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特開2023-111106半導体装置、および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111106
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】半導体装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20230803BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H01L21/90 P
H01L21/88 T
H01L21/60 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012760
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇
(72)【発明者】
【氏名】上田 岳洋
【テーマコード(参考)】
5F033
5F044
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033MM13
5F033RR06
5F033RR08
5F033RR22
5F033SS11
5F033SS15
5F033VV07
5F033XX03
5F044EE01
5F044EE11
(57)【要約】
【課題】チップサイズのシュリンク化を実現する。
【解決手段】半導体装置100は、アルミ層ALと、パッシベーション膜150と、アルミ層ALとパッシベーション膜150の間に配置される保護膜140と、を備える。アルミ層ALには、複数のアルミ領域が形成されている。隣り合うアルミ領域間の隙間1の幅は、保護膜140の厚みの2倍以下である。隙間1は、保護膜140で充填される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ層と、
パッシベーション膜と、
前記アルミ層と、前記パッシベーション膜の間に配置される保護膜と、
を備え、
前記アルミ層には、複数のアルミ領域が形成されており、
隣り合うアルミ領域間の隙間の幅は、前記保護膜の厚みの2倍以下であり、
前記隙間は、前記保護膜で充填される、
半導体装置。
【請求項2】
前記保護膜は、窒化膜または酸化膜である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のアルミ領域は、第1のアルミ電極、第2のアルミ電極、および前記第1のアルミ電極と前記第2のアルミ電極の間に配置されたダミーアルミ領域を含む、
請求項1または2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のアルミ領域は、第1のアルミ電極、第2のアルミ電極、および前記第1のアルミ電極と第2のアルミ電極の間に並べられた複数のダミーアルミ領域を含む、
請求項1または2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のアルミ領域は、隣り合う2つのアルミ電極を含む、
請求項1または2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記アルミ層には、前記複数のアルミ領域の他に、第3のアルミ電極および第4のアルミ電極が形成されており、
前記第3のアルミ電極と第4のアルミ電極の間には、アルミスライド量を考慮した緩衝領域が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
アルミ層を成膜する工程と、
前記アルミ層に複数のアルミ領域を形成する工程と、
前記複数のアルミ領域を形成したアルミ層の上に、隣り合うアルミ領域間の隙間の幅の(1/2)倍以上の厚みの保護膜を成膜する工程と、
前記保護膜の上にパッシベーション膜を成膜する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記保護膜は、窒化膜または酸化膜である、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスの微細化が進み、半導体デバイスに対して要求される性能が上昇している。しかし、半導体デバイス(例えば、パワーディスクリート半導体デバイス)の外周構造(非アクティブセル領域)は、プロセスの更新による寸法の減少が小さい。特に、アルミとアルミの配線間隔は、プロセスの更新に関わらず、アルミスライド量を考慮して比較的広い寸法で設計される。アルミスライドとは、温度の変化を伴う事象(例えば、温度サイクル)において、チップとモールド樹脂の熱膨張係数の違いによる内部応力が発生し、アルミが動く現象である。
【0003】
チップ厚の薄化に伴い、チップ上面のモールド樹脂が厚化するため、モールド樹脂からの応力が増加する可能性がある。したがって、半導体デバイスの外周構造として、応力変化に強い構造が求められている。
【0004】
なお、特許文献1は、アルミパットの近傍にダミーアルミを配し、アルミ間を酸化シリコン膜で被膜する技術を開示している。また、特許文献2には、半導体チップの周辺領域にダミー領域を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015―170778号公報
【特許文献2】特開昭62―174957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
