IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2023-111067管理装置、管理システム、および管理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111067
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、および管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/85 20220101AFI20230803BHJP
【FI】
H04L45/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012703
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三村 和
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 誠由
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】東村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】明石 大
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA03
5K030GA14
5K030HC09
5K030JL01
5K030LB05
5K030MA04
5K030MB04
(57)【要約】
【課題】要求に適した通信パスの設定を実現すること。
【解決手段】管理装置は、第1アプリケーションモジュールの第1通信パス要件に該当する第1通信パス要件テンプレートと第2アプリケーションモジュールの第2通信パス要件に該当する第2通信パス要件テンプレートを特定し、第1通信パス要件テンプレートに含まれる使用可能通信モジュールを第1通信モジュールに決定し、第2通信パス要件テンプレートに含まれる使用可能通信モジュールを第2通信モジュールに決定し、第1通信モジュールの配置先を第1配置先に決定し、第2通信モジュールの配置先を第2配置先に決定し、第1アプリケーションモジュールおよび第1通信モジュールを第1配置先に配置し、第2アプリケーションモジュールおよび第2通信モジュールを第2配置先に配置して通信パスを設定する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機群と通信可能な管理装置であって、
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有し、
前記記憶デバイスは、
アプリケーションモジュール群と、
通信モジュール群と、
前記アプリケーションモジュール群内のアプリケーションモジュールと前記アプリケーションモジュールの通信相手となる他のアプリケーションモジュールとの間の通信パスに要求される条件である通信パス要件と、
前記他のアプリケーションモジュールを指定する通信パス要件対象と、
前記通信パス要件における通信の種類および条件を定義した通信パス要件定義と前記通信パス要件定義に使用可能な通信モジュールを定義した使用可能通信モジュールと前記通信パス要件定義に使用可能な通信の設定を定義した使用可能設定とにより構成される通信パス要件テンプレート群と、を記憶し、
前記プロセッサは、
第1アプリケーションモジュールの第1通信パス要件に該当する第1通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定し、前記通信パス要件対象で前記第1アプリケーションモジュールの通信相手として指定された第2アプリケーションモジュールの第2通信パス要件に該当する第2通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定する特定処理と、
前記第1通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第1アプリケーションモジュールが使用可能な第1通信モジュールに決定し、前記第2通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第2アプリケーションモジュールが使用可能な第2通信モジュールに決定する通信モジュール決定処理と、
前記第1通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第1アプリケーションモジュールの第1配置先に決定し、前記第2通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第2アプリケーションモジュールの第2配置先に決定する通信モジュール配置先決定処理と、
前記第1アプリケーションモジュールおよび前記第1通信モジュールを前記第1配置先に配置し、前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールを前記第2配置先に配置する配置処理と、
前記第1アプリケーションモジュールと前記第2アプリケーションモジュールとの間を前記第1通信モジュールおよび前記第2通信モジュールを介して通信可能に接続する通信パスを設定する通信パス設定処理と、
を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記記憶デバイスは、
前記計算機群の各々の計算機が位置するエリア情報と、
前記アプリケーションモジュール群の各々のアプリケーションモジュールの配置可能エリアと、を記憶し、
前記プロセッサは、
前記エリア情報および前記配置可能エリアに基づいて、前記第1配置先を前記計算機群から決定し、前記第2配置先を前記計算機群から決定するアプリケーションモジュール配置先決定処理と、
を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記記憶デバイスは、前記通信モジュールの種類に応じたネットワーク品質に関する情報を規定する通信モジュールレポジトリを記憶し、
前記プロセッサは、
前記通信モジュールレポジトリを参照して、前記第1通信モジュールと前記第2通信モジュールの各々の通信モジュールの種類に応じたネットワーク品質を設定する品質設定処理と、
を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1配置先および前記第2配置先に前記通信パスの削除指示を送信し、前記第1配置先に前記第1アプリケーションモジュールおよび前記第1通信モジュールの停止または削除指示を送信し、前記第2配置先に前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールの停止または削除指示を送信する削除処理と、
を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の管理装置であって、
前記記憶デバイスは、
前記計算機間との通信で発生するメトリック情報を記憶し、
前記プロセッサは、
前記メトリック情報に基づいて、前記第1アプリケーションモジュールが前記第1通信パス要件を充足しなくなったことを検出する第1検出処理と、
前記第1検出処理によって前記第1通信パス要件を充足しなくなった前記第1アプリケーションモジュールについて、前記エリア情報および前記配置可能エリアに基づいて、前記第1配置先とは異なる第3配置先を前記計算機群から決定するアプリケーションモジュール配置先再決定処理と、
前記第1通信モジュールの配置先を前記第3配置先に決定する通信モジュール配置先再決定処理と、
前記第1アプリケーションモジュールおよび前記第1通信モジュールを前記第3配置先に配置する再配置処理と、
前記第3配置先に配置された前記第1アプリケーションモジュールと前記第2アプリケーションモジュールとの間を前記第3配置先に配置された前記第1通信モジュールおよび前記第2通信モジュールを介して通信可能に接続する通信パスを設定する通信パス再設定処理と、
を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の管理装置であって、
前記記憶デバイスは、
前記計算機間との通信で発生するメトリック情報を記憶し、
前記プロセッサは、
前記メトリック情報に基づいて、前記第2アプリケーションモジュールが前記第2通信パス要件を充足しなくなったことを検出する第2検出処理と、
前記第2検出処理によって前記第2通信パス要件を充足しなくなった前記第2アプリケーションモジュールについて、前記エリア情報および前記配置可能エリアに基づいて、前記第2配置先とは異なる第4配置先を前記計算機群から決定するアプリケーションモジュール配置先再決定処理と、
前記第2通信モジュールの配置先を前記第4配置先に決定する通信モジュール配置先再決定処理と、
前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールを前記第4配置先に配置する再配置処理と、
前記第1アプリケーションモジュールと前記第4配置先に配置された前記第2アプリケーションモジュールとの間を前記第1通信モジュールおよび前記第4配置先に再配置された前記第2通信モジュールを介して通信可能に接続する通信パスを設定する通信パス再設定処理と、
を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の管理装置であって、
前記プロセッサは、
前記メトリック情報に基づいて、前記第2アプリケーションモジュールが前記第2通信パス要件を充足しなくなったことを検出する第2検出処理を実行し、
前記アプリケーションモジュール配置先再決定処理では、前記プロセッサは、前記第2検出処理によって前記第2通信パス要件を充足しなくなった前記第2アプリケーションモジュールについて、前記エリア情報および前記配置可能エリアに基づいて、前記第2配置先とは異なる第4配置先を前記計算機群から決定し、
前記通信モジュール配置先再決定処理では、前記プロセッサは、前記第2通信モジュールの配置先を前記第4配置先に決定し、
前記再配置処理では、前記プロセッサは、前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールを前記第4配置先に配置し、
前記通信パス再設定処理では、前記プロセッサは、前記第3配置先に再配置された前記第1アプリケーションモジュールと前記第4配置先に再配置された前記第2アプリケーションモジュールとの間を前記第3配置先に再配置された前記第1通信モジュールおよび前記第4配置先に再配置された前記第2通信モジュールを介して通信可能に接続する通信パスを設定する、
ことを特徴とする管理装置。
【請求項8】
計算機群と、前記計算機群と通信可能な管理装置と、を有する管理システムであって、
前記管理装置は、
アプリケーションモジュール群と、
通信モジュール群と、
前記アプリケーションモジュール群内のアプリケーションモジュールと前記アプリケーションモジュールの通信相手となる他のアプリケーションモジュールとの間の通信パスに要求される条件である通信パス要件と、
前記他のアプリケーションモジュールを指定する通信パス要件対象と、
前記通信パス要件における通信の種類および条件を定義した通信パス要件定義と前記通信パス要件定義に使用可能な通信モジュールを定義した使用可能通信モジュールと前記通信パス要件定義に使用可能な通信の設定を定義した使用可能設定とにより構成される通信パス要件テンプレート群と、を記憶し、
前記管理装置は、
