(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110970
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】搬送用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20230803BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012531
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】若林 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】三重野 靖理
(72)【発明者】
【氏名】矢部 岳史
(72)【発明者】
【氏名】船戸 学
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS24
3C707BS15
3C707CT04
3C707CV07
3C707CW07
3C707CX01
3C707CY37
3C707CY39
3C707DS01
3C707ES17
3C707HS16
3C707HS27
3C707HT02
3C707KS21
3C707KV01
3C707NS13
5F131AA02
5F131CA38
5F131CA39
5F131CA45
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB12
5F131DB22
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
5F131DB88
5F131DB92
(57)【要約】
【課題】ワークを搬送するためのハンド部の動作範囲に対する制限を小さくする搬送用ロボットの提供を目的とする。
【解決手段】搬送用ロボット100のアームユニット20は、第2アーム22を、第1アーム21に対して相対的に回動させるR軸モータ31を有する。R軸モータ31は、出力軸を上方に向けた状態で、第1アーム21におけるアーム軸保持部212の下側に突出して固定されており、出力軸を第1アーム21に対して下方側から貫通させ、かつ出力軸が軸固定部50により第2アーム22に固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するためのハンド部の位置を変化させる多関節のアームユニットと、
ベース部と、
を備え、
前記アームユニットは、
一端側に位置する第1関節により、前記ベース部に対して水平方向で回動可能に支持された第1アームと、
前記第1アームよりも上方に位置し、前記第1アームの他端側に位置する第2関節で、前記第1アームに対して水平方向で回動可能に支持された第2アームと、
前記第2アームを、前記第2関節で回動させる回動モータと、
を有し、
前記回動モータは、
出力軸を上方に向けた状態で、前記第1アームにおける前記第2関節の下側に突出して固定されており、
前記出力軸を前記第1アームに対して下方側から貫通させ、かつ前記出力軸が前記第2アームに固定されており、
前記出力軸の回動に応じて、前記第2アームを前記第1アームに対して、前記第2関節により水平方向で回動させる、搬送用ロボット。
【請求項2】
前記ベース部は、
固定ベースと、
前記第1関節で前記第1アームに連結し、前記固定ベースから高さ方向に昇降可能な昇降ベースと、を有する請求項1に記載の搬送用ロボット。
【請求項3】
前記第1アームにおける前記第1関節の回動中心から前記第2関節の回動中心までの寸法をLとした場合に、前記ベース部は、水平方向において、前記第1関節の回動中心を基準とした半径Lの範囲よりも内側に位置しており、
前記ハンド部が、前記昇降ベースにより高さ方向で最も低い位置にある場合、前記回動モータが前記固定ベース部の上端と干渉しない、請求項2に記載の搬送用ロボット。
【請求項4】
前記アームユニットは、
前記第2アームの前記一端側から下方に向けて延びるアーム軸部と、
前記第1アームの前記他端側に位置し、前記アーム軸部が挿入される凹部を有する軸保持部と、
前記軸保持部内で、前記アーム軸部を水平方向に回動可能に保持するアーム軸受けと、
を有し、
前記アーム軸部と、前記軸保持部と、前記アーム軸受けとにより前記第2関節を構成しており、
