IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧

特開2023-111099検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン
<>
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図1
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図2
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図3
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図4
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図5
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図6
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図7
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図8
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図9
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図10
  • 特開-検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111099
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシン
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/24 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B31F1/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012752
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英生
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宏基
【テーマコード(参考)】
3E078
【Fターム(参考)】
3E078AA20
3E078BB03
3E078BC01
3E078CC01
3E078CC04
3E078CC12
3E078CC42
3E078CC61
3E078CD03
3E078CE02
3E078DD11
(57)【要約】
【課題】段ボールシートの幅方向の真の端部位置を検出する。
【解決手段】帯状の段ボールシート5の搬送中に、段ボールシート5の幅方向の端部の位置を検出する検出装置10である。検出装置10は、段ボールシート5の幅方向における所定の測定基準点及び一端部を含む測定範囲で、幅方向の直線状における複数の測定点の位置を測定する測定手段11,21と、測定された複数の測定点に基づき段ボールシート5に反りがない状態での幅方向における真の端部位置を特定する特定手段22と、を備える。特定手段22は、隣接する測定点間の距離をそれぞれ算出し、全ての距離を合算することで測定基準点から端部までのシート幅長さを算出して、測定基準点からシート幅長さだけ幅方向に離間した位置を真の端部位置として特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の段ボールシートの搬送中に、前記段ボールシートの幅方向における端部の位置を検出する検出装置であって、
前記段ボールシートの前記幅方向における所定の測定基準点及び前記幅方向の少なくとも一方の前記端部を含む測定範囲において、前記幅方向の直線状における複数の測定点の位置を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された前記複数の測定点に基づき、前記段ボールシートに反りがない状態での前記幅方向における真の端部位置を特定する特定手段と、を備え、
前記特定手段は、隣接する前記測定点間の距離をそれぞれ算出し、全ての前記距離を合算することで前記測定基準点から前記端部までのシート幅長さを算出して、前記測定基準点から前記シート幅長さだけ前記幅方向に離間した位置を前記真の端部位置として特定する
ことを特徴とする、検出装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記幅方向に複数備えられている
ことを特徴とする、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記測定手段には、前記幅方向の一方の前記端部を特定するための第一測定手段と、前記第一測定手段に対し前記幅方向の他方に隣接して配設され、前記段ボールシートの前記幅方向の他方の端部を特定するための第二測定手段と、が含まれている
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の検出装置と、
前記検出装置により特定された前記真の端部位置と帯状の段ボールシートを搬送する際の基準位置とに基づいて、前記段ボールシートの幅方向位置のズレ量を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記ズレ量に基づいて、前記段ボールシートの前記幅方向位置を補正する補正手段と、を備えた
ことを特徴とする、シート位置調整装置。
【請求項5】
前記段ボールシートは片面段ボールシートであり、
前記基準位置は、前記片面段ボールシートに貼合されるライナシートの幅方向における中央位置であり、
前記算出手段は、前記真の端部位置に基づき前記片面段ボールシートの幅方向における仮想中央位置を特定するとともに、前記特定した仮想中央位置と前記基準位置とを比較して前記ズレ量を算出する
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート位置調整装置。
【請求項6】
前記段ボールシートは片面段ボールシートであり、
前記基準位置は、前記片面段ボールシートに貼合されるライナシートの幅方向における一方の端部位置であり、
前記算出手段は、前記片面段ボールシートの幅方向における前記一方の前記真の端部位置と前記基準位置とを比較して前記ズレ量を算出する
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート位置調整装置。
【請求項7】
前記段ボールシートは両面段ボールシートであり、
前記基準位置は、前記両面段ボールシートを製造するコルゲートマシンの機械幅方向における中央位置であり、
前記算出手段は、前記真の端部位置に基づき前記両面段ボールシートの幅方向における仮想中央位置を特定するとともに、前記特定した仮想中央位置と前記基準位置とを比較して前記ズレ量を算出する
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート位置調整装置。
【請求項8】
前記段ボールシートは両面段ボールシートであり、
