属性のセットに対する深層学習分析を実行しうる。収束閾値に達することに応答し、方法は、逆論理アプローチを使用してモデルをデコンボリューションして、性能曲線の低減次数モデルを抽出しうる。
【0062】
例示的な実施形態によれば、モデルをブリッジングするための既存の方法に対する顕著な改善は、本明細書に開示される例示的な実施形態が、例えば、非限定的な例として試験クーポンなどの試験サンプルおよびナノスケールデータを試験クーポン実験レベルにマッピングすることに関連付けられたモデルの作製中に導入されたアーチファクトの仮定および近似を、製造製品、そのプロセスおよび可変性の源のアーチファクト、仮定および近似から分離することである。ナノからメソ、メソからマクロ、そしてマクロから製造に至るまでの個々のスケールギャップを、別々に開発することができるが、情報空間で接続することができるこのアプローチは、固有である。さらに、一連の低スケールモデルに基づいて、材料、組成、およびシステムの特徴を、製品の生産性能および品質測定基準にマッピングすることにより、より正確で堅牢なモデル開発が可能となる。
【0063】
コンピュータベースのシステム104の例示的な実施形態は、モデルの形態の抽出を使用して、第一に、形態が特徴生成で使用される、閉ループアプローチにおいて、第二に、高レベルの後続モデルにおいて質を高めることができる。コンピュータベースのシステム104は、最小限のユーザ入力で、堅牢な3Dマルチスケールモデル106を自動的に生成するために使用されうる。こうした機能により、設計パラメータ空間の迅速な探索、および試験または製造システムから新しいデータが蓄積される際の自律的なモデル開発が可能になり、それによって、複数のモデルが利用可能であるために改善されたユーザ体験が提供される。本明細書に開示される例示的な実施形態は、決定論的アプローチおよび特徴解析アプローチの両方において、モデリングワークフローおよび3DEXPERIENCE(登録商標)プラットフォームにおいて汎用ツールとして使用されうる。Dassault Systemes SEから入手可能な3DEXPERIENCEプラットフォームは、複数のソフトウェアソリューションを提供する共同環境プラットフォームである。
【0064】
例示的な実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、試験クーポンデータおよび製造された製品データについて、機械学習され、維持されたモデルを取得しうる。化学材料モデル情報ならびに製作プロセス、状態、および作業順序の詳細は、図1Aのマルチスケールモデル106などのモデル内の特徴として符号化されうる。次に、モデルは、敵対的アプローチを使用して、物理的に測定された属性のセットに対して、深層学習分析を自律的に実行しうる。達成されるパレート最適空間の収束閾値に応答して、モデル、その状態、入力および出力は、データ構造内に自動的に格納されてもよく、メタデータは、それらの抽出および統一を容易にするために生成されてもよい。次のステップでは、モデル形態および関数は、性能曲線の最も単純な低減次数モデルを抽出するために、象徴的論理を有する逆学習アプローチを使用してデコンボリューションされうる。次に、コンピュータ実装方法は、特徴または記述子を取り、ソースシステムから抽出された性能情報を使用して、製造部品に対して上記のモデル反復を実行しうる。
【0065】
図1Aおよび1Bを参照して、一連のモデル118の表示モデルなどのモデルの例示的な実施形態は、図3に関連して以下に開示された、3DEXPERIENCEプラットフォームなどのモデリングプラットフォームを使用して、試験クーポン測定データに対して一つの種類の材料を有するナノスケールデータからコンピュータベースのシステム104によって構築されうる。
【0066】
図3は、表示モデルを構築するための手順300(コンピュータ実装方法)の例示的な実施形態のブロック図である。表示モデルは、属性モデルと呼んでもよい。例示的な実施形態では、手順300は、3DEXPERIENCEプラットフォーム332を使用して、非限定的な例として実装される。手順300は、特徴生成(334a)、初期データセット(334b)の受信、および自動データパイプライン(334c)の利用を含む。手順300は、進化的アプローチを介して単純なアーキテクチャを探索し、表示モデルの精度、不確実性、および速度(334e)を評価することができる(334d)。手順300は、敵対的アプローチにより複数の属性を訓練および評価しうる(334f)。手順300は、多様なアーキテクチャを有する複数の単純なモデル(例えば、非限定的な例として何千の)をスクリーニングしてもよい(334g)。手順300は、モデルスタックを上位に並べ(334h)、以前のモデルバージョンからのベンチマーク予測に対して、同じものを評価しうる(334i)。手順は、トップアーキテクチャを選択および再訓練し(334j)、文脈化クリーンアップおよび拡張を実施して、表示モデルを製造しうる(334k)。属性モデルを構築するための別の手順の要素を、図4に関連して以下に開示する。
【0067】
図4は、特徴440、プロセス製作特性442、および試験クーポン測定データに対する層、配向、または分布など、異なる物理的配置の複数の種類の材料を有するナノスケールデータから属性モデルを構築するための複雑な手順によって利用されうる分析444の要素の例示的な実施形態のブロック図である。1種類の材料を用いてナノスケールデータから属性モデルを構築するための簡単な手順を、図5に関連して以下に開示する。
【0068】
図5は、加工された部品性能データに対して、一つの種類の材料を用いてナノスケールデータから属性モデルを構築するための手順(コンピュータ実装方法)500の例示的な実施形態の流れ図である。手順500はまた、モデルをブリッジするための手順と呼んでもよい。例示的な実施形態では、こうしたモデルは、非限定的な例として股関節置換で利用される股関節ボール関節に関連付けられたモデルである。
【0069】
手順500は、現実世界のスキャンデータ503をモデル506への入力として使用して、現実世界の物体を走査すること(552)を含む。走査は、非限定的な例として股関節ボール関節556などの現実世界の物体の空間的特徴、ならびに非限定的な例として、股関節ボール関節556の材料がどのように作製されたかに関する詳細、股関節ボール関節556に関連する接着剤充填剤に関する特徴、有孔性などの微小特徴、股関節ボール関節556のコーティング(複数可)に関する特徴を記録することを含みうる。現実世界の物体は、物理的3D物体(システム)であり、股関節ボール関節556に限定されないことが理解されるべきである。さらに、現実世界のスキャンデータ503は、非限定的な例として、材料を作製するための材料特徴およびプロセスなど、モデル化される物理的3D物体に関連付けられた任意の情報を含みうる。例示的な実施形態では、手順500は、3Dシステム、すなわち、例示的な実施形態における股関節ボール関節556をモデル化558することを含む。
