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特開2023-110991光学活性フルオロ基含有化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110991
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】光学活性フルオロ基含有化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/07 20060101AFI20230803BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20230803BHJP
   C07C 233/54 20060101ALI20230803BHJP
   C07C 233/25 20060101ALI20230803BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20230803BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20230803BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
C07C233/07 CSP
C07C231/12
C07C233/54
C07C233/25
B01J31/22 Z
C07B53/00 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012560
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(71)【出願人】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182073
【弁理士】
【氏名又は名称】萩 規男
(72)【発明者】
【氏名】西形 孝司
(72)【発明者】
【氏名】久米 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】白井 智大
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC29A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC68A
4G169BC72A
4G169BE01B
4G169BE13A
4G169BE16B
4G169BE25A
4G169CB25
4G169CB57
4G169CB69
4G169DA04
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC30
4H006BA05
4H006BA47
4H006BA48
4H006BB12
4H006BB20
4H006BB21
4H006BB25
4H006BE61
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM71
4H006BP30
4H006BT32
4H006BV25
4H039CA51
4H039CD20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医薬品、農薬の製造中間体や電子材料原料として有用な化合物である、新規な光学活性フルオロ基含有化合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される新規な光学活性フルオロ基含有化合物及びその製造方法を用いる。

(式(1)中、*は不斉炭素原子を示す。RおよびRは各々独立して、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示し、RとRとは異なる置換基であり、Rは芳香族基を示し、Rは水素原子、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される光学活性フルオロ基含有化合物。
【化3】
(式(1)中、*は不斉炭素原子を示す。RおよびRは各々独立して、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示し、RとRとは異なる置換基であり、Rは芳香族基を示し、Rは水素原子、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示す。)
【請求項2】
が水素原子であることを特徴とする、請求項1に記載の光学活性フルオロ基含有化合物。
【請求項3】
下記一般式(2)で表される光学活性ハロゲノ基含有化合物類を、遷移金属錯体触媒存在下、金属フッ化物と反応させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【化4】
(式(2)中、*は不斉炭素原子を示す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。RおよびRは各々独立して、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示し、RとRとは異なる置換基であり、Rは芳香族基を示し、Rは水素原子、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示す。)
【請求項4】
遷移金属錯体触媒が銅、ニッケル及びパラジウムからなる群より選ばれる遷移金属を含む触媒である、請求項3に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【請求項5】
金属フッ化物が、フッ化セシウムまたはフッ化カリウムである、請求項3または請求項4に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【請求項6】
遷移金属錯体触媒が1価もしくは2価の銅原子と窒素配位子もしくはリン配位子とを含む、請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【請求項7】
遷移金属錯体触媒が1価または2価の銅原子および窒素配位子を含んでなる、請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性フルオロ基含有化合物は、医薬品、農薬の製造中間体や電子材料原料として有用な化合物である、光学活性フルオロ基含有化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学活性フルオロ基含有化合物としては、(S)‐N‐フェニル‐2‐フルオロプロピオンアミドが知られている(例えば、非特許文献1)。ここで、(S)‐N‐フェニル‐2‐フルオロプロピオンアミドは、第2級不斉炭素原子にフッ素原子が結合した光学活性フルオロ基含有化合物である。これに対し、第3級不斉炭素原子にフッ素原子が結合した光学活性フルオロ基含有化合物は立体的に混み合っている。このため、その合成は非常に困難である。
例えば、非特許文献2には、第3級不斉炭素原子にフッ素原子が結合した環状化合物が記載されている。これに対し、非環状の不斉炭素原子を有する光学活性化合物は、環構造上に不斉炭素原子を有する光学活性化合物と比較して合成が困難であった(例えば、非特許文献3、非特許文献4)。
このため、非環状の不斉炭素原子を有する光学活性化合物を実用的に製造する方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】マリナ タンソヴァ(Marina Tanasova)ら,European Journal of Organic Chemistry (2009),25,4242-4253。
【非特許文献2】ジアン カオ(Jian Cao)ら,Nature Chemistry (2021),13,671-676
