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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111056
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012689
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】川崎 健一
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA23
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】設計工数増大等の問題を生じることなく多彩な特殊演出を実行可能とする。
【解決手段】特殊演出用データDHn6として記憶されている所定演出実行回数DHn6a=mと所定因子獲得回数DHn6b=nを読み込み(S210)、m,nに基づき、上位n個を所定因子Pを獲得する桁とするm桁の仮順列を生成し(S220)、仮順列を構成するm桁からランダムに一つの桁を抽出して新順列の先頭桁とし、仮順列よりも1桁少なくなったm-1桁の旧順列からランダムに一つの桁を抽出して新順列の2桁目とし、・・・、最後の1桁の旧順列の桁を新順列の末尾の桁にする並べ替え処理を実行する(S230)。こうして並べ替え処理が完了したら、新順列に従って、m回の所定演出実行中にn回の所定因子獲得機会を有する特殊演出の実行パターンを生成情報記憶部328に記憶する(S240)。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄の変動制御が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典を与える主制御手段と、演出実行手段と、演出データを記憶した演出データ記憶手段と、前記演出データ記憶手段に記憶されている演出データを用いた演出を前記演出実行手段に実行させる演出制御手段とを備えた遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記演出制御手段は、所定期間内に1回または複数回の所定演出を実行した結果に基づいて所定情報を報知または示唆する特殊演出を実行する特殊演出実行手段を備えていること。
(1B)前記演出制御手段は、前記所定演出の実行パターンを生成するパターン生成手段をも備え、該パターン生成手段の生成した前記実行パターンに従って前記特殊演出実行手段を作動させる手段として構成されていること。
(1C)前記パターン生成手段は、前記所定演出の実行回数に対応する桁数の順列を生成してランダムに並び替えるアルゴリズムを利用して前記実行パターンを生成する手段として構成されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(2)前記パターン生成手段は、前記抽選の結果とは直接的な関係を有しないアルゴリズムによって前記特殊演出の内容を決定する手段として構成されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
(3A)前記所定演出が所定因子を獲得する演出であって、前記特殊演出は、前記所定期間内に獲得した前記所定因子に関する結果を報知する演出として構成されていること。
(3B)前記演出制御手段は、前記特殊演出実行手段を作動させる場合、前記パターン生成手段に対する演算条件として、少なくとも、前記所定演出の実行回数及び前記所定因子の獲得回数を決定する演算条件決定手段を備えていること。
(3C)前記パターン生成手段は、前記アルゴリズムとして、前記所定期間内における前記所定演出の実行回数及び前記所定因子の獲得回数を前記演算条件に合致させる様に前記順列の生成及び並べ替えを実行して前記所定演出の実行パターンを生成するアルゴリズムを備えた手段として構成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変動演出中のポイント獲得演出により、大当たり信頼度を示唆する特定演出が実行させれるか否かを遊技者に期待させる特殊演出を実行する遊技機が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の遊技機では、特定演出が実行されるか否かの予測性を排除するため、ポイント獲得ゲームの出現タイミングやポイント蓄積パターンなどを異ならせるための抽選テーブルを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-198985(図61図65
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特殊演出からの予測をより困難にするには、より多くのパターンを有する抽選テーブルを備える必要があり、パターン作成工数の増大、抽選処理の限界、記憶容量の圧迫等といった新たな問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、設計工数増大等の新たな問題を生じることなく多彩な特殊演出を実行可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、図柄の変動制御が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典を与える主制御手段と、演出実行手段と、演出データを記憶した演出データ記憶手段と、前記演出データ記憶手段に記憶されている演出データを用いた演出を前記演出実行手段に実行させる演出制御手段とを備えた遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記演出制御手段は、所定期間内に1回または複数回の所定演出を実行した結果に基づいて所定情報を報知または示唆する特殊演出を実行する特殊演出実行手段を備えていること。
(1B)前記演出制御手段は、前記所定演出の実行パターンを生成するパターン生成手段をも備え、該パターン生成手段の生成した前記実行パターンに従って前記特殊演出実行手段を作動させる手段として構成されていること。
(1C)前記パターン生成手段は、前記所定演出の実行回数に対応する桁数の順列を生成してランダムに並び替えるアルゴリズムを利用して前記実行パターンを生成する手段として構成されていること。
【0008】