前記基準位置は、前記両面段ボールシートを製造するコルゲートマシンの機械幅方向における一方の端部位置であり、
前記算出手段は、前記両面段ボールシートの幅方向における前記一方の前記真の端部位置と前記基準位置とを比較して前記ズレ量を算出する
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート位置調整装置。
【請求項9】
請求項4~8の何れか1項に記載のシート位置調整装置を備えた
ことを特徴とする、コルゲートマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、段ボールシートの幅方向における端部の位置を検出する検出装置、段ボールシートのシート位置調整装置、及び、コルゲートマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲートマシンは、ライナと中芯とを貼合した帯状の段ボールシートを搬送しつつ、罫線入れ,断裁,切断などの加工を施して、最終製品である製函用の段ボールを製造する装置である。このコルゲートマシンでは、段ボールシートが適切に搬送されるように、段ボールシートの幅方向における端部位置の測定が実施される。
【0003】
ところで、搬送中の段ボールシートが幅方向において反ってしまうことがある。当該反りが生じている場合、反りを考慮しないで段ボールシートの端部位置を測定してしまうと、本来の(真の)端部位置よりも幅方向中央寄りにずれた位置を段ボールシートの端部位置として検出してしまい、真の端部位置を正確に測定できない。また、搬送中の段ボールシートが上下方向に揺れ動いて(いわゆる「バタつき」が生じて)、段ボールシートの一部分がその他の部分に比べて上方あるいは下方へ一時的に変形することがある。このようにバタつきが生じている状態で、段ボールシートの端部位置を測定した場合、段ボールシートに反りが発生している状態と同様に、本来の(真の)端部位置よりも幅方向中央寄りにずれた位置を段ボールシートの端部位置として検出してしまい、真の端部位置を正確に測定できない。
幅方向の反りに対し正確な測定を実施する技術として、特許文献1には、板材を反りが無い状態に平らにした場合の真の板幅を測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-184002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の技術は、真の板幅までは測定できても、反りがない状態の真の端部位置を検出できない。
そのため、コルゲートマシンに特許文献1の技術を単に適用したとしても、例えば、段ボールシートを適正に加工したり、段ボールシートを適切に搬送したりすることができないおそれがある。
【0006】
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、段ボールシートに反りがない状態での幅方向における真の端部位置を検出できるようにすることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本件の検出装置は、帯状の段ボールシートの搬送中に、前記段ボールシートの幅方向における端部の位置を検出する検出装置である。本検出装置は、前記段ボールシートの前記幅方向における所定の測定基準点及び前記幅方向の少なくとも一方の前記端部を含む測定範囲において、前記幅方向の直線状における複数の測定点の位置を測定する測定手段と、前記測定手段で測定された前記複数の測定点に基づき、前記段ボールシートに反りがない状態での前記幅方向における真の端部位置を特定する特定手段と、を備えている。前記特定手段は、隣接する前記測定点間の距離をそれぞれ算出し、全ての前記距離を合算することで前記測定基準点から前記端部までのシート幅長さを算出して、前記測定基準点から前記シート幅長さだけ前記幅方向に離間した位置を前記真の端部位置として特定している。
【0008】
(2)本件のシート位置調整装置は、上記の検出装置と、前記検出装置により特定された前記真の端部位置と帯状の段ボールシートを搬送する際の基準位置とに基づいて、前記段ボールシートの幅方向位置のズレ量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記ズレ量に基づいて、前記段ボールシートの前記幅方向位置を補正する補正手段と、を備えている。
(3)本件のコルゲートマシンは、上記のシート位置調整装置を備えている。
【発明の効果】
【0009】
段ボールシートに反りが生じていても、段ボールシートの幅方向における真の端部位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本件の一実施形態に係る検出装置及びシート位置調整装置の説明図である。
図2図1の検出装置及びシート位置調整装置を備えたコルゲートマシンの説明図である。
図3図1の検出装置が備えるセンサの検出範囲を説明する図であり、搬送方向の下流側に向かって視た図である。
図4図1の検出装置において片面段ボールシートにおける真の端部位置の検出に関する説明図である。
図5図4の片面段ボールシートにおいて第二の測定基準点及び他方の端部を含む範囲を拡大した説明図である。
図6】(a)~(c)は表ライナの幅方向における中央位置を基準位置とした場合の幅方向位置調整に関する説明図である。
図7】(a)及び(b)は蛇行補正ロールの軸心の傾き制御に関する説明図である。
図8】(a)~(c)は表ライナの幅方向における端部位置を基準位置とした場合の幅方向位置調整に関する説明図である。
図9】(a)~(c)は変形例に係る説明図(図4に対応する図)である。
図10】別の変形例に係る説明図(図4に対応する図)である。
図11】両面段ボールシートの検出装置及びシート位置調整装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、実施形態としての検出装置、シート位置調整装置及びコルゲートマシンについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0012】
[1.装置構成]
図1は、本実施形態にかかる検出装置及びシート位置調整装置の説明図である。図1の検出装置及びシート位置調整装置は、コルゲートマシンに装備されている。まず、図2及び図3を参照して、検出装置及びシート位置調整装置を備えたコルゲートマシンの構成を概説する。
本明細書において、搬送方向(図2中MD)は、コルゲートマシンにおいて段ボールが搬送される方向である。搬送方向は、帯状をなす段ボールシートの延在する長手方向に対応している。段ボールシートの幅方向(以下、単に「幅方向」ともいう)は、コルゲートマシンの機械幅方向(図3中CD)に対応する。長手方向及び幅方向の双方に直交する方向を「高さ方向」という。高さ方向は、コルゲートマシンにおける上下方向(図2,3中TD)に対応する。
【0013】
図2はコルゲートマシン40を示し、このコルゲートマシン40は、中芯の両面に表ライナ及び裏ライナを貼合して両面段ボールシートを製造し、両面段ボールシートに対し罫線入れ,断裁,切断などの加工を施して、最終製品である製函用の段ボールを製造する段ボール製造装置である。裏ライナ,中芯,表ライナにそれぞれ用いる帯状の原紙(ライナシート)4A,4B,4Cは、ミルロールスタンド41A,41B,41Cからコルゲートマシン40に供給される。
