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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111148
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20230803BHJP
   A63B 53/06 20150101ALI20230803BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20230803BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B53/06 B
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012837
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】515185924
【氏名又は名称】株式会社プロギア
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】中原 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】梅野 祐介
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH02
2C002CH06
2C002KK06
2C002LL01
2C002MM02
2C002MM04
(57)【要約】
【課題】ウエイトの位置を移動させて弾道調整を行なうことができると共に、コストの低減を図りつつ耐久性の向上を図る有利なゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】ソール面18Aに形成した案内溝32を、第1凹部38と第2凹部40と連通溝42とで構成し、ウエイト36を第1凹部38の延在方向に移動可能にかつ回転不能に設けると共に、ねじ部材34の頭部46を第2凹部40に移動可能にかつ回転可能に設け、ねじ部材34の雄ねじ4802をウエイト36の雌ねじ3606に螺合させることでウエイト36を第1凹部38内に固定するようにした。部品点数がウエイト36とねじ部材34との2点で足りるため、部品コストの低減を図ると共に、部品の間に生じるガタを低減できるため耐久性の向上を図る上で有利となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空部であるヘッド本体を有するゴルフクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体のソール面に設けられた案内溝と前記案内溝に配置されるねじ部材とウエイトとを備え、
前記案内溝は、前記ソール面に開放状で前記ソール面に沿って延在する第1凹部と、前記第1凹部よりも前記ソール面から離れた箇所に前記第1凹部と切り離されて設けられ前記第1凹部に沿って延在する第2凹部と、前記第1凹部に沿って延在し前記第1凹部と第2凹部とを連通する連通溝とを備え、
前記ねじ部材は、前記第2凹部内で回転可能かつ前記第1凹部側に移動不能で前記第2凹部の延在方向に移動可能に配置された頭部と、前記頭部から突出し前記連通溝を通って前記第2凹部内に位置し前記連通溝の延在方向に移動可能に配置され前記第2凹部内に位置する箇所に雄ねじが形成されると共にその先端部に回転操作用の操作部が形成された軸部とを備え、
前記ウエイトは、前記雄ねじに螺合される雌ねじが貫通形成され前記第1凹部内に回転不能で前記第1凹部の延在方向に移動可能に設けられている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記ソール面から最も離れた底部を有し、
前記第2凹部は、前記第1凹部に最も近づいた頂部を有し、
前記連通溝は、前記第1凹部の底部と前記第2凹部の頂部とにわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1凹部と前記第2凹部は、それらの延在方向と直交する方向の幅をそれぞれ有し、
前記第1凹部は、前記第1凹部の幅方向の両側から前記連通溝に近づくにつれて前記ソール面から次第に離れる一対の上傾斜面で形成され、
前記第1凹部に近づいた前記第2凹部の箇所は、前記第2凹部の幅方向の両側から前記連通溝に近づくにつれて前記ソール面に次第に近づく一対の下傾斜面で形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ウエイトは、前記ねじ部材により前記第1凹部に取り付けられた状態で、前記ヘッド本体の外側を向き前記第1凹部の幅方向において互いに対向する一対の一辺を有し前記雌ねじが開口する外面と、前記各一辺から離れるにつれて前記雌ねじに次第に近づき前記上傾斜面に当接可能な傾斜面からなる一対のウエイト側当接面とを備えている、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記一対のウエイト側当接面に第1係合部が設けられ、
前記一対の上傾斜面に前記第1係合部と係脱可能に係合する第2係合部が前記第1凹部の延在方向に等間隔をおいて複数個設けられている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ウエイトは、前記ねじ部材により前記第1凹部に取り付けられた状態で、前記ヘッド本体の内部に向き前記雌ねじが開口する内面を有し、
前記内面に、前記連通溝の延在方向に移動可能に挿入されウエイトの回転を阻止する挿入壁部が設けられている。
ことを特徴とする請求項4または5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1凹部の幅は前記第2凹部の幅よりも大きい寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項3から6の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記連通溝は、前記第1凹部と前記第2凹部の幅方向の中間部に設けられている、
ことを特徴とする請求項3から7の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記第1凹部の幅方向の中央部と前記第2凹部の幅方向の中央部とはほぼ一致しており、
前記連通溝は、前記第1凹部と前記第2凹部の幅方向の中央部に設けられている、
ことを特徴とする請求項3から8の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記第2凹部は前記連通溝に対向する底面を有し、
前記底面は、その幅方向の中央に位置する中央部と、前記中央部の両側に位置する両側部とを備え、
前記中央部は、前記両側部よりも前記ソール面から離間する方向に変位している、
ことを特徴とする請求項3から9の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記第2凹部は前記連通溝に対向する底面を有し、
前記ねじ部材の前記頭部は、前記軸部と反対側に位置し前記底面に対向する外端面を有し、
前記外端面には前記底面に接触可能で前記底面よりも柔らかい材料で形成された緩衝部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項3から9の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第2凹部は前記連通溝に対向する底面を有し、
前記底面から前記一対の下傾斜面の上端までの距離を前記第2凹部の深さと規定したとき、第2凹部の深さは1mm以上4mm以下である、
ことを特徴とする請求項3から11のいずれか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
フェース面上で前記フェース面の中心点を通りかつトウヒール方向と直交する方向に延在する直線をフェースセンターラインとし、