第1アプリケーションモジュールの第1通信パス要件に該当する第1通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定し、前記通信パス要件対象で前記第1アプリケーションモジュールの通信相手として指定された第2アプリケーションモジュールの第2通信パス要件に該当する第2通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定する特定処理と、
前記第1通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第1アプリケーションモジュールが使用可能な第1通信モジュールに決定し、前記第2通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第2アプリケーションモジュールが使用可能な第2通信モジュールに決定する通信モジュール決定処理と、
前記第1通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第1アプリケーションモジュールの第1配置先に決定し、前記第2通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第2アプリケーションモジュールの第2配置先に決定する通信モジュール配置先決定処理と、
前記第1アプリケーションモジュールおよび前記第1通信モジュールを前記第1配置先に配置し、前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールを前記第2配置先に配置する配置処理と、
前記第1アプリケーションモジュールと前記第2アプリケーションモジュールとの間の通信を前記第1通信モジュールおよび前記第2通信モジュールを介した通信パスを設定する通信パス設定処理と、
を実行することを特徴とする管理システム。
【請求項9】
計算機群と通信可能な管理装置による管理方法であって、
前記管理装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有し、
前記記憶デバイスは、
アプリケーションモジュール群と、
通信モジュール群と、
前記アプリケーションモジュール群内のアプリケーションモジュールと前記アプリケーションモジュールの通信相手となる他のアプリケーションモジュールとの間の通信パスに要求される条件である通信パス要件と、
前記他のアプリケーションモジュールを指定する通信パス要件対象と、
前記通信パス要件における通信の種類および条件を定義した通信パス要件定義と前記通信パス要件定義に使用可能な通信モジュールを定義した使用可能通信モジュールと前記通信パス要件定義に使用可能な通信の設定を定義した使用可能設定とにより構成される通信パス要件テンプレート群と、を記憶し、
前記プロセッサは、
第1アプリケーションモジュールの第1通信パス要件に該当する第1通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定し、前記通信パス要件対象で前記第1アプリケーションモジュールの通信相手として指定された第2アプリケーションモジュールの第2通信パス要件に該当する第2通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定する特定処理と、
前記第1通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第1アプリケーションモジュールが使用可能な第1通信モジュールに決定し、前記第2通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第2アプリケーションモジュールが使用可能な第2通信モジュールに決定する通信モジュール決定処理と、
前記第1通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第1アプリケーションモジュールの第1配置先に決定し、前記第2通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第2アプリケーションモジュールの第2配置先に決定する通信モジュール配置先決定処理と、
前記第1アプリケーションモジュールおよび前記第1通信モジュールを前記第1配置先に配置し、前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールを前記第2配置先に配置する配置処理と、
前記第1アプリケーションモジュールと前記第2アプリケーションモジュールとの間を前記第1通信モジュールおよび前記第2通信モジュールを介して通信可能に接続する通信パスを設定する通信パス設定処理と、
を実行することを特徴とする管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールを管理する管理装置、管理システム、および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動体通信(5G)によって、低遅延、広帯域、高信頼な無線通信が可能になってきた。そのような中、5Gで特徴とする低遅延、広帯域、高信頼な無線ネットワークを導入することで、自営網の中の様々な既存のネットワークを統廃合することが可能となり、ネットワークの構築と運用のコストを削減できることが期待できる。特にOT(Operation Technology)を含むシステムのように、複数のネットワークが混在するシステムでは、その効果は顕著となる。5Gは、様々な分野へ適用が検討されている。その適用先の1つの例が、製造や物流における現場ネットワークである。
【0003】
製造や物流の現場では、高精細映像分析を活用したリアルタイム作業指示、人とロボットが協調作業できるような機器制御、臨場感を持たせた遠隔操縦などの新規DX(Digital Transformation)ソリューション導入による労働不足対策や生産性向上、品質向上が望まれている。
【0004】
これに対して、ローカル5Gやパブリック5Gと、汎用的なエッジ処理サーバ(MEC:Multi―access Edge Computingとも呼ばれる)を導入して現場ネットワークを無線ネットワークに統合し集約することで、サイバーフィジカルシステムでのフィードバック制御を含めて、高信頼かつ柔軟なサービス提供を実現することが検討されている。
【0005】
これにより、サプライチェーン上における需給変動、自社内での人員調整による工程変更、現場環境変化によって生じる作業微調整などの要因に起因して、業務に関わるアプリケーションを柔軟かつ迅速に変更可能になることが期待できる。ここでいうアプリケーションとは、何かしらのデータ入出力サービスを提供するモジュールを複数組み合わせることで、ある目的を達成するためのプログラムである。アプリケーションの構成の変更とは、これら複数のモジュールの組み合わせや配備位置を任意に変えることである。アプリケーションの構成の変更は、上述した要因をトリガーにして、クラウドからの指示によって実施される。これらモジュールを結び付けるネットワークには、構成変更に追従した高信頼なコネクティビティを提供することが求められる。
【0006】
下記特許文献1は、サービスに適用されるネットワーク要件を生成するネットワーク要件生成システムを開示する。このネットワーク要件生成システムは、所定の演算処理を実行して以下の各機能部を実現する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成され、ユーザが入力したサービス要件を取得するサービス要件取得部と、前記入力されたサービス要件を分析してネットワーク要件を生成するサービス要件分析部と、前記生成されたネットワーク要件からネットワークを構築する制御装置向けのネットワーク設定内容を作成するネットワーク要件制御部と、を備える。
【0007】
下記特許文献2は、複数のネットワーク接続を通してデータフローをルーティングするためのネットワークゲートウェイを開示する。このネットワークゲートウェイは、複数のネットワーク接続を通してデータを伝送するための第1のネットワークインタフェースを含む複数のネットワークインタフェースと、少なくとも1つのプロセッサであって、第1のネットワークインタフェースを通してパケットの順次バーストを送信することと、パケットの順次バースト内のパケットが受信ノードにおいて受信される際に記録されるタイムスタンプおよびパケットのサイズに基づいて、第1のネットワークインタフェースの帯域幅を生成することと、第1のネットワークインタフェースの生成された帯域幅に基づいて順次パケットのデータフローを複数のネットワーク接続を通してルーティングすることとのために構成されたプロセッサとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-140276号公報
【特許文献2】特表2020-502948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
OTにおいてアプリケーションが要求する厳しいアプリケーション要件に対応する現場ネットワークを無線ネットワーク化する際の課題について、工場ネットワークを例にとって説明する。現状の工場ネットワークでは、業務の要件に合わせて、制御ネットワーク、情報ネットワーク、OA(Office Automation)ネットワークなどの複数のネットワークが混在している。またアプリケーションごとに、制御機器に対する通信遅延や通信稼働率など要件が多様である。
【0010】
工場ネットワークを無線ネットワーク化することで、システムが柔軟化していく一方で、システムエンジニアへの依存は大きくなってしまう。システムエンジニアがこれら要件を満たすようにシステムやネットワークを手動で設定したり構築したりしていたのでは、需給変動や現場環境変化などに追従できず、さらにはビジネスとしてもスケールしない。
【0011】
また、特許文献1に開示されたネットワーク要件生成システムでは、ネットワーク機器の設定を生成するだけで、アプリケーションが要求するような高信頼な通信コネクティビティの提供については開示されていない。また、特許文献2に開示されたネットワークゲートウェイでは、システムへの動的かつ柔軟な導入方法については開示されていない。
【0012】
