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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110982
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】膨化スナック菓子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/44 20060101AFI20230803BHJP
   A23J 3/16 20060101ALI20230803BHJP
   A23J 3/04 20060101ALI20230803BHJP
   A23G 3/52 20060101ALI20230803BHJP
   A23G 3/48 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A23G3/44
A23J3/16
A23J3/04
A23G3/52
A23G3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012549
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390020189
【氏名又は名称】ユーハ味覚糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】北中 進介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潔
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GE05
4B014GG12
4B014GG13
4B014GK02
4B014GL09
4B014GP01
4B014GP14
4B014GQ11
4B014GY01
(57)【要約】
【課題】たんぱく質としてコラーゲン及び大豆蛋白を高含有しながら、不快臭や不快味が低減された膨化スナック菓子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲン、粒状大豆蛋白、グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸を原料として含有し、エクストルーダーによって加圧加熱処理された膨化スナック菓子、並びに、不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲンと、粒状大豆蛋白と、グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸と、水とを含有する混合物を、エクストルーダーによって加圧加熱処理して膨化させる膨化スナック菓子の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲン
b)粒状大豆蛋白
c)グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸
を原料として含有し、エクストルーダーによって加圧加熱処理された膨化スナック菓子。
【請求項2】
たんぱく質の含有量が50重量%以上であり、糖質の含有量が20重量%以下である、請求項1に記載の膨化スナック菓子。
【請求項3】
不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲンと、粒状大豆蛋白と、グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸と、水とを含有する混合物を、エクストルーダーによって加圧加熱処理して膨化させることを特徴とする、膨化スナック菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たんぱく質を高含有する膨化スナック菓子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膨化スナック菓子は、一般的に、澱粉を主体とする穀物粉を主原料とした生地を油ちょう等で加熱処理して膨化させたものを指し、澱粉と油脂を多く含む性質上、糖質や脂質、カロリーの高さを懸念する消費者も少なくない。
【0003】
そのような健康志向の消費者に向け、エクストルーダーで膨化させたノンフライスナック菓子、たんぱく質を多く摂取できるスナック菓子等のヘルシーなスナック菓子が上市されている。中でも大豆蛋白を使用したたんぱく質高含有スナック菓子は世界中で広く販売されている。しかし、大豆蛋白を主体とするスナックには、食感や口どけの悪さ、大豆の不快臭・不快味等が未だ課題として残っている。
【0004】
一方で、コラーゲンを原料とした膨化食品が提案されている(特許文献1、2)。ただし、コラーゲンでできた食品の課題として、コラーゲンに由来する不快臭と不快味、食べる時に口中の水分を吸って歯に付く食感の悪さがあり、特許文献1、2ではその課題解決に対しては言及や示唆はされていない。また、前記特許文献2では、少ない粉体原料に対して大量に加水するためその水を気化させる必要があり(例えば、実施例1では粉体供給量(フィード量)22.0g/minに対して加水量25g/min)、生産能力の非常に乏しいものであった。
【0005】
また、特許文献1の実施例では、大豆油等でフライして膨化食品を作製しているが、この場合、脂質とカロリーの高いものとなる。特許文献2の実施例では、澱粉質、加工澱粉等の澱粉がコラーゲンと同量かそれ以上配合されており、たんぱく質を高含有している膨化食品とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4564475号