前記ゴルフクラブヘッドの重心点を通る前記フェース面の法線が前記フェース面と交差する点をフェース面上重心点とし、
前記案内溝はトウヒール方向に沿って延在し、
前記ねじ部材および前記ウエイトが前記案内溝のトウ側限界位置に位置したときの前記フェース面上重心点をトウ側重心点とし、
前記ねじ部材および前記ウエイトが前記案内溝のヒール側限界位置に位置したときの前記フェース面上重心点をヒール側重心点としたとき、
前記トウ側重心点と前記ヒール側重心点とを結ぶ直線の長さで規定されるフェース面上重心点調整範囲が1mm以上6mm以下であり、かつ、前記直線が前記フェースセンターラインと交差している、
ことを特徴とする請求項1から12の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記案内溝はフェース面とフェースバックを結ぶ前後方向に沿って延在し、
前記ねじ部材および前記ウエイトが前記案内溝のフェース部側限界位置に位置したときの重心深さと、前記ねじ部材および前記ウエイトが前記案内溝のフェースバック側限界位置に位置したときの重心深さとの差分で規定される重心深さ調整範囲が1mm以上6mm以下である、
ことを特徴とする請求項1から12の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ウエイトを移動可能に設けることでゴルフクラブヘッドの重心点の位置を調整し打球の弾道を調整するゴルフクラブヘッドが提供されている(特許文献1、2参照)。
すなわち、特許文献1には、ソール部にトウヒール方向に延在する溝部(レール)を設けるとともに、溝部に沿ってウエイトを移動可能に設け、ナットと締結用ボルトとによってウエイトを溝部の任意の箇所に固定することが開示されている。
また、特許文献2には、ソール部にフェース面とフェースバックとを結ぶ前後方向に延在する溝部(レール)を設け、溝部に沿ってウエイトを移動可能に設け、ナットと締結用ボルトとによってウエイトを溝部の任意の箇所に固定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6710503号
【特許文献2】特許第6605668号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、ウエイトとナットと締結用ボルトといった3点の部品を設けることからコストの低減を図る上で不利があり、また、3点の部品の間にガタが生じやすく耐久性の向上を図る上で不利がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエイトの位置を移動させて弾道調整を行なうことができると共に、コストの低減を図りつつ耐久性の向上を図る有利なゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、内部が中空部であるヘッド本体を有するゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体のソール面に設けられた案内溝と前記案内溝に配置されるねじ部材とウエイトとを備え、前記案内溝は、前記ソール面に開放状で前記ソール面に沿って延在する第1凹部と、前記第1凹部よりも前記ソール面から離れた箇所に前記第1凹部と切り離されて設けられ前記第1凹部に沿って延在する第2凹部と、前記第1凹部に沿って延在し前記第1凹部と第2凹部とを連通する連通溝とを備え、前記ねじ部材は、前記第2凹部内で回転可能かつ前記第1凹部側に移動不能で前記第2凹部の延在方向に移動可能に配置された頭部と、前記頭部から突出し前記連通溝を通って前記第2凹部内に位置し前記連通溝の延在方向に移動可能に配置され前記第2凹部内に位置する箇所に雄ねじが形成されると共にその先端部に回転操作用の操作部が形成された軸部とを備え、前記ウエイトは、前記雄ねじに螺合される雌ねじが貫通形成され前記第1凹部内に回転不能で前記第1凹部の延在方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、ソール面に形成した案内溝を、第1凹部と第2凹部と連通溝とで構成し、ウエイトを第1凹部の延在方向に移動可能にかつ回転不能に設けると共に、ねじ部材の頭部を第2凹部に移動可能にかつ回転可能に設け、ねじ部材の雄ねじをウエイトの雌ねじに螺合させることでウエイトを第1凹部内に固定するようにした。
したがって、ナットと締結用ボルトとウエイトとの3つの部材を用いる従来構造に比較して、部品点数がウエイトとねじ部材との2点で足りるため、部品コストの低減を図ると共に、部品の間に生じるガタを低減できるため耐久性の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドをフェース面の前方から見た正面図である。
図2図1のA矢視図である。
図3図1のB矢視図である。
図4】第1の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドをソール面の斜め下方から見上げた斜視図である。
図5図4のA-A線断面図であり、(A)はウエイトが案内溝に沿って移動可能な状態を示し、(B)はねじ部材が締結されウエイトが案内溝に固定された状態を示す。
図6】ウエイトが第1凹部に配置されウエイトの一対の挿入壁部が連通溝に挿入された状態を示す断面図であり、ねじ部材の図示を省略している。
図7】(A)はねじ部材の平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(B)のC矢視図、(D)は(A)のA-A線断面図である。
図8】(A)はウエイトの平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図、(D)は(A)のD矢視図、(E)は(A)のE矢視図、(F)は(D)のF矢視図である。
図9】(A)は図8のA-A線断面図、(B)は図8のB-B線断面図である。
図10】ウエイトの斜視図である。
図11】第2の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの断面図であり、図5(A)に相当している。
図12】第3の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの断面図であり、図5(A)に相当している。
図13】(A)は緩衝部材の平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(B)のC矢視図、(D)は(A)のA-A線断面図である。
図14】第4の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの断面図であり、(A)はウエイトが案内溝に沿って移動可能な状態を示し、(B)はねじ部材が締結されウエイトが案内溝に固定された状態を示す。
図15】フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第1の説明図である。
図16】フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第2の説明図である。
図17】フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第3の説明図である。
図18】フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第4の説明図である。
図19】ゴルフクラブヘッドの重心点G0とフェース面上重心点FGとの関係を示すゴルフクラブヘッドの断面図である。
図20】フェース面の輪郭線Iの定義を説明するゴルフクラブヘッドの正面図である。
図21】フェース面の輪郭線Iの定義を説明するゴルフクラブヘッドの断面図である。
図22】フェース面の中心点Pcの定義を説明するゴルフクラブヘッドの正面図である。
図23】実験例の評価結果を示す第1の図である。
図24】実験例の評価結果を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について説明する。
