(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111054
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】地山補強管及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/04 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
E21D9/04 F
E21D9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012687
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503090186
【氏名又は名称】冨士興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂根 一聡
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】香山 昌和
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC20
2D054FA02
2D054FA07
(57)【要約】
【課題】トンネル周辺の地山に打ち込まれる地山補強管の先行管体と後続管体との雌雄の嵌合部どうしを嵌合させる際に、雌嵌合部の凹部の土砂によって嵌合しにくくなるのを防止するとともに、嵌合状態の良否を容易に確認可能とする。
【解決手段】地山補強管9の先行管体11と後続管体12とを一直線に継ぎ足す。先行管体11の後端部には、外周面が凸状又は凸凹状をなす雄嵌合部32を設ける。後続管体12の先端部には、雄嵌合部32を受け入れる雌嵌合部42を設ける。雌嵌合部42は、内周面が凹状又は凹凸状をなし環状に並べられた複数の嵌合爪43を含む。隣接する嵌合爪43どうしがスリット44により隔てられている。各嵌合爪43が、雄嵌合部32と嵌合される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル周辺の地山に打ち込まれる地山補強管であって、
先行管体と、前記先行管体よりトンネル側に配置されて前記先行管体と一直線に継ぎ足される後続管体と、を備え、
前記先行管体が、先行管本体と、前記先行管本体の後端部に設けられた雄嵌合部とを有し、
前記後続管体が、後続管本体と、前記後続管本体の先端部に設けられて前記雄嵌合部を受け入れる雌嵌合部とを有し、
前記雄嵌合部における外周面が凸状又は凸凹状をなし、
前記雌嵌合部は、内周面が凹状又は凹凸状をなし環状に並べられた複数の嵌合爪を含み、隣接する嵌合爪どうしがスリットにより隔てられており、
各嵌合爪が、前記雄嵌合部と嵌合されることを特徴とする地山補強管。
【請求項2】
前記雌嵌合部の嵌合爪の数が、4つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の地山補強管。
【請求項3】
前記先行管本体、前記雄嵌合部、前記後続管本体、及び前記雌嵌合部が、それぞれ引張強度590MPa以上の高張力鋼によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の地山補強管。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項の地山補強管の構築方法であって、
前記雄嵌合部を後方へ向けて、前記先行管体を地山に打ち込み、前記雄嵌合部をトンネル内に突出させておき、
続いて、前記トンネル内において、前記後続管体の雌嵌合部を前方へ向けて前記雄嵌合部と嵌合させ、
その後、前記先行管体及び前記後続管体を更に地山に打ち込むことを特徴とする地山補強管の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばNATM(New Austrian Tunneling Method)工法における補助工法としてトンネル周辺の地山に打ち込まれて地山を補強する補強管に関し、特に複数の管が一直線に順次継ぎ足されて長尺化される補強管に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル補助工法の1つであるAGF(All Ground Fasten)工法においては、長さ3m程度の鋼製の管体を4本程度、順次継ぎ足しながら、切羽前方の地山に打ち込み、12m程度の長さの長尺先受け鋼管(地山補強管)を構成する(特許文献1等参照)。
【0003】
