(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111149
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】解凍装置および解凍システム
(51)【国際特許分類】
A23L 3/365 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
A23L3/365 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012841
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108890
【氏名又は名称】株式会社ダイキンアプライドシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑名 孝一
(72)【発明者】
【氏名】森山 雄治
(72)【発明者】
【氏名】和田 正孝
【テーマコード(参考)】
4B022
【Fターム(参考)】
4B022LA06
4B022LQ01
4B022LT07
(57)【要約】
【課題】被解凍物の解凍ムラを抑制する。
【解決手段】上下に間隔を空けて配置された複数の被解凍物(2)の間に空気を流すことによって該被解凍物(2)を解凍する解凍装置であって、被解凍物(2)同士の間の通風空間(24)と連通する通風路(30)が形成されるケーシング(11)と、通風路(30)および通風空間(24)の空気を搬送するファン(12)とを備え、通風空間(24)の空気を第1方向に流す第1動作と、該通風空間(24)の空気を第1方向と逆向きの第2方向に流す第2動作とを交互に実行させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に間隔を空けて配置された複数の被解凍物(2)の間に空気を流すことによって該被解凍物(2)を解凍する解凍装置であって、
前記被解凍物(2)同士の間の通風空間(24)と連通する通風路(30)が形成されるケーシング(11)と、
前記通風路(30)および前記通風空間(24)の空気を搬送するファン(12)とを備え、
前記通風空間(24)の空気を第1方向に流す第1動作と、該通風空間(24)の空気を前記第1方向と逆向きの第2方向に流す第2動作とを交互に実行させる
解凍装置。
【請求項2】
前記ファン(12)は、前記ケーシング(11)における前記通風路(30)の一端側に配置され、
前記ケーシング(11)は、前記通風路(30)の他端に設けられる閉塞面(11b)を有し、
前記第1動作では、前記通風路(30)において該通風路(30)の一端側から他端側に向かって空気が流れるとともに、前記第1方向である前記通風路(30)から前記通風空間(24)に空気を押し出す方向に空気が流れ、
前記第2動作では、前記通風路(30)において該通風路(30)の他端側から一端側に向かって空気が流れるとともに、前記第2方向である前記通風空間(24)から前記通風路(30)に空気を吸い込む方向に空気が流れる
請求項1に記載の解凍装置。
【請求項3】
所定時間毎に前記第1動作と前記第2動作とを切り替える
請求項1または2に記載の解凍装置。
【請求項4】
前記ケーシング(11)は、前記通風路(30)と前記通風空間(24)とを連通させる支流路(31)を更に有し、
前記支流路(31)には、開度が変更可能なダンパ(13)が配置される
請求項1~3のいずれか1つに記載の解凍装置。
【請求項5】
前記被解凍物(2)の温度を測定する温度センサ(15)と、
前記温度センサ(15)の検出値に基づいて前記ダンパ(13)の開度を調節する制御部(100)とを更に備える
請求項4に記載の解凍装置。
【請求項6】
前記被解凍物(2)の温度を測定する温度センサ(15)と、
前記温度センサ(15)の検出値に基づいて前記ファン(12)の風量を調節する制御部(100)とを更に備える
請求項1~5のいずれか1つに記載の解凍装置。
【請求項7】
前記ケーシング(11)の前方には、前記被解凍物(2)が載置されて前記通風空間(24)を形成する台車(20)が配置され、
前記ケーシング(11)の前側面(11c)に設けられ且つ前記台車(20)の左右側方に配置されて、前記通風空間(24)を通過する空気の流れを整える気流ガイド(14)を更に備え、
前記気流ガイド(14)は、蛇腹状に構成される
請求項1~6のいずれか1つに記載の解凍装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の解凍装置(10)と、
前記解凍装置(10)が設置される解凍室(4)の温度を調節する温度調節装置(5)とを含む
解凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、解凍装置および解凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫や冷凍庫などの庫内に差圧室を設けて、この差圧室内に配置された加工食品などの冷却対象を効率よく冷却する差圧冷却装置が知られている。特許文献1に開示された差圧冷却装置は、差圧室を負圧にするファンと、庫内の冷気が吸い込まれる差圧室と備える。この差圧冷却装置では、冷却対象が差圧室に吸い込まれる冷気にさらされるように該冷却対象を配置することで、冷却対象を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の差圧冷却装置において、例えば冷凍された食品を対象物とし、庫内温度を対象物よりも高くすることにより、冷凍された対象物(被解凍物)を解凍する解凍装置として利用できる。