本発明は、要求に適した通信パスの設定を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明の一側面となる管理装置は、計算機群と通信可能な管理装置であって、プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有し、前記記憶デバイスは、アプリケーションモジュール群と、通信モジュール群と、前記アプリケーションモジュール群内のアプリケーションモジュールと前記アプリケーションモジュールの通信相手となる他のアプリケーションモジュールとの間の通信パスに要求される条件である通信パス要件と、前記他のアプリケーションモジュールを指定する通信パス要件対象と、前記通信パス要件における通信の種類および条件を定義した通信パス要件定義と前記通信パス要件定義に使用可能な通信モジュールを定義した使用可能通信モジュールと前記通信パス要件定義に使用可能な通信の設定を定義した使用可能設定とにより構成される通信パス要件テンプレート群と、を記憶し、前記プロセッサは、第1アプリケーションモジュールの第1通信パス要件に該当する第1通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定し、前記通信パス要件対象で前記第1アプリケーションモジュールの通信相手として指定された第2アプリケーションモジュールの第2通信パス要件に該当する第2通信パス要件テンプレートを前記通信パス要件テンプレート群から特定する特定処理と、前記第1通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第1アプリケーションモジュールが使用可能な第1通信モジュールに決定し、前記第2通信パス要件テンプレートに含まれる前記使用可能通信モジュールを、前記第2アプリケーションモジュールが使用可能な第2通信モジュールに決定する通信モジュール決定処理と、前記第1通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第1アプリケーションモジュールの第1配置先に決定し、前記第2通信モジュールの配置先を前記計算機群内の前記第2アプリケーションモジュールの第2配置先に決定する通信モジュール配置先決定処理と、前記第1アプリケーションモジュールおよび前記第1通信モジュールを前記第1配置先に配置し、前記第2アプリケーションモジュールおよび前記第2通信モジュールを前記第2配置先に配置する配置処理と、前記第1アプリケーションモジュールと前記第2アプリケーションモジュールとの間を前記第1通信モジュールおよび前記第2通信モジュールを介して通信可能に接続する通信パスを設定する通信パス設定処理と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の代表的な実施の形態によれば、要求に適した通信パスの設定を実現することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、エッジ運用管理システムのシステム構成例を示すブロック図である。
図2図2は、コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3図3は、オーケストレーションサーバの機能構成例を示すブロック図である。
図4図4は、アプリケーションの一例を示す説明図である。
図5図5は、リソース管理テーブルの一例を示す説明図である。
図6図6は、アプリケーション要件テーブルの一例を示す説明図である。
図7図7は、アプリケーション管理テーブルの一例を示す説明図である。
図8図8は、通信モジュールレポジトリの一例を示す説明図である。
図9図9は、通信パス要件テンプレートテーブルの一例を示す説明図である。
図10図10は、処理サーバおよびIoTゲートウェイの機能構成例を示すブロック図である。
図11A図11Aは、工場LAN内のエッジ処理サーバが保有する通信パス管理テーブルの一例を示す説明図である。
図11B図11Bは、ローカル5Gネットワーク内のエッジ処理サーバが保有する通信パス管理テーブルの一例を示す説明図である。
図11C図11Cは、IoTゲートウェイが保有する通信パス管理テーブルの一例を示す説明図である。
図11D図11Dは、クラウド処理サーバが保有する通信パス管理テーブルの一例を示す説明図である。
図12図12は、モジュールのデプロイ動作の一例を示すシーケンス図である。
図13図13は、モジュールのデプロイメント後の論理的システムの構成例を示すブロック図である。
図14図14は、オーケストレーションサーバの表示画面例を示す説明図である。
図15図15は、モジュールのアンデプロイ動作の一例を示すシーケンス図である。
図16図16は、モジュールの再デプロイ動作の一例を示すシーケンス図である。
図17A図17Aは、パブリック5Gネットワーク内のエッジ処理サーバが保有する再デプロイメント後の通信パス管理テーブルの一例を示す説明図である。
図17B図17Bは、IoTゲートウェイが保有する再デプロイメント後の通信パス管理テーブルの一例を示す説明図である。
図18図18は、モジュールの再デプロイメント後の論理的システムの構成例を示すブロック図である。
図19図19は、再デプロイメント後のオーケストレーションサーバの表示画面例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<エッジ運用管理システム>
図1は、エッジ運用管理システムのシステム構成例を示すブロック図である。エッジ運用管理システム1は、クラウド101と、工場システム5と、を有する。クラウド101および工場システム5は、公衆網100を介して通信可能に接続される。また、クラウド101および工場システム5は、公衆網100を介してパブリック5Gネットワーク40と通信可能に接続される。
【0017】
パブリック5Gネットワーク40は、基地局41と、エッジ処理サーバ24E2と、モバイルネットワーク管理サーバ44と、を有する。基地局41、エッジ処理サーバ24E2、およびモバイルネットワーク管理サーバ44は、モバイルコア網43を介して通信可能に接続される。モバイルネットワーク管理サーバ44は、公衆網100と通信可能に接続される。モバイルネットワーク管理サーバ44は、パブリック5Gネットワーク40とパブリック5Gネットワーク40外のIoTゲートウェイ13、ローカル5Gネットワーク20、工場LAN(Local Area Network)32、およびクラウド101との通信を管理する。また、基地局41は、MBH(Mobile Backhaul)42を介してモバイルコア網43と通信可能にされる。
【0018】
クラウド101は、オーケストレーションサーバ102と、クラウド処理サーバ24C1と、を有する。オーケストレーションサーバ102は、クラウド処理サーバ24C1、エッジ処理サーバ24E2、エッジ処理サーバ24E3、およびエッジ処理サーバ24E4を制御して、仮想化環境の設定を統合的に行ったり、仮想化環境の運用を自動化したりする管理装置である。
【0019】
工場システム5は、エッジ処理サーバ24E3と、工場LAN32と、既存工場ネットワーク34と、工場LAN管理サーバ35と、ローカル5Gネットワーク20と、無線LAN基地局31と、端末15と、を有する。エッジ処理サーバ24E3、ファイアウォール33、既存工場ネットワーク34、工場LAN管理サーバ35と、ローカル5Gネットワーク20、および無線LAN基地局31は、工場LAN32を介して通信可能に接続される。工場LAN管理サーバ35は、工場LAN32と工場LAN32外のIoTゲートウェイ13、ローカル5Gネットワーク20、クラウド101およびパブリック5Gネットワーク40との通信を管理する。
【0020】
ローカル5Gネットワーク20は、エッジ処理サーバ24E4と、モバイルコア装置23と、基地局21と、MBH22と、を有する。エッジ処理サーバ24E4、モバイルコア装置23、および基地局21は、MBH22を介して通信可能に接続される。モバイルコア装置23とは、LTE(Long Term Evolution)や5Gのモバイル通信を収容する装置の総称であり、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core)とも呼ばれる。モバイルコア装置23は、ローカル5Gネットワーク20とローカル5Gネットワーク20外のIoTゲートウェイ13、工場LAN32、クラウド101およびパブリック5Gネットワーク40との通信を管理する。
【0021】
端末15は、カメラ10と、制御装置11と、バス12と、IoTゲートウェイ13と、を有する計算機である。カメラ10、制御装置11、およびIoTゲートウェイ13は、バス12を介して通信可能に接続される。また、端末15は、IoTゲートウェイ13を介して、基地局21、無線LAN基地局31、および基地局41と通信可能に接続される。
【0022】
カメラ10は、工場システム5内の作業員やコンベアなどの作業機械を撮像する。制御装置11は、制御対象である作業機械に接続され、たとえば、ローラの回転速度などの制御データを作業機械に与えて作業機械の動作を制御する。
【0023】
端末15は、工場システム5に1台設けられる。工場システム5に複数の製造ラインが存在する場合には、端末15は、製造ラインごとに設けられる。
【0024】
なお、エッジ処理サーバ24E2、エッジ処理サーバ24E3、およびエッジ処理サーバ24E4を区別しない場合は、単に、エッジ処理サーバ24Eと表記する。また、クラウド処理サーバ24C1、エッジ処理サーバ24E2、エッジ処理サーバ24E3、およびエッジ処理サーバ24E4を区別しない場合は、単に、処理サーバ24と表記する。処理サーバ24は計算機である。
【0025】
<コンピュータ(オーケストレーションサーバ102、処理サーバ24、IoTゲートウェイ13)のハードウェア構成例>
図2は、コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータ200は、プロセッサ201と、記憶デバイス202と、入力デバイス203と、出力デバイス204と、通信インタフェース(通信IF)205と、を有する。プロセッサ201、記憶デバイス202、入力デバイス203、出力デバイス204、および通信IF205は、バス206により接続される。プロセッサ201は、コンピュータ200を制御する。記憶デバイス202は、プロセッサ201の作業エリアとなる。また、記憶デバイス202は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス202としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス203は、データを入力する。入力デバイス203としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナ、マイク、センサがある。出力デバイス204は、データを出力する。出力デバイス204としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカがある。通信IF205は、ネットワークと接続し、データを送受信する。以下、本発明にかかる実施例について説明する。
【0026】
<オーケストレーションサーバ102の機能構成例>
図3は、オーケストレーションサーバ102の機能構成例を示すブロック図である。オーケストレーションサーバ102は、メトリック情報収集部300と、アプリケーション要件取得部301と、モジュール配置決定部302と、通信パス要件解釈部303と、モジュールデプロイ制御部304と、E2Eネットワーク品質制御部305と、リソース管理テーブル500と、アプリケーション要件テーブル600と、アプリケーション管理テーブル700と、通信モジュールレポジトリ800と、通信パス要件テンプレートテーブル900と、を有する。
【0027】
メトリック情報収集部300、アプリケーション要件取得部301、モジュール配置決定部302、通信パス要件解釈部303、モジュールデプロイ制御部304、およびE2Eネットワーク品質制御部305は、具体的には、たとえば、図2に示した記憶デバイス202に記憶されたプログラムをプロセッサ201に実行させることにより実現される。
【0028】
メトリック情報収集部300、アプリケーション要件取得部301、モジュール配置決定部302、通信パス要件解釈部303、モジュールデプロイ制御部304、およびE2Eネットワーク品質制御部305は、記憶デバイス202に記憶される。
【0029】
メトリック情報収集部300は、処理サーバ24およびIoTゲートウェイ13からメトリック情報を収集する。メトリック情報とは、通信相手までのパス(経路)の距離に関する情報であり、具体的には、たとえば、遅延([ms])、揺らぎ([ms])、帯域([Mbps])、PER(Packet Error Rate)である。メトリック情報収集部300は、一定時間間隔でメトリック情報を収集し更新してもよい。
