(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111107
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】モータモジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 7/14 20060101AFI20230803BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20230803BHJP
A43B 3/40 20220101ALI20230803BHJP
A43B 7/06 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
H02K7/14 A
H02K5/22
A43B3/40
A43B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012763
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】関井 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大谷 将寛
【テーマコード(参考)】
4F050
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
4F050DA03
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB19
5H605CC02
5H605EC00
5H605EC01
5H607AA00
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607FF04
5H607JJ04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータモジュールを薄型化する。
【解決手段】モータと、ケーシングと、を備え、ケーシングは、隔壁部を有し、収容空間は、第1収容空間と、第2収容空間と、を有し、隔壁部は、第1収容空間と第2収容空間との軸方向間を仕切るベース部301を有し、ベース部は、配線部4を有し、配線部は、引き出し口41と、引き出し口から延びる案内溝42と、を有し、リード線Leは、引き出し口から引き出されて案内溝に配置され、ケーシングは、テープ部材51と、封止部材52と、を有し、テープ部材は、配線部の少なくとも一部を下方から覆い、封止部材は、配線部とテープ部材とで区画される空間の少なくとも一部に配置される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心に回転するモータと、
収容空間を有するケーシングと、を備え、
前記モータは、リード線を有し、
前記ケーシングは、前記収容空間を複数に区画する隔壁部を有し、
前記収容空間は、
前記モータを収容する第1収容空間と、
前記第1収容空間よりも下方の空間を少なくとも含む第2収容空間と、を有し、
前記隔壁部は、前記第1収容空間と前記第2収容空間との軸方向間を仕切るベース部を有し、
前記ベース部は、配線部を有し、
前記配線部は、
前記ベース部を軸方向に貫通する引き出し口と、
前記ベース部の下面から上方に凹み、前記引き出し口から径方向外方に延びる案内溝と、を有し、
前記リード線は、前記引き出し口から引き出されて前記案内溝に配置されるとともに、前記案内溝に沿って径方向外方に延ばされ、
前記ケーシングは、
テープ部材と、
封止部材と、をさらに有し、
前記テープ部材は、前記ベース部の下面に貼付され、前記配線部の少なくとも一部を下方から覆い、
前記封止部材は、前記配線部と前記テープ部材とで区画される空間の少なくとも一部に配置される、モータモジュール。
【請求項2】
前記モータは、複数の前記リード線を有し、
前記ベース部は、複数の前記配線部を有し、
複数の前記リード線は、それぞれ、互いに異なる前記配線部の前記引き出し口から引き出される、請求項1に記載のモータモジュール。
【請求項3】
前記テープ部材は、単独で、複数の前記配線部のそれぞれの少なくとも一部を下方から覆う、請求項2に記載のモータモジュール。
【請求項4】
前記第2収容空間に収容され、前記モータを制御する基板を備え、
前記基板は、前記リード線が接続される接続箇所を有し、
前記案内溝は、軸方向から見て、前記接続箇所と前記引き出し口とを結ぶ直線に沿って延びる、請求項1~3のいずれか1項に記載のモータモジュール。
【請求項5】
前記第2収容空間は、
前記第1収容空間よりも径方向外方かつ前記ベース部の下面よりも軸方向の位置が上方の空間である上側収容空間と、
前記上側収容空間の下方の空間および前記ベース部の下方の空間を含む下側収容空間と、を有し、
前記基板は、前記上側収容空間に収容される、請求項4に記載のモータモジュール。
【請求項6】
前記案内溝は、前記ベース部のうち径方向外方の端部に終端を有し、前記上側収容空間に繋がり、
前記案内溝の終端は、前記上側収容空間に向かって上方に傾斜する形状を有する、請求項5に記載のモータモジュール。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記基板の上面と接触する位置決め部を前記上側収容空間に有する、請求項5または6に記載のモータモジュール。
【請求項8】
緩衝材を備え、
前記ケーシングは、前記上側収容空間の下方に底部を有し、
前記緩衝材は、前記底部の上面に配置され、前記基板の下面と接触する、請求項7に記載のモータモジュール。
【請求項9】
バッテリーを備え、
前記バッテリーは、前記下側収容空間に配置される、請求項5~8のいずれか1項に記載のモータモジュール。
【請求項10】
前記モータと一体に回転するインペラを備え、
前記ケーシングは、
前記インペラの軸方向にて開口する吸気口と、
前記インペラの径方向外方にて開口する排気口と、を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のモータモジュール。
【請求項11】
上下に延びる中心軸を中心に回転するモータと、
前記モータと一体に回転するインペラと、
前記モータを制御する基板と、
収容空間を有するケーシングと、を備え、
前記ケーシングは、
前記インペラの軸方向にて開口する吸気口と、
前記インペラの径方向外方にて開口する排気口と、を有し、
前記ケーシングは、前記収容空間を複数に区画する隔壁部を有し、
前記収容空間は、
前記モータおよび前記インペラを収容するモータ収容空間と、
前記基板を収容する基板収容空間と、を有し、
前記基板収容空間は、軸方向から見て、前記モータ収容空間の径方向外方に位置する、モータモジュール。
【請求項12】
前記基板収容空間の少なくとも一部は、軸方向から見て、前記排気口の左右端部を通る第1仮想直線と、前記中心軸を挟んで前記排気口側とは反対側において前記第1仮想直線と平行かつ前記隔壁部と接する第2仮想直線と、前記中心軸を挟んで左右それぞれにおいて前記第1仮想直線と垂直かつ前記隔壁部と接する第3仮想直線と、前記隔壁部と、で囲まれるモータ外周空間に設けられ、
