(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111103
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】天板付家具
(51)【国際特許分類】
A47B 13/08 20060101AFI20230803BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A47B13/08 A
A47B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012756
(22)【出願日】2022-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) ウェブサイトの掲載日:令和3年9月28日 ウェブサイトのアドレス:http://int.kokuyo.com/fw/dfw/pronet/N/Document/_DocumentView/RWCQ2070T3Z-03U6BH-02L339-0924V-15EPKW5T9HF08NE 公開者:コクヨ株式会社 (2) ウェブサイトの掲載日:令和3年10月6日 ウェブサイトのアドレス:http://int.kokuyo.com/fw/dfw/pronet/N/Document/_DocumentView/70EHS00QDQH-08XC8H-013POG-0YYAB-1AGREA5O5VB89HZ 公開者:コクヨ株式会社 (3) 令和3年10月21日~令和3年10月22日に別紙記載の公開先にWeb会議ツールを用いて公開 公開者:コクヨ株式会社 (4) ウェブサイトの掲載日:令和3年10月28日 ウェブサイトのアドレス:http://int.kokuyo.com/fw/dfw/pronet/N/Document/_DocumentView/RWCQ2070T3Z-03U6BH-02L339-0924V-15EPKW5T9HF08NE 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (5) 公開日:令和3年11月1日 公開した場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム (東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者:コクヨ株式会社 (6) 開催日:令和3年11月4日~令和3年11月22日 展示会名:2022 KOKUYO FAIR 開催場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム コクヨ株式会社 品川ライブオフィス (東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者:コクヨ株式会社 (7) ウェブサイトの掲載日:令和3年11月4日 ウェブサイトのアドレス:http://int.kokuyo.com/fw/dfw/pronet/N/Document/_DocumentView/70EHS00QDQH-08XC8H-013POG-0YYAB-1AGREA5O5VB89HZ 公開者:コクヨ株式会社 (8) ウェブサイトの掲載日:令和3年11月4日 ウェブサイトのアドレス:https://www.kokuyo-furniture.co.jp/products/office/wt400/ 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (9) 令和3年11月10日に秘密保持契約を結んでいない者を含む社員に社内サーバにて公開 公開者:コクヨ株式会社 (10) 公開日:令和3年11月17日 公開した場所:コクヨ株式会社 梅田ショールーム(大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC11F) 公開者:コクヨ株式会社 (11) ウェブサイトの掲載日:令和3年11月19日及び令和3年12月16日 ウェブサイトのアドレス:https://www.kokuyo-furniture.co.jp/digicata/?