前記回動モータは、前記第1アームにおける前記軸保持部の下側に着脱可能に固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送するためのハンド部を有する搬送用ロボットの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多関節のアームユニットを備える搬送用ロボットが記載されている。搬送用ロボットは、アームユニットを構成する各アームの相対的な位置をモータにより制御することで、ワークを搬送するためのハンド部の位置を変化させ、ワークを搬送することが可能となる。また、特許文献1に記載された搬送用ロボットでは、アームを回動させるモータは、アーム同士を連結する関節内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送用ロボットにおいて、アームユニットの高さ方向での寸法が大きくなると、ハンド部の動作範囲が制限される場合がある。例えば、アームユニットの高さ方向での寸法が大きくなるほど、ハンド部の高さ方向での位置がベースに対して高くなるため、ハンド部の動作範囲を制限することとなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、ワークを搬送するためのハンド部の動作範囲に対する制限を小さくする搬送用ロボットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る搬送用ロボットは、ワークを搬送するためのハンド部の位置を変化させる多関節のアームユニットと、ベース部と、を備える。アームユニットは、一端側に位置する第1関節によりベース部に対して水平方向で回動可能に支持された第1アームと、第1アームよりも上方に位置し、第1アームの他端側に位置する第2関節で、第1アームに対して水平方向で回動可能に支持された第2アームと、第2アームを、第2関節で回動させる回動モータと、を有する。回動モータは、出力軸を上方に向けた状態で、第1アームにおける第2関節の下側に突出して固定されており、出力軸を第1アームに対して下方側から貫通させ、かつ出力軸が第2アームに固定されており、出力軸の回動に応じて、第2アームを第1アームに対して、第2関節により水平方向で回動させる。
【0007】
上記構成では、第2アームを第1アームに対して第2関節で水平方向に回動させる回動モータは、出力軸を上方に向けた状態で、第1アームにおける第2関節の下側に固定されている。回動モータは、出力軸を第1アームに対して下方側から貫通させ、かつ出力軸が第2アームに固定されている。これにより、第1アームと第2アームとを連結する第2関節内に回動モータが収容されている場合と比べて、回動モータのサイズに関わらず、第1アームの高さ方向での寸法の増加を抑制することができる。その結果、アームユニットにおける高さ方向での寸法の増加を抑制することができ、ハンド部の動作範囲に対する制限を小さくすることが可能となる。
【0008】
ベース部は、固定ベースと、第1関節で第1アームに連結し、固定ベースから高さ方向に昇降可能な昇降ベースと、を有する。これにより、ハンド部の動作範囲のうち、高さ方向での範囲である昇降ストロークを所望の値まで拡大することができる。
【0009】
第1アームにおける第1関節の回動中心から第2関節の回動中心までの寸法をLとした場合に、ベース部は、水平方向において、第1関節の回動中心を基準とした半径Lの範囲よりも内側に位置しており、ハンド部が、昇降ベースにより高さ方向で最も低い位置にある場合、回動モータが固定ベース部の上端と干渉しない。これにより、第1アームと固定ベースとの間のクリアランスを確保しつつ、ハンド部の動作範囲の制限を小さくすることができる。
【0010】
アームユニットは、第2アームの一端側から下方に向けて延びるアーム軸部と、第1アームの他端側に位置し、アーム軸部が挿入される凹部を有する軸保持部と、軸保持部内で、アーム軸部を水平方向に回動可能に保持するアーム軸受けと、を有し、アーム軸部と、軸保持部と、アーム軸受けとにより第2関節を構成しており、回動モータは、第1アームにおける軸保持部の下側に着脱可能に固定されている。これにより、第1アームと第2アームとの連結を解除することなく、回動モータをアームユニットから取り外すことができる。その結果、搬送用ロボットにおける回動モータのメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワークを搬送するためのハンド部の動作範囲に対する制限が小さい搬送用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】搬送用ロボットの動作範囲を説明する図である。
【
図6】搬送用ロボットの動作範囲を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態に係る搬送システムを、図面を参照しつつ説明する。搬送システムは、搬送用ロボットと、搬送用ロボットの駆動を制御する制御装置とにより構成されている。搬送システムは、搬送用ロボットにより、ワークであるウェハを搬送させる装置である。
【0014】
