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特開2023-110905処理室内の分散ガスを均質化する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110905
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】処理室内の分散ガスを均質化する装置
(51)【国際特許分類】
   F27D 7/06 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
F27D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010929
(22)【出願日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】10 2022 102 035.5
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サミール ジョーカー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン リーシュル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル デュンザー
【テーマコード(参考)】
4K063
【Fターム(参考)】
4K063AA05
4K063AA15
4K063CA03
4K063DA28
4K063DA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】処理室内の分散ガスを均質化する装置を提供する。
【解決手段】装置(1)は、遮蔽スクリーン(3)と、遮蔽スクリーン(3)を2つの終端位置の間で互いに反対の2つの直線運動方向(5)に往復運動させるリニア駆動装置(4)とを有しており、遮蔽スクリーン(3)は、装置(1)の少なくとも1つの加熱装置(6)により加熱可能であり、遮蔽スクリーン(3)は、装置(1)の少なくとも1つの調整部材(7)を介してリニア駆動装置(4)に結合されており、調整部材(7)は、遮蔽スクリーン(3)とリニア駆動装置(4)との間の相対運動を、遮蔽スクリーン(3)の直線運動方向(5)に対して横方向の、好適には直交する方向の、少なくとも1つの方向(8)に可能にする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室(2)内の分散ガスを均質化する装置(1)であって、当該装置(1)は、遮蔽スクリーン(3)と、該遮蔽スクリーン(3)を2つの終端位置の間で互いに反対の2つの直線運動方向(5)に往復運動させるリニア駆動装置(4)とを有している、装置(1)において、
前記遮蔽スクリーン(3)は、当該装置(1)の少なくとも1つの加熱装置(6)により加熱可能であり、前記遮蔽スクリーン(3)は、当該装置(1)の少なくとも1つの調整部材(7)を介して前記リニア駆動装置(4)に結合されており、前記調整部材(7)は、前記遮蔽スクリーン(3)と前記リニア駆動装置(4)との間の相対運動を、前記遮蔽スクリーン(3)の前記直線運動方向(5)に対して横方向の、好適には直交する方向の、少なくとも1つの方向(8)に可能にすることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記調整部材(7)は、スリーブ(9)と、該スリーブ(9)において前記遮蔽スクリーン(3)の前記直線運動方向(5)に対して横方向(8)、好適には直交する方向(8)に可動に支持されたヘッド(10)とを有している、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記スリーブ(9)と前記ヘッド(10)との間に、弾性変形可能体(11)、好適にはエラストマ体が配置されている、請求項2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記遮蔽スクリーン(3)に少なくとも1つの連接棒(12)が固定されており、前記調整部材(7)は、前記リニア駆動装置(4)と前記連接棒(12)との間に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