ミルロールスタンド41A,41B,41Cは、搬送方向MDの上流側から下流側へ向かってこの順に隣接して配設されている。
【0014】
ミルロールスタンド41Aの下流側、かつ、ミルロールスタンド41Bの上流側に隣接してシングルフェーサ42が設けられている。シングルフェーサ42には、ミルロールスタンド41Aから裏ライナ用の原紙4Aが供給されるとともに、ミルロールスタンド41Bから中芯用の原紙4Bが供給される。
シングルフェーサ42は、中芯用の原紙4Bを段繰りして波型加工するとともに、波型加工された中芯用の原紙4Bの段頂に裏ライナ用の原紙4Aを貼合して帯状の片面段ボールシート5を形成する。
片面段ボールシート5は、中芯の一方の面に裏ライナが貼合された段ボールシートである。
【0015】
シングルフェーサ42に対し下流側であって、ミルロールスタンド41B,41Cに対し上方には、ブリッジ43が配設されている。
ミルロールスタンド41C及びブリッジ43の下流側には、プレヒータ44及びグルーマシン45を介してダブルフェーサ46が設けられている。
【0016】
ブリッジ43は、シングルフェーサ42で形成された片面段ボールシート5をダブルフェーサ46へ搬送するための架橋状の搬送経路である。このブリッジ43は、シングルフェーサ42とダブルフェーサ46との速度差を吸収するために片面段ボールシート5を一時的に滞留させる滞留部として機能する。
【0017】
プレヒータ44は、ブリッジ43から搬送された片面段ボールシート5と、ミルロールスタンド41Cから供給された表ライナ用の原紙4Cとのそれぞれを加熱する。グルーマシン45は、片面段ボールシート5で裏ライナの貼合された面とは反対側の面の段頂に糊付けする。
ダブルフェーサ46は、片面段ボールシート5に表ライナ用の原紙4Cを貼り合わせて両面段ボールシート5Wを形成するとともに、形成した両面段ボールシート5Wを下流側へ搬送する。両面段ボールシート5Wは、中芯の両面にライナが貼合された段ボールシートである。
【0018】
ダブルフェーサ46の下流側には、スリッタスコアラ47及びカットオフ48が搬送方向MDに隣接してこの順に配設されている。スリッタスコアラ47及びカットオフ48のそれぞれは、両面段ボールシート5Wを搬送しつつ、搬送中の両面段ボールシート5Wに対し、罫線入れ,断裁,切断などの加工を順次施す。
こうして、最終製品である製函用の段ボール5Xが製造される。このコルゲートマシン40の動作は、図示しない生産管理装置により自動制御される。
【0019】
次に、上記のコルゲートマシン40に設けられた検出装置10及びシート位置調整装置50の構成を説明する。
検出装置10は、搬送中の段ボールシートにおける幅方向の端部位置を検出する装置であり、段ボールシートに反りが生じていない、理想的な段ボールシートの幅方向における端部の位置(これを、「真の端部位置」と称する)を特定するために設けられる。「反り」とは、段ボールシートの一部分がその他の部分に比べて上方あるいは下方へ変形することをいう。段ボールシートの反りは面状に生じうるが、搬送中の(すなわち、移動している)段ボールシートに対し、位置が固定された検出装置10によって端部位置の検出が行われるため、段ボールシートの反りは段ボールシートの幅方向における反りとして検出される。ただし、ここで検出される「反り」には、搬送中の段ボールシートが上下方向に揺れ動いて(いわゆる「バタつき」が生じて)、段ボールシートの一部分がその他の部分に比べて上方あるいは下方へ一時的に変形した結果の変位も含まれる。
【0020】
シート位置調整装置50は、段ボールシートの幅方向位置を調整する装置であり、本実施形態では特に、検出装置10で特定された真の端部位置を用いて搬送中の段ボールシートの幅方向位置を調整し、適切な幅方向位置で段ボールシートを搬送する。
先ず、検出装置10の構成を述べ、次いでシート位置調整装置50の構成を述べる。なお、検出装置10及びシート位置調整装置50で検出及び搬送される対象である段ボールシートは片面段ボールシート5に限定されないことから、以下の説明では、「段ボールシート5」とも表記する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の検出装置10は、コルゲートマシン40において段ボールシート5の搬送路15に付設されている。この搬送路15は、ブリッジ43からプレヒータ44へ段ボールシート5を搬送する経路をなし、ミルロールスタンド41Cからプレヒータ44へ表ライナ用の原紙4Cを搬送する搬送路49に対し上方に並設されている。この搬送路15は、複数の搬送ロールを含んで構成されている。
【0022】
検出装置10には、搬送中の段ボールシート5に対し、例えば上方に離間して配置されたセンサ11(測定手段)と、制御装置20とが含まれている。
センサ11は、搬送路15により搬送中の段ボールシート5の幅方向における端部位置を検出するための検出器であり、検出信号として、段ボールシート5の幅方向の位置と高さ方向の位置とを含む位置情報を出力する。
本実施形態のセンサ11の具体例としては、2次元プロファイルセンサを挙げることができる。2次元プロファイルセンサは、段ボールシート5の上面にレーザー光を照射して、その反射光に基づく検出信号を出力するレーザー変位計である。
【0023】
図3は、センサ11の検出範囲を説明するための図であり、搬送方向の下流側に向かって視た図である。図中太線は、段ボールシート5を幅方向に沿って切断した断面図である。なお、図3では、搬送路15及びコルゲートマシン40を省略している。
【0024】
図3に示すように、本実施形態のセンサ11は、幅方向に複数備えられている。具体的には、センサ11には、二つのセンサ11A,11B(第一測定手段,第二測定手段)が含まれる。センサ11A,11Bは、搬送路15の幅方向に隣接して配設されている。第一センサ11Aは、段ボールシート5の幅方向の一方の端部32A(以下「一端部32A」という)を特定するために設けられる。第二センサ11Bは、第一センサ11Aに対し幅方向の他方に隣接して配設され、段ボールシート5の幅方向の他方の端部32B(以下「他端部32B」という)を特定するために設けられる。二つのセンサ11A,11Bは互いに同一であり、配置場所及びこれに伴う測定範囲のみが異なる。以下の説明において、二つのセンサ11A,11Bを区別しない場合は、センサ11と総称する。
【0025】
図1に示すように、センサ11は制御装置20の入力側に接続され、センサ11の検出信号は制御装置20に入力される。
制御装置20は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成された電子制御装置である。制御装置20内には、検出装置10に関する機能的要素として、測定部21(測定手段)と、特定部22(特定手段)とが設けられている。これらの要素21,22は、制御装置20で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現してもよく、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
【0026】
本実施形態のシート位置調整装置50は、図1に示すように、上記の検出装置10と、蛇行補正ロール16(補正手段)とを含んで構成される。