図1、
図2、
図3は、ウェハを搬送していない姿勢、具体的には、ホームポジションでの搬送用ロボット100を示している。搬送用ロボット100は、ベース部10と、アームユニット20とを備えており、アームユニット20を駆動させることで、後述するハンド部の位置を所定の動作範囲内で変化させる装置である。
【0015】
搬送用ロボット100において、ベース部10が載置される載置面に水平な方向を水平方向と記載する。搬送用ロボット100において、上下の方向を高さ方向D1と記載する。水平方向のうち、ホームポジションでの搬送用ロボット100のアームユニット20が延びる方向を延設方向D2、延設方向D2と交差する方向を幅方向D3と記載する。言い換えると、延設方向D2と幅方向D3とは、水平方向で互いに交差する方向でもある。
【0016】
ベース部10は、固定ベース11と、昇降ベース12と、昇降駆動部13(
図3)とを有している。固定ベース11は、台座14と、この台座14から高さ方向D1に延設する縦柱15とで構成されている。台座14は、搬送用ロボット100を所定位置(例えば、後述するウェハ搬送室)の載置面に固定するための部材である。台座14は、底面14Aと、この底面14Aと反対側に位置する上面14Bとを有する、上面視において矩形状の部材であり、例えば、ボルトにより載置面に固定される。
【0017】
縦柱15は、一対の第1柱部16と、第2柱部17とで構成されている。縦柱15における第1柱部16と第2柱部17とは、アームユニット20が動作範囲内で回動及び昇降する際に、アームユニット20に干渉しないようにその位置が定められている。一対の第1柱部16は、板状の部材であり、台座14に対して幅方向D3で並んで配置されている。具体的には、
図2に示されるように一対の第1柱部16は、幅方向D3に面を向けた状態で、台座14から延設している。第2柱部17は、延設方向D2において、一対の第1柱部16よりも紙面左側で、台座14から延設する部位である。第2柱部17は、延設方向D2に面を向けた中央壁と、この中央部の両端で延設する一対の側壁とを有し、中央壁と側壁とにより上面視でU字形状の部材である。
【0018】
昇降ベース12は、固定ベース11に対して、昇降駆動部13により高さ方向D1で昇降可能に支持されている。昇降ベース12の上部には、アームユニット20が連結されている。
図3は、
図2においてA-A矢視での断面図である。
図3に示されるように、昇降駆動部13は、Z軸モータ130、Z軸ベルト131、リニアガイド132、ボールねじ133を有している。
【0019】
固定ベース11において、第2柱部17には、リニアガイド132を構成するレール部132Bと、ボールねじ133を構成するボールねじシャフト部133Bとが、その延びる方向を高さ方向D1に沿って配置されている。リニアガイド132を構成するリニアブロック132Aは、レール部132Bによりにガイドされ、昇降ベース12を介してボールねじナット部133Aに螺合している。固定ベース11の台座14には、Z軸モータ130が出力軸を下方に向けた状態で取付けられている。Z軸モータ130の出力軸と、ボールねじシャフト部133Bとは、無端ベルトであるZ軸ベルト131を介して連結されており、Z軸モータ130の出力軸の回転は、Z軸ベルト131によりボールねじシャフト部133Bの回動に変換される。なお、Z軸モータ130は、出力軸を上方に向けた状態で固定ベース11に取り付けられていてもよい。この場合においても、Z軸モータ130の出力軸は、Z軸ベルト131を介して、ボールねじシャフト部133Bに連結されていればよい。
【0020】
Z軸モータ130の出力軸の回転によりボールねじシャフト部133Bが回転し、ボールねじナット部133Aを昇降させる。ボールねじナット部133Aの昇降に応じて、リニアブロック133Aは、レール部132Bにガイドされつつ昇降し、昇降ベース12は高さ方向D1に昇降する。
【0021】
昇降ベース12の上部には、アームユニット20が連結されている。アームユニット20は、第1アーム21、第2アーム22、ハンドアーム23、駆動部24、T軸モータ30、R軸モータ31を有している。アームユニット20は、第1アーム21を、T軸モータ30の出力軸の回動する向き(以下、T軸の回動方向と記載する。)で、ベース部10に対して水平方向に回動させ、第2アーム22を、R軸モータ31の出力軸の回動する向き(以下、R軸の回動方向と記載する。)で、第1アーム21に対して水平方向に回動させる。アームユニット20は、ハンドアーム23を、駆動部24の後述するプーリ241,244の回動する向き(以下、H軸の回動方向と記載する。)で、第2アーム22に対して水平方向に回動させる。
【0022】
次に、アームユニット20の詳細な構成を説明する。