【0030】
アプリケーション要件取得部301は、外部のコンピュータから受信することにより、または、操作者の操作により、アプリケーション要件の入力を受け付ける。アプリケーション要件とは、アプリケーションに要求される条件である。アプリケーションは、アプリケーションモジュールと通信モジュールとを含むソフトウェアモジュール群である。アプリケーションは、クラウド101内に保持されている。アプリケーションモジュールと通信モジュールとを区別しない場合は、単に、モジュールと表記する。
【0031】
アプリケーションモジュールは、データを処理するソフトウェアモジュールであり、たとえば、機械学習を実行する学習モジュール、データを収集するデータ収集モジュール、映像を解析する映像解析モジュール、カメラを制御するカメラコントロールモジュール、制御装置を制御する制御装置コントロールモジュールがある。
【0032】
通信モジュールは、データを送受信するモジュールであり、たとえば、複数パスでのパケット複製転送をおこなう広帯域化通信モジュール、複数パスのアグリケーションをおこなう高信頼化通信モジュール、パケットの揺らぎを吸収する揺らぎ低減通信モジュール、WAF(Web Application Firewall)として機能させるWAF通信モジュールがある。
【0033】
アプリケーション要件は、モジュールごとに規定され、どのモジュールがどこに配置され、どのような通信パス要件で、誰と通信するかという条件を含む。通信パス要件とは、通信パスに要求される条件であり、制御通信やメディア通信といった通信種類とその制約条件を含む。通信パスとは、モジュールとその通信相手との間の通信経路である。
【0034】
モジュール配置決定部302は、モジュールの配置先を決定する。配置先には、たとえば、ANY(どこでもよい)、閉域エリア、フィールドエリアがある。閉域エリアは、モジュールが配置されるデバイス内であり、フィールドエリアは、モジュールが配置されるデバイスが複数のネットワークと通信可能であることを示す。
【0035】
通信パス要件解釈部303は、通信パス要件を解釈する。具体的には、たとえば、通信パス要件解釈部303は、通信パス要件テンプレートテーブル900から、モジュールの配置先の通信パス要件に該当する通信パス要件テンプレートを特定し、特定した通信パス要件テンプレートに該当する通信モジュールを決定する。
【0036】
モジュールデプロイ制御部304は、モジュール配置決定部302で決定されたモジュールの配置先に、モジュールを配置するよう制御する。具体的には、たとえば、モジュールデプロイ制御部304は、モジュール配置決定部302で決定されたモジュールの配置先に、モジュールを送信する。
【0037】
E2Eネットワーク品質制御部305は、END-TO-END、すなわち、配置先に配置されるモジュールとその通信相手との間に存在するネットワークの品質を制御する。具体的には、たとえば、E2Eネットワーク品質制御部305は、QoS(Quality of Service)設定および通信パス設定を実行する。QoSは、ネットワーク上のサービスを安定して使えるようにするためにデータを通す順番や量を調整する既存技術である。
【0038】
<アプリケーション>
図4は、アプリケーションの一例を示す説明図である。アプリケーション400は、カメラコントロールモジュール401と、制御装置コントロールモジュール402と、データ収集モジュール403と、映像解析モジュール404と、一次学習モジュール405と、二次学習モジュール406と、を有する。
【0039】
カメラコントロールモジュール401は、カメラ10に撮像を指示したり、カメラ10で撮像された映像データを受信したりする。カメラコントロールモジュール401は、一次学習モデルの学習時にはデータ収集モジュール403に映像データを送信し、一次学習モデルを用いた予測時には映像解析モジュールに映像データを送信する。
【0040】
制御装置コントロールモジュール402は、制御対象に設定された制御データを制御装置から取得する。制御装置コントロールモジュール402は、一次学習モデルの学習時にはデータ収集モジュール403に制御データを送信し、一次学習モデルを用いた予測時には映像解析モジュール404に制御データを送信する。
【0041】
また、制御装置コントロールモジュール402は、映像解析モジュール404からのリアルタイムフィードバック制御データを制御装置に転送する。制御装置11は、リアルタイムフィードバック制御データに基づいて、制御対象を制御する。具体的には、たとえば、リアルタイムフィードバック制御データが、映像解析した映像データおよび制御データが正常な作業であることを示すデータである場合、制御装置11は、現状のまま制御対象の制御を継続する。一方、リアルタイムフィードバック制御データが、映像解析した映像データおよび制御データが逸脱した異常な作業であることを示すデータである場合、制御データを修正する。たとえば、コンベアの搬送速度が上限速度を超過している場合、制御装置11は、ローラの回転数を下げる制御を実行する。
【0042】
データ収集モジュール403は、映像データと制御データとを時刻で関連付け、学習データとして一次学習モジュールに転送する。
【0043】
一次学習モジュール405は、データ収集モジュールからの学習データと、あらかじめ設定された時刻ごとの正解データと、を用いて、機械学習を実行し、学習モデルを生成する。正解データは、たとえば、その時刻での作業が正常な作業であるか逸脱した作業であるかを識別する識別ラベルである。一次学習モジュール405は、生成した一次学習モデルを二次学習モジュール406および映像解析モジュール404に送信する。
【0044】
映像解析モジュール404は、一次学習モデルを用いて映像解析を実行する。映像解析モジュール404は、一次学習モデルに、カメラコントロールモジュール401からの映像データおよび制御装置コントロールモジュール402からの制御データを入力して、その時刻での作業が正常な作業であるか逸脱した作業であるかを示す予測結果を算出し、リアルタイムフィードバック制御データとして、制御装置コントロールモジュール402に送信する。
【0045】
二次学習モジュール406は、一次学習モジュール405から一次学習モデルを取得して、二次学習モジュールを生成する。具体的には、たとえば、二次学習モジュール406は、工場システム5と他の工場システムとを含む工場システム群に共通な特徴量のみを抽出して一次学習モデルを再構築し、ノウハウとして二次学習モデルとして生成する。
【0046】
<オーケストレーションサーバ102内のテーブル群>
つぎに、オーケストレーションサーバ102内のテーブル群について具体的に説明する。
【0047】
図5は、リソース管理テーブル500の一例を示す説明図である。リソース管理テーブル500は、端末15が使用可能な計算機リソースを管理するテーブルである。リソース管理テーブル500は、フィールドとして、管理識別子501と、IoTデバイス502と、保有インタフェース503と、使用可能計算機リソース504と、位置505と、メトリック情報506と、を有する。
【0048】
管理識別子501は、IoTデバイス502が使用可能な計算機リソースを管理するための識別子であり、IoTデバイス502と一対一に対応する。IoTデバイス502は、端末15内のIoTデバイスを規定する。端末15の例では、IoTデバイス502は、IoTゲートウェイ13である。
【0049】
保有インタフェース503は、IoTデバイス502が保有する通信インタフェースである。端末15の例では、IoTゲートウェイ13は、ローカル5Gネットワーク20の基地局21、無線LAN基地局31、およびパブリック5Gネットワーク40に接続可能なインタフェースを保有する。
【0050】
使用可能計算機リソース504は、IoTデバイス502と通信可能で、かつ、アプリケーションが使用可能な計算機リソースであり、たとえば、クラウド処理サーバ24C1、エッジ処理サーバ24E2、エッジ処理サーバ24E3、およびエッジ処理サーバ24E4である。
【0051】
位置505は、使用可能計算機リソース504が存在する計算機リソースの場所を示す。なお、リソース管理テーブル500は、IoTゲートウェイを示す管理識別子501単位でエントリを規定しているため、図示はしないが、そのIoTデバイス502の位置502も保持されている。
【0052】
メトリック情報506は、IoTデバイス502と使用可能計算機リソース504との通信に関する情報であり、サブフィールドとして、ローカル5G経由507と、無線LAN経由508と、パブリック5G経由509と、を有する。ローカル5G経由507、無線LAN経由508、およびパブリック5G経由509の各々について、メトリック情報506が記録される。メトリック情報506は、上述したように、メトリック情報収集部300によって収集される。
【0053】
図6は、アプリケーション要件テーブル600の一例を示す説明図である。アプリケーション要件テーブル600は、アプリケーション要件を規定するテーブルである。アプリケーション要件テーブル600は、フィールドとして、アプリケーション識別子601と、アプリケーションモジュール602と、配置位置603と、通信パス要件対象604と、通信パス要件605と、通信パス方向606と、を有する。
【0054】
アプリケーション識別子601は、アプリケーション400を一意に特定する識別情報である。本例では、「App-A」はアプリケーション400のアプリケーション識別子601である。
【0055】
アプリケーションモジュール602は、アプリケーション識別子601で特定されるアプリケーションを構成するソフトウェアモジュールである。アプリケーション400の例では、アプリケーションモジュール602は、カメラコントロールモジュール401、制御装置コントロールモジュール402、データ収集モジュール403、映像解析モジュール404、一次学習モジュール405、および二次学習モジュール406である。
【0056】
配置位置603は、アプリケーションモジュール602の配置可能な位置を規定する。通信パス要件対象604は、通信パス要件605にしたがってアプリケーションモジュール602と通信する対象、すなわち、アプリケーションモジュール602を送信元した場合の宛先モジュールである。通信パス要件605は、アプリケーションモジュール602間の通信パスに要求される条件であり、制御通信やメディア通信といった通信種類とその制約条件を含む。
【0057】
通信パス方向606は、通信パス要件605が存在するエントリについて、通信パスの方向として、順方向または逆方向を規定する。順方向は、アプリケーションモジュール602から通信パス要件対象604への送信方向を示し、逆方向は、通信パス要件対象604からアプリケーションモジュール602へのデータの送信方向を示す。
【0058】
図7は、アプリケーション管理テーブル700の一例を示す説明図である。アプリケーション管理テーブル700は、アプリケーションの配置後の状態を管理するテーブルである。アプリケーション管理テーブル700は、フィールドとして、管理識別子501と、アプリケーション識別子601と、分類701と、モジュール702と、モジュールアドレス703と、配置位置アドレス704と、を有する。
【0059】