【非特許文献3】ポール バートレット(Paul A Bartlett),Tetrahedron (1980),36,2-72。
【非特許文献4】大石 武ら,有機合成化学協会誌(1981),第39巻,633-641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の背景技術に鑑み、本発明の目的は、新規な光学活性フルオロ基含有化合物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは新規な光学活性フルオロ基含有化合物およびその製造方法について鋭意検討した。その結果、脂肪族アミン類または芳香族アミン類を配位子として用い、金属錯体触媒存在下、光学活性ハロゲノ基含有アミド化合物と金属フッ素化物を作用させることにより、高い光学純度を維持しつつ高い収率で新規な光学活性フルオロ基含有化合物を製造可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、以下に係る。
[1]
下記一般式(1)で表される光学活性フルオロ基含有化合物。
【化1】
(式(1)中、*は不斉炭素原子を示す。RおよびRは各々独立して、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示し、RとRとは異なる置換基であり、Rは芳香族基を示し、Rは水素原子、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示す。)
[2]
が水素原子であることを特徴とする、項[1]に記載の光学活性フルオロ基含有化合物。
[3]
下記一般式(2)で表される光学活性ハロゲノ基含有化合物類を、遷移金属錯体触媒存在下、金属フッ化物と反応させることを特徴とする、項[1]または項[2]に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【化2】
(式(2)中、*は不斉炭素原子を示す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。RおよびRは各々独立して、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示し、RとRとは異なる置換基であり、Rは芳香族基を示し、Rは水素原子、炭素数1~15のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~15のアルキル基、芳香族基で置換されたアルキル基または芳香族基を示す。)
[4]
遷移金属錯体触媒が銅、ニッケル及びパラジウムからなる群より選ばれる遷移金属を含む触媒である、項[3]に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
[5]
金属フッ化物が、フッ化セシウムまたはフッ化カリウムである、項[3]または項[4]に記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
[6]
遷移金属錯体触媒が1価もしくは2価の銅原子と窒素配位子もしくはリン配位子とを含む、項[3]~項[5]のいずれかに記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
[7]
遷移金属錯体触媒が1価または2価の銅原子および窒素配位子を含んでなる、項[3]~項[5]のいずれかに記載の光学活性フルオロ基含有化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、医薬品、農薬の製造中間体や電子材料原料として有用な化合物である、新規な光学活性フルオロ基含有化合物群が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
前記一般式(1)および前記一般式(2)で示される光学活性フルオロ基含有化合物のR、R、R4に含まれる「アルキル基」は、アルカンから1個の水素原子を除去することにより生成される1価の官能基を意味する。アルキル基は、鎖状、環状及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。なお、環状のアルキル基は「シクロアルキル基」と同義である。鎖状は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。アルキル基は、好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状である。アルキル基の炭素数は通常1~15個であり、1~8個がより好ましい。具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の環状のアルキル基;シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等の直鎖状又は分岐鎖状部分と環状部分とを有するアルキル基等が挙げられる。
【0010】
前記一般式(1)および前記一般式(2)で示される光学活性フルオロ基含有化合物のR、R、R4に含まれる「ハロゲン原子で置換されたアルキル基」とは、前記「アルキル基」の水素原子を任意の数のハロゲン原子で置換した官能基である。「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。ハロゲン原子で置換されたアルキル基に含まれるハロゲン原子の数は通常1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個である。
【0011】
前記一般式(1)および前記一般式(2)で示される光学活性フルオロ基含有化合物のR、R、R4に含まれる「芳香族基で置換されたアルキル基」とは、前記「アルキル基」の水素原子を芳香環1つのフェニル基や任意の数の芳香環を有する芳香族基で置換した官能基である。芳香族基で置換されたアルキル基に含まれる芳香族基の数は通常1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1個又は2個である。特に、芳香族基が多環芳香族炭化水素基または置換多環芳香族炭化水素基である場合の数はその立体的にとりうる構造上の観点から1個又は2個が好ましい。
【0012】
前記一般式(1)および前記一般式(2)で示される光学活性フルオロ基含有化合物のR、R、R、Rに含まれる「芳香族基」は、芳香環から1個の水素原子を除去することにより生成される1価の官能基を意味し、芳香環1つのフェニル基や任意の数の芳香環を有する官能基が含まれる。前記「芳香族基」は特に限定されないが、芳香族炭化水素基、置換芳香族炭化水素基、多環芳香族炭化水素基、置換多環芳香族炭化水素基、複素環芳香族基、フルオレン基などの基のいずれかが挙げられる。具体的には例えば、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,3-ジイソプロピルフェニル基、2,4-ジイソプロピルフェニル基、2,5-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、3,4-ジイソプロピルフェニル基、3,5-ジイソプロピルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、3-tert-ブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2―ナフチル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、2-カルボキシメチルフェニル基、3-カルボキシメチルフェニル基、4-カルボキシメチルフェニル基、2-カルボキシエチルフェニル基、3-カルボキシエチルフェニル基、4-カルボキシエチルフェニル基、4-(カルボキシ3-ブロモプロピル)フェニル基、4-(カルボキシ(4-ブロモフェニル)メチル)フェニル基等が挙げられる。