_ga=2.126477445.948829473.1644797907-2046967477.1620609300 公開者:コクヨ株式会社 (12) 開催日:令和3年11月24日~令和3年12月3日 展示会名:2022 KOKUYO FAIR 開催場所:コクヨ株式会社 梅田ショールーム(大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC11F) 公開者:コクヨ株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (13) 令和3年12月6日に秘密保持契約を結んでいない者を含む証明書記載の社員にWeb会議ツールを用いて公開 公開者:コクヨ株式会社 (14) 令和3年12月7日に別紙記載の公開先にWeb会議ツールを用いて公開 公開者:コクヨ株式会社 (15) 令和3年12月23日に別紙記載の公開先にe-mailを用いて公開 公開者:コクヨ株式会社 (16) 発行日:令和3年12月25日 刊行物:コクヨ総合カタログ2022ファニチャー編ハンディ版 公開者:コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】新谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄大
(72)【発明者】
【氏名】山西 学
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN01
3B053PA01
3B053PB03
3B053PC02
3B053PC07
(57)【要約】
【課題】天板本体の中央部等に表面側と裏面側を連通させる開口を設けておき、その開口にカバー部材を開閉可能に配した天板付き家具において、カバー部材が天板本体に対して目立ってしまい、外観を損なうという不具合を解消する
【解決手段】このような天板付家具Tに、表面3c側と裏面3d側とを連通させる連通領域を備えた天板本体3と、この天板本体3の連通領域に配されたカバー部材4とを具備させ、天板本体3とカバー部材4の表面3c、4aにそれぞれ木目調の模様(木目3w、4w)を配し、カバー部材4を、表面4aが天板本体3の表面3cと略面一になる第1姿勢と、表面4aが天板本体3の表面3cに対して傾斜する第2姿勢(Q1)とを取り得るように構成し、天板本体3の模様(木目3w)とカバー部材4の模様(木目4w)とは、第1姿勢と第2姿勢(Q1)においてそれぞれ視覚的に連続するように形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側と裏面側とを連通させる連通領域を備えた天板本体と、この天板本体の連通領域に配されたカバー部材とを具備し、
前記天板本体と前記カバー部材の表面にはそれぞれ木目調の模様が配されており、
前記カバー部材は、その表面が前記天板本体の表面と略面一になる第1姿勢と、その表面が天板本体の表面に対して傾斜する第2姿勢とを取り得るように構成されており、
前記天板本体の模様と前記カバー部材の模様とは、前記第1姿勢と前記第2姿勢においてそれぞれ視覚的に連続するように形成されている天板付家具。
【請求項2】
前記天板本体は、使用端よりも内側に前記連通領域を形成する開口が設けられたものであり、
その開口に前記カバー部材が配されている請求項1記載の天板付家具。
【請求項3】
前記天板本体は、少なくとも表面に木目調の模様が表出する木材製のものであり、
前記カバー部材は、前記開口を形成するために前記天板本体から切り出された木材を利用したものである請求項2記載の天板付家具。
【請求項4】
前記木目調の模様が、天然木材の表面に表出する木目である請求項1、2又は3記載の天板付家具。
【請求項5】
前記カバー部材が、回転動作により前記第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変更し得るものであり、
前記木目調の模様の方向を、前記カバー部材の回転軸心に対して略垂直としたものである請求項1、2、3又は4記載の天板付家具。
【請求項6】
前記カバー部材は、周囲に環状隙間を残した状態で前記開口を閉状態とする第1姿勢と、起立して前記開口を開状態とする第2姿勢とを選択的にとり得るものである請求項2記載の天板付家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルやデスク等の天板付家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の天板付家具として、天板本体の中央部等に表面側と裏面側を連通させる開口を設けておき、その開口にカバー部材を開閉可能に配したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる開口は、例えば、配線類を天板本体の裏側から表面側に導出させる役割等を担うものであるが、この開口に配されたカバー部材は、加工性やコスト等の観点から、金属や樹脂等の材料により形成され、天板本体の表面を構成する材料とは異なっている。
【0004】