分類701は、アプリケーション識別子601で特定されるアプリケーションを種類別に分けた区分である。アプリケーション400の例では、分類701として、アプリケーションモジュールと、通信モジュールと、を有する。カメラコントロールモジュール401、制御装置コントロールモジュール402、データ収集モジュール403、映像解析モジュール404、一次学習モジュール405、および二次学習モジュール406は、アプリケーションモジュールに分類される。広帯域化通信モジュールおよび高信頼化通信モジュールは、通信モジュールに分類される。
【0060】
モジュール702は、分類701で区分されたアプリケーションモジュール602および通信モジュールの各々を詳細に規定する。
【0061】
モジュールアドレス703は、モジュール702の配置先内でのIPアドレスである。モジュールアドレス703は、モジュール702の配置先で付与される。配置位置アドレス704は、モジュール702の配置先のアドレスである。図7の例では、「C1.cloud.jp」は、クラウド処理サーバ24C1のアドレスである。「E3.fab.local」は、エッジ処理サーバ24E3のアドレスである。「E4.mobile.local」は、エッジ処理サーバ24E4のアドレスである。「IGW1111」は、端末15のアドレスである。
【0062】
図8は、通信モジュールレポジトリ800の一例を示す説明図である。通信モジュールレポジトリ800は、通信モジュールに関する情報を規定する。通信モジュールレポジトリ800は、フィールドとして、通信モジュール名801と、説明802と、提供形態803と、通信形態804と、構成805と、格納先806と、を有する。
【0063】
通信モジュール名801は、分類701で区分けされた通信モジュールの名称である。説明は、通信モジュールの意味を示す。提供形態803は、通信モジュールを提供する形態を示す。通信形態804は、通信モジュールが通信する形態を示す。構成805は、通信モジュールが通信する方式を示す。格納先806は、通信モジュールが格納されるアドレスを示す。
【0064】
図9は、通信パス要件テンプレートテーブル900の一例を示す説明図である。通信パス要件テンプレートテーブル900は、通信パス要件605に該当するテンプレート(以下、通信パス要件テンプレート)を規定するテーブルである。通信パス要件テンプレートテーブル900は、フィールドとして、通信パス要件定義901と、使用可能通信モジュール902と、使用可能設定903と、を有する。同一行の通信パス要件定義901、使用可能通信モジュール902、および使用可能設定903の組み合わせが1つの通信パス要件テンプレートを規定する。
【0065】
通信パス要件定義901は、通信パス要件605を定義する。具体的には、たとえば、通信パス要件定義901は、サブフィールドとして、分類911と、条件912と、を有する。分類911は、通信パスを種類別に分けた区分であり、たとえば、制御通信と、メディア通信と、セキュア通信と、を含む。制御通信は、制御データを通信する通信パスの分類911である。メディア通信は、映像データを通信する通信パスの分類911である。セキュア通信は、データをセキュアに通信する通信パスの分類911である。条件912は、分類911で区分された通信を行う場合の制約である。
【0066】
使用可能通信モジュール902は、通信パス要件定義901により使用することが可能な通信モジュールである。使用可能設定903は、通信パス要件定義901により使用可能通信モジュール902で使用可能な通信設定である。使用可能設定903では、条件912よりも詳細な制約が規定される。
【0067】
<処理サーバ24およびIoTゲートウェイ13の機能構成例>
図10は、処理サーバ24およびIoTゲートウェイ13の機能構成例を示すブロック図である。処理サーバ24およびIoTゲートウェイ13は、メトリック測定部1001と、モジュール実行部1002と、モジュール間ルーティング制御部1003と、通信パス管理テーブル1100と、を有する。
【0068】
メトリック測定部1001、モジュール実行部1002、およびモジュール間ルーティング制御部1003は、具体的には、たとえば、図2に示した記憶デバイス202に記憶されたプログラムをプロセッサ201に実行させることにより実現される。通信パス管理テーブル1100は、記憶デバイス202に記憶される。
【0069】
メトリック測定部1001は、メトリック情報を測定し、測定したメトリック情報をオーケストレーションサーバ102に送信する。
【0070】
モジュール実行部1002は、オーケストレーションサーバ102から配置されたモジュールを実行する。
【0071】
モジュール間ルーティング制御部1003は、他のモジュールとの間でルーティング制御を実行する。
【0072】
<通信パス管理テーブル>
図11A図11Dを用いて通信パス管理テーブルを例示する。
【0073】
図11Aは、工場LAN32内のエッジ処理サーバ24E3が保有する通信パス管理テーブル1100Aの一例を示す説明図である。図11Bは、ローカル5Gネットワーク20内のエッジ処理サーバ24E4が保有する通信パス管理テーブル1100Bの一例を示す説明図である。図11Cは、IoTゲートウェイ13が保有する通信パス管理テーブル1100Cの一例を示す説明図である。図11Dは、クラウド処理サーバ24C1が保有する通信パス管理テーブル1100Dの一例を示す説明図である。通信パス管理テーブル1100A~1100D、および図17Aで後述する通信パス管理テーブル1100Eを区別しない場合は、単に、通信パス管理テーブル1100と表記する。
【0074】
通信パス管理テーブル1100は、フィールドとして、管理識別子501と、送信元アドレス1101と、宛先アドレス1102と、ゲートウェイ1103と、を有する。送信元アドレス1101は、パケットの送信元を示すアドレスである。宛先アドレス1102は、パケットの宛先を示すアドレスである。ゲートウェイ1103は、送信元アドレス1101および宛先アドレス1102で特定されるパケットの送信先となるゲートウェイである。
【0075】
たとえば、通信パス管理テーブル1100Aを例に挙げると、1行目のエントリでは、一次学習モジュール405(10.0.3.10)を送信元とするパケットは、どの宛先(ANY)に対しても、「Default」のルーティングテーブル(不図示)に従って送られることを示している。また、2行目のエントリでは、データ収集モジュール403(10.0.3.20)を送信元とするパケットは、カメラコントロールモジュール401(10.0.5.10)が宛先である場合には、ゲートウェイ1103である広帯域化通信モジュール(10.0.3.254)に送られ、カメラコントロールモジュール401(10.0.5.10)以外の宛先(ANY)に対しては、「Default」のルーティングテーブル(不図示)に従って送られることを示している。
【0076】
<モジュールのデプロイ動作シーケンス>
図12は、モジュールのデプロイ動作の一例を示すシーケンス図である。
【0077】
[ステップS1200]
オーケストレーションサーバ102は、アプリケーション要件取得部301により、アプリケーション要件をアプリケーションごとに取得して、アプリケーション要件テーブル600に格納する。
【0078】
[ステップS1201]
オーケストレーションサーバ102は、モジュール配置決定部302により、リソース管理テーブル500およびアプリケーション要件テーブル600を参照して、アプリケーションモジュール602の配置先を決定する。具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、アプリケーション要件テーブル600を参照して、アプリケーションモジュール602ごとに配置位置603を特定する。たとえば、データ収集モジュール403、映像解析モジュール404、および一次学習モジュール405であれば「閉域エリア」、カメラコントロールモジュール401および制御装置コントロールモジュール402であれば「フィールドエリア」、二次学習モジュール406であれば「ANY」となる。
【0079】
モジュール配置決定部302は、リソース管理テーブル500を参照して、特定した配置位置603に該当する位置505を特定する。たとえば、特定した配置位置603が「ANY」であれば、モジュール配置決定部302は、アプリケーションモジュール602の配置先を、位置505が「公開エリア」および「閉域エリア」のいずれかに存在する使用可能計算機リソース504に決定する。本例では、モジュール配置決定部302は、配置位置603が「ANY」である二次学習モジュール406の配置先を、位置505が「公開エリア」であるクラウド処理サーバ24C1に決定したとする。
【0080】
また、たとえば、特定した配置位置603が「閉域エリア」であれば、位置505が「閉域エリア」であり、かつ、特定した配置位置603の通信パス要件605を充足する使用可能計算機リソース504が、配置先に決定される。
【0081】
たとえば、位置505が「閉域エリア」であるデータ収集モジュール403および一次学習モジュール405の場合、通信パス要件605が規定されていないため、モジュール配置決定部302は、位置505が「閉域エリア」であればどの使用可能計算機リソース504を配置先としてもよい。この場合、モジュール配置決定部302は、他のアプリケーションモジュール602と同じ使用可能計算機リソース504を配置先に決定してもよく、他のアプリケーションモジュール602と異なる使用可能計算機リソース504を配置先に決定してもよい。本例では、モジュール配置決定部302は、データ収集モジュール403および一次学習モジュール405の配置先を、位置505が「閉域エリア」であるエッジ処理サーバ24E3に決定したとする。
【0082】
また、たとえば、位置505が「閉域エリア」である映像解析モジュール404の場合、通信パス要件605が「制御通信」および「遅延<20[ms]」である。この場合、モジュール配置決定部302は、位置505が「閉域エリア」であり、かつ、遅延(時間)が通信パス要件605の「遅延<20[ms]」を充足する使用可能計算機リソース504を配置先に決定する。位置505が「閉域エリア」である使用可能計算機リソース504は、エッジ処理サーバ24E2、24E3、24E4である。
【0083】
このうち、遅延(時間)が通信パス要件605の「遅延<20[ms]」を充足する使用可能計算機リソース504は、ローカル5G経由507のエッジ処理サーバ24E4である。したがって、モジュール配置決定部302は、位置505が「閉域エリア」である映像解析モジュール404の配置先をローカル5G経由507のエッジ処理サーバ24E4に決定する。
【0084】
また、たとえば、特定した配置位置603が「フィールドエリア」であれば、モジュール配置決定部302は、そのアプリケーションモジュール602(カメラコントロールモジュール401、制御装置コントロールモジュール402)の配置先を、端末15のIoTゲートウェイ13に決定する。
【0085】
モジュール配置決定部302は、アプリケーション管理テーブル700のモジュール702が、配置先が決定されたアプリケーションモジュール602であるエントリの配置位置アドレス704に、決定された配置先のアドレスを登録する。
【0086】
このようにして、二次学習モジュール406の配置先が、クラウド処理サーバ24C1に決定され、データ収集モジュール403および一次学習モジュール405の配置先が、エッジ処理サーバ24E3に決定され、映像解析モジュール404の配置先が、ローカル5G経由507のエッジ処理サーバ24E4に決定され、カメラコントロールモジュール401および制御装置コントロールモジュール402の配置先が、端末15のIoTゲートウェイ13に決定される。
【0087】