【0013】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造に適用可能な遷移金属錯体触媒は特に限定されないが、特に銅、ニッケル及びパラジウムからなる群より選ばれる遷移金属を含む触媒が好ましい。
【0014】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造には遷移金属錯体触媒が使用される。遷移金属錯体触媒の使用量は、所望の反応が進行する範囲で適宜調整することができる。具体的には、前記一般式(2)で示される光学活性ハロゲノ基含有化合物1当量に対して、通常0.0001当量~0.5当量、好ましくは、0.01当量~0.2当量である。
【0015】
一実施形態において、本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造に適用可能な遷移金属触媒は、銅錯体触媒である。銅錯体触媒は、銅原子及び該銅原子にキレートする配位子を含んでなる。銅錯体触媒における銅原子の価数は、通常0価~3価、好ましくは1価又は2価である。なお、1価又は2価の銅原子(銅イオン)が触媒として作用するためには、配位子とのキレート形成が必要である。
銅錯体触媒において、配位子と銅原子との比に特に限定されないが、配位子1個あたり1個以上の銅原子が配位することが好ましい。配位子1個あたりの銅原子の数は、例えば、1個~3個である。銅錯体触媒に含まれる銅原子は、例えば、反応系に添加された銅塩又はその水和物若しくは溶媒和物に由来する。銅触媒が銅錯体触媒である実施形態において、予め形成された銅錯体触媒を反応系に添加してもよいし、反応系に銅塩又はその水和物若しくは溶媒和物と配位子とを添加し、反応系中で銅錯体触媒を形成してもよい。
銅塩又はその水和物若しくは溶媒和物の具体例は、例えば、フッ化銅(I)(CuF)、フッ化銅(II)(CuF)、塩化銅(I)(CuCl)、塩化銅(II)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、臭化銅(II)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、ヨウ化銅(II)(CuI)、酢酸銅(I)(CuOAc)、酢酸銅(II)(Cu(OAc))、シアン化銅(I)(CuCN)、酸化銅(I)(CuO)、酸化銅(II)(CuO)、安息香酸銅(I)(CuOBz)、安息香酸銅(II)(Cu(OBz))等が挙げられる。これらのうち、触媒活性および鏡像体過剰率の維持の観点から、臭化銅(II)、塩化銅(II)、及び酢酸銅(II)が好ましく、臭化銅(II)がより好ましい。
【0016】
銅錯体触媒に含まれる配位子は、銅原子に配位結合で結合している分子又はイオンである。銅錯体触媒の活性を考慮して好ましい配位子は、窒素配位子またはリン配位子である。窒素配位子は、配位原子として窒素原子を含有する配位子である。リン配位子は、配位原子としてリン原子を含有する配位子である。
配位原子は、配位結合に直接かかわっている原子である。窒素配位子は、通常、塩基性である。窒素配位子は、例えば、アミン系又はイミン系の多座配位子である。多座配位子は、二座以上の配位子である。二座配位子は、配位原子数が2個の配位子であり、三座配位子は、配位原子数が3個の配位子であり、四座配位子は、配位原子数が4個の配位子である。
【0017】
窒素配位子としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMDTA)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDTA)、1,10-フェナントロリン、5-アミノ-1,10-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン-5,6-ジオン、1,10-フェナントロリン-4,7-ジフェニル、2,2-ビピリジン、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン、5,5’-ジ-メチル-2,2’-ビピリジン、4,4’-ジ-メトキシ2,2’-ビピリジン等が挙げられる。中でも好ましい窒素配位子は、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジンである。
【0018】
その他の窒素配位子としては、例えば、3,3’-ビピリジン、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン、4,4’-ジ-(5-ノニル)-2,2’-ビピリジン、N-(n-プロピル)ピリジルメタンイミン、N-(n-オクチル)ピリジルメタンイミン等の二座配位の多座アミン;N-プロピル-N,N-ジ(2-ピリジルメチル)アミン等の三座配位の多座アミン;ヘキサメチルトリス(2-アミノエチル)アミン、N,N-ビス(2-ジメチルアミノエチル)-N,N’-ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12-テトラメチル-2,5,9,12-テトラアザテトラデカン、2,6,9,13-テトラメチル-2,6,9,13-テトラアザテトラデカン、4,11-ジメチル-1,4,8,11-テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’-ジメチル-N’,N’’-ビス((ピリジン-2-イル)メチル)エタン-1,2-ジアミン、トリス[(2-ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12-テトラメチル-2,5,8,12-テトラアザテトラデカン等の四座配位の多座アミン;N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’-ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン等の五座配位の多座アミン;N,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン等の六座配位の多座アミン;ポリアミン、ポリエチレンイミン等のその他の窒素配位子等が挙げられる。
【0019】
リン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチル-ホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ) エタン、1,1‘-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(+-)-2,2‘-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル等が挙げられる。
【0020】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造に適用可能な金属フッ化物は特に限定されないが、フッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム等が挙げられる。特にフッ化セシウムとフッ化カリウムが好ましく、さらにフッ化セシウムが好ましい。
【0021】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造に適用可能な金属フッ化物の使用量は、前記一般式(2)で表される光学活性ハロゲノ基含有化合物類に対して、1.0モル倍量以上で良い。処理に用いる含フッ素ジエポキシ化合物に対しては1.0モル倍量~5.0モル倍量が好ましい。特に好ましくは2.0モル倍量~3.0モル倍量である。金属フッ化物が少なすぎる場合は収率が悪く、多すぎる場合は残存する金属フッ化物を除去する操作が必要となり作業が煩雑になる。