図1図3に示すように、本実施の形態において、ゴルフクラブは、ウッド型のゴルフクラブ(ドライバー)10であり、中空のヘッド本体12を含んで構成されている。
なお、本発明は、フェイアウェイウッド、ユーティリティ、中空アイアンなどの内部が中空部であるゴルフクラブヘッドに適用可能である。
ヘッド本体12は、主に金属材料により構成される。
前記金属材料としては、例えばステンレス鋼、マルエージング鋼、純チタン、チタン合金又はアルミニウム合金等の1種又は2種以上が用いられる。
ヘッド本体12は、フェース部14と、クラウン部16と、ソール部18と、サイド部20とを備えている。
図19に示すように、ヘッド本体12は、それらフェース部14とクラウン部16とソール部18とサイド部20とで囲まれた内部が中空部28とされた中空構造を呈している。
図1図3に示すように、フェース部14は、上下の高さを有して左右に延在している。
クラウン部16は、フェース部14よりも小さい肉厚でフェース部14の上部から後方に延在している。
フェース部14の外側に露出する表面がボールを打撃するフェース面14Aである。
クラウン部16の外側に露出する表面がクラウン面16Aである。
図1に示すように、クラウン部16には、フェース面14A側でかつヒール24寄りの位置にシャフトSに接続するホーゼル30が設けられ、ホーゼル30にシャフトSが接続されることでゴルフクラブ100が構成される。
ソール部18は、フェース部14の下部から後方に延在している。
ソール部18の外側に露出する表面がソール面18Aである。
図4に示すように、ソール面18Aには、ねじ部材34およびウエイト36が移動可能に配置される案内溝32が設けられており、案内溝32、ねじ部材34、ウエイト36については後述する。
図1図2に示すように、サイド部20は、クラウン部16とソール部18の間でフェース部14のトウ22側縁とヒール24側縁との間をフェースバック26を通って延在している。
図2に示すように、サイド部20の外側に露出する表面がサイド面20Aである。
図中、符号19はリーディングエッジを示す。
【0009】
なお、本実施の形態が適用されるドライバーの仕様の一例を示すと以下の通りである。
ヘッド体積:440~460cc
重心深さGR:20~30mm
慣性モーメントMI:4000~6000g・cm2
【0010】
(フェース面14Aの中心点Pc)
次に、フェース面14Aの中心点Pc、フェース面上重心点FG、重心深さGRの規定方法について説明する。
フェース面14Aの中心点Pcは、フェース面14Aの幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては以下に例示する第1の規定方法、第2の規定方法を含め従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
【0011】
[A]フェース面14Aの中心点Pcの第1の規定方法:
フェース面14Aと他のゴルフクラブヘッド10の部分との境目が明確である場合、言い換えると、フェース面14Aの周縁が稜線によって特定される場合における中心点Pcの規定方法である。この場合はフェース面14Aが明瞭に定義されることになる。図15図18はフェース面14Aの中心点Pcの規定方法を示す説明図である。
【0012】
(1)まず、図15に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平面HP上にゴルフクラブヘッド10を載置する。このときのゴルフクラブヘッド10の状態を基準状態とする。なお、ライ角およびフェース角の設定値は、例えば製品カタログに記載された値である。
【0013】
(2)次にクラウン部16及びソール部18を結ぶ方向における仮中心点c0を求める。
すなわち、図15に示すように、トウ22およびヒール24を結ぶ水平面HPと平行な線(以下水平線という)の概略中心点と交差する垂線f0を引く。
この垂線f0とフェース面14Aの上縁とが交差するa0点と、垂線f0とフェース面14Aの下縁とが交差するb0点の中点を仮中心点c0とする。
【0014】
(3)次に図16に示すように仮中心点c0を通る水平線g0を引く。
(4)次に図17に示すように水平線g0とフェース面14Aのトウ22側の縁とが交差するd0点と、水平線g0とフェース面14Aのヒール24側の縁とが交差するe0点の中点を仮中心点c1とする。
【0015】
(5)次に図18に示すように仮中心点c1を通る垂線f1を引き、この垂線f1とフェース面14Aの上縁とが交差するa1点と、垂線f1とフェース面14Aの下縁とが交差するb1点の中点を仮中心点c2とする。
ここで、仮中心点c1とc2とが合致したならばその点をフェース面14Aの中心点Pcとして規定する。
仮中心点c1とc2が合致しなければ、(2)乃至(5)の手順を繰り返す。
なお、フェース面14Aは曲面を呈しているため、水平線g0の中点、垂線f0、f1の中点を求める場合の水平線g0の長さ、垂線f0、f1の長さはフェース面14Aの曲面に沿った長さを用いるものとする。
そして、フェースセンターラインCLは、中心点Pcを通りかつトウヒール方向と直交する方向に延在する直線で定義される。
【0016】
[B]フェース面14Aの中心点Pcの第2の規定方法:
次に、フェース面14Aの周縁と他のゴルフクラブヘッド10の部分との間が曲面で接続されておりフェース面14Aが明瞭に定義できない場合の中心点Pcの定義を説明する。
【0017】
図19に示すように、ゴルフクラブヘッド10は中空であり、符号G0はゴルフクラブヘッド10の重心点を示し、符号Lpは重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線であり、言い換えると、直線Lpは重心点G0を通るフェース面14Aの垂線である。
すなわち、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0をフェース面14Aに投影した点がフェース面上重心点FGであり、例えば、フェース面上重心点FGは、重心点G0を通るフェース面14Aの法線がフェース面14Aと交差する点である。
ここで、図20に示すように、重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線Lpを含む多数の平面H1、H2、H3、…、Hnを考える。
【0018】
ゴルフクラブヘッド10を各平面H1、H2、H3、…、Hnに沿って破断したときの断面において、図21に示されるように、ゴルフクラブヘッド10の外面の曲率半径r0を測定する。
曲率半径r0の測定に際して、フェース面14A上のフェースライン、パンチマーク等が無いものとして扱う。
曲率半径r0は、フェース面14Aの中心点Pcから外方向(図21における上方向、下方向)に向かって連続的に測定される。
そして、測定において曲率半径r0が最初に所定の値以下となる部分をフェース面14Aの周縁を表わす輪郭線Iとして定義する。
所定の値は例えば200mmである。
多数の平面H1、H2、H3、…、Hnに基づいて決定された輪郭線Iによって囲まれた領域が、図20図21に示すように、フェース面14Aとして定義される。
【0019】
次に、図22に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平な地面上(水平面HP)にゴルフクラブヘッド10を載置する。
直線LTは、フェース面14Aのトウ側点PTを通過して鉛直方向に延在する。
直線LHは、フェース面14Aのヒール側点PHを通過して鉛直方向に延在する。
直線LCは、直線LTおよび直線LHと平行である。直線LCと直線LTとの距離は、直線LCと直線LHとの距離と等しい。
符号Puは、フェース面14Aの上側点を示し、符号Pdはフェース面14Aの下側点である。上側点Puおよび下側点Pdは、いずれも直線LCと輪郭線Iとの交点である。
中心点Pcは、上側点Puと下側点Pdとを結ぶ線分の中点で定義される。
【0020】
