(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110922
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】RFIDタグを位置特定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/04 20060101AFI20230802BHJP
G01S 13/74 20060101ALI20230802BHJP
G01S 13/46 20060101ALI20230802BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G01S5/04
G01S13/74
G01S13/46
G06K7/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072377
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2019554404の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】62/477,796
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/577,530
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519348060
【氏名又は名称】オートマトン, インク.
【氏名又は名称原語表記】AUTOMATON, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】ヒューエット スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】ブレア アダム
(72)【発明者】
【氏名】ザイフ ケン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ワイマン マーク
(72)【発明者】
【氏名】アドリン タマラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチパスによるゴーストを区別する。
【解決手段】無線周波数識別(RFID)システムは、見通し線(LOS)パスを非見通し線(NLOS)パスと区別するアンテナのアレイを含む。アンテナのアレイの隣接するアンテナ間の距離は、システムの無線周波数(RF)信号の波長の半分より小さい。アンテナアレイの各アンテナはまた、アンテナの間の相対位相差を変えるためにデジタル的に制御され、それにより、0とπの間の到来角(AOA)にわたってアンテナのアレイのデジタルステアリングを可能にする。デジタルステアリングは、AOAの関数として信号振幅のプロットを生成する。LOSパスは、プロットの極値(例えば、最大値または最小値)の形状(例えば、深さ、勾配など)に基づいて、NLOSパスと区別される。
【選択図】
図3-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数識別(RFID)タグを位置特定する方法であって、
第一の未知の位置の第一のRFIDタグから複数の第一のRFID信号を受信することと、
前記複数の第一のRFID信号に基づいて、前記第一のRFIDタグを第一の仮想基準タグとして指定することと、
第二の未知の位置の第二のRFIDタグから、少なくとも一つの第二のRFID信号を受信することと、
前記少なくとも一つの第二のRFID信号に基づいて、前記第一の仮想基準タグに関する前記第一のRFIDタグの位置を決定すること、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、米国特許法119条(e)の下で、2017年10月26日出願の米国特許出願第62/577,530号、および、2017年3月28日出願の米国特許出願第62/477,796号の優先権を主張する。これらの各出願は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)技術は、アクセス制御、動物の追跡、セキュリティおよび料金収集などの多くの商業領域で応用されている。典型的RFIDシステムは、タグ(トランスポンダとも呼ばれる)およびリーダー(インタロゲータとも呼ばれる)を含む。リーダーは、無線周波数(RF)信号を送信し、またタグによって反射されるかまたは放射されるRF信号を受信するためのアンテナを含む。タグはまた、アンテナおよび特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロチップを含むことができる。ユニークな電子製品コードをタグに割り当てて、それを他のタグと区別することができる。
【0003】
RFIDシステムは、能動タグまたは受動タグのいずれも使用することができる。能動タグは、リーダーにRF信号を放射するための送信機および、送信機を動かすための電源(例えば、バッテリ)を含む。対照的に、受動タグは、電源を含んでおらず、タグのアンテナの誘導電流を介してリーダーによって生成される電力を引き出す。受動RFIDシステムにおいて、リーダーはリーダーアンテナを用いて信号を送信して、タグアンテナを励起する。一旦タグが電源オンになる(励起される)と、タグは記憶データをリーダーに送り返す。
【0004】
タグによって放射されるかまた反射される信号は、一つ以上のパスを介してリーダーに達することができる。例えば、信号は、タグからリーダーまで直線(見通し線パスまたはLOSパスと呼ばれる)に沿って進むことができる。信号は、リーダーに達する前に、障害物(例えば、壁および環境の全体にわたって分布する他のオブジェクト)から、反射されるかまたは散乱されることもあり得る。これらのパスは、非見通し線(NLOS)パスと呼ばれる。いくつかの場合では、所与の信号は受信機に対する複数のパスを取ることがあり得て、信号のいくつかコピーが受信機に到達する可能性がある。リーダーは、信号の各コピーが異なる方向または到来角から生じているものと理解する。この現象は、RFID技術の分野において「マルチパス」と呼ばれる。
【0005】
マルチパスによって、望ましくない干渉およびゴーストが生じることがあり得る。信号の異なるコピーが時間的に重複する場合、それらは互いに干渉し得る。弱め合う干渉によって、フェーディングが生じる。信号の異なるコピーが互いに重複しない場合、後続のコピーが「ゴースト」として現れ得る。これらのゴーストに惑わされて、受信機は、余分なRFIDタグが存在すると判断することがあり得る。
【発明の概要】
【0006】
本発明の技術の実施形態は、無線周波数識別(RFID)タグを位置特定するための方法およびシステムを含む。一つの実施例は、一つ以上のアンテナまたはRFIDタグリーダーを有するシステムを使用して、第一の未知の位置の第一のRFIDタグから、複数の第一のRFID信号を受信することを含む。アンテナに連結されたプロセッサは、第一のRFIDタグを複数の第一のRFID信号に基づいて第一の仮想基準タグとして指定する。アンテナは、第二の未知の位置の第二のRFIDタグから少なくとも一つの第二のRF
ID信号を受信する。そして、プロセッサは、少なくとも一つの第二のRFID信号に基づいて、第一の仮想基準タグに関する第一のRFIDタグの位置を決定する。
【0007】
本発明の技術の別の例は第一のアンテナを使用して、RFIDタグから第一の見通し線(LOS)信号を受信する。第一のアンテナに連結されたプロセッサは、第一の到来角、第一の位相差および第一のLOS信号の第一の周波数差を推定して、第一の周波数差に関する第一の位相差の変化を決定する。第二のアンテナは、RFIDタグから第二の見通し線(LOS)信号を受信する。プロセッサは、第二の到来角、第二の位相差および第二のLOS信号の第二の周波数差を推定して、第二の周波数差に関する第二の位相差の変化を決定する。次に、プロセッサは、第一の到来角、第一の周波数差に関する第一の位相差の変化、第二の到来角および第二の周波数差に関する第二の位相差の変化に基づいて、RFIDタグの位置を推定する。
【0008】
さらに別の例は、複数のアンテナによって、少なくとも一つの基準RFIDタグから少なくとも一つのRFID信号を受信することを含む。アンテナに動作可能に連結されたプロセッサは、RFID信号に基づいて基準RFIDタグの推定位置を決定する。それは、基準RFIDタグの推定位置と基準RFIDタグの実際の位置の比較を実行する。プロセッサは、基準RFIDタグの推定位置と基準RFIDタグの実際の位置の比較に基づいて較正される。アンテナは、未知の位置のRFIDタグからの少なくとも一つのRFID信号を受信する。そして、プロセッサは、RFID信号に基づいてRFIDタグの推定位置を決定する。
【0009】
さらに別の例には、複数のアンテナによって、それぞれの既知の位置にあるそれぞれの基準RFIDタグから基準RFID信号を受信することが含まれる。アンテナはまた、未知の位置にあるRFIDタグから少なくとも一つのRFID信号を受信する。アンテナに連結されたプロセッサは、RFID信号および基準RFID信号に基づいてRFIDタグの位置を決定する。
【0010】
さらにまた、別の例は、アンテナアレイを使用して少なくとも一つの基準RFIDタグから基準RFID信号を受信することを含む。プロセッサは、基準RFID信号に基づいてアンテナアレイの受信感度パターンを決定する。アンテナアレイは未知の位置のRFIDタグからRFID信号を受信して、プロセッサはRFID信号およびアンテナアレイの受信感度パターンに基づいてRFIDタグの位置を決定する。
【0011】
本発明の技術の別の例には、少なくとも一つのアンテナによって、一定時間にわたってRFIDタグから複数のRFID信号を受信することによってRFIDタグをモニタすることが含まれる。アンテナに連結されたプロセッサは、複数のRFID信号に基づいて一定時間にわたってRFIDタグの複数の可能性がある軌跡を推定する。それから、プロセッサは、アンテナとRFIDタグの間の見通し線(LOS)パスに対応するとして、複数の可能性がある軌跡の第一の軌跡を識別する。
【0012】
RFIDタグを位置特定する別の方法例は、複数のアンテナによって、RFIDタグから信号を受信することを含む。プロセッサは、複数のアンテナの第一のアンテナによって検出される応答の第一のデジタル表現と、複数のアンテナの第二のアンテナによって検出される応答の第二のデジタル表現とを生成する。プロセッサは、第一のデジタル表現および第二のデジタル表現の複数の合計を生成する。これらのそれぞれの合計は、RFIDタグからの信号に対して異なる到来角を表わす相対位相差である。プロセッサはこれらの合計を使用して、RFIDタグの位置を推定する。
【0013】
本発明の実施形態は、無線周波数識別(RFID)タグを位置特定するための装置、シ
ステムおよび方法を含む。一実施例では、RFIDタグを位置特定する方法は、複数のアンテナによって、RFIDタグから送信機への信号を検出することを含む。一つ以上アナログデジタル変換器(ADC)は、複数のアンテナの第一のアンテナによって検出される応答の第一のデジタル表現と、複数のアンテナの第二のアンテナによって検出される応答の第二のデジタル表現とを生成する。ADCに連結されたプロセッサは、第一のデジタル表現および第二のデジタル表現の複数の合計を生成する。複数の合計のそれぞれの合計は、RFIDタグからの信号に対して異なる到来角を表わす相対位相差である。方法はまた、複数の合計に基づいてRFIDタグの位置を推定することを含む。
【0014】
前述の概念および以下でより詳細に論じる追加的概念のすべての組み合わせは(このような概念は相互に矛盾していないという前提で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられる。特に、本開示の最後に現れる請求項に記載された主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される発明主題の一部であると考えられる。参照により本明細書に組み込まれる、あらゆる開示においても明示的に用いられる用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を与える必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者であれば、図面が主として例示的な目的であること、そして本明細書に記載される本発明の主題の範囲を制限することを意図していないことを理解する。図面は必ずしも一定の比率ではなく、一部の例では、本明細書に開示される本発明の主題の様々な態様は、異なる特徴の理解を容易にするために図面内で誇張または拡大され得る。図面では、同様の参照文字は一般的に、同様の特徴(例えば、機能的に類似した、および/または構造的に類似した要素)を意味する。
【
図1-1】
図1Aは、RFIDタグと受信機の間に見通し線(LOS)および非見通し線(NLOS)パスを有する環境の無線周波数識別(RFID)タグを位置特定するための例示システムを示す。
【
図1-2】
図1Bは、入射信号の到来角(AOA)を推定するための例示システムを示す。
【
図1-3】
図1Cは、アンテナ受信感度パターンによる、逆畳み込みまたは他の修正の前(実線のトレース)、および後(複数の線)のコンポジット信号振幅対到来角/位相差の例を示すプロットである。
【
図1-4】
図1Dは、それぞれがアンテナに関する異なるAOAにある四つの異なるRFIDタグについての、RFIDタグ信号振幅対角度および仰角のプロットを示す。
【
図2】
図2は、
図1Aのシステムの使用に適している送信機および受信機のブロック図である。
【
図3-1】
図3Aは、
図1Aに示されるもののようなシステムを用いてRFIDタグを位置特定する方法を例示するフローチャートである。
【
図3-2】
図3Bは、異なるAOAからの複数のリーダーによる仮想基準RFIDタグ、基準RFIDタグおよび測定値を使用してRFIDタグを位置特定することを例示する。
【
図3-3】
図3C~3Fは、円によって示されるRFIDタグの測定された位置および、ニューラルネットワークまたは他のコンピュータビジョン技術を用いてRFIDタグでタグ付けされたオブジェクト周辺で引かれる境界ボックスを示しているビデオのフレームである。
【
図3-4】
図3Gは、RFIDタグ測定を画像データに関連付けるための方法を例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、移動するRFIDタグから一対のアンテナまでのLOSおよびNLOS信号パス、ならびにLOSおよびNLOS信号によって得られる対応する現実の、および「ゴースト」の速度ベクトルおよび軌跡を例示する。
【
図5-1】
図5Aは、小売店およびストック室のRFIDタグ位置特定システムを示す。
【
図5-2】
図5Bは、
図5Aの小売店における販売用のアイテムの上のRFIDタグ送信機および受信機を示す。
【
図6】
図6は、RFIDタグ位置データから得られる従業員および製品位置を表示しているスマートフォンまたはタブレットのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を示す。
【
図7-1】
図7A~7Dは、GUIを、特定のアクションのためにRFIDタグによって製品または他のアイテムを選択するのにどのように用いることができるかを示す。
【
図8】
図8は、GUIが、RFIDタグ位置特定システムによってモニタされる店舗か、ストック室か、倉庫か他の環境のRFIDタグのリアルタイムおよび/または履歴動作をどのように示すことができるかを示す。
【
図9-1】
図9A~9Dは、GUIを、RFIDタグ位置データに基づいてアイテムをピックリストから引き出すための、例えば、ストック室または倉庫におけるピックパスを計画して追跡するために、どのように用いることができるかを示す。
【
図10】
図10は、GUIを、RFIDタグによって流れてきたアイテムを識別して、位置特定するためにどのように用いることができるかを示す。
【
図11】
図11は、GUIを、RFIDタグによってアイテムのストック要求を満たすためにどのように用いることができるかを示す。
【
図12】
図12は、GUIを、売り場および/またはストック室においてRFIDタグでタグ付けされた選択製品の位置を示すためにどのように用いることができるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これまで、RFID位置技術は、宣伝に従うほどの働きを見せてこなかった。コンピュータビジョン技術と組み合わせることで、本発明のRFID位置特定技術は、今までにない速度および精度を提供する。事実、それは、従来のRFID位置特定技術より300倍以上正確であり得る。例えば、以下に開示されるシステム及び方法を使用して、RFIDタグをそれらの実際の位置の50cm、40cm、30cm、25cm、20cm、15cm、10cm、5cmまたは2.5cm以内に位置特定することができる。この速度および精度により、それを用いて、最もわずかな移動まで、リアルタイムでRFIDでタグ付けされたアイテムを追跡することができる。このレベルの速度および精度によって、ほとんどすぐにアイテムを見つけて在庫補充して、RFIDタグの間のインタラクションを追跡することが可能となる。店舗内の製品上のRFIDタグについては、これは、アイテムごとのレベルでの製品との顧客インタラクションについてデータを産み出し、自律的なチェックアウトを可能にする。
【0017】
物理的に互換性がない場合を除き、本明細書において開示される技術の全てを互いに使用することができる。例えば、RFIDタグ位置特定システムは、複数のRFIDタグリーダーを用いて多くの到来角から基準タグ、仮想基準タグおよびRFIDタグに問い合わせて、受信信号に基づいて(マルチパス)シグネチャを作成することができる。このようなシステムは、互いに対して、および/または絶対の(既知の)位置に対して、2次元または3次元においてタグを位置特定することができる。結果として得られる位置は、ニューラルネットワークをトレーニングするか、または店舗もしくは倉庫の操作を管理するためのビデオデータと相関することができる。位置情報は、以下に詳細に説明するように、在庫およびサプライチェーン管理などのためにスマートフォン、タブレットまたは他のデバイスに表示することもできる。
【0018】
1 マルチパスおよびRFID信号
既知の無線周波数識別(RFID)技術におけるマルチパス問題に対処してRFIDタグを正確に位置特定するために、本明細書において記載されているシステム、方法および装置は、アンテナのアレイを使用して、非見通し線(NLOS)パスに沿って進んでいるRF信号から見通し線(LOS)パスに沿って進んでいるRF信号を区別する。アンテナのアレイの隣接するアンテナ間の距離は、システムの無線周波数(RF)信号の波長の半分未満であり得る。アンテナアレイの各アンテナはまた、アンテナアレイの他のアンテナに関するその相対位相差を変えるためにデジタル的に制御される。アンテナアレイの各々の別個の位相設定は、アンテナアレイによって測定される別個の到来角(AOA)に対応する。アレイが三つ以上のアンテナを含む限り、これは、アンテナアレイが0~πの間(すなわち、0~180度の間)の仰角AOAおよび0~2πの間(すなわち、0~360度の間)の方位角AOA全体にデジタル的にステアリングされるのを可能にする。
【0019】
デジタルステアリングは、次に、AOAの関数として、プロットまたは信号振幅の他の表現を生成することを可能にする。LOSパスは、プロットの極値(例えば、最大値または最小値)に基づいて、NLOSパスと区別される。例えば、最高の(より低い)、最も急勾配の最大値(最小値)は、LOSパスに対応するAOAとすることができる。二つ以上の別個のLOSパスに対するAOAによる三角測量によって、3次元(3D)のRFIDタグの位置を得る。理論的には、このアプローチは、完全な環境条件の下で完全な精度にまでアイテムを位置特定することができる。現実的な屋内の条件の下では、位置精度は、この技術を使用して、50cmより良くなり得る。
【0020】
上記で推定されるLOSパスを用いて、三角測量方式を介してRFタグの位置を決定することができる。第一のアンテナまたはアンテナのグループは、RFタグへの第一のLOSパスを推定するために使用され、第二のアンテナまたはアンテナのグループは同じRFタグへの第二のLOSパスを推定するために使用される。それから二つのLOSパスの間で三角測量することによって、3DでのRFタグの位置の推定が提供される。
