(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110924
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20230802BHJP
F23G 7/00 20060101ALI20230802BHJP
F23G 7/10 20060101ALI20230802BHJP
F23G 7/12 20060101ALI20230802BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20230802BHJP
B66C 13/48 20060101ALI20230802BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230802BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20230802BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
F23G7/00 D ZAB
F23G7/00 C
F23G7/00 102A
F23G7/10
F23G7/12 Z
F23G7/00 K
F23G5/44 B
B66C13/48 C
G06T7/00 350B
G06V10/82
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075365
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2019225603の分割
【原出願日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2018155959
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518301154
【氏名又は名称】株式会社Ridge-i
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】横山 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】河内 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】都丸 春幸
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】町田 隼也
(72)【発明者】
【氏名】柳原 尚史
(72)【発明者】
【氏名】小松 平佳
(72)【発明者】
【氏名】笹田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大志
(72)【発明者】
【氏名】本居 繁隆
(72)【発明者】
【氏名】市來 和樹
(57)【要約】
【課題】ごみピット内の廃棄物の種類を識別できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、廃棄物が貯留されるごみピット内を撮像した過去の画像デ
ータに廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習することにより生成された識別
アルゴリズムを有し、ごみピット内を撮像した新たな画像データを入力としてごみピット
内に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像デー
タに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用
いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されて
いる廃棄物の種類を識別する種類識別部
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記識別アルゴリズムは、線形回帰、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク、サ
ポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、スパース回帰、決定木、ランダムフォ
レストを用いた統計的推定、強化学習、深層学習、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像データは、RGBカメラにより撮像された廃棄物の形状および色彩画像データ
、近赤外線カメラにより撮像された廃棄物の近赤外線画像データ、3DカメラまたはRG
B-Dカメラにより撮像された廃棄物の3次元画像データ、のうちの1つまたは2つ以上
を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、布団、汚泥、粗大破砕ごみ
、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記種類識別部の識別結果に基づいて廃棄物処理プラントの制御を行うプラント制御部
をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プラント制御部は、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーンを制御するクレー
ン制御装置に前記種類識別部の識別結果を送信するクレーン制御部、前記廃棄物の燃焼を
制御する燃焼制御装置に前記種類識別部の識別結果を送信する燃焼制御部、のうちの一方
または両方を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記識別アルゴリズムは、前記ごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去
の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされるとともに前記廃棄物以外の識別対象
物が種類別にラベリングされた教師データを学習済みであり、
前記種類識別部は、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記識別アルゴ
リズムを利用して前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類とともに廃棄物以外の
識別対象物の種類を識別する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラントの梁、ごみピットの側壁、
ごみピット内に貯留されている廃棄物の山の崖、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレ
ーン、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラントの梁、ごみピットの側壁、
ごみピット内に貯留されている廃棄物の山の崖、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレ
ーン、廃棄物処理プラントの壁、柱、床、窓、天井、扉、階段、ガーダー、歩廊、ごみピ
ットの仕切り壁、ごみ投入ホッパ、搬入扉、作業員、搬入車両、のうちの1つまたは2つ
以上を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記種類識別部の識別結果に基づいて前記ごみピット内へ投入された異常物を検知する
異物投入検知部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記異物投入検知部は、前記廃棄物が貯留されるごみピット内に投入された異常物を検
知する異物検知装置に前記種類識別部の識別結果を送信する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記種類識別部の識別結果に基づいて前記ごみピット内への作業員または搬送車両の転
落を検知する転落検知部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記転落検知部は、前記廃棄物が貯留されるごみピット内に作業員や搬入車両が存在す
ることを検知する転落検知装置に前記種類識別部の識別結果を送信する、
ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、布団、汚泥、粗大破砕ごみ
、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、木屑、繊維ごみ、衣類ごみ、プラスチックごみ、動物
性残渣、動物死体、厨芥ごみ、草木、土、医療ごみ、焼却灰、自転車、たんす、ベッド、
棚、机、椅子、農業系ビニール類、ペットボトル、発泡スチロール、肉骨粉、農作物、陶
器、ガラスくず、金属くず、がれき類、コンクリートくず、畳、竹、わら、活性炭、のう
ちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像デー
タに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用
いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されて
いる廃棄物の種類を識別する種類識別部
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項16】
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像デー
タに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用
いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されて
いる廃棄物の種類を識別するステップ
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項17】
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズム
を用いて、前記廃棄物貯留場所内の新たな画像データを入力として前記廃棄物貯留場所内
に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項18】
コンピュータを、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズム
を用いて、前記廃棄物貯留場所内の新たな画像データを入力として前記廃棄物貯留場所内
に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項19】
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズム
を用いて、前記廃棄物貯留場所内の新たな画像データを入力として前記廃棄物貯留場所内
に貯留されている廃棄物の種類を識別するステップ
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
廃棄物が貯留されるごみピット内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類がラ
ベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する識別
アルゴリズム生成部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の種類を識別する情報処理装置、情報処理プログラム、および情報処
理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物処理プラントでは、家庭ごみや粗大破砕ごみ、剪定枝、汚泥など、質の異
なる様々な種類の廃棄物がごみピット内に投入される。これらの様々な種類の廃棄物はご
みピット内に貯留されたのち一緒に焼却炉に投入され、焼却炉内で処理される。焼却炉に
投入される廃棄物の質は、当該廃棄物に含まれる各種廃棄物の割合により決まり、これが
燃焼に影響する。燃焼を安定化させるために、ごみピット内ではクレーンによる廃棄物の
攪拌を行い、廃棄物の質の均一化を図っている。
【0003】
しかしながら、焼却炉内に投入される廃棄物の中に、たとえば粗大破砕ごみや汚泥など
の廃棄物が一定量以上含まれていると、焼却炉内部の温度が急変し、ダイオキシンなどの
有害なガスや物質が発生して、周辺環境へ悪影響を与える可能性がある。また、燃焼状態
に影響を与える廃棄物だけでなく、廃棄物処理プラントに関わる各機器のトラブルの発生
要因となる廃棄物もある。たとえば、焼却炉内に投入される廃棄物の中に剪定枝などが多
く含まれていると、焼却炉内へ廃棄物を供給するホッパでの詰まりを起こす原因となる。
【0004】
一方、一般ごみなどの廃棄物は、基本的に袋に入った状態でごみピット内に投入され、
クレーンによる攪拌が行われるが、破袋度が低い場合、すなわちごみ袋の破れ具合が小さ
く、ごみ袋の中に廃棄物が多く残っている場合には、燃焼状態に影響を与えるなど、ごみ
袋の状態も燃焼の安定性に寄与していることが経験的に知られている。
【0005】
そこで、たとえば特許文献1では、ごみ処理工場用自動クレーンの制御装置による自動
クレーンの運転方法において、ごみピット内に投入される一般ごみと異質ごみとを色調に
より識別し、識別結果に基づいてクレーンを制御することにより、廃棄物の質の均一化を
図ることが開示されている。
【0006】
また、特許文献2では、ごみ攪拌状態検出装置およびごみ攪拌状態検出方法において、
撮像された画像の輝度値に基づいて、ごみの攪拌状態、つまりごみ袋の破れ具合を検出す
ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-126246号公報
【特許文献2】特開2015-124955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のごみ処理工場用自動クレーンの制御装置による自動クレー
ンの運転方法では、一般ごみと異質ごみとを色調により区別しているが、単純に色調だけ
で廃棄物の種類を識別するのは困難であり、たとえば、粗大破砕ごみが多少混じっていて
も全体として一般ごみと判断する可能性がある。そのため、燃焼状態に影響を与える異質
な廃棄物や各機器のトラブル発生要因となる廃棄物を、焼却炉内に一定量以上投入してし
まう危険性があった。
【0009】
また、特許文献2のごみ攪拌状態検出装置およびごみ攪拌状態検出方法では、輝度値に
よりごみ袋の破れ具合を検出しているが、この方法ではごみ袋しか検知することができな
い。実際のごみピットには、ごみ袋以外にも剪定枝や布団など様々な種類の廃棄物が投入
される場合があるため、そのような実際のごみピットに対して上記方法を適用することは
困難であった。
【0010】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものでる。本発明の目的は、ごみピット
内の廃棄物の種類を識別できる情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像デー
タに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用
いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されて
いる廃棄物の種類を識別する種類識別部を備える。
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、
廃棄物が貯留されるごみピット内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類がラ
ベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する識別
アルゴリズム生成部をさらに備えてもよい。
【0012】
このような態様によれば、ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を、ごみピット
内の映像を撮像することにより得られる画像データを入力として、機械学習により生成さ
れた学習済みの識別アルゴリズムを利用して識別することにより、一定量以上投入すると
燃焼状態へ影響を与える廃棄物や各機器のトラブルの要因となる廃棄物を識別することが
できる。これにより、そのような特殊な廃棄物の一定量以上の誤投入を防いで、燃焼状態
および各機器に影響を与えることなく安定した処理が可能となる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、第1の態様に係る情報処理装置であって、
前記識別アルゴリズムは、線形回帰、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク、サ
ポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、スパース回帰、決定木、ランダムフォ
レストを用いた統計的推定、強化学習、深層学習、のうちの1つまたは2つ以上を含む。
【0014】
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、第1または2の態様に係る情報処理装置で
あって、
前記画像データは、RGBカメラにより撮像された廃棄物の形状および色彩画像データ
、近赤外線カメラにより撮像された廃棄物の近赤外線画像データ、3DカメラまたはRG
B-Dカメラにより撮像された廃棄物の3次元画像データ、のうちの1つまたは2つ以上
を含む。
【0015】
本発明の第4の態様に係る情報処理装置は、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理
装置であって、
前記廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、布団、汚泥、粗大破砕ごみ
、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、のうちの1つまたは2つ以上を含む。
【0016】
本発明の第5の態様に係る情報処理装置は、第1~4のいずれかの態様に係る情報処理
装置であって、
前記種類識別部の識別結果に基づいて廃棄物処理プラントの制御を行うプラント制御部
と、
をさらに備える。
【0017】
本発明の第6の態様に係る情報処理装置は、第5の態様に係る情報処理装置であって、
前記プラント制御部は、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーンを制御するクレー
ン制御装置に前記種類識別部の識別結果を送信するクレーン制御部、前記廃棄物の燃焼を
制御する燃焼制御装置に前記種類識別部の識別結果を送信する燃焼制御部、のうちの一方
または両方を含む。
【0018】
本発明の第7の態様に係る情報処理装置は、第1~6のいずれかの態様に係る情報処理
装置であって、
前記識別アルゴリズムは、前記ごみピット内の映像を撮像することにより得られる画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされるとともに前記廃棄物以外の識別対象物が種
類別にラベリングされた教師データを学習済みであり、