前記遮蔽スクリーン(3)に少なくとも2つの連接棒(12)が固定されており、当該装置(1)は、連接棒(12)毎に少なくとも1つの調整部材(7)を、前記遮蔽スクリーン(3)と前記リニア駆動装置(4)との間の相対運動を、前記遮蔽スクリーン(3)の前記直線運動方向(5)に対して横方向の、好適には直交する方向の、少なくとも1つの方向(8)に可能にするために有しており、前記リニア駆動装置(4)には、横材(13)が固定されており、各前記連接棒(12)は、少なくとも1つの前記調整部材(7)を介して前記横材(13)に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記横材(13)は、前記遮蔽スクリーン(3)の前記直線運動方向(5)に対して横方向(8)、好適には直交する方向(8)に伸長して形成されており、前記調整部材(7)は、互いに間隔をあけて前記横材(13)に結合されている、請求項5記載の装置(1)。
【請求項7】
前記連接棒(12)内または前記連接棒(12)のうちの少なくとも1つの連接棒内に、前記遮蔽スクリーン(3)を加熱する加熱装置(6)が配置されており、好適には各前記連接棒(12)内に、前記遮蔽スクリーン(3)を加熱する各1つの加熱装置(6)が配置されている、請求項4から6までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項8】
当該装置(1)は、装置ケーシング(14)と、該装置ケーシング(14)に固定された少なくとも1つのガイドレール(15)とを有しており、少なくとも1つの前記連接棒(12)は、好適には被ガイド部材(26)を介して少なくとも1つの前記ガイドレール(15)に、前記遮蔽スクリーン(3)の前記直線運動方向(5)に対して平行に摺動可能に支持されている、請求項4から7までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記遮蔽スクリーン(3)は、少なくとも部分的に環状に形成されており、処理しようとするワーク(17)を収容するスクリーン内部空間(16)を環状に包囲している、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
室内部空間(18)と、該室内部空間(18)を包囲している室壁(19)とを備えた処理室(2)であって、前記室壁(19)内には、少なくとも1つのワーク(17)を前記室内部空間(18)内にもたらしかつ/または前記ワーク(17)を前記室内部空間(18)から取り出すための少なくとも1つの室壁開口(20)が配置されている、処理室(2)において、
前記室内部空間(18)内に、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(1)の前記遮蔽スクリーン(3)が、各終端位置間で往復運動可能に配置されており、前記遮蔽スクリーン(3)は、その一方の終端位置では前記室壁開口(20)を覆いかつその他方の終端位置では前記室壁開口(20)を開放することを特徴とする、処理室(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理室内の分散ガスを均質化する装置であって、この装置は、遮蔽スクリーンと、遮蔽スクリーンを2つの終端位置の間で互いに反対の2つの直線運動方向に往復運動させるリニア駆動装置とを有している。
【0002】
処理しようとするワークを、処理室内で設定されたもしくは各プロセスに合わせられたガス雰囲気を用いて処理する必要がある処理において、上位概念に記載の装置は、ガス組成の均一化もしくは均質化を十分に保証するために使用される。
【0003】
本発明の課題は、この意味で上位概念に記載の装置をさらに改良し、この装置が、処理室内の分散ガスの可能な限り良好な均質化を保証することができるようにすることにある。
【0004】
この課題を解決するために、本発明は、特許請求項1記載の装置を提案する。
【0005】
つまり本発明に基づき、遮蔽スクリーンは、装置の少なくとも1つの加熱装置により加熱可能であり、遮蔽スクリーンは、装置の少なくとも1つの調整部材を介してリニア駆動装置に結合されており、調整部材は、遮蔽スクリーンとリニア駆動装置との間の相対運動を、遮蔽スクリーンの直線運動方向に対して横方向の、好適には直交する方向の、少なくとも1つの方向に可能にする、ということが想定されている。