また、重心深さGRとは、図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10の基準状態において、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0を水平面HPに投影した点G1から、ホーゼル30の差し込み孔の中心軸H0を含み、かつ水平面HPに垂直な仮想面KPまでの最短距離で定義される値である。
ここで、ゴルフクラブヘッド10の基準状態とは、図1図3に示すように、ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した状態をいう。
なお、本明細書において、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0とは、ヘッド本体12にねじ部材34を介してウエイト36を取り付けた状態における重心点を言うものとする。
【0021】
次に、図4から図10を参照してヘッド本体12の重心位置を調整するための調整装置について説明する。
調整装置は、ソール面18Aに設けられた案内溝32と、案内溝32に配置されるねじ部材34とウエイト36とを含んで構成されている。
なお、以下では、サイド面20Aのうちソール面18A寄りの箇所を含めてソール面18Aとして扱うものとする。
本実施の形態では、案内溝32は、ソール面18Aのうちフェースバック26寄りの箇所においてトウヒール方向に沿って延在して設けられている。
【0022】
(案内溝)
図4図5に示すように、案内溝32は、第1凹部38と、第2凹部40と、連通溝42とを備えている。
第1凹部38は、ソール面18Aに開放状でソール面18Aに沿って延在しており、本実施の形態では、第1凹部38(案内溝32)はフェースバック26寄りのソール面18Aの縁に沿って円弧状に延在している。
第2凹部40は、第1凹部38よりもソール面18Aから離れた箇所に第1凹部38と切り離されて設けられ第1凹部38に沿って円弧状に延在している。
連通溝42は、第1凹部38に沿って円弧状に延在し第1凹部38と第2凹部40とを連通している。
【0023】
図5(A)に示すように、第1凹部38は、ソール面18Aから最も離れた底部3802を有し、第2凹部40は、第1凹部38に最も近づいた頂部4002を有している。
本実施の形態では、第1凹部38の幅方向の中央部に底部3802が設けられ、第2凹部40の幅方向の中央部に頂部4002が設けられ、それら底部3802と頂部4002とにわたって連通溝42が設けられている。
したがって、第1凹部38の底部3802と第2凹部40の頂部4002とは共に連通溝42で形成されている。
【0024】
第1凹部38は、第1凹部38の幅方向の両側から連通溝42に近づくにつれてソール面18Aから次第に離れる一対の上傾斜面3804で形成されている。、
第2凹部40は、連通溝42に対向し連通溝42よりも大きい幅を有する底面4004と、底面4004の幅方向両側から起立する一対の側面4006と、一対の側面4006の上端から連通溝42に向かって延在し連通溝42の幅方向の両側で底面4004に対向する一対の頂面4008とを有している。
一対の頂面4008は、一対の側面4006の上端から連通溝42に近づくにつれて、言い換えると、第2凹部40の幅方向の両側から連通溝42に近づくにつれて底面4004から次第に離れる一対の下傾斜面4010で形成されている。
すなわち、第1凹部38に近づいた第2凹部40の箇所は、第2凹部40の幅方向の両側から連通溝42に近づくにつれてソール面18Aに次第に近づく一対の下傾斜面4010で形成されている。
図5(A)に示すように、第2凹部40の底面4004から一対の下傾斜面4010の上端までの距離を第2凹部40の深さDと規定したとき、第2凹部40の深さDは1mm以上4mm以下である。
【0025】
なお、図4に示すように、案内溝32の延在方向のトウ寄りの端部に、ねじ部材34を案内溝32に挿脱するための挿脱口44が設けられている。
挿脱口44は、ねじ部材34の頭部46よりも大きい寸法の切り欠きが下傾斜面4010と上傾斜面3804とで挟まれた壁部を貫通し、連通溝42と第2凹部40とに接続して形成されることで構成されている。
【0026】
(ねじ部材)
図5図7に示すように、ねじ部材34は、頭部46と、頭部46から突出する軸部48とを備えている。
頭部46は、第2凹部40内で回転可能かつ第1凹部38側に移動不能で第2凹部40の延在方向に移動可能に配置されている。
図7に示すように、本実施の形態では、軸部48と反対に位置する頭部46の外端面4602は、軸部48と直交する平面上を延在し、軸部48を中心とする円形で形成されている。
また、軸部48側に位置する頭部46の内端面4604は、頭部46の外周部から頭部46の中心部に向かうにつれて外端面4602から次第に離れる円錐面で形成され、この円錐面は図5に示すように、第2凹部40の下傾斜面4010と同一の傾斜で形成されている。
頭部46の厚さ、すなわち、外端面4602から内端面4604の上端までの寸法は、頭部46が第2凹部40の延在方向に沿って移動しやすいように、図5に示すように、第2凹部40の深さDよりも小さい寸法で形成されている。
【0027】
軸部48は、頭部46の内端面4604の中心から突出し連通溝42を通って第2凹部40内に位置し連通溝42の延在方向に移動可能に配置されている。
軸部48は、第2凹部40内に位置する箇所に雄ねじ4802が形成されている。
軸部48の先端部に、ねじ部材34を回転操作するための操作部4804が形成されている。
本実施の形態では、雄ねじ4802は逆ねじ(左ねじ)で形成され、ねじ部材34を時計方向に回転させると、後述するウエイト36が第1凹部38の上傾斜面3804に締め付けられる方向に移動する。
本実施の形態では、操作部4804は、六角星型(ヘクスローブ型)の溝で形成されているが、操作部4804の形状はこれに限定されず従来公知の様々な構造が採用可能である。
【0028】
(ウエイト)
図5図8図9図10に示すように、ウエイト36は、雄ねじ4802に螺合される雌ねじ3606が貫通形成され第1凹部38内に回転不能で第1凹部38の延在方向に移動可能に設けられている。
ウエイト36は、板状を呈しており、ねじ部材34によりウエイト36が第1凹部38内に取り付けられた状態で、ヘッド本体12の外側を向き雌ねじ3606がその中央に開口する外面3602と、ヘッド本体12の内部に向き雌ねじ3606が開口する内面3604とを有している。
外面3602は、図5(B)に示すように、ねじ部材34によりねじ部材34によりウエイト36が第1凹部38内に取り付けられた状態で、ソール面18Aと連続する曲面で形成されている。
ねじ部材34によりねじ部材34によりウエイト36が第1凹部38内に取り付けられた状態で、外面3602は、第1凹部38の幅方向において対向する一対の一辺と、第1凹部38の延在方向において対向する一対の一辺とを有している。
ウエイト36は、第1凹部38の幅方向において対向する一対の一辺から離れるにつれて次第に雌ねじ3606に近づき上傾斜面3804に当接可能な傾斜面からなる一対のウエイト側当接面3608を備えている。
この一対のウエイト側当接面3608は、第1凹部38の上傾斜面3804の傾斜と同一の傾斜で形成され、ウエイト36の位置調整時、ウエイト36はウエイト側当接面3608が上傾斜面3804に沿って移動される。
また、後述するねじ部材34の回転操作時、一対のウエイト側当接面3608が第1凹部38の一対の上傾斜面3804に当接し、ウエイト36の回転が阻止される。
【0029】
第1凹部38の延在方向において対向する一対の一辺から、ウエイト側当接面3608よりも小さい傾斜で外面3602から離れるにつれて次第に雌ねじ3606に近づく一対の側部傾斜面3612(図8(B)、(C))が形成されている。
また、ウエイト36の内面3604に、連通溝42の延在方向に移動可能に挿入されウエイト36の回転を阻止する挿入壁部3610が設けられている。
挿入壁部3610は図6に示すように、ねじ部材34によりウエイト36が第1凹部38に締め付けられる際に連通溝42に挿入される。
本実施の形態では、挿入壁部3610は、連通溝42内でウエイト36が移動する方向の内面3604の両側部に設けられ、一対の側部傾斜面3612は一対の挿入壁部3610の外面を構成している。