本発明の遊技機によれば、演出制御手段は、特殊演出実行手段を作動させる場合、パターン生成手段が生成した実行パターンに従って所定演出を実行した結果に基づいて所定情報を報知または示唆する特殊演出を実行する。ここで、特殊演出によって報知または示唆する所定情報としては、例えば、リーチ発展可能性、疑似連発生可能性、大当たり可能性などをあげることができる。このとき、パターン生成手段は、所定演出の実行回数に対応する桁数の順列を生成してランダムに並び替えるアルゴリズムを利用して1回または複数回の所定演出の実行パターンを生成している。この結果、特殊演出を構成する所定演出は、その実行パターンが規定の複数パターンからの抽選等によることのないランダムなものとなり、特殊演出によって報知または示唆する所定情報(リーチ発展可能性、疑似連発生可能性、大当たり可能性など)を予測困難にすることができる。
【0009】
ここで、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるものとすることができる。
(2)前記パターン生成手段は、前記抽選の結果とは直接的な関係を有しないアルゴリズムによって前記特殊演出の内容を決定する手段として構成されていること。
【0010】
(2)の構成をも備えた遊技機によれば、パターン生成手段は、「大当たり」か「はずれ」かといった抽選結果とは直接的な関係を有しないアルゴリズムによって特殊演出の内容を決定するから、所定情報の報知または示唆のための所定演出の実行パターンをより多彩なものとすることができる。逆に言うなら、本発明の遊技機は、抽選結果が確定した後に抽選結果とは直接的な関係を有しないアルゴリズムに基づき、パターン生成手段で特殊演出の内容を決定すればよいから、順列の生成及びランダムな並び替えに対して何らかの規制を加える必要がない結果として、「特殊演出による所定情報の報知または示唆を多彩な態様で実施可能としている」ともいうことができ、構成(2)は、構成(1A)~(1C)との有機的な関連によって本発明の目的をより一層適確に達成させるものであって、単なる組合せではなく、特有かつ顕著な作用・効果を奏するための特徴的な課題解決手段を構成するものであるということができる。
【0011】
また、これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるものとすることができる。
(3A)前記所定演出が所定因子を獲得する演出であって、前記特殊演出は、前記所定期間内に獲得した前記所定因子に関する結果を報知する演出として構成されていること。
(3B)前記演出制御手段は、前記特殊演出実行手段を作動させる場合、前記パターン生成手段に対する演算条件として、少なくとも、前記所定演出の実行回数及び前記所定因子の獲得回数を決定する演算条件決定手段を備えていること。
(3C)前記パターン生成手段は、前記アルゴリズムとして、前記所定期間内における前記所定演出の実行回数及び前記所定因子の獲得回数を前記演算条件に合致させる様に前記順列の生成及び並べ替えを実行して前記所定演出の実行パターンを生成するアルゴリズムを備えた手段として構成されていること。
【0012】
(3A)~(3C)の構成をも備えた遊技機においては、所定演出は所定因子(特殊演出により報知する所定情報の大小・高低・強弱など、ある結果を成り立たせるもとになる要素、要因、ファクター。例えば、キャラクタ、ポイントなど)を獲得する演出であって、特殊演出は、所定期間内における所定因子の獲得に関する結果(獲得したキャラクタの個数や種類、獲得したポイントなど)を報知する演出として構成されている。演出制御手段は、特殊演出実行手段を作動させる場合、演算条件決定手段により、演算処理手段に対する演算条件として、少なくとも所定演出の実行回数及び所定因子の獲得回数を決定する。この演算条件の決定を受けて、パターン生成手段は、所定期間内における所定演出の実行回数及び所定因子の獲得回数を演算条件に合致させる様に順列の生成及び並べ替えを実行して所定演出の実行パターンを生成する。演出制御手段は、こうして生成された所定演出の実行パターンに従って特殊演出実行手段を作動させる。なお、より具体的に例示するなら、(3A)~(3C)に加えて、「(3D)前記パターン生成手段は、前記所定演出の実行回数に対応する桁数を有し、前記所定因子の獲得回数に対応する個数の桁を特定した順列を仮順列として生成し、前記仮順列の一つの桁を抽出して新順列としつつ、桁数の減少した仮順列から一つの桁を抽出して新順列に加える処理を繰り返し実行することにより、前記仮順列を新順列に置き換えるアルゴリズムを備えていること。」をも備えた遊技機とすることもできる。
【0013】
例えば、所定演出の実行回数=40、所定因子の獲得回数=20とすると、理論上は137,846,528,820通りの実行パターンが存在する。これに対し、本発明の遊技機は、パターン生成手段が、まず40桁の順列を生成し、この40桁の中から20個分の桁を抽出すべく並べ替えを実行する。この結果、1378億通りを超えるパターンを予め設定しておく必要が無く、また、1378億通りを超えるパターンから一つのパターンを特定するための複雑かつ煩雑な抽選処理を実行することなく特殊演出における所定演出の実行パターンを生成することができる。これにより、特殊演出の実行態様から所定情報(リーチ発展可能性、疑似連発生可能性、大当たり可能性など)を予測することを困難にすることができ、多彩で飽きのこない特殊演出を設計工数増大等の新たな問題を生じさせることなく実施可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設計工数増大等の新たな問題を生じることなく多彩な特殊演出を実行可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は前枠を開いた状態の正面図である。
図2】実施例1のパチンコ機の遊技盤組立体を示し、(A)は分解斜視図、(B)は正面図、(C)は垂直断面図である。
図3】実施例1のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
図4】実施例1のパチンコ機の制御装置の全体の構成を示すブロック図である。
図5】実施例1のパチンコ機における表示制御処理の概要を示し、(A)は表示例の正面図、(B1)~(B2)はラスタ走査情報生成の様子を示す模式図である。
図6】実施例1のパチンコ機の演出制御基板の記憶部を示し、(A)は演出データ記憶手段の構成を示す模式図、(B)は変動ゲーム中演出データの構成を示す模式図、(C)はリーチ前特殊演出用データの構成を示す模式図、(D)は先読み記憶部の構成を示す模式図である。
図7】実施例1のパチンコ機の特殊演出用データを例示し、(A)は所定演出実行回数4回,所定因子獲得回数1回に対する実行パターンの模式図、(B)は所定演出実行回数4回,所定因子獲得回数2回に対する実行パターンの模式図、(C)は所定演出実行回数40回,所定因子獲得回数20回に対する実行パターンの模式図である。
図8】実施例1のパチンコ機における順列生成・並べ替え処理の手順を例示し、(A)は特殊演出用データの模式図、(B)は順列生成状態の模式図、(C1)~(C4)は並べ替え処理の模式図である。
