(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110980
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける棒状化粧料の紅筒とその製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 40/00 20060101AFI20230803BHJP
A45D 40/06 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A45D40/00 M
A45D40/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012547
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000140915
【氏名又は名称】株式会社カツシカ
(72)【発明者】
【氏名】松岡 昌亨
(72)【発明者】
【氏名】久間 雅博
(57)【要約】 (修正有)
【課題】環境負荷の低減を目指せる環境に配慮した金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける金属製紅筒の、金型コスト、製造コストを低く抑える。
【解決手段】紅筒2は、内側壁に棒状化粧料を保持する保持リブ213を突設した保持部211とこの保持部211に連続した止着部212とから成る両端が開口したパイプ状の保持筒21と、下部外側壁に螺合突部224を突設した脚状部221と、この脚状部221に連続した天井部分222を有した連結部223とから成るキャップ状の脚筒22より成り、この保持筒21の止着部212を脚筒22の連結部223に嵌合止着して、この連結部223の天井部分222を保持部211の底部とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部(211)の内側壁に棒状化粧料(1)を保持する保持リブ(213)を突設し保持部(211)の下端より下部外側壁に螺合突部(224)を突設した脚状部(221)を垂下した紅筒(2)と、該紅筒(2)を摺動自在に内装し下部側壁に紅筒(2)の螺合突部(224)が貫通して紅筒(2)を回動不能に上下摺動自在に案内するガイドスリット(31)を軸線方向に長く穿設した収納筒体(3)と、該収納筒体(3)の下部に回動自在に保持され内側壁に前記紅筒(2)の螺合突部(224)が螺合するラセン溝(42)を螺設したラセン筒(4)と、より成る繰り出し機構部(11)を、外部に露出する外装体(12)に外部から操作可能に内装して成り、該繰り出し機構部(11)及び外装体(12)の構成部材全てが単一の金属素材より成形された棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
前記紅筒(2)は、保持部(211)と該保持部(211)に連続した止着部(212)とから成る両端が開口したパイプ状の保持筒(21)と、脚状部(221)と該脚状部(221)に連続した天井部分(222)を有した連結部(223)とから成るキャップ状の脚筒(22)より成り、該保持筒(21)の止着部(212)を脚筒(22)の連結部(223)に嵌合止着して、該連結部(223)の天井部分(222)を保持部(211)の底部とした事を特徴とする金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける棒状化粧料の紅筒。
【請求項2】
前記紅筒(2)の保持筒(21)の外径(WA1)と脚筒(22)の脚状部(221)の外径(WB1)は同径で、脚筒(22)の連結部(223)の外径(WB2)は保持筒(21)の止着部(212)の内径(WA2)と同径か僅かに小径にして、脚筒(22)の連結部(223)と脚状部(221)の間に段部(225)を構成し、保持筒(21)の止着部(212)の端面(214)を該段部(225)に当接、止着したことを特徴とする請求項1記載の金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける棒状化粧料の紅筒。
【請求項3】