前記種類識別部は、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記識別アルゴ
リズムを利用して前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類とともに廃棄物以外の
識別対象物の種類を識別する。
【0019】
本件発明者らが実際に検証したところ、このような態様によって、廃棄物の識別精度を
顕著に向上できることが確認された。これは、本件発明者らの検討によれば、種類識別部
が、たとえば、ごみピットの側壁に対する判断に迷って汚泥として識別するなど、廃棄物
以外の識別対象物に対する判断に迷って何らかの廃棄物として識別してしまうことを抑制
できるためであると考えられる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る情報処理装置は、第7の態様に係る情報処理装置であって、
前記廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラントの梁、ごみピットの側壁、
ごみピット内に貯留されている廃棄物の山の崖、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレ
ーン、のうちの1つまたは2つ以上を含む。
【0021】
本発明の第9の態様に係る情報処理装置は、第7の態様に係る情報処理装置であって、
前記廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラントの梁、ごみピットの側壁、
ごみピット内に貯留されている廃棄物の山の崖、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレ
ーン、廃棄物処理プラントの壁、柱、床、窓、天井、扉、階段、ガーダー、歩廊、ごみピ
ットの仕切り壁、ごみ投入ホッパ、搬入扉、作業員、搬入車両、のうちの1つまたは2つ
以上を含む。
【0022】
本発明の第10の態様に係る情報処理装置は、第1~9のいずれかの態様に係る情報処
理装置であって、
前記種類識別部の識別結果に基づいて前記ごみピット内へ投入された異常物を検知する
異物投入検知部と、
をさらに備える。
【0023】
本発明の第11の態様に係る情報処理装置は、第10の態様に係る情報処理装置であっ
て、
前記異物投入検知部は、前記廃棄物が貯留されるごみピット内に投入された異常物を検
知する異物検知装置に前記種類識別部の識別結果を送信する。
【0024】
本発明の第12の態様に係る情報処理装置は、第1~11のいずれかの態様に係る情報
処理装置であって、
前記種類識別部の識別結果に基づいて前記ごみピット内への作業員または搬送車両の転
落を検知する転落検知部と、
をさらに備える。
【0025】
本発明の第13の態様に係る情報処理装置は、第12の態様に係る情報処理装置であっ
て、
前記転落検知部は、前記廃棄物が貯留されるごみピット内に作業員や搬入車両が存在す
ることを検知する転落検知装置に前記種類識別部の識別結果を送信する。
【0026】
本発明の第14の態様に係る情報処理装置は、第1~13のいずれかの態様に係る情報
処理装置であって、
前記廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、布団、汚泥、粗大破砕ごみ
、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、木屑、繊維ごみ、衣類ごみ、プラスチックごみ、動物
性残渣、動物死体、厨芥ごみ、草木、土、医療ごみ、焼却灰、自転車、たんす、ベッド、
棚、机、椅子、農業系ビニール類、ペットボトル、発泡スチロール、肉骨粉、農作物、陶
器、ガラスくず、金属くず、がれき類、コンクリートくず、畳、竹、わら、活性炭、のう
ちの1つまたは2つ以上を含む。
【0027】
本発明の第15の態様に係る情報処理プログラムは、
コンピュータを、
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像デー
タに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用
いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されて
いる廃棄物の種類を識別する種類識別部として機能させる。
本発明の第15の態様に係る情報処理プログラムは、
前記コンピュータを、さらに、
廃棄物が貯留されるごみピット内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類がラ
ベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する識別
アルゴリズム生成部として機能させてもよい。
【0028】
本発明の第16の態様に係る情報処理方法は、
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像デー
タに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用
いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されて
いる廃棄物の種類を識別するステップを含む。
本発明の第16の態様に係る情報処理方法は、
廃棄物が貯留されるごみピット内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類がラ
ベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成するステ
ップをさらに含んでもよい。
【0029】
本発明の第17の態様に係る情報処理装置は、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズム
を用いて、前記廃棄物貯留場所内の新たな画像データを入力として前記廃棄物貯留場所内
に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部を備える。
本発明の第17の態様に係る情報処理装置は、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類
がラベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する
識別アルゴリズム生成部をさらに備えてもよい。
【0030】
本発明の第18の態様に係る情報処理プログラムは、
コンピュータを、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズム
を用いて、前記廃棄物貯留場所内の新たな画像データを入力として前記廃棄物貯留場所内
に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部として機能させる。
本発明の第18の態様に係る情報処理プログラムは、
前記コンピュータを、さらに、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類
がラベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する
識別アルゴリズム生成部として機能させてもよい。
【0031】
本発明の第19の態様に係る情報処理方法は、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像
データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズム
を用いて、前記廃棄物貯留場所内の新たな画像データを入力として前記廃棄物貯留場所内
に貯留されている廃棄物の種類を識別するステップを含む。
本発明の第19の態様に係る情報処理方法は、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類
がラベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する
ステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ごみピット内の廃棄物の種類を識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る廃棄物処理プラントの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係る情報処理装置による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、ごみピット内の映像を撮像することにより得られる画像データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、ごみピット内の映像を撮像することにより得られる画像データに廃棄物および廃棄物以外の識別対象物の種類がラベリングされた教師データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、ごみピット内の映像を撮像することにより得られる画像データに種類識別部による識別結果が重ね合わされて表示されたデータの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、ごみピット内の廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の
説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号
を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0035】