前記基板の少なくとも一部は、前記モータ外周空間に配置される、請求項11に記載のモータモジュール。
【請求項13】
前記モータ外周空間は、軸方向から見て、前記中心軸よりも前記排気口側において、前記モータ収容空間に向かって突出する舌部空間を有し、
前記基板は、前記舌部空間に配置される基板舌部を有する、請求項12に記載のモータモジュール。
【請求項14】
前記基板舌部の少なくとも一部は、軸方向から見て、前記舌部空間の内縁に沿った形状を有する、請求項13に記載のモータモジュール。
【請求項15】
前記ケーシングは、前記基板の上面と接触する位置決め部を前記舌部空間に有する、請求項13または14に記載のモータモジュール。
【請求項16】
緩衝材を備え、
前記ケーシングは、前記舌部空間の下方に底部を有し、
前記緩衝材は、前記底部の上面に配置され、前記基板の下面と接触する、請求項15に記載のモータモジュール。
【請求項17】
前記モータは、リード線を有し、
前記基板は、前記リード線が接続される接続箇所を有し、
前記接続箇所の少なくとも一部は、前記基板舌部に配置される、請求項13~16のいずれか1項に記載のモータモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、靴に装着されるファンが知られている。従来のファンは、モータにて動作する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンを構成するモータが大型化すると、靴へのファンの装着が困難になる可能性がある。このため、モータの薄型化が必要である。
【0005】
本発明は、モータモジュールを薄型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータモジュールは、上下に延びる中心軸を中心に回転するモータと、収容空間を有するケーシングと、を備える。モータは、リード線を有する。ケーシングは、収容空間を複数に区画する隔壁部を有する。収容空間は、モータを収容する第1収容空間と、第1収容空間よりも下方の空間を少なくとも含む第2収容空間と、を有する。隔壁部は、第1収容空間と第2収容空間との軸方向間を仕切るベース部を有する。ベース部は、配線部を有する。配線部は、ベース部を軸方向に貫通する引き出し口と、ベース部の下面から上方に凹み、引き出し口から径方向外方に延びる案内溝と、を有する。リード線は、引き出し口から引き出されて案内溝に配置されるとともに、案内溝に沿って径方向外方に延ばされる。ケーシングは、テープ部材と、封止部材と、をさらに有する。テープ部材は、ベース部の下面に貼付され、配線部の少なくとも一部を下方から覆う。封止部材は、配線部とテープ部材とで区画される空間の少なくとも一部に配置される。
【0007】
また、本発明の例示的なモータモジュールは、上下に延びる中心軸を中心に回転するモータと、モータと一体に回転するインペラと、モータを制御する基板と、収容空間を有するケーシングと、を備える。ケーシングは、インペラの軸方向にて開口する吸気口と、インペラの径方向外方にて開口する排気口と、を有する。ケーシングは、収容空間を複数に区画する隔壁部を有する。収容空間は、モータおよびインペラを収容するモータ収容空間と、基板を収容する基板収容空間と、を有する。基板収容空間は、軸方向から見て、モータ収容空間の径方向外方に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的なモータモジュールによれば、モータモジュールを薄型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、例示的な第1実施形態に係るモータモジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、例示的な第1実施形態に係るモータモジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、例示的な第1実施形態に係るモータおよびインペラの断面斜視図である。
【
図4】
図4は、例示的な第1実施形態に係るケーシングの断面斜視図である。
【
図5】
図5は、例示的な第1実施形態に係る収容空間およびそこに収容される各要素を示す断面図である。
【
図6】
図6は、例示的な第1実施形態に係る基板の斜視図である。
【
図7】
図7は、例示的な第1実施形態に係るケース本体を下方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、例示的な第1実施形態に係るケース本体を上方から見た平面図である。
【
図9】
図9は、例示的な第1実施形態に係るケース本体を下方から見た平面図である。
【
図10】
図10は、例示的な第1実施形態に係るケース本体に基板が配置された状態を下方から見た平面図である。
【
図11】
図11は、例示的な第1実施形態に係る底部を下方から見た平面図である。
【
図12】
図12は、例示的な第1実施形態に係るケーシングの内部を下方から見た平面図である。
【
図13】
図13は、例示的な第1実施形態に係るリード線の配線構造を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、例示的な第2実施形態に係るモータモジュールの斜視図である。
【
図15】
図15は、例示的な第2実施形態に係るモータモジュールの分解斜視図である。
【
図16】
図16は、例示的な第2実施形態に係るモータモジュールの断面図である。
【
図17】
図17は、例示的な第2実施形態に係るケーシングの断面斜視図である。
【
図18】
図18は、例示的な第2実施形態に係る基板の斜視図である。
【
図19】
図19は、例示的な第2実施形態に係るケース本体を下方から見た斜視図である。
【
図20】
図20は、例示的な第2実施形態に係るケース本体を上方から見た平面図である。
【
図21】
図21は、例示的な第2実施形態に係るケース本体に基板が配置された状態を下方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
本明細書では、モータ1の中心軸CAが延びる方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向の一方を上方と定義し、軸方向の他方を下方と定義する。ただし、この上下の定義がモータモジュール100の使用時の向きおよび位置関係を限定するものではない。
【0012】
また、本明細書では、中心軸CAを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、径方向のうち、中心軸CAに近づく方向を単に「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向方向を単に「径方向外方」と呼ぶ。さらに、中心軸CAを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書では、各々の構成要素において、上方を向く面を「上面」と呼び、下方を向く面を「下面」と呼ぶ。さらに、各々の構成要素において、径方向内方を向く面を「径方向内側面」と呼び、径方向外方を向く面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0014】
