(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110907
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】複数の光学要素をビーム経路の光軸に配置するための光学系交換器及び顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20230802BHJP
G02B 7/00 20210101ALN20230802BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023011290
(22)【出願日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】10 2022 200 950.9
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アイヒホルン クリストフ
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AD02
2H052AD33
2H052AD37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光軸と回転軸が交差しない光学系交換器を提供する。
【解決手段】複数の光学要素(6.1~6.4)をビーム経路(2)の光軸に配置するための光学系交換器(1)であって、回転平面(4)において回転軸(5)周りに回転可能なレボルバ(3)を備え、光軸及び回転平面は互いに平行に延在する、光学系交換器に関する。本発明によれば、光学系交換器は、ビーム経路(2)の光軸及び回転軸(5)が交差しない、ことによって特徴づけられる。本発明はさらに、光学系交換器(1)を備える光デバイスに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学要素をビーム経路の光軸に配置するための光学系交換器であって、
回転平面において回転軸周りに回転可能なレボルバを備え、
前記ビーム経路の前記光軸及び前記回転平面は互いに平行に延在し、
前記ビーム経路の前記光軸及び前記回転軸は交差しない、
光学系交換器。
【請求項2】
前記レボルバ上に、光学要素を着脱可能に取り付けることができる少なくとも1つの取付けベースが設けられている、
請求項1記載の光学系交換器。
【請求項3】
前記光学要素のうちの少なくとも1つが、前記レボルバ上に位置する調整ベースの形態の取付けベース上に取り付けられており、
前記調整ベースは、少なくとも1つの方向において前記光学要素の調整を可能にする、
請求項2記載の光学系交換器。
【請求項4】
前記レボルバの回転平面及び前記ビーム経路の前記光軸は、互いに関して最高45°傾いている、
請求項1又は2記載の光学系交換器。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか1項記載の光学系交換器を備える光学デバイス、特に顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項の前文による、複数の光学素子を、特にビーム経路の光軸に、配置する光学系交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
画像(プロジェクタ)の照明及び表現に使用される光学系や、顕微鏡などの画像化システムでは、異なる光学要素を関連するビーム経路に導入するか、それらをそこから除去する必要がある場合がある。この要件は特に、光学系が複数の可能な用途を有する場合、及び/又は異なる条件下で使用されることを意図している場合に発生する。
【0003】
回転可能なレボルバ上に光学要素を配置するソリューションは、先行技術から知られている。レボルバの回転軸(回転の軸)はビーム経路の光軸と実質的に平行に方向付けられている。レボルバの制御された回転運動の結果として、それぞれ選択された光学要素がビーム経路に及びその光軸上にもたらされる。レボルバの回転平面は光軸に直交して延在する(例:DE 19702754 A)。
【0004】
DE 1284117 A1及びDE 102010018498 A1は、レボルバの回転軸が光軸に垂直に向けられ、両方の軸が交差する配置を開示している。特定の角度範囲によるレボルバの回転の結果として、光学要素を光軸上にもたらすことができ、例えば2つの光学要素に異なる方向からの光を通すことができる。
【0005】
先行技術から知られているソリューションでは、光学要素が光軸上に配置されていなくても、レボルバの一部はビーム経路の領域に位置する。さらに、既知のソリューションは、レボルバを収容するためにかなり大きな設置スペースを必要とする。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術の欠点を軽減する光学系交換器を提案するという課題に基づく。