脚筒(22)の脚状部(221)下端に保持筒(21)の止着部(212)を一体に連設した紅筒生地(20)を金属薄板よりプレス成形する成形工程と、該紅筒生地(20)に防錆処理などの表面処理を施す表面処理工程と、該表面処理を施された紅筒生地(20)の、脚筒(22)の脚状部(221)と保持筒(21)の止着部(212)の接合部分(切断線(CL))で切断して脚筒(22)と保持筒(21)に2分割する切断工程と、該保持筒(21)の止着部(212)を前記脚筒(22)の連結部(223)に嵌合、止着する組立工程とを経て紅筒(2)を得る事を特徴とする金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける棒状化粧料の紅筒の製造方法。
【請求項4】
前記紅筒(2)の保持部(211)の保持リブ(213)は、前記成形工程中、若しくは表面処理工程後、若しくは切断工程後、若しくは組立工程後のいずれかの時点で成形する事を特徴とする請求項3記載の金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける棒状化粧料の紅筒の製造方法。
【請求項5】
前記紅筒(2)の脚筒(22)の螺合突部(224)は、前記成形工程中、若しくは表面処理工程後、若しくは切断工程後、若しくは組立工程後のいずれかの時点で成形する事を特徴とする請求項3、4いずれかの項記載の金属製棒状化粧料繰り出し容器に於ける棒状化粧料の紅筒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅、スティックファンデーションなどの棒状化粧料を収納する棒状化粧料繰り出し容器に関し、環境負荷の低減を目指せる環境に配慮した棒状化粧料繰り出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅・スティックファンデーション等の棒状化粧料を収容した棒状化粧料容器は、外部に露出した部材には強度・加飾性に優れた金属部材を、棒状化粧料を保持する部材にはPP(ポリプロピレン)等の成形性・耐薬品性に優れた合成樹脂を、繰り出し機構部等のメカ部にはPOM(ポリアセタール)等の成形性・摺動性に優れた合成樹脂を使用するなど、文字通り適材適所に素材が使い分けられていた。
【0003】
しかし、金属、合成樹脂合わせて複数種の素材が組み合わされているため、廃棄の際などの環境負荷を考えると、現状では好ましいものとは言えなかった。そこで、特許文献1の口紅ケースのように、構成する部材の全てを金属で成形した棒状化粧料繰り出し容器が知られている。この構成の場合、外装部分の加飾性を損なうことなく、全ての部材を同一金属で成形する事ができた。つまり、分別廃棄することなく簡単にリサイクルでき、環境負荷を低減できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭53-23672号公報
【特許文献2】実開昭62-109016号公報
【特許文献3】実開昭60-158515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の口紅ケースの構成の場合、棒状化粧料を保持する紅筒(紅皿10)がコップ形状をしており一般的なプレス加工で簡単に成形する事ができるのであるが、特許文献2に示された操出容器の紅筒(受皿12)の様に、パイプの中程に底がある様な形状は、特許文献3の棒状化粧品押出容器の
図2の様な特殊なインパクト成形をしない限り1パーツでの成形は難しかった。この種の特殊なインパクト成形は、加工できる作業場所も限られ、金型代も高額になってしまうため、現実的ではなかった。結果的に、特許文献1の口紅ケースの紅筒と比べ、大幅なコストアップになってしまった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の棒状化粧料繰り出し容器は、棒状化粧料1を上下摺動させる繰り出し機構部11と、外部に露出しこの繰り出し機構部11を外部から操作可能に内装した外装体12より成り、繰り出し機構部11及び外装体12の構成部材全てを単一の金属素材により成形する。この繰り出し機構部11は、棒状化粧料1を保持する紅筒2と、棒状化粧料1及び紅筒2を収納する収納筒体3と、この収納筒体3に相対回転可能に保持され紅筒2を上下摺動させるラセン筒4とより成っている。
【0007】
