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  • 特開-排出システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110942
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】排出システム
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/44 20060101AFI20230803BHJP
   F23L 17/00 20060101ALI20230803BHJP
   F24B 1/02 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
F04F5/44 B
F23L17/00 601N
F24B1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012488
(22)【出願日】2022-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】520321535
【氏名又は名称】株式会社知財事業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】大賀 信幸
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA18
3H079BB05
3H079CC03
3H079DD02
3H079DD03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排気のための流体供給源を汚染された流体に晒すことなく、安全に汚染された流体を排気できる排出システムを提供する。
【解決手段】排出システムは、汚染された第1の流体が第1の方向に通過可能な第1の流路と、他端が前記第1の流路に鋭角または直角に交差し、第2の方向に第2の流体が通過可能な第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路との交差する交差路と、前記第2の流路の基端に設けられた流体供給源とを備え、前記交差路において、前記第2の流体の流速を前記第1の流体の流速よりも高速にすることで前記交差路に負圧を生じさせ、前記第1の流体の流量を増加させることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された第1の流体が第1の方向に通過可能な第1の流路と、
他端が前記第1の流路に鋭角または直角に交差し、第2の方向に第2の流体が通過可能な第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路との交差する交差路と、
前記第2の流路の基端に設けられた流体供給源とを備え、
前記交差路において、前記第2の流体の流速を前記第1の流体の流速よりも高速にすることで前記交差路に負圧を生じさせ、前記第1の流体の流量を増加させることを特徴とする、排出システム。
【請求項2】
汚染された第1の流体が第1の方向に通過可能な第1の流路と、
前記第1の流路内に設けられ、第1の方向に沿って伸びる第2の流路と、
前記第2の流路の基端に設けられた流体供給源とを備え、
前記第1の流路内において、前記第2の流体の流速を前記第1の流体の流速よりも高速にすることで前記交差路に負圧を生じさせ、前記第1の流体の流量を増加させることを特徴とする、排出システム。
【請求項3】
前記第1の流体および前記第2の流体は気体である、請求項1または請求項2に記載の排出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された流体を排出するための排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚染された流体を排出するための排出システムがある。例えば、薪ストーブのような二酸化炭素を排出する暖房装置においては、多くの場合、排気能力を高めるために垂直で太い二重煙突を用いて高温の排気ガスを排気する排出システムが利用されている。しかし、このような自然排気方式では、屋根に貫通孔をあけざるを得ず、工事費がかさみ、積雪や雨漏りのおそれもあり、掃除の際は高所作業となるため危険を伴うという課題があった。
【0003】
そのような解決するために、薪ストーブに接続する煙突として水平排気管と垂直排気管を組み合わせて建物の壁から排気する排気装置がある。しかし、この排気装置では、水平排気管における排気抵抗により排気能力が小さくなり薪ストーブの排気効率が低いという欠点があった。加えて、排気管には断熱性を有する高価な二重煙突構造が要求され、さらに配管長も例えば横引きは1m以内、垂直部は5m以上といった厳しい制約が設けられた。いずれの排気装置も設置コストがかさみ、高温の排気ガスを排出することから排気損失が大きいという問題がある。さらに、薪ストーブが点火直後の冷えているときは自然対流による上昇気流が発生しないため排気能力がなく、一方、高温になると過剰排気となり、燃焼制御性が悪かった。
【0004】
上記の課題を解決するために、特許文献1に記載の排気装置がある。特許文献1に記載の排気装置は、暖房装置に接続される排気管に強制排気可能な軸流送風機を備えた排気装置であって、前記排気管どうしがL型状若しくはT型状に接続された排気管接続部と、前記排気管接続部の外部から排気方向下流側の排気管へ挿入され、前記軸流送風機が排気に晒されないように遮蔽する筒状の遮蔽ケースと、前記遮蔽ケースに固定され前記排気管接続部の外部に組み付けられた電動モータと、前記電動モータのモータ軸を延設し或いはモータ軸に連結され前記排気管内に挿入された前記遮蔽ケースの開口端より延設されたシャフトと、当該シャフト先端部に組み付けられ前記排気管内で回転可能に支持されたブレードと、を有する強制排気手段とを備える。
【0005】