蛇行補正ロール16は、搬送中に段ボールシート5の幅方向位置を調整するために設けられており、軸心16A〔図7(a)参照〕が幅方向に延びた円筒状の回転体で形成されている。
蛇行補正ロール16は、その外周面が段ボールシート5の上面に接触する高さに配置されており、段ボールシート5の搬送中に段ボールシート5の上面に接触しながら軸心16A回りに連れ回る。
【0027】
蛇行補正ロール16は、幅方向に対する軸心16Aの傾きを変更可能に支持されており、軸心16Aの傾きに応じて、搬送中の段ボールシート5の幅方向位置を幅方向の一方から他方へ、または、他方から一方へ微調整し得る。なお、蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きを変更するアクチュエータ(図示略)が設けられる。
蛇行補正ロール16のアクチュエータは、制御装置20の出力側に接続され、制御装置20によりアクチュエータが制御されることで蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きが変更される。
【0028】
このシート位置調整装置50において、搬送中の段ボールシート5の幅方向位置の調整は、搬送路15が段ボールシート5を搬送する際の基準位置に合わせるように実施される。ここでいう「基準位置」とは、搬送路15で段ボールシート5を搬送する際に基準となる幅方向の位置である。
【0029】
本実施形態では、基準位置として、表ライナ用の原紙4Cのうち片面段ボールシート5に貼り合わせる直前の部分(以下、この部分を「表ライナ4D」という)の幅方向における中央位置を用いる場合を例に挙げる。
搬送路49の上方に設けられたカメラ17は、搬送路49上を搬送されている表ライナ4Dの幅方向における中央位置を検出するための検出器である。カメラ17により、搬送路49を搬送中の表ライナ4Dの上面を撮影する。
【0030】
カメラ17は制御装置20の入力側に接続され、カメラ17で撮影された画像データが制御装置20に入力される。
本実施形態のシート位置調整装置50は、さらに、制御装置20内に、シート位置調整装置50における幅方向位置の調整機能に関する機能的要素として設けられた、位置検出部23と、ズレ量算出部24(算出手段)と、位置補正部25(補正手段)とを含む。これらの要素23,24,25も、上記の要素21,22と同様、制御装置20で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェア,ハードウェア(電子回路)、又はこれらの併用で実現してよい。
【0031】
[2.制御構成]
次に、制御装置20に機能的要素として設けられた各部21~25について説明する。
まず、検出装置10に関する機能的要素として設けられた測定部21と、特定部22とを説明する。
【0032】
測定部21は、センサ11の出力信号に基づき、段ボールシート5の幅方向における所定の測定範囲において、幅方向の直線状における複数の測定点の位置を測定するものである。測定範囲は、段ボールシート5の幅方向における所定の測定基準点(後述)及び当該幅方向の少なくとも一方の端部を含む範囲である。この測定範囲は、センサ11の性能や配置により予め定められる。
【0033】
センサ11及び測定部21により測定される複数の測定点の位置は、測定基準点を原点とし、例えば、段ボールシート5の幅方向をX軸、高さ方向をY軸とするXY座標で表現された位置情報である。XY座標は、測定基準点から幅方向へ離間する位置を「X座標」とし、測定基準点から高さ方向へ離間する位置を「Y座標」とする二次元座標である。
【0034】
図3に示すように、二つのセンサ11A,11Bを例に挙げて、それぞれの測定範囲30A,30Bについて具体的に説明する。図中破線は測定範囲30A,30Bであり、図中太線は搬送中の段ボールシート5を幅方向に切断した断面である。太線に重なる黒塗りの円形は測定点Pであり、太線に重なる白抜きの円形は測定基準点31A,31Bである。また、図中二点鎖線は反りのない理想的な段ボールシート5′である。
【0035】
図3において、第一センサ11Aの測定範囲30Aは、第一の測定基準点31A及び幅方向の一端部32Aを含む範囲である。第二センサ11Bの測定範囲30Bは、第二の測定基準点31B及び幅方向の他端部32Bを含む範囲である。各センサ11A,11Bは、レーザー光照射範囲(図中破線で示す測定範囲30A,30B)に、各測定基準点31A,31Bと、幅方向の各端部32A,32Bとが含まれるように配置されている。
【0036】
各測定範囲30A,30Bにおいて、幅方向の平面上に複数の測定点Pが設定される。具体的には、複数の測定点Pは、各センサ11A,11Bから視た平面視で、幅方向の直線状に配置される。より詳細には、各センサ11A,11Bから視た平面視で、段ボールシート5の搬送方向に直交する幅方向の一直線状に複数の測定点Pが配置される。各測定範囲30A,30Bにおける測定点Pの数は、センサ11A,11Bの仕様(性能や配置等)や、制御装置20の処理能力などに応じて適宜に設定されてよく、特に限定されない。測定の精度を向上させる観点からは、測定点Pの数が多いほうが好ましい。反対に、制御負荷を軽くする観点からは、測定点Pの数はそれほど多くないことが好ましく、これらを考慮して適宜設定される。なお、二つのセンサ11A,11Bが設けられる場合には、二つの測定範囲30A,30Bにおける測定点Pの数は互いに等しくする。ただし、二つの測定範囲30A,30Bにおける測定点Pの数が等しくなくてもよい。
【0037】
測定基準点31A,31Bとは、段ボールシートの幅方向の端部位置を測定する際に、基準とする点(位置)であり、搬送路15の機械幅方向の任意の位置として予め決定されている。測定基準点31の数は、特に限定されず、センサ11の数以上であってもよいし、センサ11の数よりも少なくてもよい。本実施形態ではセンサ11の数と同一、すなわち、一つのセンサ11に対し一つの測定基準点31が設定される。測定基準点31A,31Bは、段ボールシート5に反りが生じにくくその位置が安定しやすいという観点から、段ボールシート5の幅方向における中央付近に設定されるのが好ましい。図3に示す例では、第一の測定基準点31A及び第二の測定基準点31Bが、段ボールシート5の幅方向中央付近に隣接して設定されている。
【0038】
段ボールシート5の実際の各端部32A,32Bの位置は、周知技術を用いて測定部21によりセンサ11の出力信号に基づき特定できる。図3に示すように、幅方向の両端部32A,32Bを含む領域に反りが生じた段ボールシート5の場合、両端部32A,32Bのそれぞれは、図中二点鎖線で示すように、反りの生じていない理想的な段ボールシート5′の両端部32A′,32B′の位置よりも、幅方向の中央寄りにずれた位置で特定される。
測定部21は、測定範囲30A,30Bのそれぞれにおいて、各測定点Pの位置をXY座標で表現し、各測定点Pの位置を示すXY座標を特定部22へ出力する。
【0039】
特定部22は、測定部21で測定された各測定点Pの位置を示すXY座標に基づき、反りがない状態での幅方向における真の端部位置を特定するものである。なお、特定部22は、段ボールシート5に反りが生じているか否かに関わらず、真の端部位置を特定する。反りのない段ボールシート5の端部位置が特定される場合には、実際の端部位置と真の端部位置とが一致する。