【特許文献2】特許第5189511号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、たんぱく質としてコラーゲン及び大豆蛋白を高含有しながら、不快臭や不快味が低減された膨化スナック菓子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲン、粒状大豆蛋白及びグルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸を必須原料として含有し、エクストルーダーによって加圧加熱処理されて得られる膨化スナック菓子が、コラーゲン及び大豆蛋白等のたんぱく質を高含有しながら、それぞれの持つ不快臭、不快味が低減されることを見出して、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、
[1]a)不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲン
b)粒状大豆蛋白
c)グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸
を原料として含有し、エクストルーダーによって加圧加熱処理された膨化スナック菓子、
[2]たんぱく質の含有量が50重量%以上であり、糖質の含有量が20重量%以下である、前記[1]に記載の膨化スナック菓子、
[3]不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲンと、粒状大豆蛋白と、グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸と、水とを含有する混合物を、エクストルーダーによって加圧加熱処理して膨化させることを特徴とする、膨化スナック菓子の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の膨化スナック菓子は、コラーゲン及び大豆蛋白等のたんぱく質を高含有することで、栄養学的に優れた特性を持ち、また、コラーゲンや大豆蛋白の不快臭や不快味が低減されていることで、嗜好性にも優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0012】
本発明の膨化スナック菓子は、a)不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲン、b)粒状大豆蛋白及びc)グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸の3種を必須原料として含有する。
【0013】
本発明において、膨化スナック菓子とは、エクストルーダーによって加圧加熱処理することにより前記混合物生地を膨張させ、生地中に空気を含んだ多孔質組織が形成されたスナック菓子をいう。
【0014】
a)不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲン
コラーゲンは、主に脊椎動物の真皮、骨、腱などを構成するたんぱく質である。本発明の原料として使用されるコラーゲンは、豚の皮等のコラーゲンを多く含む原料を脱脂処理し、加熱乾燥したものであり、不溶性画分を10重量%以上含有するものである。不溶性画分を10重量%以上含有するコラーゲンを使用することにより、エクストルーダーで加圧加熱処理した際に原料の混合物を膨化させることが可能になる。コラーゲンの原料としては特に限定されず、牛、豚、鶏、魚等が挙げられる。
【0015】
なお、水溶性コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチド等の不溶性画分の含有量が10重量%未満のコラーゲン原料では上記効果は見られない。
【0016】
前記コラーゲンの不溶性画分の含有量の測定は、一般的なたんぱく質の分画と同様に行えばよい。例えば、以下の測定方法により測定する。
遠沈管に0~5℃の水を入れ、濃度が3.0重量%となるようにコラーゲンの試料を添加し、ホモジナイザー又は高速振とう機等で試料を分散させる。得られた分散溶液を50~75℃で加熱した後、40℃で遠心分離する。遠心分離後、上清を除去し、沈殿を吸引ろ過した後、乾燥させ、乾燥後に得られた試料(不溶性成分)の重量を測定する。最初に添加した試料の重量に対する不溶性成分の重量の割合を不溶性画分の値とする。
前記不溶性画分が10重量%以上含有されたコラーゲンとしては、例えば、「PK-100」や「BFK-100」(いずれも新田ゼラチン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0017】
前記不溶性画分が10重量%以上含有されたコラーゲンの含有量としては、本発明の膨化スナック菓子全重量中の40~80重量%の範囲であればよく、50~70重量%が好ましい。
【0018】
b)粒状大豆蛋白
本発明で使用される粒状大豆蛋白は、脱脂大豆や分離大豆蛋白等の大豆原料を粒状に加工したものであれば良く、精製度や加工方法に特に限定はない。例えば、濃縮大豆蛋白を加水して押出成形し、粉砕後、乾燥して製造されたものが挙げられる。
粒状大豆蛋白のたんぱく質含量としては、高たんぱく・低糖質・低脂質の栄養学的観点からは高いほど好ましく、例えば、たんぱく質含量40~90重量%程度であることが好ましい。
また、粒状大豆蛋白の粒径としては、90重量%以上の粒子が0.5~10mmの範囲であればよく、50重量%以上の粒子の粒径が1~5mmの範囲にあることが好ましい。粒径が10mmを超えると他の粒子に対して大きすぎるために出来上がりの品質が安定せず、粒径が0.5mmを下回ると細かすぎて全体の粉体流動性が悪くなってしまう。