これにより、前記排気管内を排気される上昇気流による圧力差に加えて前記遮蔽ケースのモータ側開口から外気が取り込まれて前記シャフト及び前記ブレードを経由して前記遮蔽ケースの排気管側開口より前記排気管内へ導入される上昇気流により前記電動モータ及びシャフトが常時自然空冷されており、前記強制排気手段は、前記自然空冷に加えて前記電動モータを起動して前記ブレードを回転させることにより前記遮蔽ケースのモータ側開口から外気を吸引して前記排気方向下流側の排気管へ強制排気することによって前記電動モータ及びシャフトを強制冷却可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-44017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、強制的に排気を行う排気装置において、送風ファンが排気しようとする流体の下流に設けられると、排気しようとする汚染された流体に接触してしまう。特許文献1に記載の排気装置においては、送風ファンである軸流送風機を構成する電動モータやシャフトは汚染された流体に対して遮蔽されているものの、ファンであるブレードが汚染された流体に接触してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る排出システムは、 汚染された第1の流体が第1の方向に通過可能な第1の流路と、他端が前記第1の流路に鋭角または直角に交差し、第2の方向に第2の流体が通過可能な第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路との交差する交差路と、前記第2の流路の基端に設けられた流体供給源とを備え、前記交差路において、前記第2の流体の流速を前記第1の流体の流速よりも高速にすることで前記交差路に負圧を生じさせ、前記第1の流体の流量を増加させることを特徴とする。
【0009】
(2)本発明に係る他の排出システムは、汚染された第1の流体が第1の方向に通過可能な第1の流路と、前記第1の流路内に設けられ、第1の方向に沿って伸びる第2の流路と、前記第2の流路の基端に設けられた流体供給源とを備え、前記第1の流路内において、前記第2の流体の流速を前記第1の流体の流速よりも高速にすることで前記交差路に負圧を生じさせ、前記第1の流体の流量を増加させることを特徴とする。
【0010】
(3)前記した排出システムにおいて、前記第1の流体および前記第2の流体は気体であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排気のための流体供給源を汚染された流体に晒すことなく、安全に汚染された流体を排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る排出システムの概略図である。
図2図1の排出システムの交差路を拡大して示す概略断面図である
図3】本発明の第2の実施形態に係る排出システムの概略図である。
図4図3の排出システムの交差路を拡大して示す概略断面図である
図5】本発明の第3の実施形態に係る排出システムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る排出システム100について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
【0014】
図1および図2に示すように、排出システム100は、第1の流路110と、第2の流路120と、第1の流路110と第2の流路120が交わる交差路130と、第1の流路110を流れる第1の流体D1が存在する流体滞留部140と、第2の流路120の基端に設けられた流体供給源150とを備える。
【0015】
第1の流路110は、その基端から他端に向けて第1の方向に延在し、第2の流路120は、その基端から他端に向けて第1の方向に対して鋭角な第2の方向に延在する。第1の流路110と第2の流路120は交差路130において鋭角に結合されている。
【0016】
流体滞留部140は、第1の流路110の基端に設けられている。また、流体供給源150は、第2の流路120の基端に設けられている。交差路130は、第1の流路110の間に第2の流路120の他端が合流することで形成されている。第1の流路110の他端は大気に開放されている。
【0017】
本実施形態において第1の実施形態と同様に、流体滞留部140は、薪ストーブであり、第1の流体D1は、薪ストーブが燃焼することにより二酸化炭素に汚染された空気である。また、流体供給源150は、送風ファンであり、第2の流体D2は、大気中の空気である。
【0018】
本実施形態において第1の実施形態と同様に、第1の流路110は、スチールを材料とした円筒部材である。また、第2の流路120は、第1の流路110と同様の円筒部材である。第1の流路110と第2の流路120が交差する交差路130は、第1の流路110である円筒部材の周面に穴を穿ち第2の流路120の他端を、気密性を維持した状態で結合することにより形成される。
【0019】
本実施形態において、交差路130は、第1の流路110の穴に結合された第2の流路120の他端において、第2の流路120の他端が第1の流路110に接続する面積を制限する制限部131を設けられている。これにより、第2の流路120を通って第1の流路110に合流する第2の流体D2の流速が増すことで交差路130に負圧が生じ、第1の流路110の基端に設けられた流体滞留部140に貯留された第1の流体D1が吸引され、第1の流路110の他端に送られる。
【0020】
具体的には、第2の流路120の他端が狭くなることで、第1の流路110の第2の流路120側(図2における下側)ほど第2の流体D2の流速が早くなり、第1の流路110の第2の流路120と反対側(図2における上側)に負圧が生じる。この負圧は交差路130の第1の流路110の基端側に生じるため、第1の流路110の基端から第1の流体D1を吸引する。
<第2の実施形態>
【0021】
図3および図4に示すように、排出システム200は、第1の流路210と、第2の流路220と、第1の流路210と第2の流路220が交わる交差路230と、第1の流路210を流れる第1の流体D1が存在する流体滞留部240と、第2の流路220の基端に設けられた流体供給源250とを備える。
