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特開2023-111006トイレ清掃装置及びその管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111006
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】トイレ清掃装置及びその管理システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/24 20060101AFI20230803BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20230803BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A47K13/24
E03D11/00 Z
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012604
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】317019959
【氏名又は名称】株式会社ビコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 秀和
(72)【発明者】
【氏名】指田 実
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AB21
2D037AD13
2D037AD18
2D037EA00
2D038KA02
2D038ZA00
2D039AA02
2D039CC00
2D039DB00
2D039FA02
2D039FB03
(57)【要約】
【課題】 作業担当者の負担を軽減し、効率的にトイレの清掃を行う。
【解決手段】 管理装置側から清掃の指示を受信すると、ロボット制御部700は、蓋開閉モータ600を駆動し、蓋30が開いているときは閉じる。次に、清掃液供給ポンプ・バルブ382を駆動し、清掃液を清掃ペーパーPDに供給する。そして、ヘッド前後移動モータ310を駆動し、便座クリーニングヘッド300を前進移動する。また、目隠しカバー駆動モータ510を駆動し、目隠しカバー500を開く。続いて、ヘッド旋回駆動モータ320を駆動し、便座クリーニングヘッド300を旋回駆動して便座20のクリーニングを行う。また、ツボクリーニングノズル400を駆動し、便器10のツボのクリーニングを行う。クリーニングが終了すると、清掃ペーパーPDをカッター360でカットし、便器10のツボ内に落として、トイレットペーパーと同様に流す。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの蓋の内側に設けられており、トイレの便座を清掃する便座清掃手段を備えたトイレ清掃装置であって、
前記便座清掃手段は、クリーニングヘッドを備えており、
前記クリーニングヘッドを直線移動する直線移動手段と、
前記クリーニングヘッドを旋回駆動する旋回駆動手段と、
前記直線移動と旋回駆動との組み合わせによって、前記クリーニングヘッドが前記便座に沿って移動するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするトイレ清掃装置。
【請求項2】
前記クリーニングヘッドは、
清掃ペーパーロールと、
この清掃ペーパーロールから引き出した清掃ペーパーPDのカット手段を備えており、
前記清掃ペーパーPDで座面を摺擦することで、前記便座の拭き取りを行い、拭き取り後の清掃ペーパーPDを前記カット手段でカットすることを特徴とする請求項1記載のトイレ清掃装置。
【請求項3】
前記清掃ペーパーPDに対して清掃液を散布する清掃液散布手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のトイレ清掃装置。
【請求項4】
前記クリーニングヘッドの旋回駆動の際に同時に旋回して、便器のツボを清掃するツボ清掃手段を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のトイレ清掃装置。
【請求項5】
前記クリーニングヘッドを覆う目隠しカバーと、
クリーニング時に、前記目隠しカバーを開く目隠しカバー駆動手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のトイレ清掃装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のトイレ清掃装置による清掃動作を遠隔で監視・制御する管理システムであって、
前記トイレ清掃装置との間で通信を行う通信手段と、
この通信手段で得た管理対象のトイレ清掃装置の情報を一覧する一覧ファイルと、