<1-1.第1実施形態の概略構成>
図1は、第1実施形態に係るモータモジュール100の斜視図である。
図2は、第1実施形態に係るモータモジュール100の分解斜視図である。
図3は、第1実施形態に係るモータ1およびインペラ10の断面斜視図である。
【0015】
第1実施形態に係るモータモジュール100は、遠心ファンである。すなわち、モータモジュール100は、送風装置である。
【0016】
たとえば、モータモジュール100は、靴に装着される。そして、モータモジュール100は、駆動して空気を循環させることにより、靴内の空気を靴の外側に排気する。すなわち、モータモジュール100は、靴の中の蒸れを抑制する。なお、モータモジュール100を靴に装着する場合には、モータモジュール100の薄型化が必要である。
【0017】
モータモジュール100は、モータ1を備える。また、モータモジュール100は、インペラ10を備える。モータ1は、上下に延びる中心軸CAを中心に回転する。インペラ10は、モータ1の径方向外方に配置される。インペラ10は、モータ1と一体に回転する。具体的には、インペラ10は、ロータ11と一体に中心軸CA周りに回転する。すなわち、モータ1は、インペラ10を中心軸CA周りに回転させる。
【0018】
モータ1は、ホルダ101を備える。ホルダ101は、中心軸CAを中心とする円筒状である。ホルダ101は、スリーブ軸受102を有する。スリーブ軸受102は、ホルダ101の径方向内方に配置される。
【0019】
モータ1は、ロータ11およびステータ12を備える。ロータ11は、中心軸CAを中心として回転可能である。ステータ12は、ロータ11を中心軸CA周りに回転させる。
【0020】
ロータ11は、有蓋筒状のヨークを有する。ヨークは、ヨーク蓋部111、シャフト部112および筒部113を有する。ヨーク蓋部111は、中心軸CAを中心とする円盤状である。シャフト部112は、ヨーク蓋部111の中心に配置され、中心軸CAに沿って下方に延びる。筒部113は、ヨーク蓋部111の径方向外方の端部から下方に延びる。
【0021】
シャフト部112は、スリーブ軸受102の径方向内方に配置される。スリーブ軸受102は、シャフト部112を回転可能に保持する。筒部113は、径方向内方にマグネット114を有する。マグネット114は、筒部113の径方向内側面に配置される。マグネット114は、円環状の永久磁石である。マグネット114は、N極とS極とを周方向に交互に有する。インペラ10は、筒部113の径方向外側面に固定される。
【0022】
ステータ12は、ステータコア121を有する。ステータコア121は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることによって形成される。ステータコア121は、中心軸CAを中心とする環状である。ステータコア121の径方向内側面は、ホルダ101の径方向外側面に固定される。ステータコア121の径方向外側面は、マグネット114と径方向に対向する。
【0023】
ステータ12は、コイル122を有する。コイル122は、ステータコア121に導線が巻かれることによって形成される。なお、モータ1は、リード線Le(
図13参照)を有する。リード線Leは、ステータ12に接続される。モータ1の駆動電力は、リード線Leを介して、コイル122に供給される。
【0024】
また、モータモジュール100は、基板2を備える。基板2には、スイッチ2Sなどの電子部品が実装される。基板2は、モータ1を制御する。言い換えると、基板2は、インペラ10の回転を制御する。さらに言い換えると、基板2は、モータ1への電力供給を制御する。基板2には、リード線Leが接続される。基板2は、リード線Leを介して、モータ1に接続される。
【0025】
スイッチ2Sのオンオフは、スイッチ2Sが押されることにより切り替わる。スイッチ2Sが押されることにより、モータ1の駆動と駆動停止(すなわち、インペラ10の回転と回転停止)が切り替わる。
【0026】
モータ1の回転速度は、多段階に切り替え可能であってもよい。たとえば、スイッチ2Sを押した回数により、モータ1の回転速度が切り替わってもよい。これにより、スイッチ2Sを押す回数を変えることにより、風量を調整できる。
【0027】
モータモジュール100は、バッテリー400(
図5参照)を備える。バッテリー400は、モータ1に電力を供給する。基板2は、バッテリー400からモータ1への電力供給を制御する。
【0028】
バッテリー400の充電方法は、特に限定されない。たとえば、モータモジュール100は、受電用コイル210(
図11参照)を備える。これにより、送電用コイルを有するワイヤレス充電器(図示せず)を用いることにより、バッテリー400の充電を行うことができる。
【0029】
モータモジュール100は、ケーシング3を備える。ケーシング3は、収容空間30(
図4参照)を有する。収容空間30については、後に詳細に説明する。また、ケーシング3は、ケース本体31、蓋部32および底部33を有する。蓋部32は、ケース本体31の上方に配置され、収容空間30を上方から塞ぐ。底部33は、ケース本体31の下方に配置され、収容空間30を下方から塞ぐ。
【0030】
ケーシング3は、モータ1を収容する。すなわち、ケーシング3は、インペラ10を収容する。また、ケーシング3は、基板2を収容する。さらに、ケーシング3は、バッテリー400を収容する。
【0031】
<1-2.収容空間>
図4は、第1実施形態に係るケーシング3の断面斜視図である。
図4では、ケーシング3の収容空間30における上側収容空間320Uと下側収容空間320Lとの境界を破線で示す。
図5は、第1実施形態に係る収容空間30およびそこに収容される各要素を示す断面図である。
【0032】
ケーシング3は、収容空間30を複数に区画する隔壁部300を有する。収容空間30は、隔壁部300により、複数の空間に区画される。
【0033】
具体的には、収容空間30は、モータ1を収容する第1収容空間310を有する。言い換えると、収容空間30は、モータ1およびインペラ10を収容する第1収容空間310を有する。第1収容空間310は「モータ収容空間」に相当する。以下の説明では、第1収容空間310をモータ収容空間310と呼ぶ。
【0034】
ケーシング3は、インペラ10の軸方向にて開口する吸気口32Aを有する。吸気口32Aは、たとえば、インペラ10の上方にて開口する。吸気口32Aは、蓋部32に形成される。また、ケーシング3は、インペラ10の径方向外方にて開口する排気口31Aを有する。径方向外方から見て、モータ収容空間310の凹部と蓋部32とによって開口が形成され、その開口が排気口31Aとなる。
【0035】