紅筒2は、内側壁に保持リブ213を突設して棒状化粧料1を保持する保持部211の下端に、下部外側壁に螺合突部224を突設した脚状部221を垂下している。収納筒体3は、下部側壁に紅筒2の螺合突部224が貫通して紅筒2を回動不能に上下摺動自在に案内するガイドスリット31を軸線方向に穿設する。ラセン筒4は収納筒体3の下部に回動自在に保持され、内側壁に前記紅筒2の螺合突部224が螺合するラセン溝42を螺設する。
【0008】
このうち紅筒2は、保持部211を有した保持筒21と、脚状部221を有した脚筒22とより構成する。この保持筒21は、保持部211と、この保持部211に連続した止着部212とより成り、両端が開口したパイプ状をしている。脚筒22は、脚状部221と、この脚状部221に連続し天井部分222を有した連結部223より成り、一端が開口したキャップ状をしている。この保持筒21の止着部212を、脚筒22の連結部223に嵌合止着して、連結部223の天井部分222を保持部211の底部として、紅筒2を形成する。
【0009】
尚、前記紅筒2の保持筒21の外径WA1と脚筒22の脚状部221の外径WB1は同径となっている。この保持筒2の止着部212の内径WA2は、脚筒22の連結部223の外径WB2と同径か僅かに小径となっており、脚筒22の連結部223と脚状部221の間には段部225を構成している。この段部225には、保持筒21の止着部212の端面214が当接した状態で保持筒21と脚筒22が止着され、紅筒2となっている。
【0010】
本発明の紅筒2は、成形工程、表面処理工程、切断工程、組立工程を経て製造される。成形工程は、脚筒22の脚状部221の下端に保持筒21の止着部212を一体に連設したキャップ形状の紅筒生地20を金属薄板よりプレス成形する工程である。表面処理工程は、成形工程により成形された紅筒生地20を防錆処理などの表面処理を施す工程である。切断工程は、表面処理を施された紅筒生地20の、脚筒22の脚状部221と保持筒21の止着部212の接合部分(切断線CL)で切断して、脚筒22と保持筒21に2分割する工程である。組立工程は、保持筒21の止着部を脚筒22の連結部223に嵌合、止着して紅筒2を得る工程である。
【0011】
前記紅筒2の保持筒21の保持部211の保持リブ213、及び脚筒22の脚状部221の螺合突部224は、それぞれ、成形工程中、若しくは表面処理工程後、若しくは切断工程後、若しくは組立工程後のいずれかの時点で成形する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のように、繰り出し機構部11及び外装体12の構成部材全てが同一の金属素材より成る棒状化粧料繰り出し容器となっている。ここで、外装体12を介して繰り出し機構部11を操作して収納筒体3とラセン筒4を相対回転させると、紅筒2の脚状部221の螺合突部224が収納筒体3のガイドスリット31を貫通して回動を阻止された状態で、相対回転するラセン筒4のラセン溝42に螺合しているため、螺合作用により紅筒2及び棒状化粧料1が上下摺動する。つまり、従来の棒状化粧料繰り出し容器と同様の操作で棒状化粧料の出没操作が行える。
【0013】
しかも、内面に保持リブ213を有したパイプ状の金属製保持筒21を、天井部分222を有し下部側壁に螺合突部224を突設したキャップ状の金属製脚筒22の上部に組付ける事により、簡単にパイプの中程に底部がある金属製の紅筒2を得られる。この紅筒2の保持筒21及び脚筒22は、プレス加工により成形可能な形状をしているため、金型コスト、製造コストを低く抑えられる。加えて、加工工程中の工程を置き換えることにより、簡単に棒状化粧料1の充填、装着方法に応じた保持リブ213や底部の形状に対応できる。
【0014】
更に、紅筒2を、棒状化粧料1を保持する保持部211を有した保持筒21と、ラセン溝42に螺合する螺合突部224を設けた脚筒22とに分割したため、別個にそれぞれが必要とする肉厚に設定することができる。つまり、保持筒21は、棒状化粧料1を保持するため、また化粧料の固形化時の冷却性を向上させるため、肉薄にしている。また、脚筒22は、螺合突部224がラセン溝42から外れてしまわない様ある程度の強度が必要で、肉厚にしている。
【0015】