図1は、一実施の形態に係る廃棄物処理プラント100の構成を示す概略図である。
【0036】
図1に示すように、廃棄物処理プラント100は、廃棄物を積載する搬送車両(ごみ収
集車)22が停車するプラットホーム21と、プラットホーム21から投入される廃棄物
が貯留されるごみピット3と、ごみピット3内に貯留される廃棄物を攪拌および搬送する
クレーン5と、クレーン5により搬送される廃棄物が投入されるホッパ4と、ホッパ4か
ら投入された廃棄物を焼却する焼却炉1と、焼却炉1内で生じる排ガスから排熱を回収す
る排熱ボイラ2と、を備えている。焼却炉1の種類は、
図1に示すようなストーカ炉に限
られるものではなく、流動炉(流動床炉ともいう)も含まれる。また、ごみピット3の構
造は、
図1に示すような1段ピットに限られるものであなく、2段ピットも含まれる。ま
た、廃棄物処理プラント100には、クレーン5の動作を制御するクレーン制御装置50
と、焼却炉1内での廃棄物の燃焼を制御する燃焼制御装置20とが設けられている。
【0037】
搬送車両22に積載された状態で搬入される廃棄物は、プラットホーム21からごみピ
ット3内へと投入され、ごみピット3内にて貯留される。ごみピット3内に貯留される廃
棄物は、クレーン5によって攪拌されるとともに、クレーン5によってホッパ4へと搬送
され、ホッパ4を介して焼却炉1内部へと投入され、焼却炉1内部にて焼却されて処理さ
れる。
【0038】
図1に示すように、廃棄物処理プラント100には、ごみピット3内の映像を撮像する
撮像装置6と、ごみピット3内の廃棄物の種類を識別する情報処理装置10とが設けられ
ている。
【0039】
撮像装置6は、ごみピット3の上方に配置され、図示された例ではクレーン5のレール
に固定されており、ごみピット3の上方からごみピット3内に貯留される廃棄物を撮像で
きるようになっている。
図4は、撮像装置6によってごみピット3内の映像を撮像するこ
とにより得られる画像データの一例を示す図である。
【0040】
撮像装置6は、撮像結果として廃棄物の形状および色彩画像データを出力するRGBカ
メラであってもよいし、撮像結果として廃棄物の近赤外線画像データを出力する近赤外線
カメラであってもよいし、撮像結果として廃棄物の3次元画像データを撮像する3Dカメ
ラまたはRGB-Dカメラであってもよいし、これらのうちの2つ以上の組み合わせであ
ってもよい。
【0041】
次に、ごみピット3内の廃棄物の種類を識別する情報処理装置10の構成について説明
する。
図2は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。
【0042】
図2に示すように、情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と
を有している。各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0043】
このうち通信部13は、撮像装置6、クレーン制御装置50および燃焼制御装置20の
各装置と情報処理装置10との間の通信インターフェースである。通信部13は、撮像装
置6、クレーン制御装置50および燃焼制御装置20の各装置と情報処理装置10との間
で情報を送受信する。
【0044】
記憶部12は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージである。記憶部1
2には、制御部11が取り扱う各種データが記憶される。また、記憶部12には、後述す
る識別アルゴリズム生成部11aにより生成される識別アルゴリズム12aと、後述する
画像データ取得部11bにより取得された画像データ12bとが記憶される。
【0045】
制御部11は、情報処理装置10の各種処理を行う制御手段である。
図2に示すように
、制御部11は、識別アルゴリズム生成部11aと、画像データ取得部11bと、種類識
別部11cと、プラント制御部11dと、転落検知部11eと、異物投入検知部11fと
、を有している。これらの各部は、情報処理装置10内のプロセッサが所定のプログラム
を実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0046】
識別アルゴリズム生成部11aは、廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像する
ことにより得られる過去の画像データに廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学
習することにより、ごみピット内の新たな画像データを入力として廃棄物の種類を識別す
る学習済みの識別アルゴリズム12aを生成する。
【0047】
識別アルゴリズム生成部11aは、ごみピット内の過去の画像データに廃棄物の種類が
ラベリングされるとともに廃棄物以外の識別対象物が種類別にラベリングされた教師デー
タを学習することにより、ごみピット内の過去の画像データを入力として廃棄物の種類に
加えて廃棄物以外の識別対象物の種類を識別する学習済みの識別アルゴリズム12aを生
成してもよい。
【0048】
識別アルゴリズム12aは、具体的には、たとえば、線形回帰、ボルツマンマシン、ニ
ューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、スパース回
帰、決定木、ランダムフォレストを用いた統計的推定、強化学習、深層学習、のうちの1
つまたは2つ以上を含んでいる。
【0049】
教師データは、たとえば、廃棄物処理プラント100の運転を行う熟練運転員が、ごみ
ピット3内の映像を撮像することにより得られる画像データに対して、廃棄物および廃棄
物以外の識別対象物を目視で識別して種類別にラベリングすることにより、作成される。
廃棄物および廃棄物以外の識別対象物の種類は、たとえば、種類別のレイヤーとして画像
データに重ね合わされた状態でラベリングされる。
【0050】
教師データにラベリングされる廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、
布団、汚泥、粗大破砕ごみ、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ(ごみピット3内の底付近に
存在し上方の廃棄物に圧縮され水分含有量が多いごみのこと)、のうちの1つまたは2つ
以上を含んでいてもよい。また、教師データにラベリングされる廃棄物の種類は、ごみピ
ット3内に入ってきてほしくないけれど入ってくる可能性がある予定外の廃棄物(異常物
)を含んでいてもよい。ここで、異常物としては、たとえば、焼却してはいけないもの、
具体的には、たとえば、蛍光灯、水銀混入ごみ、ボンベや缶、油タンクなどの爆発物など
が挙げられる。また、教師データにラベリングされる廃棄物の種類は、木屑、繊維ごみ、
衣類ごみ、プラスチックごみ、動物性残渣、動物死体、厨芥ごみ、草木、土、医療ごみ、
焼却灰、自転車、たんす、ベッド、棚、机、椅子、農業系ビニール類、ペットボトル、発
泡スチロール、肉骨粉、農作物、陶器、ガラスくず、金属くず、がれき類、コンクリート
くず、畳、竹、わら、活性炭のうちの1つまたは2つ以上を含んでいてもよい。
【0051】
教師データにラベリングされる廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラント
100の梁、ごみピット3の側壁、ごみピット3内に貯留されている廃棄物の山の崖(廃
棄物の山の崖にあたり廃棄物の種類が目視で識別不能な程度まで暗くなっている部分)、
前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーン5、のうちの1つまたは2つ以上を含んでい
てもよい。また、教師データにラベリングされる廃棄物以外の識別対象物の種類は、作業
員、搬入車両のうちの一方または両方を含んでいてもよい。また、教師データにラベリン
グされる廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラント100の壁、柱、床、窓
、天井、扉、階段、ガーダー(クレーン5を吊り下げて移動する構造体)、歩廊、ごみピ
ットの仕切り壁、ごみ投入ホッパ、搬入扉、作業員、搬入車両、のうちの1つまたは2つ
以上を含んでいてもよい。
【0052】
図5は、ごみピット内の映像を撮像することにより得られる画像データに廃棄物および
廃棄物以外の識別対象物の種類がラベリングされた教師データの一例を示す図である。図
5に示す例では、ごみピット内の映像を撮像することにより得られる画像データに、廃棄
物として未破袋ごみ、剪定枝、布団がそれぞれ種類別にラベリングされると共に、廃棄物
以外の識別対象物としてクレーン5、廃棄物の山の崖、ごみピット3の側壁、プラント1
00の床がそれぞれ種類別にラベリングされている。
【0053】
画像データ取得部11bは、ごみピット3内の映像を撮像することにより得られる新た
な画像データを撮像装置6から取得する。画像データ取得部11bにより取得された新た
な画像データは、記憶部12に記憶される。
【0054】
種類識別部11cは、画像データ取得部11bにより取得された新たな画像データを入
力として、識別アルゴリズム生成部11aにより生成された学習済みの識別アルゴリズム
12aを利用して、ごみピット3内に貯留されている廃棄物の種類を識別する。
【0055】
種類識別部11cは、画像データ取得部11bにより取得された新たな画像データを入
力として学習済みの識別アルゴリズム12aを利用して、ごみピット3内に貯留されてい
る廃棄物の種類とともに廃棄物以外の識別対象物の種類を識別してもよい。
図6は、ごみ
ピット内の映像を撮像することにより得られる画像データに種類識別部11cによる識別