また、収容空間30は、第2収容空間320を有する。第2収容空間320は、モータ収容空間310よりも下方の空間を少なくとも含む。モータ収容空間310と第2収容空間320との軸方向間は、隔壁部300によって区画される。具体的には、隔壁部300は、ベース部301を有する。ベース部301は、モータ収容空間310と第2収容空間320との軸方向間を仕切る。すなわち、ケーシング3は、モータ収容空間310を区画する隔壁部300を有する。
【0036】
ベース部301は、径方向に広がる板状の部分であり、軸方向を板厚方向とする。モータ1およびインペラ10は、ベース部301の上方に配置される。ベース部301は、軸方向に貫通するモータ保持孔MHを有する。ホルダ101は、モータ保持孔MHの径方向内方に配置される。言い換えると、ホルダ101の径方向外側面は、モータ保持孔MHの径方向内側面に固定される。さらに言い換えると、ベース部301は、モータ1を保持する部分である。
【0037】
第2収容空間320は、上側収容空間320Uを有する。上側収容空間320Uは、モータ収容空間310よりも径方向外方かつベース部301の下面よりも軸方向の位置が上方の空間である。また、第2収容空間320は、下側収容空間320Lを有する。下側収容空間320Lは、上側収容空間320Uの下方の空間およびベース部301の下方の空間を含む。
【0038】
モータ収容空間310と上側収容空間320Uとの径方向間は、隔壁部300によって区画される。具体的には、隔壁部300は、縦壁部302を有する。縦壁部302は、ベース部301から上方に立設する。縦壁部302は、モータ収容空間310と上側収容空間320Uとの径方向間を仕切る。これにより、モータ収容空間310は、軸方向から見て、隔壁部300によって区画される。
【0039】
基板2は、第2収容空間320に収容される。具体的には、基板2は、上側収容空間320Uに収容される。下側収容空間320Lには、バッテリー400が配置される。バッテリー400は、下側収容空間320Lのうち、ベース部301の下方に配置される。バッテリー400は、底部33の上面に固定される。
【0040】
基板2を上側収容空間320Uに収容することにより、下側収容空間320Lを広くとることができる。すなわち、バッテリー400を配置する空間を広くとることができる。ここで、バッテリー400は、サイズが大きいほど容量が大きくなる。このため、下側収容空間320Lをバッテリー400の配置空間として使用することにより、バッテリー400の容量を大きくできる。
【0041】
なお、上側収容空間320Uは「基板収容空間」に相当する。以下の説明では、上側収容空間320Uを基板収容空間320Uと呼ぶ。
【0042】
ここで、基板収容空間320Uは、モータ収容空間310の径方向外方の空間である。モータ収容空間310および基板収容空間320Uは、軸方向から見て、隔壁部300を挟んで径方向に並ぶ。言い換えると、収容空間30は、基板2を収容する基板収容空間320Uを有する。そして、基板収容空間320Uは、軸方向から見て、モータ収容空間310の径方向外方に位置する。
【0043】
この構成では、モータ1と基板2とが径方向に並ぶ。モータ1と基板2とを径方向に並ぶように配置することにより、モータ1と基板2とを軸方向に重なるように配置する場合に比べて、ケーシング3の軸方向の幅を小さくできる。その結果、モータモジュール100を薄型化できる。すなわち、モータ1にインペラ10を装着した遠心ファンとして用いられるモータモジュール100を薄型化できる。
【0044】
<1-3.基板の収容位置>
図6は、第1実施形態に係る基板2の斜視図である。
図7は、第1実施形態に係るケース本体31を下方から見た斜視図である。
図8は、第1実施形態に係るケース本体31を上方から見た平面図である。
図8では、インペラ10を図示し、インペラ10が回転することによる空気の流路を矢印CDで示す。矢印CDが指し示す方向に空気が流れる。すなわち、インペラ10は、矢印CDが指し示す方向に回転する。
図9は、第1実施形態に係るケース本体31を下方から見た平面図である。
図10は、第1実施形態に係るケース本体31に基板2が配置された状態を下方から見た平面図である。
図11は、第1実施形態に係る底部33を下方から見た平面図である。
図11では、受電用コイル210を図示する。
【0045】
モータ収容空間310は、空間311を有する。空間311は、インペラ10が回転することによって流れる空気の周方向の流路を含む。すなわち、空間311は、
図8の矢印CDで指し示す流路を含む。また、モータ収容空間310は、空間312を有する。空間312は、空間311から排気口31Aに向かう流路を含む。なお、
図8では、上方から見た場合における空間311と空間312との境界を一点鎖線で示す。
【0046】
ここで、モータ収容空間310を区画する隔壁部300は、舌部303を有する。舌部303は、上方から見て、空間311と空間312との境界に沿って延びる線上に位置する部分であり、モータ収容空間310の内側に突出する部分である。言い換えると、舌部303は、上方から見て、中心軸CAよりも排気口31A側において、インペラ10の外周縁に沿ってモータ収容空間310の内側に向かって突出する部分である。
【0047】
なお、縦壁部302は、上方から見て、インペラ10の外周縁に沿って周方向に曲面状に延びる第1壁部3021と、第1壁部3021のうち左右方向の一方側(
図8では右側)に最も突出した部分から排気口31Aの左右方向の他方側(
図8では左側)の端に延びる第2壁部3022と、を有する。舌部303は、上方から見て、第1壁部3021と第2壁部3022とによって形成される。
【0048】
なお、ケーシング3の外形形状は、軸方向から見て、4面の側面を有する。そして、その4面のうち1面に排気口31Aが形成される。以下の説明では、ケーシング3を軸方向から見た場合の4面の側面のうち、排気口31Aを有する面に平行な方向を左右方向と定義する。
【0049】
また、軸方向から見て、排気口31Aの左右端部を通る直線L1を第1仮想直線と定義する。中心軸CAを挟んで排気口31A側とは反対側において第1仮想直線L1と平行かつ隔壁部300と接する直線L2を第2仮想直線L2と定義する。中心軸CAを挟んで左右それぞれにおいて第1仮想直線L1と垂直かつ隔壁部300と接する直線L3を第3仮想直線と定義する。
図8および
図9では、第1仮想直線L1、第2仮想直線L2および第3仮想直線L3をそれぞれ二点鎖線で示す。
【0050】
基板収容空間320Uは、軸方向から見て、第2仮想直線L2に対して排気口31A側とは反対側の空間である反排気側空間321を有する。なお、反排気側空間321は、軸方向から見て、矩形状(略矩形状を含む)である。
【0051】
さらに、基板収容空間320Uの少なくとも一部は、軸方向から見て、第1仮想直線L1と、第2仮想直線L2と、第3仮想直線L3と、隔壁部300と、で囲まれるモータ外周空間322に設けられる。基板2の少なくとも一部は、モータ外周空間322に配置される。なお、
図8では、軸方向から見て、第1仮想直線L1と、第2仮想直線L2と、第3仮想直線L3と、隔壁部300と、で囲まれる空間に破線のハッチングを付す。