図9】実施例1のパチンコ機において演出制御基板が実行する変動演処理を示し、(A)は制御系統のブロック図、(B)は変動演出処理のフローチャート、(C)は変動演出処理の中で実行する順列生成・並べ替え処理のフローチャートである。
図10】実施例1のパチンコ機における特殊演出実行例をデータ及び表示演出画面の状態で説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0017】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機P1は、図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤C、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F、発射装置G及び施錠装置Hを備えている。
【0018】
前枠Dには遊技盤Cのガラス板が嵌め込まれた透視保護窓Wが備えられ、音声演出に用いるスピーカSPl,SPr、発光演出に用いる装飾ランプLDl,LDr,LDuも備えられている。図1(C)に示す様に、前枠Dの裏面には、スピーカSPl,SPr、装飾ランプLDl,LDr,LDu、発射装置Gの駆動制御用の基板KBspl,KBspr,KBldl,KBldr,KBldu,KBgが設置されている。
【0019】
これら駆動制御用の基板KBspl,KBspr,KBldl,KBldr,KBldu,KBgには、中枠Bに設置した本体側コネクタCNT1と前枠Dに設置した組付部材側コネクタCNT2とを接合させることにより、中枠Bから電源及び制御信号等が入力される構成となっている。前枠Dは、透視保護窓W以外は不透明な素材で構成され、各基板KBspl等とコネクタCNT2との間は、この不透明素材に隠れて正面からは見えない様に配線されたワイヤハーネスで接続されている。
【0020】
遊技盤Cは、透明な合成樹脂板に障害釘等を設置したものであり、図1(C)に示す様に、その裏側に液晶表示装置LCD及び裏ユニットBUTを取り付けた状態で中枠Bに組み付けられる。
【0021】
[2 遊技盤の概要]
図2(A)に示す様に、裏ユニットBUTは、側枠BUT1と背面枠BUT2とを備え前面開放とされた箱型の成形体からなる。液晶表示装置LCDとして、汎用ワイド液晶モニタを、図2(A)~(C)に示す様に、表示領域が縦長となる様に上下を裏ユニットBUTの内面に支持する状態で取り付けられている。この際、液晶表示装置LCDは、遊技盤Cとの間に間隔をあける様に裏ユニットBUTの奥側に設置される。そして、背面枠BUT2の中央に設けられた開口BUT3を介して、背面枠BUT2の背面に取り付けられる基板ケース内の演出制御基板等(図示略)に対して接続される。この開口BUT3は、画像表示窓ではなく信号線や電源線の接続のためのものであるから、必要最小限のサイズとすることができる。
【0022】
また、液晶表示装置LCDは、図2(B)に示す様に、遊技盤Cの遊技領域(障害釘及び各種役物を配置して発射レールの出口からアウト口に至る領域)の全体に重なり得る大きさの表示領域を備え、この表示領域が遊技領域の全体に重なる様に、裏ユニットBUTの幅方向中央に位置する様に設置されている。この結果、裏ユニットBUTの内部には、遊技盤Cの裏側及び液晶表示装置LCDの左右に比較的大きな空所を確保することができている。本実施例では、この空所を利用し、液晶表示装置LCDと遊技盤Cとの間に可動空間を確保した状態で落下可動体KDdwnや振り子可動体KDswingを設置している。これら可動体役物は、図1(A)と図1(C),図2(C)とを比較すると分かる様に、動作前の待機状態においては前枠Dの背後に隠れた状態となる様に設置している。また、これら可動体役物への信号線や電源線等は、液晶表示装置LCDの左右の空所を利用して配線することができる。なお、本実施例においては可動体役物を光透過性を有する色付き透明プラスチックによる成形体とし、動作位置に落下したり振り出された状態においても裏側の液晶表示が見える様にしている。
【0023】
遊技盤Cは、図3に示す様に、矩形の透明ベース板1の前面に、障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央にセンター飾り30が取り付けられ、センター飾り30の中央直下に始動入賞装置7が備えられ、大入賞口15、誘導レール17、普通入賞口18、アウト口19等が備えられている。センター飾り30は、仕切り装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈し、左上部には障害釘に代わる障害ブロック34が設けられている。パチンコ機P1は、大当たり等の際には「右打ち遊技」とするタイプであって、右打ち通路35を備え、右側遊技領域20には、ゲート37と第2始動入賞装置27が設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを備えている。また、概略円形の遊技領域10を区画する様に、左コーナー飾り41と右コーナー飾り42も備えられている。
【0024】
本実施例においては、コーナー飾り41,42の外周で規定される矩形領域よりも広い透明ベース板1を採用し、裏ユニットBUTの前面開放部分を塞いでいる。これは、横転させた縦長の状態にて収容した液晶表示装置LCDの表示領域を遊技盤Cの遊技領域の全体に重なる様にする関係から裏ユニットBUTが大型化することに対応するものである。なお、透明ベース板1は一枚板ではなく、二枚を前後に貼り合わせたものとすることもできる。例えば、コーナー飾り41,42の外周までの前側透明板と裏ユニットBUTの前面開放部分を塞ぐに足る広さの後側透明板とを貼り合わせた構造とすることもできる。
【0025】
本実施例においては、始動入賞装置7、風車12、大入賞口15、普通入賞口18、アウト口19、第2始動入賞装置27、仕切り装飾体31、ステージ32、ワープ通路33、障害ブロック34、ゲート37、左コーナー飾り41及び右コーナー飾り42といった盤面役物を透明合成樹脂製の成形体で構成している。従って、これら各種役物を通しても背面の液晶表示装置LCDによる画像や動画を視認することができ、遊技領域内における液晶表示の妨げになることがない。
【0026】
なお、障害釘11や風車12の釘、誘導レール17は点や線として視認されるが、遊技領域内の液晶表示に対する大きな妨げにならない。逆に、遊技球が様々な方向に跳ね返りつつ流下していく様子を遊技者に楽しませる上で、障害釘11が点々として視認される方が望ましい。
【0027】
また、透明ベース板1の裏面には、入賞口やアウト口に侵入した遊技球を排出するための玉排出通路51が取り付けられている。玉排出通路51もまた透明合成樹脂成形体で構成している。これにより、玉排出路51を通しても背面の液晶表示装置LCDによる画像や動画を視認することができ、遊技領域内における液晶表示の妨げになることがない。
【0028】