異なる電極間の隙間には、アルミスライド量を考慮して、緩衝領域が設けられる。例えば、温度サイクル試験では、1000サイクル後のアルミスライド量が一定の値以下であることが期待されている。アルミスライド量は、例えば、アルミ配線間の幅の50%以下と規定される。半導体装置のアルミ配線間の間隔は、当該規定を考慮して、比較的広い寸法で設計されている。これにより、チップサイズが大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置は、
アルミ層と、
パッシベーション膜と、
前記アルミ層と、前記パッシベーション膜の間に配置される保護膜と、
を備え、
前記アルミ層には、複数のアルミ領域が形成されており、
隣り合うアルミ領域間の隙間の幅は、前記保護膜の厚みの2倍以下であり、
前記隙間は、前記保護膜で充填される。
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、
アルミ層を成膜する工程と、
前記アルミ層に複数のアルミ領域を形成する工程と、
前記複数のアルミ領域を形成したアルミ層の上に、隣り合うアルミ領域間の隙間の幅の(1/2)倍以上の厚みの保護膜層を成膜する工程と、
前記保護膜層の上にパッシベーション膜を成膜する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、チップサイズのシュリンク化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】関連技術にかかる半導体装置のアルミ層を示す上面図である。
図2】関連技術にかかる半導体装置の構成を示す模式図である。
図3】アルミスライドの概要を説明するための図である。
図4】実施形態1にかかる半導体装置の構成を示す概略図である。
図5】実施形態1の効果を説明するための図である。
図6】実施形態2にかかる半導体装置の構成を示す概略図である。
図7】実施形態3にかかる半導体装置の構成を示す概略図である。
図8】実施形態4にかかる半導体装置の構成を示す概略図である。
図9】スリット数とアルミ電極幅の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本願の発明者が行った検討内容について説明する。図1は、関連技術にかかる半導体装置200(例えば、半導体チップ)のアルミ層AL(アルミ配線層とも称される)の模式上面図である。半導体装置200のアルミ層は、ソースアルミ電極SAおよびゲートアルミ電極GAを備えている。以下では、ソースアルミ電極SAとゲートアルミ電極GAを互いに区別しない場合、単にアルミ電極、またはアルミ配線と称する場合がある。ソースアルミ電極SAとゲートアルミ電極GAの間には、緩衝領域2が設けられている。符号Aは、緩衝領域2の幅を示している。
【0013】
上述の通り、温度サイクル試験では、1000サイクル後のアルミスライド量が一定の値以下であることが期待されている。アルミスライド量は、例えば、アルミ配線間の幅Aの50%以下と規定される。したがって、緩衝領域2の幅Aは、規定を考慮して比較的広い寸法で設計される。アルミスライドを抑止すると同時に、緩衝領域2の寸法を縮小し、チップサイズのシュリンク化を図ることが望まれている。
【0014】
図2は、半導体装置200の断面構造を示す概略図であり、図1のE-E断面図を含んでいる。半導体装置200は、基板110(例えば、シリコン基板)、層間膜120、バリアメタル130、アルミ層AL、および保護膜140、パッシベーション膜150、およびモールド樹脂160を備えている。
【0015】
アルミ層ALには、ゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAが形成されている。各アルミ電極の上面および側面には、保護膜140が成膜されている。関連技術では、保護膜140として、ポリイミド膜が用いられる場合がある。3つの白抜き矢印は、アルミスライド発生時に、内部応力が発生する位置を示している。
【0016】
関連技術では、アルミ電極は、アルミ配線間隔として一定の寸法(幅A)を空けて設計される。ここでは、アルミ配線間隔は、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの間の距離で定義される。
【0017】
図3は、半導体装置200において、アルミスライドが発生した状態(例えば、温度サイクルを実施した後の状態)を示す概略図である。図3では、パッシベーション膜150およびモールド樹脂160の図示を省略している。ゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAの位置がスライドしており、保護膜140が破壊されている。白抜き矢印は、ゲートアルミ電極GAの移動方向を示している。スライド前のゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAの位置を一点鎖線で示している。最悪の場合、アルミスライドによってアルミ電極間がショートしてしまう。
【0018】
アルミスライドとは、チップ(例えば、シリコン基板110)と、モールド樹脂160の熱膨張係数の違いにより、モールド樹脂160からの応力の影響を受けてアルミが変形する現象である。アルミ電極は、外力により容易に変形するため、外部からの応力を支えることはできない。チップ表面の中心部においてアルミ電極が水平に力を受けた場合、その力を支えるのはアルミ電極でなく表面の保護膜140である。アルミ電極の幅が太い場合、構造的に強度が低い保護膜140は破壊され、アルミ電極がスライドする。
【0019】