【0019】
前記粒状大豆蛋白の含有量としては、本発明の膨化スナック菓子全重量中の10~50重量%の範囲であればよく、10~30重量%が好ましい。
【0020】
c)グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸
本発明で使用される遊離アミノ酸は、コラーゲン及び大豆蛋白との作用により食感等の物性を向上させる目的で使用する。具体的には、たんぱく質同士が固まるような組織形成を阻害することによって、本発明の膨化スナック菓子の口どけを向上させ、同時に歯への付着性も改善する。
本発明で、遊離アミノ酸とは、遊離状態で存在するアミノ酸であり、たんぱく質やペプチドを構成しているアミノ酸とは別で単独で存在しているアミノ酸のことをいう。遊離アミノ酸は、高速液体クロマトグラフィー法等の公知の方法で定量可能である。
【0021】
本発明で遊離アミノ酸として使用するグルタミン酸、アラニン、グリシンは、L体D体でもよいし、それらを含有する天然物でもよい。
グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩としては、例えば、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸ナトリウム、L-グルタミン酸カリウム、L-グルタミン酸マグネシウム、L-アラニン、D-アラニン、DL-アラニン、グリシン、それら遊離アミノ酸を含有する天然物、エキス類、蛋白加水分解物等が挙げられる。
また、前記遊離アミノ酸としては、誘導体でもよい。
本発明における前記遊離アミノ酸の別の効果として、コラーゲン及び大豆由来の不快味のマスキング作用が挙げられる。なお、前記不快味のマスキング効果は、グルタミン酸、アラニン、グリシン以外のアミノ酸では発揮できない。
前記のような、グルタミン酸、アラニン、グリシン及びこれらの塩からなる群より選ばれる一種以上の遊離アミノ酸の含有量としては、総量として本発明の膨化スナック菓子全重量中の2~20重量%の範囲であればよい。
【0022】
本発明の膨化スナック菓子には、その他任意成分として、食塩、調味料、香辛料、野菜エキス類、動物エキス類、食物繊維、酸味料、pH調整剤、膨張剤、果汁、香料、着色料、油脂、乳化剤、乳製品、甘味料、小麦粉等の穀物粉、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類(グルタミン酸、アラニン、グリシン以外)等を含有してもよい。
これらの任意成分を適宜選択することで、膨化スナック菓子の嗜好性の幅を広げることができる。なお、前記任意成分は、膨化スナック菓子の風味や食感に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。
【0023】
また、本発明の膨化スナック菓子は、栄養学的側面から、たんぱく質を50重量%以上含有し、糖質が20重量%以下であることが好ましい。
より好ましくは、たんぱく質50重量%以上かつ糖質10重量%以下である。
糖質の総カロリーに占める割合を26重量%より低く抑えることにより、低炭水化物食(low-carbohydrate diet)とすることができる。
前記低炭水化物食については、Feinman RD, Pogozelski WK, Astrup A, et al.: Dietary carbohydrate restriction as the first approach in diabetes management: Critical review and evidence base. Nutrition 31: 1-13, 2015.に定められるものであればよい。
たんぱく質はアミノ酸の重合体であるが、栄養学的には日本食品標準成分表2020年版(八訂)に示される通りアミノ酸組成によるたんぱく質を指し、窒素定量換算法等で定量される。そのため、たんぱく質には、重合していない遊離アミノ酸やペプチドも含む。具体的には、本発明において、前記たんぱく質の含有量とは、a)に含まれるたんぱく質量及びb)に含まれるたんぱく質量及びc)及びその他任意成分中のたんぱく質量の総量を指す。
また、本発明において、前記糖質は、利用可能炭水化物のことを指し、前記糖質の含有量は、栄養学的には食品表示基準に定められる通り「食品の質量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除して算定すること」とされる方法で算定された含有量を示す。
【0024】
また、本発明の膨化スナック菓子は、エクストルーダーを用いて膨化されるため、従来のスナック菓子のように油で揚げる必要がない点で、低カロリーの食品となっている。
本発明の膨化スナック菓子中における油脂の含有量は、40重量%以下、より好ましくは20重量%以下であり、健康志向の消費者でも安心して食べることができるものである。
【0025】
本発明の膨化スナック菓子は、上記に挙げた原料と水をエクストルーダーに投入し、加圧加熱処理して膨化させることによって製造することができる。水はエクストルーダーに直接添加してもよいが、予め混合機等で粉体原料に対して水を添加して混合し、混合したものをエクストルーダーに投入する方法が好ましい。
【0026】
前記のように添加する水の量は、原料の混合物100重量部に対して4~100重量部であることが好ましく、より好ましくは5~20重量部である。加水量が多すぎると膨化後に縮みが生じたり、内部に水分が残ってしまう恐れがあり、少なすぎると硬くなりすぎたり、焦げたりする恐れがある。