[ステップS1202]
オーケストレーションサーバ102は、通信パス要件解釈部303により、モジュール配置決定部302によって配置先が決定されたアプリケーションモジュール602の通信パス要件605に該当する通信パス要件テンプレートを、図9の通信パス要件テンプレートテーブル900から特定する。
【0088】
具体的には、たとえば、図6のアプリケーション要件テーブル600において、通信パス要件解釈部303は、一次学習モジュール405および二次学習モジュール406については、通信パス要件605が「-」であるため、通信パス要件605が規定されていない。したがって、通信パス要件解釈部303は、一次学習モジュール405および二次学習モジュール406については、通信パス要件605に該当する通信パス要件テンプレートを特定しない。
【0089】
一方、図6のアプリケーション要件テーブル600において、カメラコントロールモジュール401からデータ収集モジュール403への通信パス要件605は、「メディア通信」および「4K映像×3」と規定されている。したがって、通信パス要件解釈部303は、「メディア通信」および「4K映像×3」に該当する通信パス要件テンプレート(分類911が「メディア通信」で、条件912が「4K映像×3」(N≧3)のエントリ)を、図9の通信パス要件テンプレートテーブル900から特定する。
【0090】
また、図6のアプリケーション要件テーブル600において、映像解析モジュール404から制御装置コントロールモジュール402への通信パス要件605は、「制御通信」および「遅延<20[ms]」と規定されている。したがって、通信パス要件解釈部303は、「制御通信」および「遅延<20[ms]」に該当する通信パス要件テンプレート(分類911が「制御通信」で、条件912が「遅延<20[ms]」(X≧20)のエントリ)を、図9の通信パス要件テンプレートテーブル900から特定する。
【0091】
また、図6のアプリケーション要件テーブル600において、カメラコントロールモジュール401へ映像解析モジュール404からの通信パス要件605は、「メディア通信」および「4K映像×1」と規定されている。したがって、通信パス要件解釈部303は、「メディア通信」および「4K映像×1」に該当する通信パス要件テンプレート(分類911が「メディア通信」で、条件912が「4K映像×N」(N≧1)のエントリ)を、図9の通信パス要件テンプレートテーブル900から特定する。
【0092】
このようにして、アプリケーションモジュール602の通信パス要件対象604別の通信パス要件テンプレートが特定される。
【0093】
[ステップS1203]
オーケストレーションサーバ102は、モジュール配置決定部302により、ステップS1202で特定した通信パス要件テンプレートから、使用可能通信モジュール902および使用可能設定903を決定する。
【0094】
具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、データ収集モジュール403、一次学習モジュール405、および二次学習モジュール406については、通信パス要件605が規定されていないため、通信パス要件テンプレートが特定されない。したがって、モジュール配置決定部302は、データ収集モジュール403、一次学習モジュール405、および二次学習モジュール406については、使用可能通信モジュール902および使用可能設定903を決定しない。
【0095】
また、図9において、アプリケーションモジュール602としての映像解析モジュール404の通信パス要件テンプレートは、分類911が「制御通信」で、条件912が「遅延<20[ms]」(X≧20)のエントリである。したがって、モジュール配置決定部302は、アプリケーションモジュール602としての映像解析モジュール404については、使用可能通信モジュール902を、通信パス要件テンプレート(分類911が「制御通信」で、条件912が「遅延<20[ms]」(X≧20)のエントリ)における高信頼化通信モジュールに決定する。
【0096】
そして、モジュール配置決定部302は、映像解析モジュール404の配置先であるローカル5G経由507のエッジ処理サーバ24E4のメトリック情報506をリソース管理テーブル500から特定する。そして、モジュール配置決定部302は、映像解析モジュール404が使用する高信頼化通信モジュールの使用可能設定903を、特定したメトリック情報(遅延:10[ms]、揺らぎ:10[ms]、帯域80[Mbps]、PER:10-4(=0.01[%]))に決定する。
【0097】
このようにして、制御装置コントロールモジュール402と映像解析モジュール404とが通信する場合の使用可能通信モジュール902が、高信頼化通信モジュールに決定され、使用可能設定903が、メトリック情報(遅延:10[ms]、揺らぎ:10[ms]、帯域80[Mbps]、PER:10-4(=0.01[%]))に決定される。
【0098】
また、図9において、通信パス要件対象604がデータ収集モジュール403であるカメラコントロールモジュール401の通信パス要件テンプレートは、分類911が「メディア通信」で、条件912が「4K映像×N」(N≧3)のエントリである。したがって、モジュール配置決定部302は、通信パス要件対象604がデータ収集モジュール403であるカメラコントロールモジュール401については、使用可能通信モジュール902を、通信パス要件テンプレート(分類911が「メディア通信」で、条件912が「4K映像×N」(N≧3)のエントリ)における広帯域化通信モジュールに決定する。
【0099】
そして、モジュール配置決定部302は、アプリケーションモジュール602の配置先がIoTデバイス502(すなわち、IoTゲートウェイ13)である場合、その通信パス要件対象604のアプリケーションモジュール602の配置先のメトリック情報506をリソース管理テーブル500から特定する。
【0100】
この場合、カメラコントロールモジュール401の通信パス要件対象604は、データ収集モジュール403であり、使用可能通信モジュール902は、広帯域化通信モジュールに決定されている。したがって、モジュール配置決定部302は、データ収集モジュール403の配置先であるエッジ処理サーバ24E3のメトリック情報506をリソース管理テーブル500から特定する。
【0101】
具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、エッジ処理サーバ24E3がローカル5G経由507でカメラコントロールモジュール401と通信する場合、メトリック情報(遅延:30[ms]、揺らぎ:10[ms]、帯域60[Mbps]、PER:10-4(=0.01[%]))をリソース管理テーブル500から特定する。また、モジュール配置決定部302は、エッジ処理サーバ24E3が無線LAN経由508でカメラコントロールモジュール401と通信する場合、メトリック情報(遅延:30[ms]、揺らぎ:20[ms]、帯域100[Mbps]、PER:10-2(=1[%]))をリソース管理テーブル500から特定する。
【0102】
そして、モジュール配置決定部302は、広帯域化通信モジュールに決定されたデータ収集モジュール403についての使用可能設定903を、上記特定したメトリック情報に決定する。具体的には、たとえば、データ収集モジュール403の広帯域化通信モジュールの使用可能設定903は、エッジ処理サーバ24E3がローカル5G経由507でカメラコントロールモジュール401と通信する場合は、メトリック情報(遅延:30[ms]、揺らぎ:10[ms]、帯域60[Mbps]、PER:10-4(=0.01[%]))に決定され、エッジ処理サーバ24E3が無線LAN経由508でカメラコントロールモジュール401と通信する場合は、メトリック情報(遅延:30[ms]、揺らぎ:20[ms]、帯域100[Mbps]、PER:10-2(=1[%]))に決定される。
【0103】
このようにして、データ収集モジュール403とカメラコントロールモジュール401とが通信する場合の使用可能通信モジュール902が広帯域化通信モジュールに決定される。
【0104】
また、その使用可能設定903が、データ収集モジュール403の配置先であるエッジ処理サーバ24E3とカメラコントロールモジュール401との通信方式(ローカル5G経由507または無線LAN経由508)に応じたメトリック情報に決定される。
【0105】
このようにして、特定された通信パス要件テンプレートごとに使用可能通信モジュール902および使用可能設定903が決定される。
【0106】
[ステップS1204]
オーケストレーションサーバ102は、モジュール配置決定部302により、図7に示したアプリケーションモジュール602の配置位置アドレス704を参照して、使用可能通信モジュール902の配置先を決定する。
【0107】
具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、制御装置コントロールモジュール402と映像解析モジュール404とが通信する場合の使用可能通信モジュール902として決定された高信頼化通信モジュールについては、制御装置コントロールモジュール402および映像解析モジュール404の各々について、使用可能通信モジュール902である高信頼化通信モジュールの配置先を決定する。
【0108】
より具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、制御装置コントロールモジュール402の使用可能通信モジュール902の配置先を、制御装置コントロールモジュール402の配置位置アドレス704と同一アドレスである「IGW1111」に決定し、配置位置アドレス704に登録する。
【0109】
同様に、モジュール配置決定部302は、映像解析モジュール404の使用可能通信モジュール902である高信頼化通信モジュールの配置先を、映像解析モジュール404の配置位置アドレス704と同一アドレスである「E4.mobile.local」に決定し、配置位置アドレス704に登録する。
【0110】
また、モジュール配置決定部302は、データ収集モジュール403とカメラコントロールモジュール401とが通信する場合の使用可能通信モジュール902として決定された広帯域化通信モジュールについては、データ収集モジュール403およびカメラコントロールモジュール401の各々について、使用可能通信モジュール902である広帯域化通信モジュールの配置先を決定する。
【0111】
より具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、データ収集モジュール403の使用可能通信モジュール902である広帯域化通信モジュールの配置先を、データ収集モジュール403の配置位置アドレス704と同一アドレスである「E3.fab.local」に決定し、配置位置アドレス704に登録する。
【0112】
同様に、モジュール配置決定部302は、カメラコントロールモジュール401の使用可能通信モジュール902である広帯域化通信モジュールの配置先を、カメラコントロールモジュール401の配置位置アドレス704と同一アドレスである「IGW1111」に決定し、配置位置アドレス704に登録する。
【0113】
このようにして、使用可能通信モジュール902の配置位置アドレス704が決定される。
【0114】
[ステップS1205]