【0022】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造における反応雰囲気は、遷移金属錯体触媒の活性を考慮して、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。反応圧力は、加圧、常圧及び減圧のいずれであってもよい。
【0023】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造における反応温度および反応時間は、用いる基質の量、触媒の量に応じて適宜決定してよく、特に限定されないが、通常-30℃~120℃の温度範囲で0.5時間~72時間、好ましくは-10℃~100℃の温度範囲で1時間~48時間、より好ましくは10℃~80℃の温度範囲で3時間~24時間である。
【0024】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造における溶剤は好ましくは有機溶媒であり、例えば、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤などを用いて良いし、複数の溶剤を組み合わせても良い。特にアセトニトリルが好ましい。
【0025】
本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造における反応後の後処理としては、周知の方法で実施可能である。例えば、室温において飽和の塩化アンモニウム水溶液を添加した後、塩化メチレンを用いて抽出、集めた有機相を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、濃縮し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより目的物の上記した一般式(1) で表される光学活性フルオロ基含有化合物を得ることができる。
【0026】
なお、本発明の光学活性フルオロ基含有化合物の製造において実用的にも採用できる光学純度として、30%ee以上、好ましくは70%ee以上、さらに好ましくは90%ee以上で得ることができる。前記eeとは鏡像体過剰率を表す。鏡像体過剰率は、各鏡像異性体のモル分率の間の絶対値の差として定義される。例えば、90%がR異性体で10%がS異性体である試料は、80%の鏡像体過剰率である。また、化合物の光学純度はカラムクロマトグラフィーを用いた光学分割や再結晶法などで向上することもできる。
【実施例0027】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
なお、分析には下記機器を使用した。
H-NMR(500MHz),13C-NMR(125MHz):日本電子株式会社製500MHz NMR装置
高速液体クロマトグラフィー:日本分光株式会社製PU-2080、UV-2075
旋光計:日本分光株式会社製 P-2100
【0029】
実施例中の記号及び略称は、以下の意味で用いられる。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
ee:鏡像体過剰率
【0030】
実施例に先立ち、まず光学活性ハロゲノ基含有化合物類の合成について述べる。
合成例1 光学活性な2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの合成
撹拌子とラバー蓋およびアルミニウムカバー蓋を備えた容器に窒素雰囲気下2-エチルヘキサン酸(1.58ml、10mmol)、三臭化リン(0.33mL、3.3mol)を加え、窒素雰囲気下90℃で1時間撹拌した。その後臭素(0.82ml、16mmol)を加え110℃に昇温した。110℃に到達後、針にて系内を脱圧し窒素雰囲気下3時間撹拌した。その後室温まで冷却しシクロヘキサン(2ml)を加え粗α-ブロモカルボン酸臭化物を得た。
次に、トリエチルアミン(4.2mL、30mmol)、塩化メチレン(10mL、1.0mol/L)を加え、アニリン(0.91mL、10mmol)を0℃にて滴下した。その後室温で終夜撹拌し反応させた。
反応後の溶液は飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(20mL)で3回洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で3回洗浄、飽和食塩水(20mL)で1回洗浄し得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液はヘキサン/酢酸エチル)で精製しラセミ体の2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドを得た(2.74g、収率92%)。光学活性体はキラルカラムによる光学分割で得た(100%ee)。
【0031】
得られた2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの分析結果は以下の通りであった。
H-NMR(CDCl、500MHz)8.67ppm(brs、1H)、7.56ppm(d、J=7.2Hz、2H)、7.36ppm(t、J=7.8Hz、2H)、7.16ppm(t、J=7.8Hz、1H)、2.05-2.22ppm(m、2H)、2.07-1.96ppm(m、2H)、1.64-1.58ppm(m、1H)、1.41-1.30ppm(m、3H)、1.08ppm(t、J=7.3Hz、3H)、0.90ppm(t、J=7.3Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)168.7ppm、137.3ppm、129.1ppm、125.1ppm、120.1ppm、79.4ppm、43.1ppm、36.7ppm、28.3ppm、22.6ppm、14.0ppm、10.6ppm.
比旋光度:[α] 25=+18.6(c=0.152、CHCl)。
【0032】
2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの光学純度の分析条件:
光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0033】
合成例2~7 光学活性ハロゲノ基含有化合物類の合成
合成例1において、アニリンに替えて表1に示すアミン(10mmol)を用いた以外は、合成例1と同様の手順にて表1に示す生成物を合成した。結果を表1に示す。光学活性体は表1記載の光学純度の分析条件に従い全てキラルカラムによる光学分割で得た(100%ee)。
【0034】
【表1】
【0035】
1)単離収率
【0036】
2)2-ブロモ-N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-エチルヘキサンアミド:
H-NMR(CDCl、500MHz)8.16ppm(brs、1H)、7.31ppm(d、J=7.9Hz、1H)、7.18ppm(d、J=7.9Hz、2H)、3.08ppm(sept、J=6.9Hz、2H)、2.36-2.24ppm(m、2H)、2.13-2.02ppm(m、2H)、1.68-1.60ppm(m、1H)、1.54-1.45ppm(m、1H)、1.41-1.34ppm(m、2H)、1.22ppm(d、J=7.6Hz、12H)、1.15ppm(t、J=6.7Hz、3H)、0.94ppm(t、J=7.4Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)169.8ppm、 145.9ppm、 131.2ppm、 128.5ppm、 123.5ppm、 79.6ppm、 42.7ppm、 36.1ppm、 28.7ppm、 28.4ppm、 23.7ppm、 22.7ppm、 14.0ppm、 10.6ppm.