【0005】
ところで、このような解凍装置では、ファンによって庫内の空気が一方向に流れて循環する。その際に庫内の空気が被解凍物の周辺を通過することで被解凍物と熱交換されて、被解凍物は解凍される。ここで、空気流れ方向の上流側の空気は、被解凍物と熱交換することによって冷やされる。この冷やされた空気は、空気流れ方向の下流側に流れ、被解凍物と更に熱交換がされる。下流側に到達した空気の温度は上流側の空気の温度よりも低くなっているため、下流側の被解凍物は、上流側の被解凍物に比べて解凍されにくい。このように、空気流れ方向の上流側と下流側とで流れる空気に温度差が生じることにより、被解凍物の解凍ムラが生じてしまうという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、被解凍物の解凍ムラを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、上下に間隔を空けて配置された複数の被解凍物(2)の間に空気を流すことによって該被解凍物(2)を解凍する解凍装置であって、前記被解凍物(2)同士の間の通風空間(24)と連通する通風路(30)が形成されるケーシング(11)と、前記通風路(30)および前記通風空間(24)の空気を搬送するファン(12)とを備え、前記通風空間(24)の空気を第1方向に流す第1動作と、該通風空間(24)の空気を前記第1方向と逆向きの第2方向に流す第2動作とを交互に実行させる解凍装置である。
【0008】
第1の態様では、解凍装置(10)が第1動作と第2動作とを交互に実行させることで、通風空間(24)において第1方向および該第1方向と逆向きの第2方向に交互に空気が流れる。これにより、通風空間(24)を第1方向にのみに空気が流れる場合に比べて、第1方向の上流側および下流側に生じる解凍速度のばらつきを低減できる。その結果、被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記ファン(12)は、前記ケーシング(11)における前記通風路(30)の一端側に配置され、前記ケーシング(11)は、前記通風路(30)の他端に設けられる閉塞面(11b)を有し、前記第1動作では、前記通風路(30)において該通風路(30)の一端側から他端側に向かって空気が流れるとともに、前記第1方向である前記通風路(30)から前記通風空間(24)に空気を押し出す方向に空気が流れ、前記第2動作では、前記通風路(30)において該通風路(30)の他端側から一端側に向かって空気が流れるとともに、前記第2方向である前記通風空間(24)から前記通風路(30)に空気を吸い込む方向に空気が流れる。
【0010】
第2の態様では、第1動作において通風路(30)の一端側から他端側に向かって流れた空気は、通風路(30)から通風空間(24)に押し出される。その際に、通風路(30)の他端に達した空気がケーシング(11)の閉塞面(11b)に当たるので、通風路(30)の他端寄りに形成される通風空間(24)に流れる空気は、一端寄りに形成される通風空間(24)を流れる空気よりも風速が速くなる。このため、第1動作では、通風路(30)の他端寄りに配置された被解凍物(2)は、一端寄りに配置された被解凍物(2)よりも早く解凍される。
【0011】
一方、第2動作では、通風空間(24)から通風路(30)に吸い込まれた空気は、通風路(30)の他端側から一端側に流れる。その際に、通風路(30)の一端寄りに形成される通風空間(24)はファン(12)に近いので、通風路(30)の一端寄りの通風空間(24)を流れる空気は、他端寄りの通風空間(24)を流れる空気よりも風速が速くなる。このため、第2動作では、通風路(30)の一端寄りに配置された被解凍物(2)は、他端寄りに配置された被解凍物(2)よりも早く解凍される。
【0012】
解凍装置がこのような第1動作および第2動作を交互に実行させることにより、通風路(30)の一端寄りおよび他端寄りのそれぞれに配置された被解凍物(2)の解凍速度のばらつきを低減できる。その結果、より被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0013】
第3の態様は、第1または第2の態様において、所定時間毎に前記第1動作と前記第2動作とを切り替える。
【0014】
第3の態様では、解凍装置(10)が所定時間毎に第1動作と第2動作とを切り替えることにより、複数の被解凍物(2)を徐々に且つ均一に解凍できる。
【0015】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記ケーシング(11)は、前記通風路(30)と前記通風空間(24)とを連通させる支流路(31)を更に有し、前記支流路(31)には、開度が変更可能なダンパ(13)が配置される。
【0016】
第4の態様では、ダンパ(13)によって支流路(31)を流れる空気の量を調節できる。これにより、より被解凍物(2)の解凍速度のばらつきを低減できる。
【0017】
第5の態様は、第4の態様において、前記被解凍物(2)の温度を測定する温度センサ(15)と、前記温度センサ(15)の検出値に基づいて前記ダンパ(13)の開度を調節する制御部(100)とを更に備える。
【0018】