T軸モータ30は、アームユニット20の第1アーム21を水平方向(T軸の回動方向)で回動させるモータである。
図3に示されるように、T軸モータ30は、出力軸301を高さ方向D1での上方に向けた状態で、昇降ベース12の上部に固定されている。本実施形態では、T軸モータ30は、交流モータである。これ以外にも、T軸モータ30は、直流モータであってもよい。
【0023】
第1アーム21は、一端側に位置するT軸保持部211と、他端側に位置するアーム軸保持部212と、T軸保持部211とアーム軸保持部212との間で延びる延設部210と、を有する長尺状の部材である。第1アーム21は、T軸保持部211でT軸モータ30の出力軸301に固定され、アーム軸保持部212で、第2アーム22に連結されている。アーム軸保持部212は、上面視において円状の凹部を有する部位であり、凹部の中央において、高さ方向D1で貫通する開口213を有している。開口213の内径は、後述するR軸モータ31の出力軸の径よりも大きな内径となっており、R軸モータ31の出力軸を貫通させることができる。
【0024】
第2アーム22は、一端側に位置するアーム軸部221と、他端側に位置するプーリ保持部222と、アーム軸部221とプーリ保持部222との間で延びる延設部220とを有する長尺状の部材である。延設部220は、中空形状であり、内部に駆動部24が収容される空間を有している。アーム軸部221は、延設部220の一端側から高さ方向D1の下方に延びる略円筒状の部位である。アーム軸部221は、第1アーム21のアーム軸保持部212の凹部に挿入可能な直径を有している。アーム軸部221の中央には、高さ方向D1に貫通する開口224を有している。開口224の内径は、R軸モータ31の出力軸の径よりも大きな内径である。プーリ保持部222は、上方に貫通した開口225を有し、この開口225は、延設部220の空間と連通している。
【0025】
第2アーム22のアーム軸部221は、第1アーム21のアーム軸保持部212内で回動可能に保持されている。具体的には、アーム軸部221は、アーム軸部221の外周とアーム軸保持部212の凹部の内周との間に位置するアーム軸受け34を介して、アーム軸保持部212に保持されている。これにより、第1アーム21から、R軸モータ31を取り外した場合でも、第2アーム22は、第1アーム21に対して水平方向(R軸の回動方向)に回動可能に連結されている。
【0026】
本実施形態では、
図2に示されるように、第1アーム21の高さ方向D1での寸法H1は、第2アーム22の高さ方向D1での寸法H2よりも小さい。これにより、アームユニット20の高さ方向での寸法に対して、内部に駆動部24が配置されている第2アーム22の寸法H2の割合を高くすることができる。
【0027】
第1アーム21におけるアーム軸保持部212の下面には、R軸モータ31が固定されている。R軸モータ31は、出力軸311と、出力軸311を回動可能に保持するケース312と、モータ側軸受け313,314とを有している。R軸モータ31は、出力軸311を、高さ方向D1において上方に向けた状態で、アーム軸保持部212の下面に取り付けられている。具体的には、R軸モータ31は、出力軸311がアーム軸保持部212の開口213を貫通した状態で、ケース312の上面がアーム軸保持部212の下面にボルトにより固定されている。R軸モータ31は、交流モータであるが、これに代えて、直流モータであってもよい。本実施形態では、R軸モータ31が回動モータの一例である。
【0028】
ケース312には、出力軸311を回動させるための磁界を発生させるロータや、位置検出部であるロータリーエンコーダが収容されている。本実施形態では、出力軸311は、出力軸311の延びる方向の両端が開口した中空状であり、高さ方向に並ぶモータ側軸受け313,314を介して、ケース312に回動可能に保持されている。
【0029】
R軸モータ31の出力軸311のうち、第1アーム21を貫通して上方に出る部位は、第2アーム22内で、軸固定部50により第2アーム22に固定されている。軸固定部50は、出力軸311の径方向で当該出力軸311を締結することで、出力軸311を第2アーム22に固定する部材である。具体的には、軸固定部50は、高さ方向D1において下方から上方に移行するに従い内径が徐々に小さくなるテーパ状の締結孔51を有している。軸固定部50は、締結孔51に第1アーム21を貫通した出力軸311が挿入された状態で、上方から締結孔51の周囲に挿入されるボルトにより第2アーム22に締め付けられることで、出力軸311を締結孔51の内周面により径方向に締結する。
【0030】
第2アーム22は、他端側であるプーリ保持部222で、ハンドアーム23に連結されている。本実施形態では、ハンドアーム23は、高さ方向D1において、上下に並んだ上側ハンド部231と、下側ハンド部232とを有している。各ハンド部231,232は、U字状の載置プレート231A,232Aを有しており、ウェハを載置プレート231A,232A上に載置させることができる。