【0021】
上記のアプローチは、アンテナアレイのデジタルステアリングを利用し、実際にコスト効果が高いものとすることができる。加えて、このアプローチは、複数のアンテナアレイに都合よくスケールアップすることができる。これらのアンテナアレイは、所与の空間に(例えば、店舗または倉庫の天井に)分配されて、少なくとも二つのアンテナアレイが空間内のRFIDタグとのLOSパスを有することを確実にすることができる。これは、複数の障害物があるかもしれない屋内の環境において、特に有利であり得る。このRFIDアプローチの屋内の用途の例には、とりわけ、小売店、ライブラリおよび倉庫を含む(より詳細には以下を参照)。
【0022】
デジタルステアリングは、WiFi、Bluetoothまたは同様のアンテナを備えたスマートフォン、ウェアラブル、タブレット、ラップトップおよび他の携帯用電子デバイスに見られるものを含む他のRFトランシーバを位置特定するために用いることもできる。上記で簡単に、そして、以下でさらに詳細に説明されているRFIDタグ位置と同様に、送信機は、WiFi、Bluetoothまたは他のRFトランシーバを有するデバイスにトリガ信号を発信する。このトリガ信号に応答して、デバイスはLOSおよび/またはNLOSパスを介して二つ以上の受信機によって検出される応答を放射する。受信機に連結されたプロセッサは、受信機の異なる組み合わせ(例えば、受信機のペアをなす組み合わせ)に対するAOAをデジタル的にステアリングし、そしてAOAの関数として最も強い信号を探すことによって、受信機の受信感度パターンをステアリングする。
【0023】
2 LOSおよびNLOSパスを区別するためのシステム
図1Aは、NLOSパス13からRFトランシーバを有するデバイスまたはアイテム、例えばRFIDタグ10、スマートフォン、ウェアラブルコンピューティングデバイス、
タブレットまたはラップトップへの、LOSパス11を区別するためのシステム100を示す。システム100は、RFIDリーダー(送信機)110および二つの受信機120aおよび120b(集合的に受信機120と呼ばれ、また、受信機アンテナ120とも呼ばれる)を含む。リーダー110および受信機120は、プロセッサ130に連結される。二つの受信機120が、説明の目的で
図1Aに示される。実際には、システム100は、三つ以上の受信機120を含むことができる。これらの受信機120は、一次元(1D)または2次元(2D)アレイに配置することができる。別の例では、受信機120は、所与の空間内にランダムにまたは不規則に分散される。
【0024】
受信機120は、位相アンテナアレイ(の一部)を形成することができる。この場合、二つの受信機120aと120bの間の距離dは、RFIDタグ10に問い合わせるために使用される無線周波数(RF)信号のキャリア波長λの実質的に半分以下、すなわち、d≦λ/2である。システム100は、様々なキャリア波長(したがって様々なキャリア周波数)のいずれか一つで作動するように構成され得る。
【0025】
例えば、システム100は、電磁スペクトルの極高周波(UHF)領域(例えば、約850MHz~約960MHz)またはマイクロ波信号(例えば、2.45GHz)のRF信号を使用することができる。対応するキャリア波長は、UHF信号では約31cm~約35cm、マイクロ波信号では約12.2cmである。この場合、二つの受信機120aと120bの間の距離dは、実質的にUHF周波数で17.5cm以下、またはマイクロ波周波数で6.1cm未満であり得る。屋外用途などの他の用途では、システムは、対応するより長波長(例えば、22メートル、2400メートルなど)で、より低周波数(例えば、13.56MHz、125kHzなど)で動作し得る。WiFiまたはBluetoothデバイスを位置特定するために、システムは、2.0GHz~2.4GHzの無免許の工業、科学、医療(ISM)バンドで、または、他のいかなる適切なバンド(例えば、5GHz)でも動作し得る。より高い周波数(より短波長)は、より低い周波数(より長波長)よりも、もっと正確な位置推定を一般に提供する。
【0026】
二つの受信機120aおよび120bはアンテナ122aおよび122b(集合的に受信機アンテナ122と呼ばれる)をそれぞれ含んで、RF信号を受信する。受信機アンテナ122は、それらがRFIDタグ10から受信する信号の位相差を変更するためにデジタル的に制御され得る。このデジタル制御により、二つのアンテナ122の異なる到来角(AOA)への便利なステアリングが可能になる。
【0027】
一実施例では、リーダー110および受信機120は、単一のエンクロージャ内に配置されて、統合デバイスを形成することができる。プロセッサ130は、デバイスに組み込むこともできる。別の実施例では、リーダー110、受信機120およびプロセッサ130は、異なる位置に分散することができる。例えば、受信機120はタグ10に対してモニタされるスペースの明瞭な視野を有する位置に(例えば、部屋の天井に)配置することができるが、プロセッサ130は人がより良好にアクセスできる位置に(例えば、制御室に)配置される。リーダー120は、一つ以上の有線接続を介して、または、無線リンク(例えば、WiFiリンク)を通じてプロセッサ130に接続することができる。
【0028】
動作において、リーダー110は、RFIDタグ10に向かってRF信号を放射する。一実施例では、リーダー110は、所与のスペース(例えば部屋)の全体にわたって、RF信号を送信する。別の実施例では、リーダー110は、RF信号をより小さい発散で放射して、スペース全体にRF信号をステアリングするかまたは掃引する。いずれの場合でも、RFIDタグ10が所与のスペースの中にある場合、RFIDタグ10は、RFIDタグの技術で理解される応答信号を放射することができる。
【0029】
RFIDタグ10および受信機120の位置に応じて、応答信号は、反射または散乱されることなく、LOSパス11に沿って、RFIDタグ10から受信機120に直接伝搬し得る。応答信号は、同様に他の方向に伝搬することもできる。例えば、応答信号は、壁12(または所与のスペースの全体にわたって分散される他のあらゆる障害物)から反射されるかまたは散乱されることがあり得る。この場合、応答信号は、一つ以上のNLOSパス13に沿って、受信機120に到達する。上述のように、これは、マルチパス問題を生じさせ、システム100の正確性および信頼性を損なうことがあり得る。
【0030】
図1に示されるシステム100は、それらのそれぞれの到来角(AOA)に基づいて、NLOSパス13に沿った信号からLOSパス11に沿った信号を区別することができる。区別は、アンテナの受信感度パターンの極値(例えば、極大値および極小値)に対応する到来角を決定することにより行うことができる。例えば、システムプロセッサ130は隣接するアンテナ122によって受信される信号をいくつかの位相差のそれぞれでコヒーレントに合計することができ、そのそれぞれは異なるAOAに対応する。最大値を生じるコヒーレントな合計は、LOS信号およびNLOS信号が到達するAOAに対応する。減衰がない場合、最も高く最も急峻な最大値は一般にLOSパス11に対応し、他の最大値はNLOSパス13に対するAOAに対応する。
【0031】
図1Bは、二つのアンテナ122aおよび122bによって受信された信号の位相差に基づいてAOAθを推定するために使用される受信機120を示す。二つのアンテナ122aおよび122bにそれぞれ到達するRF信号125aおよび125bは、距離dが受信機120とRFIDタグ10の間の距離と比較して十分に小さい(d<λ/2)という前提で、互いに実質的に平行であるとみなすことができる。この場合、信号125aおよび125bは、二つのアンテナ122aおよび122bによって画定されるアンテナ面15に対して同じAOAθを有する。いかなる特定の理論または動作モードにも束縛されずに、二つのアンテナ122aおよび122bによって検出される二つの信号125aと125b間の位相差Δφは、それぞれ、次のように書くことができる:
【数1】
式中、Δは二つの信号125aおよび125bによって取られた二つのパスの長さの差である。一旦位相差が決定されると、AOAθは式(1)に従って算出することができる。
【0032】
式(1)はまた、異なるAOAθに向かってのアンテナ122のデジタルステアリングを表す。この場合、二つのアンテナ122aと122b間の位相差Δφは、例えば、デジタル遅延を一つまたは両方のアンテナ122aおよび122bに適用することによって調整することができる。このデジタル遅延は、
図1Bに示される伝搬遅延Δを相殺する。一旦位相差Δφが変化すると、AOAθはそれに応じて変化し、それはアンテナ122aおよび122bが異なるAOAθに向けてステアリングされて信号125aおよび125bを受信することを意味する。
【0033】
位相差Δφは、対応するAOAθが0からπまで変化するような範囲にわたって変化し得る。各AOAθで、対応する信号振幅を記録することができる。信号振幅は、二つのアンテナ122aおよび122bによって検出された信号のコヒーレントの和とすることができる。AOAθのスキャン完了時に、プロットが生成されて、AOAθの関数として信号振幅を示して、LOSパス11を発見することができる(例えば、
図1Cおよび下記の説明を参照)。
【0034】
システム100では、プロセッサ130は、アンテナ122に印加される遅延の量を制
御することによってAOAθのスキャンを制御するために用いることができる。スキャンΔθのステップサイズは、約π/1000~π/10(例えば、約π/1000、約π/500、約π/200、約π/100、約π/50、約π/20、または、約π/10、その間の任意の値およびサブ範囲を含む)とすることができる。
【0035】
プロセッサ130は推定されたか、既知であるか、測定された対称性を利用して、スキャンおよび/または処理時間を減らすこともできる。例えば、プロセッサ130は、位相差Δφを選択してデジタル的に算出することができ、非対称な角度(例えば-45°および+44°)の代わりに対称角度(例えば、±45°)でアンテナ122をステアリングする。角度が対称形であるので、それらは反対称の結果(例えば、符号の違いだけを有する結果)をもたらして、したがって、非対称角度として時間の約半分で算出することができる。
【0036】
加えて、アンテナパターンについての知識は、所与の測定精度について計算する必要のある角度の数を減らすために用いることもできる。例えば、アンテナ122の感度は、特定の角度周辺で急速に変化し得る。これらの角度またはその付近では、スキャンΔθのステップサイズは減じることができて、より多くのAOAをサンプリングし、より正確な結果を得ることができる。対照的に、アンテナ122の感度が比較的一定である角度では、スキャンΔθのステップサイズが増やされサンプルが少なくなり、このことにより走査時間および処理時間を減らすことができる。
【0037】
図1Cは、
図1Aに示されるような一対のアンテナ122によって受信されるRFID信号のための概念上の信号振幅A対AOAθ、すなわち、A(θ)のプロット150を示す。上部トレース151は、アンテナによって受信される信号の間の位相差をデジタル的にインクリメントすることによって形成される複合信号を表す。この場合、複合信号は-3π/8の近い第一の最大値155aおよび+π/4に近い第二の最大値155bを含む。第二の最大値155bは比較的高かつ狭い(急峻である)が、第一の最大値155aは比較的短くかつ広い。この場合、高くかつ狭い第二の最大値155bはLOSパス(例えば、パス11)に沿って受信機に到達する信号に対応するが、広くかつ短い第一の最大値155aはNLOSパス(例えば、パス13)に沿って受信機に到達する信号に対応する。
【0038】
プロセッサ130をさらに使用して信号振幅Aからアンテナ受信感度パターンS(θ)を修正することができ、それにより、水平軸に沿って示される線152を得る。この修正は、アンテナとRFIDタグの間のLOSおよびNLOSパスに対応する到来角の識別を単純化することができる。動作モードのいかなる特定の理論にも束縛されずに、この修正は、アンテナ設計を較正して、較正された利得パターンを除外することによって、または、測定された信号振幅A
measured(曲線151)から較正パターンを事実上逆畳み込みすることによって、行うことができるが、それは測定された信号が基本的に、アンテナ受信感度パターンS(θ)によって畳み込まれた真の信号A
true振幅の畳み込みだからである。
【数2】
この逆畳み込みを使用して、AOAθの関数として、真の信号振幅を回復することができる。
【0039】
アンテナ受信感度パターンS(θ)は、既知の放射パターン(例えば、Atrue)を有する基準アンテナを用いて測定することができる。照射源としてのこの基準アンテナで
、Ameasuredを記録することができる。次に、受信感度パターンS(θ)は、式(2)に従って算出することができる。
【0040】
逆畳み込みまたは他の修正の後、振幅曲線151は、二つのピーク156aおよび156bに変換される。より高いピーク156bはLOSパスに対応し、より小さいピーク156aはアンテナとRFIDタグの間のNLOSパスに対応する。必要に応じて、プロセッサは曲線(例えば、ローレンツ曲線またはガウス曲線)をピーク156に適合させて、LOSおよびNLOSパスに対するAOAのより正確な推定を生成することができる。
【0041】
3 RFIDタグの位置の推定
LOSパスのAOAに基づいて、プロセッサ130は、三角測量方式を用いてRFIDタグ10の位置を推定することができる。アンテナアレイの二つ以上のグループを使用することができる。例えば、二つのアンテナ122などの第一のアンテナアレイは、RFIDタグ10と第一のアンテナアレイとの間の第一のLOSパスを識別するために使用される。第二のアンテナアレイ(図示せず)は、RFIDタグ10と第二のアンテナアレイとの間の第二のLOSパスを識別するために使用される。二つのLOSパスが互いに交差する(またはそれらの間の誤差が最小化される)位置は、第一および第二のアンテナアレイへのLOSパスの平面におけるRFIDタグ10の位置である可能性が高い。
【0042】
必要に応じて、プロセッサは、振幅または各LOS信号の受信信号強度表示(RSSI)に基づいて、または、周波数の差異上の位相の差異の勾配に基づいて、各アンテナとRFIDタグの間の距離を推定することができる。二つ以上の距離推定によって、プロセッサは、AOAに基づいた三角測量に加えて、または、それの代わりに、RFIDタグの位置を三辺測量することができる。これらの距離推定は、AOAなしでより正確にまたは一意にRFIDタグの位置を推定するために使用され得る。
【0043】
周波数の差異上の位相の差異の勾配は、受信信号の位相が伝送信号の位相と直接比較される、レーダーおよびレーダー様のシステムで定期的に用いられる技術に関連する。リーダーからの所与の距離であるアイテム(本例ではタグ)については、この位相オフセットは、そのキャリア周波数によって予測可能な方法で変化するはずである。したがって、この相対位相オフセットφを、複数のキャリア周波数、fで捕えることで、以下のようにリーダーからの距離の推定をすることができる:
【数3】
ここで、cは光の速度である。
【0044】
4 RFIDタグ位置特定システムのトレーニングおよび動作
RFIDタグ位置特定システムは、動作状態になる前に、トレーニングフェーズを受けることができる。このトレーニングフェーズにおいて、RFIDタグ位置特定システムは、既知の位置の基準RFIDタグまたは他のトランシーバの位置を推定する。システムは、基準RFIDタグの推定位置をそれらの実際の位置と比較することによって、それ自体を較正する。一旦トレーニングが完了すると、システムは未知のRFIDタグ、スマートフォンおよび/または他のデバイスを位置特定することができる。システムは、定期的に(例えば、夜、週末などに)、または、望ましい時に(例えば、ユーザコマンドに応答して)、トレーニングを繰り返すことができる。
【0045】
例示的なシステム(例えば、
図1Aのシステム)がどのようにLOSおよびNLOSパ
スを決定して、推定するかを見るために、λの波長で持続波(cw)RF問い合わせ信号を放射するリーダーについて考える。第一の(トレーニング)フェーズにおいて、リーダーは、その位置が知られているタグのセットに問い合わせる。これらのタグは、基準タグと呼ばれる。各基準タグはこの問い合わせ信号を受信して、k=1~K個のアンテナのそれぞれによって次々に受信される応答の信号を放射し、そのそれぞれは長さDのラインセグメントに沿って位置特定され、ここでx
k=kD/(K-1)はk番目のアンテナの横方向の位置である。(他のアンテナ配置も可能である)。アレイ内の各アンテナは、タグの出力を検出して、タグの出力を表わす複素ベースバンド信号s
kを放射する。
【0046】
マルチパスがない場合、到来角θのタグに対する各アンテナの予想される空間応答は以下の通りである:
【数4】
【0047】
(システムがビーム形成システムでないので、利得を説明することは必要でない。)θ方向のアンテナアレイ全体にわたって受ける電力は、以下のように計算することができる:
【数5】
【0048】
B(θ)はアンテナアレイのマルチパスプロファイルとも呼ばれ、なぜならそれ(すなわち、B(θ))がLOSおよびNLOSパスに沿った信号からの放射電力を考慮するからである。システムは、基準タグの全てに対する、そして、一つ以上のリーダーに対するいくつかのAOAのそれぞれで、アンテナアレイのマルチパスプロファイルを測定する。一旦プロセッサがアンテナと基準タグの間のLOSパスに対するAOAを決定すると、プロセッサは上述のように三角測量および/または三辺測量を用いて基準タグの位置を計算することができる。
【0049】
上記の技術は、2D(またはさらに3D)アンテナアレイトポロジに拡張することができる。例えば、2×2の均一な矩形アレイの単純な2Dアレイについては、xy平面上の等方性要素を仮定すると、ステアリングベクトルは、以下によって与えられる:
【数6】
ここで位置ベクトル、p
xおよびp
yは、以下によって与えられる:
【数7】
dは、アレイ行とカラムの間に要素スペーシングを意味している。
【0050】
各3D角度(θ,φ)、したがって3Dマルチパスプロファイルで受ける電力は、以下によって算出される:
【数8】
【0051】
図1Dは、共通の受信機(アンテナ)に関する、異なる位置および到来角でRFIDタグについて測定された3Dマルチパスシグネチャを示す。各プロットは、RFIDタグ信号振幅対方位角および仰角を示す。ピークは、タグとアンテナの間のLOSおよびNLOSパスを表し、各プロットにおける最も高く最も急峻なピークはLOSパスを表わす。これらのマルチパスシグネチャは、以下に詳細に説明するように、互いに比較されて、相対的なAOAおよびRFIDタグの位置を決定することができる。
【0052】
システムがトレーニングを完了した(所望の到来角の全てのマルチパスプロファイルを測定した)後、それはその環境(または複製環境)において実行される第二の(動作)フェーズに入る。動作フェーズにおいて、システムは、非基準タグ(すなわち、位置が知られていないタグ)に問い合わせて、未知のタグ/リーダーの組み合わせごとに、マルチパスプロファイルを計算する。システムは、それぞれの未知のタグに対するマルチパスプロファイルを基準タグに対するマルチパスプロファイルと比較して、未知のタグの位置を決定する。
【0053】
システムは、その重みが、対応するマルチパスプロファイルの間の距離に依存する三つ以上の基準タグ位置の加重和を取ることによって、未知のタグの位置を推定することができる。例えば、そのマルチパスプロファイルが未知のタグのマルチパスプロファイルとより密接にマッチする基準タグの位置は、別の基準タグの位置よりさらに大きく重み付けしてもよい。正確な加重は適切な距離メトリック、例えばユークリッド距離または「計量学習」を用いて決定することができ、それは基準タグおよび他の未知のタグの推定位置の両方の位置に影響を及ぼす。代わりに、または、加えて、システムは、プロパティ(例えば、マルチパスプロファイル)に従って基準タグおよび未知のタグをクラスタ化して、加重用にそのプロパティの代表例を定めることができる。