挿入壁部3610は連通溝42に挿通された状態で、ウエイト36が回転しようとすると、挿入壁部3610の両端が連通溝42の対向する壁面に当たり、ウエイト36の回転が阻止される。
なお、挿入壁部3610は省略してもよいが、挿入壁部3610を設けると、ねじ部材34の回転操作時、ウエイト36の回転を阻止できることから、ねじ部材34の回転操作を簡単に円滑に行なう上でより有利となる。
【0030】
ウエイト36は、ヘッド本体12よりも比重が大きい材料で形成されることが好ましい。
このようにヘッド本体12よりも比重が大きい材料でウエイト36を形成すると、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0回りの慣性モーメントMIを確保する上で有利となり、ボールを打球した際のボールの方向性の向上を図り、飛距離を向上させる上で有利となる。
例えば、ゴルフクラブヘッド10がドライバーの場合、ヘッド本体12はチタン合金で形成され、ウエイト36はSUSやタングステン合金で形成されることが好ましい。
また、例えば、ゴルフクラブヘッド10がフェアウェイウッドやユーティリティの場合、ヘッド本体12はSUS合金で形成され、ウエイト36はタングステン合金で形成されることが好ましい。
【0031】
次に、ウエイト36の使用方法について説明する。
予め、ヘッド本体12に対してウエイト36およびねじ部材34が取り外されているものとする。
まず、ねじ部材34の雄ねじ4802をウエイト36の内面3604側から雌ねじ3606に螺合させておく。
次いで、図5(A)、図6に示すように、ウエイト36に螺合されたねじ部材34の頭部46を挿脱口44から第2凹部40へ挿入させると共に、ウエイト36の一対の挿入壁部3610を連通溝42に挿入させ、ウエイト36を第1凹部38に位置させた状態とする。
ウエイト36を第1凹部38の延在方向に沿ってトウヒール方向に移動(スライド)させ、所望の位置にウエイト36が位置したならば、ねじ部材34の操作部4804にレンチを挿入してレンチを時計回りに回転させる。
ねじ部材34の時計回りの回転によりねじ部材34はウエイト36の雌ねじ3606を介してソール面18Aから突出する方向に進み、やがて、図5(B)に示すように、ねじ部材34の頭部46の内端面4604が第2凹部40の一対の下傾斜面4010に当接する。
一方、ウエイト36は、一対の挿入壁部3610が連通溝42に挿入され回転が阻止されていることから、ねじ部材34の時計回りの回転によりウエイト36の一対のウエイト側当接面3608は第1凹部38の一対の上傾斜面3804に近づいていく。
そして、連通溝42に挿入された一対の挿入壁部3610が連通溝42の対向する側面に当接することと、一対のウエイト側当接面3608が第1凹部38の一対の上傾斜面3804に当接することによりウエイト36の回転が阻止される。
ねじ部材34をさらに締め付けることにより、内端面4604と一対のウエイト側当接面3608とによって第2凹部40の一対の下傾斜面4010と第1凹部38の一対の上傾斜面3804とが挟み込まれウエイト36が移動不能に固定される。
なお、ねじ部材34の雄ねじ4802を通常のねじとしてもよいが、本実施の形態のように、雄ねじ4802を逆ねじとすると、ねじ部材34の操作部4804にレンチを挿入してレンチを時計回りに回転させることで、ウエイト36の固定を行なうことができ、通常のねじを締め付ける場合と同じ方向にねじ部材34を回転操作すればよいため、ユーザー(ゴルファー)は操作上の違和感を感じることなく、ねじ部材34によるウエイト36の固定を円滑に行なうことができる。
【0032】
このようにウエイト36を第1凹部38の延在方向に沿ってトウヒール方向の所望の位置に移動させてその位置を移動不能に固定することでゴルフクラブヘッド10の重心点G0の位置をトウヒール方向に沿って調整することができ、したがって、図1に示すように、フェース面上重心点FGの位置をトウヒール方向に調整することができる。
ウエイト36の移動によりフェース面上重心点FGの位置をトウヒール方向に調整することにより、以下のようにゴルフボールの弾道の調整を行なうことが可能となる。
右利きのゴルファーの場合、フェース面上重心点FGが打点よりもトウ22側に位置していると、言い換えると、打点がフェース面上重心点FGよりもヒール24側に位置していると、打撃されたボールにはスライス回転が与えられるようなギア効果が発生する。
また、右利きのゴルファーの場合、上記とは逆に、フェース面上重心点FGが打点よりもヒール24側に位置していると、言い換えると、打点がフェース面上重心点FGよりもトウ22側に位置していると、打撃されたボールにはフック回転が与えられるようなギア効果が発生する。
ウエイト36の位置や移動量を調整することにより上記のギア効果を調整することでボールに与えられる回転方向と回転量を任意に調整することができ、弾道の調整が可能となる。
なお、左利きのゴルファーの場合は、ギア効果によってボールに当たられるボールの回転方向が上記と逆になる。
【0033】
一般的にボールを打撃したときの打点はフェースセンターラインCLの近傍となることが多いので、ウエイト36の移動によって調整されるフェース面上重心点FGの調整範囲はフェースセンターラインCLを挟んでトウヒール方向の双方にわたっていることが、ボールに与える回転方向をスライス回転からフック回転にわたって調整できる点で好ましい。
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、ねじ部材34およびウエイト36が案内溝32(第1凹部38)のトウ側限界位置に位置したときのフェース面上重心点FGをトウ側重心点FGtとし、ねじ部材34およびウエイト36が案内溝32のヒール側限界位置に位置したときのフェース面上重心点FGをヒール24側重心点FGhとしたとき、トウ側重心点FGtとヒール24側重心点FGhとを結ぶ直線LAの長さで規定されるフェース面上重心点調整範囲ΔFGが1mm以上6mm以下であり、かつ、直線LAがフェースセンターラインCLと交差しているものとした。
フェース面上重心点調整範囲ΔFGが1mm以上6mm以下の範囲であると、フェース面上重心点の調整範囲を適切に確保でき、弾道調整幅を確保する効果を得る上で有利となる。
フェース面上重心点調整範囲ΔFGが1mmを下回ると、フェース面上重心点FGの調整範囲が小さすぎるため、弾道調整幅を確保する効果が低下する。
フェース面上重心点調整範囲ΔFGが6mmを上回ると、フェース面上重心点FGの調整範囲が大きくなりすぎ、意図よりも大きいギア効果が発生して弾道調整を適切な範囲で行なう効果が低下する。
また、直線LAがフェースセンターラインCLと交差していると、打球に与える回転方向をスライス回転からフック回転までの間で任意に調整することができ、弾道調整を適切に行う上で有利となる。
【0034】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態では、ソール面18Aに形成した案内溝32を、第1凹部38と第2凹部40と連通溝42とで構成し、ウエイト36を第1凹部38の延在方向に移動可能にかつ回転不能に設けると共に、ねじ部材34の頭部46を第2凹部40に移動可能にかつ回転可能に設け、ねじ部材34の雄ねじ4802をウエイト36の雌ねじ3606に螺合させることでウエイト36を第1凹部38内に固定するようにした。
したがって、ナットと締結用ボルトとウエイトとの3つの部材を用いる従来構造に比較して、本実施の形態では、部品点数がウエイト36とねじ部材34との2点で足りるため、部品コストの低減を図ると共に、部品の間に生じるガタを低減できるため耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0035】
また、本実施の形態では、連通溝42を第1凹部38の底部3802と第2凹部40の頂部4002とにわたって設けたので、ウエイト36を第1凹部38に確実に締結する上で有利となり、ゴルフクラブヘッド10の製造コストの低減を図る上で有利となる。
【0036】