第5の態様では、制御部(100)が温度センサ(15)の検出値に基づいてダンパ(13)の開度を調節するので、より被解凍物の解凍速度のばらつきを低減できる。
【0019】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記被解凍物(2)の温度を測定する温度センサ(15)と、前記温度センサ(15)の検出値に基づいて前記ファン(12)の風量を調節する制御部(100)とを更に備える。
【0020】
第6の態様では、制御部(100)が温度センサ(15)の検出値に基づいてファン(12)の風量を調節するので、より被解凍物の解凍速度のばらつきを低減できる。
【0021】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記ケーシング(11)の前方には、前記被解凍物(2)が載置されて前記通風空間(24)を形成する台車(20)が配置され、前記ケーシング(11)の前側面(11c)に設けられ且つ前記台車(20)の左右側方に配置されて、前記通風空間(24)を通過する空気の流れを整える気流ガイド(14)を更に備え、前記気流ガイド(14)は、蛇腹状に構成される。
【0022】
第7の態様では、台車(20)の左右側方に配置される気流ガイド(14)が蛇腹状に構成されているので、気流ガイド(14)を折り畳むことにより、直ぐに台車(20)を移動させることができる。これにより、台車(20)の移動経路を短縮できる。
【0023】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様の解凍装置(10)と、前記解凍装置(10)が設置される解凍室(4)の温度を調節する温度調節装置(5)とを含む解凍システムである。
【0024】
第8の態様では、解凍装置(10)と温度調節装置(5)とを備える解凍システム(1)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態に係る解凍システムの構成を示す概略の縦断面図である。
【
図6】
図6は、気流ガイドの動きを示す説明図である。
【
図8】
図8は、解凍装置の運転動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1動作における空気の流れを示す概略の縦断面図である。
【
図10】
図10は、第2動作における空気の流れを示す概略の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
《実施形態》
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0027】
(1)解凍システム
解凍システム(1)は、被解凍物(2)を解凍するためのシステムである。ここで、被解凍物(2)とは、解凍システム(1)で解凍される対象物のことであり、例えば冷凍された食品(肉や魚など)である。本実施形態の被解凍物(2)は、袋に収容されて冷凍された鶏肉である。本実施形態の被解凍物(2)の温度は、約-18℃である。
【0028】
本実施形態の解凍システム(1)は、差圧式の解凍システムである。
図1に示すように、解凍システム(1)は、解凍室構造体(3)と、ユニットクーラ(5)と、解凍装置(10)と、台車(20)とを備える。解凍室構造体(3)の内部には、解凍室(4)が形成される。解凍室(4)には、ユニットクーラ(5)および解凍装置(10)が設置される。解凍室(4)には、台車(20)が配置される。台車(20)は、複数の被解凍物(2)を収容する。
【0029】
解凍室構造体(3)は、箱状に形成される。解凍室構造体(3)の一側面には、不図示の扉が設けられている。扉は、解凍室(4)に台車(20)を出し入れするためのものである。
【0030】
ユニットクーラ(5)は、本開示の温度調節装置に対応する。ユニットクーラ(5)は、解凍室構造体(3)の天井面に取り付けられる。ユニットクーラ(5)は、解凍室(4)の温度を調節する。解凍室(4)の温度は、被解凍物(2)の温度よりも高い。本実施形態の解凍室(4)の温度は、ユニットクーラ(5)によって、約5℃に保たれている。
【0031】
解凍装置(10)は、該解凍装置(10)の内部に形成される空間と解凍室(4)との間に差圧を生じさせて空気の流れを発生させ、この空気の流れを用いて複数の被解凍物(2)の間に空気を流すことによって被解凍物(2)を解凍する装置である。解凍室構造体(3)の解凍室(4)内には、複数の解凍装置(10)が配置される。本実施形態では、解凍装置(10)は、解凍室構造体(3)の対向する2つの側面のそれぞれに沿って、複数配置される。
【0032】
なお、解凍装置(10)は、解凍室(4)に1つ配置されてもよい。また、解凍装置(10)は、解凍室構造体(3)の略直交する2つの側面のそれぞれに沿って、L字に配置されてもよい。さらに、複数の解凍装置(10)は、必ずしも解凍室構造体(3)の側面に沿って配置さなくてもよい。解凍装置(10)の詳細については、後述する。
【0033】
図2に示すように、台車(20)は、いわゆる棚台車である。台車(20)は、移動可能に構成される。台車(20)は、枠体(21)と、車輪(22)と、載置部(23)とを有する。枠体(21)は、略直方体状に形成される。枠体(21)は、前後方向、左右方向、および上下方向のそれぞれに延びる棒状の部材を組み合わせて形成される。台車(20)は、4つの車輪(22)を有する。車輪(22)は、枠体(21)の下端における四隅のそれぞれに取り付けられる。