【0070】
図1A、1B、2、および5を参照すると、モデル化558は、3Dマルチスケールモデル506を生成することを含む。生成は、非限定的な例として、上記に開示した図2のコンピュータ実装方法200を実施するように構成されうる、コンピュータベースのシステム104を使用して行われてもよい。アーチファクトモデル110の属性112、特徴114、およびアーチファクト116は、現実世界のスキャンデータ503に含まれる属性、特徴、およびアーチファクトを含みうる。例示的な実施形態によれば、モデル化558は、手順モデル(例えば、材料を作製するプロセスのモデル)およびプロセスの製造可変性を制御するパラメータを有する周期モデルを作成すること(562)を含みうる。
【0071】
図5の例示的な実施形態では、手順500は、3Dマルチスケールモデル506をシミュレータ566に出力すること564、すなわち、3Dマルチスケールモデル506を製造可変性に供することによって、モデル506を使用して股関節ボール関節556の使用をシミュレートして結果を生成する568コンピュータ実装方法を含みうる。こうした結果568は、シミュレーションモデル、すなわち、現実世界の試験データに基づいて3Dマルチスケールモデル506を較正するために、較正570を実施するために利用されうる。こうしたキャリブレーションは、3Dマルチスケールモデル506が、3Dシステムのより現実的なモデル、すなわち、非限定的な例として股関節ボール関節556を表すように、3Dマルチスケールモデル506を改善しうる。より現実的なモデルを使用して、例えば、非限定的な例として、股関節ボール関節556の材料故障限界を決定することができる。手順500は、図6に関連して以下に開示されるように、コンピュータの内部構造の例示的な実施形態によって実装されうる。
【0072】
図6は、本開示の様々な実施形態が実装されうる、コンピュータ600の内部構造の例のブロック図である。コンピュータ600は、システムバス602を含み、バスは、コンピュータまたはデジタル処理システムの構成要素間のデータ転送に使用される、一組のハードウェアラインである。システムバス602は、本質的に、要素間の情報の転送を可能にする、コンピュータシステムの異なる要素(例えば、プロセッサ、ディスクストレージ、メモリ、入力/出力ポート、ネットワークポートなど)を接続する共有導管である。システムバス602に結合されて、様々な入力および出力装置(例えば、キーボード、マウス、表示モニタ、プリンタ、スピーカ、マイクなど)をコンピュータ600に接続するためのI/O装置インターフェース604がある。ネットワークインターフェース606は、コンピュータ600が、ネットワーク(例えば、グローバルコンピュータネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワークなど)に取り付けられた様々な他の装置に接続することを可能にする。メモリ608は、本開示の実施形態(例えば、方法200、300、500)を実施するために使用されうるコンピュータソフトウェア命令610およびデータ612用の揮発性または不揮発性ストレージを提供し、ここで、揮発性および不揮発性メモリは、非一時的媒体の例である。ディスクストレージ613はまた、本開示の実施形態(例えば、方法200、300、500)を実施するために使用されうるコンピュータソフトウェア命令610およびデータ612用の不揮発性ストレージを提供する。中央プロセッサユニット618はまた、システムバス602に結合され、コンピュータ命令の実行を提供する。
【0073】
本明細書に開示されるさらなる例示的な実施形態は、コンピュータプログラム製品を使用して構成されてもよく、例えば、例示的な実施形態を実施するためのソフトウェアで制御をプログラムしてもよい。さらなる例示的な実施形態は、プロセッサによって実行されうる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を含んでもよく、装填および実行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法および技術を完了させる。ブロック図およびフロー図の要素は、上記に開示された図6の回路の一つ以上の配置、またはその等価物、ファームウェア、それらの組み合わせ、または将来決定される他の類似の実装形態を介してなど、ソフトウェアまたはハードウェアに実装されうることが理解されるべきである。
【0074】
さらに、本明細書に記載のブロック図およびフロー図の要素は、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアにおいて、任意の方法で組み合わせられてもよく、または分割されてもよい。ソフトウェアに実装される場合、ソフトウェアは、本明細書に開示される例示的な実施形態をサポートできる任意の言語で記述されうる。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)などの任意の形態のコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。動作中、汎用または特定用途向けのプロセッサまたは処理コアは、当技術分野でよく理解された方法でソフトウェアをロードおよび実行する。ブロック図およびフロー図は、より多くまたはより少ない要素を含んでもよく、異なるように配置または配向されてもよく、または異なるように表されてもよいことをさらに理解されたい。実装形態は、本明細書に開示される実施形態の実行を例証するブロック図、フロー図、および/またはネットワーク図、ならびに複数のブロック図およびフロー図を規定しうることが理解されるべきである。
【0075】
例示的な実施形態は特に示され、説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される実施形態の範囲を逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が、その中に行われてもよいことは、当業者であれば理解されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6