また、本実施の形態では、第1凹部38は、第1凹部38の幅方向の両側から連通溝42に近づくにつれてソール面18Aから次第に離れる一対の上傾斜面3804で形成され、第1凹部38に近づいた第2凹部40の箇所は、第2凹部40の幅方向の両側から連通溝42に近づくにつれてソール面18Aに次第に近づく一対の下傾斜面4010で形成されている。
そのため、連通溝42を形成するソール部18の壁部の部分が底面4004と平行な壁部で形成されている場合に比較して、一対の上傾斜面3804と一対の下傾斜面4010との間のソール部18(ヘッド本体12)の壁部の部分の体積を削減して質量を削減できるため、第1凹部38に配置されるウエイト36によって、ゴルクラブヘッド10の重心点G0回りの慣性モーメントMIをより大きく確保でき、打球の方向性の向上を図り、飛距離を向上させる上で有利となる。また、ソール部18(ヘッド本体12)の壁部の部分の質量を削減できるため、設計自由度を確保する上で有利となる。
【0037】
また、本実施の形態では、ねじ部材34の回転操作時、一対のウエイト側当接面3608が第1凹部38の一対の上傾斜面3804に当接し、ウエイト36の回転が阻止されるので、ねじ部材34の回転操作時、ウエイト36の回転を阻止できることから、ねじ部材34の回転操作を簡単に円滑に行なう上で有利となる。
【0038】
また、本実施の形態では、ねじ部材34の回転操作時、連通溝42の延在方向に移動可能に挿入された挿入壁部3610によりウエイト36の回転が阻止されるので、ねじ部材34の回転操作を簡単に円滑に行なう上でより有利となる。
【0039】
また、本実施の形態では、第1凹部38の幅は第2凹部40の幅よりも大きい寸法で形成されているので、ウエイト36が配置される箇所である第1凹部38を形成するソール部18(ヘッド本体12)の壁部の体積を低減し質量を低減できる。
そのため、ゴルフクラブヘッド10全体の質量に占めるウエイト36の質量の比率を大きく確保できるため、ゴルクラブヘッド10の重心点G0回りの慣性モーメントMIをより大きく確保でき、打球の方向性の向上を図り、飛距離を向上させる上で有利となる。また、ソール部18(ヘッド本体12)の壁部の部分の質量を削減できるため、設計自由度を確保する上で有利となる。
【0040】
また、本実施の形態では、連通溝42は、第1凹部38と第2凹部40の幅方向の中間部に設けられているので、打球時の荷重が連通溝42を構成するソール部18(ヘッド本体12)の壁部にバランスよく加わるため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0041】
また、本実施の形態では、第1凹部38の幅方向の中央部と第2凹部40の幅方向の中央部とはほぼ一致しており、連通溝42は、第1凹部38と第2凹部40の幅方向の中央部に設けられているので、打球時の荷重が連通溝42を構成するソール部18(ヘッド本体12)の壁部によりバランスよく加わるため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性の向上を図る上でより有利となる。
【0042】
また、本実施の形態では、第2凹部40の深さDを1mm以上4mm以下としたので、第2凹部40に配置されるねじ部材34の頭部46の厚さを確保でき、ねじ部材34の耐久強度およびねじ部材34によってウエイト36を固定する固定強度を確保する上で有利となる。
なお、第2凹部40の深さDが1mmを下回ると、ねじ部材34の頭部46の厚さが薄くなるため、ねじ部材34の耐久強度およびねじ部材34によってウエイト36を固定する固定強度を確保する効果が低減する。
また、第2凹部40の深さDが4mmを上回ると、第2凹部40を構成するソール部18(ヘッド本体12)の壁部の体積が増え重量増となるため、ゴルフクラブヘッド10の慣性モーメントMIを確保する効果が低下し、設計自由度を確保する効果が低下する。
【0043】
なお、本実施の形態では、第1凹部38(案内溝32)をソール面18Aのうちフェースバック26寄りの箇所に設けたが第1凹部38(案内溝32)をソール面18Aのうちフェース部14寄りの箇所に設けてもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、第1凹部38(案内溝32)をソール面18Aのうちフェース部14寄りの箇所に設けた場合に比較して以下の点でより有利となる。
ウエイト36を重心点G0からより離間した箇所に配置できるため、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0回りの慣性モーメントMIを大きく確保しやすい。
また、打球音(残響音)の大部分は打球時に生じるソール部18のたわみによって発生するため、第1凹部38(案内溝32)をソール面18Aのうちフェース部14寄りの箇所に設けると、ソール部18のたわみが影響を受けやすい。
そのため、第1凹部38(案内溝32)をフェース部14から離間したフェースバック26寄りの箇所に設けた方が、ソール部18のたわみ量を確保でき、打球音(残響音)を発生させやすい。
第1凹部38(案内溝32)をフェース部14から離間したフェースバック26寄りの箇所に設けると、ウエイト36がフェースバック26寄りに配置され、重心深さGRを大きく確保できるため、打球時にボールに与えられるスピン量を確保しやすく、打球が高弾道となりやすいため、初心者にとって扱いやすいゴルフクラブヘッド10を提供する上で有利となる。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図11を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第2の実施の形態は、案内溝32の第2凹部40の底面4004の形状が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、第1の実施の形態では、図5(A)に示すように、第2凹部40の底面4004と、ねじ部材34の頭部46の外端面4602とは、共に平面で形成され、それら底面4004と外端面4602とは面接触する。
そのため、ねじ部材34を案内溝32に沿って移動させる際に、ねじ部材34の外端面4602と第2凹部40の底面4004とが繰り返して摺動すると、第2凹部40の底面4004に傷が付くおそれがある。第2凹部40の底面4004の幅方向の中間部に傷がついた場合には、その傷は連通溝42を通して視認可能となり、見栄えが悪い。
【0045】
これに対して、第2の実施の形態では、図11に示すように、第2凹部40の底面4004は、その幅方向の中央に位置する中央部4004Aと、中央部4004Aの両側に位置する両側部4004Bとを備え、中央部4004Aは、両側部4004Bよりもソール面18Aから離間する方向に変位している。
そのため、ねじ部材34を案内溝32に沿って移動させる際に、ねじ部材34の外端面4602と第2凹部40の底面4004のうち両側部4004Bとが接触するものの、ねじ部材34の外端面4602と第2凹部40の中央部4004Aとは接触しないため、中央部4004Aに傷が付くことが抑制される。
そのため、ねじ部材34の外端面4602と第2凹部40の底面4004とが繰り返して摺動し、底面4004の両側部4004Bに傷が付いても、一対の上傾斜面3804により隠され、傷が見えることがない。
したがって、第2の実施の形態によれば、ゴルフクラブヘッド10の案内溝32を見たときに、傷が付きにくい第2凹部40の中央部4004Aが視認されることからゴルフクラブヘッド10の美観を損ねることがなく、ゴルフクラブヘッド10の商品価値を高める上で有利となる。
【0046】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図12図13を参照して説明する。
第3の実施の形態は第2の実施の形態と同様に第2凹部40の底面4004の傷つきを防止するものである。
図12に示すように、ねじ部材34の頭部46の外端面4602に、第2凹部40の底面4004に接触可能な緩衝部材50が設けられている。