【0034】
台車(20)は、複数(本実施形態では、8つ)の載置部(23)を有する。載置部(23)の上には、被解凍物(2)が載置される。載置部(23)は、平板状に形成される。複数の載置部(23)は、上下方向に間隔を空けて配置される。載置部(23)同士の間には、通風空間(24)が形成される。言い換えると、載置部(23)に載置された複数の被解凍物(2)は、上下に間隔を空けて配置され、該被解凍物(2)同士の間には通風空間(24)が形成される。
【0035】
(2)解凍装置の詳細
解凍装置(10)の詳細について、
図3~
図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明の「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、解凍装置(10)を正面から見たときの方向である。解凍装置(10)の正面は、後述する気流ガイド(14)が設けられた側面である。
【0036】
解凍装置(10)は、ケーシング(11)、ファン(12)、ダンパ(13)、気流ガイド(14)、温度センサ(15)、および制御部(100)を有する。
【0037】
(2-1)ケーシング
図3~
図5に示すように、ケーシング(11)は、上下に長い略直方体状に形成される。ケーシング(11)は、中空の箱状に形成される。ケーシング(11)は、上下方向に互いに対向する上板(11a)および下板(11b)と、前後方向に互いに対向する前側板(11c)および後側板(11d)と、左右方向に互いに対向する右側板(11e)および左側板(11f)とを有する。上板(11a)、下板(11b)、前側板(11c)、後側板(11d)、右側板(11e)、および左側板(11f)は、略平板状に形成される。
【0038】
上板(11a)は、ケーシング(11)の上面を構成する。下板(11b)は、ケーシング(11)の下面を構成する。前側板(11c)は、ケーシング(11)の前側面を構成する。後側板(11d)は、ケーシング(11)の後側面を構成する。右側板(11e)は、ケーシング(11)の右側面を構成する。左側板(11f)は、ケーシング(11)の左側面を構成する。上板(11a)および下板(11b)は、略水平方向に延びる。前側板(11c)、後側板(11d)、右側板(11e)、および左側板(11f)は、略鉛直方向に延びる。
【0039】
図3に示すように、ケーシング(11)の左側板(11f)には、点検扉(16)が形成される。点検扉(16)は、ダンパ(13)を点検するための扉である。点検扉(16)を開けると、ダンパ(13)が露出する。
【0040】
図4に示すように、ケーシング(11)の前側板(11c)には、第1開口(17)が形成される。第1開口(17)は、上下方向に延びる矩形状に形成される。第1開口(17)の前方には、台車(20)が配置される。その際、
図9に示すように、台車(20)は、その前後方向がケーシング(11)の前後方向と一致するように配置される。ケーシング(11)の上板(11a)には、
図5に示すように、第2開口(18)が形成される。
【0041】
ケーシング(11)の内部には、通風路(30)および複数の支流路(31)が形成される。通風路(30)および各支流路(31)には、解凍室(4)内の空気が流れる。
図3に示すように、通風路(30)は、ケーシング(11)内を上下方向に延びる空間である。通風路(30)の上端(一端)は、第2開口(18)と連通する。通風路(30)の下端(他端)は、ケーシング(11)の下面(11b)によって閉塞される。なお、ケーシング(11)の下面(11b)は、本開示の閉塞面に対応する。
【0042】
各支流路(31)は、前後方向に延びる空間である。各支流路(31)は、通風路(30)の前方に形成される。
図4に示すように、本実施形態のケーシング(11)には、4つの支流路(31)が形成される。各支流路(31)の前端は、第1開口(17)と連通する。各支流路(31)の後端は、通風路(30)に連通する。
【0043】
図9に示すように、ケーシング(11)の前方に台車(20)が配置されると、支流路(31)によって、通風路(30)と通風空間(24)とが連通する。言い換えると、支流路(31)は、通風路(30)と通風空間(24)とを連通させる。
【0044】
(2-2)ファン
ファン(12)は、ケーシング(11)の通風路(30)および支流路(31)の空気と、台車(20)の通風空間(24)の空気とを搬送する。ファン(12)は、正回転と該正回転と逆向きの逆回転とが可能に構成される。ファン(12)は、ケーシング(11)の上面(11a)に取り付けられる。言い換えると、ファン(12)は、通風路(30)の上端側(一端側)に配置される。ファン(12)が収容されたファンハウジング(H)の内部は、ケーシング(11)の第2開口(18)を介して、通風路(30)に連通している。本実施形態では、ファン(12)は、プロペラファンである。なお、ファン(12)は、プロペラファン以外のファンでもよい。
【0045】
ファン(12)のモータ(M)の回転数は可変である。モータ(M)は、制御回路により回転数が調節されるDCファンモータである。ファン(12)は、その風量が可変に構成される。
【0046】
(2-3)ダンパ
図3および
図4に示すように、解凍装置(10)は、複数(本実施形態では、4つ)のダンパ(13)を有する。本実施形態では、解凍装置(10)は第1~第4ダンパ(13a,13b,13c,13d)を有する。ダンパ(13)は、開度が変更可能に構成される。