また、本発明の紅筒2の製造方法に於いて、内面に保持リブ213を有したパイプ状の保持筒21と天井部分222を有し側壁に螺合突部224を突設したキャップ状の脚筒22を一体にした紅筒生地20を成形加工、表面処理加工を行った後、切断して保持筒21と脚筒22に分割しているため、成形金型、成形加工工程、表面処理工程は1パーツ分で済む。この紅筒生地20の形状はプレス加工可能な形状となっており、切断工程、組立工程が必要となるが、特許文献1の口紅ケースの紅筒と比べ最小限のコストアップで、パイプの中程に底部がある形状の金属製の紅筒が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明実施例1の差し紅タイプの金属製棒状化粧料繰り出し容器の正面断面図である。
【
図2】本発明実施例1の金属製棒状化粧料繰り出し容器の、棒状化粧料塗布状態の正面断面図である。
【
図3】本発明実施例の金属製棒状化粧料繰り出し容器の棒状化粧料の紅筒の製造工程を示すフローチャートである。
【
図4】本発明実施例の紅筒の成形工程、表面処理工程時の正面断面図である。
【
図5】本発明実施例の紅筒の切断工程時の正面断面図である。
【
図6】本発明実施例の紅筒の組立工程時の正面断面図である。
【
図8】本発明実施例2の上方充填タイプの金属製棒状化粧料繰り出し容器の正面部分断面図である。
【
図9】本発明実施例3の後方充填タイプの金属製棒状化粧料繰り出し容器の正面部分断面図である。
【実施例0017】
本発明実施例1として、予め成形した棒状化粧料1を容器にセットする、差し紅タイプの金属製棒状化粧料繰り出し容器の実施例について、
図1,2,7によって説明する。本発明の金属製棒状化粧料繰り出し容器は、棒状化粧料1を上下摺動させる繰り出し機構部11と、この繰り出し機構部11を外部から操作可能に内装した外装体12より成り、繰り出し機構部11及び外装体12の構成部材全てをアルミニウム素材から、プレス加工等で成形する。この繰り出し機構部11は、紅筒2と収納筒体3及びラセン筒4とより成っており、外装体12は、中筒5とハカマ筒6及びキャップ7とより成っている。
【0018】
この繰り出し機構部11の紅筒2は、
図7に示すように、保持筒21と、この保持筒21の下端に止着される脚筒22とより成っている。
【0019】
保持筒21は、保持部211とこの保持部211に連続した止着部212とから成る両端が開口したパイプ状をしている。この保持部211の内周壁には、軸線方向に長い複数の保持リブ213を均等に突設し、棒状化粧料1に食い込み、保持している。この保持リブ213は、保持部211の外壁側から内がわに向けて突設し構成している。
【0020】
脚筒22は、脚状部221とこの脚状部221に連続し天井部分222を有した連結部223より成り、一端が開口したキャップ状をしている。この脚状部221の外径WB1は、保持筒21の外径WA1と同径であり、連結部223の外径WB2は、保持筒21の止着部212の内径WA2と同径か僅かに小径であり、脚状部221と連結部223の接合部分に段部225を構成している。この脚状部221の下部外側壁には、螺合突部224を突設している。この螺合突部224は、脚状部221の外周の対向した位置2か所に、内壁側から外がわに向けて突設している。
【0021】
そして、この脚筒22の連結部223に保持筒21の止着部212が嵌合し、止着部212の端面214が段部225に当接した状態で止着して、連結部223の天井部分222が保持部211の底面を形成する。この天井部分222には、小さい貫通穴226が穿設され、棒状化粧料1セット時のエア抜きになっている。
【0022】
この棒状化粧料1及び紅筒2は、収納筒体3内に上下摺動自在に内装している。この収納筒体3の下端よりは、軸線方向に長くガイドスリット31を穿設している。このガイドスリット31は、前記紅筒2の螺合突部224に対応した数、位置に設けられ、紅筒2の螺合突部224を下端より挿入、係合させて、紅筒2を回動不能に規制しながら上下摺動自在に案内している。このガイドスリット31より上方外周には、係合リブ32を内壁側から外がわに向けて突出して周設している。なお、この係合リブ32は、収納した紅筒2が下降限の時、紅筒2の上端より下に位置し、紅筒2が保持している棒状化粧料1に影響を及ぼさないようになっている。
【0023】
この収納筒体3の下部は、ラセン筒4の上端より回動自在に挿入されている。このラセン筒4は、底部41を有した薄肉のコップ状をしており、上端は収納筒体3の係合リブ32の下面に当接し、下端は収納筒体3の底部41に当接している。このラセン筒4の内側壁には、収納筒体3のガイドスリット31を貫通した紅筒2の螺合突部224が螺合するラセン溝42を螺設している。このラセン溝42は、ラセン筒4の上端に開溝しており、螺合突部224を上端から螺合させることができる。また、