そのため、カバー部材が天板本体に対して目立ってしまい、外観を損なう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上説明したような課題を解決しようとするものであり、カバー部材が天板本体に対して目立ってしまい、外観を損なうという不具合を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る天板付家具は、表面側と裏面側とを連通させる連通領域を備えた天板本体と、この天板本体の連通領域に配されたカバー部材とを具備し、前記天板本体と前記カバー部材の表面にはそれぞれ木目調の模様が配されており、前記カバー部材は、その表面が前記天板本体の表面と略面一になる第1姿勢と、その表面が天板本体の表面に対して傾斜する第2姿勢とを取り得るように構成されており、前記天板本体の模様と前記カバー部材の模様とは、前記第1姿勢と前記第2姿勢においてそれぞれ視覚的に連続するように形成されているものである。
【0008】
なお、本発明における「連通領域」は、天板本体に穿設された配線挿通用の開口のみならず、天板本体の縁に形成された切欠き内の領域や、天板本体の縁に沿って設定された隣接領域等も含む概念である。
【0009】
請求項2記載の発明に係る天板付家具は、請求項1記載のものであって、前記天板本体は、使用端よりも内側に前記連通領域を形成する開口が設けられたものであり、その開口に前記カバー部材が配されているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係る天板付家具は、請求項2記載のものであって、前記天板本体は、少なくとも表面に木目調の模様が表出する木材製のものであり、前記カバー部材は、前記開口を形成するために前記天板本体から切り出された木材を利用したものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係る天板付家具は、請求項1、2又は3記載のものであって、前記木目調の模様が、天然木材の表面に表出する木目であるものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係る天板付家具は、請求項1、2、3又は4記載のものであって、前記カバー部材が、回転動作により前記第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変更し得るものであり、前記木目調の模様の方向(木目の方向)を、前記カバー部材の回転軸心に対して略垂直としたものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係る天板付家具は、請求項2記載のものであって、前記カバー部材は、周囲に環状隙間を残した状態で前記開口を閉状態とする第1姿勢と、起立して前記開口を開状態とする第2姿勢とを選択的にとり得るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバー部材が天板本体に対して目立ってしまい、外観を損なうという不具合を解消することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天板付家具を示す斜視図。
【
図10】同実施形態に係る天板付家具を示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図12を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を天板付家具の一つであるテーブルTに適用した場合のものである。
【0018】
このテーブルTは、
図1、
図2、
図7及び
図8に示すように、天板1を脚2により水平に支持してなるものであり、脚2は通常のものであるため詳細な説明は省略する。なお、
図4及び
図10では脚2を省略して示している。
【0019】
天板1は、
図1、
図3~
図7及び
図9~
図12に示すように、中央部に開口3aを有する木材製の天板本体3と、この天板本体3の開口3aに開閉可能に配されたカバー部材4とを備えてなる。
【0020】
天板本体3は、例えば、対向する2辺を使用端3bとする平面視長方形状のものであり、
図1、
図3~
図7及び
図9~
図12に示すように、それら使用端3b間に当該天板本体3の表面3c側と裏面3d側とを連通させるための連通領域Rを形成する開口3aが設けられている。すなわち、この実施形態では、天板本体3の使用端3bよりも内側に連通領域Rを形成する開口3aが設けられており、その開口3aにカバー部材4が配されている。
【0021】
天板本体3とカバー部材4の表面3c、4aには、
図1、
図3、
図7及び
図9に示すように、それぞれ木目調の模様である木目3w、4wが表出させてあり、カバー部材4は、
図5及び
図6に示すように、その表面4aが天板本体3の表面3cと略面一になる第1姿勢(P)と、その表面4aが天板本体3の表面3cに対して傾斜する第2姿勢(Q1)、(Q2)を取り得るように構成されている。そして、天板本体3の木目3wと、カバー部材4の木目4wとは、