【0047】
ダンパ(13)は、ケーシング(11)の内部に収容される。ダンパ(13)は、ケーシング(11)の左側板(11f)に沿って上下方向に並んで配置される。
図4に示すように、各ダンパ(13)は各支流路(31)の左側方に配置される。各ダンパ(13)は、各支流路(31)に対応して設けられる。ダンパ(13)の開度を調節することにより、該ダンパ(13)に対応する支流路(31)を流れる空気の量を調節する。なお、ここで示すダンパ(13)の数は単なる一例である。
【0048】
(2-4)気流ガイド
図3および
図5に示すように、解凍装置(10)は、気流ガイド(14)を有する。気流ガイド(14)は、ケーシング(11)の前側面(11c)に設けられる。気流ガイド(14)は、ケーシング(11)の第1開口(17)の周りに配置される。
【0049】
気流ガイド(14)は、台車(20)に形成される通風空間(24)を通過する空気の流れを整えるためのものである。本実施形態の気流ガイド(14)は、台車(20)の左右側方および上方に配置されるように構成される。言い換えると、気流ガイド(14)は台車(20)を囲むように構成される。気流ガイド(14)は、前後方向から見て逆U字状に形成され、その下部が開放されている。
【0050】
なお、気流ガイド(14)は、台車(20)の左右側方に設けられていればよく、台車(20)の上方に設けられていなくてもよい。また、気流ガイド(14)内には複数の台車(20)が配置されてもよい。この場合には、複数の台車(20)は、前後方向に並べられてもよく、左右方向に並べられてもよい。
【0051】
図6に示すように、気流ガイド(14)は、前後方向に伸縮可能な蛇腹状に構成される。気流ガイド(14)は、ケーシング(11)寄りに折り畳まれた第1状態と、ケーシング(11)から離れる方向に伸ばされた第2状態とに変更可能である。
【0052】
(2-5)温度センサ
図1および
図3に示すように、解凍装置(10)は、複数(本実施形態では、4つ)の温度センサ(15)を有する。本実施形態では、解凍装置(10)は第1~第4温度センサ(15a,15b,15c,15d)を有する。温度センサ(15)は、被解凍物(2)の温度を測定する。各温度センサ(15)は、上下方向において各支流路(31)に対応する位置に設けられる。なお、ここで示す温度センサ(15)の数は単なる一例である。
【0053】
温度センサ(15)は、温度を検出する検出部と、該検出部で検出した温度を表示する表示部とを有する。各検出部は、各支流路(31)に対応する台車(20)の載置部(23)に載置された被解凍物(2)に差し込まれる。各表示部は、気流ガイド(14)の左側面(11f)に上下方向に並んで配置される。
【0054】
(2-6)制御部
解凍装置(10)は、制御部(100)を有する。制御部(100)は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0055】
図7に示すように、制御部(100)は、ファン(12)、第1~第4ダンパ(13a,13b,13c,13d)、および第1~第4温度センサ(15a,15b,15c,15d)と有線または無線により接続され、これらと信号の授受が可能に構成される。
【0056】
制御部(100)は、第1~第4温度センサ(15a,15b,15c,15d)の検出値を受信する。制御部(100)は、ファン(12)および第1~第4ダンパ(13a,13b,13c,13d)を制御する。具体的には、制御部(100)は、ファン(12)のモータ(M)の回転方向を切り替える。また、制御部(100)は、ファン(12)のモータ(M)の回転数を変更する。制御部(100)は、第1~第4温度センサ(15a,15b,15c,15d)の検出値に基づいて、各温度センサに対応する第1~第4ダンパ(13a,13b,13c,13d)の開度を調節する。
【0057】
(3)台車の搬出入動作
次に、解凍室構造体(3)に台車(20)を搬入出する動作について、
図6および
図8を参照しながら説明する。ここで、
図6における左図は蛇腹状の気流ガイド(14)が折り畳まれた第1状態を示し、右図は気流ガイド(14)が伸ばされた第2状態を示す。なお、解凍室(4)に台車(20)が配置されていないときには、気流ガイド(14)は第1状態になっている。
【0058】
台車(20)を解凍室構造体(3)に搬入する場合、まず、解凍室構造体(3)の扉から被解凍物(2)が載置された台車(20)を解凍室(4)内に運び入れる。次に、台車(20)を解凍装置(10)の側方からケーシング(11)の第1開口(17)の前方に移動させる。その後、台車(20)の前後方向とケーシング(11)の前後方向が一致するように台車(20)の向きを調整する。これにより、台車(20)の通風空間(24)は、第1開口(17)および支流路(31)を介して、ケーシング(11)の通風路(30)と連通する。次に、気流ガイド(14)を前方に伸ばして第2状態にする。これにより、
図9に示すように、台車(20)の周囲が気流ガイド(14)に覆われて、台車(20)が気流ガイド(14)内に配置される。
【0059】
台車(20)を解凍室構造体(3)から搬出する場合は、搬入する場合と逆の動作を行う。具体的には、気流ガイド(14)を第2状態から第1状態に変更した後、台車(20)をケーシング(11)の前方の位置から解凍室構造体(3)の扉まで移動させて、解凍室(4)から搬出する。