オーケストレーションサーバ102は、モジュール配置決定部302により、通信パス要件605の充足確認を実行する。具体的には、たとえば、モジュール配置決定部302は、使用可能設定903に決定されたメトリック情報506が、通信パス要件605を充足するか否かを判定し、充足していないメトリック情報506があれば、ステップS1200のアプリケーション要件の供給元に、通信パス要件605を充足していないことを通知し、アプリケーション要件テーブル600に登録されたアプリケーション要件のエントリ、アプリケーション管理テーブル700の配置位置アドレス704の値を削除する。
【0115】
[ステップS1206]
オーケストレーションサーバ102は、ステップS1205において、通信パス要件605が充足する場合、モジュールデプロイ制御部304により、モジュール配備を実行する。具体的には、たとえば、モジュールデプロイ制御部304は、図7に示したアプリケーション管理テーブル700にしたがって、モジュール702を配置位置アドレス704宛に送信する。
【0116】
これにより、二次学習モジュール406はクラウド処理サーバ24C1に配置される。一次学習モジュール405およびデータ収集モジュール403はエッジ処理サーバ24E3に配置される。また、データ収集モジュール403の使用可能通信モジュール902である広帯域化通信モジュールも、エッジ処理サーバ24E3に配置される。
【0117】
映像解析モジュール404はエッジ処理サーバ24E4に配置される。また、映像解析モジュール404の使用可能通信モジュール902である高信頼化通信モジュールも、エッジ処理サーバ24E4に配置される。
【0118】
カメラコントロールモジュール401および制御装置コントロールモジュール402はIoTゲートウェイ13に配置される。また、カメラコントロールモジュール401の使用可能通信モジュール902である広帯域化通信モジュールも、IoTゲートウェイ13に配置される。また、制御装置コントロールモジュール402の使用可能通信モジュール902である高信頼化通信モジュールも、IoTゲートウェイ13に配置される。
【0119】
[ステップS1207]
オーケストレーションサーバ102は、E2Eネットワーク品質制御部305により、工場LAN管理サーバ35およびモバイルコア装置23に対しQoS設定を実行する。具体的には、たとえば、E2Eネットワーク品質制御部305は、通信モジュールレポジトリ800を参照して、通信モジュールに応じた提供形態803、通信形態804、および構成805となるようにQoS設定を実行する。たとえば、データ収集モジュール403とカメラコントロールモジュール401との間は、広帯域化通信モジュールで通信されるため、E2Eネットワーク品質制御部305は、データ収集モジュール403およびカメラコントロールモジュール401の各々の広帯域化通信モジュールについて、提供形態803をコンテナとし、通信形態804をゲートウェイとし、構成805をポイント・ツー・ポイントとしてQoS設定する。QoS設定の内容については、オーケストレーションサーバ102は、図9の通信パス要件テンプレートテーブル900を参照し、通信モジュールごとの使用可能設定903に記載された通信パスQoS設定に従う。
【0120】
[ステップS1208]
オーケストレーションサーバ102は、E2Eネットワーク品質制御部305により、モジュールが配置されたIoTゲートウェイ13および処理サーバ24に対し通信パス設定を実行する。具体的には、たとえば、E2Eネットワーク品質制御部305は、モジュールが配置されたIoTゲートウェイ13および処理サーバ24を経由するパケットの送信元アドレス1101、宛先アドレス1102およびゲートウェイ1103を設定する。
【0121】
たとえば、エッジ処理サーバ24E3に対しては、E2Eネットワーク品質制御部305は、一次学習モジュール405のモジュールアドレス703である「10.0.3.10」を送信元アドレス1101とするパケットは、どの宛先アドレス1102(ANY)に対しても、「Default」のルーティングテーブル(不図示)に従って送られるように設定する。
【0122】
また、E2Eネットワーク品質制御部305は、データ収集モジュール403のモジュールアドレス703である「10.0.3.20」を送信元アドレス1101とするパケットは、カメラコントロールモジュール401のモジュールアドレス703「10.0.5.10」が宛先アドレス1102である場合には、ゲートウェイ1103である広帯域化通信モジュール(10.0.3.254)に送られ、カメラコントロールモジュール401(10.0.5.10)以外の宛先アドレス1102(ANY)に対しては、「Default」のゲートウェイ1103のルーティングテーブル(不図示)に従って送られるように設定する。
【0123】
このようにして、モジュールのデプロイメントによる論理的システムが構築される。
【0124】
[ステップS1209A]
IoTゲートウェイ13は、オーケストレーションサーバ102から配置されたモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、IoTゲートウェイ13は、カメラコントロールモジュール401と、その広帯域化通信モジュールと、制御装置コントロールモジュール402と、その高信頼化通信モジュールと、の実行を開始する。
【0125】
[ステップS1209B]
エッジ処理サーバ24E4は、オーケストレーションサーバ102から配置されたモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、エッジ処理サーバ24E4は、映像解析モジュール404と、その高信頼化通信モジュールと、の実行を開始する。
【0126】
[ステップS1209C]
エッジ処理サーバ24E3は、オーケストレーションサーバ102から配置されたモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、エッジ処理サーバ24E3は、データ収集モジュール403と、その高信頼化通信モジュールと、一次学習モジュール405と、の実行を開始する。
【0127】
[ステップS1209D]
クラウド処理サーバ24C1は、オーケストレーションサーバ102から配置されたモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、クラウド処理サーバ24C1は、二次学習モジュール406の実行を開始する。
【0128】
これにより、モジュールのデプロイメントによって構築された論理的システムが動作を開始する。
【0129】
<デプロイメント後の論理的システム>
図13は、モジュールのデプロイメント後の論理的システムの構成例を示すブロック図である。図13は、図12のシーケンスにしたがって構築された論理的システムを示す。図13中、モジュール間の双方向矢印は、両モジュールが通信可能であることを示す。
【0130】
また、データ収集モジュール403とカメラコントロールモジュール401との間の通信は、データ収集モジュール403に接続された広帯域化通信モジュール1301Bとカメラコントロールモジュール401に接続された広帯域化通信モジュール1301Aとの間の広帯域化通信1301Tにより実現される。また、映像解析モジュール404と制御装置コントロールモジュール402との間の通信は、映像解析モジュール404に接続された高信頼化通信モジュール1302Bと制御装置コントロールモジュール402に接続された高信頼化通信モジュール1302Aとの間の高信頼化通信1302Tにより実現される。
【0131】
<オーケストレーションサーバ102の表示画面例>
図14は、オーケストレーションサーバ102の表示画面例を示す説明図である。図14の表示画面1400は、デプロイメント処理結果として、図7に示したアプリケーション管理テーブル700の記憶内容を表示する。
【0132】
<アプリケーションのアンデプロイ動作シーケンス>
図15は、モジュールのアンデプロイ動作の一例を示すシーケンス図である。図15のモジュールのアンデプロイ動作は、図12のモジュールのデプロイ動作後の動作を示す。
【0133】
[ステップS1500]
オーケストレーションサーバ102は、アプリケーション要件取得部301により、アプリケーション削除要求を取得する。
【0134】
[ステップS1501]
オーケストレーションサーバ102は、E2Eネットワーク品質制御部305により、通信パス設定(ステップS1208)をしたIoTゲートウェイ13および処理サーバ24に対し、通信パス設定の削除指示を送信する。
【0135】
[ステップS1502]
オーケストレーションサーバ102は、E2Eネットワーク品質制御部305により、QoS設定(ステップS1207)をした工場LAN管理サーバ35およびモバイルコア装置23に対し、QoS設定の削除指示を送信する。工場LAN管理サーバ35がQoS設定を削除することにより、工場LAN32を経由するエッジ処理サーバ24E3とIoTゲートウェイ13との間の通信が遮断される。モバイルコア装置23がQoS設定を削除することにより、ローカル5Gネットワーク20を経由するエッジ処理サーバ24E4とIoTゲートウェイ13との間の通信が遮断される。
【0136】
[ステップS1503]
オーケストレーションサーバ102は、E2Eネットワーク品質制御部305により、モジュールを配置したIoTゲートウェイ13および処理サーバ24に対し、モジュールの削除指示を送信する。
【0137】
[ステップS1504A]
IoTゲートウェイ13は、ステップS1501の削除指示を受信すると、通信パス管理テーブル1100Cにおいて、削除指示対象となる管理識別子501「IGW1111」のエントリを削除する。IoTゲートウェイ13は、ステップS1503の削除指示を受信すると、配置されたカメラコントロールモジュール401と、その広帯域化通信モジュール1301Aと、制御装置コントロールモジュール402と、その高信頼化通信モジュール1302Aと、を削除する。
【0138】
[ステップS1504B]
エッジ処理サーバ24E4は、ステップS1501の削除指示を受信すると、通信パス管理テーブル1100Bの削除指示対象となる管理識別子501「IGW1111」のエントリを削除する。エッジ処理サーバ24E4は、ステップS1503の削除指示を受信すると、配置された映像解析モジュール404と、その高信頼化通信モジュール1302Bと、を削除する。
【0139】
[ステップS1504C]
エッジ処理サーバ24E3は、ステップS1501の削除指示を受信すると、通信パス管理テーブル1100Aの削除指示対象となる管理識別子501「IGW1111」のエントリを削除する。エッジ処理サーバ24E3は、ステップS1503の削除指示を受信すると、配置されたデータ収集モジュール403と、その高信頼化通信モジュールと、一次学習モジュール405と、を削除する。
【0140】
[ステップS1504D]
クラウド処理サーバ24C1は、ステップS1501の削除指示を受信すると、通信パス管理テーブル1100Dの削除指示対象となる管理識別子「IGW1111」のエントリを削除する。クラウド処理サーバ24C1は、ステップS1503の削除指示を受信すると、配置された二次学習モジュール406を削除する。
【0141】
このようにして、モジュールが処理サーバ24からアンデプロイされる。
【0142】
<モジュールの再デプロイ動作シーケンス>
図16は、モジュールの再デプロイ動作の一例を示すシーケンス図である。再デプロイは、たとえば、メトリック情報506に変化があった場合に実行される。図16では、エッジ処理サーバ24E4内に配置されたアプリケーションモジュール602である映像解析モジュール404の通信パス要件605を、エッジ処理サーバ24E4が充足しなくなった場合に、映像解析モジュール404およびその高信頼化通信モジュール1302Bをエッジ処理サーバ24E2に配置換えする例として説明する。