特定部22において特定された真の端部位置は、ズレ量算出部24に伝達されて、段ボールシート5の幅方向位置の調整に利用される。
【0040】
特定部22は、真の端部位置を特定するために以下の構成A~Cを備えている。
構成A:各測定点Pの位置を示すXY座標に基づき、幅方向に隣接する測定点P
間の距離をそれぞれ算出する。
構成B:全ての隣接する測定点P間の距離を合算することで、測定基準点から
端部までのシート幅長さを算出する。
構成C:測定基準点からシート幅長さだけ幅方向へ離間した位置を、真の端部
位置として特定する。
【0041】
図4は、図3のセンサ11A,11Bの検出信号に基づく真の端部位置を説明する説明図である。
特定部22は、測定範囲30Aにおいて隣接する測定点P間の距離をそれぞれ算出し、全ての距離を合算して、第一の測定基準点31Aから幅方向の一端部32Aまでの第一シート幅長さl1を算出する。この第一シート幅長さl1は、第一の測定基準点31Aから、理想的な段ボールシート5′の一端部32A′までのシート幅長さとみなすことができる。そのため、特定部22は、第一の測定基準点31Aから第一シート幅長さl1だけ幅方向の一端部32A側へ直線状に離間した位置を、幅方向の一方の真の端部位置として特定する。
【0042】
特定部22は、同様に、測定範囲30Bにおいて隣接する測定点P間の距離をそれぞれ算出し、全ての距離を合算することで、第二の測定基準点31Bから幅方向の他端部32Bまでの第二シート幅長さl2を算出する。この第二シート幅長さl2は、第二の測定基準点31Bから、理想的な段ボールシート5′の他端部32B′までのシート幅長さとみなすことができる。そのため、特定部22は、第二の測定基準点31Bから第二シート幅長さl2だけ幅方向他端部32B側へ直線状に離間した位置を、幅方向の他方の真の端部位置として特定する。
【0043】
特定部22において、シート幅長さを算出するための演算式の具体例を述べる。ここでは、第二シート幅長さl2を算出する場合を例に挙げるが、第一シート幅長さl1も同様に算出可能である。
図5は、図4の段ボールシート5において第二の測定基準点31B及び他端部32Bを含む範囲を拡大した説明図である。図中「(x1,y1)」,「(x2,y2)」,・・・,「(x8,y8)」は、各測定点P(黒塗りの円形,一箇所のみ符号を付す)のXY座標であり、「dx」は隣接する測定点P間のX座標間の距離であり、「dy」は隣接する測定点P間のY座標間の距離である。
【0044】
図5に示すように、第二の測定基準点31Bを媒介変数t=a,他端部32Bをt=bとすると、第二シート幅長さl2は下記の式1で算出することができる。
【数1】
この場合、第二シート幅長さl2は、隣接する測定点P間の直線距離をそれぞれ算出し、全ての直線距離を合算した値となる。
【0045】
また、各測定基準点31A,31Bは搬送路15の機械幅方向の任意の位置として予め決定されているので、特定部22は、二つの測定基準点31A,31B間の中央シート幅長さl0を特定できる。
特定部22は、これらの中央シート幅長さl0,第一シート幅長さl1及び第二シート幅長さl2を合算して、理想的な段ボールシート5′の全シート幅長さLを算出できる。
【0046】
次に、シート位置調整装置50に関する機能的要素として設けられた位置検出部23と、ズレ量算出部24と、位置補正部25とを説明する。
位置検出部23は、カメラ17で撮影された画像データに基づき、表ライナ4Dの幅方向における中央位置を特定し、特定した中央位置を基準位置としてズレ量算出部24へ伝達する。
【0047】
ズレ量算出部24は、検出装置10の特定部22で特定された真の端部位置と、位置検出部23から伝達された基準位置とに基づいて、搬送路15における段ボールシート5の幅方向位置のズレ量を算出する。
ズレ量とは、搬送路15において段ボールシート5が本来搬送されるべき位置から幅方向にどの程度ずれているのかを示す値(幅方向の長さ)である。ズレ量算出部24は、算出したズレ量を、位置補正部25に伝達する。
【0048】
本実施形態のズレ量算出部24では、表ライナ4Dの幅方向における中央位置を基準位置として用いる。この場合、ズレ量算出部24は、真の端部位置に基づき仮想中央位置を特定するとともに、特定した仮想中央位置と基準位置とを比較して、上記のズレ量を算出する。
仮想中央位置とは、搬送中の段ボールシート5の幅方向における位置であって、幅方向両側の真の端部位置間の中央位置である。
【0049】
位置補正部25は、ズレ量算出部24で算出されたズレ量に基づいて、搬送路15における段ボールシート5の幅方向位置を調整する。本実施形態のシート位置調整装置50には蛇行補正ロール16が設けられていることから、位置補正部25は、ズレ量に基づく制御信号を蛇行補正ロール16のアクチュエータへ出力して、蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きを変更する。
【0050】
図6(a)~(c)は、表ライナ4Dの幅方向における中央位置を基準位置60とした場合の幅方向位置調整に関する説明図であり、段ボールシート5を平面視した図である。なお、図6(a)のみ、段ボールシート5の反りを示すために、幅方向に沿った断面図を併記している。図中の一点鎖線は、説明の都合上、基準位置60を搬送方向MDに延ばした線である。実際のシート位置調整装置50では、段ボールシート5は搬送されていることから、基準位置60は段ボールシート5の長手方向位置によって異なる。
【0051】
図6(a)~(c)で示す段ボールシート5は、幅方向の両端部32A,32Bを含む領域に反りが生じたものである。詳しくは、図6(a)中に太実線で示すように、ここで例示する段ボールシート5は、幅方向の他端部32Bを含む領域において、幅方向の一端部32Aを含む領域よりも大きく反りが生じている。
【0052】
図6(a)は、両端部32A,32B間における幅方向の中央位置を、一点鎖線で示す基準位置60に合わせた状態を示している。図中の符号Kは、両端部32A,32B間の幅方向の距離を示す寸法線である。基準位置60は、両端部32A,32Bのそれぞれから幅方向中央側へ「K/2」だけ離間した位置に合わせられている。上記の検出装置10は、図6(a)に示す段ボールシート5の各端部32A,32Bの真の端部位置32A′,32B′を特定する。
【0053】
図6(b)中の破線は、特定された真の端部位置32A′,32B′を搬送方向MDに延ばした線であり、図6(b)中の二点鎖線は、真の端部位置32A′,32B′から求まる仮想中央位置61を搬送方向MDに延ばした線である。図中の符号Lは、真の端部位置32A′,32B′間の幅方向の距離を示す寸法線である。この距離Lは、理想的な段ボールシート5′のシート幅長さとみなすことができる。
【0054】
上述したように、反りの生じた状態では、両端部32A,32Bの位置は真の端部位置32A′,32B′よりも幅方向中央寄りにずれた位置に特定されてしまう。そのうえ、幅方向の両端部32A,32Bで反りの大きさが異なる場合、図6(b)に示すように、両端部32A,32B間の中央位置を基準位置60に合わせた状態では、基準位置60と仮想中央位置61とが幅方向にずれてしまう。
ズレ量算出部24は、この幅方向のズレをズレ量ΔLとして算出する。ズレ量ΔLは、基準位置60に対して仮想中央位置61が幅方向にずれている距離を表す。