したがって、アルミスライドを抑止するためには、保護膜140が重要であると考えられる。また、アルミ層ALの表面をフラット化すること、換言すると緩衝領域2およびアルミ電極に対応する凹凸を低減すること、がアルミスライドを抑止するために重要であると考えられる。発明者は、以上の検討に基づき、実施形態にいたる発明に想到した。以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0020】
(実施形態1)
実施形態1にかかる半導体装置100の構成について、図4を用いて説明する。図4は、半導体装置100の構造を示す概略図である。図4に示す半導体装置100は、基板110、層間膜120、バリアメタル130、アルミ層AL、保護膜140、およびパッシベーション膜150を備えている。図4では、上述したモールド樹脂160の図示を省略している。半導体装置100は、例えば、パワーディスクリート半導体装置であってもよい。
【0021】
層間膜120は、基板110(例えば、シリコン基板)上に形成されている。バリアメタル130は、層間膜120上に形成されており、後述するゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA、ソースアルミ電極SAの底面を覆っている。
【0022】
アルミ層ALには、ゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA、およびソースアルミ電極SAが形成されている。ダミーアルミDAは、ダミーアルミ領域とも称される。ダミーアルミDAは、フローティングとすることができる。
【0023】
以下では、ゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA、およびソースアルミ電極SAを互いに区別しない場合、単にアルミ領域と称する。また、ゲートアルミ電極およびソースアルミ電極を互いに区別しない場合、単にアルミ電極と称する場合がある。上述の通り、各アルミ領域の底面は、バリアメタル130で覆われている。なお、実施形態1にかかる半導体装置100は2種類のアルミ電極(第1のアルミ電極、第2のアルミ電極と称される)を備えていればよく、2種類のアルミ電極はゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAには限定されない。
【0024】
ダミーアルミDAは、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの間に配置されている。ダミーアルミDAは、ゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極と隣り合っている。
【0025】
符号1は、アルミ領域間の隙間を示している。ダミーアルミDAとゲートアルミ電極GAの間の隙間1の幅(例えば、2μm以下)は、後述する保護膜140の厚みの2倍以下である。ダミーアルミDAとソースアルミ電極SAの間の隙間1の幅(例えば、2μm以下)は、後述する保護膜140の厚みの2倍以下である。アルミ領域間の隙間1は、アルミスリット構造とも呼ばれる。
【0026】
アルミ領域間の隙間1は、後述する保護膜140で充填されている。ダミーアルミDAは、側面が保護膜140で覆われており、ゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAと電気的に絶縁されている。
【0027】
保護膜140は、アルミ層ALとパッシベーション膜150の間に配置される。保護膜140は、ゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA、およびソースアルミ電極SA上に成膜される。保護膜140の厚みは、隣り合うアルミ領域間(例えば、ゲートアルミ電極GAとダミーアルミDAの間)の隙間1の幅の(1/2)倍以上である。したがって、アルミ領域間の隙間1は、保護膜140によって充填される。保護膜140は、CVD(Chemical Vapor Deposition)によって、等方的に成膜されてもよい。
【0028】
具体的には、保護膜140は、窒化膜であってもよい。窒化膜は、関連技術で用いられるポリイミド膜よりも固く、アルミスライドに対する耐性を向上できる。窒化膜は、パワーMOS(Metal Oxide Semiconductor)で一般的に使用されているシリコン窒化膜(SiN/SiON)であってもよい。なお、絶縁性や硬度の観点から、保護膜140として、窒化膜の代わりに酸化膜(SiO2)が用いられてもよい。
【0029】
なお、特許文献1にも、ダミーアルミを保護膜で被膜することが記載されている。しかし、特許文献1で開示された構造は、半導体装置100の構造とは大きく異なっている。
【0030】
特許文献1では、アルミパットの近傍にダミーアルミを配置し、アルミ間を酸化シリコン膜で被膜している。特許文献1に記載された技術では、HDP-CVD(High Density Plasma-CVD)が用いられ、時間をかけて厚い膜を成膜しているため、コストが高いという問題がある。アルミ層ALが厚い場合(例えば、半導体装置100がパワー半導体である場合)、コストの観点から、このような構造を取りにくい。半導体装置100では、例えば、P-CVD(Plasma-CVD)が用いられ、アルミ領域間を薄い保護膜140で充填できる。保護膜140の厚みは、例えば、アルミ層ALの厚みの(1/4)以下であってもよい。特許文献1には、アルミ領域間の幅と保護膜の厚みの具体的な数値が開示されておらず、アルミ領域間の幅を保護膜140の厚みの2倍以下とすることは開示されていない。
【0031】
図4に戻り説明を続ける。パッシベーション膜150は、保護膜140の上に成膜される。パッシベーション膜150は、例えば、ポリイミドである。パッシベーション膜150の上には、図示しないモールド樹脂160がモールドされる。