前記一覧ファイルの情報を参照して、トイレ清掃装置の遠隔監視,遠隔制御を行う遠隔監視制御手段と、
を備えたことを特徴とするトイレ清掃装置の管理システム。
【請求項7】
トイレの便器に蓋開閉手段を設け、
前記遠隔監視制御手段が、前記トイレ清掃装置による清掃動作を行う前に、前記蓋開閉手段に蓋を閉じる動作を指示することを特徴とする請求項6記載のトイレ清掃装置の管理システム。
【請求項8】
前記遠隔監視制御手段は、
トイレに設置されたセンサ手段による検知結果を利用して、消耗品の補充を通知することを特徴とする請求項6又は7記載のトイレ清掃装置の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの清掃作業を、ロボットを利用して遠隔監視制御により行うようにしたトイレ清掃装置(トイレ清掃ロボット)及びその管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ清掃を遠隔監視により行う背景技術としては、例えば、下記特許文献1記載の「トイレ管理システム及び管理装置」がある。これは、複数のトイレ室の清掃を適切に管理することを目的としており、トイレ室に設置された便器装置の使用状況に関連する使用状況情報を管理装置が取得し、取得した使用状況情報に基づいて、トイレ室を清掃するタイミングや内容を決定し、それを清掃担当者に通知するようにしたシステムとなっている。下記特許文献2には、効率的なトイレ管理を目的とした「トイレ管理タイミング通知装置、方法、プログラム、システム及び端末」が開示されている。これは、端末と接続されるトイレ管理タイミング通知装置であって、各トイレの汚れ状況を示す情報と、各トイレの消耗品の量を示す情報を取得し、トイレの清掃が必要か否か判定し、清掃が必要と判定された場合、該当するトイレの汚れ状況を示す情報と消耗品量を示す情報とを、清掃担当者の端末に出力することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-141307号公報
【特許文献2】特開2015-17363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した背景技術では、いずれも清掃担当者に対して清掃の必要性を通知するシステムとなっており、清掃自体は、担当者が行うこととなっている。このため、例えば担当者自らがトイレを巡回して監視する場合と比較して、清掃業務が飛躍的に効率化されるわけではない。
【0005】
本発明は、かかる点に着目したもので、その目的は、作業担当者の負担を軽減し、効率的にトイレの清掃を行うことができるトイレ清掃装置及びその管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトイレ清掃装置は、トイレの蓋の内側に設けられており、トイレの便座を清掃する便座清掃手段を備えたトイレ清掃装置であって、前記便座清掃手段は、クリーニングヘッドを備えており、前記クリーニングヘッドを直線移動する直線移動手段と、前記クリーニングヘッドを旋回駆動する旋回駆動手段と、前記直線移動と旋回駆動との組み合わせによって、前記クリーニングヘッドが前記便座に沿って移動するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、前記クリーニングヘッドは、清掃ペーパーロールと、この清掃ペーパーロールから引き出した清掃ペーパーPDのカット手段を備えており、前記清掃ペーパーPDで座面を摺擦することで、前記便座の拭き取りを行い、拭き取り後の清掃ペーパーPDを前記カット手段でカットすることを特徴とする。他の形態によれば、前記清掃ペーパーPDに対して清掃液を散布する清掃液散布手段を備えたことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記クリーニングヘッドの旋回駆動の際に同時に旋回して、便器のツボを清掃するツボ清掃手段を備えたことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記クリーニングヘッドを覆う目隠しカバーと、クリーニング時に、前記目隠しカバーを開く目隠しカバー駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のトイレ清掃の管理システムによれば、前記いずれかのトイレ清掃装置による清掃動作を遠隔で監視・制御する管理システムであって、前記トイレ清掃装置との間で通信を行う通信手段と、この通信手段で得た管理対象のトイレ清掃装置の情報を一覧する一覧ファイルと、前記一覧ファイルの情報を参照して、トイレ清掃装置の遠隔監視,遠隔制御を行う遠隔監視制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