特許文献1に開示された長尺先受け鋼管においては、継ぎ足される2本の管体のうち、例えば先行管体の端部が内周面に凹部を有する雌嵌合部となり、後続管体の端部が外周面に凸部を有する雄嵌合部となっている。かつ雄嵌合部には、3本のスリットが120度間隔で形成されている。これによって、雄嵌合部が3つの嵌合爪に分かれている。雌嵌合部に雄嵌合部を挿し込む。このとき、3つの嵌合爪が内周側へ傾斜され、雄嵌合部が縮径される。係止位置まで挿し挿し込まれると、嵌合爪が弾性復帰され、雌雄の嵌合部どうしが係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者等が前掲特許文献1の長尺先受け鋼管(地山補強管)を施工したところ、先行管体を地山へ打ち込んだ際、該先行管体の内部に入り込んだ土砂が雌嵌合部の凹部に溜まり、その後、雌嵌合部内に後続管体の雄嵌合部を嵌め込む時に、凹部内の土砂が邪魔になって、雌嵌合部と雄嵌合部とを嵌合させにくくなることがあるとの知見を得た。また、完全環状の雌嵌合部の内部で嵌合がなされるため、雄嵌合部を所定の嵌合位置まで嵌め込んだかどうか、良好に嵌め込まれたかどうかを確認できない。嵌合爪が変形したり破断したりしても確認できない。嵌合爪の変形、破断などが起きていると、打設後、長尺先受け鋼管の先端の掘削ビットを引き抜く際に引っ掛かるおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、長尺先受け鋼管(地山補強管)の構築施工において、先行管体と後続管体との雌雄の嵌合部どうしを嵌合させる際に、雌嵌合部の凹部の土砂によって嵌合しにくくなるのを防止するとともに、嵌合状態の良否を容易に確認可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る地山補強管は、トンネル周辺の地山に打ち込まれる地山補強管であって、
先行管体と、前記先行管体よりトンネル側に配置されて前記先行管体と一直線に継ぎ足される後続管体と、を備え、
前記先行管体が、先行管本体と、前記先行管本体の後端部に設けられた雄嵌合部とを有し、
前記後続管体が、後続管本体と、前記後続管本体の先端部に設けられて前記雄嵌合部を受け入れる雌嵌合部とを有し、
前記雄嵌合部における外周面が凸状又は凸凹状をなし、
前記雌嵌合部は、内周面が凹状又は凹凸状をなし環状に並べられた複数の嵌合爪を含み、隣接する嵌合爪どうしがスリットにより隔てられており、
各嵌合爪が、前記雄嵌合部と嵌合されることを特徴とする。
【0007】
当該地山補強管によれば、施工の際、先行して地山に打ち込んだ先行管体の内部に土砂が入り込んだとしても、その土砂が先行管体の後端部の雄嵌合部の内周面に付着したとしても、雌雄の嵌合部どうしの嵌合には影響がない。未接続の後続管体内には、土砂が入り込むことはほとんどあり得ない。したがって、後続管体の先端部の雌嵌合部の凹部に土砂が溜まることはほとんどない。これによって、先行管体の雄嵌合部と後続管体の雌嵌合部とを良好に嵌合させることができる。
また、雄嵌合部の外周に被さる雌嵌合部にスリットが形成されているため、外部からスリットを通して、雌雄の嵌合部どうしの嵌合状態を視認できる。したがって、雄嵌合部を所定の嵌合位置まで嵌め込んだかどうか、良好に嵌め込まれたかどうか、嵌合爪が変形したり破断したりしていないかどうかを容易に確認することができる。
たとえ嵌合爪が変形ないしは破断していたとしても、嵌合爪は雄嵌合部の外周に配置されるため、引き抜き時の掘削ビットが、変形・破断した嵌合爪に引っ掛かることがなく、掘削ビットを確実に引き抜くことができる。
【0008】
前記雌嵌合部の嵌合爪の数が、4つ以上であることが好ましい。これによって、嵌合時に嵌合爪を弾性変形させやすくできる。
【0009】
前記先行管本体、前記雄嵌合部、前記後続管本体、及び前記雌嵌合部が、それぞれ引張強度590MPa以上の高張力鋼によって構成されていることが好ましい。
これによって、先行管体及び後続管体を薄肉にして軽量化できる。
加えて、雌嵌合部にバネ性(高弾性)を付与でき、雄嵌合部の挿しこみ操作時に外周側へ反った嵌合爪を、挿し込み完了と同時に勢いよく弾性復帰(スプリングバック)させることができ、嵌合爪を雄嵌合部としっかりと嵌合させることができる。
【0010】
本発明方法は、前記地山補強管の構築方法であって、
前記雄嵌合部を後方へ向けて、前記先行管体を地山に打ち込み、前記雄嵌合部をトンネル内に突出させておき、
続いて、前記トンネル内において、前記後続管体の雌嵌合部を前方へ向けて前記雄嵌合部と嵌合させ、
その後、前記先行管体及び前記後続管体を更に地山に打ち込むことを特徴とする。
当該方法によれば、嵌合前の雌嵌合部は、トンネル内空間に配置されているから、先行管体内に入り込んだ土砂が、前記嵌合前の雌嵌合部の凹部に入り込むことは無い。したがって、雌雄の嵌合部を良好に嵌合させることができる。また、雌嵌合部のスリットを通して、外部から雌雄の嵌合部どうしの嵌合状態を確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、地山補強管の先行管体と後続管体との雌雄の嵌合部どうしを確実に嵌合させることができる、また、嵌合状態の良否を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る長尺先受け鋼管(地山補強管)をトンネル周辺の地山に打設する様子を示す断面図である。
【
図3】
図3は、前記長尺先受け鋼管の雌雄の端管部の分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、先行管体の雄嵌合部を有する管端部の断面図である。