【0054】
システムはトレーニングフェーズを繰り返して、例えば、周期的に、基準タグの数および位置の変化、ならびにマルチパス効果の原因となる障害物の数、タイプおよび位置の変化などの、環境の変化を説明することができる。システムはまた第三の(トレーニング後の)フェーズでテストすることもできて、そこで、未知のタグは、例えばドローンまたはロボットを使用して、環境の範囲内の一連の既知の位置を通して移動される。動作フェー
ズと同様に、システムは、未知のタグの位置を測定して、その測定位置を、基準タグ位置を重み付けするための最適距離メトリック(計量学習)を決定するために、ロボットまたはドローンの座標と比較する。
【0055】
いくつかの場合では、一方のアンテナアレイからソリューション(例えば、AOAおよびLOSパス)を算出して次に別のアンテナアレイからの別のソリューションをオーバーレイする代わりに、両方のアレイからの生データを得て、単一の複合ソリューションを生成することができる。これにより、λ/2より遠い間隔を置いたアレイのための複数のソリューションを得ることができる。偽信号によるソリューションは、結果として得られる位置推定の妥当性をチェックすることによって除外することができる。
【0056】
5 LOSおよびNLOSの決定のための送信機および受信機
図2は、複数のリーダー210a~210n(集合的に、RFIDリーダー210)および複数の受信機220a~220n(集合的に、受信機220)を含むRFIDシステム200を示す。RFIDシステム200は、プロセッサ230、共通の局部発振器(LO)240およびアナログフロントエンド250a~250n(集合的に、フロントエンド250)も含む。各リーダー210は、
図2に示すように、対応する受信機220および対応するフロントエンド250によってグループ化される。リーダー210、受信機220およびフロントエンド250の他の配置も可能である。例えば、一つ以上の受信機220および/または一つ以上のフロントエンド250は、共通のリーダー210を共有することができる。
【0057】
各リーダー210は、対応するデジタルアナログ変換器(DAC)218を含む。DAC218の入力はプロセッサ230に連結され、DAC218の出力はローパスフィルタ216に連結される。動作において、DAC218は、プロセッサ230によって生成されるデジタルRFIDタグ問い合わせ信号のアナログ表現を生成する。フィルタ216は、アナログRFIDタグ問い合わせ信号から高周波スパーおよびノイズを除去する。フィルタ216の出力は、ミキサー214の中間周波数(IF)入力に結合される。ミキサー214のLO入力は、LO240に連結される。ミキサー214は、アナログRFIDタグ問い合わせ信号をLO240からの高周波(例えば、902~928MHz)キャリアと混合してRF出力を生成し、これが電力増幅器212に連結される。電力増幅器212は、RF出力を増幅して、それをサーキュレータ256に連結し、それが増幅されたRF出力を、バンドパスフィルタ254aを介してアンテナ252aに送信する。アンテナ225aは、任意の適切な単一アンテナ素子とすることができる。サーキュレータ256は、増幅されたRF出力が受信機220に対して、または、それを通って伝搬するのを実質的に防止する。アンテナ252は、増幅されたRF出力をRFIDタグに送信し、RFIDタグはそれ自体のアナログ応答信号で応答する。
【0058】
アンテナ252は、RFIDタグからの応答信号を受信し、それらをバンドパスフィルタ254に連結し、これが応答信号をフィルタリングして、それをサーキュレータ256に連結する。サーキュレータ256は、次に、応答信号の全部または実質的に全部を低ノイズ増幅器(LNA)222に連結する。LNA222は応答信号の振幅をブーストして、それをミキサー224に連結し、ミキサー224は応答信号をLOと混合してダウンコンバートされたRFID信号を作り出す。ローパスフィルタ226は、高周波ノイズおよびスパーをダウンコンバートされたRFID信号から除去し、これはアナログデジタル変換器(ADC)228によってデジタル化されて、プロセッサ230に供給される。
【0059】
図2に示すアンテナ252は、隣接するアンテナ252の対の間の固定または既知の位相差を有するアンテナアレイを形成する。受信機220のコンポーネントとフロントエンド250の間のコンポーネントおよび接続は、較正されるか、調整されるか、長くされる
か、または短くされて、最も近い隣接するアンテナ252によって受信される信号の間に既知の安定した位相関係を提供することができる。例えば、隣接するアンテナの各対の少なくとも一つのアンテナは、隣接するアンテナ252の間の位相関係を設定するかまたは調整するために、位相チューナ(図示せず)に連結されてもよい。隣接するアンテナ252の間の相対位相関係は、プロセッサ(例えば、プロセッサ230または
図2に示されない異なるプロセッサ)を用いて、デジタル的に測定および較正することもできる。隣接するアンテナ252の間の固定位相関係を維持することで、信号の間の位相差をデジタル的に調整することによって、アンテナの受信感度パターンのデジタルステアリングが可能になる。
【0060】
図2に示されるシステムアーキテクチャは、BluetoothおよびWiFiを含むいかなる無線システムも位置特定するために使用することができ、それは異なる周波数で動作するだけである。RFID、Bluetoothおよび/または、WiFiデバイスを位置特定するシステムは、
図2に示されるコンポーネントの複数のコピーを含むことができ、デバイスの各タイプ用の各コピーがあり、異なる周波数帯(例えば、RFIDでは865~868MHzまたは902~928MHz、Bluetoothでは2400~2835.2MHzおよびWiFiでは2.4GHzまたは5GHz)で動作する。
【0061】
6 RFIDタグ位置の推定方法
図3Aは、
図1Aおよび2に示されるようなシステムを用いて、RFトランシーバを有するRFIDタグ、スマートフォンまたは他のデバイスの位置を推定する方法300を例示する。ステップ302で、送信機は、RFIDタグが用いられる関心ボリューム、例えば店舗、ストック室、倉庫または他の環境の範囲内で、一つ以上のRFIDタグにRFIDタグ問い合わせ信号を放射するか送信する。(ステップ302は、能動送信機、例えばセルラ、WiFiまたはBluetooth送信機を用いてデバイスを位置特定するときに、省略することができる。)RFIDタグは、応答信号と呼ばれるアナログRFID信号を放射することによってRFIDタグ問い合わせ信号に応答する。二つ以上のアンテナは、工程304で応答信号を受信する。一つ以上のADCは、ステップ306でアナログ応答信号をデジタル化する。加えて、アンテナに連結された電子部品はまた、アナログ応答信号をダウンコンバートおよびフィルタリングしてその後の処理を容易にすることができる。結果として得られるデジタルRFID信号は、リアルタイムで保存および処理するか、後処理するか、またはその両方を行うことができる。
【0062】
上述のように、電子部品に連結されたプロセッサは、デジタルRFID信号を使用して、アンテナに関する信号のAOAを識別する。例えば、プロセッサは、ステップ308で一つ以上のAOA全体のアンテナの受信感度パターンを電子的にステアリングすることができる。一実施例では、AOAは、演繹的に選択することができる。例えば、均一なステップサイズ(例えば、約π/1000~約π/10)を使用して、0~πの間の角度をスキャンすることができる。代わりに、または、加えて、AOAは、処理時間を減らすように以前の測定に基づいて選択することができる。例えば、アンテナの感度が急速に変化する角度では、プロセッサはより小さいステップサイズを使用して、より多くのサンプルを取ることができる。加えて、プロセッサはRFIDタグおよび環境(対称性の考慮を含む)に関する情報を使用して、処理時間を減らすための結果を出す可能性がより高いAOAを選択することができる。
【0063】
プロセッサは、以前に受信した信号の主成分分析(PCA)に基づいて、可能性のあるAOAを選択することができる。例えば、アンテナは、指定されたRFIDタグの動きをモニタすることができる。アンテナによる応答信号の連続した取得の間に、RFIDタグは小量ΔLだけ移動し得るが、それはRFIDタグとアンテナの間の距離より非常に小さいものとすることができる。この場合、これらの隣接した測定値のより強い信号に対応す
るAOAは実質的に同じであり得るので、以前の測定において推定されたAOAを後続の測定値で使用することができる。
【0064】
各候補AOAは、アンテナによって測定される特定の位相オフセット(位相設定とも呼ばれる)に対応する。したがって、プロセッサは、既知の位相関係を有する二つ以上のアンテナ(例えば、最も近い隣接アンテナ)からのデジタル化されたRIFD信号の間の位相差をデジタル的に調整し、次いで、ステップ310でデジタル化されたRFID信号をコヒーレントに合計することによって、AOAごとに信号強度を決定することができる。これは、各対応するAOAを通してアンテナの受信感度パターンをステアリングする。またそれによって、AOA(アンテナ間の位相差)の関数として、アンテナによって検出される信号振幅および位相も得られる。ステアリングは、AOAの関数として信号振幅のプロットを生成する(例えば、
図1Cを参照)。
【0065】
任意選択のステップ312で、プロセッサは、信号振幅のプロット(
図1Cのピーク152参照)からアンテナパターンを逆畳み込みするかまたは修正することができる。これは、ピークの高さを調べることによるLOSパスの決定を容易にする。一般に、最高ピークは、LOSパスに沿って進む信号に対応する。より正確な推定のために、プロセッサは、例えば多項式または非線形回帰を用いて曲線をピークにフィットさせて、曲線のフィットと関連した誤差を減少させるかまたは最小化するために用いる係数に基づいて、AOAを推定することができる。
【0066】
アンテナパターンが信号振幅および位相から、逆畳み込みされるか、または修正された後、プロセッサは最大値(ピーク)の代わりに最小値(谷)を探すことができる。この場合、プロセッサは、谷の深さ、谷の幅、谷の勾配またはそれらのいくつかの組み合わせに基づいてLOSおよびNLOSパスを識別することができる。例えば、プロセッサは、RFIDタグへのLOSパスに沿ったヌルのためのAOAに対応するAOAに対して、信号振幅の表現において最も深い、最も急峻な谷を識別することができる。他の谷は、RFIDタグへの他のNLOSパスのヌルに対する角度に対応し得る。
【0067】
ステップ314で、プロセッサはAOAオフセットで振幅および位相を比較して、RFIDタグに対するLOSチャネルを表す可能性が最も高い到来角を決定する。プロセッサは、最大値の高さ、最大値の幅、信号振幅対AOAの勾配(変化率)、曲線フィット係数またはそれらの組み合わせに基づいて、LOSおよびNLOSパスを識別することができる。例えば、プロセッサは、信号振幅対AOAの表現で最も高い、最も急峻な最大値を探すことができる。この最大値は、アンテナの受信感度パターンのピークがRFIDタグのLOSパスに沿って示される角度を表す。他の最大値は、ピークがRFIDタグのNLOSパスに沿って示される角度を表すことができる。
【0068】
いくつかの場合では、プロセッサは、応答信号をRFIDタグからの予想される応答に関連付ける。これは、例えば、方法300のステップ308で行うことができる。この場合、(例えば、
図1Aの)システムは、RFIDタグから予想される応答のライブラリを構築するかまたは使用することができる。各予想される応答は、別個のAOAに対応する。プロセッサは、検出された応答信号を予想される応答と比較して、最も近い予想される応答を見つける。最も近い予想される応答のAOAは、応答信号のAOAであるとみなされる。この技術は、マッチトフィルタリングと類似しており、最高20dB以上信号対雑音比(SNR)を上昇させることができる。
【0069】
任意選択のステップ316において、プロセッサはアンテナの異なる対からの異なる到来角を使用して、環境内のRFIDタグの位置を推定する。例えば、プロセッサは、少なくとも2次元で(例えば、床に平行な平面において)、その同一平面の二つ以上の推定さ
れた到来角を用いてRFIDタグの位置を三角測量することができる。アンテナが異なる平面にある場合、プロセッサは異なる平面の三つ以上の推定された到来角に基づいて3D空間のRFIDタグの位置を推定することができる。
【0070】
二つ以上のアンテナがステップ304において用いられ、そしてこれらのアンテナが全て同一直線上にはない場合、各RFID受信機は3D空間のタグに対する角度を見つけることができる。これにより、任意選択のステップ316では、タグの位置は、異なる平面にあるアンテナアレイの制約なしで決定することができる。
【0071】
別の任意選択のステップ318において、プロセッサは、タグの位置の変化を経時的に追跡することができる。より具体的には、それは、2Dまたは3D空間のパスへのタグの位置の様々な変化をスムーズにマッピングすることができる。これを行うため、システムは、多くの時点で、例えば、1秒ごとまたは数秒ごとに1回の割合でタグの位置を測定する。それは、各時点でのタグの位置を計算し、そして、連続した位置間のベクトル距離決定を実行してタグの速度を決定する。プロセッサは、タグの速度を速さおよび方向によって分類することができて、速さおよび方向に基づいて、タグの可能性の高い軌跡、および、どれがRFIDタグを搬送または移動する(可能性が高い)かを決定することができる。例えば、タグが出口の方へ歩行ペースで移動している場合、システムは顧客がタグを有するアイテムをチェックアウトまたは店舗出口へ持っていっていると決定することができる。別の方法として、タグが短時間でストック室との間で移動している場合、システムは従業員がタグを有するアイテムを補給しているかまたは棚に載せていると決定することができる。
【0072】
システムは多くの時点での測定値を使用して、LOS信号をNLOS信号と区別することもできる。システムがLOS信号および、それぞれが別々の「ゴースト」タグとして現れる一つ以上のNLOS信号を検出する場合、それは各信号に対する軌跡を造ることができる。LOS信号のための軌跡はスムーズに変化しなければならないが、タグがNLOS信号を散乱させるかまたは反射するアンテナおよび障害物に対して移動するときに、NLOS信号のための軌跡は鋭く方向を変えることができる。より具体的には、プロセッサはLOSおよびNLOS信号の時間で変わる測定値を使用して、タグの軌跡の主要ベクトルを生成することができる。スムーズな軌跡について解決するベクトルはLOSである可能性が高く、ラフな軌跡または不可能な軌跡(例えば、人間のいくつかの所与であるか所定の最大速度による)について解決するベクトルはマルチパス(NLOS)線(multipath (NLOS) rays)として追い出される。
【0073】
アンテナの複数対(すなわち、三つ以上のアンテナ)を備えるシステムにおいて、プロセッサはステップ302、304、306、308、310、312および314をリーダーおよびアンテナ対の異なる組み合わせに対して実行して、環境内のRFIDタグの一つ以上のための追加のLOSおよびNLOSパス情報を引き出すことができる。単一のリーダーおよび三つ以上のアンテナを用いて、例えば、プロセッサは、隣接するアンテナの各対へのLOSパスに対する到来角を計算することができる。アンテナの異なる対を接続しているラインセグメントの中間点が異なる位置にある場合、アンテナの各対は異なる到来角を有するRFIDタグへのLOSパスを有することができる。
【0074】
プロセッサは、アンテナの単一対および複数のリーダーの組み合わせに対してステップ302、304、306、308、310、312および314を実行することもできる。例えば、リーダーは、リーダーが互い違いまたはラウンドロビン方式でRFIDタグに問い合わせるように、時間および位相において同期された信号を放射することができる。プロセッサは、問い合わせ信号の時間および位相ならびにアンテナ対に対する各リーダーの位置についての情報を使用して、LOSおよびNLOSパスに対する到来角を決定する
。
【0075】
複数のリーダーを備えるシステムについては、プロセッサは、信号をトリガしたリーダーの位置に基づいて、検出された信号の各主要コンポーネントの到来角について解決することができる。プロセッサは、一致した位置/交差到来角を有するそれらのリーダーがRFIDタグへの同じLOSパスを共有すると決定することができる。プロセッサは、この情報を使用して、他の線がLOSパスではなくマルチパス(すなわち、NLOS)の結果であると決定することができる。
【0076】
別の方法は、一つ以上のカメラの視界の中にいる人間の軌跡にタグの軌跡をマップすることである。カメラは、アンテナがRFIDタグをモニタするために用いる同じボリュームをモニタするために配置することができる。この方法は上記の方法に併せて用いられて、いくらかの垂直または水平偏移を有する複数の軌跡とは対照的に、単一の軌跡を提供することができる。より具体的には、カメラを使用して、移動するピクセル(例えば、RFIDタグでタグ付けされた人またはオブジェクトを表す)のグループを検出することができる。カメラに連結されたプロセッサは、グループの軌跡を決定して、RFIDタグ位置をマッチした軌跡を有するグループに割り当てる。プロセッサは、人体を分割して外へ出すかまたはポーズの推定を実行することもできる。例えば、プロセッサは、人の軌跡に対する人の手で揺れているバッグの軌跡の差を評価することができる。
【0077】
リーダー、アンテナおよびプロセッサは、ステップ302、304、306、308、310、312および314を繰り返し実行することができる。一実施例では、ステップ302~314は、規則的な間隔で実行される。例えば、ステップは、約0.1Hz~約100Hz(例えば、約0.1Hz、約0.2Hz、約0.5Hz、約1Hz、約2Hz、約5Hz、約10Hz、約20Hz、約50Hzまたは約100Hzで、その間の任意の値およびサブ範囲を含む)の繰返し速度を有することができる。
【0078】
別の実施例では、ステップ302~314は、コマンドかトリガイベント、またはその両方ともに応答して、所定時間に実行することができる。例えば、ステップ302~314は、定期的に(例えば、毎時間、毎日、夕方の在庫処理の間などに)実行することができる。それらは、新規な出荷品の到着、ストックもしくは再ストックのイベント、ユーザコマンドまたはあり得る窃盗の検出に応答して実行することができる。例えば、店舗マネージャは、店舗が朝に開くとき、および夜に閉じるときに、プロセス300を起動することができる。または、プロセッサは、例えば、所定の時間に、または、RFIDタグ位置特定システムと同じスペースをモニタするビデオカメラを含む他のセンサからのデータに応答して、自動的にプロセス300を起動することができる。
【0079】
さらに別の実施例では、ステップ302~314は、RFIDタグの数または位置の測定された変化に応答して、多少頻繁に繰り返すことができる。例えば、第一のRFIDタグはその位置または対応するLOSパス到来角が時間の関数としてスムーズに変化する場合、移動している、とプロセッサは決定することができる。プロセッサは、第一のRFIDタグの動きを、人のビデオもしくは画像データ、または、人によって持たれているかまたは人に添付されている、第二のRFIDタグ、スマートフォンまたは他のRFトランシーバに関する情報から人の動きに関連付けることができる。プロセッサが第一のRFIDタグの動きを人の動きに関連付ける場合、プロセッサは人が同様に第一のRFIDタグを持っていると判定することができる。
【0080】
プロセッサは、第一のRFIDタグの動きに関するこの情報を第一のRFIDタグの位置についての知識とともに使用して、他のアクションを起動することができる。例えば、第一のRFIDタグが特定領域もしくはボリュームに達するかまたは領域もしくはボリュ
ームを取り囲む境界を横切る場合、プロセッサは第一のRFIDタグと関連したアイテムの購入に対してその人のアカウントから引き落としをすることができる。プロセッサはまた、製品在庫を更新して製品の移動または購入を反映するか、または、第一のRFIDタグの移動が無許可である場合にはアラームを鳴らすことができる。
【0081】
7 仮想基準タグ
図1および2に示されるシステムおよび