【0055】
位置補正部25は、ズレ量ΔLに基づいて、基準位置60に対して仮想中央位置61を合わせるように、蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きを制御する。図6(b)に示す例では、段ボールシート5が図中左側に移動するように蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きを制御し、基準位置60と仮想中央位置61とを一致させる。
その結果、反りが生じている段ボールシート5であっても、図6(c)に示すように、段ボールシート5の幅方向位置が、基準位置60に仮想中央位置61を合わせた適正な位置に調整される。
【0056】
図7(a)及び(b)は、蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾き変更に関する説明図であり、蛇行補正ロール16を段ボールシート5とともに平面視した図である。図7(a)中に矢印で示すように、蛇行補正ロール16の軸心16Aは、段ボールシート5の上面において高さ方向TDに延びる軸を中心に揺動可能であり、揺動することで軸心16Aの傾きが変わる。図7(a)中の蛇行補正ロール16は、その軸心16Aが傾いていない状態(機械幅方向CDに一致した状態)である。図7(b)は、蛇行補正ロール16の軸心16Aを傾けた状態の一例である。「軸心16Aを傾ける」とは、蛇行補正ロール16の軸心16Aの、機械幅方向CDに対する角度(傾斜角)をつけることである。
【0057】
図7(a)では、軸心16Aの方向が幅方向と一致している。この場合、段ボールシート5は搬送方向MDの下流側へ真っすぐ搬送される。
一方、図7(b)のように軸心16Aが傾けられた状態では、軸心16Aの傾きに応じて段ボールシート5の幅方向位置が矢印Aの方向へ微調整されつつ、搬送方向MDの下流側へ搬送される。このように、段ボールシート5の幅方向への蛇行が補正される。
【0058】
[3.作用及び効果]
(1)本実施形態の検出装置10では、センサ11A,11B(センサ11)及び測定部21が、測定基準点31A,31Bから段ボールシート5の幅方向の端部32A,32Bまでの複数の測定点Pを、測定基準点31A,31Bを原点としたXY座標で測定する。そして、特定部22が、複数の測定点Pのうち隣接する測定点間の距離を全て合算して測定基準点31A,31Bから端部32A,32Bまでのシート幅長さを算出し、測定基準点31A,31Bからシート幅長さだけ幅方向に離間した位置を特定する。
この位置は、反りの生じていない理想的な段ボールシート5′における真の端部位置32A′,32B′とみなすことができる。そのため、段ボールシート5に反りが生じていても、幅方向における真の端部位置32A′,32B′を検出することができる。
【0059】
これにより、例えば、コルゲートマシン40では、真の端部位置32A′,32B′に基づいて、段ボールシート5を適正に加工したり、段ボールシート5を適切に搬送したりすることができる。具体例を挙げると、段ボールシート5が蛇行して搬送されている場合に、真の端部位置32A′,32B′を検出することで、反りを考慮して適切に蛇行を補正したうえで、段ボールシート5を搬送することがきる。
したがって、段ボールシート5から段ボールを形成する場合にも、段ボールを適正に形成できる。
また、上記の特許文献1に記載された、真の板幅を検出する従来技術では、反りがない状態の真の端部位置を検出できないため、搬送中の段ボールシート5の幅方向位置のずれを適切に調整できない。これに対し、上述した検出装置10は、コルゲートマシン40で段ボールシート5から段ボールを適正に形成し得るという点で、上記の従来技術に対し有利である。
【0060】
(2)上述した検出装置10では、幅方向に隣接して二つのセンサ11A,11Bが配設されているので、一方のセンサ11Aで一端部32Aを含む測定範囲30Aを測定して一方の真の端部位置32A′を特定でき、他方のセンサ11Bで他端部32Bを含む測定範囲30Bを測定して他方の真の端部位置32B′を特定することができる。このため、段ボールシート5の両端部32A,32Bのそれぞれについて、精度良く真の端部位置32A′,32B′を検出することができる。
【0061】
また、一つのセンサ11で両端部32A,32Bの位置を特定する場合には、一つのセンサ11により両端部32A,32Bが測定範囲30に含まれるよう配置を工夫したり、レーザー光の照射範囲(測定範囲)の広いセンサを用いたり必要があるが、各端部32A,32Bに専用のセンサ11A,11Bを設けることで、センサ11A,11Bの測定範囲30A,30B及び配置の自由度を高めることができる。
【0062】
(3)シート位置調整装置50では、ズレ量算出部24が検出装置10で特定された真の端部位置32A′,32B′を用いて、段ボールシート5が本来搬送されるべき位置から幅方向にどの程度ずれているのかを示すズレ量を算出する。位置補正部25は、搬送路15が段ボールシート5を搬送する際の基準位置60に加えて、算出したズレ量に基づいて段ボールシート5の幅方向位置を調整する。そのため、反りがある段ボールシート5であっても、基準位置60に合わせて適正に搬送することができる。
【0063】
(4)上記のズレ量は、真の端部位置32A′,32B′に基づく仮想中央位置61と、片面段ボールシート5に貼合される表ライナ4Dの幅方向の中央位置に基づく基準位置60との比較により算出される。そのため、この仮想中央位置61を用いて、片面段ボールシート5の幅方向位置を調整した場合、片面段ボールシート5を表ライナ4Dに対し適正に搬送することができ、片面段ボールシート5を表ライナ4Dに貼合する際のズレを抑制できる。
【0064】
(5)上述した検出装置10を備えることで、コルゲートマシン40において、段ボールシート5に反りが生じていても、反りが無い状態に平坦化した場合の真の端部位置32A′,32B′を検出することができる。そして、シート位置調整装置50により、当該真の端部位置32A′,32B′に基づいて段ボールシート5の幅方向の位置を調整できる。そのため、段ボールシート5を適正に搬送できる。よって、コルゲートマシン40では段ボールシート5を適正に加工することができる。
【0065】
[4.その他]
以上の実施形態はあくまでも例示に過ぎない。上記実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択でき、あるいは公知技術に含まれる各種構成と適宜組み合わせてもよい。
【0066】
上述した実施形態のシート位置調整装置50では、表ライナ4Dの幅方向における中央位置を基準位置60としているが、例えば、表ライナ4Dの幅方向における一方の端部位置を基準位置としてもよい。この場合、位置検出部23は、カメラ17で撮影された画像データに基づき、表ライナ4D(ライナシート)の幅方向における一方の端部位置を特定し、特定した一方の端部位置を基準位置としてズレ量算出部24へ伝達する。ズレ量算出部24は、特定部22から伝達された真の端部位置と、位置検出部23から伝達された基準位置とを比較して、ズレ量を算出する。
【0067】