玉排出通路51には、始動入賞装置7,27への入球を検知するための特図1スイッチSW1、特図2スイッチSW2、普通入賞口18への入球を検出するための入賞検知スイッチSW11~SW13、大入賞口15への入球を検出するための入賞検知スイッチSW7、及び排出球を検知するための排出球検知センサSW21が備えられている。これら検知スイッチは、一点鎖線で示した視認領域VWARの外側に位置する様に取り付けられている。これにより、特図スイッチSW1等は遊技領域内における液晶表示の妨げにならない。
【0029】
また、ゲート37の普図スイッチSW37は、透明ベース板1の裏面の対応する位置に、透明導電膜形成材料(ITO(酸化インジウムスズ)やIZO(酸化インジウム酸化亜鉛))を用いた印刷によって形成され、配線WHについても同じく透明導電膜形成材料にて透明ベース板1の周縁部へと伸びる様に印刷によって形成されている。これにより、普図スイッチSW37や配線WHが遊技領域内における液晶表示の妨げになることがない。
【0030】
大入賞口15の開閉用のリンク部材L7及び第2始動入賞装置27のチューリップ開閉用のリンク部材L27もまた透明合成樹脂製とされている。これらリンク部材L7,L27を駆動するためのソレノイドSOL7,SOL27は、視認領域VWARの外側に取り付けられている。これにより、リンク部材L7,L27が遊技領域内における液晶表示の妨げになることがない。
【0031】
三つの普通入賞口18,18,18は透明合成樹脂により一体品として成形されている。その平板部分には、透明ベース板1の裏面側に電飾装置LD1,LD2が取り付けられている。これら電飾装置LD1,LD2を駆動するための電飾基板KBld1,KBld2は透明導電膜形成材料にて基板内配線が印刷された透明合成樹脂が用いられ、配線WHについても同じく透明導電膜形成材料にて透明ベース板1の周縁部へと伸びる様に印刷によって形成されている。これにより、電飾基板KBld1,KBld2や配線WHが遊技領域内における液晶表示の妨げになることがない。なお、図1(A)に示す様に、液晶表示装置LCDの全画面の一部が遊技者から視認可能な範囲となる。この視認可能範囲VRWを図3に一点鎖線で示す。
【0032】
[3 制御装置の概要]
次に、本実施例のパチンコ機P1のゲーム性等について説明する。まず、制御系統について図4に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置27に備えられている第2特図スイッチSW2、ゲート37に備えられている普図スイッチSW37、大入賞口15に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞口18に備えられた入賞検知スイッチSW11~SW13、及び排出球検知スイッチSW21からの検知信号が入力される様になっている。主制御基板310には、前枠Dの開閉状態を示す開閉検知スイッチ50の検出信号も入力されている。
【0033】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、性能表示モニタ600、大入賞口15の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置27の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。払出制御基板330は、主制御基板310に対して信号を入力する様にも接続されている。また、払出制御基板330と発射制御基板340との間でも互いに信号の入出力がなされている。この結果、本実施例においては、発射制御基板340から払出制御基板330を経由して主制御基板310に対して信号入力が可能となっている。
【0034】
制御系統には、この他、BCユニット335、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370、電源中継基板380、球貸し操作基板390、ホールコンピュータ400、カードユニットCDU等も備えられている。
【0035】
演出制御基板320は、主制御基板310からの演出指令信号に基づいて、可動体役物を駆動するモータやソレノイドを駆動制御するモータ駆動制御基板KBmt、ソレノイド駆動制御基板KBsol、スピーカーSPl,SPrによる音声出力を制御するスピーカ駆動制御基板KBspl,KBspr、前枠Dに設置された装飾ランプLDl、LDr、LDuを発光制御する前枠発光制御基板KBldl,KBldr,KBlduや盤面役物の電飾装置LD1,LD2を発行制御する電飾基板KBld1,KBld2等に対して制御信号を出力して役物発光演出、枠発光演出、音声演出、可動体演出等を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力し、液晶表示装置LCDによる表示演出を実行させている。
【0036】
なお、前枠Dに設置されたプッシュボタンPBの押下信号、カーソルキーCKの操作信号は演出制御基板320に入力され、貸し玉ボタンQ,カード取り出しボタンRの押下信号は球貸し操作基板390に入力されている。
【0037】
主制御基板310は、特図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特図1判定用乱数を最大4個、特図2スイッチSW2の検知信号入力を契機として取得した特図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、RAM内に、特図1保留記憶部311及び特図2保留記憶部312を備えている。特図1判定用乱数及び特図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1-1,SW2-1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1-2,SW2-2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1-3,SW2-3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1-4,SW2-4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2~4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0038】
主制御基板310は、所定のタイミングで実行する判定処理において、乱数1が予め設定された「大当たり判定値」と一致するときに「大当たり」と判定し、一致しない場合は「はずれ」と判定する。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。なお、乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、例えば、「2R」「7R」「15R」など、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。