【0006】
加熱装置により、遮蔽スクリーンは、各処理に所望される温度に正確に加熱されて温度調整され得る。これにより、処理室内のガス雰囲気中の温度に起因する対流運動が回避され得る。遮蔽スクリーンとリニア駆動装置との間での温度に起因する機械的な応力を回避するために、本発明による装置には、加熱された遮蔽スクリーンと、通常は加熱されないリニア駆動装置との間の相対運動を、遮蔽スクリーンの直線運動方向に対して横方向の、少なくとも1つの方向に可能にする調整部材が設けられている。
【0007】
つまり本発明による装置は、特にガス雰囲気中の乱流および流動が遮蔽スクリーンにより回避されることで、装置の遮蔽スクリーンでもって特に良好に、処理室内のガス雰囲気の均質化もしくは高度な均一化をもたらす。
【0008】
遮蔽スクリーンは、弁の閉鎖機構とは区別される。閉鎖機構が、室壁開口を気密かつ圧力密に閉鎖するために設けられているのに対し、遮蔽スクリーンは、室壁開口を最大でも覆うためまたは換言すると覆い隠すために使用される。つまり、遮蔽スクリーンは、室壁開口を気密にも圧力密にも閉鎖しない。要するに、遮蔽スクリーンは閉鎖機構とは異なり、処理室内の分散ガスの均質化にのみ用いられる。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、遮蔽スクリーンは、専ら互いに反対の2つの直線運動方向にのみ可動である。つまり遮蔽スクリーンは、これらの好適な態様においてその他の運動を実施することはできない。通常、遮蔽スクリーンは、その一方の終端位置では室を覆い、または換言すると覆い隠し、かつその他方の終端位置では室開口を開放することが想定されている。室開口の開放状態では、室開口を介してワークを室内部空間内へ導入しかつ/または室内部空間から取り出すことができる。
【0010】
加熱装置は、基本的に様々に形成されていてよい。ただし好適な態様では、電気的な加熱装置、特に電気的な抵抗ヒータまたは誘導ヒータである。
【0011】
調整部材は、リニア駆動装置と加熱された遮蔽スクリーンとの間の所定の相対運動を可能にする。このことは、熱に起因する装置内の応力を回避するために、優先的に利用される。
【0012】
本発明の好適な態様では、調整部材は、スリーブと、スリーブにおいて遮蔽スクリーンの直線運動方向に対して横方向、好適には直交する方向に可動に支持されたヘッドとを有していることが想定されている。これに関するやはり好適な態様では、スリーブとヘッドとの間に、弾性変形可能体、好適にはエラストマ体が配置されている、ということが想定されている。ヘッドは基本的に、ヘッドがスリーブ内で相応して可動に支持されている限り、ほぼ任意の形状を有することができる。スリーブとヘッドとの間に配置された弾性変形可能体により、スリーブとヘッドとの間の遊び除去が達成される。追加的に弾性変形可能体により、熱に起因する応力に抗して作用し、応力が消失すると相応して再び戻る戻し力も提供され得る。調整部材をリニア駆動装置と遮蔽スクリーンとの間に組み込む方法は、当業者に任されている。例えば、スリーブがリニア駆動装置に結合されていてもよく、ヘッドが調整部材に結合されていてもよい。しかしまた、同様に良好に、逆に配置することもできる。重要なのは、これに関連して、調整部材は、一方ではリニア駆動装置にかつ他方では遮蔽スクリーンに直接に結合されていてよいが、しかしまた間接的に結合されていてもよい、ということにも留意することである。つまり例えば、遮蔽スクリーンに少なくとも1つの連接棒が固定されており、調整部材は、リニア駆動装置とこの連接棒との間に配置されている、ということが想定されていてよい。特に好適な態様では、この場合、調整部材は、ガイドレールに設けられた被ガイド部材を介して連接棒に結合されている。ガイドレールもやはり、装置の装置ケーシングに固定されていてよい。
【0013】
