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  • 特開-温度警報器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011099
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】温度警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20230117BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230117BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G08B21/00 A
F25D11/00 101D
F25D23/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114715
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】591051162
【氏名又は名称】新光電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】谷本 順三
(72)【発明者】
【氏名】三谷 守
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 彰
(72)【発明者】
【氏名】戸田 彰
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
5C086
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045MA02
3L045PA04
3L345AA05
3L345AA26
3L345EE02
3L345EE33
3L345HH24
3L345HH39
3L345KK04
5C086AA01
5C086AA06
5C086BA30
5C086CA30
5C086CB01
5C086CB04
5C086DA40
5C086FA02
5C086FA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンテナや倉庫に保管された有機材料の火災や冷蔵・冷凍庫の冷蔵・冷凍機能の喪失を外部に知らせることができる安価な温度警報器を提供する。
【解決手段】温度警報器は、構造体20の壁面の温度を検出すべき一方の側に設けられ、供給電力に依存することなく温度の上昇変化のみに応動し、所定温度で接点を閉成する供給電力非依存型の温度接点15と、構造体壁面の他方の側に設けられる蓄電器10と、構造体壁面の他方の側に設けられ、温度接点の閉成接点を通して電力供給されて警報の発生処理を行う処理部11と、構造体壁面の他方の側に設けられ、温度接点の閉成接点を通して電力供給され、処理部の処理信号を受けて警報を発生する警報発生部12と、構造体壁面の穴21に挿通され、温度接点の一方の端子と蓄電器を接続するとともに、温度接点の他方の端子と処理部及び警報発生部を接続する電力供給線14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度変化に応動し、所定温度で警報を発生する温度警報器であって、
構造体(20)壁面の、温度を検出すべき一方の側に設けられ、供給電力に依存することなく温度の上昇変化のみに応動し、所定温度で接点を閉成する供給電力非依存型の温度接点(15)と、
上記構造体(20)壁面の他方の側に設けられる蓄電器(10)と、
上記構造体(20)壁面の他方の側に設けられ、上記温度接点(15)の閉成接点を通して電力供給されて警報の発生処理を行う処理部(11)と、
上記構造体(20)壁面の他方の側に設けられ、上記温度接点(15)の閉成接点を通して電力供給され、上記処理部(11)の処理信号を受けて警報を発生する警報発生部(12)と、
上記構造体(20)壁面の穴(21)に挿通され、上記構造体(20)壁面の一方の側の温度接点(15)の一方の端子と上記構造体(20)壁面の他方の側の蓄電器(15)を接続するとともに、上記構造体(20)壁面の一方の側の温度接点(15)の他方の端子と上記構造体(20)壁面の他方の側の処理部(11)及び警報発生部(12)を接続する電力供給線(14)と、
を備えたことを特徴とする温度警報器。
【請求項2】
上記供給電力非依存型の温度接点(15)がバイメタル式サーモスタット(30)又は感温スイッチ(40)である請求項1記載の温度警報器。
【請求項3】