【0031】
各ハンド部231,232は、載置プレート231A,232Aに載置されたウェハを、真空吸着方式により保持する。各ハンド部231,232は、ウェハを搬送することができる形状であればよく、載置プレート231A,232Aを有することに限定されない。例えば、各ハンド部231,232は、メカチャック方式により、ウェハを保持する構成であってもよい。
【0032】
第2アーム22内に配置されている駆動部24は、第2アーム22に対する上側ハンド部231の水平方向(即ち、H1軸の回動方向)での位置を変化させる上側プーリ241と、上側モータ242と、上側モータ242と上側プーリ241とを連結するH1軸ベルト243とを有している。また、駆動部24は、第2アーム22に対する下側ハンド部232の水平方向(即ち、H2軸の回動方向)での位置を変化させる下側プーリ244と、下側モータ245と、下側モータ245と下側プーリ244とを連結するH2軸ベルト246とを有している。
【0033】
延設方向D2において、T軸モータ30の回転中心である出力軸301からR軸モータ31の回転中心である出力軸311までの寸法をLとした場合、ベース部10は、水平方向において、T軸モータ30の出力軸301を基準として半径Lでの動作範囲よりも内側に位置している。言い換えると、第1アーム21をT軸の回動方向で回動させた場合でも、搬送用ロボット100において、ベース部10は、R軸モータ31と干渉しない位置となっている。また、第1アーム21は、昇降ベース12により高さ方向で最も低い位置にある場合に、第1アーム21の下端は、固定ベース11の上端よりも上方に位置している。本実施形態では、第1アーム21における、「高さ方向で最も低い位置」は、ホームポジションでの第1アーム21の高さ方向での位置である。
【0034】
本実施形態では、第1アーム21のT軸保持部211と、T軸モータ30の出力軸301とが第1関節の一例である。第1アーム21のアーム軸保持部212と、第2アーム22のアーム軸部221とが第2関節の一例である。
【0035】
次に、搬送用ロボット100における電気的構成を、
図4を用いて説明する。
図4に示されるように、制御装置70は、搬送用ロボット100の各モータ30,31,130,242,245の駆動に対する制御や、搬送用ロボット100を構成する各部への電力の供給を行う装置である。制御装置70は、メインコントローラ71と、低圧側電源回路72と、高圧側電源回路73と、ドライバ回路74A,74B,74C,74D,74Eと、を有している。なお、
図4において、電力の流れる回路を破線により示している。
【0036】
メインコントローラ71は、プログラムを記憶するメモリや、プログラムを実行する演算回路を有している。メインコントローラ71は、ドライバ回路74A~74Eそれぞれに接続されており、ドライバ回路74A~74Eに、各モータを駆動させるための駆動信号を出力する。
【0037】
低圧側電源回路72は、メインコントローラ71を駆動するための電力を、メインコントローラ71に供給する。低圧側電源回路72は、周知のコンバータ回路であり、交流電源から供給される交流電圧を、直流電圧に変換して、メインコントローラ71に供給する。
【0038】
高圧側電源回路73は、各ドライバ回路74A~74Eが、各モータ30,31,130,242,245を駆動するための電力を、各ドライバ回路74A~74Eに供給する。高圧側電源回路73は、周知のコンバータ回路であり、交流電源から供給される交流電圧を、直流電圧に変換して、各ドライバ回路74A~74Eに供給する。本実施形態では、各ドライバ回路74A~74Eは、直流電圧から、モータを駆動するための交流の駆動信号DSを生成する。
【0039】
ドライバ回路74A~74Eそれぞれは、搬送用ロボット100の各モータ30,31,130,242,245に接続されている。具体的には、H1軸ドライバ回路74Aは、駆動信号DSを出力する配線、及びモータが有するエンコーダ回路からのエンコーダ信号ESが流れる配線により上側モータ242に接続されている。H1軸ドライバ回路74Aは、メインコントローラ71からの制御信号、及びエンコーダ信号ESに応じた駆動信号DSを上側モータ242に出力することで、上側モータ242の出力軸の回動を制御する。
【0040】