本発明において、上述したa)、b)、c)の3種を併用することにより、粉体流動性が高まりかつ少ない加水量で膨化させることができ、効率よく生産することが可能になる。
【0027】
前記エクストルーダーとしては、1軸エクストルーダー、2軸エクストルーダーのいずれを使用してもよいが、混練能力の高い2軸エクストルーダーを用いることが好ましい。
前記エクストルーダーの設定としては、バレル温度は30~150℃、ダイ出口温度は80~250℃であることが好ましい。
前記エクストルーダーの処理圧力は、10~100kgf/cmであることが好ましい。
なお、オーブンのような製造装置を用いる場合、膨化はされるが、サクサクとした食感とはなり難い。
【0028】
上記方法によって膨化した生地は、エクストルーダー出口で一定の大きさに切断し、必要に応じて加熱乾燥させて、最終的に水分値0~5重量%の膨化スナック菓子が得られる。膨化スナック菓子の一粒の大きさに特に限定はないが、0.1~2.0g程度の一口サイズの大きさが好ましい。
【0029】
前記エクストルーダーによる加圧加熱処理での生地の膨化率としては、200~500%であればよい。
膨化率=(膨化スナック菓子の直径/ダイ出口径)で計算できる。
例えば、ダイ出口穴が円形であれば、それを出口で切断すると、切断する間隔によって円盤状、球状もしくは円柱状になるが、その断面の円の直径を膨化スナック菓子の直径として測定する。
【0030】
前記加熱乾燥条件も特に限定はないが、例えば、150~180℃のオーブンで5~30分加熱し、水分値0~3重量%になるまで乾燥させる。
【0031】
また、上記膨化スナック菓子は必要に応じて表面にシーズニングをつけてもよい。
前記シーズニングとしては、具体的には、油脂、食塩、香料、調味料、アミノ酸、香辛料、野菜エキス類、動物エキス類、酸味料、糖類、澱粉、甘味料、等が挙げられる。それらシーズニングにより、膨化スナック菓子の嗜好性の幅を広げることができる。前記シーズニングは、膨化スナック菓子の風味や食感に悪影響を与えない範囲で使用すれば良い。
なお、油脂をシーズニングする場合には、健康志向の消費者に対する配慮から、本発明の膨化スナック菓子中における油脂の含有量が40重量%以下となるような量で使用すればよい。
【0032】
以上のようにして得られる本発明の膨化スナック菓子は、コラーゲンや大豆蛋白に由来するたんぱく質を高含有するにも関わらず、コラーゲンや大豆蛋白に特有の不快臭や不快味が抑えられ、コラーゲン及び大豆蛋白特有の食感の悪さも解決したものである。
【実施例0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0034】
(実施例1)
表1に示す配合となるようにコラーゲン、粒状大豆蛋白、遊離アミノ酸、その他成分及び水を混合し、2軸エクストルーダーに、フィード量900g/分で連続的に供給し、バレル温度70℃、ダイ出口温度140℃、ダイ出口径6mm、圧力40kgf/cmで加圧加熱処理し、膨化させた生地をおよそ0.5gずつ切断し、150℃で5分加熱乾燥させ、膨化スナック菓子を得た。
【0035】
(実施例2~6)
表1に示す配合となるように、実施例1と同様に膨化スナック菓子を作製した。
【0036】
(比較例1~8)
表1に示す配合となるように、実施例1と同様に膨化スナック菓子を作製した。
【0037】
<栄養成分>
実施例1~6及び比較例1~8で得られた膨化スナック菓子の栄養成分を表1に示した。
・たんぱく質
コラーゲン及び大豆蛋白中のたんぱく質、及び遊離アミノ酸の総和から算出した。遊離アミノ酸は、グルタミン酸ナトリウムのみたんぱく質47重量%と換算し、その他の遊離アミノ酸はたんぱく質100重量%とした。
・糖質
コラーゲン及び大豆蛋白中の糖質の総和から算出した。
【0038】
<試験例>官能評価試験
実施例1~6で得られた膨化スナック菓子は、いずれも空気を含んだ多孔質組織を有するものであった。
そこで、実施例1~6及び比較例1~8で得られた膨化スナック菓子について、それぞれ官能評価を行なった。具体的には、3名のパネラーでの合議制で、下記に示す内容に従って3段階評価した。得られた結果を表1に示す。
【0039】
・食感
◎:サクサクとした心地よい食感である。
○:やや硬さのある食感である。
△:硬すぎる、歯にくっつく等、スナック菓子として好ましくない食感である。
×:うまく膨らまず、スナック菓子として成り立たない。
・味
◎:コラーゲン又は大豆蛋白に由来する不快な味はしない。
○:コラーゲン又は大豆蛋白に由来する不快な味は大して気にならない。
△:コラーゲン又は大豆蛋白に由来する不快な味がする。
・香り
◎:コラーゲン又は大豆蛋白に由来する不快な臭いはしない。
○:コラーゲン又は大豆蛋白に由来する不快な臭いは大して気にならない。
△:コラーゲン臭又は大豆臭が強く、不快である。
・総合評価
◎:スナック菓子として嗜好性の高いものである。
〇:スナック菓子として適したものである。
△:スナック菓子としてあまり適さない。
×:スナック菓子になっていない。
【0040】
【表1】
【0041】
表1の結果より、実施例1~6では、比較例1~8と比べて、官能評価が全ての項目で「〇」又は「◎」となったことから、嗜好性の高い膨化スナック菓子であることがわかる。
特に、実施例1~6で得られた膨化スナック菓子は、いずれもコラーゲン又は大豆蛋白に由来する不快味及び不快臭が低減されたものであることがわかる。
【0042】
また、実施例1の膨化スナック菓子を間食として20g喫食すると、非常に満腹感があり、小腹満たしの間食に適したスナック菓子となった。
さらに前記膨化スナック菓子20gでたんぱく質を15g摂取でき、糖質も1gと、たんぱく質摂取及び糖質制限のどちらの要求も満たす、栄養価の優れたスナック菓子であった。