結果が重ね合わされて表示されたデータの一例を示す図である。
図6に示す例では、種類
識別部11cにより識別された廃棄物(未破袋ごみ、剪定枝)と廃棄物以外の識別対象物
(クレーン5、廃棄物の山の崖、ごみピット3の側壁、プラント100の床)とが種類別
に画像データに重ね合わされて表示されている。
【0056】
種類識別部11cは、
図7に示すように、識別結果に基づいて、ごみピット3内に貯留
されている廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップを生成してもよい。
図7に示す
例では、ごみピット3内が5×4の格子状に区分され、種類識別部11cにより識別され
た廃棄物の種類の比率が領域毎に表示されている。
【0057】
プラント制御部11dは、種類識別部11cの識別結果に基づいて廃棄物処理プラント
100の制御を行う。
【0058】
図1に示す例では、プラント制御部11dは、廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーン
5を制御するクレーン制御装置50に種類識別部11cの識別結果(すなわち、画像デー
タから識別された廃棄物の種類の情報)を送信するクレーン制御部11d1と、廃棄物の
燃焼を制御する燃焼制御装置20に種類識別部11cの識別結果(すなわち、画像データ
から識別された廃棄物の種類の情報)を送信する燃焼制御部11d2とを含んでいる。
【0059】
なお、
図1に示す例では、プラント制御部11dが、クレーン制御部11d1と燃焼制
御部11d2の両方を含んでいるが、これに限定されるものではなく、クレーン制御部1
1d1と燃焼制御部11d2のいずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0060】
クレーン制御部11d1は、たとえば、種類識別部11cの識別結果として、ごみピッ
ト3内に貯留されている廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップ(
図7参照)をク
レーン制御装置50へと送信する。クレーン制御装置50は、クレーン制御部11d1か
ら受信するマップに基づいて、廃棄物の種類の比率が全ての領域で等しくなるように、ク
レーン5を動作させてごみピット3内の廃棄物を攪拌させる。
【0061】
燃焼制御部11d2は、たとえば、種類識別部11cの識別結果として、ごみピット3
内に貯留されている廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップ(
図7参照)を燃焼制
御装置20へと送信する。燃焼制御装置20は、燃焼制御部11d2から受信するマップ
に基づいて、クレーン5によって掴まれてごみピット3からホッパ4へと一緒に搬送され
る廃棄物の種類の比率を把握し、ホッパ4を介して焼却炉1内へと一緒に投入される廃棄
物の比率に応じて廃棄物の燃焼を制御する(たとえば、ストーカの送り速度や供給する空
気量を制御する)。
【0062】
転落検知部11eは、種類識別部11cの識別結果(すなわち、画像データから識別さ
れた作業員または搬送車両の情報)に基づいて、プラットホーム21からごみピット3内
への作業員または搬送車両の転落を検知する。転落検知部11eは、廃棄物が貯留される
ごみピット3内に作業員や搬入車両が存在することを検知する転落検知装置(不図示)に
種類識別部11cの識別結果(すなわち、画像データから識別された作業員または搬送車
両の情報)を送信してもよい。転落検知装置(不図示)は、転落検知部11eから送信さ
れる種類識別部11cの識別結果に基づいて、アラームを発したり、クレーン5を動作さ
せて作業員の救出を行う。
【0063】
異物投入検知部11fは、種類識別部11cの識別結果(すなわち、画像データから識
別された廃棄物の種類の情報)に基づいて、ごみピット3内へ投入された異常物を検知す
る。ここで「異常物」とは、ごみピット3内に入ってきてほしくないけれど入ってくる可
能性がある予定外の廃棄物をいい、たとえば、焼却してはいけないもの、具体的には、た
とえば、蛍光灯、水銀混入ごみ、ボンベや缶、油タンクなどの爆発物などが挙げられる。
異物投入検知部11fは、廃棄物が貯留されるごみピット3内に投入された異常物を検知
する異物検知装置(不図示)に種類識別部の識別結果(すなわち、画像データから識別さ
れた廃棄物の種類の情報)を送信してもよい。異物検知装置(不図示)は、ごみピット3
内に廃棄物を投入した業者または車両を時間情報とともに記憶しているデータベースを参
照し、異物投入検知部11fから送信される種類識別部11cの識別結果に基づいて、ご
みピット3内に異物を投入した業者または車両を特定する。
【0064】
次に、このような構成からなる情報処理装置10による情報処理方法の一例について説
明する。
図3は、情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図3に示すように、まず、識別アルゴリズム生成部11aが、ごみピット3内の映像を
撮像した過去の画像データに廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習すること
により、ごみピット3内の映像を撮像することにより得られる新たな画像データを入力と
して廃棄物の種類を識別する学習済みの識別アルゴリズム12aを生成する(ステップS
11)。
【0066】
識別アルゴリズム生成部11aは、ごみピット3内の映像を撮像することにより得られ
る過去の画像データに廃棄物の種類がラベリングされるとともに廃棄物以外の識別対象物
が種類別にラベリングされた教師データ(たとえば
図5参照)を学習することにより、ご
みピット3内の映像を撮像することにより得られる新たな画像データを入力として廃棄物
の種類に加えて廃棄物以外の識別対象物の種類を識別する学習済みの識別アルゴリズム1
2aを生成してもよい。
【0067】
次に、画像データ取得部11bが、ごみピット3内の映像を撮像することにより得られ
る新たな画像データ12b(たとえば
図4参照)を撮像装置6から取得する(ステップS
12)。画像データ取得部11bにより取得された新たな画像データ12bは、記憶部1
2に記憶される。
【0068】
次いで、種類識別部11cが、画像データ取得部11bにより取得された新たな画像デ
ータを入力として、識別アルゴリズム生成部11aにより生成された学習済みの識別アル
ゴリズム12aを利用して、ごみピット3内に貯留されている廃棄物の種類を識別する(
ステップS13)。
【0069】
種類識別部11cは、画像データ取得部11bにより取得された新たな画像データ(た
とえば
図4参照)を入力として、識別アルゴリズム生成部11aにより生成された学習済
みの識別アルゴリズム12aを利用して、ごみピット3内に貯留されている廃棄物の種類
とともに廃棄物以外の識別対象物の種類を識別してもよい(たとえば
図6参照)。また、
種類識別部11cは、廃棄物の種類の識別結果に基づいて、ごみピット3内に貯留されて
いる廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップ(たとえば
図7参照)を生成してもよ
い。
【0070】
次いで、プラント制御部11dが、種類識別部11cによる識別結果に基づいて、廃棄
物処理プラントの制御を行う。
【0071】
具体的には、たとえば、クレーン制御部11d1が、廃棄物の攪拌または搬送を行うク
レーン5を制御するクレーン制御装置50に、種類識別部11cの識別結果として、
図7
に示すような廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップを送信する(ステップS14
)。クレーン制御装置50は、クレーン制御部11d1から受信するマップに基づいて、
廃棄物の種類の比率が全ての領域で等しくなるように、クレーン5を動作させてごみピッ
ト3内の廃棄物を攪拌させる。
【0072】
また、燃焼制御部11d2が、廃棄物の燃焼を制御する燃焼制御装置20に、種類識別
部11cの識別結果として、
図7に示すような廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマ
ップを送信する(ステップS15)。燃焼制御装置20は、燃焼制御部11d2から受信
するマップに基づいて、クレーン5によって掴まれてごみピット3からホッパ4へと一緒
に搬送される廃棄物の種類の比率を把握し、ホッパ4を介して焼却炉1内へと一緒に投入
される各廃棄物の比率に応じて廃棄物の燃焼を制御する(たとえば、ストーカの送り速度
や供給する空気量を制御する)。
【0073】
なお、種類識別部11cによりごみピット3内の画像データから作業員または搬送車両
が識別された場合には、転落検知部11eが、種類識別部11cの識別結果に基づいて、
プラットホーム21からごみピット3内への作業員または搬送車両の転落を検知し、転落
検知装置(不図示)に種類識別部11cの識別結果を送信してもよい。
【0074】
また、種類識別部11cによりごみピット3内の画像データから異常物が検知された場
合には、異物投入検知部11fが、種類識別部11cの識別結果に基づいて、ごみピット
3内へ投入された異常物を検知し、異物検知装置(不図示)に種類識別部11cの識別結
果を送信してもよい。
【0075】
ところで、発明が解決しようとする課題の欄で言及したように、特許文献1に記載の方
法では、一般ごみと異質ごみとを色調により区別しているが、単純に色調だけで廃棄物の
種類を識別するのは困難であり、たとえば、粗大破砕ごみが多少混じっていても全体とし
て一般ごみと判断する可能性がある。そのため、燃焼状態に影響を与える異質な廃棄物や
各機器のトラブル発生要因となる廃棄物を、焼却炉内に一定量以上投入してしまう危険性