主要な形態の一つによれば、トイレの便器に蓋開閉手段を設け、前記遠隔監視制御手段が、前記トイレ清掃装置による清掃動作を行う前に、前記蓋開閉手段に蓋を閉じる動作を指示することを特徴とする。他の形態によれば、前記遠隔監視制御手段は、トイレに設置されたセンサ手段による検知結果を利用して、消耗品の補充を通知することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、便座を清掃するクリーニングヘッドを、直線移動と旋回駆動とを組み合わせることにより、便座に沿って移動させるとともに、トイレ清掃装置を遠隔監視して清掃動作を遠隔制御することとしたので、トイレの監視や清掃作業の負担が良好に軽減され、トイレの管理の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の清掃ロボットを設置したトイレの外観を示す斜視図である。
図2】前記図1の実施例の主要断面構造を示す図である。
図3】前記実施例におけるクリーニングヘッドを示す図である。
図4】前記実施例における主要構成を示すブロック図である。
図5】前記実施例における主要動作を示すタイムチャートである。
図6】前記実施例にける主要動作を示す図である。
図7】本発明の遠隔監視制御システムを示す図である。
図8】前記システムにおける管理コンピュータの構成を示す図である。
図9】前記システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0013】
最初に、図1図6を参照して、トイレの便器を清掃する清掃ロボットの実施例から説明する。なお、以下の説明では、トイレの使用者からみた前後左右を元に説明する。図1には、本実施例にかかるトイレ清掃ロボットが取り付けられたトイレの全体が示されており、同図(A)は蓋を閉じた状態を示し、(B)は蓋を開けた状態をそれぞれ示す。図2には、蓋部分の前後方向の概略断面が示されている。これらの図において、床面に設置された便器10には、便座20を挟んで蓋30が設けられており、後面側には給水タンク40が配置されている。これらは、一般的なトイレ構造である。
【0014】
本実施例のトイレ清掃ロボット100は、トイレ右側の操作部102,トイレ左側の電装部104,トイレ後側の台座部106,蓋内側の本体200がそれぞれ設けられており、蓋30の前側適宜位置には、清掃液(除菌液)を補給するための補給口110が設けられている。前記本体200は、図2の主要断面に示すように、前側(図の左側)に、便座クリーニングヘッド300が設けられており、その後ろ側に、ヘッド前後移動モータ310,前後移動ギア列312,ヘッド旋回駆動モータ320,旋回駆動ギア列322,が設けられている。操作部102は、トイレ清掃ロボット100のON,OFFを行うスイッチや、動作状態を示す表示灯が設けられている。なお、温水洗浄便座があるときは、その操作部と兼用してもよい。
【0015】
平面から見ると、図6に示すように、固定フレーム210に対して旋回フレーム220が旋回自在に設けられており、この旋回フレーム220に対して、前記便座クリーニングヘッド300が前後移動可能に設けられている。なお、固定フレーム210は、旋回フレーム220を支持する部分の全体を指している。
【0016】
本実施例では、便座クリーニングヘッド300は、清掃開始時は、待機位置から前方向に移動し、その後便座20に沿って旋回する。そして、清掃終了時に、後ろ方向に移動し、待機位置となる。待機位置からの前後移動は、ヘッド前後移動モータ310及び前後移動ギア列312によって行われるようになっている。また、便座20に沿った旋回は、ヘッド旋回駆動モータ320及び旋回駆動ギア列322によって行われるようになっている。
【0017】
次に、前後方向の中央付近には、便器10の内側(ツボ)を清掃するツボクリーニングノズル400が設けられており、上述したヘッド旋回駆動モータ320の駆動力がノズル駆動ギア列412によって伝達されるようになっている。また、ツボクリーニングノズル400は、水道水の配管などに連結され、管路途中に設けたツボ清掃バルブ402によって、その吐出が制御されている。水道水以外の清掃液を別途用意してもよい。
【0018】
前記便座クリーニングヘッド300の下側には、清掃を行わないときに駆動を隠すための目隠しカバー500が設けられており、目隠しカバー駆動モータ510の駆動力がカバー駆動ギア列512を介して伝達されることで、その開閉が行われるようになっている(図4参照)。
【0019】