【0052】
基板2は、軸方向から見て、矩形状(略矩形状を含む)のメイン部分21と、メイン部分21から突出する突出部分22と、を有する。メイン部分21は、反排気側空間321に配置され、突出部分22は、モータ外周空間322に配置される。これにより、モータ外周空間322を有効利用できる。言い換えると、モータモジュール100を大型化することなく、基板2の実装面積を増大できる。
【0053】
スイッチ2Sは、メイン部分21に実装される。スイッチ2Sへの外部からの操作を可能とするため、ケーシング3は、操作窓3101を有する。操作窓3101は、ケース本体31に形成され、反排気側空間321から外部に向けて開口する。スイッチ2Sのうち押される部分は、操作窓3101に配置される。これにより、操作窓3101を介して、スイッチ2Sを操作できる。なお、操作窓3101は、ラバー製のスイッチカバー3102(
図1および
図2参照)で覆われる。これにより、ケーシング3の内部への水分および塵埃などの侵入を抑制できる。
【0054】
また、基板2は、モータ1のリード線Leが接続される接続箇所200を有する。接続箇所200は、基板2の下面に配置される。
図6では、基板2の下面が不図示である。このため、基板2の上面のうち接続箇所200と軸方向に重なる箇所を破線で囲み、接続箇所200の位置を明確にする。
【0055】
基板2は、軸方向に位置決めされる。具体的には、ケーシング3は、基板2の上面と接触する位置決め部34を基板収容空間320Uに有する。これにより、基板2の上面に実装される電子部品がケーシング3に接触することを抑制できる。ここで、ケーシング3に対する基板2の装着工程では、ケース本体31の下面を上向きにして基板2の装着が行われる。このとき、基板2を位置決め部34に載せるだけで、基板2の軸方向の位置決めを行うことができる。これにより、ケーシング3に対する基板2の装着が容易になる。
【0056】
また、モータモジュール100は、緩衝材40(
図5参照)を備える。たとえば、スポンジなどの弾性材を緩衝材40として使用できる。ここで、ケーシング3は、基板収容空間320Uの下方に底部33を有する。そして、緩衝材40は、底部33の上面に配置され、基板2の下面と接触する。すなわち、緩衝材40は、基板2と底部33との軸方向間に挟まれる。これにより、基板2が位置決め部34に接触した状態で保持されるので、基板2の軸方向への位置ずれを確実に抑制できる。また、基板2に対する軸方向の衝撃を緩衝できる。
【0057】
なお、モータ外周空間322は、舌部空間323を有する。舌部空間323は、軸方向から見て、中心軸CAよりも排気口31A側において、モータ収容空間310に向かって突出する空間である。舌部空間323は、舌部303の裏面側に位置する空間であり、舌部303の形状を反映した形状を有する。すなわち、舌部空間323は、軸方向から見て、中心軸CAよりも排気口31A側において、左右方向の一方側(
図9では右側)の第3仮想直線L3と、第1壁部3021と、第2壁部3022と、で囲まれた空間である。
【0058】
舌部空間323には、基板2が配置されない。ただし、これに限定されない。基板2の少なくとも一部が舌部空間323に配置されてもよい。また、基板2の少なくとも一部を舌部空間323に配置する場合、基板2のうち舌部空間323に配置される部分がメイン部分21と分離されてもよい。
【0059】
また、底部33のうち基板収容空間320Uを塞ぐ部分は、通し孔331を有する。通し孔331は、底部33を軸方向に貫通する。また、底部33の下面には、受電用コイル210が配置される。受電用コイル210から延びるコイル用リード線(図示せず)は、通し孔331を通され、基板2に接続される。受電用コイル210が配置される底部33の下面は、不図示のカバーで覆われる。
【0060】
<1-4.リード線の配線>
図12は、第1実施形態に係るケーシング3の内部を下方から見た平面図である。
図13は、第1実施形態に係るリード線Leの配線構造を模式的に示す断面図である。
【0061】
モータ1のリード線Leは、モータ収容空間310から基板収容空間320Uに引き出される。そして、リード線Leは、基板2に接続される。リード線Leを引き出すため、ケーシング3は、ベース部301に配線部4を有する。すなわち、ベース部301は、配線部4を有する。
【0062】
配線部4は、リード線Leの配線に使用される。ここで、モータ1は、U相、V相およびW相の各相のリード線Leを有する。すなわち、モータ1は、複数(3つ)のリード線Leを有する。
【0063】
3つのリード線Leは、モータ1から別個に引き出される。このため、ベース部301は、各相の配線部4を有する。すなわち、ベース部301は、複数(3つ)の配線部4を有する。3つの配線部4の各構造は、互いに同じである。このため、以下では、或る相の配線部4に着目して構造を説明し、他の相の配線部4については構造説明を省略する。
【0064】
配線部4は、引き出し口41を有する。引き出し口41は、ベース部301を軸方向に貫通する。引き出し口41の開口形状は、特に限定されない。引き出し口41の開口形状は、たとえば、円形状である。
【0065】
配線部4は、案内溝42を有する。案内溝42は、ベース部301の下面から上方に凹む。案内溝42は、矩形状(略矩形状を含む)に凹んでもよいし、弧状に凹んでもよい。また、案内溝42は、引き出し口41から径方向外方に延びる。以下の説明では、案内溝42のうち引き出し口41側の端部を始端と定義する。
【0066】
ここで、案内溝42は、基板収容空間320Uに向かって延び、基板収容空間320Uに臨む。すなわち、案内溝42は、ベース部301のうち径方向外方の端部に終端420を有し、基板収容空間320Uに繋がる。
【0067】
リード線Leは、引き出し口41から引き出される。リード線Leは、引き出し口41を通され、ベース部301の上方から下方に延びる。言い換えると、リード線Leの一部は、引き出し口41に配置される。
【0068】
また、リード線Leは、案内溝42に配置されるとともに、案内溝42に沿って径方向外方に延ばされる。なお、案内溝42の終端420は、基板収容空間320Uに繋がる。このため、リード線Leを案内溝42に沿って径方向外方に延ばすことにより、容易に、リード線Leを基板収容空間320Uに引き出すことができる。すなわち、容易に、リード線Leを基板2に接続できる。
【0069】
ここで、ケーシング3は、テープ部材51と、封止部材52と、をさらに有する。テープ部材51として、たとえば、PETを基材とする絶縁テープを用いることができる。封止部材52は、たとえば、樹脂系の材料である。
【0070】
テープ部材51は、ベース部301の下面に貼付される。これにより、テープ部材51は、配線部4の少なくとも一部を下方から覆う。テープ部材51は、下方から見て、引き出し口41の全域を覆う。また、テープ部材51は、下方から見て、案内溝42の全域を覆う。
【0071】