図8(a)~(c)は、表ライナ4Dの幅方向における端部位置を基準位置70とした場合の幅方向位置調整に関する説明図であり、図6(a)~(c)に対応する図である。なお、図8(a)のみ、段ボールシート5の反りを示すために、幅方向に沿った断面図を併記している。図中の一点鎖線は、説明の都合上、基準位置70を搬送方向MDに延ばした線である。図8(a)~(c)で示す段ボールシート5も、図6(a)~(c)と同様、幅方向の両端部32A,32Bを含む領域に反りが生じたものである。
【0068】
図8(a)は、他端部32Bの位置を、一点鎖線で示す基準位置70に合わせた状態を示している。図8(b)中の破線は、特定された真の端部位置32A′,32B′を搬送方向MDに延ばした線であり、図8(b)中の二点鎖線は、位置調整に用いる他方の真の端部位置32B′を搬送方向MDに延ばした線である。
本変形例のシート位置調整装置50では、ズレ量算出部24が、基準位置70に対する他方の真の端部位置32B′の幅方向のズレをズレ量ΔL′として算出する。
【0069】
本変形例の位置補正部25は、ズレ量ΔL′に基づいて、基準位置70に対し他方の真の端部位置32B′を合わせるように、蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きを制御する。図8(b)に示す例では、段ボールシート5が図中左側に移動するように蛇行補正ロール16の軸心16Aの傾きを制御し、基準位置70と他方の真の端部位置32B′とを一致させる。
その結果、反りが生じている段ボールシート5であっても、図8(c)に示すように、段ボールシート5の幅方向位置が、基準位置70に真の端部位置32B′を合わせた適正な位置に調整される。このような変形例に係るシート位置調整装置50によっても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
また、段ボールシート5の反りは、幅方向の両端部32A,32Bを含む領域で生じるとは限らない。図9(a)~(c)及び図10は、反りの変形例を示しており、反りの形状を除き図4と共通している。
【0071】
図9(a)は、段ボールシート80が幅方向の両端部32A,32Bから幅方向の中央部に亘り全体的に反り上がった形状を例に挙げている。また、図10は、段ボールシート81の他端部32Bと幅方向中央部との間に位置する一部の領域82が他の部分よりも隆起した形状を例に挙げている。
【0072】
特定部22は、図9(a)の段ボールシート80及び図10の段ボールシート81のいずれにおいても、上述した実施形態と同様の手法により、第一シート幅長さl1と、第二シート幅長さl2と、中央シート幅長さl0とのそれぞれを算出して、真の端部位置32A′,32B′を特定することができる。このように、上述した検出装置10によれば、段ボールシート5の反りの形状によらず、真の端部位置を特定,検出することができる。
【0073】
図9(b)は、二つのセンサ11A,11Bに対し一つの測定基準点31Cが設定されている点を除き図9(a)と共通している。この場合、一方のセンサ11A及び測定部21が、測定基準点31Cから一端部32Aまでの複数の測定点Pを測定し、他方のセンサ11B及び測定部21が、測定基準点31Cから他端部32Bまでの複数の測定点Pを測定する。
特定部22は、測定基準点31Cから一端部32Aまでの第一シート幅長さl1と、測定基準点31Cから他端部32Bまでの第二シート幅長さl2とを算出して、理想的な段ボールシート5′の全シート幅長さLや、真の端部位置32A′,32B′を特定することができる。
【0074】
図9(c)は、センサ11A(二つのセンサ11A,11Bの一方)の測定範囲30Cを、測定基準点31Aと31Bとの両方が入る範囲に広げた点を除き図9(a)と共通している。
この場合、一方のセンサ11A及び測定部21が、測定基準点31Aから一端部32Aまでの複数の測定点Pと測定基準点31Aと測定基準点31Bとの間の複数の測定点Pとを測定し、他方のセンサ11B及び測定部21が、測定基準点31Bから他端部32Bまでの複数の測定点Pを測定する。
特定部22は、一方のセンサ11A及び測定部21で測定した複数の測定点Pを用いて、第一シート幅長さl1と、中央シート幅長さl0とを算出するとともに、他方のセンサ11B及び測定部21で測定した複数の測定点Pを用いて第二シート幅長さl2を算出して、理想的な段ボールシート5′の全シート幅長さLや、真の端部位置32A′,32B′を特定することができる。
【0075】
図9(c)の変更例として、二つのセンサ11A,11Bの両方の測定範囲を、測定基準点31Aと31Bとの両方が入る範囲に広げてもよい。図9(c)において、測定基準点31Aと31Bとの両方が入る範囲に広げたセンサ11Bの測定範囲を、一点鎖線で示す。
この場合、一方のセンサ11A及び測定部21が、測定基準点31Aから一端部32Aまでの複数の測定点Pと、測定基準点31Aと測定基準点31Bとの間の複数の測定点Pとを測定するとともに、他方のセンサ11B及び測定部21が、測定基準点31Bから他端部32Bまでの複数の測定点Pと、測定基準点31Aと測定基準点31Bとの間の複数の測定点Pとを測定する。
【0076】
特定部22は、一方のセンサ11A及び測定部21で測定した複数の測定点Pを用いて第一シート幅長さl1と、中央シート幅長さl0とを算出するとともに、他方のセンサ11B及び測定部21で測定した複数の測定点Pを用いて第二シート幅長さl2と中央シート幅長さl0とを算出する。重複して算出した二つの中央シート幅長さl0から一つを特定する手法としては、両者の平均値を採用する手法や、両者のうち距離の長い方を採用する手法、あるいは、両者のうち距離の短い方を採用する手法を例に挙げることができる。いずれの手法を用いるかは適宜決定されてよい。
【0077】
また、特定部22において、シート幅長さを算出するための演算式は上記の式1に限らず、曲線の長さを求める公式として周知の演算式を利用できる。
例えば、測定基準点31A(31B)とこれに近接する端部32A(32B)とを結ぶ曲線をy=f(x)で表し、測定基準点31A(31B)をx=a,端部32A(32B)x=bとする。y=f(x)で表される曲線の長さLは、下記の式2で求められる。
【数2】
【0078】
また、測定基準点31A(31B)と端部32A(32B)とを結ぶ曲線を、極座標で表される曲線r=1+cosθとすると、測定基準点31A(31B)と端部32A(32B)とを結ぶ曲線の長さLは、下記の式3で求められる。
【数3】
【0079】
上述した実施形態では、各測定範囲30A,30Bにおいて複数の測定点Pは、段ボールシート5の搬送方向に直交する幅方向の一直線状に設定される場合を例に挙げたが、複数の測定点Pの設定はこれに限定されない。
例えば、各測定範囲30A,30Bにおける複数の測定点Pを結ぶ直線は、段ボールシート5の搬送方向に対し所定角度傾いて幅方向に延在する一直線であってもよい。あるいは、測定範囲30Aにおける複数の測定点Pを結ぶ直線と、測定範囲Bにおける複数の測定点Pを結ぶ直線とが、段ボールシート5の搬送方向に対し異なる角度で傾いて幅方向に延在する、言い換えれば測定範囲30A,30Bにおいて複数の測定点Pが一直線状に設定されなくてもよい。
【0080】