【0060】
ところで、平板状の気流ガイドを有する解凍装置に台車を配置する場合には、気流ガイドを折り畳むことができないので、気流ガイドの前方に形成される開放部から台車を気流ガイド内に押し込むことにより、台車を気流ガイド内に配置する。言い換えると、この場合には、気流ガイドを避けて台車を移動させなければならず、台車の移動経路が長くなってしまう。
【0061】
これに対し、本実施形態では、気流ガイド(14)が蛇腹状に構成されているので、気流ガイド(14)を折り畳むことで、台車(20)を気流ガイド(14)の内部から引き出すことなく直ぐに台車(20)を移動させることができる。これにより、台車(20)の移動経路を短縮できる。
【0062】
(4)解凍装置の運転動作
次に、解凍装置(10)の運転動作について、
図8~
図10を参照しながら詳細に説明する。
【0063】
図8に示すように、ステップST1において、制御部(100)は、全てのダンパ(13)の開度を全開にする。次に、制御部(100)は、ステップST2とステップST6に分かれて、それぞれの動作を実行する。
【0064】
ステップST2において、制御部(100)が第1動作を実行させる。ここで、第1動作とは、通風空間(24)の空気を第1方向に流す動作である。第1方向は、通風路(30)から通風空間(24)に空気を押し出す方向である。本実施形態では、第1方向は、台車(20)の後ろから前へ向かう方向である。
【0065】
具体的には、第1動作では、制御部(100)がファン(12)を正回転(例えば、時計回り方向に回転)させる。ファン(12)が正回転すると、
図9に示すように、被解凍物(2)よりも温度の高い解凍室(4)内の空気がファン(12)から押し出されて、通風路(30)の上端側(一端側)から下端側(他端側)に向かって流れる。
【0066】
通風路(30)に流入した空気は、各支流路(31)に分かれて流入し、ケーシング(11)の第1開口(17)を介して、台車(20)の各通風空間(24)に流入する。通風空間(24)に流入した空気は、被解凍物(2)同士の間を第1方向に流れる際に、被解凍物(2)によって冷やされる。通風空間(24)を通過して冷やされた空気は、解凍室(4)内に流出する。このように、通風空間(24)を通過する空気と被解凍物(2)との間で熱交換されることにより、被解凍物(2)が解凍される。
【0067】
ステップST3において、制御部(100)は、第1動作が実行されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していた場合(ステップST3のYES)、ステップST4において、制御部(100)が第2動作を実行させる。
【0068】
ここで、第2動作とは、通風空間(24)の空気を第1方向と逆向きの第2方向に流す動作である。第2方向は、通風空間(24)から通風路(30)に空気を吸い込む方向である。本実施形態では、第2方向は、台車(20)の前から後ろへ向かう方向である。
【0069】
具体的には、第2動作では、制御部(100)がファン(12)を逆回転(例えば、反時計回り方向に回転)させる。ファン(12)が逆回転すると、
図10に示すように、通風路(30)の空気がファン(12)に吸い込まれて、通風路(30)の下端側(他端側)から上端側(一端側)に向かって流れる。
【0070】
ファン(12)の回転に伴って、被解凍物(2)よりも温度の高い解凍室(4)内の空気が台車(20)の各通風空間(24)に吸い込まれる。各通風空間(24)に流入した空気は、被解凍物(2)同士の間を第2方向に流れる際に、被解凍物(2)によって冷やされる。通風空間(24)を通過して冷やされた空気は、第1開口(17)および各支流路(31)を介して、通風路(30)に流出する。通風路(30)に流入した空気は、第2開口(18)およびファン(12)を介して、解凍室(4)内に流出する。このように、通風空間(24)を通過する空気と被解凍物(2)との間で熱交換されることにより、被解凍物(2)が解凍される。このように、制御部(100)は、第1動作と第2動作とを交互に実行させる。
【0071】
ステップST5において、制御部(100)は、第2動作が実行されてから所定時間が経過したか否かを判定する。ここで、ステップST5における所定時間は、ステップST3における所定時間と同じ時間である。言い換えると、制御部(100)は、第1動作と第2動作とを所定時間毎に切り替えている。なお、本実施形態における所定時間は、3分である。
【0072】
ステップST5において所定時間が経過していた場合(ステップST5のYES)、再びステップST2に戻る。このように、制御部(100)は、ステップST2からステップST5を繰り返すことにより、被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0073】
次に、制御部(100)が、ステップST1が終了した後にステップST6を実行する動作について説明する。ステップST6において、制御部(100)は、第1~第4温度センサ(15a,15b,15c,15d)の各検出値を取得する。ステップST7において、全ての温度センサ(15)の検出値が所定の解凍温度に達していた場合(ステップST7のYES)、制御部(100)は、ファン(12)の回転を停止させる。このようにファン(12)を停止することにより、被解凍物(2)が過剰に解凍されることを抑制できる。なお、本実施形態における所定の解凍温度は、0℃である。