特に好適な態様では、遮蔽スクリーンに少なくとも2つの連接棒が固定されており、装置は、連接棒毎に少なくとも1つの調整部材を、遮蔽スクリーンとリニア駆動装置との間の相対運動を、遮蔽スクリーンの直線運動方向に対して横方向の、好適には直交する方向の、少なくとも1つの方向に可能にするために有しており、リニア駆動装置には、横材が固定されており、この場合、各連接棒は、少なくとも1つの調整部材を介して横材に結合されている、ということが想定されている。この場合、やはり特に好適には、横材は、遮蔽スクリーンの直線運動方向に対して横方向、好適には直交する方向に伸長して形成されており、調整部材は、互いに間隔をあけて横材に結合されている、ということが想定されている。遮蔽スクリーンを加熱する加熱装置は、連接棒内または連接棒のうちの少なくとも1つの連接棒内に配置されていてよい。複数の連接棒の場合、好適には、各連接棒内に遮蔽スクリーンを加熱する各1つの加熱装置が配置されている、ということが想定されている。
【0014】
本発明の好適な態様では、装置は、装置ケーシングと、装置ケーシングに固定された少なくとも1つのガイドレールとを有している、ということが想定されており、この場合、少なくとも1つの連接棒は、好適には被ガイド部材を介して少なくとも1つのガイドレールに、遮蔽スクリーンの直線運動方向に対して平行に摺動可能に支持されている。
【0015】
処理室内の分散ガスの可能な限り良好な均質化の意味で、好適な態様では、遮蔽スクリーンは少なくとも部分的に環状に形成されており、処理しようとするワークを収容するスクリーン内部空間を環状に包囲している、ということが想定されている。環状という用語は、円環形を表していてよいが、円環形に限定はされない。環状という用語は、むしろ、スクリーン内部空間が、平面図で見て遮蔽スクリーンにより周方向を閉じられて包囲されることであると理解され得る。この場合、スクリーン内部空間内に、特に良好に均質化されたもしくは均一化された分散ガスをもたらすことができ、これにより、そこではワークの処理に最適な条件が支配的になる。
【0016】
装置自体の他に、本発明は、室内部空間と、室内部空間を包囲している室壁とを備えた処理室であって、室壁内には、少なくとも1つのワークを室内部空間内にもたらしかつ/またはワークを室内部空間から取り出すための少なくとも1つの室壁開口が配置されている、処理室にも関する。この処理室は、室内部空間内に、本発明による装置の遮蔽スクリーンが、各終端位置間で往復運動可能に配置されており、遮蔽スクリーンは、その一方の終端位置では室開口を覆いかつその他方の終端位置では室開口を開放することを特徴とする。
【0017】
ここでも、既に冒頭で説明したように、遮蔽スクリーンにより室壁開口を覆うこと、もしくは換言すると覆い隠すことと、弁の閉鎖機構により室壁開口を閉鎖することとは区別されねばならない。
【0018】
以下に、本発明の好適な態様の別の特徴および詳細を、複数の実施形態に基づき例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による装置と弁とを備えた処理室の概略的な側面図である。
図2】90°回動させられた処理室および本発明による装置の概略的な外観図である。
図3図1に示した断面線A―Aに沿った断面図であって、この場合、遮蔽スクリーンが室開口を覆っている終端位置が示されている。
図4図3と同じ終端位置を、図2に示した断面線B-Bに沿って示す図である。
図5図3と同じ終端位置を、図2に示した断面線C-Cに沿って示す図である。
図6】断面線A―Aに沿った断面図であって、この場合、遮蔽スクリーンが室開口を開放している終端位置が示されている。
図7図6と同じ終端位置を、図2に示した断面線B-Bに沿って示す図である。
図8図6と同じ終端位置を、図2に示した断面線C-Cに沿って示す図である。
図9図6に示した細部Dの拡大図である。
図10図6に示した断面線E-Eに沿った断面図である。
図11図2に示した断面線F-Fに沿った断面図である。
【0020】
図1には、本発明による装置1が配置された処理室2を側方から見た概略的な外観図が示されている。装置1の、処理室2とは反対の側には、弁21が、その弁ケーシング23と共に位置している。装置1は、遮蔽スクリーン3が処理室2の内部に、つまり室内部空間18内に位置しかつ内部に装置1のリニア駆動装置4が位置する装置ケーシング14が処理室2に続くように、処理室2に組み込まれている。
【0021】
弁21は、従来技術において自体公知であり、各用途に適した任意の弁であってよい。このことは、完全を期すためだけに説明するものであり、本発明とは無関係であると見なされるべきである。図1には、断面線A-Aも書き込まれている。断面線A-Aに沿った対応する断面は、図3および図6に示されている。