【0007】
課題は、複数の光学要素をビーム経路の光軸に配置するための光学系交換器によって達成される。光学系交換器は、回転平面において、回転軸周りに回転可能なレボルバを備える。ビーム経路の光軸及び回転平面は互いに実質的に平行に延在する。
【0008】
本発明によれば、光学系交換器は、光軸と回転軸が交差しないことを特徴とする。
【0009】
本発明の核心的なアイデアは、配置された光学要素の光軸がビーム経路の光軸と一致するように、円形経路上のそれぞれ選択された光学要素をビーム経路の光軸上に配置することである。本発明による光学系交換器は、光軸の周りの任意の所望のピボット位置に配置することができる。ビーム経路の光軸は、回転平面に平行に延在し、有利には、回転軸からだけでなくレボルバからも、少なくともレボルバの通路の領域におけるビーム経路の直径に対応する距離だけ、離間している。
【0010】
レボルバは複数の又は多数の(eine Anzahl)光学要素を収容でき、それらは固定的に接続されることができる。しかしながら、レボルバにフレキシブルに光学要素を装備できるようにするために、本発明による光学系交換器のさらなる実施形態では、少なくとも1つの取付けベースが設けられることができ、その上に、例えば、ネジ、クランプ又は形状結合により、光学要素を着脱可能に取り付けることができる。レボルバは、有利には、複数の、例えば2、3又は4個などの、かかる取付けベースを有する。配置される光学要素の寸法がレボルバの直径に比べて小さい場合、より多くの取付けベースが存在し、使用されることができる。ここでは、関連する光学素子の光軸方向の寸法が比較的小さいことが特に重要である。
【0011】
本発明の発展形態において、光学要素のうちの少なくとも1つが、レボルバ上に位置する調整ベースの形態の取付けベース上に取り付けられる。ここで、調整ベースは、光学要素を、並進又は回転あるいは傾斜などの(sei es eine Translation oder eine Rotation beziehungsweise ein Kippen)、少なくとも一方向に調整できるように設計されている。調整ベースは、複数の方向の調整を可能にすることもできる。例えば、異なる方向への並進及び/又は異なる回転が可能になる。
【0012】
本発明の範囲には、レボルバの回転平面及びビーム経路の光軸が互いに傾斜しており、したがって、互いに厳密には平行に延在しない実施形態も含まれる。このような傾斜は、現在ビーム経路内に配置されている光学要素に加えて、できるだけ少ないレボルバの部分しかビーム経路の近くに配置されないようにするために有利であり得る。かかる実施形態では、光学要素も傾斜角にしたがって調整されなければならない。適切な傾斜角は、例えば、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°及び45°までである。
【0013】
本発明による光学系交換器は、特に顕微鏡:例えば、光学顕微鏡、レーザー(走査)顕微鏡又は電子顕微鏡、の一部とすることができる。
【0014】
本発明は、例示的実施形態及び図面に基づいて、以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による光学系交換器の第1例示的実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】第1動作位置における、本発明による光学系交換器の第2例示的実施形態を模式的に示す図である。
【
図3】第2動作位置における、本発明による光学系交換器の第2例示的実施形態を模式的に示す図である。
【
図4】第1動作位置における、本発明による光学系交換器の第3例示的実施形態を模式的に示す図である。
【
図5】第2動作位置における、本発明による光学系交換器の第3例示的実施形態を模式的に示す図である。
【
図6】本発明による光学系交換器の第4例示的実施形態を概略的に示す図である。
【
図7】本発明による光学系交換器を備える顕微鏡を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の例示的実施形態では、同じ参照符号は同じ技術要素を示す。
【0017】
本発明による光学系交換器1の第1例示的実施形態では、回転平面4において回転軸5周りに回転可能なレボルバ3が、ビーム経路2(その光軸によって象徴的に示される)に平行に存在する。ビーム経路2に平行なレボルバの側面又は横方向面(Seitenflaeche)上に、第1光学要素6.1、第2光学要素6.2、第3光学要素6.3、第4光学要素6.4が、円形経路上で等間隔に配置されている。各光学要素6.1から6.4は、任意に調整ベースの形態であり得る取付けベース8にマウントされている。調整ベースの形態であれば、マウントされた光学要素6.1から6.4は少なくとも一方向に、有利には複数方向(並進及び/又は回転)に、調整することができる。光学要素6.1から6.4は、関連する光学要素6.1、6.2、6.3又は6.4がビーム経路2上に配置されたときに、それらのそれぞれの光軸7.1から7.4がビーム経路2の経過と一致するように配置される。