図3には、便座クリーニングヘッド300が示されており、同図(A)を矢印F3B,F3C,F3Dから見た様子が同図(B),(C),(D)にそれぞれ示されている。これらの図に示すように、便座クリーニングヘッド300は、待機位置でキャプスタン354に設けたカップリング372によって本体側に設けたペーパー搬送モータ351(図4参照)に搬送ギア列353を介して連結される。清掃ペーパーPDは、キャプスタン354及びピンチローラ356で挟まれて搬送される。清掃ローラ352は搬送路途中に設けられ、清掃ペーパーPDはその外周面を通っている。ピンチローラ356の先にはカッター360が設けられており、清掃終了後に清掃ペーパーPDが切断されるようになっている。清掃ペーパーロール350、キャプスタン354及びピンチローラ356には、ロック機構370,371が設けられており、便座クリーニングヘッド300の前後移動に連動して動作し、清掃動作時には清掃ペーパーPDの動きをロックして、清掃ペーパーPDによる座面の拭き取りが良好に行われるようになっている。清掃ペーパーPDには、清掃液が吹き付けられるようになっており、清掃後は、カッター360で切断されて便器10内に落下するようになっている。
【0020】
図4には、トイレ清掃ロボット100の全体の装置構成がブロック図として示されている。上述したモータ等に加えて、前記蓋30には、蓋30の開閉を行う蓋開閉モータ600,開閉ギア列602が設けられている。本実施例では、蓋30を閉じた状態で清掃を行うので、開いているときは蓋30を必ず閉じるようにするためである。また、便座クリーニングヘッド300には、上述した蓋30の補給口110から補給された清掃液が、清掃液タンク381に貯留された後、清掃液供給ポンプ・バルブ382から清掃ペーパーPDに対して供給されるようになっている。
【0021】
更に、トイレ清掃ロボット100には、全体の動作を制御するためのロボット制御部700が設けられており、LANなどの通信部710によって、後述する管理システム側と通信可能となっており、管理システム側からの要求に応じて、各部の動作の制御を行う機能を備えている。また、蓋30の裏側に、便器10,便座20の全体を撮影するカメラ720(図1(B)参照)が設けられている。更に、各種のセンサ類730も必要に応じて設けられている。例えば、トイレを使用したときに水が流されたことを検知するフラッシュセンサ732や、トイレの使用者を検知する人感センサ734が必要位置にそれぞれ設けられる。なお、前記カメラ720は、人感センサ734によって人が検知されたときは、シャッタが閉じるなど、動作しないようになっている。
【0022】
次に、図5及び図6も参照して、トイレ清掃ロボット100の全体動作を説明する。図5には、目隠しカバー500の開閉動作と、便座クリーニング及びツボクリーニングの手順がタイムチャートとして示されている。また、図6には、便座クリーニングヘッド300の動作が示されている。後述する管理装置側から清掃の指示があり、通信部710で受信すると、ロボット制御部700は、蓋開閉モータ600を駆動し、開閉ギア列602を介して蓋30が開いているときは閉じる。
【0023】
次に、図6(A)に示すように、清掃液供給ポンプ・バルブ382を駆動し、清掃液を清掃ペーパーPDに供給する(図5(B)参照)。そして、図6(B)に示すように、ヘッド前後移動モータ310を駆動し、前後移動ギア列312によって便座クリーニングヘッド300を前進移動する。一方、目隠しカバー駆動モータ510を駆動し、カバー駆動ギア列512によって目隠しカバー500を開く(図5(A)参照。続いて、図6(C)に示すように、ヘッド旋回駆動モータ320を駆動し、旋回駆動ギア列322によって便座クリーニングヘッド300を旋回駆動する。これにより、清掃ペーパーPDが座面を摺擦することで、便座20のクリーニングが行われる。
【0024】
ところで、便座20は、一般的に楕円形状であり、円ではない。このため、便座クリーニングヘッド300を単に旋回するだけでは、便座20の形状に沿って旋回することができない。そこで、本実施例では、予め便座20の形状を、事前に把握してロボット制御部700に保存し、その形状データに基づいて、ロボット制御部700で、ヘッド前後移動モータ310,ヘッド旋回駆動モータ320を駆動制御し、前後移動と旋回駆動との組み合わせて、便座の形状に沿って便座クリーニングヘッド300が移動するようにしている。なお、上述したカメラ720によって便座20を撮像し、ロボット制御部700で汚れのある部分を検出し、その部分を便座クリーニングヘッド300で重点的に清掃する、例えば便座クリーニングヘッド300の往復旋回を行うなどとしてもよい。
【0025】
一方、便座クリーニングヘッド300の旋回に伴って、ヘッド旋回駆動モータ320によりノズル駆動ギア列412を介してツボクリーニングノズル400を駆動し、ツボ清掃バルブ402を開いて水道水を供給する。これにより、便座クリーニングヘッド300の旋回に伴って、ツボクリーニングノズル400も旋回し、便器10のツボのクリーニングが行われる(図5(C)参照)。なお、必要があれば、ツボクリーニングノズル400の伸縮を行うようにする。
【0026】