【0022】
第1の流路210は、その基端から他端に向けて第1の方向に延在し、第2の流路220は、その基端から他端に向けて第1の方向に対して直角な第2の方向に延在する。第1の流路210と第2の流路220は交差路230において直角に結合されている。
【0023】
流体滞留部240は、第1の流路210の基端に設けられている。また、流体供給源250は、第2の流路220の基端に設けられている。交差路230は、第1の流路210の間に第2の流路220の他端が合流することで形成されている。第1の流路210の他端は大気に開放されている。
【0024】
本実施形態において第1の実施形態と同様に、流体滞留部240は、薪ストーブであり、第1の流体D1は、薪ストーブが燃焼することにより二酸化炭素に汚染された空気である。また、流体供給源250は、送風ファンであり、第2の流体D2は、大気中の空気である。
【0025】
本実施形態において第1の実施形態と同様に、第1の流路210は、スチールを材料とした円筒部材である。また、第2の流路220は、第1の流路210と同様の円筒部材である。第1の流路210と第2の流路220が交差する交差路230は、第1の流路210である円筒部材の周面に穴を穿ち第2の流路220の他端を、気密性を維持した状態で結合することにより形成される。
【0026】
本実施形態において、交差路230は、第1の流路210の穴に結合された第2の流路220の他端において、第2の流路220の他端が第1の流路210に接続する面積を制限する制限部231を設けられている。これにより、第2の流路220を通って第1の流路210に合流する第2の流体D2の流速が増すことで交差路230に負圧が生じ、第1の流路210の基端に設けられた流体滞留部240に貯留された第1の流体D1が吸引され、第1の流路210の他端に送られる。
【0027】
具体的には、第2の流路220の他端が狭くなることで、第1の流路210の第2の流路220側(図4における下側)ほど第2の流体D2の流速が早くなり、第1の流路210の第2の流路220と反対側(図4における上側)に負圧が生じる。この負圧は交差路230の第1の流路210の基端側に生じるため、第1の流路210の基端から第1の流体D1を吸引する。
<第3の実施形態>
【0028】
図5に示すように、排出システム300は、第1の流路310と、第1の流路内に設けられた第2の流路320と、第1の流路310を流れる第1の流体D1が存在する流体滞留部(図示しない)と、第2の流路320の基端に設けられた流体供給源(図示しない)とを備える。
【0029】
第2の流路320は、第1の流路310より小さい径で第1の流路310の内部に設けられており、第1の流路310は、その基端から他端に向けて第1の方向に延在し、第2の流路230は、その基端から他端に向けて第1の方向に延在する。第2の流路320の他端は第1の流路310内に位置する。第1の流路310の他端は大気に開放されている。
【0030】
本実施形態において第1の実施形態と同様に、流体滞留部は、薪ストーブであり、第1の流体D1は、薪ストーブが燃焼することにより二酸化炭素に汚染された空気である。また、流体供給源は、送風ファンであり、第2の流体D2は、大気中の空気である。
【0031】
本実施形態において第1の実施形態と同様に、第1の流路310は、スチールを材料とした円筒部材である。また、第2の流路320は、第1の流路310より径の小さい円筒部材である。
【0032】
本実施形態において、第1の流路310内では、第2の流路320の他端において、第2の流体D2が放出される。このとき、第1の流路310内で第2の流体D2が放出されることにより、第1の流路310内に負圧が生じ、第1の流路310の基端に設けられた流体滞留部に貯留された第1の流体D1が吸引され、第1の流路310の他端に送られる。
【0033】
具体的には、第2の流路320に流速の早い第2の流体D2が流れることで、第1の流路310の第2の流路320と反対側(図5における上側)に負圧が生じる。この負圧は第1の流路310の基端側に生じるため、第1の流路310の基端から第1の流体D1を吸引する。
【0034】
本実施形態において、交差路は、第1の流路の略中央に設けられる形態について説明した。しかし、交差路の位置は、第1の流路の基端側、他端側のいずれの位置に設けられてもよい。
【0035】
本実施形態において、第1の流体D1は二酸化炭素に汚染された空気、第2の流体D2は空気である形態について説明した。しかし、第1の流体D1および第2の流体D2は、酸素、窒素、二酸化炭素のような他の単一の気体であってもよいし、これらが混合した気体であってもよい。
【0036】
本実施形態において、第1の流体D1および第2の流体D2は、いずれも気体である形態について説明した。しかし、第1の流体D1および第2の流体D2は、液体であってもよい。
【0037】
本実施形態において、流体供給源は、送風ファンである形態について説明した。しかし、流体供給源は、所定の圧力で流体を第2の流路に供給できれば、送風ファンに限定されない。例えば、ポンプであってもよいし、軸流送風装置等であってもよい。
【0038】
また、本実施形態において、流体滞留部は、二酸化炭素の汚染された空気が滞留する薪ストーブである形態について説明した。しかし、流体滞留部は、薪ストーブに限定されない。
【0039】
例えば、第1の流体D1は海水に放出された重油とし、第2の流体D2は海水であってもよい。そのように、本発明の実施形態に係る排出システムを利用すれば、海水に放出された重油を回収することもできる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、汚染された流体の排出に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
100,200,300 排出システム
110,210,310 第1の流路
210,220,320 第2の流路
130,230 交差路
131,231 制限部
140,240 流体滞留部
150,250 流体供給部

図1
図2
図3
図4
図5