【0018】
第2例示的実施形態では、2つの異なる光学要素6.1及び6.2を例としてレボルバ3の側面に配置する。
図2に示す第1動作位置では、第1光学要素6.1の光軸7.1がビーム経路2と一致するように、第1光学要素6.1をビーム経路2に配置する。
【0019】
第2動作位置(
図3)では、レボルバ3は
図2と比較して約70°回転している。第1光学要素6.1は、ビーム経路2が第1光学要素6.1にもレボルバ3にも影響されないように、ビーム経路2の外に移動される。表示の回転方向へのレボルバ3のさらなる回転が生じる場合、第2光学要素6.2はビーム経路2の隣に送達される。
【0020】
本発明による光学系交換器1の第3の可能な実施例では、光学要素はレボルバ3の端面に(an der Stirnflaeche)配置される。この例示的実施形態でも、明確にするために2つの光学要素6.1、6.2のみが示されている(
図4)。示されている第1動作位置では、第1光学要素6.1はビーム経路2に配置されている、すなわちビーム経路2内に枢動されている。
【0021】
レボルバ3が回転すると、第1光学要素6.1はビーム経路2の外に移動し、ビーム経路2は再びレボルバ又は光学要素の1つによる影響を受けずに延在する(
図5)。
【0022】
第4例示的実施形態において、光学要素6.1及び6.2は、下向きのレボルバ3の側面にマウントされている。
【0023】
本発明による光学系交換器1は、例えば顕微鏡などの光学デバイス9の一体部分とすることができる(
図7)。ここでは単にデバイス9を示す。それぞれ所望の光学要素6.1又は6.2を適切な時期に所望の期間だけビーム経路2に配置するために、制御コマンドを生成するように構成された制御ユニット10が存在する。レボルバ3を回転軸5周りに所望の量だけ、所望の回転方向に回転させるように作用するドライブ11は、制御コマンドによって制御することができる。
【0024】
記載されている全ての可能な実施形態において、光学要素6.1から6.4のうちの1つがビーム経路2に配置されるか又は配置可能なレボルバ3の回転位置は、ラッチ位置の形態で設計することができる。かかるラッチ位置では、例えばピン、ウェッジ、(半)球などのバネ負荷要素によって、レボルバ3を一時的にロックすることができる。このために、レボルバ3はその表面において、バネ負荷要素が係合することのできる、相応に形成された切欠き又は凹部ある(ラッチ位置)。
【0025】
例えば、かかるラッチ位置は、取付けベース8の配置のために設けられたレボルバ3の各位置に形成することができる。目的のラッチ位置におけるバネ付き要素の正しい係合を監視し、捕捉し、コントローラの入力信号として使用することができる。選択された光学要素6.1から6.4の所望の位置決めに到達し維持する再現性は、これらのラッチ位置の製造精度に依存するので、この可能な実施形態は、コスト効果的駆動部(einen kostenguenstigen Antrieb)を使用することを可能にする
【符号の説明】
【0026】
1 光学系交換器(Optikwechsler)
2 (ビーム経路の)光軸(optische Achse (des Strahlengangs))
3 レボルバ(Revolver)
4 回転平面(Rotationsebene)
5 回転軸(Rotationsachse)
6.1 第1光学要素(erstes optisches Element)
6.2 第2光学要素(zweites optisches Element)
6.3 第3光学要素(drittes optisches Element)
6.4 第4光学要素(viertes optisches Element)
7.1 (第1の光学要素6.1の)光軸(optische Achse (des ersten optischen Elements 6.1))
7.2 (第2の光学要素6.2の)光軸(optische Achse (des zweiten optischen Elements 6.2))
7.3 (第3の光学要素6.3の)光軸(optische Achse (des dritten optischen Elements 6.3))
7.4 (第4の光学要素6.4の)光軸(optische Achse (des vierten optischen Elements 6.4))
8 取付けベース(Montagesockel)
9 デバイス/顕微鏡(Geraet/Mikroskop)
10 制御ユニット(Steuereinheit)
11 ドライブ(Antrieb)
【外国語明細書】