【0022】
図2には、処理室および装置1の概略的な外観図が示されている。図2は実質的に、断面線B-B、C-CおよびF-Fの位置を具体的に示すために用いられる。断面線B-Bに沿った断面は、図4および図7に示されている。断面線C-Cに沿った断面は、図5および図8に示されている。断面線F-Fに沿った断面は、図11に示されている。
【0023】
図11には、本実施例で実現された遮蔽スクリーン3が少なくとも部分的に環状に形成されており、処理しようとするワーク17を収容するスクリーン内部空間16を環状に包囲していることが示されている。遮蔽スクリーン3およびスクリーン内部空間16は、室壁19により包囲された室内部空間18内に位置している。ワーク17は室内部空間18内で、それ自体周知の保持装置(ここには図示せず)により保持もしくは支持される。
【0024】
しかしまた遮蔽スクリーン3は、ここに示す態様に対して択一的に、例えば平らなまたは湾曲したプレートとして形成されていてもよく、このプレートは、一方の終端位置において室壁開口20の手前に配置されており、これにより室壁開口20を覆ってはいるが閉鎖してはいない。他方の終端位置において、遮蔽スクリーン3は室壁開口20を開放していてよい。
【0025】
図3図4および図5における断面図は、遮蔽スクリーン3が室壁開口20を覆うもしくは覆い隠す遮蔽スクリーン3の終端位置を示している。図6図8は、遮蔽スクリーン3が室壁19の室壁開口20を開放する遮蔽スクリーン3の終端位置を示している。図6図7および図8に示す終端位置では、室内部空間18内で処理されるべきワーク17を、室壁開口20を介して室内部空間18内へ導入することができ、反対に、室壁開口20を介して室内部空間18から取り出すこともできる。これに対して図3図4および図5に示す終端位置では、ワーク17が、本実施例ではスクリーン内部空間16内に位置している。この位置は、ワーク17を相応して均一なガス雰囲気中で加工しようとする場合に選択される。遮蔽スクリーン3はこの終端位置で、処理室2内および特にスクリーン内部空間16内の分散ガスの所望の均質化もしくは均一化を支援する。
【0026】
特に図3および図6において、装置1の遮蔽スクリーン3は、本実施例では2つの連接棒に固定されている、ということがよく判る。連接棒12内には、各1つの加熱装置6が位置している。加熱装置6は、好適には電気的に運転されている。抵抗ヒータまたは誘導加熱装置であってよい。電流供給は、電気ケーブル24(ここでは短縮して図示)を介して行われる。連接棒12は、それ自体周知の貫通案内手段25を介して気密かつ圧力密に、装置ケーシング14および室壁19に設けられた対応する開口を通って案内されており、これにより、室内部空間18は、室壁開口20が相応して弁21の閉鎖機構22により閉じられると、外部に対して圧力密かつ気密にシールされた状態になる。
【0027】
図示の実施例では、連接棒12はそれぞれ、被ガイド部材26に取り付けられている。被ガイド部材26もやはり、それぞれガイドレール15に直線摺動可能に支持されている。ガイドレール15は、本実施例では装置ケーシング14に固定されている。本発明に基づき、ここでは、遮蔽スクリーン3は少なくとも1つの調整部材7を介して、本実施例では2つの調整部材7を介して、リニア駆動装置4に結合されている、ということが想定されている。ここに示す実施例では、このことは、リニア駆動装置4に横材13が取り付けられていることで解決されている。この横材13に、互いから間隔をあけて2つの調整部材7が配置されている。これらの調整部材7もそれぞれやはり、被ガイド部材26のうちの1つに結合されている。各被ガイド部材26もやはり、それぞれ連接棒12を介して遮蔽スクリーン3に結合されている。もちろん、少なくとも1つの調整部材7を介した遮蔽スクリーン3とリニア駆動装置4との結合部は、異なって構成されていてもよい。介在する構成部品もしくは部材の数は、変化し得る。いずれにしろ重要なのは、やはり少なくとも1つの調整部材7が、遮蔽スクリーン3とリニア駆動装置4との間に介在しており、この場合、調整部材7は、遮蔽スクリーン3とリニア駆動装置4との間の相対運動を、遮蔽スクリーン3の直線運動方向5に対して横方向の、もしくはここでは直交する方向の、少なくとも1つの方向に可能にする、ということである。方向8と運動方向5とは両方共、図3および図6に書き込まれている。リニア駆動装置4は、互いに反対の2つの運動方向5において、遮蔽スクリーン3の運動を生ぜしめる。ここに示すような好適な実施形態では、遮蔽スクリーン3はリニア駆動装置4を介して、専ら互いに反対の2つの運動方向5にのみ可動である。