があった。
【0076】
また、特許文献2に記載方法では、輝度値によりごみ袋の破れ具合を検出しているが、
この方法ではごみ袋しか検知することができない。実際のごみピットには、ごみ袋以外に
も剪定枝や布団など様々な種類の廃棄物が投入される場合があるため、そのような実際の
ごみピットに対して上記方法を適用することは困難であった。
【0077】
これに対し、本実施の形態によれば、ごみピット3内に貯留されている廃棄物の種類を
、ごみピット3内の映像を撮像することにより得られる画像データを入力として、機械学
習により生成された学習済みの識別アルゴリズム12aを利用して識別することにより、
一定量以上投入すると燃焼状態へ影響を与える廃棄物(たとえば未破袋ごみ)や各機器の
トラブルの要因となる廃棄物(たとえば剪定枝)を識別することができる。これにより、
そのような特殊な廃棄物の一定量以上の誤投入を防いで、燃焼状態および各機器に影響を
与えることなく安定した処理が可能となる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、識別アルゴリズム生成部11aが、ごみピット3内の映
像を撮像することにより得られる過去の画像データに廃棄物の種類がラベリングされると
ともに廃棄物以外の識別対象物が種類別にラベリングされた教師データを学習することに
より学習済みの識別アルゴリズム12aを生成し、種類識別部11cが、画像データ取得
部11bにより取得された新たな画像データを入力として当該識別アルゴリズム12aを
利用してごみピット3内に貯留されている廃棄物の種類とともに廃棄物以外の識別対象物
の種類を識別する。本件発明者らが実際に検証したところ、このような態様によって、廃
棄物の識別精度を顕著に向上できることが確認された。これは、本件発明者らの検討によ
れば、種類識別部11cが、たとえば、ごみピット3の側壁に対する判断に迷って汚泥と
して識別するなど、廃棄物以外の識別対象物に対する判断に迷って何らかの廃棄物として
識別してしまうことを抑制できるためであると考えられる。
【0079】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、上述
した実施の形態の変形例について説明する。
【0080】
上述した実施の形態では、燃焼制御部11d2は、種類識別部11cの識別結果として
、ごみピット3内に貯留されている廃棄物の種類の比率を領域毎に表示するマップ(
図7
参照)を燃焼制御装置20へと送信したが、これに限定されず、種類識別部11cの識別
結果として、廃棄物の種類の比率を質情報に変換したラベル、たとえば、投入OK、投入
NG、カロリL(Low)、M(Middle)、H(High)などを領域毎に表示す
るマップを燃焼制御装置20へと送信してもよい。また、燃焼制御部11d2は、種類識
別部11cの識別結果として、燃焼状態に影響を与える割合が大きいことを示すラベル(
たとえば、未破袋ごみあり、底ごみあり、など)を燃焼制御装置20へと送信してもよい
。同様に、クレーン制御部11d1は、種類識別部11cの識別結果として、各機器に影
響を与える割合が大きいことを示すラベル(たとえば、剪定枝あり、粗大破砕ごみあり、
など)をクレーン制御装置50へと送信してもよい。
【0081】
種類識別部11cにおいて、識別結果に基づいて、ごみピット3内に貯留されている廃
棄物の種類の比率を領域ごとに表示するマップを生成する際、画像データ取得部11bで
取得した画像データに対して単に画像データを領域分けして廃棄物の種類の比率を表示し
てもよいし、画像データとごみピット3の番地割を紐づけて番地ごとに廃棄物の種類の比
率を表示してもよい。
【0082】
画像データとクレーン番地を紐づける方法として、ごみピット3に対して相対的な位置
が計測可能なクレーン5に予めしるしをつけておき、しるしをつけたクレーン5を、撮像
装置6が多数の画像に写り込ませて撮影することで、種類識別部11cが、しるしをつけ
たクレーン5が映り込んでいる多数の画像に基づいて、ごみピット3に対する撮像装置6
の相対位置と方向を推定し、推定した撮像装置6の位置と撮影方向から画像データ上のピ
クセルがどの番地に存在しているかを推定する。もしくは、ごみピット3に対して相対的
な位置が計測可能なクレーン5を、撮像装置6が多数の画像に写り込ませて撮影し、種類
識別部11cが、画像中のクレーン5にしるしをつけることで、当該クレーン5にしるし
をつけた多数の画像に基づいて、ごみピット3に対する撮像装置6の相対位置と方向を推
定し、推定した撮像装置6の位置と撮影方向から画像データ上のピクセルがどの番地に存
在しているかを推定してもよい。
【0083】
制御部11の処理の一部は、情報処理装置10ではなく、情報処理装置10とは別のク
ラウドサーバ上で行われてもよい。記憶部12の一部は、情報処理装置10ではなく、情
報処理装置10とは別のクラウドサーバ上にあってもよい。
【0084】
たとえば、識別アルゴリズム生成部11aの処理がクラウドサーバ上で実行され、識別
アルゴリズム12aが生成されてもよい。また、上記識別アルゴリズム生成部11aによ
りクラウドサーバ上で生成された識別アルゴリズム12aを利用して種類識別部11cの
処理がクラウドサーバ上で実行されてもよいし、上記識別アルゴリズム12aを情報処理
装置10がクラウドサーバからダウンロードし、これを情報処理装置10内で利用して種
類識別部11cの処理が実行されてもよい。
【0085】
制御部11は、種類識別部11cの識別結果を定期的にモニタリングし、識別アルゴリ
ズム12aのモデル見直し及び更新の要否を判断してもよい。
【0086】
たとえば、制御部11は、エッジサーバーを用いて種類識別部11cの識別結果の正常
・異常判定を行い、異常が検出された場合、当該画像データ及び識別結果が、焼却炉1の
運営において問題があるか判断する。運営上問題があると判断された場合、熟練運転員が
、異常検出された画像データに対して再度廃棄物の種類別にラベリングを行い、新しく教
師データを用意し、識別アルゴリズム生成部11aが、新しく用意された教師データを学
習して、識別アルゴリズム12aを生成する。
【0087】
クレーン制御装置50は、焼却炉1から投入要求が来た際に、クレーン制御部11d1
から受信するマップに基づいて、ごみ種類別の比率閾値による投入基準を満たすごみをご
みピット3内から選別し、クレーン5を動作させてホッパ4へ投入してもよい。
【0088】
また、クレーン制御装置50は、投入基準を満たすごみをごみピット3内から選別する
際、ホッパ4へ前回投入したごみのごみ種類別の比率との差分が小さくなるようごみを選
別してもよい。
【0089】
クレーン制御装置50は、上記投入基準の比率閾値として、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ
、剪定枝、布団、汚泥、粗大ごみ破砕物、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、木屑、繊維ご
み、衣類ごみ、プラスチックごみ、動物性残渣、動物死体、厨芥ごみ、草木、土、医療ご
み、焼却灰、農業系ビニール類、ペットボトル、発泡スチロール、肉骨粉、農作物、陶器
、ガラスくず、金属くず、がれき類、コンクリートくず、畳、竹、わら、活性炭のうち1
つまたは2つ以上の比率閾値を用いてもよい。
【0090】
また、上記投入基準の決め方として、クレーン制御装置50は、過去のごみピット3内
の映像を撮像することにより得られる画像データに対して、熟練運転員が、当該画像デー
タに示される廃棄物の質を目視により、燃焼安定性及び機器への影響の観点から、投入可
否を分類しラベル付けしたものと、当該画像に対して種類識別部11cを用いてごみの種
類別の比率を推定させものとを比較することで、熟練運転員が投入可否を判断しているご
み種類別の比率閾値を決めてもよい。
【0091】
また、クレーン制御装置50は、クレーン制御部11d1から受信する、ごみピット3
内に貯留されているごみの種類の比率を領域ごとに表示するマップから、実際にホッパ4
へ投入したごみのごみ種類別の比率データと、焼却炉1のプロセスデータとを紐づけるこ
とで、ごみ種類別の比率閾値を決めてもよいし、両者のデータを経時的に紐づけ、比率閾
値を動的に変更してもよい。
【0092】
また、クレーン制御装置50は、上記プロセスデータだけでなく天候情報をもとに比率
閾値を動的に変更してもよい。たとえば、クレーン制御装置50は、天候情報から当日が
雨であれば、未破袋ごみ袋の比率閾値を下げる、あるいは、粗大ごみ破砕物の比率閾値を
上げるといったように比率閾値による投入基準を変更させる。
【0093】
また、クレーン制御装置50は、曜日情報をもとに比率閾値を動的に変更してもよい。
たとえば、クレーン制御装置50は、曜日情報から日曜日はごみピット3内のごみが少な
いのでごみ焼却量を抑えるために、未破袋ごみ袋の比率閾値を上げるといったように比率
閾値による投入量基準を変更させる。
【0094】
また、クレーン制御装置50は、廃棄物処理プラント100の操炉計画値をもとに比率
閾値を動的に変更してもよい。たとえば、クレーン制御装置50は、現在の蒸発量設定値
から蒸発量が落ち込んでいたら、未破袋ごみ袋の比率閾値を下げる、あるいは粗大ごみ破
砕物の比率閾値を上げるといったように比率閾値による投入基準を変更させる。
【0095】
クレーン制御装置50は、焼却炉1から投入要求が来た際に、クレーン制御11d1か
ら受信するマップにおいて、ごみ種類別の比率閾値による投入基準を満たすごみが存在し
ない場合、クレーン5を動作させて投入基準に近いごみをホッパ4へ投入してもよいし、
投入基準に近いごみを撹拌し、投入基準に達するごみを作成してもよい。
【0096】