緩衝部材50は、底面4004よりも柔らかい材料で形成されており、第2凹部40の底面4004に接触しても底面4004に傷を付けにくい材料、例えば、合成樹脂材料で形成されている。
図13に示すように、緩衝部材50は、円筒状を呈し、軸方向の一端に環板状の大径部5002が形成され、大径部5002を除く部分が大径部5002よりも小径の小径部5004となっている。
図12に示すように、ねじ部材34の頭部46の中心には、緩衝部材50を取り付ける取り付け孔4610が形成され、取り付け孔4610は、大径部5002と小径部5004とが収容される形状で構成されている。
緩衝部材50が取り付け孔4610に取り付けられた状態で、頭部46の外端面4602から緩衝部材50の大径部5002の軸方向の端部が突出されるように形成され、大径部5002の軸方向の端部は、底面4004に接触可能な平坦面で形成されている。
緩衝部材50の取り付け孔4610への取り付けは、接着や嵌合など従来公知の方法によってなされている。
第3の実施の形態によれば、ねじ部材34を案内溝32に沿って移動させる場合、緩衝部材50の大径部5002の軸方向の端部が底面4004に接触し、したがって、ねじ部材34を案内溝32に沿って繰り返して移動させても、ねじ部材34の外端面4602と第2凹部40の底面4004との接触が防止される。
すなわち、ねじ部材34の頭部46の外端面4602に設けた緩衝部材50によってねじ部材34の外端面4602と第2凹部40の底面4004との接触が防止されるため、第2凹部40の底面4004に傷が付くことが抑制される。
したがって、ゴルフクラブヘッド10の案内溝32を見たときに、第2凹部40の底面4004に傷がついていないため、ゴルフクラブヘッド10の美観を損ねることがなく、ゴルフクラブヘッド10の商品価値を高める上で有利となる。
【0047】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について図14を参照して説明する。
図14に示すように、ウエイト側当接面3608に第1係合部3620が設けられ、一対の上傾斜面3804に第1係合部3620と係脱可能に係合する第2係合部3810が第1凹部38の延在方向に等間隔をおいて複数個設けられている。
例えば、第2係合部3810を、第1凹部38の延在方向の中間部に1個、中間部からトウ22側に等間隔をおいて2個、中間部からヒール24側に等間隔をおいて2個、合計5箇所設ける。
なお、第4の実施の形態では、第1係合部3620はウエイト側当接面3608に形成された凹部で形成され、第2係合部3810は凹部に係合可能な凸部で形成されているが、これとは逆に第1係合部3620を凸部で、第2係合部3810を凹部で形成してもよい。
第4の実施の形態によれば、図14(A)に示すように、ウエイト36を案内溝32に沿って移動させ、例えば、上記の5箇所から選択した1箇所の第2係合部3810に第1係合部3620が位置するように位置決めし、図14(B)に示すように、ねじ部材34を締め付けることにより第2係合部3810に第1係合部3620が係合した状態でウエイト36が案内溝32に固定される。
したがって、第1係合部3620と第2係合部3810とが係合するため、ウエイト36の案内溝32への取り付け強度を高めることができ、耐久性の向上を図る上で有利となる。
また、第1係合部3620と第2係合部3810とを係合させることでウエイト36のトウヒール方向の位置決めを段階的に簡単かつ確実に行なうことができ、ウエイト36の位置調整作業の容易化を図る上で有利となる。
【0048】
(第5の実施の形態)
なお、上述した実施の形態では、案内溝32がトウヒール方向に延在している場合について説明したが、案内溝32はフェース面とフェースバック26とを結ぶ前後方向に延在していてもよい。
図示しないが、第5の実施の形態では、案内溝32は、ソール面18Aのトウヒール方向の中間部分においてフェース部14寄りの箇所からフェースバック26寄りの箇所まで前後方向に延在している点が第1の実施の形態と異なっており、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
ウエイト36を案内溝32の延在方向に沿って前後方向の所望の位置に移動させてその位置を移動不能に固定することでゴルフクラブヘッド10の重心点G0の位置を前後方向に沿って調整することができ、したがって、ゴルフクラブヘッド10の重心深さGRを調整することができる。
【0049】
前後方向におけるウエイト36の位置を調整することで重心深さGRを調整することにより、以下のようにゴルフボールの弾道の調整を行なうこと可能となる。
重心深さGRを調整すると、ボールを打撃した際のフェース面の上下方向の向きが調整されることでボールに与えられるスピン量が調整される。
重心深さGRが小さいほど、ゴルフクラブヘッド10が低重心となり、フェース面上重心点FGに対して打点が上方に位置しやすくなり、打撃した際のフェース面が上方を向きやすくなり、ギア効果によりボールのスピン量が増加して高弾道となる。
重心深さGRが大きいほど、ゴルフクラブヘッド10が高重心ととなり、フェース面上重心点FGに対して打点が下方に位置しやすくなり、打撃した際のフェース面が上方を向きにくくなり、ギア効果によるボールのスピン量が抑制されて低弾道となる。
【0050】
この場合、ねじ部材34およびウエイト36が案内溝32のフェース部側限界位置に位置したときの重心深さと、ねじ部材34およびウエイト36が案内溝32のフェースバック側限界位置に位置したときの重心深さとの差分で重心深さ調整範囲ΔGRが規定される。
第5の実施の形態においては、重心深さ調整範囲ΔGRを1mm以上6mm以下の範囲とした。
重心深さ調整範囲ΔGRが1mm以上6mm以下であると、重心深さGRの調整範囲を適切に確保でき、弾道調整幅を確保する効果を得る上で有利となる。
重心深さ調整範囲ΔGRが1mmを下回ると、重心深さGRの調整範囲が小さすぎるため、弾道調整幅を確保する効果が低下する。
重心深さ調整範囲ΔGRが6mmを上回ると、重心深さGRの調整範囲が大きくなりすぎ、意図よりも大きいギア効果が発生して弾道調整を適切な範囲で行なう効果が低下する。
【0051】
以下、本発明の実験例について説明する。
図23図24は、本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となるゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、以下の3つの評価項目を測定し指数(評価点)を求めると共に、3つの指数の合計点を求めた。
【0052】
(1)耐久性
シャフトに固定したゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aにエアキャノンにてゴルフボールを繰り返して当て、ヘッド本体12の変形や割れ、ウエイト36やねじ部材34の破損が生じるまでに要した打撃回数を計測し、打撃回数を指数化した。ボールスピードは50m/sとした。
打点位置はフェース面14Aの中心点Pcセンターからトウ20mm、ヒール20mm、上10mm、下10mmの4打点とした。打撃回数は、打点毎に1000発ずつ合計4000発とした。
この場合、比較例に相当する実験例1のゴルフクラブヘッド10の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど耐久性の評価が良いことを示す。
【0053】
(2)第2凹部40の底面4004の傷つきにくさ(耐傷性)
各実験例のゴルフクラブヘッド10においてウエイト36を第1凹部38に取り付けて第1凹部38に沿って1回往復移動させたのちウエイト36を取り外すといった操作を100回繰り返して行ったのち、第2凹部40の底面4004を視認して底面4004の傷つきにくさ(耐傷性)を目視にて評価した。
この場合、比較例に相当する実験例1の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど第2凹部40の底面4004の傷つきにくさ(耐傷性)の評価が良いことを示す。
【0054】
(3)弾道調整幅