H2軸ドライバ回路74Bは、駆動信号DSを出力する配線、及びエンコーダ回路からのエンコーダ信号ESが流れる配線により下側モータ245に接続されている。R軸ドライバ回路74Cは、駆動信号DSを出力する配線、及びエンコーダ信号ESが流れる配線によりR軸モータ31に接続されている。T軸ドライバ回路74Dは、駆動信号DSを出力する配線、及びエンコーダ信号ESが流れる配線によりT軸モータ30に接続されている。Z軸ドライバ回路74Eは、駆動信号DSを出力する配線、エンコーダ信号ESが流れる配線、及びブレーキ信号BSが流れる配線によりZ軸モータ130に接続されている。
【0041】
搬送用ロボット100は、空圧機器75を備えている。空圧機器75は、各ハンド部231,232が真空吸着方式でウェハを保持する場合に、外部から供給される圧縮空気又は真空により、各ハンド部231,232の空圧を制御する。空圧機器75は、ロボット側I/O75に接続されており、このロボット側I/O75を介して制御信号の入力を受け付ける。メインコントローラ71は、I/O回路77を介して、搬送用ロボット100が有するロボット側I/O75に接続されている。なお、各ハンド部231,232がメカチャック方式でウェハを保持する場合、空圧機器75はメカチャックを駆動するための空圧を制御する。
【0042】
次に、搬送用ロボット100の動作範囲を説明する。
図5,
図6では、搬送用ロボット100が、ロードポート80に設置されたウェハ収容容器90からウェハWを取出し、ウェハ搬送室95に搬送する場面を図示している。
図5は、ウェハ収容容器90から高さ方向D1での位置が最も低いウェハW1を取り出す場合を示している。
図6は、ウェハ収容容器90から高さ方向D1での位置が最も高いウェハW2を取り出す場合を示している。
図5,
図6では説明を容易にするため、搬送用ロボット100は上側ハンド部231のみを図示し、下側ハンド部232の図示を省略している。
【0043】
図5,
図6に示されるように、ロードポート80には、ウェハ収容容器90が配置されている。ウェハ収容容器90には、ウェハWが、高さ方向D1に所定間隔で並んで載置されている。
図5,
図6では、ウェハ収容容器90に収容されたウェハWの図示を、一部省略して示している。ロードポート80は、ウェハ収容容器90を位置決め固定するテーブル81と、ウェハ収容容器90の搬出入口に密着するポート82とを備えている。ロードポート80の搬出入口に対して反対側には、不図示の扉を挟んでウェハ搬送室95が配置されている。ウェハ搬送室95の背面には、ウェハ収容容器90から取り出されたウェハWに所定の処理を施す装置が配置されている。搬送用ロボット100は、ウェハ搬送室95内に設置されている。また、ウェハ搬送室95の内部はウェハの汚染を防止すべく、窒素やアルゴンなどの不活性ガスや乾燥空気に置換されていてもよい。この場合、ウェハ搬送室95内部の圧力は、大気圧よりも陽圧にすることが好ましい。
【0044】
図5に示されるように、搬送用ロボット100は、ウェハ収容容器90の最も低い位置に載置されたウェハW1を取り出す場合、昇降ベース12の位置を高さ方向D1で制御することで、アームユニット20の上側ハンド部231を位置P1にする。そして、アームユニット20の第1アーム21及び第2アーム22それぞれを回動させて、ハンドアーム23の上側ハンド部231にウェハW1を載置させて保持する。なお、
図5,
図6で示す例では、「位置P1」は、搬送用ロボット100のホームポジションであり、言い換えれば、上側ハンド部231における高さ方向で最も低い位置である。
【0045】
一方、
図6に示されるように、搬送用ロボット100は、ウェハ収容容器90の最も高い位置に載置されたウェハW2を取り出す場合、昇降ベース12の位置を高さ方向D1で制御して、アームユニット20の上側ハンド部231を、位置P2にする。そして、アームユニット20の第1アーム21及び第2アーム22それぞれを回動させて、ハンドアーム23の上側ハンド部231にウェハW2を載置させて保持する。なお、
図5,
図6で示す例では、「位置P2」は、上側ハンド部231における高さ方向で最も高い位置である。
【0046】
上記構成の搬送用ロボット100では、アームユニット20の高さ方向D1での動作範囲である昇降ストロークΔPを、P1からP2の間で制御することができる。ここで、上側ハンド部231の昇降ストロークΔPの下限である位置P1は、上側ハンド部231の高さ方向D1で最も低い位置であり、アームユニット20の高さ方向D1での寸法が大きいほど、大きな値となる。
【0047】