比旋光度:[α] 25=+2.23(c=0.250、CHCl)。
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0037】
3)2-ブロモ-2-エチル-N-(4-メチルフェニル)ヘキサンアミド:
H-NMR(CDCl、500MHz)8.60ppm(brs、1H)、7.43ppm(d、J=8.5Hz、2H)、7.16ppm(d、J=8.5Hz、2H)、2.35-2.21ppm(m、2H)、2.32ppm(s、3H)、2.06-1.95ppm(m、2H)、1.61-1.56ppm(m、1H)、1.40-1.29ppm(m、3H)、1.06ppm(t、J=7.2Hz、3H)、0.89ppm(t、J=7.2Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)168.6ppm、 134.8ppm、 134.7ppm、 129.6ppm、 120.2ppm、 79.5ppm、 43.1ppm、 36.7ppm、 28.3ppm、 22.6ppm、 21.0ppm、 14.0ppm、 10.6ppm.
比旋光度:[α] 25=-6.65(c=0.283、CHCl)。
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0038】
4)4-(2-ブロモ-2-エチルヘキサンアミド)安息香酸エチル:
H-NMR(CDCl、500MHz)8.80ppm(brs、1H)、8.04ppm(d、J=8.7Hz、2H)、7.64ppm(d、J=8.7Hz、2H)、4.37ppm(q、J=7.1Hz、2H)、2.33-2.21ppm(m、2H)、2.08-1.97ppm(m、2H)、1.62-1.54ppm(m、1H)、1.39ppm(t、J=7.1Hz、3H)、1.37-1.36ppm(m、3H)、1.07ppm(t、J=7.2Hz、3H)、0.90ppm(t、J=7.1Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)169.0ppm、 166.1ppm、 141.2ppm、 130.9ppm、 126.8ppm、 119.1ppm、 79.0ppm、 61.0ppm、 42.9ppm、 36.6ppm、 28.3ppm、 22.6ppm、 14.4ppm、 14.0ppm、 10.6ppm.
比旋光度:[α] 25=+1.86(c=0.250、CHCl)。
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0039】
5)2-ブロモ-N-(2、6-ジメチルフェニル)-2-エチルヘキサンアミド:
H-NMR(CDCl、500MHz)8.25ppm(brs,1H),7.13-7.07ppm(m,3H),2.38-2.23ppm(m,2H),2.26ppm(s,6H),2.13-2.00ppm(m,2H),1.70-1.61ppm(m,1H),1.54-1.45ppm(m,1H),1.41-1.34ppm(m,2H),1.15ppm(t,J=7.1Hz,3H),0.93ppm(t,J=7.4,3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)168.8ppm、 135.2ppm、 134.0ppm、 128.4ppm、 127.5ppm、 79.8ppm、 42.9ppm、 36.4ppm、 28.5ppm、 22.7ppm、 18.9ppm、 14.1ppm、 10.8.
比旋光度:[α] 25=+4.26(c=0.300、CHCl)。
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0040】
6)N-((1,1‘-ビフェニル)-2-イル)-2-ブロモ-2-エチルヘキサンアミド:
H-NMR(CDCl、500MHz)8.71ppm(brs、1H)、8.30ppm(d、J=8.3Hz、1H)、7.49ppm(t、J=7.5Hz、2H)、7.44-7.36ppm、(m、4H)、7.30ppm(d、J=7.1Hz、1H)、7.21ppm(t、J=7.5Hz、1H)、2.26-2.13ppm(m、2H)、1.95-1.83ppm(m、2H)、1.48-1.40ppm(m、1H)、1.34-1.22ppm(m、3H)、0.98ppm(t、J=7.2Hz、3H)、0.88ppm(t、J=7.1Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)168.6ppm、 137.8ppm、 134.7ppm、 133.2ppm、 130.1ppm、 129.6ppm、 129.2ppm、 128.5ppm、 128.2ppm、 120.9ppm、 78.8ppm、 43.1ppm、 36.6ppm、 28.3ppm、 22.6ppm、 14.1ppm、 10.6ppm.
比旋光度:[α] 25=-20.1(c=0.196、CHCl)。
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0041】
7)2-ブロモ-2-エチル-N-(4-メトキシフェニル)ヘキサンアミド:
H-NMR(CDCl、500MHz)8.56ppm(brs、1H)、7.44ppm(d、J=9.1Hz、2H)、6.89ppm(d、J=9.1Hz、2H)、3.79ppm(s、3H)、2.33-2.21ppm(m、2H)、2.06-1.95ppm(m、2H)、1.62-1.55ppm(m、1H)、1.39-1.29ppm(m、3H)、1.07ppm(t、J=7.2Hz、3H)、0.90ppm(t、J=7.2Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)168.5ppm、 157.0ppm、 130.4ppm、 122.0ppm、 114.3ppm、 79.5ppm、 55.6ppm、 43.1ppm、 36.7ppm、 28.3ppm、 22.6ppm、 14.0ppm、 10.6ppm.