そして、封止部材52は、配線部4とテープ部材51とで区画される空間の少なくとも一部に配置される。具体的には、ベース部301の下面にテープ部材51を貼付した状態で、配線部4とテープ部材51とで区画される空間に対し、封止部材52の構成材料が充填される。これにより、配線部4とテープ部材51とで区画される空間の少なくとも一部に封止部材52が配置された状態となる。
【0072】
この構成では、下側収容空間320Lからモータ収容空間310への水分および塵埃などの侵入を抑制できる。また、モータ収容空間310から下側収容空間320Lへの水分および塵埃などの侵入を抑制できる。
【0073】
また、ベース部301の下面にテープ部材51を貼付して配線部4の少なくとも一部をテープ部材51で下方から覆う構成では、封止部材52の構成材料を充填するとき、封止部材52の構成材料の充填領域がテープ部材51で規制される。言い換えると、封止部材52の構成材料がテープ部材51の下面よりも下方にはみ出ることを抑制できる。さらに言い換えると、ベース部301の下方の空間である下側収容空間320Lに向かって封止部材52が突出した状態になることを抑制できる。
【0074】
これにより、下側収容空間320Lを軸方向に広げなくても、下側収容空間320Lに収容する要素が封止部材52に接触することを抑制できる。その結果、モータモジュール100の軸方向の幅を小さくできる。すなわち、モータモジュール100の薄型化を図ることができる。また、モータ1にインペラ10を装着した遠心ファンとして用いられるモータモジュール100を薄型化できる。
【0075】
なお、この構成では、下側収容空間320Lに向かって封止部材52が突出することを抑制できるので、下側収容空間320Lを有効利用できる。ここで、下側収容空間320Lには、バッテリー400が収容される。下側収容空間320Lにバッテリー400を収容する場合、バッテリー400のサイズを小さくしなくても、バッテリー400と封止部材52との接触を抑制できる。なお、バッテリー400は、サイズが大きいほど容量が大きくなる。これにより、1回の充電に対する稼働時間をより向上させたモータモジュール100を提供できる。
【0076】
また、複数(3つ)のリード線Leは、それぞれ、互いに異なる配線部4の引き出し口41から引き出される。すなわち、各相のリード線Leは、互いに異なる配線部4の引き出し口41から引き出される。そして、各相のリード線Leは、互いに異なる配線部4の案内溝42に配置される。各相のリード線Leは、互いに異なる配線部4の案内溝42に沿って径方向外方に延ばされ、基板収容空間320Uに達する。
【0077】
これにより、複数(各相)のリード線Leが互いに接触することを抑制できる。また、複数(各相)のリード線Leを互いに異なる引き出し口41から引き出すことにより、配線ミスを抑制できる。
【0078】
また、ベース部301の下面へのテープ部材51の貼付枚数は1枚である。言い換えると、1枚のテープ部材51が複数の配線部4で共用される。さらに言い換えると、テープ部材51は、単独で、複数の配線部4のそれぞれの少なくとも一部を下方から覆う。これにより、1つのモータモジュール100に対してテープ部材51を複数用意する必要がないので、1つのモータモジュール100に対する部品点数を削減できる。
【0079】
ここで、モータ1から延びるリード線Leを最短経路で基板収容空間320Uに引き出すことができれば、リード線Leの配線スペースを大きくとる必要がない。そこで、案内溝42は、軸方向から見て、基板2の接続箇所200と引き出し口41とを結ぶ直線に沿って延びる。言い換えると、案内溝42は、軸方向から見て、引き出し口41から径方向外方に直線状に延びる。これにより、リード線Leを基板2の接続箇所200まで最短経路で案内できる。その結果、リード線Leを短くできる。また、リード線Leが短いことにより、リード線Leの配線作業が容易になる。
【0080】
なお、基板2は、突出部分22に接続箇所200を有する。突出部分22は、モータ外周空間322に配置される。すなわち、接続箇所200は、モータ外周空間322に配置される。この構成では、案内溝42は、軸方向から見て、引き出し口41からモータ外周空間322に向かって直線状に延びる。接続箇所200をモータ外周空間322に配置することにより、基板2のうち反排気側空間321に配置されるメイン部分21を有効利用できる。
【0081】
また、案内溝42の終端420は、基板収容空間320Uに向かって上方に傾斜する形状を有する。終端420の傾斜形状は、特に限定されない。終端420は、曲線状に傾斜してもよいし直線状に傾斜してもよい。これにより、案内溝42の終端420に先鋭的なエッジが無くなるので、リード線Leを先鋭的なエッジに接触させることなく案内溝42から基板収容空間320Uに引き出すことができる。
【0082】
<2-1.第2実施形態の概略構成>
図14は、第2実施形態に係るモータモジュール1001の斜視図である。なお、
図14では、モータモジュール1001に装着される操作ユニット1002も図示する。
図15は、第2実施形態に係るモータモジュール1001の分解斜視図である。
図16は、第2実施形態に係るモータモジュール1001の断面図である。
【0083】
第2実施形態に係るモータモジュール1001は、第1実施形態と同様、遠心ファンである。すなわち、モータモジュール1001は、送風装置である。
【0084】
たとえば、モータモジュール1001は、衣服に装着される。そして、モータモジュール1001は、駆動して空気を循環させることにより、衣服内の空気を衣服の外側に排気する。これにより、衣服内の熱を衣服の外側に逃がすことができる。なお、モータモジュール1001を衣服に装着する場合には、衣服のデザインを損なわないようにするため、モータモジュール1001の薄型化が必要である。
【0085】
第2実施形態に係るモータモジュール1001は、第1実施形態と同様のモータ1およびインペラ10を備える。第2実施形態のモータ1およびインペラ10の詳細な説明については、第1実施形態のモータ1およびインペラ10の説明を援用するものとして省略する。
【0086】
モータモジュール1001は、基板6を備える。また、モータモジュール1001は、FPC90を備える。FPC90は、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits)である。基板6は、モータ1を制御する。FPC90は、スイッチ6Sなどの電子部品を有する。第2実施形態のスイッチ6Sは第1実施形態のスイッチ2Sと同様の機能を有するため、その詳細な説明については、第1実施形態のスイッチ2Sの説明を援用するものとして省略する。
【0087】
基板6は、スイッチ6Sのオンオフに基づき、モータ1の駆動と駆動停止(すなわち、インペラ10の回転と回転停止)を切り替える。このため、基板6は、FPC90と接続される。
【0088】
モータモジュール1001は、バッテリー800を備える。バッテリー800は、モータ1に電力を供給する。基板6は、バッテリー800からモータ1への電力供給を制御する。
【0089】