【0074】
ステップST7において、全ての温度センサ(15)の検出値が所定の解凍温度に達していなかった場合(ステップST7のNO)、ステップST8において、各温度センサ(15)に対応するダンパ(13)の開度を調節する。
【0075】
具体的には、各温度センサ(15)の検出値が予め設定された所定温度よりも高かった場合には、対応するダンパ(13)の開度を小さくする。これにより、開度を小さくしたダンパ(13)に対応する支流路(31)を流れる空気の量を減少する。その結果、所定温度よりも高い被解凍物(2)の付近を流れる空気の量が減少し、台車(20)に載置された被解凍物(2)同士の解凍速度のばらつきを低減できる。ステップST8において、ダンパ(13)の開度の調節が終了すると、再びステップST6に戻る。
【0076】
ここで、従来の解凍装置では、通風路および通風空間の空気は一方向にしか流れていなかった。このような従来の解凍装置では、通風空間の空気流れ方向の上流側の空気は、被解凍物と熱交換されることによって、その温度が低下する。この温度が低下した空気が下流側に向かって流れ、下流側の位置においても被解凍物(2)と熱交換される。そのため、通風空間の空気流れ方向における下流側に配置された被解凍物は、上流側に配置された被解凍物よりも解凍速度が遅く、被解凍物が配置される場所によって、解凍の度合いにばらつき(解凍ムラ)が生じてしまうという問題があった。
【0077】
これに対し、本実施形態の解凍装置(10)の運転動作では、制御部(100)が第1動作と第2動作とを交互に実行させる。これにより、通風空間(24)において、第1方向に空気が流れた後に、該第1方向と逆向きの第2方向に空気が流れる。これにより、第1方向の上流側に配置された被解凍物と下流側に配置された被解凍物とに生じる解凍速度のばらつきを低減できる。その結果、被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0078】
加えて、
図9に示すように、本実施形態の解凍装置(10)において、制御部(100)が第1動作を実行させた場合、ファン(12)によって押し出された空気は、通風路(30)を下方に流れ、各支流路(31)に分かれて流入する。その際、通風路(30)の下端に達した空気は、ケーシング(11)の下面(11b)に当った後、最下段の支流路(31)に流入する。
【0079】
このため、最下段の支流路(31)およびこれに対応する通風空間(24)に流れる空気の風速は、全ての支流路(31)および全ての通風空間(24)のうち、最も速くなる。そして、各支流路(31)および各通風路(30)を流れる空気は、上段に向かうに従って遅くなる。このように、台車(20)の上段側の通風空間(24)と下段側の通風空間(24)との間に流れる空気の風速に違いが生じるため、第1動作では、台車(20)の下段側に配置された被解凍物(2)は、上段側に配置された被解凍物に比べて早く解凍される。
【0080】
一方で、
図10に示すように、本実施形態の解凍装置(10)において、制御部(100)が第2動作を実行させた場合、ファン(12)の回転に伴って、台車(20)の通風空間(24)から吸い込まれた空気が、各支流路(31)を介して通風路(30)に流入し、通風路(30)を上方に流れる。
【0081】
その際に、台車(20)の最上段の通風空間(24)は、ファン(12)に最も近いため、最上段の通風空間(24)およびこれに対応する支流路(31)に流れる空気の風速は、全ての通風空間(24)および通風路(30)のうち、最も速くなる。そして、各支流路(31)および各通風路(30)を流れる空気は、下段に向かうに従って遅くなる。このように、台車(20)の上段側の通風空間(24)と下段側の通風空間(24)との間に流れる空気の風速に違いが生じるため、第2動作では、台車(20)の上段側に配置された被解凍物(2)は、下段側に配置された被解凍物に比べて早く解凍される。
【0082】
このように、解凍装置(10)の制御部(100)が第1動作と第2動作とを交互に実行させることにより、台車(20)の上段側に配置された被解凍物(2)と下段側に配置された被解凍物とに生じる解凍速度のばらつきを低減できる。その結果、被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0083】
(5)実施形態の特徴
(5-1)
解凍装置(10)の制御部(100)は、通風空間(24)の空気を第1方向に流す第1動作と、該通風空間(24)の空気を前記第1方向と逆向きの第2方向に流す第2動作とを交互に実行させる。
【0084】
これにより、通風空間(24)を第1方向にのみに空気が流れる場合に比べて、第1方向の上流側および下流側に生じる解凍速度のばらつきを低減できる。その結果、被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0085】
(5-2)
第1動作では、通風路(30)を下方に空気が流れるとともに、通風路(30)から通風空間(24)に空気を押し出す方向に空気が流れる。第2動作では、通風路(30)を上方に空気が流れるとともに、通風空間(24)から通風路(30)に空気を吸い込む方向に空気が流れる。
【0086】
第1動作では、通風路(30)の下端に達した空気は、ケーシング(11)の下面(11b)に当たるので、台車(20)の下端寄りに形成される通風空間(24)に流れる空気は、上端寄りに形成される通風空間(24)よりも風速が速くなる。このため、第1動作では、台車(20)の下段寄りに配置された被解凍物(2)は、上段寄りに配置された被解凍物(2)よりも早く解凍される。