【0039】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出を実行するための演出データ記憶手段325が備えられている。演出データ記憶手段325には、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDV、デモ中に実行するデモ中演出データDM、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。
【0040】
変動ゲーム中演出データDHは、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの組み合わせとなっている。変動ゲーム中演出データDHは、主制御基板310による抽選結果(ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど)に対して、それぞれ複数種類のパターンが備えられている。これらのパターンにおいて、例えば、可動体演出を伴わない変動ゲーム中演出を行うデータは、可動体演出データがブランクデータで構成される。
【0041】
大当たり中演出データDVも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、大当たり種別に応じて複数パターンが備えられている。
【0042】
デモ中演出データDMも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、デモ1用、デモ2用など複数パターンが備えられている。
【0043】
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、通常状態用変動パターンテーブル315に対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、変短状態用変動パターンテーブル316に対応する飾り図柄変動時間となる変短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている。
【0044】
演出表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データに従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データが存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
【0045】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1、変動パターン1に対しては変動時間2、…、と1対1の対応であるが、各変動時間に対して複数の飾り図柄変動パターンが備えられていて、これら複数の中から振り分けによって演出制御基板320が決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンDKZは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
【0046】
[4 主制御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2、入賞検知センサSW7,SW11,SW12からの入賞検知信号が入力されると、各スイッチに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。主制御基板310は、この賞球の払い出し個数は、「通常遊技」、「時短遊技」「大当たり遊技」等の遊技状態ごとに累積値を記憶する。主制御基板310は、また、これら遊技状態ごとの排出球の個数を排出球検知スイッチSW21からの検知信号に基づいて累積値として記憶している。そして、主制御基板310は、これら賞球払出個数の累積値と排出球数の累積値に基づいて、各遊技状態におけるベース(払出数/(発射数=排出数))を算出している。これら遊技状態ごとのベースの内、「通常遊技」について算出した値は、主制御基板310から性能表示モニタ600のマイコン基板へと送信され、性能表示モニタ600に数値表示される。なお、所定の操作をすることにより、性能表示モニタ600を用いて、「時短遊技」や「大当たり遊技」におけるベースの表示をすることもできる様になっている。
【0047】
また、主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2のいずれかから検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(特図1始動保留情報)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(特図2始動保留情報)を最大4個記憶することができる構成となっている。
【0048】
主制御基板310は、こうしてRAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させるための特図開始処理を実行している。この特図開始処理では、始動保留情報に基づく抽選処理の結果により、「変動パターン」および「最終停止図柄」を決定し、演出制御基板320に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器TKZを制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器TKZの表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
【0049】
[5 演出御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
演出制御基板320は、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって変動演出を実行する。この変動演出は、特別遊技中でなく、デモ表示状態でもないときに実行される。演出制御基板320は、変動コマンドを受信したら、今回の表示演出に用いる飾り図柄変動演出データDKZと変動ゲーム中演出データDHとを決定する。
【0050】
ここで、本実施例においては、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の飾り図柄変動演出データDKZが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDKZの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDKZを抽選によって決定する。