図1、
図3及び
図7に示すように、第1姿勢(P)と第2姿勢(Q1)、(Q2)においてそれぞれ視覚的に連続するように形成されている。すなわち、カバー部材4は、周囲に環状隙間3sを残した状態で開口3aを閉状態とする第1姿勢(P)と、起立して前記開口3aを開状態とする第2姿勢(Q1)、(Q2)とを選択的にとり得るものであるため、いずれの姿勢(P)、(Q1)、(Q2)においても天板本体3の木目3wとカバー部材4の木目4wとは物理的に分断されてはいる。しかしながら、
図1、
図3及び
図7~
図9に示すように、視覚的にはその隙間3sの有無にかかわらず天板本体3の木目3wとカバー部材4の木目4wとが連続しているように見せるべく木目3w、4wの形状が整えられている。この実施形態の場合、天板本体3は、表面に木目3wが表出する木材製のものであり、カバー部材4は、天板本体3の開口3aを形成するために天板本体3から切り出された木材を利用したものであるため、切り出したままの姿勢でカバー部材4を配置するだけで天板本体3の木目3wとカバー部材4の木目4wとが連続しているように見えることになる。
【0022】
この実施形態の場合、カバー部材4は、回転動作により第1姿勢(P)と第2姿勢(Q1)、(Q2)との間で姿勢変更し得るものであり、カバー支持機構5を介して天板本体3に取り付けられている。そして、木目4wの方向d2(木目調の模様の方向)は、カバー部材4の回転軸心C1、C2に対して略垂直としてある。
【0023】
カバー支持機構5は、
図4~
図6及び
図10~
図12に示すように、開口3aの長手方向(左右方向)に直交させて天板本体3の裏面3dに止着されたベース51と、このベース51上に設けられカバー部材4を水平な第1姿勢(P)から前向きの第2姿勢(Q1)に回動させるための前向き用ヒンジ52と、ベース51上に設けられカバー部材4を水平な第1姿勢(P)から後向きの第2姿勢(Q2)にまで回動させるための後向き用ヒンジ53とを備えたものであり、前向き用ヒンジ52と後向き用ヒンジ53とを選択的に使用することによって2種類の第2姿勢(Q1)、(Q2)を取り得るように構成されている。しかして、このカバー支持機構5においては、前向き用ヒンジ52を使用する際には、開口3aの前縁寄りに設定された前側の回転軸心C1回りにカバー部材4を回転させることができ、後向き用ヒンジ53を使用する際には、開口3aの後縁寄りに設定された後側の回転軸心C2回りにカバー部材4を回転させることができるようになっている。前側の回転軸心C1と、後側の回転軸心C2は、平行な姿勢で左右方向に延びている。
【0024】
具体的に説明すれば、
図4~
図6及び
図10~
図12に示すように、ベース51は、前後方向に延びる角柱状をなす桿状体であり、前端部及び後端部を天板本体3の裏面3dにねじ等により止着されている。ベース51の上面には、
図5、
図6、
図11及び
図12に示すように、両ヒンジ52、53を介してカバー部材4を受け止める受け面51aが形成されている。また、このベース51には、前向き用のヒンジ52を保持案内する部分円弧状をなす案内レール部511と、後向き用のヒンジ53を保持案内する部分円弧状をなす案内レール部512とが設けられている。前向き用ヒンジ52のための案内レール部511は、その曲率中心が後側の回転軸心C2に合致させてあり、後向き用ヒンジ53のための案内レール512は、その曲率中心を前側の回転軸心C1に合致させてある。なお、本実施形態では、ベース51は、黒色である。
【0025】
前向き用のヒンジ52は、
図5、
図6、
図11及び
図12に示すように、前向き用ヒンジ52のための案内レール部511に保持されて受け面51a上に切離可能に設けられたヒンジアーム521と、一端部をこのヒンジアーム521の前端部に連結軸523を介して枢着してなりブラケット54を介してカバー部材4の裏面4b側に止着されたアームブロック522とを備えたものである。
【0026】
後向き用のヒンジ53は、
図5、
図6、
図11及び
図12に示すように、後向き用ヒンジ53のための案内レール部512に保持されて受け面51a上に切離可能に設けられたヒンジアーム531と、一端部をこのヒンジアーム531の後端部に連結軸533を介して枢着してなりブラケット54を介してカバー部材4の裏面4b側に止着されたアームブロック532とを備えたものである。
【0027】
次いで、この実施形態の作動を説明する。
図1~
図6に示すように、カバー部材4が水平な第1姿勢(P)に保持されている状態では、天板本体3の表面3cとカバー部材4の表面4aとが略面一に保持されており、天板本体3の表面3cに表出している木目3wと、カバー部材4の表面4aに表出している木目4wとが視覚的に連続したものとなる。すなわち、
図1、
図3及び