図3Aに示されるプロセスは、「仮想基準RFIDタグ」または「仮想基準タグ」を識別するために用いることができ、これは他のRFIDタグについて正確な位置推定を生成するために用いることができるRFIDタグである。仮想基準タグを使用することは、基準の間に複数のタグがあるシナリオに対して、より大きな位置精度を提供し、環境がより密度が高いほど、位置はより正確である。仮想基準タグはまた、非仮想基準タグがない場合であっても、アイテムの間の相対距離の測定を可能にする。例えば、タグAおよびCの正確な位置がわからないとしても、タグBがタグAとタグCの間にあるということを知っていることは、非常に役立ち得る。
【0082】
基準タグを見る簡単な方法は
図3Bに示され、これは店舗または他の環境のRFIDタグに問い合わせるいくつかのRFIDリーダー320a~320c(集合的に、RFIDリーダー320)を備えるシステムを示す。RFIDタグリーダーは、異なる到来角(AOA)で、RFIDタグのLOSおよびNLOSシグネチャを測定する。各リーダーによるプロットは、タグのサブセットのためのLOSシグネチャを示す。RFIDリーダー320にワイヤレスで連結されたプロセッサ328は、これらのシグネチャを互いに比較して、RFIDタグの相対位置に関する情報を得る。このプロセッサ328はまた、以下でより詳細に説明するように、タグの位置に関する情報を共有して使用するために、スマートフォン、タブレットまたはコンピュータを介してリモートサーバまたはインターネットなどのコンピュータネットワークに連結されてもよい。
【0083】
プロセッサ328は、シグネチャをRFIDリーダーの受信感度パターンを表している曲線にフィットさせ、各曲線のピーク(最大値)を決定し、そして隣接するピーク間の補間を行いピーク間のユークリッド距離を決定することによって、RFIDタグ位置を決定することができる。このユークリッド距離は、対応するRFIDタグおよびRFIDリーダーに対するAOAにおける誤差または偏差を表す。一対のAOAでは、いずれも分かっていない場合は、誤差はAOAの差(すなわち、相対的なAOA)を表し、一方のAOAが分かっている場合は、他方を推定することができる。単一のRFIDタグに対する複数の相対的な(または絶対的な)AOAは、RFIDタグの相対的な(または絶対的な)位置を推定するために用いることができる。例えば、より多くのAOAにわたってより多くのRFIDリーダーによってより多くの測定を行うことにより、RFIDタグについてのより多くのデータを収集することは、位置推定精度を、50cm、40cm、30cm、25cm、20cm、15cm、10cmまたは5cmよりもさらに改善する。
【0084】
図3Bは、これがどのように用いられて、他のRFIDタグに関して、そして、一つ以上の既知の位置に関して、未知の位置にあるRFIDタグ322を位置特定することができるかについて説明する。これは、線形ラックの両端上の既知の位置で、基準タグ324aおよび324b(集合的に、基準タグ324)を有する1D図を示す。仮想基準タグ326a~326cおよび未知のRFIDタグ322は、基準タグ324の間のラックにある。
【0085】
第一および第二のRFIDタグリーダー320a、320bの下のプロットは、異なるRFIDタグに対するRFIDタグ信号振幅対到来角を示す。これらのプロファイルは、上述のものと同様のマルチパスシグネチャを表し、最高ピークは、タグとRFIDタグリーダー320の間のLOSパス323を表す。(各ピーク上のシンボルは、ラック上の対
応するタグ用のシンボルと一致する。)
【0086】
第一のRFIDタグリーダー320aについての二つのプロットがあり、上側プロットはRFIDタグリーダー320aとタグの間にいかなる障害物もないマルチパスシグネチャを示し、下側プロットはRFIDタグリーダー320aと左側タグの間に人321が存在するマルチパスシグネチャを示す。人321はいくつかのタグに対するマルチパスシグネチャを減衰/変化させるが、他に対してはそうではなく、そして、第二および第三のRFIDタグリーダー320b、320cによって受信されるマルチパスシグネチャに影響を及ぼさないことに留意されたい。
【0087】
プロセッサ328は、それらのマルチパスシグネチャを互いに比較することによってタグの相対位置を決定することができる。この実施例では、いずれかの基準タグ324(例えば、RFIDタグ326aおよび326b)に最も近いRFIDタグ用のタグシグネチャは、対応する基準タグ324のタグシグネチャと比較されるときに、最低の誤差を有する。マルチパスシグネチャを比較するために使用される誤差測定基準は、二乗平均誤差(MSE)、動的時間的歪み(DTW)またはシグネチャの類似性を比較するために用いることができる他のいかなる測定基準であってもよい。MSEの例を用いると、測定基準がより低いほど、マルチパスシグネチャは、より類似している。RFIDタグ322に対するマルチパスシグネチャが基準タグ324aおよび324bに対するマルチパスシグネチャと比較されるシナリオにおいて、RFIDタグ322に対するマルチパスシグネチャと基準タグ324aの間の誤差がRFIDタグ322に対するマルチパスシグネチャと基準タグ324bの間の誤差より小さい場合、プロセッサ328は、RFIDタグ322が基準タグ324bに対してよりも、基準タグ324aに近いと判定する。RFIDタグ322に対するマルチパスシグネチャと基準タグ324bの間の誤差がRFIDタグ322に対するマルチパスシグネチャと基準タグ324aの間の誤差の2倍である場合、RFIDタグ322は、基準タグ324aからは基準タグ324bからの2倍遠くにあり得る。他の非線形重み付けも有効であり得る。
【0088】
繰り返されるRFID信号測定がRFIDタグ326aおよび326bは移動していないことを示す場合、それらは、それらの絶対位置が(少なくとも基準タグ324の位置の精度の同じレベルまで)分かっていない場合であっても、「仮想基準タグ」として追加することができる。このプロセスは、他の静止RFIDタグについて続けることができる。例えば、RFIDタグ326cはRFIDタグ326aに最も近いので、そのRFIDシグネチャはRFIDタグ326aのそれと最も類似しているはずである。繰返される測定がRFIDタグ326cも静止していることを示す場合、それは同様に仮想基準タグとして指定されてもよい。このプロセスを継続して、システムは、RFIDタグ(および、それ故、RFIDタグによってタグ付けされるアイテム)の順序を確立することができる。誤差測定基準を相対距離の代わりとして使用することができて、絶対位置の推定は相対距離および基準タグ324の既知の位置に基づいて確立することができる。
【0089】
上記のアプローチがタグシグネチャの相対誤差に依存するので、それは複数のリーダーでシグネチャを用いて、リーダーによって誤差を算出し、異なるリーダーで誤差を合計する(または結合する)ことによって、さらに改善することができる。これは、仮想基準タグが位置測定誤差を減らすために用いることができるところである。一旦システムが静止RFIDタグの全てを識別して、それらを仮想基準タグとして指定し、少なくともそれらの最も近い隣接物に関してそれらを位置特定すると、プロセッサ328は、一つ以上の近くの仮想基準タグ326に関するそれらのマルチパスシグネチャに基づいて所望のRFIDタグ322を位置特定することができる。RFIDタグ322に対するマルチパスシグネチャと仮想基準タグ326の異なる組み合せの間の計測誤差によって、プロセッサ328は、例えば、RFIDタグの実際の位置のその推定の精度を、その実際の位置の50c
m、40cm、30cm、25cm、20cm、15cm、10cmまたは5cm以内にまで改善することができる。仮想基準タグ326の数が増えて各仮想基準タグの位置の精度が改善されるにつれて、精度はより良くなる。
【0090】
上記の1Dの実施例は、2D空間(例えば、壁または床)に基準タグを配置して、このスペースの中でタグ、基準タグおよび仮想基準タグの誤差を比較することによって、2Dまで拡張することもできる。この実施例は、3D空間に基準タグを配置して最も近い隣接物を比較することによって、3Dまでさらに拡張することができる。
【0091】
このアプローチは、タグとリーダーの間にRF通信チャネルを変えるあらゆるものによって、さらに改善することができる。これは、リーダーを移動すること、リーダーが動作している周波数を変えること、または、人(またはオブジェクト)がリーダーおよび/またはタグによって占められるスペースに移動する場合さえも含むことができる。例えば、
図3Bに示すように、仮想基準タグ326と第一および第二のRFIDリーダー320a、320bの間を歩く人321を考慮する。人は、第一および第二のRFIDリーダー320a、320bに向かって伝播する仮想基準タグ326(ならびに、未知のRFIDタグ322および基準タグ324)からのRFID信号を減衰させるかまたは散乱させる。これにより、チャネルの変化の前にシグネチャのセットと完全に相関していない第一および第二のRFIDリーダー320a、320bのシグネチャの新規なセットが作成され、したがって、仮想基準タグ326および未知のRFIDタグ322の推定位置における誤差を減らすために用いることができる。
【0092】
仮想基準タグを使用することに関する問題は、あらゆるタグシグネチャをあらゆる他のタグシグネチャと比較するために使用される処理パワーの量の周りにある傾向がある。処理パワーの量は、最初にRFIDタグのシグネチャをその最後のシグネチャと比較することで減らすことができる。シグネチャが変化しなかった場合、比較を実行する必要がない。処理パワーを減らす他の方法は、側面情報(例えば、RFIDタグのまわりの領域のビデオおよび以前の位置情報)のソースを使用して、問題となるほど十分に近いことが分かっているRFIDタグのシグネチャに対する比較を制限することを含む。
【0093】
仮想基準タグとしてRFIDタグを識別するか指定するために、システムは、RFIDタグのまわりの環境が変化する期間にわたって数回、(例えば、上述の方法を用いて)RFIDタグの位置を測定する。これらの位置推定は、サイズがノイズおよび測定の不確実性に依存する領域またはボリュームにわたって分布し得る。測定の数が増加するにつれて、平均位置推定は、サイズが基本的な測定の不確実性によって制限されるより小さい領域またはボリュームに収束することができる。一旦領域またはボリュームのサイズが所定の閾値に達すると、プロセッサは適切なタグ位置(例えば、領域またはボリュームの重心)を設定して、このタグ位置を類似のタグ用の基準として使用する。システムはこのプロセスを、RFIDタグの所望の数またはセットが仮想基準タグのプールに追加されるまで、繰り返すことができる。一旦基準タグが設定される(位置が既知である)と、この基準タグ位置を算出する方法は信頼性が高いということが証明されており、この方法を使用して他のタグの位置を推定することができる。
【0094】
類似のRFIDタグが(例えば、例えば
図3Bで示すような人による妨害などの環境の変化による)類似の変化を示さない限り、RFIDタグの位置が変化する場合、システムは仮想基準タグプールからRFIDタグを除去することができる。システムは、RFIDタグの一団の変化を、その一団の各部のシグネチャに関する一団の各RFIDタグのシグネチャを見ることによって、識別することができる。システムは、一団から他のAOAで受信されるシグネチャの変化(または変化の欠如)を探すこともできる。
図3Bにおいて、例えば、人321は、第一および第二のRFIDリーダー320a、320bによって
相関した形で受信されるLOSシグネチャを変えることができるが、第三のRFIDリーダー320cによって受信されるLOSシグネチャに影響を及ぼさないはずである。特定のAOAからの相関している変化およびRFIDタグの一団間の他のAOAの変化がないことの組み合わせは、一団が移動していないことを示すことができる。
【0095】
RFID位置の変化は、以下の状況の一つ以上において割引されてもよい。例えば、異なるRFIDタグ間にいかなる相対変化もない場合、タグの全てが妨げられるかまたは一緒に移動している可能性が高くなり得る。別の実施例では、相対変化は、所定の閾値(例えば、測定の不確実性)を下回る。さらに別の実施例では、相対変化は、十分に短い(例えば、一つ、二つまたは三つの測定サイクル内)。
【0096】
仮想基準タグについての情報は他の情報と組み合わせられて、RFIDタグ位置精度を高めることができる。例えば、RFIDタグ位置特定システムは、仮想基準タグ、製品カウントデータおよび視覚データの(推定される)位置を一つ以上のカメラから使用して、仮想および/または現実の基準タグの間の製品の平均密度を決定することができる。加えて、視覚データを使用して、人が製品またはRFIDタグをピックアップするか下におろすのに十分に近いかまたは近かったかを判定することができる(姿勢/範囲推定を同様に行うことができる)。視覚データが仮想基準タグまたは仮想基準を有する製品が移動するかまたは移動したことを示す場合、システムは仮想基準タグのプールからその仮想基準タグを除去することができる。反対に、視覚データが特定のRFIDタグが長期間(例えば、数時間あるいは数日)移動しないことを示す場合、システムはそのRFIDタグを仮想基準タグとして指定することができる。
【0097】
8 コンピュータビジョンシステムおよびコンピュータビジョンシステムトレーニング
上述のRFID技術を使用して、コンピュータビジョンシステムをトレーニングし、コンピュータビジョンシステムの中にあるかそれに連結されるカメラによって捕えられる異なるオブジェクトを位置特定および/または識別することができる。例えば、コンピュータビジョンシステムは、複数のカメラを含んでもよく、または複数のカメラに連結されてもよく、これらは広角領域をモニタするために配置されてもよい。加えて、異なる波長および/または強度の発光をする光源は、コンピュータビジョンシステムのトレーニングを強化するように異なる環境を生成するために使用することもできる。トレーニング画像は、異なる環境下でカメラによって取得される。
【0098】
組み合わせコンピュータビジョン/RFIDタグ位置特定システムは、スキャンされたバーコード/トランザクションのタイムスタンプデータ、バーコード/トランザクションのアイテムおよび、それらのアイテムを含むフレームを引き出すための前記レジスタまたはチェックアウトキオスクの位置に対応するカメラデータを相互参照することができる。それらのフレーム上のオブジェクト検出を実行するプロセッサは、イメージの周りで境界ボックスを描いて、追加のタグ付けされたイメージを生成することができる。
【0099】
コンピュータビジョンシステム、例えば人工ニューラルネットワークを実行しているプロセッサのトレーニングの間、上述のRFID技術を使用して、トレーニング画像のオブジェクトを位置特定して識別する。これらのオブジェクトは別々の画像に分けられ、それはコンピュータビジョンシステム(例えば、人工ニューラルネットワーク)用のトレーニングセットに供給される。コンピュータビジョンシステムがともに近過ぎるオブジェクトを区別しない場合、補強学習を使用して複数のオブジェクトをフィルタリングすることができる。加えて、トレーニングは、例えば小売店においてコンピュータビジョンシステムの使用の間に無関係であり得る、照明設備、ドアおよびショッピングカートなどのオブジェクトを認識するために、コンピュータビジョンシステムをトレーニングすることができる。それから、これらのオブジェクトはトレーニングデータセットから除去することがで
きて、これらのオブジェクトの画像を含んでいるフレームは、閉塞されたフレームとしてマークすることができる。上述のRFID技術が効率的な方法でRFIDタグを有するオブジェクトを自動的に識別することができるので、製品画像の大量のデータベースは、人間がデータベースのコンテンツを確認するかまたは検査する必要無しに構築することができる。
【0100】
特定の場合では、実際のオブジェクトに対するタグの位置に誤差が存在する場合がある。これらの状況では、(例えば、オプティカルフローまたは再識別を介して移動している連続的なピクセルのグループを達成する)フレームからフレームまでの人間またはオブジェクトの位置に対する、フレームからフレームまでのタグの位置をプロットし、そして連続的ピクセルグループの各セットからn個のフレーム全体の各RFIDタグまでの距離を平均して、どのペアリングが結果として最低の誤差/平均距離をもたらしたかに基づいてそれらをグループ化することができる。カルマンフィルタは、オブジェクトおよび/またはオブジェクトをフィルタリング/グループ化するように、よく機能する。RFIDタグの1次および2次導関数およびピクセルブロブ運動関数を、マッチを重み付けするために組み込むこともできる。目的が製品を人のものであると考えることである場合、各フレームにおいて人検出を実行して、人物に対応する画素を選択するだけにできる。目的が注釈付きの画像を集めることである場合、人検出を使用して、境界ボックス生成/ピクセルセグメンテーションにおいて人物に対応するピクセルを単に無視することができる。
【0101】
図3C~3Fは、RFIDタグでタグ付けされたシャツの動きを示すビデオフレームのシーケンスを示している。小さな円は、シャツに取り付けられたRFIDタグの推定位置を表す。ボックスは、システムがRFIDタグリーダーによって受信されるRFID信号から得られるRFIDタグ動作に相関させたピクセルのブロブの周りである。
図3C~3Fに示すように、RFIDタグがあるとシステムが推定する場所に対して、オブジェクトが実際にフレームからフレームまである場所に有意な誤差があるが、システムはそれでもピクセルブロブにRFID位置推定を与えることが可能である。
【0102】
図3Gは、RFIDタグ位置推定をビデオデータに相関させる方法340を例示する。このプロセス340を使用して、ニューラルネットワークをトレーニングし、RFIDタグでタグ付けされたアイテムを認識するか、またはタグ付けされたオブジェクトおよびタグがないオブジェクト(例えば、RFIDタグを有する衣服および人)の動作を相関させることができる。プロセス340は、トレーニングされたニューラルネットワークを有する画像における人間を表わすピクセルブロブを認識し、分割して外へ出し、無視することから始まる(342)。次に、画像の残りのピクセルブロブは、フレームからフレームまでそれらの動作を見るトラッカを割り当てられる(344)。それから、各ピクセルブロブは、一定の閾値(346)を与えられるその軌跡を最も近くたどるRFIDタグとマッチングされる。一旦ピクセルグループがそれぞれのRFIDタグにペアリングされると、各フレームの各ピクセルグループ上のオブジェクト検出を実行して、バッグ、カート、ジャケット、人間およびその他のこのような閉塞ソースなどの環境閉塞のためRFIDタグ記述と明らかに一致しない画像を捨てることができる(348)。タグデータをピクセルブロブのものであると考えることも、タグ位置とアイテム位置の間に誤差を減らすかまたは除去するのに役立つ。
【0103】
別の留意事項として、RFID位置は、人工ニューラルネットワークに、それが各フレームにおいて正しかったものおよび間違っていたものを常に学習しているように、恒常的なフィードバックを提供する。これは、プロセス340を使用して、何が正しくて、何が間違っていたかをフレームベースによってフレーム上のビジョンシステムに教示することができる、自律的なチェックアウトおよび人間/製品インタラクションまで拡張される。
【0104】
9 移動RFIDタグの追跡
図4は、上述のRFIDシステムおよびプロセスが、店舗か、ストック室か倉庫などの障害物で満たされた環境で移動しているRFIDタグ402を追跡するために使用され得る方法について説明する。この例では、一対のRFIDタグリーダー410aおよび410b(集合的に、RFIDタグリーダー410)は、通常の間隔、例えば、約0.01Hz~約1.0HzのレートでRFID問い合わせ信号を送信することによって、RFIDタグ402に問い合わせる。RFIDタグリーダー410は、RFIDタグ410から受信される信号に基づいて、問い合わせレートを変更してもよい。RFIDタグの応答信号が、RFIDタグは高速で移動しているか、速度を変えているか、または方向を変えていることを示す場合、RFIDタグリーダー410はそれらの問い合わせレートを上昇させてRFIDタグの動作のより細かい空間時間解像度を提供することができる。反対に、RFIDタグの応答信号が、RFIDタグは静止しているかまたはゆっくり移動していることを示す場合、RFIDタグリーダー410はエネルギーを節約するためにそれらの問い合わせレートを低下させることができる。RFIDタグリーダー410は、RFIDタグ402の相対運動に応じて、一緒に、または、独立して、それらの問い合わせレートを増減することができる。