クレーン制御装置50は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種
類別の比率閾値による投入基準を満たすごみだけを、クレーン5を動作させてごみピット
3の特定の箇所に積上げてもよい。そうすることで、投入基準を満たすごみをごみピット
3内に蓄積することができる。
【0097】
クレーン制御装置50は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種
類別の比率閾値により、ごみピット3内に存在する燃焼状態へ影響を与える廃棄物(たと
えば、汚泥)や各機器のトラブルの要因となる廃棄物(たとえば剪定枝)を検知し、クレ
ーン5を動作させてごみピット3の特定の箇所に貯留してもよいし、特定の場所にばらま
いてもよい。
【0098】
クレーン制御装置50は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種
類別の比率閾値による撹拌基準を満たしていないごみがごみピット3内に存在する場合、
クレーン5を動作させて当該ごみを撹拌してもよい。上記撹拌基準は、投入基準と同一で
もよいし異なっていてもよい。
【0099】
また、クレーン制御装置50は、上記撹拌基準を、焼却炉1のプロセスデータや、天候
情報、曜日情報、ごみ搬入業者情報、ごみ搬入量(総量やごみ種類別搬入量)情報、ごみ
搬入速度、ごみピットレベル(全体、特定エリア)情報、クレーン稼働状況(2台運転可
能、1台運転のみ、現在1台運転中、現在2台運転中)情報、ごみ収集車の収集ルート・
収集エリア情報のうち1つまたは2つ以上を用いて、動的に変更してもよい。
【0100】
クレーン制御装置50は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、領域ご
とのごみ種類別の比率から、ごみピット3全体の撹拌状況を判断し、クレーン5の2台運
転の要否を判断し、クレーン5を動作させ、2台目クレーンの運転開始、あるいは2台目
クレーンの格納を行ってもよい。
【0101】
また、上記例ではクレーン制御装置50がクレーン5を動作させていたが、クレーン制
御装置50の上流側にクレーン操作判断装置(不図示)が設けられており、クレーン操作
判断装置でクレーン5の動作内容を決定し、クレーン制御装置50へ動作内容の指令を送
信し、指令を受信したクレーン制御装置50が受信した指令内容をもとにクレーン5を動
作させてもよい。クレーン操作判断装置は、情報処理装置10との間及びクレーン制御装
置50との間で情報を送受信する。あるいは、クレーン操作判断装置は、情報処理装置1
0の一部であってもよく、すなわち情報処理装置10がクレーン操作判断装置を含んでい
てもよい。
【0102】
クレーン操作判断装置は、焼却炉1から投入要求が来た際にクレーン制御装置50から
投入要求信号を受け、クレーン制御部11d1から受信するマップに基づいて、ごみ種類
別の比率閾値による投入基準を満たすマップのごみをごみピット3内から選別し、当該ご
みをホッパ4へ投入するようクレーン制御装置50に指令を送信し、クレーン制御装置5
0は受信した指令をもとにクレーン5を動作させてもよい。また、クレーン操作判断装置
は、投入基準を満たすごみをごみピット内から選別する際、ホッパ4へ前回投入したごみ
のごみ種類別の比率との差分が小さくなるようごみを選別してもよい。
【0103】
クレーン操作判断装置は、焼却炉1から投入要求が来た際にクレーン制御装置50から
投入要求信号を受け、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種類別の
比率閾値による投入基準を満たすごみが存在しない場合、投入基準に近いごみをホッパ4
へ投入させる、あるいは投入基準に近いごみを撹拌し投入基準に達するごみを作成するよ
うクレーン制御装置50に指令を送信し、クレーン制御装置50はクレーン5を動作させ
てもよい。
【0104】
クレーン操作判断装置は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種
別の比率閾値による投入基準を満たすごみだけをごみピット3内の特定箇所に積上げるよ
うクレーン制御装置50に指令を送信し、クレーン制御装置50は、クレーンクレーン5
を動作させてもよい。そうすることで、投入基準を満たすごみをごみピット3内に蓄積す
ることができる。
【0105】
クレーン操作判断装置は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種
類別の比率閾値により、ごみピット3内に存在する燃焼状態へ影響を与える廃棄物(たと
えば、汚泥)や各機器のトラブルの要因となる廃棄物(たとえば剪定枝)を検知し、ごみ
ピット3内の特定の箇所に貯留する、もしくは特定の場所にばらまくようクレーン制御装
置50へ指令を送信し、クレーン制御装置50はクレーン5を動作させてもよい。
【0106】
クレーン操作判断装置は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、ごみ種
類別の比率閾値による撹拌基準を満たしていないごみがごみピット3内に存在する場合、
当該ごみを撹拌するようクレーン制御装置50へ指令を送信し、クレーン制御装置50は
クレーン5を動作させてもよい。上記撹拌基準は、投入基準と同一でもよいし異なってい
てもよい。
【0107】
クレーン操作判断装置は、クレーン制御11d1から受信するマップにおいて、領域ご
とのごみ種類別の比率から、ごみピット3全体の撹拌状況を判断し、クレーン5の2台運
転の要否を判断し、クレーン制御装置50へ指令を送信し、クレーン制御装置50は、ク
レーン5を動作させ、2台目クレーンの運転開始、あるいは2台目クレーンの格納を行っ
てもよい。
【0108】
なお、上述した実施の形態では、廃棄物の種類を識別する情報処理装置10が、廃棄物
処理プラント100のごみピット3にて使用される例が説明されたが、情報処理装置10
の使用場所は、廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所であれば、廃棄物処理プラント100
のごみピット3に限定されるものではなく、たとえば、情報処理装置10は、リサイクル
設備の受け入れ場所にて使用されてもよい。
【0109】
以上、本発明の実施の形態および変形例を例示により説明したが、本発明の範囲はこれ
らに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変
形することが可能である。また、各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない
範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0110】
また、本実施の形態に係る情報処理装置10は1つまたは複数のコンピュータによって
構成され得るが、1つまたは複数のコンピュータに情報処理装置10を実現させるための
プログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体も、本件の保護対象である。
【符号の説明】
【0111】
1 焼却炉
2 燃焼装置
3 ごみピット
4 ホッパ
5 クレーン
6 撮像装置
10 情報処理装置
11 制御部
11a 識別アルゴリズム生成部
11b 画像データ取得部
11c 種類識別部
11d プラント制御部
11e 転落検知部
11f 異物投入検知部
12 記憶部
12a 識別アルゴリズム
12b 画像データ
13 通信部
14 表示部
20 燃焼制御装置
21 プラットホーム
22 搬送車両
50 クレーン制御装置
100 廃棄物処理プラント
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部を備え、
前記種類識別部にて種類を識別される廃棄物は、廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物、廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物、のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記種類識別部の識別結果に基づいて廃棄物処理プラントの制御を行うプラント制御部をさらに備え、
前記プラント制御部は、廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーンを制御するクレーン制御装置に前記種類識別部の識別結果を送信するクレーン制御部、前記廃棄物の燃焼を制御する燃焼制御装置に前記種類識別部の識別結果を送信する燃焼制御部、のうちの一方または両方を含み、