図4(b)は、後続管体の雌嵌合部を有する管端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、NATM工法によって施工中のトンネル1を示したものである。地山2が掘削されてトンネル1が構築されている。トンネル1の施工においては、地山補強のための補助工法として例えばAGF工法が実施されている。AGF工法によって、切羽3の前方(
図1において右)の地山2に長尺先受け鋼管9(地山補強管)が打ち込まれている。
【0014】
長尺先受け鋼管9の全長は、例えば12m程度である。長尺先受け鋼管9は、複数本(例えば4本程度)の鋼製の管体10を含む。各管体10の長さは例えば3m程度である。隣接する2つの管体10どうしが一直線に連なっている。前記2つの管体10を互いに区別する際は、先に打ち込まれた管体10を「先行管体11」と称し、該先行管体11よりトンネル側に配置されて先行管体11に継ぎ足される側の管体10を「後続管体12」と称する。
【0015】
図2及び
図3に示すように、先行管体11は、先行管本体13と、端管部30とを有している。先行管本体13は、先行管体11の全長より少し短い長さを有し、端管部30より薄肉である。
【0016】
図2及び
図4(a)に示すように、先行管本体13の後端部に端管部30が設けられている。端管部30は、先行管本体13とは別の短管により構成され、先行管本体13と溶接等によって接合されている。端管部30は、先行管本体13側(
図2において右側)の円筒部31と、後続管体12側(
図2において左側)の雄嵌合部32とを一体に含む。円筒部31は、先行管本体13より厚肉の円筒形状になっている。円筒部31と先行管本体13との対向端面どうしが突き当てられて溶接されている。円筒部31の外周面は、先行管本体13の外周面と面一に連続している。円筒部31の内周面は、先行管本体13の内周面より管径方向内側へ突出されている。
【0017】
図2及び
図4(a)に示すように、端管部30における円筒部31よりも後端側(
図2において左側)に、雄嵌合部32が設けられている。雄嵌合部32の外周面は、円筒部31の外周面よりも小径に形成されるとともに、外周側へ突出する凸部32a及び外周側から凹む凹部32b(凸状又は凸凹状の部分)を有して、クサビ状ないしはヤジリ状の断面に形成されている。かつ、雄嵌合部32は、短管状の端管部30の全周にわたる環状になっている。
雄嵌合部32の内周面は、滑らかな円筒面に形成され、円筒部31の内周面と面一に連続している。
雄嵌合部32には、スリットが形成されていない。
【0018】
図2及び
図4(b)に示すように、後続管体12は、後続管本体14と、端管部40とを有している。後続管本体14は、後続管体12の全長より少し短い長さを有し、端管部40より薄肉である。
【0019】
後続管本体14の先端部に端管部40が設けられている。端管部40は、後続管本体14とは別の短管により構成され、後続管本体14と溶接等によって接合されている。端管部40は、後続管本体14側(
図2において左側)の円筒部41と、先行管体11側(
図2において右側)の雌嵌合部42とを一体に含む。円筒部41は、後続管本体14より厚肉の円筒形状になっている。円筒部41と後続管本体14との対向端面どうしが突き当てられて溶接されている。円筒部41の外周面は、後続管本体14の外周面と面一に連続している。円筒部41の内周面は、後続管本体14の内周面より管径方向内側へ突出されている。
【0020】
図2及び
図4(b)に示すように、端管部40における円筒部41よりも先端側(
図2において右側)に、雌嵌合部42が設けられている。雌嵌合部42は、環状に並べられた複数(ここでは4つ)の嵌合爪43を含む。嵌合爪43ひいては雌嵌合部42の内周面は、円筒部41の内周面よりも大径に形成されるとともに、内周側へ突出する凸部43a及び内周側から凹む凹部43b(凸状又は凸凹状の部分)を有している。これによって、各嵌合爪43が、クサビ状ないしはヤジリ状の断面に形成されている。隣接する嵌合爪43どうしの間には、これらを隔てるスリット44が形成されている。スリット44は、円筒部41と雌嵌合部42との境の段差部分45から管軸Lに沿って真っ直ぐ延び、端管部40の先端に達している。
雌嵌合部42の外周面は、滑らかな円筒面に形成され、円筒部41の外周面と面一に連続している。
嵌合爪43の数及びスリット44の数は、4つに限らず、1つ~3つでもよいが、4つ以上が好ましい。
【0021】
図2に示すように、後続管体12の雌嵌合部42には、先行管体13の雄嵌合部32が受け入れられる。各嵌合爪43が、雄嵌合部32と嵌合される。凸部32aが凹部43bに嵌り、凸部43aが凹部32bに嵌る。
【0022】
管本体13,14及び端管部30,40は、引張強度590MPa以上の高張力鋼によって構成されている。このため、端管部40の各嵌合爪43には、バネ性(高弾性)が付与されている。
【0023】