【0105】
RFIDタグリーダー410は、例えば、等方的に放射するアンテナを介して、広範囲にわたる角度にわたって問い合わせ信号をブロードキャストすることができるか、または上述のようにアンテナアレイで異なる角度にわたってそれらをスキャンすることができる。ワイヤレスでRFIDタグリーダー410に連結されたプロセッサ(図示せず)は、RFIDタグ402からのRFID信号を使用して、RFIDタグ402用の速度ベクトル481および軌跡491を計算する。所与の速度ベクトル481を計算するために、プロセッサは、時間内の異なる瞬間でRFIDタグの位置471を決定することができて、その後、2Dまたは3D空間のそれらの位置を接続しているベクトルを決定することができる。時間差によってそのベクトルをスケーリングすることで、速度ベクトルを得る。
【0106】
プロセッサは位置測定値および/または速度ベクトル481を使用して、RFIDタグの軌跡491を決定することができる。これは、履歴軌跡(すなわち、RFIDタグ402があったところ)または予測された軌跡(すなわち、そこでRFIDタグ402が、その推定された速度に基づいて進んでいるところ)とすることができる。必要に応じて、RFIDタグの現在の速度、最近の軌跡および/または予測された軌跡は、スマートフォン、タブレットまたは他の電子デバイスに表示することができて、それが以下に詳細に説明するように、倉庫を通過するにつれて、トランザクション(例えば、RFIDタグ402と関連したアイテムの販売)を起動し、置き誤りまたは窃盗を防止し、または、アイテムを追跡するために用いることができる。速度ベクトル481および軌跡491が、RFIDタグ402が移動していないことを示す場合、プロセッサは、上述のように、RFIDタグ402を仮想基準RFIDタグとして選択することができる。
【0107】
プロセッサはまた、位置測定、速度ベクトル481および軌跡491を使用して、
図4のRFIDタグ410などの「現実の」RFIDタグを偽信号または「ゴースト」RFIDタグ482と区別することができる。この場合、ゴーストRFIDタグ482は、マルチパス効果によって生じる。より具体的には、
図4は現実のRFIDタグ402とRFIDタグリーダー410a、410b間で伝播するRFID信号がLOSパス411a、411bを取ることができることを示し、結果としてRFIDタグの位置、速度および軌跡の正確な測定になる。これらのRFID信号は、現実のRFIDタグ402とRFIDタグリーダー410の間のNLOSにパス413を取ることもできる。この実施例では、RFIDタグ402によって放射されるRFIDエネルギーのいくつかの部分は、壁412を離れて第一の受信機410aに反射するかまたは散乱する。そして、RFIDタグ402が特定の位置にあるときに、この壁412はそれが第二の受信機410bにRFID信
号を送るのを防止する。要するに、壁412は、RFIDタグ402が壁412と第一のRFIDタグリーダー412aの間にあるときに、第一のRFIDタグリーダー410aに疑似RFID信号を受信させて、第二のRFIDタグリーダー410bがいかなるRFID信号も受信するのを止める。
【0108】
この場合、疑似RFID信号を処理することは単純に結果として、ゴースト位置473、ゴースト速度ベクトル483およびゴースト軌跡493を完全に備えて
図4に示されるゴーストRFIDタグ482の外観になる。プロセッサは、ゴースト速度ベクトル483とゴースト軌跡493との不連続性に基づいて、および/または、ゴースト速度ベクトル483と現実の速度ベクトル481の間の、そして、ゴースト軌跡493と現実の軌跡491の間の、類似度に基づいて、ゴーストタグ482を対応する現実のタグ402と区別することができる。特に、現実およびゴースト速度および軌跡は、壁412によって画定される線または平面について鏡面対称に現れる。プロセッサは(壁412が開始して、終わる)ゴースト軌跡493の始めと終わりでこの鏡面対称および急激な不連続性を使用して、現実のRFIDタグ402とゴーストRFIDタグ482を区別することができる。
【0109】
カメラ420は、同様にRFIDタグ402を追跡するために用いることができる。
図4において、カメラ420は、RFIDタグ402を持っている人401の、写真を撮る(例えば、ビデオレートで、または、その周辺で)。プロセッサは、人工ニューラルネットワークを使用して、画像に現れている人401を(例えば、一般的な人として、従業員として、または、特定の人として)を認識して、その人の動きをRFIDタグ402の動きに相関させることができる。RFIDタグ402がネームタグ、リストバンドまたはIDカード上にある場合、これはニューラルネットワークをRFIDタグ402と関連した人を認識するためにトレーニングするプロセスの一部として行うことができる。ニューラルネットワークがすでにトレーニングされている場合、プロセッサは人およびRFIDタグ402のオーバラップまたは一致する動作を使用して、追跡を行うか、または、人によって運ばれているか、またはRFIDタグ402が添付されているアイテムの販売などの、別のアクションを起動することができる。
【0110】
10 小売スペースおよびストック室を有する店舗のRFIDタグ位置特定システム
図5Aおよび5Bは、店舗500のRFIDタグ位置特定システムの異なる図を示す。RFIDタグ位置特定システムは、店舗の売り場590、ストック室592および更衣室580の全体にわたって分布されるいくつかのRFIDタグリーダー510を含む。RFIDタグリーダー510は、例えば、
図5Bに示すように、天井またはその近くに配置されることができて、よりくっきりした見通し線を売り場590上の商品上の、そして、ストック室592の、RFIDタグ502に提供する。RFIDタグ502の上にRFIDタグリーダー510を配置することはまた、RFIDタグリーダーによって受けたRFID信号から得られる方位角および仰角情報を使用して各タグの3D位置を測定することを可能にする。
【0111】
RFIDタグ502は、衣類およびその他の商品などの販売用のアイテムを含んで、店舗500の全体にわたって分散することができる。RFIDタグ502は、アイテムに埋め込むことができるかまたは、タグ、クリップもしくはステッカーによってアイテムに取り付けることができる。店舗500には、他のタイプのRFIDタグがあってもよく、固定であるか可動の衣類ラック、壁またはテーブルなどの既知の位置の基準RFIDタグ504を含む。加えて、可動RFIDタグ502のいくつかは、それらが十分長い期間にわたって静止しているままである場合、仮想基準RFIDタグ506として指定され得る。また、いくつかのRFIDタグは、IDカード508aおよび508b(集合的に、IDカード508)、キーフォブ、ブレスレットまたは従業員503a~503c(集合的に、従業員503)または顧客501によって着用されるかまたは持たれている他のアイテ
ムに取り付けることができる。これらのIDカード508は、特定の従業員およびそれらの位置を識別することができる。同様に、店舗への入口596にある買い物袋、バスケットまたはカートに埋め込まれるかまたは取り付けられるRFIDタグ502があってもよい。
【0112】
RFIDタグリーダー510は、無線ルーター540または他の好適な装置を介してプロセッサ/コントローラ530で、ワイヤレスで通信する。RFIDタグリーダー510とともに配置されて示されるカメラは、同様にプロセッサ530と通信する。プロセッサ530は、次に、顧客501および従業員503によって持たれているタブレット530およびスマートフォン540と通信することができる。それは、適切な通信ネットワーク、例えばインターネットを介して、一つ以上のサーバ、データベースまたは店舗の在庫および運営を追跡する他の遠隔装置と通信することもできる。
【0113】
動作において、RFIDタグリーダー510は、上述のように、RFIDタグの位置、速度および軌跡を測定する。この情報は、在庫をモニタし、RFIDタグ502でタグ付けされたアイテムと関連したアクションを起動するために使用される。例えば、RFIDタグリーダー510が店舗の出口598の方へ進んでいるRFIDタグ502を検出して、カメラ520が同じ軌跡を進む顧客501を検出する場合、プロセッサ530は顧客501による関連するアイテムの自動購入を起動することができる。これにより、顧客501はチェックアウト582をスキップして時間を節約することが可能になる。プロセッサ530は、RFIDタグリーダー520による正確なRFID位置推定に基づいて、顧客501および従業員503を特定のアイテムに導くこともできる。この機能を使用して、顧客501を所望のアイテム、例えば特定のサイズまたは色のシャツに導くこと、更衣室に残されたアイテムなどの在庫をコントロールしまた再度棚に載せること、または、在庫配置がどのように売上に影響を及ぼすか判定することが可能である。これらの、そしてまた他の用途は、後でさらに詳細に説明する。
【0114】
11 RFID技術を用いた高精度のオブジェクト位置特定の応用
上述のRFIDタグ位置特定技術は微細な空間的分解能および高精度を提供し、それらを幅広い数の用途に適ししたものにし、それらの多くは他のRFIDタグ位置特定技術では可能でない。これらの用途のいくつかが後述されており、
図5Aおよび5Bに示されるようなシステムによって、そして、そのような環境において使用することができる。
【0115】
11.1 RFIDタグ移動の追跡
一実施例では、RFID技術は、小売店、特にオムニチャネル(omnichannel、また、omni-channelとも綴られる)店舗において使用することができる。「オムニチャネル」は、顧客がデスクトップまたはモバイルデバイスからオンラインか、電話によってであるか、または、実店舗でショッピングをしているかどうかにかかわらず、顧客に継ぎ目のないショッピング体験を提供しようとする販売へのマルチチャネルアプローチを指す。オムニチャネル顧客体験をマルチチャネル顧客体験と区別するものは、真の統合がバックエンド上のチャネルの間にあるということである。例えば、店舗がオムニチャネルアプローチを実施するときに、店舗の顧客サービス担当者は、電話上の顧客サービス担当者または顧客サービスウェブチャット担当者と正に同程度容易に、顧客の以前の購入品およびし好を直ちに参照することができる。または、顧客は、コンピュータ、タブレットまたはスマートフォンを使用して企業のウェブサイトまたはアプリ上で店舗ごとの在庫をチェックして、ウェブサイトまたはアプリを介して後でアイテムを購入して、製品を顧客の選択した場所でピックアップすることができる。
【0116】
小売業者がオムニチャネル注文の抱えている一つの問題は、アイテムがオムニチャネル注文によって選択されたことを検出することである。この問題に対処するために、RFI
Dタグ(トートタグと呼ばれる)は、トート、買い物袋、ショッピングカートまたは他のいかなる適切な容器にも配置することができる。販売用の各アイテムはまた、別々のRFIDタグ(アイテムタグと呼ばれる)を含むかまたはそれに添付される。アンテナアレイは、各トートタグおよび各アイテムタグの位置をモニタする。一つのアイテムタグと一つのトートタグの間の距離が閾値を下回る(例えば、トートのサイズより小さい)場合、システムはアイテムタグに対応するアイテムがトートであると判定する。検出の信頼性を改善するために、システムは、トートタグおよびアイテムタグの移動をさらにモニタすることができる。それらが閾値を上回った(例えば、1メートル以上の)距離を一緒に移動する場合、システムはアイテムおよびトートが顧客によって運ばれていると判定することができる。
【0117】
システムは、アイテムが顧客によって選択されるかどうか決定するために、顧客の移動をモニタすることもできる。例えば、アイテムが閾値を上回った(例えば、1メートル以上の)距離を顧客と共に移動する場合、システムはアイテムが顧客によって運ばれていると判定することができる。例えば、顧客は自分のスマートフォン上にユーザアプリをインストールすることができて、システムはユーザアプリとの通信を介して顧客のスマートフォンの存在を検出することができる。それから、システムは、Bluetooth、WiFi、LTE、3G、4Gまたは他の任意の無線技術を用いてスマートフォン(および、それに応じて顧客)の移動を追跡することができる。
【0118】
いくつかの場合では、システムは、顧客に属していないすべてのスマートフォン(例えば、店舗自体のデバイスまたは従業員の個人用デバイス)の記録を維持することができる。一旦システムが記録にないスマートフォンを検出すると、システムは、顧客が店舗に入って、スマートフォンを追跡することによって顧客の動きを追跡することができると判定することができる。
【0119】
システムはまた、顔認識、歩行認識(gaiter recognition)または他の認識技術を用いて顧客の動きを追跡することもできる。例えば、カメラは店舗の入口に配置されて顧客を認識することができて、一つ以上のカメラは店舗の中に分散されて店舗スペース全体をモニタすることができる。顧客がカメラによって捕捉され、認識されるたびに、認識の位置は記録され、以前の位置とともにコンパイルされ顧客の動きのマップを作ることができる。このモニタリングの解像度(例えば、同じ顧客の二つの認識の間の距離)は、店舗のカメラの数に依存し得る(例えば、店舗での数が多いほど、解像度を上げることができる)。それから、システムは、それらが閾値より大きい距離を一緒に移動する場合、アイテムが顧客によって選択されると判定することができる。代わりに、または、追加的に、システムは、アイテムが一緒に三つ以上の位置に現れる場合、アイテムが顧客によって選択されると判定することができる。システムは、それらが一緒に現れる二つの位置が1メートルを上回って離れている場合、アイテムが顧客によって選択されると判定することもできる。
【0120】
システムは、それが顧客によって選択されると以前に判定されていたアイテムが戻されて、販売可能であると判定すると、在庫をさらに更新することができる。システムは、アイテムが長期間(例えば、5分を超えて)移動しない場合、アイテムが戻されたと判定することができる。信頼性を改善するために、システムは、アイテムが移動していない間に、顧客がアイテムの近くにいるかどうかチェックすることもできる。アイテムの近くにとどまっているいかなる顧客もいない場合、システムは、(例えば、アイテムを以前に選択した顧客が自分の考えを変えて、アイテムを放棄したので)アイテムが戻されていると判定することができる。
【0121】
別の実施例では、RFID技術を使用して、アイテムが店舗の正しい位置にあるかどう
か判定することができる。この場合、一つ以上のタグ(棚タグと呼ばれる)は、販売用のアイテムを保つ各棚に配置することができる。各棚タグは、対応するアイテムのための棚の上の特定の位置を識別する。各アイテムは、アイテムタグも有する。例えば、棚タグは男性用パンツの場所を示すことができ、アイテムタグは1本の男性用パンツに添付することができる。システムは棚タグおよびアイテムタグの位置を問い合わせて、それらの間の距離を推定する。距離が閾値未満である場合、システムはアイテムが正しい位置にあると判定することができる。一方で、距離が閾値より大きい場合、システムはアイテムが間違った場所にあって、正しい位置へ移動しなければならないというアラートを1人以上の店舗従業員に出すことができる。システムは、アイテムの実際の位置およびその適切な位置について指示を従業員に提供することもできる。
【0122】
システムは、アイテムが他の小売備品に取り付けられたタグ(これらのタグは備品タグと呼ばれる)を用いて正しい位置にあるかどうか判定することもできる。一般に、各備品タグは、備品(例えば、棚、テーブル、カウンタ、冷蔵ショーケース、バスケット、グリッドなど)の識別、備品の位置ならびに備品内のアイテムのタイプおよび量に関する情報を提供することができる。いくつかの場合では、備品内のアイテムのタイプおよび量は、業界標準に基づいて決定することができる。別の方法として、備品内のアイテムのタイプおよび量は、店舗ごとにカスタマイズすることができる。
【0123】
加えて、各従業員は、タグ(従業員タグと呼ばれる)を着用することができる。一実施例では、従業員は、RFIDタグを含むブレスレットを着用することができる。別の実施例では、RFIDタグは、従業員のユニフォームに縫い込まれることができる。さらに別の実施例では、RFIDタグは、従業員が着用するバッジに含めることができる。システムは、これらのタグを使用して、例えば、後述するように在庫を管理するために、従業員の位置を推定して、追跡することができる。
【0124】
いくつかの場合では、従業員の動きは、従業員に取付けられたRFIDタグを使用することなくソフトウェアによってモニタすることができる。例えば、システムは、従業員のスマートフォンを追跡することによって、従業員の動きをモニタすることができる。これらの場合、従業員はユーザアプリをインストールして、スマートフォンとシステムの間の通信を容易にすることができる。システムは、従業員を、例えば、ユーザアプリ上の従業員のユーザアカウントから認識することができる。
【0125】
別の実施例では、システムは、他のデバイスの中の従業員のウェアラブルデバイス、例えばスマートウォッチ、アクティビティトラッカ(例えば、Fitbit)またはスマートグラス(例えば、埋め込み電子機器を有する眼鏡)を追跡することができる。この実施例では、システムは、ウェアラブルデバイスが検出されるときはいつでも従業員を認識するように各従業員が所有しているウェアラブルデバイスの記録を維持することができる。カメラを備えるシステムは、カメラが従業員によって保持されているかまたは運ばれていると認識するアイテム上のRFIDタグを介して、従業員を追跡することもできる。
【0126】
例えば、システムが、アイテムが誤って置かれるかまたは後ろのストックから正しい棚まで持ち込まれるべきと決定する場合、システムは従業員タグを用いてすべての従業員の位置を推定することができる。それから、それは、誤っておかれたアイテムに最も近いかまたはそれに向かっている従業員を識別することができる。システムはその従業員にアラートを出して、アイテムを正しい位置に入れることができる。システムはまた、タスク(例えば、アラートから完了への時間期間)を完了するのに従業員が必要な時間を推定および/または測定することができる。この情報を使用して、従業員パフォーマンスをレビューし、効率を改善することができる店舗レイアウトへの変更を識別することができる。
【0127】
いくつかの基準をシステムによって使用して、アラートを受信するのに適切な従業員を決定することができる。例えば、システムは、アラートを受信して応答する従業員の可用性に基づいてアラートを従業員に送達することができる。この実施例では、従業員は、彼の従業員デバイス、例えばユーザアプリをインストールしたスマートフォンを介して、システムに彼の可用性(または対応不可能)を通信することができる。従業員は、彼が中断されてはいけない他のタスクの途中であることを示してもよい。
【0128】
別の実施例では、システムは、問題のアイテムへの近接度に基づいて、従業員にアラートを送ることができる。誤って置かれたアイテムについては、近接度は、従業員と誤って置かれたアイテムの間の距離によって定量化することができる。配置されるアイテムについては、近接度は、従業員とストック室の間の距離によって定量化することができる。いくつかの場合では、近接度推定は、店舗の建物または構造を考慮する。例えば、システムは、別のフロア上の従業員にアラートを送る代わりに、好ましくは問題のアイテムと同じフロア上の従業員に、アラートを送ることができる。
【0129】
さらに別の実施例では、システムは、タスクを完了する従業員の能力に基づいて、従業員にアラートを送ることができる。例えば、婦人服部門のアイテムが誤っておかれているか、または、アイテムが女性の試着室において放棄されているのが発見される場合、システムは好ましくは、食料雑貨部門の従業員の代わりに婦人服部門の従業員にアラートを送ることができる。