【0051】
また、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の変動ゲーム中演出データDHが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDHの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDHを抽選によって決定する。
【0052】
こうして決定したDH,DKZに対応するデータを演出データ記憶手段325から読み出し、変動演出を開始する。変動ゲーム中演出データDHによる演出は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
【0053】
なお、特別遊技中であるときは、変動ゲーム中演出データDHではなく大当たり中演出データDVを読み出し、大当たり中演出を実行する。また、デモ表示タイミングであるときは、デモ中演出データDMを読み出し、デモ中演出を実行する。
【0054】
本実施例においては、これら変動ゲーム中演出、大当たり中演出、デモ中演出での発光演出として、遊技盤Cに備えた装飾ランプによる役物発光演出に加えて、前枠Dに備えた装飾ランプによる枠発光演出も実行している。演出制御基板320の演出データ記憶手段325には、変動ゲーム中演出において実行する枠発光演出のためのデータについても、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定した複数の演出データを記憶させてある。
【0055】
[6 表示制御処理]
本実施例では、液晶表示装置LCDとして汎用ワイド液晶モニタを横転させた縦長状態にて設置している。このため、表示演出において、図5(A)に示す様に、液晶表示装置LCDに背景用画像情報IMGbgr、飾り図柄用画像情報IMGkz及びキャラクタ図柄用画像情報IMGchを重ねる様にして表示するに当たり、演出表示制御基板370は、図5(B1)~(B3)に示す様に、メモリに記憶してある画像情報IMGbgr,IMGkz,IMGchの縦方向を主走査方向とするラスタ走査情報RSCbgr,RSCkz,RSCchを生成し、液晶表示装置LCDに出力する処理を実行している。
【0056】
この処理により、汎用のワイド液晶モニタを縦置きにして用いるために横転状態の画像情報を記憶させておかなくても正しい画像情報を表示することができる。この結果、画像情報の作成における労力を低減し、あるいは既存の画像情報の全部又は一部を用いた表示演出を可能にすることができる。
【0057】
[7 演出データの詳細]
次に、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている演出データの詳細について説明する。
【0058】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、可動体演出、及び特殊表示演出のための演出データが、演出用制御ROMの演出データ記憶部320gの所定領域に予め記憶されている。この演出データ記憶部320gには、図6(A)に示す様に、演出データとして、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDVと、デモ中に実行するデモ中演出データDMとが記憶されている。また、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZも記憶されている。
【0059】
本実施例においては、演出制御基板320において保留先読みによる特殊ゾーン演出も実行する様に構成されている。このため、変動ゲーム中演出データDHの中に、特殊ゾーン演出用のデータDHSZが記憶されている。
【0060】
変動ゲーム中演出データDHnは、図6(B)に示す様に、背景表示用データ(DHn1)、キャラクタ表示用データ(DHn2)、発光演出用データ(DHn3)、音声演出用データ(DHn4)、可動体演出用データ(DHn5)、及び特殊演出用データ(DHn6)の組み合わせとなっている。なお、変動ゲーム中演出データDHnにおいてDHn1~DHn6の内、例えば、可動体演出を行わない場合はDHn5がブランクデータとなり、特殊演出を実行しない場合はDHn6がブランクデータとなる。特殊演出用データDHn6は、図6(C)に示す様に、所定演出実行回数DHn6aと所定因子獲得回数DHn6bとが対となったデータとして構成されている。この特殊演出用データDHn6がブランクデータの場合は特殊演出は実行されず、一対の場合は1回の特殊演出が、複数対の場合は複数回の特殊演出が実行される。また、特殊演出データDHn6としては、所定演出実行回数DHn6a≧所定因子獲得回数DHn6≧0の関係となっていて、所定演出が実行されても所定因子を獲得しない特殊演出も存在する。
【0061】
[8 データ構成例]
特殊演出データDHn6として、図7(A)に示す様に、所定演出実行回数タDHn6a1=4、所定因子獲得回数DHn6b1=1が設定されているとする。この場合、所定因子獲得成功=Pとすると、4回の所定演出を実行する際に、1回目実行時、2回目実行時、3回目実行時、4回目実行時の4通りの所定因子獲得パターンのいずれかが特殊演出として実行されることになる。
【0062】
同様に、図7(B)に示す様に、特殊演出データDHn6として、所定演出実行回数データDHn6a=4、所定因子獲得回数データDHn6b=2が設定されているとすると、4回の所定演出を実行する際に、1,2回目実行時、1,3回目実行時、1,4回目実行時、2,3回目実行時、2,4回目実行時、3,4回目実行時の6通りの所定因子獲得パターンのいずれかが特殊演出として実行されることになる。
【0063】
これら特殊演出のパターン数は、所定演出実行回数DHn6a=m、所定因子獲得回数DHn6=nとすると、数1にm,nを当てはめることにより算出することができる。
【0064】
【数1】
【0065】
従って、図7(C)に示す様に、特殊演出データDHn6として、所定演出実行回数データDHn6a=40、所定因子獲得回数データDHn6b=20が設定されているとすると、40回の所定演出を実行する際に、1~20回目実行時、1,3~21回目実行時、・・・、21~40回目実行時と、選択可能なパターン数は、実に、137,846,528,820通りとなる。
【0066】
[9 順列生成・並べ替え処理]
従来は、この様な複数パターンから一つを選ぶ場合は、複数パターンを記憶させた抽選テーブルからの抽選処理を行っている(例えば、特許文献1)。図7(A),(B)に例示した4通り、6通りといったパターンに対する抽選テーブルの作成や抽選処理は容易であるが、図7(C)の様な極めて多数のパターンが想定される場合は、抽選テーブルの作成や抽選処理は極めて煩雑かつ困難なものとなる。
【0067】