図1及び
図2に示したように、このラセン溝42は、ラセン筒4の内壁側から外がわに向かって成形されており、ラセン筒4の外側壁はラセン溝42の形状に突出している。
【0024】
繰り出し機構部11の説明は以上である。ここで、収納筒体3を保持してラセン筒4を回転操作すると、収納筒体3とラセン筒4が相対回転する。収納筒体3内の紅筒2は、螺合突部224が収納筒体3のガイドスリット31を貫通して回動しない状態で、回動するラセン筒4のラセン溝42に螺合しているため、螺合作用により紅筒2が収納筒体3内を上下摺動し、棒状化粧料1が収納筒体3の先端より出没する。そして、
図1に示したように、紅筒2の下端がラセン筒4の底部41に当接して紅筒2の下降限となり、
図2に示したように、ガイドスリット31の上端に螺合突部224が当接して、紅筒2の上昇限となる。
【0025】
次に、この繰り出し機構部11を収容する外装体12について説明する。中筒5は、両端が開口したパイプ状をしており、繰り出し機構部11のラセン筒4を下方より挿入止着している。この中筒5の上端は、内径が収納筒体3の係合リブ32の外径よりも小径で、収納筒体3の外径よりも僅かに大径に窄まった先端部53となっている。この先端部53の内側と、前記ラセン筒4の先端との間には、前記収納筒体3の係合リブ32を回動自在に脱落不能に挟持する挟持部51となっている。この中筒5下部は、有底筒状のハカマ筒6内に挿入止着され、上端はハカマ筒6の上端より突出してキャップ7が抜脱可能に嵌合する嵌合部52になっている。その結果、キャップ7を抜脱して収納筒体3を保持してハカマ筒6を回転操作すると、中筒5を介してハカマ筒6に止着されたラセン筒4が回転し、収納筒体3とラセン筒4の相対回転が成立する。
【0026】
以上が本発明の棒状化粧料繰り出し容器の構成である。次に、本発明紅筒の製造方法を
図3乃至
図7により説明する。
図3は本発明紅筒の製造工程をまとめたフローチャートである。紅筒の製造工程は、アルミニウム板(金属薄板)より所定の紅筒生地20の形状にプレス成形する成形工程、プレス成形された紅筒生地20に陽極酸化皮膜処理を施す表面処理工程、表面処理を施された紅筒生地20を切断して保持筒21と脚筒22に2分割する切断工程、この2分割した保持筒21と脚筒22を組付け止着して紅筒2にする組立工程とからなる。
【0027】
成形工程に於いては、アルミニウム薄板を、
図4に示すような紅筒生地20の形状にプレス成形している。この紅筒生地20は、脚筒22の脚状部221の端部と保持筒21の止着部212の端部を連結した形状をしており、この紅筒生地20の全長L1は、保持筒21の長さLAと脚筒22の長さLBの和となっている。また、脚筒22の脚状部221の外径WB1と保持筒21の外径WA1は同径になっている。しかし、保持筒21の肉厚TAは脚筒22の脚状部221の肉厚TBよりも薄肉になっており、内壁に段差を生じている。脚筒22の連結部223の外径WB2は、保持筒21の止着部212の内径WA2と同径か僅かに小径になっており、脚筒22の連結部223外壁と脚状部221外壁との間に、保持筒21の肉厚TAプラスアルファの段部225を構成している。
【0028】
表面処理工程に於いては、
図4に示す成形工程で成形した紅筒生地20に陽極酸化皮膜処理を施す。
【0029】
切断工程に於いては、
図4に示した紅筒生地20の下部内壁にある段差直下の切断線CLで切断し、紅筒生地20を保持筒21と脚筒22に分割する。この切断後を
図5に示す。保持筒21の切断部位は止着部212の端面214となり、脚筒22の切断部位は脚状部221の下端になる。
【0030】
組立工程に於いては、
図5に示した切断工程で紅筒生地20より切断した保持筒21を、
図6に示したように、止着部212の端面214(切断面)を下にして、脚筒22の連結部223に嵌合止着させる。この時、保持筒21の端面214は、脚筒22の段部225に当接している。以上工程を経て
図7に示す紅筒2が成形される。紅筒2の全長L2は、保持筒21の長さLAと脚筒22の脚状部221の長さLB1の和であり、棒状化粧料1の保持部分の深さDは、保持筒21の長さLAと脚筒22の連結部223の長さLB2の差となっている。