【0130】
タスクを完了する能力は、従業員が扱っている現在のタスクに基づいて、決定することもできる。例えば、従業員がすでにいくつかの誤って置かれたアイテムを扱っている場合は、彼が類似のタスクを扱うのがより効率的であり得る。システムは、品質保証システムと相談して従業員の能力を判定することもできる。例えば、システムは、従業員が取り扱った各タスクの、従業員の業績レビューのデータベースを含むことができる。システムが、従業員が良い効率で誤って置かれたアイテムを在庫補給すると判定する場合、システムは好ましくはその従業員にアラートを送ることができる。
【0131】
さらに別の実施例では、システムは上記の基準の組み合わせまたは加重組み合わせを使用して、問題を扱う最適な従業員を決定することができる。例えば、システムは、最初に、利用可能な従業員を捜し出すことができる。次に、これらの利用可能な従業員の中で、システムは、問題のアイテムまでの特定の距離の範囲内にいるものを捜し出す。これらの従業員から、システムは次に、タスクを完了する従業員の能力に基づいて、最適な従業員を決定することができる。
【0132】
いくつかの場合では、システムは、(好適な任意の方法で決定される)最適な従業員だけに、アラートを送ることができる。別の方法として、システムは適切な従業員のグループにアラートを送ることができて、各受信者は彼または彼女のデバイス(例えば、スマートフォン)を用いて返答することができる。一旦受信者が、その者がタスクを処理しようとすることを示すことによって返答すると、システムは、問題の状態を、例えば、「進行中」と更新することができる。
【0133】
システムは、システムで決定される適切な従業員の監督者に、アラートを送ることもできる。代わりに、または、追加的に、システムは、それらに対して注意を喚起して問題の進行をモニタするように、アラートを品質保証部門の人員へコピーすることもできる。
【0134】
RFID技術を使用して、リアルタイムの方法で店舗の在庫可用性をモニタすることもできる。この場合、システムは、顧客によってピックアップされるアイテムの移動を追跡することができる。上述のように、システムは、アイテムがトートと共に移動している場
合、それが顧客によってピックアップされたと判定することができる。より具体的には、システムは、アイテムのRFIDタグの動作/軌跡およびトートの動作/軌跡を、トート上の、またはその中のRFIDタグについてビデオデータおよび/またはデータから決定されるように使用して、アイテムがトート内にあると判定することができる。一旦システムが、アイテムがピックアップされると判定すると、システムはそのアイテムを利用できる在庫から差し引く。別の方法として、アイテムがチェックアウトされるレジスタを、アイテムが通過するまで、システムはアイテムを在庫から差し引くことができる。いくつかの場合では、顧客がアイテムを着用している場合、システムはアイテム、例えば衣類または一足の靴を差し引くこともできる。
【0135】
RFID技術は、特に輸送ボックスがシールされた後、eコマース注文の検証を容易にすることもできる。RF信号は通常輸送ボックスを透過することができるので、上述のRFID技術を使用して輸送ボックス内のRFIDタグを有するアイテムを識別することができる。それから、識別されたアイテムは、いずれかのアイテムが欠落しているかどうかまたは、いかなるアイテムも輸送ボックスにあるべきでないかを判定するように、この出荷品に対応する注文と比較される。欠落したアイテムが確認される場合、システムは在庫または他のデータベースをチェックして、交換アイテムが配送センター(DC)か近くの店舗にあるかどうかを見つけることができる。システムはまた、アイテムが輸送ボックスに置かれるかまたは別々の出荷品のために位置特定されるまで、輸送ボックスが店舗および/またはDCを出るのを防止することができる。
【0136】
いくつかの場合では、RFID技術を更衣室において使用して、顧客によって試着されるアイテムを追跡することができる。システムは、更衣室に残されたアイテムが閾時間よりも長く(例えば、15分を超えて)更衣室にあったかどうか判定することができる。別の方法として、システムは、アイテムの位置ならびに更衣室の状態を追跡することができる。例えば、システムが、アイテムは更衣室にあって、更衣室が使用されていないと判定する場合には、システムはアイテムが更衣室に残されていると判定することができる。これらの場合、システムは、アイテムをピックアップして、それを販売用の棚に戻して配置するように、従業員にアラートを出すことができる。
【0137】
システムは、試着室の顧客のモバイルまたはウェアラブルデバイスの存在を追跡することによって、試着室の状態を判定することができる。例えば、システムは、試着室のマップを生成して、各試着室において検出されるモバイルおよびウェアラブルデバイスを表示することができる。デバイスが試着室で見つからない場合、システムは試着室が恐らく使用されていないことを示すことができる。この場合、従業員は試着室に行って、放棄されたアイテムをピックアップすることができる。
【0138】
システムは、試着室のドアに(例えば、ドアの可動端に)取り付けられたRFIDタグを用いて、試着室の状態を判定することもできる。この場合、試着室のドアは、それが解錠されている場合、フレームから移動して離れるように設計することができる。したがって、RFIDタグは、ドアが閉じているかまたはロックされているとき(すなわち、試着室が占有されているとき)に第一の位置にあって、ドアが開いているかロックがかかってないとき(すなわち、試着室が占有されていないとき)に第二の位置にある。それから、システムは、ドア上のRFIDタグの位置に基づいて、試着室の状態を判定することができる。同様に、別のオプションは、試着室のカーテンの中か、またはその上にいくつかの基準タグをインストールして、誰かがカーテンを開閉している結果として、それらが一緒に近づくか、または、より遠くに離れるのを検出することである。
【0139】
別の方法として、各試着室は、二つのRFIDタグを使用することができ、一方はドアの可動端に配置されて、他方はドアのフレームに配置される。別の方法として、RFID
タグは、試着室のドアの錠の異なる部分に配置されることができるかまたは組み込まれることができる。それから、システムは、これらの二つのタグの間の距離を決定することができる。それらが閾値(例えば、約10cm)の範囲内である場合、システムはドアが閉じているかまたはロックされていると判定することができ、そうでない場合、システムは、ドアが開いているかロックがかかっておらず、試着室が占有されていないと判定することができる。
【0140】
加えて、システムは、RFID信号の振幅変動および位置の組み合わせを使用して、RFIDタグを有する衣服が人の上にあるかどうかを判定することができる。例えば、衣服が試着室の中央で空中に浮遊している場合、それは身体の上にある可能性が高い。RFIDタグ位置特定システムが、RFIDタグが人の身体の近くにあるという(例えば、カメラデータからの)徴候を伴うRSSIの顕著な低下を検出する場合、RFIDタグでタグ付けされたオブジェクト/衣服が人の身体上にある可能性が高いと判定することができる。
【0141】
11.2 RFIDタグを有するアイテムの棚載せ
また、アイテムの正確な追跡によって、システムは、人間の介入無しに、自律車両(例えば、ロボット装置、ドローンなど)を用いてアイテムを棚に配置することができる。例えば、RFIDタグは、各アイテムに取り付けられて店舗内のアイテムの所望の位置に関する情報を提供することができる。自律車両は、RFIDタグを読み込むタグリーダーを含むことができ、アイテムを所望の位置に分配することができる。所望の位置(例えば、指定された棚)は、(備品タグと呼ばれる)RFIDタグによってマーク付けすることもできる。いくつかの場合では、自律車両は、その内蔵タグリーダーを使用して、備品タグを位置特定して、その現在位置から備品タグまでの距離および方向を推定して、その推定を使用して備品に向かって移動する。
【0142】
いくつかの場合では、システムは、車両上の、または車両に組み込まれたRFIDタグを使用して、遠隔制御される車両の位置をモニタすることができる。必要に応じて、システムまたはユーザは車両に、備品に向かって進むように指示することができる。これらの場合、車両は、いかなるタグリーダーも含まなくてもよい。
【0143】
別の方法として、RFIDタグは、アイテムの所望であるか意図された位置でなく、アイテムの識別情報(例えば、シリアルナンバ)を含むことができる。その代わりに、識別情報は、データベース内の所望の位置情報と関連付けられる。RFIDタグリーダー(例えば、自律車両上の)は、識別情報を読み込むことができて、データベースと通信して、位置情報を読み出すことができる。
【0144】
自律車両による自動の棚載せは、店舗を閉じた後に毎晩、および/または店舗を開く前に毎朝、実行することができる。いくつかの場合では、棚載せ手順は、それが人間のモニタリングなしで実行できるように、自動的である。したがって、棚載せは、時間外のコストを節約するように、就業時間後に実行することができる。
【0145】
いくつかの場合では、棚載せは、要求に応じて実行することができる。例えば、システムが、アイテムが応需型であると判定すると、システムは人またはロボットをストック室に送って、一つのアイテムを選択して、そのアイテムを所望の位置に配送することができる。いくつかの場合では、人またはロボットは、誤って置かれたアイテムを選択して、それを正しい位置に置くように指示され得る。システムは、誤って置かれたアイテムの位置に、そして、アイテムの所望の位置に、ロボットを向かわせることができる。いくつかの場合では、RFIDタグデータおよび/またはカメラデータは、握持することなどの複雑な問題の援助に、オブジェクトの向きおよび、重量、形状寸法および重み分布などの他の
情報を明らかにすることもできる。
【0146】
11.3 RFIDタグによるアイテムの在庫モニタリング
システムは、RFIDタグによるアイテムの位置の正確な追跡に基づいて、アイテムの在庫をモニタすることができる。上述の通り、システムはアイテムが選択されたかまたは顧客によって運ばれていると判定することができて、その場合には、システムは利用できるアイテムのリストからこのアイテムを除去することができる。システムは、顧客によって購入のために考慮中のアイテムの一時リストに、このアイテムをさらに配置することができる。一旦アイテムが顧客によってチェックアウトされると(例えば、顧客がアイテムとともに店舗を去るイベントにおいて)、システムは一時リストからこのアイテムを除去することができる。しかしながら、顧客が自分の考えを変えて、チェックアウトする前にアイテムを戻す(または、単にアイテムを放棄する)場合、システムはこのアイテムを利用可能リストに戻すことができる。
【0147】
いくつかの場合では、一旦システムがアイテムは顧客によって考慮中であると判定すると、システムは1Hzより大きい頻度でアイテムに取り付けられたRFIDタグに問い合わせして、アイテムの移動を追跡することができる。一旦アイテムが棚へ戻されると、問合せ頻度は減らされてシステムのコンピューティング負荷を減らすことができる。
【0148】
従業員は、不良アイテムを処理することによって在庫モニタリングに参加することができる。不良アイテムは、従業員または顧客によって識別され得る。いずれの場合でも、従業員は、従業員デバイスを使用して、アイテム上のRFIDタグをスキャンして、システムにアイテムの状態(例えば、「不良品である」か「破損している」)を入力することができる。従業員デバイスは、従業員が在庫を更新するためのタグリーダーおよび対話型インタフェース(例えば、タッチスクリーン)を含むことができる。状態を受信することに応答して、システムは、利用可能リストからアイテムを除去することができて、アイテムを別のリスト(例えば、修理リストまたは返却リスト)に入れることができる。システムは関連した人員に一つ以上のアラートも送って、不良アイテムを取り扱うこともできる。
【0149】
11.4 RFIDタグ位置特定システムを使用した従業員および製品位置特定
RFIDタグ位置特定システムは、複数のカメラ、RFIDタグおよびワイヤレス通信システム、例えばBluetoothまたはWi-Fiを含んで、店舗内の従業員および製品の正確な位置を追跡することができる。従業員および製品の位置は、RFIDタグ位置特定システムによって収集されたRFIDタグ位置データから得ることができ、それからスマートフォンまたはタブレット上にGUIを用いて表示することができる。
図6は、店舗のフロア配置図上の従業員およびいくつかの製品の位置を表示する例示的GUIを示す。RFIDタグ位置特定システムが従業員および製品の正確な位置を識別することができるので、
図6に示すように、従業員と製品間の相対位置を表示することもできる。フロア配置図上の製品の位置を示すことに加えて、
図6に示すように、製品の位置は、店舗のバーチャルツアーにおいて、店舗の三次元ビューにおいて、または、オンラインショッピング機能において表示することもできる。
【0150】
11.5 GUIを使用した製品選択
GUIは、説明されているように、店舗のフロア配置図上の一つまたは複数の製品を表示することができる。GUIは、ユーザ、従業員または顧客が、特定のアクションを実行するために、表示された製品と対話することも可能にし得る。GUIとのユーザ対話は、ポインティングデバイス、例えばマウス、ユーザの指またはスタイラスなどのタッチベースのシステムを含むいくつかの方法によって達成することができる。例えば、タッチベースのシステムでは、ユーザは、自分の指をで、GUIで示される製品周辺で形状を描画することによって、一つ以上の製品を選択することができる。このプロセスは、
図7Aから
図7Dに図示される。
図7Aは、GUIに表示される多数の製品を示す。ユーザは、
図7Bに示すように、
図7Cに示すように円形形状を完成するまで、自分の指を使用して、複数製品周辺で円形形状を描画し始めることができる。こうして、円形形状の範囲内で含まれる製品が選択される。ユーザ指定のアクションの前に、選択製品に関する情報は、選択された製品の数など、
図7Dに示すように表示され得る。
【0151】
一旦製品がユーザによって選択されると、それから、ユーザは選択製品に実行される多数のアクションを指定することができる。これらアクションに含まれるのは、(1)列挙している製品の詳細、例えば、スタイル番号、色、価格、サイズなどの列挙、(2)販売数量または価格の列挙、(3)RFIDリーダーへの、選択製品だけ、例えば新規な出荷品の受領中、在庫カウント中など、の読み込み指示、(4)特定の製品のフロアディスプレイの変更、(5)選択製品についての価格アラートの受信の選択、(6)類似の製品に関する情報の表示、(7)選択製品の類似製品またはより新規なモデルの推奨の受領、または、(8)購入のために届けられるかまたは選ばれる選択製品を有することである。いくつかのアクションは、それらの機能に応じて従業員または顧客のいずれかに対してのみ利用可能である。
【0152】
11.6 在庫更新処理および製品の新規出荷品の自動通知
RFIDタグ位置特定システムを使用して、製品の新規出荷品が店舗に到着するときに、在庫の更新を容易にすることもできる。例えば、出荷品は、製造業者、倉庫、配送センターまたは別の店舗から店舗に届けられてもよい。出荷品の製品の量を確認するために、RFIDリーダーおよびユーザアプリを使用できる。RFIDリーダーは、店舗出荷品プロセス領域、例えばストック室、売り場または小売業者がインバウンド出荷品プロセスに使用することができる他の位置に、最適に配置することができる。
【0153】
出荷に含まれる製品は、RFIDタグを含んでいても含まなくてもよい。RFIDタグを備えている製品については、従業員はRFIDリーダーおよびユーザアプリを使用して、受領した製品の数量が製品注文の対応する請求書と一致することを確認することができる。RFIDタグを備えていない製品については、従業員は、製品にRFIDタグを追加して、RFIDリーダーおよびユーザアプリを用いて適切な製品情報によりタグをコード化することができる。それから、これらの製品は、出荷品において受け取られる製品の量を確認する前に追加することができる。
【0154】
一旦受け取った製品の量が確認されると、製品のRFIDストック、および複数店舗全体のRFIDタグを有する製品とそれのない製品を含むことができる製品のマスター企業ストックは、出荷品が受け取られた店舗、及び複数店舗全体の会社レベルでの、製品の正確なストックレベルを示すように更新される。受領製品と請求書の量の間に矛盾が存在する場合、RFIDタグ位置特定システムは、製品が出荷品で到着したか、製品がRFIDタグなしで到着したか、製品が誤ったRFIDタグで到着したかを調べることによって、前記矛盾を解決するのを容易にすることができる。
【0155】
店舗にそれらに製品の新しい出荷品が配送されたことを通知する電子通知を、顧客に自動的に送信することもできる。通知書は、電子メール、テキストメッセージ、WhatsApp、フェイスブックメッセンジャ、ジオフェンシングアプリケーションなどのメッセージングアプリケーション、またはRFIDタグ位置特定システムと統合される他の電子メッセージサービスを含む各種の方法を用いて送付することができる。通知は、顧客の嗜好に基づいて、優先製品、例えば、新製品、ベストセラーの製品または通知するように顧客によって選ばれる製品に合わせて、調整することができる。通知は、以前に特定の店舗を訪問した、または、特定の小売業者または店舗から通知書を受領するために予約した顧客に送ることもできる。再ターゲット化広告または電子メッセージが以前に店舗を訪問し
て、利用可能でなかったため、例えば、優先製品が望ましい寸法にはなかったため特定の製品を購入することができなかった顧客に送信することもできる。
【0156】
RFIDタグ位置特定システムは、RFIDタグのはずれた製品、または配送の後、または、在庫チェックの間、誤ったRFIDタグを有する製品の発見を容易にすることもできる。例えば、従業員は同一の衣類の積み重ねを検査するとストックレベルの衣類がゼロであることを即座に発見することができ、それはなくなったか誤ったRFIDタグによるRFIDストックにおける誤差を示す。別の実施例では、従業員は、特定の製品を運んでいて、視覚的に、製品にRFIDタグが無いと気がつくことができる。製品が出荷品の領収書および検証の後、RFIDタグが失われたか誤っていることを発見される際に、従業員は製品にRFIDタグを追加するかまたは置き換えることができて、RFIDリーダーおよびユーザアプリを用いて正しい製品情報を有するタグをコード化することができる。一旦新規なRFIDタグがコード化されると、製品のRFIDストックは更新されて、自動電子通知は、前述のように、顧客に送信することができる。
【0157】
11.7 製品移動および保持の自動通知
RFIDタグ位置特定システムは、例えば、優先製品が売り場または保管場所などの適切な位置へ移動しなかった場合、例えば、製品が顧客のために保留の状態に配置されない場合、製品移動をモニタすることもできる。RFIDタグ位置データに基づいて、製品移動または製品保持が小売業者によって定められる特定の時間的閾値内、例えば、30分で発生しない場合、電子通知は許可された従業員、地域の管理人員または企業管理人員に送信することができる。通知書は、電子メール、テキストメッセージ、WhatsApp、フェイスブックメッセンジャ、ジオフェンシングアプリケーションなどのメッセージングアプリケーション、またはRFIDタグ位置特定システムと統合される他の電子メッセージサービスを含む各種の方法を用いて送付することができる。
【0158】
11.8 RFIDタグに基づく製品状態
RFIDタグ位置特定システムは、追加情報を製品のRFIDタグにコード化することもできる。例えば、RFID状態タグを使用することができ、それは様々な製品状態および追跡情報を含むことができる。RFID状態タグはRFIDタグと区別され、RFID状態タグは、RFID状態タグに対応する一組のRFIDタグ同じ製品情報を割り当てることができる。
【0159】