また、モータモジュール1001は、ケーシング7を備える。ケーシング7は、収容空間70を有する。収容空間70については、後に詳細に説明する。ケーシング7は、ケース本体71、蓋部72および底部73を有する。蓋部72は、ケース本体71の上方に配置され、収容空間70を上方から塞ぐ。底部73は、ケース本体71の下方に配置され、収容空間70を下方から塞ぐ。
【0090】
ケーシング7は、モータ1を収容する。すなわち、ケーシング7は、インペラ10を収容する。また、ケーシング7は、基板6を収容する。さらに、ケーシング7は、バッテリー800を収容する。
【0091】
ここで、FPC90は、蓋部72の上面に配置される。そして、スイッチ6Sは、上方から下方に押されることによってオンオフを切り替える。そこで、蓋部72の上方に操作ユニット1002が配置される。操作ユニット1002は、上方から押されることによって下方に移動するボタンBを有する。スイッチ6Sは、ボタンBの下面と接触可能な位置に配置される。スイッチ6Sは、ボタンBが押されることにより、ボタンBの下面と接触する。スイッチ6Sは、ボタンBが押されることにより、下方に押し込まれ、オンオフを切り替える。
【0092】
<2-2.収容空間>
図17は、第2実施形態に係るケーシング7の断面斜視図である。
図17では、ケーシング7の収容空間70における上側収容空間720Uと下側収容空間720Lとの境界を破線で示す。
【0093】
ケーシング7は、収容空間70を複数に区画する隔壁部700を有する。収容空間70は、隔壁部700により、複数の空間に区画される。
【0094】
具体的には、収容空間70は、モータ1を収容する第1収容空間710を有する。言い換えると、ケーシング7は、モータ1およびインペラ10を収容する第1収容空間710を有する。第1収容空間710は「モータ収容空間」に相当する。以下の説明では、第1収容空間710をモータ収容空間710と呼ぶ。
【0095】
ケーシング7は、インペラ10の軸方向にて開口する吸気口72Aを有する。吸気口72Aは、たとえば、インペラ10の上方にて開口する。吸気口72Aは、蓋部72に形成される。また、ケーシング7は、インペラ10の径方向外方にて開口する排気口71Aを有する。径方向外方から見て、モータ収容空間710の凹部と蓋部72とによって開口が形成され、その開口が排気口71Aとなる。
【0096】
また、収容空間70は、第2収容空間720を有する。第2収容空間720は、モータ収容空間710よりも下方の空間を少なくとも含む。モータ収容空間710と第2収容空間720との軸方向間は、隔壁部700によって区画される。具体的には、隔壁部700は、ベース部701を有する。ベース部701は、モータ収容空間710と第2収容空間720との軸方向間を仕切る。すなわち、ケーシング7は、モータ収容空間710を区画する隔壁部700を有する。
【0097】
第2実施形態のベース部701は、第1実施形態のベース部301と同様、モータ保持孔MHを有する。第2実施形態のベース部701の詳細説明については、第1実施形態のベース部701の説明を援用するものとして省略する。
【0098】
第2収容空間720は、上側収容空間720Uを有する。上側収容空間720Uは、モータ収容空間710よりも径方向外方の空間であってベース部701の下面よりも軸方向の位置が上方の空間である。また、第2収容空間720は、下側収容空間720Lを有する。下側収容空間720Lは、上側収容空間720Uの下方の空間およびベース部701の下方の空間を含む。
【0099】
モータ収容空間710と上側収容空間720Uとの径方向間は、隔壁部700によって区画される。具体的には、隔壁部700は、縦壁部702を有する。縦壁部702は、ベース部701から上方に立設する。縦壁部702は、モータ収容空間710と上側収容空間720Uとの径方向間を仕切る。これにより、モータ収容空間710は、軸方向から見て、隔壁部700によって区画される。
【0100】
基板6は、第2収容空間720に収容される。具体的には、基板6は、上側収容空間720Uに収容される。下側収容空間720Lには、バッテリー800が配置される。バッテリー800は、下側収容空間720Lのうち、ベース部701の下方に配置される。バッテリー800は、底部73の上面に固定される。第2実施形態では、バッテリー800が下側収容空間720Lに収容されることにより、第1実施形態と同様、バッテリー800の容量を大きくできるという効果が得られる。
【0101】
なお、上側収容空間720Uは「基板収容空間」に相当する。以下の説明では、上側収容空間720Uを基板収容空間720Uと呼ぶ。
【0102】
ここで、基板収容空間720Uは、モータ収容空間710の径方向外方の空間である。モータ収容空間710および基板収容空間720Uは、軸方向から見て、隔壁部700を挟んで径方向に並ぶ。言い換えると、収容空間70は、基板6を収容する基板収容空間720Uを有する。そして、基板収容空間720Uは、軸方向から見て、モータ収容空間710の径方向外方に位置する。
【0103】
これにより、第2実施形態では、モータ1と基板2とが径方向に並ぶので、第1実施形態と同様、モータモジュール1001を薄型化できるという効果が得られる。すなわち、モータ1にインペラ10を装着した遠心ファンとして用いられるモータモジュール1001を薄型化できる。
【0104】
<2-3.基板の収容位置>
図18は、第2実施形態に係る基板6の斜視図である。
図19は、第2実施形態に係るケース本体71を下方から見た斜視図である。
図20は、第2実施形態に係るケース本体31を上方から見た平面図である。
図20では、インペラ10の外周縁を円形状の破線で示し、インペラ10が回転することによる空気の流路を矢印CDで示す。矢印CDが指し示す方向に空気が流れる。すなわち、インペラ10は、矢印CDが指し示す方向に回転する。
図21は、第2実施形態に係るケース本体71に基板6が配置された状態を下方から見た平面図である。
【0105】
モータ収容空間710は、空間711および712を有する。第2実施形態の空間711および722は、それぞれ、第1実施形態の空間311および312に相当する。したがって、第2実施形態の空間711および712の説明については、第1実施形態の空間311および312の説明を援用するものとして省略する。なお、
図20では、上方から見た場合における空間711と空間712との境界を一点鎖線で示す。
【0106】
モータ収容空間710を区画する隔壁部700は、舌部703を有する。第2実施形態の舌部703は、第1実施形態の舌部303に相当する。また、第2実施形態の第1壁部7021および第2壁部7022は、それぞれ、第1実施形態の第1壁部3021および第2壁部3022に相当する。第2実施形態の舌部703は、第1実施形態の舌部303と同様、上方から見て、第1壁部7021と第2壁部7022とによって形成される。第2実施形態の舌部703の詳細な説明については、第1実施形態の舌部303の説明を援用するものとして省略する。
【0107】
なお、ケーシング7の外形形状は、軸方向から見て、4面の側面を有する。そして、その4面のうち1面に排気口71Aが形成される。以下の説明では、ケーシング7を軸方向から見た場合の4面の側面のうち、排気口71Aを有する面に平行な方向を左右方向と定義する。