前記プラント制御部は、前記種類識別部の識別結果として、前記廃棄物の種類の比率を質情報に変換したラベル、前記燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物の割合が大きいことを示すラベル、前記機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物の割合が大きいことを示すラベルのいずれか1つ以上を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記廃棄物の種類の比率を質情報に変換したラベルは、投入OK、投入NG、カロリL(Low)、カロリM(Middle)、カロリH(High)のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物および/または廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物の種類は、未破袋ごみ袋、底ごみ、剪定枝、粗大破砕ごみ、のうち1つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記識別アルゴリズムは、線形回帰、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、スパース回帰、決定木、ランダムフォレストを用いた統計的推定、強化学習、深層学習、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1~4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画像データは、RGBカメラにより撮像された廃棄物の形状および色彩画像データ、近赤外線カメラにより撮像された廃棄物の近赤外線画像データ、3DカメラまたはRGB-Dカメラにより撮像された廃棄物の3次元画像データ、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1~5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、布団、汚泥、粗大破砕ごみ、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記識別アルゴリズムは、前記ごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされるとともに前記廃棄物以外の識別対象物が種類別にラベリングされた教師データを学習済みであり、
前記種類識別部は、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記識別アルゴリズムを利用して前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類とともに廃棄物以外の識別対象物の種類を識別する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラントの梁、ごみピットの側壁、ごみピット内に貯留されている廃棄物の山の崖、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーン、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記種類識別部の識別結果を定期的にモニタリングし、前記識別アルゴリズムのモデル見直し及び/または更新の要否を判断する
ことを特徴とする請求項1~9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記種類識別部の識別結果の正常・異常判定を行い、焼却炉の運営において問題があるか判断し、異常検出された画像データに対して再度廃棄物の種類別にラベリングを行い、新しく教師データを用意し、識別アルゴリズム生成部が新しく用意された教師データを学習して、識別アルゴリズムを生成する識別アルゴリズム生成部とをさらに備える
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記クレーン制御部から送信された識別結果に基づいて、クレーンの動作を制御するクレーン制御装置をさらに備えた
ことを特徴とする請求項2~3および請求項2を引用する請求項4~11のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記クレーン制御装置は、前記クレーン制御部から受信する識別結果に基づいて、前記廃棄物の種類別の比率閾値による投入基準を満たすごみを前記ごみピット内から選別し、クレーンを動作させてホッパへ投入する、
ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記クレーン制御装置は、前記クレーン制御部から受信する識別結果に基づいて、前記廃棄物の種類別の比率閾値による投入基準を満たしていないごみを前記ごみピット内から選別し、クレーンを動作させて撹拌する、
ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記クレーン制御装置は、前記クレーン制御部から受信する識別結果に基づいて、前記廃棄物の種類別の比率閾値により、前記ごみピット内に存在する燃焼状態へ影響を与える廃棄物や廃棄物処理プラントの各機器のトラブルの要因となる廃棄物を検知し、クレーンを動作させて前記ごみピットの特定の箇所に貯留またはばらまく、
ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記投入基準は、焼却炉のプロセスデータや、天候情報、曜日情報、ごみ搬入業者情報、ごみ搬入量(送料やごみ種類別搬入量)情報、ごみ搬入速度、ごみピットレベル(全体、特定エリア)情報、クレーン稼働状況情報、ごみ収集車の収集ルート・収集エリア情報のうち1つまたは2つ以上を用いて、動的に変更する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記廃棄物以外の識別対象物の種類は、廃棄物処理プラントの梁、ごみピットの側壁、ごみピット内に貯留されている廃棄物の山の崖、前記廃棄物の攪拌または搬送を行うクレーン、廃棄物処理プラントの壁、柱、床、窓、天井、扉、階段、ガーダー、歩廊、ごみピットの仕切り壁、ごみ投入ホッパ、搬入扉、作業員、搬入車両、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記廃棄物の種類は、ごみ袋未破袋ごみ、紙ごみ、剪定枝、布団、汚泥、粗大破砕ごみ、段ボール、麻袋、紙袋、底ごみ、木屑、繊維ごみ、衣類ごみ、プラスチックごみ、動物性残渣、動物死体、厨芥ごみ、草木、土、医療ごみ、焼却灰、自転車、たんす、ベッド、棚、机、椅子、農業系ビニール類、ペットボトル、発泡スチロール、肉骨粉、農作物、陶器、ガラスくず、金属くず、がれき類、コンクリートくず、畳、竹、わら、活性炭、のうちの1つまたは2つ以上を含む、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
コンピュータを、
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部
として機能させる情報処理プログラムであって、
前記種類識別部にて種類を識別される廃棄物は、廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物、廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物、のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項20】
廃棄物が貯留されるごみピット内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を識別するステップを含み、
前記識別するステップにて種類を識別される廃棄物は、廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物、廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物、のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項21】
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部を備え、
前記種類識別部にて種類を識別される廃棄物は、廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物、廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物、のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項22】
コンピュータを、
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を識別する種類識別部
として機能させる情報処理プログラムであって、
前記種類識別部にて種類を識別される廃棄物は、廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物、廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物、のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項23】
廃棄物が貯留される廃棄物貯留場所内の映像を撮像することにより得られる過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされた教師データを学習済みの識別アルゴリズムを用いて、前記ごみピット内の新たな画像データを入力として前記ごみピット内に貯留されている廃棄物の種類を識別するステップを含み、
前記識別するステップにて種類を識別される廃棄物は、廃棄物処理プラントの燃焼状態に影響を与える第1の廃棄物、廃棄物処理プラントを構成する機器のトラブルの発生要因となる第2の廃棄物、のいずれか1つ以上を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項24】
廃棄物が貯留されるごみピット内を撮像した過去の画像データに前記廃棄物の種類がラベリングされるとともに前記廃棄物以外の識別対象物が種類別にラベリングされた教師データを学習することにより、前記識別アルゴリズムを生成する識別アルゴリズム生成部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。