上記構造体(20)が有機材料保管用のコンテナ又は倉庫、あるいは冷蔵庫又は冷凍庫の函体である請求項1記載の温度警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度警報器に関し、例えば有機材料を大量にコンテナに保管する場合に発酵などにより自然発火する現象を検知し、又冷蔵庫や冷凍庫の庫内温度が設定温度を超え、内容物に損傷を与えることを未然に防止できるようにした温度警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料用の木質チップなどの有機材料をコンテナや倉庫(以下、単に「コンテナ」と記す)に保管する場合、コンテナ内の湿気あるいは微生物による発酵が進むと、火災を生ずることがある。特に、コンテナが密閉された状態で屋外保管される場合には外気温や日照等の影響もあり、コンテナ内部の状態を把握することが難しく、一旦火災が発生すると消火にも多大な時間や費用を要する。
【0003】
また、コンテナは船舶やトラック等で輸送され、主として屋外で保管されることが多い。屋外保管の場合、警報器への電力供給が必要となるが、電力線の設置には配線面やコスト面で問題が生じる。このためバッテリ等の局所電源を用いることが考えられるが、電池寿命やメンテナンス等の問題が発生する。
【0004】
さらに、保管場所がコンテナの密閉場所である場合には警報器をコンテナ内に設置しても周囲に気付かせることができないおそれがある。
【0005】
また、低温保存された内容物を保管する冷蔵庫や冷凍庫において、不注意によって冷蔵・冷凍庫の電源投入のし忘れ、温度設定の間違いなど、内容物が使用できない場合も発生する。
【0006】
従来から、周囲温度の上昇を検出し、火災発生の有無を判断する火災警報器が提案されている。例えば、特許文献1には形状記憶合金を用い、電池と形状記憶合金及びプザーを一体にまとめ、周囲温度が上昇するとプザーが鳴動し、警報を発出するようにした簡易な移動式の火災報知器が記載されている。この火災報知器本体は一体形状で、どこにでも設置できる特徴を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平06-3 3 2 9 6 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では火災報知器をコンテナや倉庫内に設置した場合、警報が発出されてもコンテナ外壁や倉庫外壁に遮られ、コンテナや倉庫の周辺に火災発生を知らせることが困難である。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、外部からの電源供給に頼らず、蓄電器の有効限度までの長期間にわたって警報を発出することが可能で、コンテナや倉庫に保管された有機材料の火災や冷蔵・冷凍庫の冷蔵・冷凍機能の喪失を外部に知らせることができる安価な温度警報器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に温度警報器は、温度変化に応動し、所定温度で警報を発生する温度警報器であって、構造体壁面の温度を検出すべき一方の側に設けられ、供給電力に依存することなく温度の上昇変化のみに応動し、所定温度で接点を閉成する供給電力非依存型の温度接点と、上記構造体壁面の他方の側に設けられる蓄電器と、上記構造体壁面の他方の側に設けられ、上記温度接点の閉成接点を通して電力供給されて警報の発生処理を行う処理部と、上記構造体壁面の他方の側に設けられ、上記温度接点の閉成接点を通して電力供給され、上記処理部の処理信号を受けて警報を発生する警報発生部と、上記構造体壁面の穴に挿通され、上記構造体壁面の一方の側の温度接点の一方の端子と上記構造体壁面の他方の側の蓄電器を接続するとともに、上記構造体壁面の一方の側の温度接点の他方の端子と上記構造体壁面の他方の側の処理部及び警報発生部を接続する電力供給線と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴の1つは構造体壁面の一方の側に供給電力非依存型で温度応動型の温度接点を設け、他方の側に蓄電器、処理部及び警報発生部を設け、構造体壁面の穴を通して電力供給線で接続するようにした点にある。
【0012】
これにより、供給電力非依存型で温度応動型の温度接点を使用しているので、温度接点が開成しているときには蓄電器の電力が消費されることはなく、蓄電器の耐用限度までの長期間にわたって警報を発出することができる。
【0013】
また、例えばコンテナ、倉庫、冷蔵・冷凍庫の内部に供給電力非依存型で温度応動型を設けているので、コンテナ等の内部温度変化を確実に検知できる一方、蓄電器、処理部及び警報発生部を外部に設けているので、蓄電器、処理部及び警報発生部がコンテナ等の内部温度変化に曝されて劣化するおそれが少なく、安価な温度警報器が提供でき、コンテナ等に保管された有機材料の火災や冷蔵・冷凍庫の機能喪失を外部に確実に知らせることができる。
【0014】
供給電力非依存型の温度接点は例えばバイメタル式サーモスタットや感温スイッチを採用することができる。バイメタル式サーモスタットは熱膨張係数の異なる2枚の板片を重ね、所定温度に達するまで接点を開成し、所定温度に達した時に2枚の板片が変形して接点を閉成するという方式のものである。
【0015】