多数の製品状態は、RFIDタグにコード化されることができて、搬出、Eコマース注文および損傷を含むカテゴリに基づいてもよい。搬出カテゴリにおいて、製品状態は、(1)第一の店舗から第二の店舗、倉庫または配送センターまで送られる商品、(2)製品状態作成の日時、(3)搬出のタイプ、例えば、異なる店舗への移動、倉庫への移動、配送センターへの移動、破損したか回収された製品の移動、清掃または手直しのサービスが店舗から離れて発生する製品の移動、(3)商品の出所、例えば店舗番号、(4)商品の目的地、例えば、店舗番号、配送センター、製造施設番号、または、(5)搬出番号、例えば、RFIDタグ位置特定システムまたは既存のレガシーシステムによって作成される追跡番号を含み得る。
【0160】
Eコマース注文カテゴリにおいて、製品状態は、(1)店舗から、注文を出している顧客によって指定される第三者送り先住所まで送られる商品、(2)製品状態作成の日時、(3)商品の出所、例えば、店舗番号、(4)顧客アカウント番号、例えば、Eコマースシステムによって作成されるアカウント、(5)Eコマース注文番号、例えば、RFIDタグ位置特定システムまたは既存のレガシーEコマースシステムによって作成される注文番号、または、(6)Eコマース状態、例えば、ピックアップされて現在プロセスエリアで包装を待っている製品に対する「プロセス中」状態、および、選択されて外部出荷のた
めに包装された製品に対する「包装済み」状態、を含み得る。
【0161】
損傷カテゴリにおいて、製品状態は、(1)現在汚染、損傷または欠陥により利用不可能な商品、(2)製品状態作成の日時、または、(3)損傷輸送番号、例えば、RFIDタグ位置特定システムまたは既存のレガシーシステムによって作成される参照番号、を含むことができる。
【0162】
RFID状態タグの使用は、RFIDタグ位置特定システムの位置精度に基づいて、または、製品タイプによって、店舗の特定領域の製品状態の割り当てを容易にすることができる。例えば、特定の製品上のRFID状態タグは、その近くにある他の製品、例えば、RFIDタグを有する製品の4インチの範囲内にある製品に、同じ状態を自動的に割り当てることができる。別の実施例では、特定の製品上のRFID状態タグは、同じ状態を店舗全体全体の製品のグループに割り当てることができる。製品のグループに対する状態の変化は、これらの製品用の異なる色またはシンボルを用いてGUIで表示することができる。この視覚インジケータは、従業員が製品用の状態を確認するのを助けることができる。
【0163】
RFIDタグ位置特定システムは、製品のRFIDストックに基づいて、製品状態を自動的に変えることもできる。例えば、搬出状態、例えば、別の店舗への移動、倉庫への移動または配送センターへの移動があるRFIDタグを有する製品は、店舗によって搬出プロセスが確認されない限り、前記製品を送る店舗によって充足されるEコマース注文のための利用可能なストックと考えることができる。確認には、製品が密封ボックスにあること、移動文書が完成していること、などが含まれ得る。
【0164】
11.9 製品の到着および出発ルート追跡
RFIDタグ位置特定システムは、RFIDリーダー、(深度)カメラおよび、正確にRFIDタグの位置を決定する技術を含むことができて、これを使用して、製品が店舗に入るかまたは出るにつれて店舗を通して、一つ以上のRFIDタグを付けた製品、例えば、RFIDタグまたは箱、バッグまたはカートにおいてグループ化されるRFID状態タグを有する製品のパスを記録するために用いることができる。ユーザアプリを使用して、パスは次に、
図8に示すように、店舗のフロア配置図の上にオーバーレイされたアニメーションとして、ユーザにGUIで表示することができる。
【0165】
RFIDタグ位置特定システムはまた、
図8に示されるように、システムの位置特定技術およびカメラによって記録された日付、時刻および位置データを使用して、RFIDタグ付けされた製品の到着または出発の記録されたビデオフィードを再生することもできる。加えて、RFIDタグ位置特定システムは、顔または歩行認識に基づいたRFIDタグを付けられた製品、個人のBluetoothまたはWi-Fi対応デバイスまたは利用者IDを伴っている個人を識別することもできる。
【0166】
店舗がRFIDタグ位置特定システムによって完全にカバーされることを確実にするために、RFIDタグ位置特定システムのコンポーネントは、店舗のレイアウトおよび環境に応じて天井または壁に500~1000平方フィート(約46平方メートル~約93平方メートル)ごとの増分で載置することができる。これにより、RFIDタグ位置特定システムは、店舗内のすべてのRFIDタグ付けされた製品およびBluetoothまたはWi-Fi___33対応デバイスを追跡することが可能になる。加えて、システムは、店舗の境界、例えば、複数のフロア、部屋、入口、出口などを識別することもできる。店舗の境界は、RFID基準タグまたは検出のための他の手動マーキング方法によってマーキングすることができる。特に、入口および出口を識別することによって、RFIDタグ位置特定システムは、製品が店舗に入るかまたは出るときを自動的に登録することがで
きる。
【0167】
11.10 製品量のスマートな、適応型フロアディスプレイ
RFIDタグ位置特定システムは、ユーザ、例えば従業員が、店舗の特定領域にある製品の所望量(例えば、フロアディスプレイ上に12ユニットの製品)をセットすることを可能にし得る。さらに、RFIDタグ位置特定システムは、製品のパフォーマンス上の履歴データに基づいて製品の理想的配置をユーザに提案して、売上を最大にすることができる。例えば、特定の製品は、複数の異形品、例えば、異なるサイズを有する履き物、衣類、アクセサリ、女性の結婚衣裳を有することができる。RFIDタグ位置特定システムは、その特定の店舗用のフロアディスプレイに置く最高パフォーマンスの製品異形品をユーザに提案することができる。履歴パフォーマンスデータは、履歴売上、製品または製品異形品が顧客によって見られるかもしくはテストされる回数、または製品もしくは製品異形品の換算率、例えば、売上に対する見解、売上に対する顧客テストなどを含むことができる。
【0168】
RFIDタグ位置特定システムは、店舗で利用可能なストック在庫に基づいて、リアルタイムの店舗の製品の量および位置に動的に適応することもできる。例えば、表1で、MおよびLサイズの製品が最高のパフォーマンスの異形品で、SおよびXLサイズの製品がそれに続くという、理想的なシナリオが示される。例えば、この例で12を示す製品の合計数上のユーザ定義の要件に基づいて、RFIDタグ位置特定システムはサイズごとにフロアディスプレイに置く製品の数を自動的に算出する。この場合、それらのパフォーマンスがより高いので、SおよびXLサイズの製品よりもさらに多くのMおよびLサイズの製品が示される。
【表1】
【0169】
別の実施例では、表2は、Mサイズの製品のストックが不十分で、したがって前に表1に示された理想的なフロアディスプレイを達成することができない適応シナリオを示す。これに応じて、RFIDタグ位置特定システムは、次善のパフォーマンスの製品異形品に基づいて、フロアディスプレイに置く製品異形品の数を再割当する。これはMサイズの製品の表示をゼロとすることを必要とせず、むしろ、Mサイズの製品の数は利用可能なストックおよび顧客の要求に適応するために減じられる。この場合、より多くのLサイズの製品に続いて、SおよびXLサイズの製品が表示される。
【表2】
【0170】
表3は、MおよびLサイズの製品が売り切れであり、他の製品異形品のストックが製品の必要合計数を満たすのに不十分な、さらにもう一つの適応シナリオを示す。この場合、RFIDタグ位置特定システムは、製品異形品の数を再割当して、表示に製品の合計数をできるだけよく成し遂げ、あわせて同様に最高パフォーマンスのサイズに優先順位をつける。
【表3】
【0171】
RFIDタグ位置特定システムは、売り場量がゼロに設定される場合、フロアディスプレイ上の製品の量もゼロに設定する。さらに、少なくとも一つの製品が売り場にある場合、通知は従業員に送ることができるが、しかし、製品はフロアディスプレイにない。これは、売り場に利用可能なすべての製品がフロアディスプレイにも配置されなければならないという一つの考えられる小売業者戦略に基づく。RFIDタグ位置特定システムは、売り場およびフロアディスプレイ上の製品の量における矛盾を検出するように構成することもでき、特にシステムへの入力誤差を補償する。
【0172】
11.11 ピックリストの作成と最適化
前述のように、RFIDタグ位置特定システムは、店舗の異なる領域、例えば、売り場またはストック室にある製品の量を正確に追跡することができて、したがって、どんな製品か製品異形品がリアルタイムで売り場へ移動することを必要とするかもしれないか決定することができる。例えば、表4は、店舗の製品異形品の分布を示す。示すように、フロアディスプレイに示される製品の数に基づいて、数の売り場に利用可能なMおよびXLサイズの製品が不十分である。その結果、サイズ設定をされる二つのMサイズおよび一つのXLサイズの製品は、ストック室から売り場まで移動しなければならない。
【表4】
【0173】
製品または製品異形品の補給を容易にするために、RFIDタグ位置特定システムは、リアルタイムに補充されることを必要とするピックリストまたは要求された製品のリストを即座にコンパイルすることができる。それから、ピックリストは、ユーザ、例えば、ストック室従業員に送ることができ、それから従業員はピックアップによるすべての製品の要求を完了して、製品を売り場に届ける。
【0174】
ピックリストの使用はまた、RFIDタグ位置特定システムがオンラインの顧客によって店舗でピックアップされるよう求められる製品のリストをコンパイルするEコマース注
文を満たすために適用できてもよい。ピックリストの製品は、顧客に代わって従業員によって、小売業者のウェブサイトまたはアプリケーションを使用している顧客によって、または、ユーザアプリの顧客異形品によって保留の状態に配置されることもできる。ピックリストは、製品が売り場従業員を経て店内の顧客によってストック室から要求される顧客ストック要求において、または、置き忘れられた製品のために使用することもできて、この場合、製品は売り場上の誤った位置に、または、ストック室に置かれている。
【0175】
RFIDタグ位置特定システムがユーザ、例えば、ストック室従業員の位置およびピックリストのすべての製品の位置を追跡することができるので、最適化されたピックパス(OPP)は、すべての製品をピックアップする従業員のための最も短い時間または距離に基づいて、生成することができる。OPPは、ユーザアプリのGUIでユーザに表示することができる。
図9Aにおいて、OPPは、ピックリストおよびユーザに最も近い製品の位置と一緒に点線として表示される。ユーザが移動するにつれて、OPPは、
図9Bに示すように、更新される。ユーザが製品をピックリストでピックアップし始めると、OPPは引き続き更新され、
図9Cおよび
図9Dに示すようにユーザによってピックアップされる製品の数も示す。また、ユーザによってピックアップされる次の製品は、GUIでも示される。OPPは、Eコマース注文、顧客ストックのチェック、およびストック室の、または、売り場上の移動する置き忘れられた製品ために使うこともできる。
【0176】
第一のユーザのピックリスト上の製品はピックアップされて、第二のユーザによって売り場に届けられて、第一のユーザはまだ要求を満たす途中で、前記製品をピックアップする前である場合、RFIDタグ位置特定システムは、製品がもはや必要でないと第一のユーザに通知するために製品を第一のユーザのピックリストに特別に記録する。この通知プロセスは、RFIDタグ位置特定システムを用いてリアルタイムに実行することができる。
【0177】
11.12 ピックリストフィルタ
RFIDタグ位置特定システムにより、ユーザが製品属性または位置に基づいてピックリストを精緻化することを可能にもし得る。例えば、ユーザは、女性の結婚衣裳、ストック室1またはストック室1の女性の結婚衣裳に従ってピックリストをフィルタリングすることができる。さらに、ユーザは、ピックリストに含まれる製品の最大量(例えば、10のユニット)を設定することができる。それから、RFIDタグ位置特定システムは、最大10のユニットを有するピックリストを示す。ユーザフィルタおよび最大量に基づいて、RFIDタグ位置特定システムは、店舗のために大部分の売上を生み出すピックリスト上の製品を最適化することができる。
【0178】
11.13 迷子製品
迷子製品は、店舗の中で誤った位置に置かれた製品であり、例えば、製品は売り場にあると示されるが、その代わりにストック室にある。RFIDタグ位置特定システムは能動的に、そして、正確に特定の製品のユニットの位置を追跡することができ、例えば、男性の黒いVネックTシャツのすべてのユニットの全ては売り場に、または、ストック室において位置特定される。RFIDタグ位置特定システムの位置精度および特定の製品のすべてのユニットをモニタする能力の組み合わせは、店舗の迷子製品の自動検出を可能にすることができる。迷子製品が検出される場合、製品のユニットが誤った位置にあるという通知は自動的にすぐユーザ、例えば、従業員に送られることができるかまたは、例えば、10分より長いユーザ定義の時間的閾値の後送付することができる。
【0179】
さらに、ユーザアプリはGUIの中でパスも生成して、すべての迷子製品にユーザを向かわせることもできる。このパス生成機能は、同様に迷子でない製品のために用いることもできる。例えば、
図10は、特定の製品が店舗の中で選択されるGUIを示す。選択製
品のユニットは、同じストック室でも、特定のストック室の同じ領域で位置特定されることもできず、例えば、製品のユニットは、互いの6フィート以内に位置特定されることもできない。これらの例において、GUIは、ユーザが訪問しなければならず、製品のすべてのユニットを読み出さなければならない位置の、合計数をユーザに表示することができる。
【0180】
11.14 ユーザに対する製品通知のインテリジェントルーティング
RFIDタグ位置特定システム、特にRFIDリーダー、ユーザアプリおよびシステムの位置追跡機能は、製品の位置または、製品の異形品を正確にモニタするために用いることができる。店舗の中ですべてのRFIDにタグを付けられた製品を追跡することによって、製品がリアルタイムの店舗の特定領域において補充されることを必要とする場合、システムはユーザ、例えば、従業員に自動的に通知することができる。製品補給のための閾値または基準は、ユーザによって異なり得る。例えば、製品は、フロアディスプレイに位置特定される10のユニットを有する必要があり得る。初めに製品の10のユニットがフロアディスプレイにあって、顧客が一つのユニットを購入する場合、通知はフロアディスプレイ上の製品の量が指定された要件の下で減少した従業員に送られることができて、従業員に製品の一つのユニットをフロアディスプレイへ移すことを促す。
【0181】
製品補給用の通知を受信している従業員は、別の従業員に製品用の要求に送信することもでき、例えば、売り場従業員は内部ストック要求を用いて製品をストック室従業員に要求することができる。要求された製品が第一の店舗で在庫がない際に、従業員はその代わりに外部店舗要求を使用して第二の店舗または倉庫から製品を要求することができて、第一の店舗に、または、顧客の優先アドレスに配達される。この追跡機能は、自分のモバイルデバイスでユーザアプリを使うユーザによって使用することができ、店舗または熱の近隣の店舗のRFIDタグを有する特定の製品を位置特定する。
【0182】
RFIDタグ位置特定システムは、特定の従業員または位置にもストック要求を知的に送って、要求されたストックを店舗の特定領域に、または、顧客に配送する時間を最小化することもできる。内部ストック要求は、従業員に、店舗のエリア、顧客またはストック室への彼らの近接度、そして最も短い時間でタスクを完了する能力に基づいて送ることができる。例えば、従業員Aは他の顧客のための五つのストック要求に取り組んでおり、彼らはそれらの五つのストック要求を完了することに優先順位をつけなければならない。それから、RFIDタグ位置特定システムは、最も近い利用できる従業員、例えば、従業員Bに追加の要求を送って、ストック要求を満たすことができる。従業員は、現在無関係なタスクを実施している場合、ストック要求の通知をオフまたはミュートするオプションもある。RFIDタグ位置特定システムは、従業員が店舗を通って移動するにつれて、従業員が製品および従業員を追跡することによってストック要求を完了するためにとられる時間を、ストック要求の最初の受領から顧客に対する製品の配送または店舗の領域までモニタすることもできる。
【0183】
外部のストック要求については、RFIDタグ位置特定システムは、チェーン店舗で能動的に製品の可用性をモニタすることができて、更新することができる。例えば、第二の店舗の顧客がそれらのショッピングカートで要求された製品を有する場合、RFIDタグ位置特定システムは、第一の店舗の顧客が製品可用性に関して的確な情報を有することを確実にするために第二の店舗で利用可能なストックからこの製品を除去する。RFIDタグ位置特定システムは、発送側位置、例えば、第二の店舗または倉庫、と目的地間の距離と、外部的に要求された製品が、ストック要求が発動側位置によって満たされて送られる速度を詳述しているデータに基づいて、店舗または顧客の優先アドレスに届けられるために必要な時間を予測するために用いることもできる。
【0184】
11.15 ストック要求遂行
RFIDタグ位置特定システムは、リアルタイムで、そして、常に、店舗およびストック室の売り場に利用可能な製品の位置を能動的に追跡する。この能動追跡は、従業員が顧客に対して短時間でストック要求を完了するのを促進することができる。例えば、顧客は、ユーザアプリを用いて店舗の特定の製品用のストックレベルのチェックを要求することができる。
図11は、顧客がオプションを有する製品に売り場上のそれらに届けられるストック室から特定の製品異形品、例えば、Mサイズの、黒いドレスを特定するよう求めている例示のGUIを示す。それから、この要求は、売り場上の従業員に送信することができる。それから、売り場従業員は、ユーザアプリを使用して、顧客が要求した製品をストック室従業員に要求するためことができる。それから、ストック室従業員は、異なる顧客のための複数の要求された製品を位置特定してピックアップすることができる。売り場上の異なる顧客への製品の配送を容易にするために、ストック室従業員はユーザアプリを使用することができ、それはリアルタイムで異なる顧客の位置を能動的にモニタする。
【0185】
ストック要求に加えて、製品が置き忘れられるかまたは顧客によってすぐに見つからないが、それにもかかわらず売り場に存在するケースがある。ユーザアプリは、店舗の種々の領域で、存在する場合、製品の位置を提示することができる。例えば、
図12で、GUIは、ストック室の手に入る数量に加えて、顧客に売り場の選択製品の位置を示すことができる。店舗の従業員が売り場上の置き忘れられた製品を動かさない際に、ユーザアプリは顧客が前記置き忘れられた製品を位置特定することを可能にもできる。
【0186】
11.16 ピックリストの自動マーキング
ピックリストは、ユーザによって要求される製品のリストに関連して、ユーザが位置特定することを必要とする製品の内部補給、Eコマース注文、ストック要求、置き忘れられた製品または他のいかなるリストのための要求も含むことができる。以下の条件が満たされる場合、ピックアップされる、ピックリストの製品は自動的にマークされることができる:(1)ユーザはユーザアプリを用いてピックリストに取り組んでいる、(2)ユーザはピックリストの製品をピックアップしている、(3)RFID/コンピュータビジョンアイテム位置特定システムは製品がユーザのデバイスまたはそれらのRFID従業員タグに基づいてユーザと移動している場合、ユーザのピックリスト上の製品がユーザによって得られると認識する。一旦これらの条件が満たされると、ユーザによってピックアップされる、RFID/コンピュータビジョンアイテム位置特定システムは製品を自動的にマークしなければならない。ピックリストの自動マークの精度を改善するために、閾値は製品がユーザによって、例えば製品がピックアップされるかまたは、製品が有する距離は移動した後の時間に、ピックアップされるかを判定するために用いることができる。
【0187】
11.17 高いカート価値をもつ顧客の追跡