【0087】
一方で、第2動作では、台車(20)の上端寄りに形成される通風空間(24)は、ファン(12)に近いので、台車(20)の上端寄りの通風空間(24)を流れる空気は、下端寄りの通風空間(24)を流れる空気よりも風速が速くなる。このため、第2動作では、台車(20)の上段寄りに配置された被解凍物(2)は、下段寄りに配置された被解凍物(2)よりも早く解凍される。
【0088】
解凍装置(10)の制御部(100)がこのような第1動作および第2動作を交互に実行させることにより、台車(20)の上段寄りおよび下段寄りのそれぞれに配置された被解凍物(2)の解凍速度のばらつきを低減できる。その結果、より被解凍物(2)の解凍ムラを抑制できる。
【0089】
(5-3)
制御部(100)は、所定時間毎に第1動作と第2動作とを切り替える。
【0090】
これにより、複数の被解凍物(2)を徐々に且つ均一に解凍できる。加えて、作業者が動作を切り替える必要がないので、解凍作業にかかる手間を低減できる。
【0091】
(5-4)
ケーシング(11)は、通風路(30)と通風空間(24)とを連通させる支流路(31)を有し、支流路(31)には、開度が変更可能なダンパ(13)が配置される。
【0092】
これにより、ダンパ(13)によって支流路(31)を流れる空気の量を調節できる。その結果、より被解凍物(2)の解凍速度のばらつきを低減できる。
【0093】
(5-5)
解凍装置(10)は、被解凍物(2)の温度を測定する温度センサ(15)を備え、制御部(100)は、温度センサ(15)の検出値に基づいてダンパ(13)の開度を調節する。
【0094】
これにより、制御部(100)が温度センサ(15)の検出値に基づいてダンパ(13)の開度を調節するので、より被解凍物の解凍速度のばらつきを低減できる。
【0095】
(5-6)
ケーシング(11)の前方には、被解凍物(2)が載置されて通風空間(24)を形成する台車(20)が配置される。解凍装置(10)は、ケーシング(11)の前側面(11c)に設けられ且つ台車(20)の左右側方に配置されて、通風空間(24)を通過する空気の流れを整える気流ガイド(14)を更に備える。気流ガイド(14)は、蛇腹状に構成される。
【0096】
これにより、蛇腹状の気流ガイド(14)を折り畳むことで、直ぐに台車(20)を移動させることができる。その結果、台車(20)の移動経路を短縮できる。
【0097】
(5-7)
解凍システム(1)は、解凍装置(10)と該解凍装置(10)が設置される解凍室(4)の温度を調節するユニットクーラ(5)とを含む。
【0098】
これにより、解凍装置(10)とユニットクーラ(5)とを備える解凍システム(1)を提供できる。
【0099】
(6)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0100】
(6-1)変形例1
制御部(100)は、温度センサ(15)の検出値に基づいて、ファン(12)の風量を調節してもよい。具体的には、制御部(100)は、温度センサ(15)の検出値に基づいて、ファン(12)の風量が目標風量になるように、モータ(M)の回転数を制御する。
【0101】
この場合、いずれかの温度センサ(15)の検出値が予め設定された所定温度よりも高かった場合には、モータ(M)の回転数を減少させてファン(12)の風量を減少させる。これにより、台車(20)の通風空間(24)に流れる空気の量が調節されるので、より被解凍物(2)の解凍速度のばらつきを低減できる。
【0102】
(6-2)変形例2
解凍装置(10)の複数のダンパ(13)は、作業者によって手動でその開度が調節されてもよい。
【0103】
(6-3)変形例3
解凍装置(10)には、支流路(31)および該支流路(31)に対応するダンパ(13)が設けられていなくてもよい。言い換えると、台車(20)の各通風空間(24)は、ケーシング(11)の第1開口(17)のみを介して通風路(30)と連通してもよい。
【0104】
(6-4)変形例4
解凍装置(10)は、温度センサ(15)を有さなくてもよい。この場合には、解凍装置(10)の運転動作において、予め決められた運転時間が経過すると、制御部(100)がファン(12)の回転を停止させる。
【0105】
(6-5)変形例5
上記実施形態では、ファン(12)の回転方向を変更することによって、第1動作および第2動作を切り替えたが、ファン(12)の回転方向を変更する以外の手段で切り替えてもよい。例えば、解凍装置(10)は、通風空間(24)の空気の流れ方向を切り替える切替装置を有してもよい。
【0106】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0107】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本開示は、解凍装置および解凍システムについて有用である。
【符号の説明】
【0109】
1 解凍システム
2 被解凍物
4 解凍室
5 ユニットクーラ(温度調節装置)
10 解凍装置
11 ケーシング
11b 下板(下面、閉塞面)
11c 前側板(前側面)
12 ファン
13 ダンパ
14 気流ガイド
15 温度センサ
20 台車
24 通風空間
30 通風路
31 支流路
100 制御部