図4に示すように、天板本体3とカバー部材4との間には環状の隙間3sが存在するが、視覚的にはかかる隙間3sの有無に拘わらず天板本体3の木目3wとカバー部材4の木目4wとが連続しているように視認し得るものである。かかる第1姿勢(P)においては、
図5及び
図6に示すように、両ヒンジ52、53のヒンジアーム521、531がベース51の受け面51aに当接し安定保持されている。
【0028】
この状態から、カバー部材4の後縁を持ち上げると、
図11及び
図12に示すように、そのカバー部材4は前向き用のヒンジ52の枢着軸心C1(前側の回転軸心)回りに回転し前向きの第2姿勢(Q1)にまで達する。この際、後向き用のヒンジ53は、ヒンジとしての役割は発揮せず、折り畳まれたままでカバー部材4と共に起立する。すなわち、後向き用のヒンジ53のヒンジアーム531は、
図12に示すように、アームブロック532に折り畳まれたままの姿勢でベース51に設けられた後向き用ヒンジ53のための案内レール部512に案内され、前側の回転軸心C1回りに回転して起立する。
【0029】
カバー部材4が前向きに起立した第2姿勢(Q1)に保持されている状態では、
図7、
図9及び
図10に示すように、天板本体3の表面3cとカバー部材4の表面4aとが直角に交差した状態となるが、
図7に示すように、天板本体3の表面3cに表出している木目3wと、カバー部材4の表面4aに表出している木目4wとは視覚的に連続したものとなる。すなわち、木目3w、4wの方向d1、d2は、カバー部材4の回転軸心C1に対して略垂直としたものであるため、カバー部材4が回転軸心C1回りに回転しても、その木目3w、4wの視覚的な連続性は損なわれることがない。
【0030】
カバー部材4を水平な第1姿勢(P)から、
図5及び
図6の想像線に示す後向きの第2姿勢(Q2)に回動させて起立させた場合も事情は同じであり、テーブルTを後方から観察した場合の天板本体3の木目3wとカバー部材4の木目4wの視覚的な連続性は確保される。この際のカバー支持機構5の作動は、前述した動きに準じたものであり、前向き用のヒンジ52が折り畳まれたままで後向き用のヒンジ53によりカバー部材4が後側の回転軸心C2回りに回転して起立することになる。
【0031】
ここで、
図1は、カバー部材4を第1姿勢(P)とした天板付家具Tの斜視図である。
図2は同正面図、
図3は同平面図、
図4は同底面図である。
図5は
図4におけるA-A線に沿った拡大断面図であり、前向き用のヒンジ52を示す。
図6は
図4におけるB-B線に沿った拡大断面図であり、後向き用のヒンジ53を示す。なお、
図5及び
図6では、わかりやすくするために天板本体3の表面3c側が図中において上となるようにしているとともに、前向き及び後向きの第2姿勢(Q1)、(Q2)をとるカバー部材4の上部を想像線で示している。
図7は、カバー部材4を前向きの第2姿勢(Q1)とした天板付家具Tの斜視図である。
図8は同正面図、
図9は同平面図、
図10は同底面図である。
図11は
図10におけるC-C線に沿った拡大断面図であり、前向き用のヒンジ52を示す。
図12は
図11におけるD-D線に沿った拡大断面図であり、後向き用のヒンジ53を示す。なお、
図11及び
図12では、わかりやすくするために天板本体3の表面3c側が図中において上となるようにしている。また、
図1~
図4及び
図7~
図10において、天板本体3の裏面3d及び外周面3eの木目模様は省略して示している。
【0032】
このような構成のものであれば、第1姿勢(P)及び第2姿勢(Q1)、(Q2)のいずれにおいても、天板本体3の木目3wとカバー部材4の木目4wとが視覚的に連続したものになるので、カバー部材4が天板本体3に対して目立つことがなく、一体感に富んだテーブルTを提供することができる。すなわち、かかる構成によれば、カバー部材4の存在により外観が損なわれるという課題を、効果的に解消することができる。
【0033】
特に、この実施形態では、天板本体3が木材製のものであり、カバー部材4を、開口3aを形成するために前記天板本体3から切り出された木材を利用したものにしているので、材料の有効利用を図ることができる上に、天板本体3の表面3cに形成される木目3wとカバー部材4の表面4aに形成される木目4wとを視覚的に連続したものにするのが容易となる。
【0034】
しかも、天板本体3及びカバー部材4の表面3c、4aに形成される木目3w、4wの方向d1、d2を、カバー部材4の回転軸心C1、C2に対して略垂直となるように設定しているので、カバー部材4を回転させても木目3w、4wの視覚的な連続性が損なわれ難い。そのため、第1姿勢(P)においても第2姿勢(Q1)、(Q2)においても木目3w、4wの視覚的な連続性を確保することができ、優れた外観を維持することができる。
【0035】