また、検出装置10は、二つのセンサ11A,11Bを備えた構成に限らず、三つ以上のセンサを備えた構成であってよい。この場合、段ボールシート5の幅方向端部に位置するセンサ11及び測定部21が、任意の測定基準点から段ボールシート5の幅方向端部までの複数の測定点Pを測定する。また、段ボールシート5の幅方向中央寄りに位置するセンサ11及び測定部21が、任意の測定基準点間の複数の測定点Pを測定する。
【0081】
特定部22では、段ボールシートの幅方向端部に位置するセンサ11及び測定部21で測定した複数の測定点Pを用いて、シート幅長さを算出する。また、段ボールシート5の幅方向中央寄りに位置するセンサ11及び測定部21で測定した複数の測定点Pを用いて、シート幅長さを算出する。こうして、理想的な段ボールシートの全シート幅長さLや、真の端部位置を特定することができる。
幅方向に三つ以上(複数)のセンサ11を設ける構成によれば、二つ以下のセンサ11を設ける構成に比べて、より高精度な測定が可能となるため、真の端部位置を高精度に求めることができる。
【0082】
また、検出装置10は、二つのセンサ11A,11Bを備えた構成に限らず、センサ11を一つだけ備えた構成であってもよい。この場合、検出装置10は、一つのセンサ11により段ボールシート5の幅方向のいずれか一方の端部位置を特定するように構成されてもよいし、あるいは、一つのセンサ11により段ボールシート5の幅方向の両方の端部位置を特定するように構成されていてもよい。
【0083】
搬送路15において片面段ボールシート5を搬送する際の基準位置は、表ライナ4Dの幅方向の位置に限らず、搬送路15の機械幅方向CDを基準とした位置であってもよい。
上述した検出装置10及びシート位置調整装置50の対象となる段ボールシートは、片面段ボールシートに限らず、ライナシートや、両面段ボールシート、複両面段ボールシートなど任意の段ボールシートであってよい。
【0084】
図11は、両面段ボールシート5Wの幅方向における真の端部位置を特定するための検出装置10W及びシート位置調整装置50Wの説明図である。図11の検出装置10W及びシート位置調整装置50Wは、図2のコルゲートマシン40に装備される。
図11の検出装置10Wにおいて、センサ11Wは、ダブルフェーサ46(図2参照)の下流側、且つ、スリッタスコアラ47の上流側に設けられており、両面段ボールシート5Wの幅方向における端部位置を検出するものであることを除き、図1のセンサ11と共通している。検出装置10Wに関する機能的要素は、図1を参照して上述した測定部21及び特定部22と同様である。
【0085】
図11のシート位置調整装置50Wにおいて、蛇行補正ロール16Wは、ダブルフェーサ46の下流側、且つ、スリッタスコアラ47の上流側に設けられており、両面段ボールシート5Wの幅方向位置を調整するものであることを除き、図1の蛇行補正ロール16と共通している。
シート位置調整装置50Wにおいて、両面段ボールシート5Wの幅方向位置の調整は、両面段ボールシート5Wを搬送する際の基準位置に合わせるように実施される。
【0086】
シート位置調整装置50Wにおける基準位置として、コルゲートマシン40の機械幅方向CDにおける中央位置を用いる場合を例に挙げることができる。機械幅方向CDにおける中央位置は、具体的には、両面段ボールシート5Wを搬送する搬送路の機械幅方向CDにおける中央位置である。この中央位置は、反りの無い理想的な両面段ボールシートが蛇行せずに搬送されている状態での両面段ボールシートの幅方向における中央位置に対応する位置として予め設定されている。
ズレ量算出部24(図1参照)及び位置補正部25(図1参照)は、基準位置がコルゲートマシン40の機械幅方向CDにおける中央位置であることを除き上述と同様である。そのため、真の端部位置を用いて求めたズレ量に基づいて蛇行補正ロール16Wの軸心16Aの傾きが制御され、反りがある両面段ボールシート5Wであっても、搬送中の蛇行を補正でき、適正に搬送することができる。
【0087】
図11のシート位置調整装置50Wにおける基準位置の別の例として、コルゲートマシン40の機械幅方向CDにおける一方の端部位置を用いることができる。
機械幅方向CDにおける一方の端部位置は、具体的には、両面段ボールシート5Wを搬送する搬送路の機械幅方向CDにおける両端部の何れか一方の端部位置である。この端部位置は、反りの無い理想的な両面段ボールシートが蛇行せずに搬送されている状態での両面段ボールシートの両端部の何れか一方の端部位置が基準位置として予め決定されている。ズレ量算出部24(図1参照)及び位置補正部25(図1参照)は、基準位置がコルゲートマシン40の機械幅方向CDにおける一方の端部位置であることを除き上述と同様である。そのため、真の端部位置を用いて求めたズレ量に基づいて蛇行補正ロール16Wの軸心16Aの傾きが制御され、反りがある両面段ボールシート5Wであっても、搬送中の蛇行を補正でき、適正に搬送することができる。
【0088】
なお、上述の図11に示す実施形態では、蛇行補正の手法として、両面段ボールシート5Wの真の端部位置を用いて求めたズレ量に基づいて、蛇行補正ロール16Wの軸心16Aの傾きを制御して、搬送中の蛇行を補正する手法を例に挙げたが、蛇行補正の手法はこれに限定されない。例えば、両面段ボールシート5Wの真の端部位置を用いて求めたズレ量に基づいて、スリッタスコアラ47に設けられた加工装置(図示せず)の幅方向位置を調整してもよい。ここで、加工装置は、両面段ボールシート5Wに対して幅方向に位置調整され得る装置である。加工装置の具体的例としては、両面段ボールシート5Wを搬送方向に沿って裁断するためのスリッタナイフや、両面段ボールシート5Wに対し罫線を形成するための罫線ロール,両面段ボールシート5Wに対しカットテープを付設するためのカットテープ装置,あるいは、両面段ボールシート5Wに対しミシン目を形成するミシン刃などが挙げられる。加工装置の幅方向位置を調整した場合、両面段ボールシート5Wの適正な幅方向位置に対し加工することができる。
【符号の説明】
【0089】
4A 裏ライナ用の原紙
4B 中芯用の原紙
4C 表ライナ用の原紙
4D 表ライナ(ライナシート)
5 片面段ボールシート(段ボールシート)
5W 両面段ボールシート
5X 段ボール
10,10W 検出装置
11,11W センサ(測定手段)
11A 第一センサ(第一測定手段)
11B 第二センサ(第二測定手段)
15 搬送路
16,16W 蛇行補正ロール(補正手段)
16A 軸心
17 カメラ
20 制御装置
21 測定部(測定手段)
22 特定部(特定手段)
23 位置検出部
24 ズレ量算出部(算出手段)
25 位置補正部(補正手段)
30,30A,30B 測定範囲
31A 第一の測定基準点
31B 第二の測定基準点
32A 一端部(幅方向の一方の端部)
32B 他端部(幅方向の他方の端部)
32A′ 一方の真の端部位置
32B′ 他方の真の端部位置
40 コルゲートマシン
41A,41B,41C ミルロールスタンド
42 シングルフェーサ
43 ブリッジ
44 プレヒータ
45 グルーマシン
46 ダブルフェーサ
47 スリッタスコアラ
48 カットオフ
49 搬送路
50,50W シート位置調整装置
60 基準位置
61 仮想中央位置
70 基準位置
80,81 段ボールシート
82 隆起
ΔL,ΔL′ ズレ量
CD 機械幅方向
MD 搬送方向
TD 高さ方向(上下方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11