そこで、本実施例においては、特殊演出DHn6の実行に当たっては、所定演出実行回数DHn6aに対応する桁数の順列を生成してランダムに並び替えるアルゴリズムを利用して実行パターンを生成する処理を実行することとしている。
【0068】
より具体的には、所定演出を実行する間に所定因子を獲得する特殊演出用として、所定期間内における所定演出実行回数DHn6a及び所定因子獲得回数DHn6bを設定した特殊演出用データDHn6を変動ゲーム中演出データDHに含ませておく。そして、この特殊演出用データDHn6を読み出したら、所定演出実行回数DHn6aに基づいて順列を生成すると共に、この順列の並べ替えを実行して、DHn6a回の所定演出実行中にDHn6b回の所定演出獲得演出を実行するパターンを決定する順列生成並べ替え処理を実行することとしている。
【0069】
図8(A)に例示する様に、特殊演出データDHn6として、所定演出実行回数データDHn6a=4、所定因子獲得回数データDHn6b=2が設定されているとする。この場合、順列生成並べ替え処理により、まず、図8(B)に示す様に、1,2回目の所定演出実行時に所定因子Pを獲得する4桁の順列を生成する。次に、図8(C1)に示す様に、4桁の順列の内から一つの桁をランダムに抽出し、1桁の新順列と3桁の旧順列とになる様に並べ替えを実行する。以下、図8(C2)に示す様に、3桁の旧順列の内から一つの桁をランダムに抽出し、2桁の新順列と2桁の旧順列とになる様に並べ替えを実行し、図8(C3)に示す様に、2桁の旧順列の内から一つの桁をランダムに抽出し、3桁の新順列と1桁の旧順列とになる様に並べ替えを実行し、図8(C4)に示す様に、1桁の旧順列の内から一つの桁をランダムに抽出し、4桁の新順列へと並べ替えを実行する。この結果、図示の例では、4回の所定演出を実行する際、1,2回目実行時に所定因子Pを獲得する仮のパターンからなる順列が、並べ替えにより、1,4回目実行時に所定因子Pを獲得するパターンの特殊演出として決定される。
【0070】
上述の事例は、m=4,n=2の組合せである6通りのパターンからの抽選ではなく、4回の並べ替えとなっている。これは、m=40,n=20の組合せである137,846,528,820通りのパターンについても、20個の桁で所定因子Pを獲得する40桁の順列を生成し、ランダムに一つの桁を抽出して新順列を生成する並べ替え処理を40回実行するだけで、ランダムに特殊演出のパターンを決定することができることを示している。そして、特殊演出のパターンを137,846,528,820通りも用意しておく必要はなく、所定演出実行回数DHn6a=mと所定因子獲得回数DHn6b=nの設定だけでよく、抽選テーブルを作成するための多大な工数も不要になる。
【0071】
なお、図8の例示は、上位n桁を所定因子獲得桁としたm桁の順列を生成した上で、「フィッシャー-イェーツのシャッフル」と称されるアルゴリズムを応用したものであるが、最初に生成する順列において、いずれの桁をn個の所定因子獲得桁とするかについての設定は、図8の事例に限定されない。また、順列の並べ替えを実行するアルゴリズムについても、「フィッシャー-イェーツのシャッフル」と称されるアルゴリズムに限定されない。n個の所定因子獲得桁を有するm桁の順列を生成し、当該順列の桁をランダムに並べ替えるアルゴリズムであればよい。
【0072】
[10 変動ゲーム中演出]
演出制御基板320は、図9(A)に示す様な制御系統により、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって変動演出を実行する。なお、本実施例においては、演出制御基板320には、特殊演出用データDHn6に基づいて生成される特殊演出のパターンを記憶する生成情報記憶部328が備わっている。
【0073】
変動演出処理は、図9(B)のフローチャートに示す様に、特別遊技中でない場合に変動コマンドを受信することによって開始する(S110:NO,S120:YES)。
【0074】
演出制御基板320は、変動コマンドを受信したら(S120:YES)、当該変動コマンドに従って変動ゲーム中演出データDH及び飾り図柄変動演出用データDKZを読み出す(S130)。
【0075】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHにブランクではない特殊演出用データDHn6aが含まれている場合は(S135:YES)、図8で例示した様に、所定演出実行回数DHn6a及び所定因子獲得回数DHn6bに基づいて順列生成・並べ替え処理(S200)を実行して特殊演出の実行パターンを決定する。
【0076】
なお、既に述べた様に、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。従って、順列生成・並べ替え処理によってどの様な特殊演出実行パターンが選択されるかは信頼度を直接表すものではない。言い換えるならば、順列生成・並べ替え処理の結果として特定された特殊演出実行パターンにおいて序盤に所定因子を獲得するか、終盤に所定因子を獲得するかが異なる結果となったとしても、そのこと自体は信頼度とは直接的な関係を有しない。あくまでも、特殊演出用データDHn6におけるDHn6aとDHn6bの組合せがどの様になっているかや、特殊演出用データDHn6が何個設定されているかが信頼度グループとして選択され易いあるいは選択され難いという点から特殊演出による信頼度報知の態様が決定するものとなっていて、最終的な実行パターンと信頼度報知とは直接的な関係を有しないのである。これにより、大当たり信頼度が高いときに選択される変動ゲーム中演出データDHにおいて、特殊演出の実行パターンからは大当たり信頼度を予測し難くすることが可能となり、遊技のマンネリ化を防ぐことができる。
【0077】
変動ゲーム中演出データDHの特殊演出用データDHn6aがブランクの場合は(S135:NO)、S200はパスして次の処理へと進み、スピーカSPによる音声演出、液晶表示装置LCDによる表示演出、発光装置LEDによる発光演出、モータMT及びソレノイドSOLを介して可動体を動作させる可動体演出等を実行する(S140)。
【0078】
この変動ゲーム中演出データDHによる演出は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに(S150:YES)、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する(S160)。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
【0079】
なお、演出制御基板320は、特別遊技中であるときは(S110:YES)、大当たり中演出データDVに基づいて大当たり中演出処理を実行する(S180)。また、デモ表示タイミングであるときは(S170:YES)、デモ中演出データDMに基づいてデモ中演出処理を実行する(S190)。