便座20のクリーニングが終了すると、ツボのクリーニングも終了する(図5(B),(C)参照)。そして、図6(D)に示すように、便座クリーニングヘッド300を後退させ、清掃ペーパーPDをカッター360でカットする。カット後の清掃ぺーバーPDは、便器10のツボ内に落とされ、トイレットペーパーと同様に流されるようになる。その後、目隠しカバー500を閉じる(図5(A)参照)。
【0027】
以上のように、本実施例のトイレ清掃ロボット100によれば、
a,便座クリーニングヘッド300の前後移動及び旋回を行うことで便座20の清掃を行うこととしたので、便座20の形状に沿ったヘッド移動を行うことができ、多様な便座形状に対応できる。
b,便座クリーニングヘッド300の旋回と同時にツボクリーニングノズルの便座20に沿って旋回を行うことで、便座20の清掃と便器10のツボの清掃を同時に行うことができる。
c,清掃液を清掃時に清掃ペーパーPDに散布することとしたので、散布前のペーパーを乾燥状態で維持することができる。
d,便座クリーニングヘッド300の前後移動を行う際に、清掃済みのペーパーをツボ内に落下させて処理することができ、衛生的である。
e,便器10及び便座20の清掃の自動化が可能となり、遠隔監視・遠隔制御が可能となる。
【実施例0028】
次に、図7図9も参照して、上述したトイレ清掃ロボット100の管理システムについて説明する。この管理システムは、
a,清掃結果確認業務:収集したトイレ清掃ロボット100の動作ログから清掃実行結果の確認を行う業務。
b,清掃実行業務:遠隔操作によりトイレ清掃ロボット100に清掃を実行させる業務。
c,動作状況確認業務:トイレ清掃ロボット100の実際の動作状況を確認する業務。
を行う。
【0029】
図7(A)には、ネットワークの構成例が示されており、管理コンピュータ800は、管理者がいる管理拠点MAに設置されている。一方、上述したトイレ清掃ロボット100は、トイレの便器10毎にそれぞれ設けられており、これらトイレ清掃ロボット100は、清掃エリアCA,CB,CC,・・・毎にLAN(Local Area Network)に接続されている。例えば、大きな建物の場合、大抵はフロア毎にトイレが設けられているので、これら各階のトイレを清掃エリアとしてLANを構成するといった具合である。一つの階に複数のトイレがあるときは、それらをまとめて清掃エリアとしてもよいし、各トイレを清掃エリアとしてもよい。各清掃エリアCA,CB,CC,・・・内において、トイレ清掃ロボット100の通信部710(図4参照)は、無線アクセスポイント810に接続している。
【0030】
本実施例では、管理拠点MAと各清掃エリアCA,CB,CC,・・・とは、VPN(Virtual Private Network)820によって接続されている。すなわち、管理拠点MA側のVPNルーター802と、清掃エリアCA,CB,CC,・・・側のVPNルーター812とが、VPN820によってネットワーク接続されている。なお、通信のプロトコルとしては、各種のものを使用してよいが、本実施例ではTCP/UDP(Transmition Control Protocol/User Datagram Protocol)が使用される。
【0031】
図8には、管理コンピュータ800の構成が示されている。同図において、管理コンピュータ800は、CPU(Central Processing Unit)850を中心に構成されており、プログラムメモリ860,データメモリ870,通信部880,ディスプレイ882,入力装置884,プリンタ886が接続されている。これらは、一般的なコンピュータシステムと同様である。管理コンピュータ800は、通信部880によってトイレ清掃ロボット100の通信部710を介してロボット制御部700と通信し、便座清掃部150,ツボ清掃部160による清掃や監視を行う。
【0032】
プログラムメモリ860には、トイレ清掃ロボット遠隔監視制御プログラム(以下単に「制御プログラム」という)862が格納されており、これがCPU850で実行されることで、トイレ清掃ロボット100の遠隔監視制御が行われる。図7(B)には、上述した制御プログラム862の基本的な機能が示されており、トイレ清掃ロボット100の状態を遠隔監視する遠隔監視機能FA,トイレ清掃ロボット100の清掃動作を遠隔制御する遠隔制御機能FB,トイレ清掃ロボット100の状態をスキャンするスキャン機能FC,新規のトイレ清掃ロボット100の追加を行う接続ロボット管理機能FDをそれぞれ備えている。
【0033】
各機能の詳細は、次のとおりである。
a,遠隔監視機能FA:ロボット詳細情報の取得,ロボット一覧の表示,一覧から選択されたトイレ清掃ロボット100の詳細情報の表示,ロボット異常情報の取得・表示
b,遠隔制御機能FB:前記詳細情報の表示画面上への遠隔制御用アイコンの表示,制御コマンドの送信
c,スキャン機能FC:スキャンコマンドの送信,その応答の受信・確認