【0028】
加熱装置6を用いて遮蔽スクリーン3を加熱することにより、遮蔽スクリーン3を一方では、ワーク17において実施しようとする処理に最適な温度にもたらすことができる。有利には、遮蔽スクリーン3の温度は、室内部空間18内のガス雰囲気の温度に相応するように正確に調整される。またこれにより、処理室2内および特に本実施例ではスクリーン内部空間16内の分散ガスの特に良好な均質化が達成される。それというのも、熱的にかつその他の方法でも生ぜしめられるガス中の流動、乱流等が回避されるからである。しかしまた他方では、遮蔽スクリーン3および連接棒12の加熱により、横材13およびリニア駆動装置4に向かう方向において温度勾配が生じる。それというのも、これらの構成部品は加熱されないからである。本発明に基づき設けられた調整部材7は、調整部材7が、リニア駆動装置4もしくは横材13と、連接棒12および遮蔽スクリーン3との間の相対運動を、運動方向5に対して横方向8もしくは直交する方向8に可能にすることにより、前記温度勾配に基づき装置1内に発生し得る応力を回避する。
【0029】
図9には、図6に示した部分Dひいてはここに例示的に使用された本発明による調整部材7の実施形態が拡大されて示されている。調整部材7は、ブシュと呼ばれることもあるスリーブ9と、スリーブ9において方向8に可動に支持されたヘッド10とを有している。図示の実施例では、スリーブ9は、例えば螺合または圧着により第1の接続部材27に取り付けられており、第1の接続部材27は、ねじ28により横材13に取り付けられている。ヘッド10は、本実施例では第2の接続部材29を介して被ガイド部材26ひいては各連接棒12に結合されている。このことはもちろん、逆に実施されてもよい。いずれにしろ有利なのは、スリーブ9とヘッド10との間に、ここでも実現されているように弾性変形可能体11が配置されている場合である。弾性変形可能体11は、一方ではヘッド10とスリーブ9との間に遊び除去をもたらすことができ、かつ他方では弾性的な戻し力をもたらすことができる。特に好適には、変形可能体11はエラストマ体である。
【0030】
もちろん、本発明による調整部材7は、異なって構成されてもよい。しかしこの場合に重要なのはやはり、調整部材7が、遮蔽スクリーン3とリニア駆動装置4との間の相対運動を、遮蔽スクリーン3の直線運動方向5に対して横方向のもしくは直交する方向の、少なくとも1つの方向8に可能にする、ということである。しかしまたもちろん、調整部材7はさらに、運動方向5における運動を、リニア駆動装置4から遮蔽スクリーン3に伝達するためにも適していることが望ましい。
【0031】
図10にはさらに、図6に示した断面線E-Eに沿った断面が示されている。ここではリニア駆動装置4と、横材13と、被ガイド部材26のガイドも、装置ケーシング14に固定されたガイドレール15上の連接棒12と共に、よく判る。
【0032】
リニア駆動装置4は、ここでは概略的に示唆されているように、例えばそれ自体周知の空圧式または液圧式のピストン・シリンダユニットとして形成されていてよい。しかしまたもちろん、それ自体周知の別のリニア駆動装置、例えば電気的なリニア駆動装置も、本発明の枠内で使用され得る。
【符号の説明】
【0033】
1 装置
2 処理室
3 遮蔽スクリーン
4 リニア駆動装置
5 運動方向
6 加熱装置
7 調整部材
8 方向
9 スリーブ
10 ヘッド
11 体
12 連接棒
13 横材
14 装置ケーシング
15 ガイドレール
16 スクリーン内部空間
17 ワーク
18 室内部空間
19 室壁
20 室壁開口
21 弁
22 閉鎖機構
23 弁ケーシング
24 電気ケーブル
25 貫通案内手段
26 被ガイド部材
27 第1の接続部材
28 ねじ
29 第2の接続部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】