【0032】
次に、実施形態1にかかる半導体装置100の製造方法の一例を説明する。まず、層間膜120が設けられた基板110が提供される。なお、製造方法は、基板110に層間膜を成膜する工程を含んでもよい。次に、提供された基板110に、バリアメタル130およびAL層が成膜される。次に、エッチングにより、アルミ層ALに複数のアルミ領域(例えば、ゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA、ソースアルミ電極SA)が形成される。次に、複数のアルミ領域を形成したアルミ層ALの上に、隣り合うアルミ領域間の隙間1の幅の(1/2)倍以上の厚みの保護膜140が成膜される。次に、保護膜140の上にパッシベーション膜150が成膜される。最後に、パッシベーション膜150の上にモールド樹脂160がモールドされる。
【0033】
次に、図5を参照して、実施形態1が奏する効果について説明する。図5の上側は関連技術にかかる半導体装置200の構成を示し、図5の下側は実施形態1にかかる半導体装置100の構成を示している。半導体装置200のアルミ電極GAとアルミ電極SAの間には、アルミスライド量に基づく緩衝領域2が設けられている。半導体装置200がパワーMOS半導体装置である場合、緩衝領域2は十数μm以上(例えば、14μm以上)に設計されるのが通例となっている。ゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAは異なる電位で動作し、電気的に絶縁される必要がある。
【0034】
実施形態1にかかる半導体装置100と、関連技術にかかる半導体装置200とを比較すると、拡散の工程数の増減はなく、製造コストの増減も少ない。ゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA、およびソースアルミ電極SAは、同一工程で成膜され、同一工程でエッチングされる。
【0035】
半導体装置100では、アルミ電極GAとアルミ電極SAの間にダミーアルミDAが配置され、スリット構造(上述した隙間1)には窒化膜(SiO/SiON)などが充填される。スリット構造に充填される窒化膜と、各アルミ領域の上面に成膜される窒化膜は、同一工程で成膜されるため、工程数の増減はない。符号Cは、スリット構造(隙間1)の幅、つまり、アルミ領域間に充填される保護膜140の幅(例えば、2μm以下)を示している。
【0036】
ダミーアルミ領域の幅D(例えば、5μm以下)は、緩衝領域2の幅A(例えば、14μm以上)よりも小さい。これにより、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの間の幅をシュリンクできる。符号Bは、チップのシュリンク幅(例えば、5μm以上)を示している。
【0037】
また、半導体装置100では、アルミ領域間が充填されているため、保護膜140が平坦になっている。図5の白抜き矢印は、応力が発生する位置を示している。実施形態1によると、応力のかかる点の数を減少させ、アルミスライドに対する耐性を向上できる。
【0038】
(実施形態2)
図6は、実施形態2にかかる半導体装置100aの構成を示す概略図である。実施形態2の説明において、実施形態1と同等の構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。なお、図6では、パッシベーション膜150の図示が省略されている。
【0039】
実施形態1と同様に、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAは電気的に絶縁されている。図4に示す半導体装置100はスリット構造(上述した隙間1)を2つ備えていたが、図6に示す半導体装置100aはスリット構造を3つ備えている。スリット構造の数を増やすことで、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの電気的な絶縁性を確保できる場合がある。
【0040】
半導体装置100aは、ゲートアルミ電極GA、ダミーアルミDA1、ダミーアルミDA2、およびソースアルミ電極SAを備えている。以下では、ダミーアルミDA1およびダミーアルミDA2を互いに区別しない場合には、単にダミーアルミDAと称する場合がある。
【0041】
ダミーアルミDA1およびダミーアルミDA2は、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの間に並べられている。ゲートアルミ電極GAとダミーアルミDA1が隣り合い、ダミーアルミDA1とダミーアルミDA2が隣り合い、ダミーアルミDA2とソースアルミ電極DA2が隣り合っている。隣り合うアルミ領域間の隙間1の幅は、保護膜140の厚みの2倍以下である。
【0042】
なお、図6に示す半導体装置100aは2つのダミーアルミDAを含んでいるが、実施形態2にかかる半導体装置は、3つ以上のダミーアルミDAを備えていてもよい。ダミーアルミDAの数が3である場合、スリット構造の数は4であり、ダミーアルミDAの数が4である場合、スリット構造の数は5である。窒化膜や酸化膜がスリット構造に充填される場合、スリット構造の数の増加に応じて、ゲートアルミ電極ALとソースアルミ電極SLの間の絶縁性が向上する。
【0043】
実施形態2にかかる半導体装置も、実施形態1と同様の効果を奏する。実施形態2にかかる半導体装置は、複数のダミーアルミを含み、3つ以上のスリット構造を含んでいることから、アルミ電極間の絶縁性をさらに向上できる。
【0044】
(実施形態3)