そして、本実施形態では、ベース51が黒色であるので、カバー部材4を第2姿勢(Q1)、(Q2)とした際に環状隙間3sからベース51が目立ちにくく、木目3w、4wをより際立たせることができる。
【0036】
なお、本発明は必ずしも以上説明した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0037】
例えば、前記実施形態では、連通領域が、天板の使用端間に形成された開口により形成されたものであるが、本発明の連通領域には、天板本体の縁に形成された切欠き内の領域や、天板本体の縁に沿って設定された隣接領域等も含まれる。
【0038】
また、天板本体は、平面視長方形のものに限られず、正方形、円形、楕円形等であってもよい。
【0039】
さらに、天板本体の表面、及びカバー部材の表面に形成された木目調の模様は、以上説明した実施形態のような一方向に平行に伸びるものだけでなく、年輪のような同心円状の模様であってもよい。また、木目調の模様は、以上説明した実施形態のような天然木により形成される純粋な木目に限られず、木目に準じた人工的なものであってもよい。人工的な模様は、絵画風のアナログ的なものに限らず、ドットパターンで連続的な流れの方向を表現したデジタル的なもの等であってもよい。さらに、天板本体は木材製のものに限らず、例えば金属板により形成したものであってもよい。その場合、木目調の模様は、ヘアライン加工等により形成したものであってもよい。
【0040】
また、本発明でいう「視覚的に連続する」とは、物理的に連続しているものに限られず、欠損部分を補う脳の補完作用により、隙間等により分断されている木目調の模様があたかも連続しているように認識し得るものを含んでいる。すなわち、本発明には、天板本体の木目調の模様と、カバー部材の木目調の模様とが、物理的には連続していないが連続しているように見える態様も含まれる。
【0041】
なお、前記実施形態では、カバー部材が、2種類の回転軸心を選択的に使用して前向きにも後向きにも回転し得るものである場合について説明したが、必ずしもこのようなものに限定されないのは勿論である。例えば、カバー部材が、1種類の回転軸心回りに回転するものや、一定の回転軸心回りに回転するものではなく、一時的に天板本体から離脱させ、第1姿勢又は第2姿勢に適宜設置しなおすようなものであってもよい。しかしながら、前述した実施形態のように、カバー部材を、2種類の回転軸心を選択的に使用して前向きにも後向きにも回転し得るものとすれば、前後に着座している使用者がこのカバー部材を便利に使用することができる。
【0042】
カバー部材が、周囲に環状隙間を残した状態で前記開口を閉状態とする第1姿勢と、起立して前記開口を開状態とする第2姿勢とを選択的にとり得るものにしておけば、開口の使い勝手を向上させることができる。すなわち、カバー部材を第1姿勢に保持しておけば、カバー部材の表面と天板本体の表面とが面一となり、それらカバー部材及び天板本体の表面に表出させた木目(木目調の模様)が視覚的に連続したものとなる。そのため、カバー体が目立つことがなく、天板面を広く使用することが可能となる。その際、細目のコード類は、カバー部材と天板と本体との間に形成されている環状の隙間を通して天板の裏面側から表面側に引き出しておくこともできる。一方、カバー部材を第2姿勢に起立させると、開口が大きく開放されることになるため、コンセント類や多量のコード類を開口を通して無理なく出し入れすることが可能となり、使い勝手が良好なものとなる。
【0043】
また、第1姿勢と第2姿勢との相対角度は、直角に限られないのも勿論であり、カバー部材の機能や用途に応じて種々変形が可能である。
【0044】
前述した実施形態では、カバー部材が天板本体の中央部に穿設した配線挿通用の開口を開閉する蓋として機能を有するものであったが、カバー部材は、例えば、天板面を拡張するとともに、その拡張した領域の天板面の角度を天板本体に対して相対的に変更できるようにするための天板補助部材としての役割を担うもの等であってもよい。
【0045】
しかして、連通領域は、閉ざされた開口の内側に形成される領域に限定されるものではなく、例えば、天板本体の縁に形成された切欠きの内側に形成される一部開放された領域や、天板本体の一端(例えば、反使用端)に沿って設定された隣接領域等であってもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0047】
T…天板付家具
1…天板
3…天板本体
3a…開口
3b…使用端
3c…(天板本体の)表面
3w…木目調の模様(木目)
4…カバー部材
4a…(カバー部材の)表面
4w…木目調の模様(木目)
C1、C2…回転軸心
d1、d2…木目調の模様の方向(木目の方向)
R…連通領域
(P)…第1姿勢
(Q1)、(Q2)…第2姿勢