比旋光度:[α] 25=+1.46(c=0.235、CHCl)。
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0042】
合成例8 光学活性な2-ブロモ-N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-メチルヘキサンアミドの合成
合成例1において、2-エチルヘキサン酸に替えて2-メチルヘキサン酸(1.41mL、10mmol)を用いた以外は、合成例1と同様の手順にて合成しラセミ体の2-ブロモ-N-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-メチルヘキサンアミドを得た(3.12g、収率83%)。光学活性体は全てキラルカラムによる光学分割で得た(100%ee)。
【0043】
得られた2-ブロモ-N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-メチルヘキサンアミドの分析結果は以下の通りであった。
H-NMR(CDCl、500MHz)8.07ppm(brs、1H)、7.30ppm(t、J=7.7Hz、1H)、7.18ppm(d、J=7.7Hz、2H)、3.05ppm(sept、J=6.8Hz、2H)、2.33-2.27ppm(m、2H)、2.06ppm(s、3H)、2.05-1.99ppm(m、2H)、1.64-1.58ppm(m、1H)、1.53-1.45ppm(m、1H)、1.42-1.36ppm(m、2H)、1.22ppm(d、J=6.8Hz、6H)、1.20ppm(d、J=6.8Hz、6H)、0.94ppm(t、J=7.3Hz、3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.6ppm、146.1ppm、131.1ppm、128.5ppm、123.5ppm、71.1ppm、43.9ppm、31.5ppm、28.8ppm、28.7ppm、23.7ppm、22.6ppm、14.0ppm.
比旋光度:[α] 25=-2.09(c=0.744、CHCl)。
【0044】
2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの光学純度の分析条件:
光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0045】
合成例9 光学活性な2-ブロモ-N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-メチルヘプタンアミドの合成
合成例1において、2-エチルヘキサン酸に替えて2-メチルヘプタン酸(1.58mL、10mmol)を用いた以外は、合成例1と同様の手順にて合成しラセミ体の2-ブロモ-N-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-メチルヘプタンアミドを得た(3.23g、収率85%)。光学活性体は全てキラルカラムによる光学分割で得た(100%ee)。
【0046】
得られた2-ブロモ-N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-メチルヘプタンアミドの分析結果は以下の通りであった。
H-NMR(CDCl、500MHz)8.08ppm(brs,1H),7.31ppm(t,J=7.7Hz,1H),7.18ppm(d,J=7.7Hz,2H),3.06ppm(sept,J=6.9Hz,2H),2.33-2.27ppm(m,1H),2.07ppm(s,3H),2.04-1.98ppm(m,1H),1.67-1.59ppm(m,1H),1.55-1.48ppm(m,1H),1.37-1.32ppm(m,4H),1.22ppm(d,J=6.9Hz,6H),1.20ppm(d,J=6.9Hz,6H),0.91ppm(t,J=7.0Hz,3H).
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.6ppm,146.1ppm,131.1ppm,128.5ppm,123.5ppm,71.2ppm,44.1ppm,31.65ppm,31.61ppm,28.8ppm,26.2ppm,23.7ppm,22.6ppm,14.0ppm.
比旋光度:[α] 25=+1.949(c=0.768、CHCl)。
【0047】
2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘプタンアミドの光学純度の分析条件:
光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:YMC CHIRAL ART Amylose-SA(ワイエムシィ社)
流量:21.0mL/min
溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル比99/1
検出波長:254nm
【0048】
実施例1 光学活性な2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの合成
撹拌子を備えた反応器に対し、合成例1で合成した2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミド60mg(0.20mmol)、臭化銅(II)4.6mg(2.0×10-2mmol)、フッ化セシウム61mg(0.40mmol)、配位子として4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン5.4mg(2.0×10-2mmol)を加え、気相部を窒素で置換した後に脱水アセトニトリルを0.4ml加え10℃~80℃で24時間撹拌し反応を行った。反応後シリカゲルろ過、濃縮を行い、粗生成物を得た。得られた粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、目的の光学活性な2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドを得た(収率89%、98%ee)。
【0049】
得られた2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの分析結果は以下の通りであった。
H-NMR(CDCl、500MHz)8.09ppm(d、J=8.6Hz、1H)、7.59ppm(d、J=8.7Hz、2H)、7.36ppm(t、J=7.4Hz、2H)、7.15ppm(t、J=7.4Hz、1H)、2.13-1.95ppm(m、2H)、1.91-1.77ppm(m、2H)、1.50-1.43ppm(m、1H)、1.36-1.26ppm(m、3H)、0.98ppm(t、J=7.5Hz、3H)、0.89ppm(t、J=7.2Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.2ppm(d、J=20.3Hz)、137.0ppm、129.2ppm、124.8ppm、119.9ppm、101.8ppm(d、J=187.9Hz)、36.9ppm(d、J=22.2Hz)、30.5ppm(d、J=22.2Hz)、25.3ppm(d、J=3.5Hz)、22.8ppm、14.0ppm、7.6ppm(d、J=4.3Hz)
比旋光度:[α] 25=+6.12(c=0.337、CHCl).