本実施形態では、第2アーム22を第1アーム21に対してR軸の回動方向で回動するR軸モータ31は、第1アーム21のアーム軸保持部212の下方に突出した状態で取り付けられている。例えば、重量の重いウェハを搬送する場合や、ウェハの搬送速度を速くする場合に、必要とされる定格トルク等の性能に応じてR軸モータ31のサイズが大きくなる。搬送用ロボット100では、R軸モータ31のサイズが大きくなる場合でも、R軸モータ31を第1アーム21と第2アーム22とを連結する関節内に収容する場合と比べて、第1アーム21の高さ方向D1での寸法H1を小さくすることができる。これにより、上側ハンド部231の高さ方向D1での位置を所望とする位置まで下げた場合でも、第1アーム21の下面から固定ベース11の上端までのクリアランスを確保することができる。その結果、アームユニット20を高さ方向D1で最も低い位置とした場合の上側ハンド部231の位置を所望とする低い位置にすることができ、ひいては、ハンド部231の昇降ストロークΔPを所望とする値まで拡大することができる。
【0048】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
アームユニット20において、第2アーム22を、R軸の回動方向で回動させるR軸モータ31は、出力軸311を上方に向けた状態で、第1アーム21における第2関節の下側に突出して固定されている。R軸モータ31は、出力軸311を第1アーム21に対して下方側から貫通させ、かつ出力軸311が軸固定部50により第2アーム22に固定されることで、第2アーム22を第1アーム21に対して、水平方向に回動させる。これにより、必要とされるモータの性能に応じてR軸モータ31のサイズ(体格)を大きくした場合でも、第1アーム21の高さ方向での寸法H1の増加を抑制することができ、ひいては、アームユニット20の動作範囲の制限を小さくすることができる。
【0049】
ベース部10は、固定ベース11と、第1アーム21に連結し固定ベース11から高さ方向D1に昇降可能な昇降ベース12と、を有している。これにより、動作範囲のうち、高さ方向D1での範囲である昇降ストロークを所望の値まで拡大することができる。
【0050】
延設方向D2において、T軸モータ30の出力軸301から、R軸モータ31の出力軸311までの寸法をLとした場合に、固定ベース11は、水平方向において、T軸モータ30の出力軸301を基準として半径Lの動作範囲よりも内側に位置している。第1アーム21は、昇降ベース12により高さ方向D1で最も低い位置にある場合、R軸モータ31が固定ベース11の上端と干渉しない。これにより、第1アーム21の下面と、固定ベース11の上端とのクリアランスを保持しつつ、各ハンド部231,232の昇降ストロークを稼ぐことができる。
【0051】
第2アーム22はアーム軸部221が、第1アーム21のアーム軸保持部212内で、アーム軸受け34によりR軸の回動方向で回動可能に保持されている。R軸モータ31は、第1アーム21のアーム軸保持部212の下面にボルトにより着脱可能に固定されている。これにより、第1アーム21と第2アーム22との連結を解除することなく、R軸モータ31をアームユニット20から取り外すことができる。その結果、R軸モータ31のメンテナンス性を向上させることができる。
【0052】
第1アーム21の外側にR軸モータ31が取り付けられていることから、定格トルクを大きくするために寸法の大きいR軸モータ31を第1アーム21に取り付ける場合でも、第1アーム21の高さ方向D1での寸法は増加しない。これにより、搬送用ロボット100は、各ハンド部231,232の昇降ストロークを確保しつつ、R軸モータ31のトルクを増加させることが可能であり、より大きなウェハを搬送することができる。
【0053】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述の第1実施形態では、アームユニット20は、各アーム21,22,23をT軸の回動方向、R軸の回動方向、及びH軸の回動方向で相対的に回動させる3関節のユニットであった。これに代えて、アームユニット20は、4つ以上のアームを有し、3関節以上のユニットであってもよい。この場合においても、ベース部10に連結される第1アーム21の下面にR軸モータ31を固定すればよい。
【0054】
上述の第1実施形態では、ハンドアーム23は、上側ハンド部231と下側ハンド部232とを有していた。これに代えて、ハンドアーム23は、上側ハンド部231のみを有していてもよい。
【0055】
上述の第1実施形態では、ベース部10は、昇降ベース12及び昇降駆動部13を有し、アームユニット20の高さ方向D1での位置を昇降ストローク内で制御可能であった。これに代えて、ベース部10は、昇降ベース12及び昇降駆動部13を備えていなくともよい。この場合において、アームユニット20のT軸モータ30は、固定ベース11に固定されていればよい。
【符号の説明】
【0056】
10…ベース部、11…固定ベース、12…昇降ベース、20…アームユニット、21…第1アーム、22…第2アーム、23…ハンドアーム、30…T軸モータ、31…R軸モータ、50…軸固定部、70…制御装置、100…搬送用ロボット、231…上側ハンド部、232…下側ハンド部