【0143】
[ステップS1600]
オーケストレーションサーバ102は、メトリック情報収集部300により、メトリック情報506の変化により通信パス要件605を充足しないアプリケーションモジュール602を検出する。具体的には、たとえば、メトリック情報収集部300は、使用可能計算機リソース504ごとにメトリック情報506を繰り返し収集し、使用可能計算機リソース504に配置されたアプリケーションモジュール602の通信パス要件605を充足しなくなったか検出する。
【0144】
本例では、メトリック情報収集部300が、エッジ処理サーバ24E3内に配置されたデータ収集モジュール403の通信パス要件605(4K映像×3)を、エッジ処理サーバ24E3が充足しなくなったことを検出したとする。
【0145】
[ステップS1601]
オーケストレーションサーバ102は、ステップS1600で通信パス要件605を充足しないアプリケーションモジュール602が検出された場合、オーケストレーションサーバ102は、ステップS1201と同様、モジュール配置決定部302により、リソース管理テーブル500およびアプリケーション要件テーブル600を参照して、アプリケーションモジュール602の再配置先を決定する。本例では、データ収集モジュール403の再配置先がエッジ処理サーバ24E2に決定されたものとする。
【0146】
[ステップS1602~S1605]
ステップS1602~S1605は、ステップS1202~S1205と同一処理である。ステップS1602~S1605により、本例では、データ収集モジュール403の広帯域化通信モジュール1301Bの再配置先がエッジ処理サーバ24E2に決定されたものとする。なお、一次学習モジュール405は、エッジ処理サーバ24E3でデータ収集モジュール403と通信するため、オーケストレーションサーバ102は、データ収集モジュール403および広帯域化通信モジュール1301Bとともに、エッジ処理サーバ24E2に再配置してもよい。
【0147】
[ステップS1606]
オーケストレーションサーバ102は、ステップS1501と同様、データ収集モジュール403、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405の元の配置先であるエッジ処理サーバ24E3に、通信パス設定の削除指示を送信する。
【0148】
[ステップS1607]
オーケストレーションサーバ102は、ステップS1503と同様、データ収集モジュール403、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405の元の配置先であるエッジ処理サーバ24E3に、データ収集モジュール403、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405の削除指示を送信する。
【0149】
[ステップS1608]
エッジ処理サーバ24E3は、ステップS1606の削除指示を受信すると、通信パス管理テーブル1100Aの削除指示対象となる管理識別子501「IGW1111」のエントリを削除する。エッジ処理サーバ24E3は、ステップS1607の削除指示を受信すると、データ収集モジュール403、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405を削除する。
【0150】
[ステップS1607]
オーケストレーションサーバ102は、モジュールデプロイ制御部304により、ステップS1601~S1605の処理結果にしたがって、IoTゲートウェイ13、エッジ処理サーバ24E2、エッジ処理サーバ24E4、およびクラウド処理サーバ24C1にモジュール配備を実行する。
【0151】
このようにして、モジュールの再デプロイメントによる論理的システムが構築される。
【0152】
[ステップS1610A]
IoTゲートウェイ13は、オーケストレーションサーバ102から配置済みのモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、IoTゲートウェイ13は、カメラコントロールモジュール401と、その広帯域化通信モジュール1301Aと、制御装置コントロールモジュール402と、その高信頼化通信モジュール1302Aと、の実行を開始する。
【0153】
[ステップS1610B]
エッジ処理サーバ24E4は、オーケストレーションサーバ102から配置済みのモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、エッジ処理サーバ24E2は、映像解析モジュール404と、その高信頼化通信モジュール1302Bと、の実行を開始する。
【0154】
[ステップS1610D]
クラウド処理サーバ24C1は、オーケストレーションサーバ102から配置済みのモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、クラウド処理サーバ24C1は、二次学習モジュール406の実行を開始する。
【0155】
[ステップS1610E]
エッジ処理サーバ24E2は、ステップS1609によりオーケストレーションサーバ102から配置されたモジュールの実行を開始する。具体的には、たとえば、エッジ処理サーバ24E3は、データ収集モジュール403と、その広帯域化通信モジュール1301Bと、一次学習モジュール405と、の実行を開始する。
【0156】
これにより、モジュールの再デプロイメントによって構築された論理的システムが動作を開始する。
【0157】
<再デプロイメント後の通信パス管理テーブル1100>
図17A図17Bを用いて、再デプロイメント後の通信パス管理テーブル1100を例示する。
【0158】
図17Aは、パブリック5Gネットワーク40内のエッジ処理サーバ24E2が保有する再デプロイメント後の通信パス管理テーブル1100Eの一例を示す説明図である。図17Bは、IoTゲートウェイ13が保有する再デプロイメント後の通信パス管理テーブル1100Cの一例を示す説明図である。
【0159】
図17Aに示したように、再デプロイメント後においては、エッジ処理サーバ24E3の通信パス管理テーブル1100Aに替えて、エッジ処理サーバ24E2の通信パス管理テーブル1100Eが設定される。
【0160】
図17Aに示したエッジ処理サーバ24E2の通信パス管理テーブル1100Eにおいて、1行目のエントリでは、一次学習モジュール405(10.0.2.10)を送信元とするパケットは、どの宛先(ANY)に対しても、「Default」のゲートウェイ1103に送られることを示している。また、2行目のエントリでは、データ収集モジュール403(10.0.3.20)を送信元とするパケットは、カメラコントロールモジュール401(10.0.5.10)が宛先である場合には、ゲートウェイ1103である広帯域化通信モジュール(10.0.3.254)に送られ、カメラコントロールモジュール401(10.0.5.10)以外の宛先(ANY)に対しては、「Default」のゲートウェイ1103に送られることを示している。
【0161】
図17Bに示したように、IoTゲートウェイ13の通信パス管理テーブル1100Cでは、図11と比較して、送信先アドレス1103Cの網掛け箇所の一次学習モジュール405のアドレスが「10.0.3.20」から「10.0.2.20」に変更されている。
【0162】
なお、エッジ処理サーバ24E4が保有する通信パス管理テーブル1100Bおよびクラウド処理サーバ24C1が保有する通信パス管理テーブル1100Dについては、再デプロイメント後においても、図11Bおよび図11Dから変更されていない。
【0163】
<再デプロイメント後の論理的システム>
図18は、モジュールの再デプロイメント後の論理的システムの構成例を示すブロック図である。図13との相違は、データ収集モジュール403、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405が、工場LAN32のエッジ処理サーバ24E3から、パブリック5Gネットワーク40のエッジ処理サーバ24E2に配置換えされた点である。
【0164】
<再デプロイメント後のオーケストレーションサーバ102の表示画面例>
図19は、再デプロイメント後のオーケストレーションサーバ102の表示画面例を示す説明図である。図14と比較して、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405のモジュールアドレス703および配置位置アドレス704が、再デプロイメント先のエッジ処理サーバ24E2のアドレスに書き換わっている。アプリケーション管理テーブル700のモジュールアドレス703および配置位置アドレス704は、図19に示したように更新される。
【0165】
なお、上述した再デプロイメントでは、データ収集モジュール403、広帯域化通信モジュール1301B、および一次学習モジュール405が、工場LAN32のエッジ処理サーバ24E3から、パブリック5Gネットワーク40のエッジ処理サーバ24E2に再配置された点について説明したが、広帯域化通信モジュール1301A、カメラコントロールモジュール401、制御装置コントロールモジュール402および高信頼化通信モジュール1302Aが、他のIoTゲートウェイ13に再配置されてもよい。
【0166】
このように、本実施例によれば、たとえば、製造や物流などの現場における現場ネットワークを、アプリケーションが要求するアプリケーション要件に充足するように高信頼なコネクティビティ(通信パス)を実現することができる。
【0167】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
【0168】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0169】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【0170】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0171】
1 エッジ運用管理システム
10 カメラコントロールモジュール
11 制御装置
13 ゲートウェイ
15 端末
23 モバイルコア装置
24C1 クラウド処理サーバ
24E エッジ処理サーバ
102 オーケストレーションサーバ
300 メトリック情報収集部
301 アプリケーション要件取得部
302 モジュール配置決定部
303 通信パス要件解釈部
304 モジュールデプロイ制御部
305 ネットワーク品質制御部
400 アプリケーション
401 カメラコントロールモジュール
402 制御装置コントロールモジュール
403 データ収集モジュール
404 映像解析モジュール
405 一次学習モジュール
406 二次学習モジュール
500 リソース管理テーブル
600 アプリケーション要件テーブル
700 アプリケーション管理テーブル
800 通信モジュールレポジトリ
900 通信パス要件テンプレートテーブル
901 通信パス要件定義
902 使用可能通信モジュール
903 使用可能設定
1001 メトリック測定部
1002 モジュール実行部
1003 モジュール間ルーティング制御部
1100 通信パス管理テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19