【0080】
演出制御基板320は、図9(C)に示す順列生成・並べ替え処理ルーチンを実行する場合、S130で読み出した変動ゲーム中演出データDHに、特殊演出用データDHn6として記憶されている所定演出実行回数DHn6a=mと所定因子獲得回数DHn6b=nを読み込む(S210)。そして、m,nに基づき、上位n個を所定因子Pを獲得する桁とするm桁の仮順列を生成する(S220)。続いて、仮順列を構成するm桁からランダムに一つの桁を抽出して新順列の先頭桁とし、仮順列よりも1桁少なくなったm-1桁の旧順列からランダムに一つの桁を抽出して新順列の2桁目とし、・・・、最後の1桁の旧順列の桁を新順列の末尾の桁にする並べ替え処理を実行する(S230)。こうして並べ替え処理が完了したら、新順列に従って、m回の所定演出実行中にn回の所定因子獲得機会を有する特殊演出の実行パターンを生成情報記憶部328に記憶する(S240)。次に、変動ゲーム中演出データDHに、実行パターンを生成していない特殊演出用データDHn6が残っているか否かを判断し(S250)、残っている場合は(S250:YES)、S210へと戻り、次の特殊演出用データDHn6の設定内容に基づいて特殊演出の実行パターンを生成し、記憶する(S210~S240)。
【0081】
S130で読み出した変動ゲーム中演出データDHに設定されている全ての特殊演出用データDHn6について特殊演出の実行パターンを生成し、記憶したら(S250:YES)、本ルーチンの処理を終え、変動ゲーム中演出処理のS140へと戻る。なお、演出制御基板30は、S140を実行する際には、生成情報記憶部328に記憶されている特殊演出の実行パターンに従った表示演出を特殊演出として実行する。
【0082】
[11 特殊演出実行例]
所定因子Pとしてのポイントを獲得する演出を例に、本実施例における表示演出の一例を図10で説明する。図示の例は、1回の変動演出において3回のリーチ演出が行われる変動ゲーム中演出データDHが選択され、それぞれのリーチの発生前の所定期間に対して特殊演出DHn6が設定された例である。
【0083】
この特殊演出実行例では、1回目のリーチ前の時刻t12~時刻t13-△tに対してDHn6a1=4,DHn6b1=2が、2回目のリーチ前の時刻t14~時刻t15-△tに対してDHn6a1=13,DHn6b1=6が、3回目のリーチ前の時刻t16~時刻t17-△tに対してDHn6a1=40,DHn6b1=20が設定されたものとなっている。
【0084】
時刻t12~時刻t13-△tでは、図示の様に、4回のポイント獲得チャンスに対して、1,2回目、1,3回目、1,4回目、2,3回目、2,4回目、3,4回目の6通りのポイント獲得パターンのいずれかが実行される。これら6通りのポイント獲得パターンのいずれを実行するかは、順列生成・並べ替え処理(S200)によって決定する。図は、2,4回目にポイントを獲得するポイント獲得パターンが選ばれた場合の表示演出の変化を示している。図示の様に、ポイント獲得に失敗、成功、失敗、成功となる様子が液晶表示装置LCDに表示されることになる。
【0085】
時刻t14~時刻t15-△tでは、図示の様に、13回のポイント獲得チャンスに対して、1~6回目、1,3~7回目、1,4~8回目、・・・、7,9~13回目、8~13回目の1716通りのポイント獲得パターンのいずれかが実行される。これら1716通りのポイント獲得パターンのいずれを実行するかは、順列生成・並べ替え処理(S200)によって決定する。
【0086】
時刻t16~時刻t17-△tでは、図示の様に、40回のポイント獲得チャンスに対して、1~20回目、1,3~21回目、・・・、2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38,40回目、・・・、21~40回目の137,846,528,820通りのポイント獲得パターンのいずれかが実行される。これら1378億超のポイント獲得パターンのいずれを実行するかは、順列生成・並べ替え処理(S200)によって決定する。図は、2,4,6,8,・・・と、偶数回目にポイントを獲得するポイント獲得パターンが選ばれた場合の表示演出の変化を示している。図示の様に、ポイント獲得に失敗、成功、失敗、成功、・・・、失敗、成功、失敗、成功となる様子が液晶表示装置LCDに表示されることになる。
【0087】
以上、実施例1によれば、設計工数増大等の新たな問題を生じることなく多彩な特殊演出を実行可能な遊技機を提供することができる。
【0088】
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0089】
例えば、実施例1はポイント獲得演出について例示したが、キャラクタ、アイテム、ゲージやメータが示すレベルといった所定因子を所定期間内に実行される所定演出の中で獲得する特殊演出に本発明を適用することができる。また、パチンコ機ではなくスロットマシーンにおける表示演出においても、特殊演出によって大当たり信頼度の報知又は示唆を行う様に構成することができる。さらに、リーチ前の信頼度報知に限らず、変短やラッシュといった大当たり後の遊技状態の変化を報知・示唆するための特殊演出に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
7・・・始動入賞装置、11・・・障害釘、12・・・風車、15・・・大入賞口、18・・・普通入賞口、19・・・アウト口、20・・・右側遊技領域、27・・・第2始動入賞装置、37・・・ゲート、310・・・主制御基板、311・・・特図1保留記憶部、312・・・特図2保留記憶部、315・・・通常状態用変動パターンテーブル、316・・・変短状態用変動パターンテーブル、320・・・演出制御基板、325・・・演出データ記憶手段、328・・・生成情報記憶部、330・・・払出制御基板、335・・・BCユニット、340・・・発射制御基板、350・・・インタフェース基板、360・・・電源基板、370・・・演出表示制御基板、380・・・電源中継基板、390・・・球貸し操作基板、400・・・ホールコンピュータ、600・・・性能表示モニタ。
P1・・・パチンコ機、DH,DHn・・・変動ゲーム中演出データ、DHn1・・・背景表示用データ、DHn2・・・キャラクタ表示用データ、DHn3・・・発光演出用データ、DHn4・・・音声演出用データ、DHn5・・・可動体演出用データ、DHn6・・・特殊殊演出用データ、DHn6a・・・所定演出実行回数データ、DHn6b・・・所定因子獲得回数データ、DKZ・・・飾り図柄変動演出データ、DM・・・デモ中演出データ、DV・・・大当たり中演出データ、LCD・・・液晶表示装置、TKZ・・・特図表示器。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10