RFIDタグ位置特定システムは、リアルタイムで顧客のショッピングカートで能動的に製品の量およびタイプを追跡するために用いることもできる。ショッピングカートは、バスケット、バッグ、カートなどを含むことができる。顧客のショッピングカートがユーザ定義の閾値、例えば、五つの全体のユニットまたは500ドルの値を超える製品を含む際に、通知はこれらの顧客を識別している従業員に自動的に送ることができる。加えて、特定の製品または製品カテゴリは従業員によってもフラグを立てられて、追跡に優先順位をつけることもできる。この追跡機能は、店舗の複数の機能用途を有することができる。例えば、追跡機能は、それらのショッピングカートで製品のかなりの量または値を有することができるかまたは多数のフラグ付き製品を選択することができた追跡顧客によって万引きを防止するために用いることができる。追跡機能は、より多くの金を使う用意があってもよい顧客を識別するためにも用いることができ、これは従業員に、これらの顧客により良好な顧客サービスを提供し、これらの顧客の売上を増やし、またはこれらの顧客に無料製品を推奨するために通知することができる。
【0188】
RFIDタグ位置データは、種々のフォーマットでユーザアプリのGUIを用いて、ユーザに表示することができる。例えば、従業員は、GUIの店舗の中ですべての顧客を見ることができて、製品の量に基づいて、または、合計値によってそれらのショッピングカートをモニタすることができる。顧客の識別を容易にするために、顧客がユーザアプリの顧客異形品を使用する場合、RFIDタグ位置特定システムは店舗の人を顧客の構成と関連させることができる。そうでなければ、顧客は、製品の動作を追って、製品が登録された従業員デバイスと関係しているかどうか決定することによって、それらのショッピングカートの製品でさらに識別されてもよい。
【0189】
11.18 VIP顧客の自動通知
RFIDタグ位置特定システムは、顧客についてのデータを保存することもできる。このデータは、顧客が店舗に行う訪問の数または顧客が毎月または年間ベース使う金額を含むことができる。このデータに基づいて、VIP指定は、ユーザ定義の閾値を超える顧客に起因するものであり得る。
【0190】
それから、RFIDタグ位置特定システムを使用して、VIP顧客を検出して識別し、VIPが店舗または店舗の特定のセクションに入るときには従業員に通知することができる。VIPの識別は、(1)BluetoothまたはWi-Fiを介して顧客のモバイルデバイス上のユーザアプリに格納される顧客のプロファイルに基づいたVIP状態の検出、(2)顧客のモバイルデバイス上のユーザアプリに基づく顧客モバイルデバイスidの認識、または、(3)RFIDタグ位置特定システムのコンピュータビジョン能力を使用した顔または歩行認識に基づく識別、を含む数々の方法を用いて達成することができる。
【0191】
11.19 潜在的な製品窃盗の識別
前述のように、RFIDタグ位置特定システムは、リアルタイムで顧客のショッピングカートの製品の移動を能動的に追跡することができる。製品をモニタしている間に異常事象が発生する場合、製品の窃盗の可能性を検出することができる。例えば、顧客が製品からRFIDタグを取り外した場合、RFIDタグ位置特定システムがこの取り外しを検出することができて、この正確な製品および店舗内のその最新の分かっている位置を直ちに従業員に通知することができる。さらに、RFIDタグ位置特定システムはまた、システムのカメラまたはRFIDリーダーによって記録されたビデオ映像を識別して読み出すことができ、従業員が顧客または製品を位置特定するのを支援する。一旦この情報が従業員に提供されると、それから、従業員は顧客に接近して、RFIDタグの無い製品への支援を提供することができる。
【0192】
RFIDタグ位置特定システムはまた、RFIDタグ付けされた製品と関連した異常事象にタイムスタンプして格納することができる。この情報は、消失するRFIDタグの頻度などのデータに基づいて、店舗内の潜在的に窃盗が多いゾーンを、GUIで従業員に示すために用いることができる。このデータは、ユーザ定義の時間フレーム、例えば、以前の7日、30日、180日で、GUIで見ることができる。さらに、RFIDタグ位置特定システムは、潜在的に店舗の中で消失する傾向があるRFIDタグの現在位置を識別することによって、高い窃盗の多いゾーンになる可能性のある店舗のゾーンを識別して、強調することもできる。
【0193】
11.20 試着室の自動モニタリング
潜在的な製品窃盗の識別と類似の検出戦略が、試着室の自動モニタリングのためにも使用できる。RFIDタグ位置特定システムは、製品が試着室に入るかまたは出る際にて、製品を追跡することができる。通知は、試着室を出入りする製品について、リアルタイム
で従業員に送ることができる。製品が試着室に残されている場合、RFIDタグ位置特定システムは、迷子製品が試着室に存在して、そして、店舗内のその正しい位置に製品を返すように従業員に通知することができる。RFIDタグが取り外されて、結果としてRFIDタグ位置特定システムで製品の消失となる場合、製品が消失した可能性があり、その製品が最後に関連した顧客を識別する通知が、従業員に送られることもできる。問題の製品が消失しているとき、顧客はそのショッピングカートの中の他の製品によって識別することもできる。
【0194】
11.21 顧客および製品のインタラクションの捕捉および測定
RFIDタグ位置特定システムは、店舗の中で顧客および製品インタラクションに関連したデータを検出して測定するために用いることもできる。例えば、システムは、(1)製品が顧客によってどれだけ頻繁にピックアップされるか、(2)製品が顧客によってどれほど長く見られるか、(3)どの製品が一緒に見られるか、(4)新製品を見る間に顧客がどんな製品を保持しているか、(5)どんな製品が試着室から持っていかれるか、(6)購入を実現する前に顧客がどんな製品に接するか、(7)顧客によってテストされている可能性のある製品、例えば、人体などの水分の本体に対する近接度によるRF信号の測定された歪みに基づいた、例えば衣類を試着している顧客、(8)顧客がどれくらい長く製品をテストするか、を追跡することができる。顧客によってテストされる製品については、情報は非購入製品、例えば、試着室に残されている衣類についても集められて、製造または仕上げの問題評価することもでき、例えば、顧客はその仕上げではなく、衣類の見栄えを好む。このデータは、潜在的に、売上を改善するために製品の製造を変更する方法を店舗に知らせるために用いることができる。
【0195】
これらのパラメータを測定するために、RFIDタグ位置特定システムは、高い空間的および時間的解像度による3D空間でのオブジェクトが追跡可能である。例えば、RFIDタグ位置特定システムは、製品が閾値距離、例えば、4インチを越えて移動して、閾値期間、例えば、3秒を超える間保持されるかどうか検出することができる。このような条件が満たされる場合、製品はピックアップされたかまたは顧客によって見られていると考えることができる。
【0196】
前述のように、RFIDタグ位置特定システムは、店舗内の製品および顧客の動作を追跡することができる。顧客は、(1)顧客がそれらのモバイルデバイス上のユーザアプリを使用しており、それがBluetooth、Wi-Fiまたは別の無線通信システムまたはセンサによって検出されること、または、(2)従業員がタグまたはデバイスを有すると仮定して、RFIDタグ位置特定システムによって識別可能なタグまたはデバイスのいずれも有さない個人に基づいて顧客を検出すること、のいずれかによって識別され得る。
【0197】
RFIDタグ位置特定システムは、製品グループ、例えば、製品カテゴリ、サブカテゴリ、製品、色、サイズ、価格帯、記載されている前のタイプのあらゆる組み合わせもおよびその他に従って、製品パフォーマンスデータを集めることもできる。これらの製品グループについては、収集することができるパフォーマンスデータは、以下の通りである:(1)最も多く、または最も少なく見られた製品グループ、(2)最も長く、または最も短く見られた製品グループ、(3)試着室に最も多く、または最も少なく持っていかれた製品グループ、(4)最も多く、または最も少なくテストされるかまたは試着された製品グループ、(5)最も長く、または最も短い期間、テストされるかまたは試着された製品グループ、(6)売上の量対記載の他のタイプのデータとして定義される最善または最悪の換算を有する製品グループ。例えば、製品が毎日100回見られて、毎日10回販売される場合、換算率は10%である。別の実施例では、100個の製品が30秒以上間試着されて、10個の売上を有する場合、30秒以上間試着される製品は10%の換算率を有す
る。
【0198】
RFIDタグ位置特定システムによって収集される製品パフォーマンスデータに基づいて、店舗運営に対する改善は、以下によって成し遂げることができる:(1)店舗内の最高パフォーマンスの販売エリアの識別、(2)そのエリアの要員を改善する最も多くの製品インタラクションを有するエリアの識別、または(3)商品化計画戦略、例えばベストセラーの組み合わせ(例えば、黒いジーンズおよび白いTシャツが一緒だと最もパフォーマンスが良い)、もしくは、特定の製品タイプのために最善である店舗のエリアの識別(例えばドレスは店舗のゾーンAにおいて最高の換算を有する)に基づいた、製品各種取り合わせの自動計算および推奨。
【0199】
同様に、製品パフォーマンスデータは、以下によって消費者ショッピング体験を改善することができる:(1)予め定義される製品グループに基づいて、顧客の履歴ショッピングし好を理解して、顧客に、顧客が以前店舗またはオンラインで検索していた新規であるか在庫補充された製品の到着を通知すること、(2)店舗の中かまたは顧客が関心を持っている可能性のある店舗のゾーンの中で製品を強調することによって店内のショッピング体験を個人化すること、(3)顧客に可能性のある店内プロモーションについて通知すること、または、(4)BluetoothまたはWiFiを介して顧客のモバイルデバイス上のユーザアプリに格納される顧客のプロファイルを検出することによって顧客を識別するか、顧客のモバイルデバイス上のユーザアプリに基づいて顧客モバイルデバイスidを認識するか、もしくはRFIDタグ位置特定システムのコンピュータビジョン能力を使用して、顔または歩行認識に基づいて顧客を識別すること。
【0200】
11.22 結論
本明細書において様々な種々の実施形態が図と共に説明された一方で、機能を実行して、および/または結果および/または本明細書において記載されている利点の一つ以上を得るための様々な他の手段および/または構造が可能である。より一般的に言えば、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本開示の教示が使用される特定の用途または複数用途に依存する。前述の実施形態は例のみによって示されており、実施形態が、具体的に記載されて請求されている以外の形でも実践され得ることを理解すべきである。本開示の実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【0201】
上述の実施形態は、多数の方法のいずれかで実施することができる。例えば、本明細書に開示される技術の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実施されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータに提供されているか、複数のコンピュータの間で分配されているかどうかにかかわらず、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合で実行され得る。
【0202】
本明細書に概説した様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちのいずれか一つを用いる一つ以上のプロセッサに実行可能なソフトウェアとしてコード化されてもよい。さらに、こうしたソフトウェアは、多数の適切なプログラミング言語および/またはプログラミングまたはスクリプトツールのいずれかを使用して記述されてもよく、またフレームワークまたは仮想マシン上で実行される実行可能な機械コードまたは中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0203】
これに関して、様々な発明の概念は、一つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行された場合に、上述の本発明の様々な実施形態を実施する方法を実行する一つ以上のプログラムによってコード化されるコンピュータ可読記憶媒体(または複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、一つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体デバイスの回路構成または他の非一時的媒体もしくは有形のコンピュータ記憶媒体)として具現化され得る。コンピュータ可読媒体または媒体は、上述のように、その上に保存されたプログラムまたはプログラムを一つ以上の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードして、本発明の様々な態様を実施することができるように、移動可能であり得る。
【0204】
「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、本明細書では、上述のように、コンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために使用することができる任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを一般的に意味するために本明細書で使用される。さらに、当然のことながら、一態様によると、実行される本発明の方法を実行する一つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に属する必要はなく、本発明の様々な態様を実施するための多数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間でモジュール形式で分散されてもよい。
【0205】
コンピュータ実行可能命令は、一つ以上のコンピュータまたは他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなどの多くの形態であってもよい。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。通常は、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において望ましいように組み合わせられてもよく、または分散されてもよい。
【0206】
また、様々な開示の概念が、一つ以上の方法として具現化されてもよく、その例が提供されている。方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けられ得る。したがって、動作が例示されるものとは異なる順序で実行される実施形態を造ることができ、それは、例示的実施形態において連続的動作として示されている場合であっても、いくつかの動作を同時に実行することを含むことができる。
【0207】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0208】
本明細書および請求項で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0209】
本明細書および請求項で使用される場合、「および/または」という語句は、結合された要素の「いずれかまたは両方」を意味し、すなわち、一部の場合においては結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で挙げられる複数の要素は、同じ形態で、すなわち、結合された要素の「一つ以上」であると解釈されるべきである。その他の要素は、具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかに関わらず、「および/または」節によって識別される要素以外に随意に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」に対する参照は、「含む」などのような制限のない語法と連動して使われるときに、一実施形態においては、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、AとBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指すことができる、な
どということである。
【0210】
本明細書および請求項において使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は包括的なものとして解釈され、すなわち、多数の要素のまたは要素のリスト、および随意にリストに無い追加の項目、のうち少なくとも一つを含むが、二つ以上も含むものとして解釈される。それとは反対に明確に指示した用語だけ、例えば「のうち一つだけ」、もしくは「のうち正確に一つ」、または請求項において使われるときに、「からなる」という用語だけは、多数の要素またはリストの要素のうち正確に1要素の包含を指す。一般に、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうち一つ」、「のうち一つだけ」または「のうち正確に一つ」が先行するときには、排他的な代替物(すなわち「両方ともでなくどちらか一方」)を示すとしか解釈されない。「から基本的に成る」は、請求項において使用される場合、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0211】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、記述された値のプラスマイナス10%を一般的に意味する。
【0212】
本明細書および請求項で使用される場合、一つ以上の要素のリストを参照する「少なくとも一つ」という語句は、要素のリストの要素のいずれか一つ以上から選択される少なくとも一つの要素を意味するが、しかし、必ずしも要素のリストの範囲内で具体的に列挙したそれぞれのどの要素の少なくとも一つも含むというわけではなく、また要素のリストのいかなる要素の組み合わせも除外するものではない、と理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも一つ」というフレーズが指す要素のリストの範囲内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関連があるか関連が無いかにかかわらず、任意に存在し得ることを許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも一つ」、または、同等に「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、少なくとも一つ、を指すことができて、任意選択的に、Bが存在せずに二つ以上のA(および、任意選択的にB以外の要素を含む)ということを含み、別の実施形態では、少なくとも一つ、を指すことができて、任意選択的に、Aが存在せずに二つ以上のB(および、任意選択的にA以外の要素を含む)ということを含み、さらに別の実施形態では、少なくとも一つで、任意選択的に二つ以上の、Aを含み、そして、少なくとも一つで、任意選択的に二つ以上の、Bを含む(そして任意選択的に他の要素を含む)ことを指すことができる、などということである。
【0213】
請求項ならびに、上記の明細書で、すべての移行語句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ」「有する」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する」、「構成される」および同様のものは、制限がないと理解され、すなわち、含むがそれに限定はされないということを意味する。「から成る」および「から基本的に成る」という移行語句のみが、米国特許庁特許審査基準、セクション2111.03に記載されている、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行の語句であるものとする。