他方、温度スイッチはリードに一対の永久磁石を間隔をあけて配置し、その間に温度上昇に伴って磁束が変化する感温強磁性体を配置し、所定温度に達するまでリードに設けた接点を開成し、所定温度(キューリー点)に達した時にリードの接点を閉成するという方式のものである。
【0016】
本発明は構造体として有機材料保管用のコンテナ又は倉庫、あるいは冷蔵・冷凍庫の函体に適用すると、その効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る温度警報器の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
図2】上記実施形態における機能ブロック図である。
図3】上記実施形態における温度接点の1例を示す図である。
図4】上記実施形態における温度接点の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る温度警報器の好ましい実施形態を示し、これは有機材料の保存用コンテナに適用した例である。図において、本例の温度警報器はコンテナ(構造体)外側の蓄電器10、処理部11及び警報発生部12、コンテナ内側の温度接点15及び電力供給線14から構成されている。
【0019】
蓄電器10は例えば乾電池やリチウムイオン電池等が用いられ、処理部11は例えばマルチバイプレータ等の自走式発信器で構成され、警報発生部12はトランジスタ等のスイッチング素子12A、12B、LED12C及び圧電式ブザー12Dで構成され、これらは基板等に搭載されて警報器本体を構成している。
【0020】
温度接点15は例えばバイメタル式サーモスタットで構成され、接点の開閉動作が供給電力に依存することがなく、温度の上昇変化にのみ応動し、所定温度で接点を閉成するようになっている。
【0021】
温度接点15の一方の端子と蓄電器10、及び温度接点15の他方の端子と処理部11及び警報発生部12とはコンテナ20の穴21を通った電力供給線14によって接続されている。必要な場合にはコンテナ20内部の空気が外部に逃げ出さないように、穴21と電力供給線14との間をシールドするのがよい。
【0022】
ここで、バイメタル式サーモスタットは図3に示されるように、熱膨張係数の異なる2枚の金属板片を重ねたバイメタル31をベース34に支持し、バイメタル31の中央に動片33を取付け、動片33を接点32に対向させ、バイメタル31は所定の温度に達するまでは動片33を下方に位置させ、温度上昇に伴って上方に変位し、所定温度に達すると動片33で接点32を押して閉成させるようになっている。
【0023】
本例の温度警報器を木質チップなどの有機材料22の保管用コンテナ20に用いる場合ン、図1に示されるように、コンテナ20の壁面外側にねじ、両面接着部材、磁石などを用いて取付ける一方、コンテナ20の壁面内側にねじや両面接着剤などを用いて取付け、コンテナ20の穴21に電力供給線14を挿通させ、温度接点15の一方の端子と蓄電器10、及び温度接点15の他方の端子と処理部11及び警報発生部12とを接続する。
【0024】
有機材料22をコンテナ20内に保管する場合に、コンテナ20内の湿気や微生物による発酵によって温度上昇することがあり、その状態を放置すると火災が発生するおそれがある。
【0025】
本例ではコンテナ20の温度は温度接点15によって監視されており、所定温度、例えば65°Cに達するまでは温度接点15が開成されており、蓄電器10の電力が処理部11や警報発生部12に供給されることはなく、電力が消費されることはない。
【0026】
コンテナ20内の温度が上昇し、設定温度に達すると、温度接点15が閉成され、蓄電器10の電力が電力供給線14を介して処理部11及び警報発生部12に供給される。すると、処理部11ではマルチバイブレータが作動され、ON/OFF信号、例えば0.15秒のON、0.18秒のOFFの信号が繰り返し出力され、スッチング素子12A、12BがON/OFFの間欠動作を繰り返し、LED12Cが発光するとともに、圧電式ブザー12Dが発報される。
【0027】
これにより、コンテナ20の近くにいる人間がコンテナ20内の温度上昇の警告を受取り、適切な対処ができることとなる。
【0028】
なお、上記の例ではLED及び圧電式ブザーを設けたが、いずれか一方だけであってもよい。
【0029】
上記の例では温度接点15にバイメタル式サーモスタットを用いたが、図4に示される温度スイッチ40を用いることができる。この温度スイッチ40はリード41に一対の永久磁石42を間隔をあけて設け、永久磁石42の間にその間に温度上昇に伴って磁束が変化する感温強磁性体43を配置し、所定温度に達するまでリード40の接点を開成し、所定温度(キューリー点)に達した時にリード40の接点を閉成するというものである。
【0030】
また、本発明は有機材料保管用のコンテナに代え、倉庫の壁体、あるいは冷蔵庫や冷凍庫の函体に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 蓄電器
11 処理部
12 警報発生部
14 電力供給線
15 温度接点
20 コンテナ(構造体)
21 穴
図1
図2
図3
図4