管本体13,14の外直径は、好ましくは70mm~120mm程度であり、管厚は、好ましくは2.5mm~4mm程度、より好ましくは2.5mm~3.5mm程度である。これによって、管体10が軽量化されている。
なお、後続管体12は、その後方に継ぎ足される管体10に対しては先行管体11となる。後続管本体14は、その後方に継ぎ足される管体10に対しては先行管本体13となる。
【0024】
長尺先受け鋼管9の打ち込み施工は、次のようにしてなされる。
図1に示すように、トンネル1内にはドリルジャンボ5が設置される。長尺先受け鋼管9における最も先端側の管体10の先端部には、掘削ビット15が設けられる。ドリルジャンボ5を駆動して、掘削ビット15によって地山2を掘削しながら管体10を打ち込む。
【0025】
図1及び
図2に示すように、先行管体11の雄嵌合部32は後方へ向ける。その状態で先行管体11を地山2に打ち込む。後端の雄嵌合部32が地山2に埋まる前に、打ち込みを一時停止する。これによって、雄嵌合部32をトンネル1内に突出させておく。
【0026】
先行管体11の内部には、地山2からの土砂が入り込むことがある。その土砂が先行管体11の後端部まで達して、短管状の端管部30の内周面に付着することも有り得る。しかし、端管部30の外周面には回り込みにくい。したがって、雄嵌合部32の外周の凹部32bに土砂が溜まるのを抑えることができる。たとえ、凹部32bに土砂が溜まったとしても、端管部30の外周面上の土砂であるから容易に除去することができる。
【0027】
トンネル1内においては、後続管体12の雌嵌合部42を前方へ向けて、ドリルジャンボ5のガイドセル6に設置する。この段階の後続管体12は、先行管体11から離れてトンネル1内に配置されているから、後続管体12の内部に土砂が入り込むことはほとんど有り得ない。したがって、雌嵌合部42の嵌合爪43の凹部43bに土砂が溜まることはほとんど無い。
【0028】
続いて、トンネル1内に突出された雄嵌合部32を後続管体12の雌嵌合部42に受け入れさせることで、雄嵌合部32と雌嵌合部42の嵌合爪43とを嵌合させる。
嵌合時、雄嵌合部32には土砂が付いておらず、付いていたとしても嵌合前に簡単に除去しておくことができ、かつ嵌合爪43には土砂が付いていることはほとんど無いから、雄嵌合部32と嵌合爪43とを良好に嵌合させることができる。
【0029】
嵌合の途中、各嵌合爪43は、雄嵌合部32の凸部32aを乗り越えるために外周側へ反る。
引張強度590MPa以上の高張力鋼からなる嵌合爪43は高弾性を有しているから、嵌合完了と同時に、各嵌合爪43が勢いよく弾性復帰(スプリングバック)される。これによって、嵌合爪43と雄嵌合部32とをしっかりと嵌合させることができる。言い換えると、嵌合爪の弾性復帰力不足による嵌合不良を回避できる。
雌嵌合部42の嵌合爪43の数を4つ以上にすることで、嵌合操作時に嵌合爪43を弾性変形させやすくできる。
【0030】
嵌合によって、雄嵌合部32の外周に雌嵌合部42が被さる。その雌嵌合部42にはスリット44が形成されているため、作業者が、外部からスリット44を通して、雌雄の嵌合部32,42どうしの嵌合状態を視認できる。したがって、雄嵌合部32を所定の嵌合位置まで嵌め込んだかどうか、良好に嵌め込まれたかどうか、嵌合爪43が変形したり破断したりしていないかどうかを容易に確認することができる。嵌合不良が確認されたら、嵌合操作をやりなおす。
【0031】
良好に嵌合されたことを確認した後、ドリルジャンボ5によって、先行管体11及び後続管体12を更に地山2に打ち込む。
このようにして、4つ(複数)の管体10を順次継ぎ足しながら地山2に打ち込み、長尺先受け鋼管9(地山補強管)を形成する。
【0032】
その後、掘削ビット15を、長尺先受け鋼管9の内部を通して引き抜く。雌雄の嵌合部32,42どうしの嵌合状態が良好であることが確認済であるため、掘削ビット15をスムーズに引き抜くことができる。
たとえ嵌合爪43が変形ないしは破断していたとしても、嵌合爪43は端管部30の外周に配置されているため、引き抜き時の掘削ビット15が、変形・破断した嵌合爪43に引っ掛かることはない。したがって、掘削ビット15を確実に引き抜くことができる。
【0033】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、雄嵌合部32の凸部32aが管軸方向に2段以上設けられていてもよい。嵌合爪43の凸部43aが管軸方向に2段以上設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えばAGF工法用の長尺先受け鋼管に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 トンネル
2 地山
3 切羽
5 ドリルジャンボ
6 ガイドセル
9 長尺先受け鋼管(地山補強管)
10 管体
11 先行管体
12 後続管体
13 先行管本体
14 後続管本体
15 掘削ビット
30 端管部
31 円筒部
32 雄嵌合部
32a 凸部
32b 凹部
40 端管部
41 円筒部
42 雌嵌合部
43 嵌合爪
43a 凸部
43b 凹部
44 スリット
45 段差部分