図7は、実施形態3にかかる半導体装置100bの構成を示す概略図である。実施形態3の説明において、実施形態1~2と同等の構成要素については実施の形態1~2と同じ符号を付して説明を省略する。なお、図7においても、実施形態2と同様に、パッシベーション膜150の図示を省略している。
【0045】
図7に示す半導体装置100bと図4に示す半導体装置100とを比較すると、ゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAが、アルミ電極EA1およびEA2に置き換わっている。アルミ電極EA1およびEA2の具体例については後述する。また、図7に示す半導体装置100bは、ダミーアルミDAを備えていない。
【0046】
アルミ電極EA1とアルミ電極EA2は隣り合っている。以下では、アルミ電極EA1およびアルミ電極EA2を互いに区別しない場合、単にアルミ電極EAと称する場合がある。
【0047】
アルミ電極EA1とアルミ電極EA2は、互いに同電位で動作する。または、アルミ電極EA1とアルミ電極EA2の電位差は小さい。このような場合、アルミ電極EA1とアルミ電極EA2の間に1つのスリット構造(隙間1)を配置することで、十分絶縁性を確保することができる。
【0048】
実施形態3にかかる半導体装置100bも、実施形態1と同様の効果を奏する。実施形態3において、ダミーアルミDAを形成する必要はない。アルミ電極間の幅は、例えば2μm以下である。
【0049】
最後に、アルミ電極EA1およびEA2の具体例について説明する。例えば、アルミ電極EA1がメインMOSのソース電位と同電位の電極であり、アルミ電極EA2がセンスMOSのソース電位と同電位の電極であってもよい。半導体装置100bに、メインMOSとセンスMOSが混載されているものとする。メインMOSのサイズは大きく、センスMOSはサイズが小さい。ゲート端子およびドレイン端子は両者で共通しており、両者は同じタイミングで動作する。両者のソース電極は独立して駆動されるが、一般的には同電位で駆動される。
【0050】
また、アルミ電極EA1がセンスMOSのセンス端子(電圧検出用端子)に接続するためのアルミ配線であり、アルミ電極EA2がセンスMOSのフォース端子(送電用端子)に接続するためのアルミ配線であってもよい。両者は、センスMOSのソースアルミから分岐してアルミ配線接続されており、同電位である。
【0051】
さらに、アルミ電極EA1がメインMOSのソースケルビン端子に接続するためのアルミ配線であり、アルミ電極EA2がメインMOSのソースアルミ電極であってもよい。ソースケルビン端子とソースアルミ電極はアルミで接続されているため、ほぼ同電位である。
【0052】
なお、電極EA1およびEA2は同電位である必要はない。1箇所のスリット構造により電極EA1と電極EA2の間の絶縁性を確保できる程度に、電極EA1の電位と電極EA2の電位の差が小さければよい。
【0053】
(実施形態4)
図8は、実施形態4にかかる半導体装置100cの概要を示す概略図である。実施形態4の説明において、実施形態1~3と同等の構成要素については実施の形態1~3と同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
上述した実施形態2にかかる半導体装置100aは、緩衝領域2に複数のダミーアルミDAを配置して、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの間の絶縁性を確保する。このとき、追加するダミーアルミDAの数によっては、ゲートアルミ電極GAとソースアルミ電極SAの間の幅A’が、もとの緩衝領域2の幅Aよりも大きくなってしまう。
【0055】
実施形態4にかかる半導体装置100cは、スリット構造(隙間1)を含む部分とスリット構造を含まない部分の両方が混載されたハイブリッド構造を有する。半導体装置100cは、保護膜140の厚みの2倍以下の幅を有する隙間1と、保護膜140の厚みの2倍以上の幅を有する緩衝領域2の両方を備えている。緩衝領域2を挟むゲートアルミ電極GAおよびソースアルミ電極SAは、第3のアルミ電極および第4のアルミ電極とも称される。つまり、第3のアルミ電極と第4のアルミ電極の間には、アルミスライド量を考慮した緩衝領域2が設けられる。
【0056】
図9は、スリット構造の数(スリット数とも称される)と、幅A’の関係を示した表である。図8に示すアルミ領域間の隙間1の幅Cを2μmとし、ダミーアルミDAの幅Dを5μmとする。図9に戻って、スリット構造の数が2である場合、幅A’は9μmである。スリット構造の数が3である場合、幅A’は16μmである。スリット構造の数が4である場合、幅A’は23μmである。スリット構造の数が5である場合、幅A’は30μmである。例えば、関連技術における緩衝領域2の幅Aよりも幅A’が小さい場合にのみ、ダミーアルミDAを設けてもよい。
【0057】
実施形態4にかかる半導体装置100cも、実施形態1と同様の効果を奏する。実施形態4によると、ダミーアルミの数を適切に設定できる。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0059】
半導体装置 100、100a、100b、100c
半導体装置 200
基板 110
層間膜 120
バリアメタル 130
保護膜 140
パッシベーション膜 150
モールド樹脂 160
アルミ層 AL
ゲートアルミ電極 GA
ソースアルミ電極 SA
ダミーアルミ DA、DA1、DA2
アルミ電極 EA1、EA2
隙間 1
緩衝領域 2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9