【0050】
2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの光学純度の分析条件:
光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0051】
実施例2~21 光学活性な2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドの合成
撹拌子を備えた反応器に対し、合成例1で合成した2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミド60mg(0.20mmol)を加え、銅塩(2.0×10-2mmol)、フッ化セシウム、配位子(2.0×10-2mmol)を表2に記載の所定量加え、気相部を窒素で置換した後、溶媒を表2に記載の所定量加え、10~80度にて24時間撹拌し反応を行った。反応後は実施例1と同様にシリカゲルろ過、濃縮を行い、粗生成物を得た。得られた粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的の光学活性な2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドを得た。実施例1と同様の方法で収率とエナンチオマー過剰率を算出し、結果を表2中に示した。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例22~29 光学活性フルオロ基含有化合物の合成
撹拌子を備えた反応器に対し合成例2~7で合成した光学活性ハロゲノ基含有化合物を表3に記載の所定量(0.20mmol)を加え、臭化銅(II)4.6mg(2.0×10-2mmol)、フッ化セシウム61mg(0.40mmol)、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン5.4mg(2.0×10-2mmol)を加え、気相部を窒素で置換した後、アセトニトリルを0.4ml加え、80℃にて24時間撹拌し反応を行った。反応後は実施例1と同様にシリカゲルろ過、濃縮を行い、粗生成物を得た。得られた粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的の光学活性な2-フルオロ-2-エチル-N-フェニルヘキサンアミドを得た。実施例1同様の方法で収率とエナンチオマー過剰率を算出し、結果を表3中に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
1)単離収率
【0056】
2)N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-エチル-2-フルオロ-ヘキサンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)7.61ppm(d、J=8.1Hz、1H)、7.31ppm(t、J=7.5Hz、1H)、7.19ppm(d、J=7.7Hz、2H)、3.11ppm(sept、J=6.9Hz、2H)、2.16-2.01ppm(m、2H)、1.98-1.82ppm(m、2H)、1.58-1.52ppm(m、1H)、1.46-1.31ppm(m、3H)、1.21ppm(d、J=6.8Hz、12H)、1.07ppm(t、J=7.5Hz、3H)、0.93ppm(t、J=7.3Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)171.3ppm(d、J=21.0Hz)、146.1ppm、130.2ppm、128.4ppm、123.5ppm、102.3ppm(d、J=187.1Hz)、36.7ppm(d、J=22.3Hz)、30.3ppm(d、J=22.8Hz)、28.7ppm、25.6ppm(d、J=3.0Hz)、23.7ppm、22.9ppm、14.0ppm、7.6ppm(d、J=4.7Hz)
比旋光度:[α] 25=+8.41(c=0.186、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0057】
3)2-エチル-2-フルオロ-N-(4-メチルフェニル)ヘキサンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)8.03ppm(d,J=9.1Hz,1H),7.47ppm(d,J=8.4Hz,2H),7.16ppm(d,J=8.5Hz,2H),2.33ppm(s,3H),2.12-1.94ppm(m,2H),1.90-1.75ppm(m,2H),1.49-1.42ppm(m,1H),1.36-1.25ppm(m,3H),0.97ppm(t,J=7.5Hz,3H),0.89ppm(t,J=7.2Hz,3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.1ppm(d,J=20.0Hz),134.5ppm,134.4ppm,129.6ppm,120.0ppm,101.8ppm(d,J=188.4Hz),36.9ppm(d,J=22.3Hz),30.5ppm(d,J=22.2Hz),25.3ppm(d,J=3.1Hz),22.8ppm,20.9ppm,14.0ppm,7.6ppm(d,J=4.3Hz)
比旋光度:[α] 25=+4.29(c=0.250、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0058】
4)4-(2-エチル-2-フルオロヘキサンアミド)安息香酸エチル
H-NMR(CDCl、500MHz)8.24ppm(d、J=8.9Hz、1H)、8.03ppm(d、J=8.7Hz、2H)、7.67ppm(d、J=8.7Hz、2H)、4.37ppm(q、J=7.1Hz、2H)、2.12-1.97ppm(m、2H)、1.95-1.78ppm(m、2H)、1.50-1.42ppm(m、1H)、1.39ppm(t、J=7.1Hz、3H)、1.36-1.25ppm(m、3H)、0.97ppm(t、J=7.4Hz、3H)、0.89ppm(t、J=7.2Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.6ppm(d、J=20.2Hz)、166.1ppm、140.9ppm、130.9ppm、126.6ppm、119.0ppm、101.9ppm(d、J=188.2Hz)、61.0ppm、36.8ppm(d、J=21.5Hz)、30.4ppm(d、J=22.7Hz)、25.3ppm(d、J=3.1Hz)、22.7ppm、14.4ppm、13.9ppm、7.6ppm(d、J=4.8Hz)
比旋光度:[α] 25=+5.91(c=0.220、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0059】