d,接続ロボット管理機能FD:新規のトイレ清掃ロボット100の情報の一覧への追加
【0034】
データメモリ870は、前記プログラムの実行過程においてデータが保存されるほか、本実施例ではロボット一覧ファイル872が保存されている。ロボット一覧ファイル872は、例えば図9(A)に示すように、施設,建物,清掃エリア毎にトイレ清掃ロボット100がリスト化されており、各ロボット100のファイルには、接続状態,清掃状態,蓋の開閉状態などのデータが保存されている。
【0035】
通信部880は、上述したVPNルーター802を通じてトイレ清掃ロボット100と通信するためのものである。ディスプレイ882には、上述した制御プログラム862の実行過程において、図9に示すような管理画面が随時表示されるようになっている。入力装置884は、キーボード,マウス,タッチパネルなどによって構成されており、前記制御プログラム862の実行過程において管理者MBが入力処理を行う。プリンタ886は、前記制御プログラム862の実行過程において管理者MBが必要と判断したときに管理結果などをプリントするためのものである。
【0036】
次に、本実施例の動作を説明すると、管理拠点MAの管理者MBは、管理コンピュータ800を操作して制御プログラム862をCPU850で実行し、図9に示すような画面を参照しながら、トイレ清掃ロボット100の監視や清掃の制御を実施する。同図(A)は、本システムのメイン管理画面であり、ロボット一覧が左側画面GAにツリー表示される。そして、前記ツリーから選択したトイレ清掃ロボット100の詳細情報が右側画面GBに表示される。また、画面上部には、各種ボタンがツールバーGCとして表示されており、詳細情報表示領域の下部には、遠隔制御のボタン列GDが表示されている。
【0037】
ここで、例えばスキャンボタン(アイコン)BAが押された(クリック)とすると、同図(B)のスキャンする範囲を指定する画面が表示されるので、管理者MBは、スキャンする対象を指定する。指定の仕方としては、
a,該当するトイレ清掃ロボット100を指定する。
b,建物ないしフロアを指定する。
c,清掃エリア(図7(A)参照)を指定する。
などとしてよい。
【0038】
次に、範囲が指定されると、その範囲のトイレ清掃ロボット100に対してスキャンコマンドが送信され、各ロボットにおける動作状況を示すスキャン情報がロボット側から送信され、同図(C)に示す画面にスキャン結果が表示される。
【0039】
更新ボタンBBを押すと、同図(D)に示す画面が表示され、ロボット一覧で表示されているトイレ清掃ロボット100に対して詳細情報の取得要求が送信される。その際に、ロボット一覧の親ノードが選択されているときは、表示中のときには詳細情報を要求し、その他の子ノードのトイレ清掃ロボット100すべてに対して異常情報取得要求が送信される。そして、返信された情報にもとづいて、ロボット一覧ファイル872の更新が行われる。
【0040】
通知ボタンBCを押すと、同図(E)に示す通知画面が表示される。すなわち、何らかの異常がいずれかのトイレ清掃ロボット100で発生している場合には、通知内容を赤色表示するなど、一目で異常発生が分かるような表示が行われる。また、その際には、異常発生を通知する音声の鳴動が行われる。他のエラー発生時も同様である。
【0041】
削除ボタンBDを押すと、同図(F)に示す画面が表示され、該当するトイレ清掃ロボット100をロボット一覧ファイル872から削除するかどうかの問い合わせが行われる。ロボット設定ボタンBEを押すと、同図(G)に示す画面が表示され、トイレ清掃ロボット100の清掃条件などの設定が行われる。例えば、利用者の数の多少に応じて清掃の時間間隔を変更するといった具合である。
【0042】
地図ボタンBFを押すと、同図(H)に示す画面が表示され、ロボット一覧で選択されているトイレ清掃ロボット100の設置位置が地図上に表示される。親ノードが選択されているときは、子ノードの一番上のロボットの座標情報で地図表示する。設定ボタンBGを押すと、同図(I)に示す画面が表示され、本システムの各種設定やその変更が行われる。例えば、一般設定タブでは、設定ファイルにて管理されている設定項目の設定が行われ、定期更新タブでは、定期更新に関する設定が行われる。
【0043】
次に、同図(A)の画面下のボタン列GDに表示されている再起動ボタンBP,蓋開閉ボタンBQ,清掃開始ボタンBR,清掃停止ボタンBSを押すと、画面GBに表示されているトイレ清掃ロボット100に対して、再起動,蓋開閉,清掃開始,清掃停止の動作が指示される。その際に、前記画面表示されているトイレ清掃ロボット100に対して清掃指示を行うのみならず、建物,フロア,清掃エリアを指定し、それらに含まれるトイレ清掃ロボット100に対して一斉に清掃動作を指示するといった方法でもよい。
【0044】