【0108】
また、軸方向から見て、排気口71Aの左右端部を通る直線L1を第1仮想直線と定義する。中心軸CAを挟んで排気口71A側とは反対側において第1仮想直線L1と平行かつ隔壁部700と接する直線L2を第2仮想直線L2と定義する。中心軸CAを挟んで左右それぞれにおいて第1仮想直線L1と垂直かつ隔壁部700と接する直線L3を第3仮想直線と定義する。
図20および
図21では、第1仮想直線L1、第2仮想直線L2および第3仮想直線L3をそれぞれ二点鎖線で示す。
【0109】
基板収容空間720Uの少なくとも一部は、軸方向から見て、第1仮想直線L1と、第2仮想直線L2と、第3仮想直線L3と、隔壁部700と、で囲まれるモータ外周空間722に設けられる。基板6の少なくとも一部は、モータ外周空間722に配置される。これにより、モータ外周空間722を有効利用できる。言い換えると、モータモジュール1001を大型化することなく、基板6の実装面積を増大できる。なお、
図20では、軸方向から見て、第1仮想直線L1と、第2仮想直線L2と、第3仮想直線L3と、隔壁部700と、で囲まれる空間に破線のハッチングを付す。
【0110】
ここで、モータ外周空間722は、舌部空間723を有する。舌部空間723は、軸方向から見て、中心軸CAよりも排気口71A側において、モータ収容空間710に向かって突出する空間である。舌部空間723は、舌部703の裏面側に位置する空間であり、舌部703の形状を反映した形状を有する。
【0111】
そして、基板6は、舌部空間723に配置される基板舌部60を有する。基板6は、メイン部分61から舌部空間723に突出した部分を基板舌部60として有する。基板6の一部(すなわち、基板舌部60)を舌部空間723に配置することにより、基板6の実装面積を増大させることができる。
【0112】
また、基板舌部60の少なくとも一部は、軸方向から見て、舌部空間723の内縁に沿った形状を有する。これにより、基板舌部60を大きくとることができる。すなわち、基板6の実装面積をより増大させることができる。なお、舌部空間723の内縁に沿った形状とは、必ずしも舌部空間723の内縁と厳密に平行に沿う形状のみを指さない。たとえば、軸方向から見て、舌部空間723の曲線形状の個所については、その曲線形状の個所の接線に平行であってもよい。
【0113】
基板舌部60は、基板6の軸方向の位置決めに利用される。具体的には、ケーシング7は、基板6の上面と接触する位置決め部74を舌部空間723に有する。この構成では、位置決め部74は基板舌部60に接触する。これにより、基板6のうち基板舌部60とは別の部分を有効利用できる。位置決め部74は、基板収容空間720Uの他の個所にも配置されてもよい。
【0114】
なお、モータモジュール1001は、緩衝材80(
図16参照)を備える。ケーシング7は、舌部空間723の下方に底部73を有する。そして、緩衝材80は、底部73の上面に配置され、基板6の下面と接触する。これにより、基板舌部60が位置決め部74に接触した状態で保持されるので、基板6の軸方向への位置ずれを確実に抑制できる。基板6に対する軸方向の衝撃を緩衝することもできる。
【0115】
<2-4.リード線の配線>
ベース部701は、配線部8を有する。配線部8は、ベース部701を軸方向に貫通する引き出し口81と、ベース部701の下面から上方に凹み、引き出し口81から径方向外方に延びる案内溝82と、を有する。モータ1のリード線Leは、引き出し口81から引き出されて案内溝82に配置されるとともに、案内溝82に沿って径方向外方に延ばされる。
【0116】
第2実施形態の配線部8は、第1実施形態の配線部4と同様の構造を有する。したがって、第2実施形態の配線部8の詳細な説明については、第1実施形態の配線部4の説明を援用するものとして省略する。
【0117】
基板6は、リード線Leが接続される接続箇所600を有する。基板6のうち下面に接続箇所600が配置される。リード線Leは、基板収容空間720Uに引き出され、接続箇所600に接続される。
図18では、基板6の下面が不図示である。このため、基板6上面のうち接続箇所600と軸方向に重なる箇所を破線で囲み、接続箇所600の位置を明確にする。
【0118】
ここで、接続箇所600の少なくとも一部は、基板舌部60に配置される。このため、少なくとも1つの案内溝82は、引き出し口81から基板舌部60に向かって直線状に延びる。接続箇所600の少なくとも一部を基板舌部60に配置することにより、基板6のうち基板舌部60とは別の部分を有効利用できる。
【0119】
なお、図示しないが、第2実施形態のケーシング7は、第1実施形態のケーシング3と同様、テープ部材51と、封止部材52と、をさらに有する。テープ部材51は、ベース部701の下面に貼付される。これにより、テープ部材51は、配線部4の少なくとも一部を下方から覆う。そして、封止部材52は、配線部8とテープ部材51とで区画される空間の少なくとも一部に配置される。
【0120】
これにより、第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、下側収容空間720Lからモータ収容空間710への水分および塵埃などの侵入を抑制できる。また、モータ収容空間710から下側収容空間720Lへの水分および塵埃などの侵入を抑制できる。
【0121】
また、ベース部701の下方の空間である下側収容空間720Lに向かって封止部材52が突出した状態になることを抑制できるので、下側収容空間720Lを軸方向に広げなくても、下側収容空間720Lに収容する要素が封止部材52に接触することを抑制できる。その結果、モータモジュール1001の軸方向の幅を小さくできる。すなわち、モータモジュール1001の薄型化を図ることができる。また、モータ1にインペラ10を装着した遠心ファンとして用いられるモータモジュール1001を薄型化できる。
【0122】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、たとえば、靴および衣服などに装着される遠心ファンに利用できる。
【符号の説明】
【0124】
1 モータ
2、6 基板
3、7 ケーシング
4、8 配線部
10 インペラ
30、70 収容空間
31A、71a 排気口
32A、72A 吸気口
33、73 底部
34、74 位置決め部
40、80 緩衝材
41、81 引き出し口
42、82 案内溝
51 テープ部材
52 封止部材
60 基板舌部
90 FPC
100、1001 モータモジュール
200、600 接続箇所
300、700 隔壁部
301、701 ベース部
310、710 モータ収容空間(第1収容空間)
320、720 第2収容空間
320L、720L 下側収容空間
320U、720U 基板収容空間(上側収容空間)
322、722 モータ外周空間
323、723 舌部空間
400、800 バッテリー
420 終端
CA 中心軸
L1 第1仮想直線
L2 第2仮想直線
L3 第3仮想直線
Le リード線