5)N-(2、6-ジメチルフェニル)-2-エチル-2-フルオロヘキサンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)7.69ppm(d、J=8.1Hz、1H)、7.13-7.08ppm(m、3H)、2.26ppm(s、6H)、2.15-1.99ppm(m、2H)、1.98-1.80ppm(m、2H)、1.59-1.52ppm(m、1H)、1.48-1.40ppm(m、1H)、1.38-1.32ppm(m、2H)、1.07ppm(t、J=7.5Hz、3H)、0.92ppm(t、J=7.3Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.2ppm(d、J=20.5Hz)、135.2ppm、133.1ppm、128.4ppm、127.4ppm、102.3ppm(d、J=188.0Hz)、36.8ppm(d、J=21.3Hz)、30.4ppm(d、J=22.6Hz)、25.6ppm(d、J=3.1Hz)、22.8ppm、18.9ppm、14.0ppm、7.8ppm(d、J=4.2Hz)
比旋光度:[α] 25=+10.29(c=0.287、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0060】
6)N-((1,1‘-ビフェニル)-2-イル)-2-エチル-2-フルオロヘキサンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)8.33ppm(d、J=8.2Hz、1H)、8.20ppm(d、J=8.7Hz、1H)、7.48ppm(t、J=7.1Hz、2H)、7.44-7.36ppm(m、4H)、7.30ppm(dd、J=1.4、7.6Hz、1H)、7.22ppm(t、J=7.4Hz、1H)、2.07-1.89ppm(m、2H)、1.82-1.64ppm(m、2H)、1.37-1.20ppm(m、4H)、0.90ppm(t、J=7.5Hz、3H)、0.88ppm(t、J=7.3Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)170.1ppm(d、J=20.1Hz)、137.8ppm、133.9ppm、132.9ppm、130.2ppm、129.3ppm、129.0ppm、128.4ppm、128.1ppm、124.8ppm、121.3ppm、101.6ppm(d、J=189.0Hz)、36.9(d、J=22.1Hz)、30.5ppm(d、J=22.5Hz)、25.3ppm(d、J=2.9Hz)、22.7ppm、14.0ppm、7.5ppm(d、J=4.1Hz)
比旋光度:[α] 25=-20.67(c=0.201、CHCl
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0061】
7)2-エチル-2-フルオロ-N-(4-メトキシフェニル)ヘキサンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)7.99ppm(d、J=8.3Hz、1H)、7.49ppm(d、J=9.0Hz、2H)、6.89ppm(d、J=8.9Hz、2H)、3.80ppm(s、3H)、2.12-1.94ppm(m、2H)、1.90-1.76ppm(m、2H)、1.50-1.43ppm(m、1H)、1.36-1.25ppm(m、3H)、0.97ppm(t、J=7.4Hz、3H)、0.89(t、J=7.2Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)169.9ppm(d、J=19.9Hz)、156.8ppm、130.1ppm、121.7ppm、114.3ppm、101.8ppm(d、J=187.7Hz)、55.6ppm、36.8ppm(d、J=22.2Hz)、30.4ppm(d、J=22.7Hz)、25.3ppm(d、J=3.0Hz)、22.7ppm、13.9ppm、7.6ppm(d、J=4.2Hz)
比旋光度:[α] 25=+4.19(c=0.186、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0062】
8)N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-フルオロ-2-メチルヘキサンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)7.61ppm(d、J=7.5Hz、1H)、7.30ppm(t、J=7.7Hz、1H)、7.18ppm(d、J=7.7Hz、2H)、3.06ppm(sept、J=6.9Hz、2H)、2.17-2.03ppm(m、1H)、1.90-1.80ppm(m、1H)、1.66ppm(d、J=22.6Hz、6H)、1.61-1.55ppm(m、1H)、1.46-1.35ppm(m、3H)、1.21ppm(t、J=6.9Hz、6H)、1.20ppm(d、J=6.9Hz、6H)、0.93ppm(t、J=7.2Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)171.9ppm(d、J=21.0Hz)、146.2ppm、130.1ppm、128.5ppm、123.5ppm、100.0ppm(d、J=185.9Hz)、37.7ppm(d、J=21.8Hz)、28.7ppm、25.6ppm(d、J=3.0Hz)、24.3ppm(d、J=24.0Hz)、23.7ppm、23.6ppm、22.8ppm、14.1ppm
比旋光度:[α] 25=+10.99(c=0.512、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【0063】
9)N-(2、6-ジイソプロピルフェニル)-2-フルオロ-2-メチルヘプタンアミド
H-NMR(CDCl、500MHz)7.60ppm(d、J=7.5Hz、1H)、7.30ppm(t、J=7.7Hz、1H)、7.18ppm(d、J=7.7Hz、2H)、3.06ppm(sept、J=6.9Hz、2H)、2.17-2.03ppm(m、1H)、1.88-1.78ppm(m、1H)、1.66ppm(d、J=22.6Hz、6H)、1.61-1.55ppm(m、1H)、1.48-1.40ppm(m、1H)、1.35-1.31ppm(m、4H)、1.20ppm(t、J=6.9Hz、6H)、1.19ppm(d、J=6.9Hz、6H)、0.90ppm(t、J=7.1Hz、3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)171.9ppm(d、J=19.7Hz)、146.2ppm、130.1ppm、128.5ppm、123.5ppm、100.0ppm(d、J=184.0Hz)、38.0ppm(d、J=21.9Hz)、31.8ppm、28.7ppm、24.4ppm(d、J=23.9Hz)、23.6ppm、23.1ppm(d、J=24.03.2Hz)、22.6ppm、14.0ppm
比旋光度:[α] 25=-10.34(c=0.553、CHCl).
光学純度の分析条件:光学純度は得られた生成物をHPLCにてキラルカラムを使用し得られたピークの面積を分析することにより算出した。詳しい測定条件は、以下の通りである。
キラルカラム:IA-3(ダイセル社)
流量:0.5mL/min
溶媒:n-ヘキサン/2-プロパノール比99/1
検出波長:254nm
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、医薬品、農薬の製造中間体や電子材料原料として有用な化合物である、新規な光学活性フルオロ基含有化合物群が提供でき、産業上有用である。