被験者として上級者(ハンデ10以下)を20人選び、各実験例のゴルフクラブヘッド10を用いてウエイト36の位置をトウ側限界位置およびヒール側限界位置に位置させた状態で、各限界位置においてゴルフボールを10打ずつ実際に打撃して、被験者毎に弾道調整幅を評価してもらい、20人の弾道調整幅の指数の平均値を求めた。
この場合、比較例に相当する実験例1の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど弾道調整幅が大きいことを示す。
なお、弾道調整幅の指数が過大である場合には、前述したように、意図よりも大きいギア効果が発生して弾道調整を適切な範囲で行なう効果が低下するため、弾道調整幅の指数は例えば140を超えないことが好ましい。
【0055】
(4)合計点
上述した耐久性、第2凹部40の底面4004の傷つきにくさ(耐傷性)、弾道調整幅の3つの指数を合計したものを合計点とした。
比較例(実験例1)に相当する実験例の合計点を300とし合計点が大きいほど評価が良いことを示す。
【0056】
以下実験例のゴルフクラブヘッド10について説明する。
実験例1は、比較例であり、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
実験例1は、特許文献1に対応するものであって、中空型のウッド型ゴルフクラブヘッド10(ドライバー)において、ソール部18にトウヒール方向に延在する溝部(レール)を設けるとともに、溝部に沿ってウエイト36を移動可能に設け、ナットと締結用ボルトとによってウエイト36を溝部の任意の箇所に固定するものである。
実験例1の各部の仕様は以下の通りである。
ヘッド本体12の材料:チタン合金 Ti-8Al-1Mo-1V
ウエイト36の材料:ステンレス合金(SUS630)
ロフト角 10.5°
ライ角 59°
ヘッド質量 200g
ヘッド体積 460cc
【0057】
実験例2-14で使用したゴルフクラブヘッド10は、本発明に対応するものであって、中空型のドライバーであり、各実験例で規定したパラメータを除き以下の仕様を共通としている。
ヘッド本体12の材料:チタン合金 Ti-8Al-1Mo-1V
ウエイト36の材料:ステンレス合金(SUS630)
ロフト角 10.5°
ライ角 59°
ヘッド質量 200g
ヘッド体積 460cc
【0058】
実験例2-14は、何れも請求項1から請求項6の規定を全て満たすものであり本発明の範囲内である。
また、実験例2-14において案内溝32は、第1の実施の形態と同様にフェースバック26寄りの箇所トウヒール方向に沿って延在している。
図23図24に示すように、実験例1-14において、以下のように各部の規定を設定した。
請求項9で規定する第2凹部40の深さDについては、1mm以上4mm以下の範囲内のものと、この範囲外のものとに設定した。
なお、実験例1(比較例)は、第2凹部40の深さDに相当する寸法として、ナットが配置される溝部の底面4004と、ナットが当接するレールが上記底面4004に対向する箇所との距離を記載した。
請求項7で規定する第2凹部40の底面4004の形状については、第2凹部40の底面4004を均一の平面としたものと、中央部4004Aを両側部4004Bよりもソール面18Aから離間する方向に変位させたものとに設定した。
請求項8で規定するウエイト36の頭部46に緩衝部材50を設けたものを設定した。
請求項10で規定するフェース面上重心点FG調整範囲については、ウエイト36のトウ側限界位置におけるフェース面上重心点FGとフェースセンターラインとの距離ΔFGtと、ウエイト36のヒール側限界位置におけるフェース面上重心点FGとフェースセンターラインとの距離ΔFGhとを設定した。
【0059】
また、図23図24においては、各実験例について以下の参考データを記載した。
(重心深さGR)
ウエイト36をトウ側限界位置、ヒール側限界位置、センター位置(フェース面上重心点FGがセンターラインCL上に合致する位置)との3つの位置に移動させた際の重心深さGRの平均値を算出して記載した。
(慣性モーメントMI(重心点G0回りの慣性モーメントMI)
ウエイト36をトウ側限界位置、ヒール側限界位置、センター位置との3つの位置に移動させた際の慣性モーメントMIの平均値を算出して記載した。
【0060】
実験例1は、比較例であり、請求項1の規定を満たさないものであり、各評価点を100とし、合計点が300である。
【0061】
実験例2は、請求項1-6に加えて請求項9の規定を満たすものである。
実験例3は、請求項1-6に加えて請求項8、9の規定を満たすものである。
実験例4は、請求項1-6に加えて請求項7、9の規定を満たすものである。
実験例5、6は、請求項1-7の規定を満たす一方、請求項9の規定を満たさないものである。
実験例7、8は、請求項1-7に加えて請求項9の規定を満たすものである。
請求項7または請求項8の規定を満たす実験例3-8は、請求項7または請求項8の規定を満たさない請求項2に比較して第2凹部40の傷つきにくさの評価が優れている。
請求項9の規定を満たす実験例2、3、4、7、8は、請求項9の規定を満たさない請求項5、6に比較して耐久性の評価が優れている。
【0062】
実験例9は、請求項1-7、9の規定を満たす一方、フェース面上重心点調整範囲ΔFGが0.4+0.4=0.8mmであり、請求項10の規定である1mm以上6mm以上の範囲を下回っているものである。
実験例10は、請求項1-7、9の規定を満たす一方、フェース面上重心点調整範囲ΔFGが3.2+3.2=6.4mmであり、請求項10の規定である1mm以上6mm以上の範囲を上回っているものである。
実験例11-12は、請求項1-7、9に加えて、請求項10の規定を満たすものである。
実験例13、14は、トウ側重心点FGtとヒール24側重心点FGhとを結ぶ直線LAがフェースセンターラインCLを交差しておらず請求項10の規定を満たしていないものである。
したがって、請求項10の規定を満たす実験例11、12に対して、請求項10の規定を満たさない実験例9、13、14は、フェース面上重心点調整範囲ΔFGが低いため、弾道調整幅の評価が低いものとなっている。
また、請求項10の規定を満たす実験例11、12に対して、請求項10の規定を満たさない実験例10は、フェース面上重心点調整範囲ΔFGが過剰であり、弾道調整幅の評価(指数153)が高すぎるため、意図よりも大きいギア効果が発生して弾道調整を適切に行う効果が低下するものとなっている。
また、請求項1の規定を満たさない実験例1に対して、請求項1の規定を満たす実験例2-14は、耐久性、第2凹部40の底面4004の傷つきにくさ、弾道調整幅、合計点の何れについても評価が優れたものとなっている。
【符号の説明】
【0063】
10 ゴルフクラブヘッド
12 ヘッド本体
14 フェース部
14A フェース面
16 クラウン部
16A クラウン面
18 ソール部
18A ソール面
19 リーディングエッジ
20 サイド部
20A サイド面
22 トウ
24 ヒール
26 フェースバック
28 中空部
30 ホーゼル
32 案内溝
34 ねじ部材
36 ウエイト
3602 外面
3604 内面
3606 雌ねじ
3608 ウエイト側当接面
3610 挿入壁部
3612 側部傾斜面
3620 第1係合部
38 第1凹部
3802 底部
3804 上傾斜面
3810 第2係合部
40 第2凹部
4002 頂部
4004 底面
4004A 中央部
4004B 両側部
4006 側面
4008 頂面
4010 下傾斜面
42 連通溝
44 挿脱口
46 頭部
4602 外端面
4604 内端面
4610 取り付け孔
48 軸部
4802 雄ねじ
4804 操作部
50 緩衝部材
5002 大径部
5004 小径部
100 ゴルフクラブ
S シャフト
HP 水平面
Pc フェース面14Aの中心点
FG フェース面上重心点
GR 重心深さ
CL フェースセンターライン
G0 ゴルフクラブヘッド10の重心点
G1 重心点G0を水平面HPに投影した点
図1
図2
図3
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