加えて、トイレ清掃ロボット100には、センサ類730が設けられているが、それらの検知結果を利用して、以下のような動作を行うようにしてもよい。
a,トイレ使用後に水が流されたことをフラッシュセンサ732で検知し、管理コンピュータ800でトイレの使用回数を演算する。そして、一定の使用回数となったときに、そのトイレの清掃を行う。あるいは、トイレットペーパーや消毒液などの消耗品の補充を管理画面上に表示する。
b,トイレのドアの開閉を人感センサ734で検知し、管理コンピュータ800でトイレの使用人数を演算する。そして、一定以上の使用人数となったときに、そのトイレの清掃を行う。あるいは、トイレットペーパーや消毒液などの消耗品の補充を管理画面上に表示する。
c,臭いセンサでトイレ内の臭いを検知し、一定以上の強さの臭いを検知したときは、そのトイレの清掃を行う。
といった具合である。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、トイレの便器及び便座の清掃を自動的に行うことができるトイレ清掃ロボット100を用い、各トイレの状況を遠隔監視するとともに、トイレ清掃ロボット100の清掃作業を制御することとしたので、トイレの監視や清掃作業の負担が良好に軽減され、トイレ管理の効率化を図ることができる。
【0046】
<他の実施例> なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した機構・形状・寸法は一例であり、必要に応じて同様の機能を奏するように適宜変更してよい。
(2)前記実施例における便座クリーニングヘッド300の直線移動の方向は、旋回面の径方向の直線移動であれば、前後方向以外の方向でもよい。
(3)前記実施例では、設定条件に応じてトイレの清掃を行ったが、定期的な清掃と、センサの検知結果による臨時の清掃とを組み合わせるようにしてもよい。
(4)前記実施例では、便器10のクリーニングと便座20のクリーニングを同時に行ったが、両者を必ず同時に行う必要はなく、適宜の間隔で清掃を行うようにしてよい。例えば、便座クリーニング3回にツボクリーニング1回という具合である。
(5)図9に示した管理画面も一例であり、適宜変更してよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、便座を清掃するクリーニングヘッドを、直線移動と旋回駆動とを組み合わせることにより、便座に沿って移動させるとともに、トイレ清掃装置を遠隔監視して清掃動作を遠隔制御することとしたので、トイレの監視や清掃作業の負担が良好に軽減され、トイレの管理の効率化を図ることができ、トイレ清掃・管理システムとして好適である。
【符号の説明】
【0048】
10:便器
20:便座
30:蓋
40:給水タンク
100:トイレ清掃ロボット
102:操作部
104:電装部
106:台座部
110:補給口
150:便座清掃部
160:ツボ清掃部
200:本体
210:固定フレーム
220:旋回フレーム
300:便座クリーニングヘッド
310:ヘッド前後移動モータ
312:前後移動ギア列
320:ヘッド旋回駆動モータ
322:旋回駆動ギア列
350:清掃ペーパーロール
351:ペーパー搬送モータ
352:清掃ローラ
353:搬送ギア列
354:キャプスタン
356:ピンチローラ
360:カッター
370,371:ロック機構
372:カップリング
381:清掃液タンク
382:清掃液供給ポンプ・バルブ
400:ツボクリーニングノズル
402:ツボ清掃バルブ
412:ノズル駆動ギア列
412:駆動ギア列
500:カバー
510:カバー駆動モータ
512:カバー駆動ギア列
600:蓋開閉モータ
602:開閉ギア列
700:ロボット制御部
710:通信部
720:カメラ
730:センサ類
732:フラッシュセンサ
734:人感センサ
800:管理コンピュータ
802:VPNルーター
810:無線アクセスポイント
812:VPNルーター
820:VPN
850:CPU
860:プログラムメモリ
862:トイレ清掃ロボット遠隔監視制御プログラム
870:データメモリ
872:ロボット一覧ファイル
880:通信部
882:ディスプレイ
884:入力装置
886:プリンタ
BA:スキャンボタン
BB:更新ボタン
BC:通知ボタン
BD:削除ボタン
BE:ロボット設定ボタン
BF:地図ボタン
BG:設定ボタン
BP:再起動ボタン
BQ:蓋開閉ボタン
BR:清掃開始ボタン
BS:清掃停止ボタン
CA,CB,CC:清掃エリア
FA:遠隔監視機能
FB:遠隔制御機能
FC:スキャン機能
FD:接続ロボット管理機能
GA:左側画面
GB:右側画面
GC:ツールバー
GD:ボタン列
MA:管理拠点
MB:管理者
PD:清掃ペーパー
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9